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女子医大事件 術後「対抗反射なし」佐藤医師供述、瀬尾医師と食い違い

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東京女子医科大病院で、平柳明香さん(12)がが死亡した事故で、人工心肺を担当した医師佐藤一樹容疑者(38)業務上過失致死容疑で逮捕が、「手術後に集中治療施般(TCU)で、明香さんの瞳孔に光を当てても反応がなかった」と供述していることがわかった。
「対光反射」がないことは脳死判定基準のひとつで、病院の調査報告では、昨年3月2日の手術当日、対光反射は「あった」とされていた。明香さんは手術当日、回復不可能な脳障害を負っていた可能性が高い。
また手術チーム責任者の医師瀬尾和宏容疑者(46)証拠隠滅容疑で逮捕は、警視庁の調べや朝日新聞の取材に「手術当日の反射はあった。術後管理をしっかりすれば回復する可能性があった」と話していた。警視庁は、チーム内で反射をめぐる証言が食い違っているため、さらに事情を聴く。
調べでは、佐藤医師は手術終了後から翌日昼まで、ICUで明香さんの治療に当たった。明香さんは意識はなく人工呼吸器をつけられていたが2日後に死亡した。2日、瞳孔に光を当てると反応はなく、直径は6ミリだった。
対光反射の有無は、呼吸や脈拍、血圧調節などの機能を担う脳幹が機能しているかを示す。臓器移植法に基づく脳死判では、反射がないことのほか深い昏睡、自発呼吸がない、瞳孔直径が4ミリ以上−−などの状態になれば脳死とされる。
脳神経外科の専門家は「対光反射がなかったのは手術中に大脳だけでな脳幹にまでダメージを受けたからだろう。手術当日の時点で回復不可能な状態だったのではないか」と指摘する。
また瀬尾医師は手術直後、明香さんの家族に「手術はうまくいった。人工心肺を外すのに時間がかかった」と説明したという。説明に立ち会った佐藤医師は調べに「家族には脳のことは言っていないな、と思った」と供述している

入院患者を殴り死なせる・和歌山

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和歌山西署は17日、入院患者を殴って死なせたとして、傷害致死の疑いで和歌山市坂田、看護助手奥野正夫容疑者(45)を逮捕した。調べでは、奥野容疑者は17日午前、勤務する和歌山市和歌浦東の和歌浦病院で、入院中の男性(52)が言うことを聞かないとして顔を殴り、倒れて床に頭を打ち付けた男性を約1時間後に死亡させた疑い。
夜になって病院から届け出があり、同署の調べに奥野容疑者が容疑を認めたため逮捕した。

鎮静剤誤投与の患者死亡・佐賀の国立嬉野病院で

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佐賀県嬉野町の国立嬉野病院(進藤和彦院長)に入院中の同県内の60歳代の男性患者が、大量の鎮静剤を誤投与されて意識不明の重体になった医療ミスで、この男性は18日午前1時、同病院で死亡した。
病院側は「看護師による装置の誤操作の可能性が高い」としており、事故対策委員会を設け、詳しい原因を調査。嬉野署も関係者から事情を聴くなど調べを進めている。
男性は低酸素脳症で12日に入院し、薬液量を調節する医療機器で鎮静剤を投与されていた。1時間当たり6ミリリットルの投与が医師の指示だったが、14日午後7時25分から35分間は、流量を示す値が約17倍の同106ミリリットルになっていた

動脈傷つけ手術後死亡 愛知の病院、2年前

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名古屋市西区の愛知県済生会病院(社会福祉法人・済生会経営)で2年前に骨盤の切除手術を受けた女性が手術中に誤って動脈を優つけられて亡くなっていたことが12日、明らかになつた。病院の説明では、亡くなったのは岐阜県羽島市の女性(当時51歳)。左股関節の骨の変形で歩行時に足の付け根が痛む「左変形性股関節症」と診断され、00年7月に骨盤の一部を切除する手術を受けた。名大病院から来ている嘱託医師が執刀医となって手術した。ところが、手術中に切除部分の骨膜をはがそうとした際に、誤って動脈を傷つけた。止血の処置が不十分で、手術後に再び大量に出血。女性は名大病院に転送されたが、手術の4日後に多臓器不一全で死亡した。

銀行、病因支援ビジネス本格化 顧客囲い込みを狙う

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国の総医療費抑制で病院の生存競争が厳しさを増す中、銀行が病院経営の支援ビジネスを本格化させている。設備投資に中長期の資金が必要な病院は、銀行にとって大切なお客。各行は融資以外のサービスにより、優良病院の囲い込みを図る。
あおぞら銀行は8月から、200床以上の病院を対象に、経営上の問題点を洗い出す「医業経営評価プロジェクト」を始める。過去3年間の決算や70を超す質問項目の調査を無料で行い、必要資金を融資する作戦だ。
病院は収入構造が一般企業より複雑なため、経営評価の手法はまだ確立していない。同行は今回、電子カルテの開発で知られる亀田総合病院(千葉県鴨川市)やコンサルタント会社と提携した。今後も各病院の調査データを蓄積して、評価システムを磨いていく。年内に100病院の無料評価を行う計画だ。
みずほ銀行も8日から、グループ各社の総合力で病院経営を助ける「病院経営支援サービス」を始めた。みずほ総合研究所が経営計画の策定を支援し、系列のリース会社が医療機器や車両などのリースを請け負う。増加が予想される民間病院同士の合併・買収(M&A)も支援していく。
三井住友銀行は00年、日本総合研究所や住友商事などと共同で研究会をつくった。狙いは大企業の系列病院。労働災害や地域の病床不足をにらんで設立されたが、大半が赤字となっており、「企業立病院」の経営改善が欠かせない、と判断した。

心・肺移植できず子供91人が死亡 法施行後3年、学会調査

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国内で心臓や肺の移植が必要と判断された18歳未満の子どもが臓器移植法施行後3年間で少なくとも260人いて、うち
91人が移植を受けられずに死亡していることが、日本小児循環器学会の調べでわかった。10日、東京都で開かれた学会で発表された。法施行後43人が海外渡航を希望しており、うち20人が海外で移植を受け、7人が渡航準備中に死亡している。
現行では、15歳未満では臓器提供の意思を示すことができない。このため、臓器の大きさの違いから国内で子どもが心臓や肺の移植を受けるのは難しい。

無菌性髄膜炎、1999年4月以降において最大の流行を記録

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国立感染症研究所は7月5日、2002年第25週(6月17日〜6月23日)の感染症発生動向調査を発信した。無菌性髄膜炎の全国定点当たりの報告数(医療機関当たりの平均患者数)は0.29で、この10週間ほどは増加傾向にある。1999年4月のデータ集計開始後において最高値を記録した、前週より0.03増加した。都道府県別に平均患者数をみると、エコーウイルスの流行を反映して福井(2.33)からが最も多く、岡山(1.80)、滋賀(1.71)、熊本(1.47)などと続く。
ヘルパンギーナの定点当たりの報告数は2.29(対前週比0.60増)で、「例年通り急速な立ち上がりをみせている」(同研究所)。都道府県別にみると、新潟(6.12)、富山(5.69)、群馬(4.73)、千葉(4.24)、宮崎(3.81)の順に多い。また、手足口病の平均患者数は1.24(対前週比0.32増)で、ゆっくりと増加する傾向にある。ともに、夏にピークを迎える感染症だけに動向に留意すべきだろう。
このほか、注目すべき感染症としては、咽頭結膜熱や伝染性紅斑、突発性発疹、流行性耳下腺炎などが挙げられる。定点当たりの報告数が、この数週間の動向をみる限りでは増加もしくはほぼ同レベルで、減少する様子がみられない。一方、水痘や感染性胃腸炎、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎などは、減少する傾向がうかがえる。
全数報告の対象となる感染症については以下の通り(6月27日集計分)。
 1類感染症:なし。
 2類感染症:細菌性赤痢8例、腸チフス2例、パラチフス1例。
 3類感染症:腸管出血性大腸菌感染症87例(うち有症例43例)。
 4類感染症:アメーバ赤痢8例、クリプトスポリジウム症2例、ジアルジア症1例、ツツガムシ病1例、破傷風1例、急性ウイルス肝炎9例(A型6例、B型1例、C型1例、サイトメガロウイルス1例)、クロイツフェルト・ヤコブ病1例(弧発性)、後天性免疫不全症候群11例(無症候性10例、AIDS1例)、デング熱1例、梅毒14例(早期顕症5例、晩期顕症2例、無症候性7例)。
詳しくは、感染症発生動向調査週報まで

MRSA切り札薬効かぬ菌 米で発見、警戒呼びかけ

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切り札の抗菌薬が効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が、世界で初めて米国で見つかった。米疾病対策センター(CDC)は、5日付の週報で警戒を呼びかける。MRSAは、院内感染を起こす細菌の一つ。日本を含む先進各国で死者が出ている。抗菌薬のバンコマイシンが特効薬だが、センターによるとこの薬も効かないバンコマイシン高度耐性MRSA(VRSA)が先月、慢性腎不全で透析を受けている男性(40)からみつかつた。男性は、足の潰瘍に最近感染を起こしたため、1年前からバンコマイシンを使っていた。今回見つかったVRSAは、VanAという耐性遺伝子を持っていた。バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)がもつ遺伝子で、MRSAに何らかの形で移ったらしい。
国立感染症研究所細菌第2部の荒川宜親部長の話
世界中の医療関係者が懸念していたVRSAがとうとう登場したことに、強い衝撃を受けた。日本でもバンコマイシンの使用量が年々増えており、VRSAが出てもおかしくない。徹底した監視網を敷くべきだ。

手術の翌日出血死 筑波の病院腫瘍切除付近に傷

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茨城県つくば市の筑波メディカルセンター病院(石川詔雄院長)は3日、6月28日に卵巣腫瘍の摘出手術を受けた同県内の女性(25)が翌日、原因不明の出血で死亡したと発表した。司法解剖で腹の中に傷が見つかったため、つくば中央署は医療ミスの業務上過失致死の疑いで2日に病院を捜索、関係者から事情聴取を始めた。
病院によると、女性は28日午後1時40分から約1時間、婦人科の32歳と35歳の女性医師らによって、摘出手術を受けた。手術後、意識などは正常だったが、午後11時半ごろ、呼吸停止状態になっているのを看護師が発見、救命処置をしたが29日午前1時過ぎに死亡した。腹の中の出血が死因と考えられたが、出血の原因がわからなかったため、異状死として死亡直
後に同署に連絡した。同署によると、司法解剖の結果、腫瘍を切除した付近に過失の疑いがある損傷があったという。病院は、手術中の出血が普通より少なく、通常は傷がないかどうかを確認してから手術を終えることから、手術部位以外に傷を付けた可能性は低いと説明していた。

厚生労働省、重要な副作用などについて報告

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厚生労働省、メシル酸イマチニブとラベプラゾールナトリウムの重要な副作用などについて報告
 厚生労働省は6月27日、医薬品・医療用具等安全性情報第178号を発表した。その内容は、1.重要な副作用に関する情報、2.使用上の注意の改訂について−−の2項目。副作用では、メシル酸イマチニブとラベプラゾールナトリウムについて報告、注意の改訂では、セボフルランほか15件について公表している。

 医薬品・医療用具等安全性情報第178号の概要は以下の通り。詳細については、厚生労働省のホームページまで

1.重要な副作用等に関する情報
 前号(医薬品・医療用具等安全性情報No.177)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について、改訂内容、参考文献などとともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介している。
1.メシル酸イマチニブ
 日本チバガイギーの抗悪性腫瘍薬「グリベックカプセル100mg」。今回改訂の対象となった副作用は、汎血球減少、間質性肺炎、重篤な皮膚症状で、改訂の根拠となった症例を二つ掲載している。
2.ラベプラゾールナトリウム
 エーザイのプロトンポンプ阻害薬「パリエット錠10mg」「パリエット錠20mg」。今回改訂の対象となった副作用は間質性肺炎で、改訂の根拠となった症例を二つ掲載している。
2.使用上の注意の改訂について
 セボフルランほか15件について、使用上の注意の改訂を実施している。

改ざん「しつこく強要」逮捕の看護師長が供述 東京女子医大事件

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東京女子医科大病院で心臓手術を受けた平柳明香さん(当時12)が死亡した事故で、手術チーム責任者の医師瀬尾和宏容疑者(46)証拠隠滅容疑で逮捕=から集中治療施設(ICU)記録の改ざんを指示されたとされる看護師長(54)が、29日までの警視庁の調べに「嫌だと抵抗した」と供述していることがわかった。
瀬尾医師は病院の人事などで発言力があったといい、牛込署に捜査本部を設けた警視庁は、立場を利用して、明香さんに起きた脳障害を隠すための改ざんを何度かにわたって強要していたとみて実態を調べている。
捜査本部によると、01年3月2日、心臓手術で人工心肺装置の操作を誤り、明香さんは脳障害を起こし5日に亡くなった。瀬尾医師はこの日、同大の日本心臓血圧研究所ICU室で、看護師長に対し、ICU記録の瞳孔数値などについて実際とは違う数値に書き換えるよう指示した。看護師長は、「瀬尾医師に(改ざんを)しつこく求められ、仕方なく応じた」と供述しているという。
さらに瀬尾医師は、3日後の8日、心臓血圧研究所の控室で、臨床工学技士(31)にも人工心肺装置のポンプの回転数などについて虚偽の内容に書き換えるよう指示していたという。改ざんの強要について技士も警視庁に対し、看護師長と同じような趣旨の説明をしている。
その後、看護師長と臨床工学技士の2人は、改ざんを拒むようになったため、瀬尾医師自身が改ざんを続けたという。捜査本部は看護師長と技士を近く証拠隠滅容疑で書類送検する。
病院の調査報告によると、手術後の明香さんの瞳孔は7ミリだったのに4ミリと改ざんされていた。「7」の上に横線を書き加えて「4」にしていた。瀬尾医師は、明香さんが脳障害を起こしていたことを隠すために、瞳孔の数値書き換えを指示したとみられる。
瀬尾医師は、事故発覚後に設けられた学内の調査委員会に対し4ミリだったと思ったので書き換えた」と説明、改ざんの趣旨を否定していた。
瀬尾医師に接見した弁護士によると、瀬尾医師は警視庁のこれまでの調べに改ざんの指示についてば認めているが、自らの改ざんは「記憶にない」と説明しているという。

隠蔽体質深い「病根」東京女子医大病院事件

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記録改ざん「よくある」逮捕の医師「なぜ責められる」
医師2人が警視庁に逮捕された東京女子医大病院(東京新宿区)は、「トップレベルの心臓手術を誇る施設」と評価される。逮捕された循環器小児外科助手佐藤一樹容疑者(38)と、講師の瀬尾和宏容疑者(46)は、総勢数十人の医療スタッフの中でもベテランだった。なのにミスをした後、記録を改ざんし、問題を隠そうとした。事件からは同病院全体の隠蔽体質が浮かび上がる。
「手術でまずいことがあると、記録類を直すことは病院でよくあった。なのに、なぜ私だけこうして責められるのか」瀬尾医師は逮捕前、周囲にそう語っていたという。
同医師は、81年5月から同大学の心臓血圧研究所に勤務する。執刀医を指導しながら、難易度が高く重要な部分では自らメスを握っていた。今年3月、厚生労働省の医療分科会で、この医療過誤事件が取り上げられたときのこと。分科会の出席者から「手術はチームで行われており、個人でミスを隠せるものではないはずだ」との意見が相次ぎ、手術ミスの組織的隠蔽が指摘された。
しかし病院側は瀬尾医師の独断だったと主張した。分科会のある出席者は「病院の主張から反省の気持ちが伝わってこず、言い訳ばかりが目立った」と話した。
佐藤医師は91年5月に循環器小児外科に研修医として入局。97年に助手に昇格した。今回操作を誤ったとされる人工心肺装置の担当者としては経験豊富な医師として信頼されていた。
同病院は特定の学閥がなく、自分の技量に自信を持った人が集まるといわれる。 2人が所属していた心臓血圧研究所は、その中でも「職人の集団」とされる。2人はそこで、着実に地歩を固めていた医師だった。
同大に約10年間、勤務した経験を持つ心臓外科医は「間違いを認めて謝るという基本的な教育も受けていなかった。心臓手術では日本一というおごりがあったと思う」。
昨年12月、2人の医師は院長と謝罪のため、亡くなった群馬県高崎市の平柳明香さん(当時12)の墓参りに訪れた。その際、院長は「診療記録の改ざんなどについても全容を明らかにする」と約束した。だが、その後、平柳さんのもとに連絡はきていない。

医療事故内部告発から公に
医療事故が公になるのは、病院内からの内部告発が多い。東京女子医大病院のケースも、内部関係者からミスを指摘する手紙が両親に届いたことが発端だった。それだけ医療現場は密室性が高いといえる。医師の逮捕という今回の警察の強い姿勢が、閉鎖的な医療界に変革を迫るのは必至との見方もある。
島根県の松江市立病院では99年2月、患者2人の点滴パックを取り違え、2人とも死亡する事故が起きた。しかしこの事故は報道された後も約1カ月間、公表されなかった。病院側は「取り違えたのは栄養剤の一種で、死因とは関係ない」としていた。
東京都の癌研究会付属病院では、99年12月に患者が抗がん剤の過剰投与で死亡した。病院側はその時点でミスに気付いていたが、遺族への説明は2カ月以上たってからだった。
札幌市の中村記念病院でも98年1月、末期がんの男性患者(当時72)が内服用の薬を点滴に注入され死亡する医療事故が起きた。病院が警察に屈け出たのは、死亡してから約2年後、新聞報道がきっかけだった。
カルテの保存期間は医師法で5年間と定められているが、記述内容の変更・改ざんについては違反とするような明確な規定はない。しかしここ数年の医療事故訴訟の増加と、カルテ開示の流れは医師の意識を変えつつある。
ある大学病院に勤める内科医は「自分や病院を守るため、カルテの記述には細心の注意を払う必要がある。改ざんや加筆などは論外の時代だ」と話している。

呼吸器外れ患者死亡 岩手の病院

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岩手県花巻市花城町の総合花巻病院(渡邉登志男院長)で、先月24日、入院中の男性患者(当時37)の人工呼吸器の管が外れこの患者が亡くなっていたことが分かった。病院から通報を受けた県警は、業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。 病院によると、男性は重度の障害者で、99年12月に肺炎などで同病院に転院。自力で呼吸ができず、人工呼吸器を使っていた。24日午後1時55分ごろ、女性清掃員が病室で警報器が鳴っていて、呼吸器の管が外れているのを見つけた。医師らが人工呼吸などをしたが、午後4時に死亡を確認。花巻署に通報した。この日午後0時40分ごろ、同室の他の患者の処置のため、看護師が入室した際は異常がなかったという。司法解剖の結果、死因は急性呼吸不全だった。外れた管は、プラスチック製で、アダプター式のつなぎ目で差し込む方式。病院側は「自然に外れることは考えられず、死亡した男性患者も自分では外せる状態ではなかった」としている。渡邉院長は「原因をはっきりさせ、再発防止に努めたい」と話している。

7月開催予定の医学関連学会案内

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7月に国内で開催される主な学会には、日本炎症・再生医学会や日本乳癌学会、日本動脈硬化学会、日本骨代謝学会などがあります。また、日本理学診療医学会や日本中毒学会、日本新生児学会、日本遺伝子治療学会、日本医用画像工学会なども行われ、様々な学会が開かれる予定です。7月開催予定の主な学会の詳細については、こちらをご覧下さい
開催日時・場所、プログラムの主な内容、学会事務局の連絡先、ホームページのアドレスなどを掲載しています。
また、医学会プログラムでは、2002年度に開かれる主な学会を開催月と学会名のいずれからでも探すことができます。ぜひご利用ください。

日本医師会、「日医医薬品併用禁忌データベース」をHP上で公開

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日本医師会は6月19日、医薬品の併用禁忌をチェックするための「日医医薬品併用禁忌データベース」を作成した。日医IT化宣言の精神に則り、ホームページ上で日医オープンソース使用許諾契約に基づき提供している。日医標準レセプトソフトには、6月末ごろにこのデータベースの利用機能を組み込む予定という。なお、現在の併用禁忌データは2002年5月31日現在の薬剤情報に基づいて作成されているが、随時更新していく方針だ。
同データベースでは、自薬剤と相手薬剤の両方の添付文書で互いに併用禁忌と記述している場合だけでなく、一方の薬剤の添付文書にしか併用禁忌として記されていない場合も確実にチェックできるようになっている。また、併用禁忌となる相手薬剤がカテゴリーやグループで記述されている場合も確認できる。
データベースの詳細やダウンロードに関しては、日医のORCAのホームページまで

乳がん細胞の増殖物質発見

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東大・埼玉医大共同で乳がん細胞の増殖を引き起こすたんぱく質を、東京大学と埼玉医科大学の共同研究グループが発見した。20日付の英科学誌ネイチャーに発表する。従来のホルモン療法が効かなくなった進行乳がんに効く薬剤の開発に役立ちそうだ。
乳がん細胞は女性ホルモンのエストロゲンが何らかの形で作用して増殖することが知られている。研究グループはこの増殖に「エストロゲン応答性フィンガーたんぱく質(Efp)がかかわっていることをマウス実験で突き止めた。
マウスにヒトの乳がん細胞を植え付けたところ、Efpが働かないようにしたマウスは、がん細胞が増殖しなかった。また、エストロゲンをださなくしたマウスに、Efpを大量に含む乳がん細胞を移植すると、がん細胞が増殖することを確かめた。

太るホルモン解明 予防薬・治療に期待 京大グループ

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体に脂肪がたまって肥満になるのに十二指腸から出るホルモンが重要な役目を果たしていることを京都大の研究グループが解明した。このホルモンの働きを抑える動物実験をしたところ、脂肪が多い餌を与えても体重がほとんど増えなかった。肥満の予防や治療薬の開発に役立ちそうだ。17日付の米医学誌ネイチャーメディシン(オンライン版)で発表する。
研究をしたのは京大医学部の清野裕教授と山田祐一郎・助教授ら。
肥満は体の中の脂肪細胞に余分に脂肪がため込まれて起こる。清野教授らは、食事後に主に脂肪の刺激で十二指腸から出るホルモン「GIP」に注目。脂肪細胞の表面でGIPと結合し、刺激を細胞内に伝えるたんぱく質「GIP受容体」がないマウスを使い、肥満になるかどうか実験した。まず、普通のマウスに餌の全カロリーのうち脂肪分が45%の高脂肪食を与えた場合と、同13%の通常食を与えた場合を比べた。50週間飼うと、高脂肪食の方が通常食より体重が約35%多く、肥満になった。次に、GIP受容体がないマウスで比べると、餌の違いで体重差が出ず、高脂肪食でも肥満にならなかった。
脂肪細胞の性質などを調べたところ、GIP受容体がGIPと結合すると、血液中の脂肪をとり込みやすくする酵素が出ることなどが分かった。GIP受容体がないマウスは、高脂肪食を与えられた直後から普通のマウスより脂肪を多く消費する傾向があつた。山田助教授は「これまでの薬は食欲を抑える薬。GIPの働きを抑える薬なら、脂肪の蓄積という肥満の源を解決することが期待できる」と話している。

「精神病院の拘束帯」で窒息死 遺族、賠償求め提訴 大阪高石 indexへ

大阪府高石市内の精神病院に入院していた男性(当時55)が窒息死したのは、拘束帯と呼ばれるベルトで首や胸を圧迫されたのが原因だとして、遺族3人が、病院を経営する「医療法人微風会」(野木盈理事長)を相手取り約7300万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁堺支部に起こした。病院側は「圧迫などの事実はなかった」とする答弁書を提出し全面的に争う方針だ。14日に第1回口答弁論がある。訴状によると、男性は00年8月21日、高石市東羽衣7丁目の浜寺病院に入院した。主治医の指示で両手足や腹部、肩などを拘束帯で固定され、25日午後1時半に容体が悪化し死亡したという。司法解剖の結果、拘束帯で首や胸などを圧迫されたことによる窒息死とされた。
訴えに対し、浜寺病院は「体の表面に傷がないのに拘束帯による窒息死とした解剖医の所見はおかしい。死因は心臓疾患で、裁判では死体検案書について争うことになるだろう」と話している。

脂肪細胞は善玉? indexへ

脂肪をためる脂肪細胞で作られるたんぱく質「アディポネクチン」に、血糖値を下げる働きがあり、糖尿病などと深くかかわっていることが大阪大医学部の松沢佑次教授(内科学)らの動物実験でわかった。17日付の米医学誌ネイチャーメディシン(オンライン版)で発表した。
別の研究では、人でもアディポネクチンが足りないと、糖尿病になっていることが多かったという。松沢教授は「悪者といわれる脂肪細胞に、体を守る働きがあることがはっきりした」と話している。

子供の急患「診ない」5割 救急病院専門医いない? 小児科持つ2割が拒否 indexへ

救急病院を名乗っていても、子どもの急患を診療している病院は約半分しかないことが、国立保険医療科学院の田中哲郎生涯保健部長らの調査でわかった。小児救急に詳しい医師がそろっていないのが理由とみられ、子どもが急病になってもどの病院で診てくれるのか分からない状況。田中さんは「子ども救急病院の整備、指定が望まれる」と指摘している。
対象は、厚生労働省令で認定されている約4200の救急病院。病院の広告や看板で「救急病院」や「救急告示病院」とうたっている病院だ。昨年6〜7月に調査票を郵送。2818病院から回答してもらった。
中学生以下の子どもの救急医療を実施していると答えたのは1513病院(53.7%)だった。しかし、かかりつけの患者や紹介患者しか珍ないという病院もあり、すべての来院者を受け付けているのは1340病院(47.6%)。365日24時間対応していたのは1145病院だった。
回答のあった病院のうち、「小児科」の看板を掲げているのは1512病院。しかし、子どもの急患を珍ているのは約8割だった。
田中さんは「救急病院でも、子どもを診ることができる医師がいないことを理由に断るようだ。どこで診てもらえるのかわかりにくく、小児救急医療へ不安をいだかせる要囚の一つになっている」と話している。
調査結果は、21日から神戸市で開かれる日本小児救急医学会で発表される。

レセプトに記載不要な傷病名を明示、厚生労働省が通知 indexへ

厚生労働省は5月27日、「低薬価薬剤の審査等の具体的取扱い方針」について、同省のホームページに掲載した。3月25日付けの通知に記されていた「健胃消化剤、鎮咳剤などの投与又は使用の原因となった傷病など、主傷病や副傷病から判断して、その発症が類推できる傷病として傷病名の記載が不要な薬剤」に該当するものとして、「消化器官用剤」「下剤、浣腸剤」「眠剤」「解熱鎮痛消炎剤」「去たん剤及び鎮咳去たん剤」「感冒薬」の6種類を具体的に挙げた。
診療報酬請求の透明化を図る観点から、4月の診療報酬改定で診療報酬明細書(レセプト)への薬剤名の記載を原則として行うことが義務づけただけでなく、さらに、主傷病と副傷病も明示することになっている。ただし、主傷病と副傷病から類推できる傷病名については、レセプトへの記載を不要とする内容の3月25日付けの通知を出
していたが、その薬剤の範囲が明確に示されていなかったため、今回の通知で記載を免除される薬剤を明示したもの。
一方、先の3月25日付けの通知で、「ただし、強心剤、糖尿病薬などの投与又は使用の原因となった傷病名についてはこの限りではない」とされており、これら以外に、主傷病や副傷病をレセプトに記載すべきものとして、さらに追加で、「血管拡張剤」「血圧降下剤」「副腎ホルモン剤」「高脂血症用剤」を挙げた。これら6種類の薬剤については、レセプトに傷病名の記載が必要であるとしている。
また、主傷病名や副傷病名の区分のないレセプトの取扱いについて、医療機関への周知徹底が十分になされていないことなどを理由に、これらの区分がなくてもただちに返戻を当分の間はしないことを明記している。
詳細については、厚生労働省のホームページまで。

病院選び情報実施3府県 消極的自治体「病院の協力得にくい」 indexへ

病院を選ぶ目安になる病気別の治療件数などの情報を公開している自治体は、全国で3府県にとどまっていることが、朝日新間社の調査でわかった。厚労省は、都道府県が定める医療計画に医療機関ごとの情報を盛り込んで公開するよう求めているが、取り組みは大幅に遅れている。医療機関側の協力が得られにくいことなどが原因とみられる。
厚労省(旧厚生省)は98年6月、医療計画の作成指針を改定。症例数や専門職員数など医療機関の基礎データを調ベ、計画に記載するよう求めた。
朝日新間社が実施状況を各都道府県の担当者に問い合わせたところ、30都府県が調査を終え、10府県が今年度中に実施を予定していた。
調査を終えた自治体のうち、医療機関の病気ごとの手術件数や治療法別の患者数などを医療計画に載せ、住民が閲覧したり、医師が紹介先選びの参考にしたりすることができるよう公開しているのは、新潟、静岡、大阪の3府県にとどまった。岩手、埼玉、石川、岡山の4県は、治療連携の助けにするため医療機関などに提供していた。
手術件数ば多いほど治療成績が良いとされ、病院選びの有力な指標になる。
新潟県は、がんや脳血管障害など48種類の治療を調べ、心臓や脳腫瘍など高度な手術の件数を病院ごとに記載。静岡県は、がんを中心に専門性の高い医療を選び、各病院の担当医数と年間の症例数を盛り込んだ。
大阪府は、たとえば白血病の化学療法について「年間51〜100例」「11〜50例」「1〜10例」といった段階に分け、それぞれに該当する病院名を載せている。
一方、個別情報を公開していない自治体の多くは、その理由について「公表を前提にすると医療機関の協力が得られにくいからだ」と説明する。

たばこ、腰痛の原因に 日大教授ら学会発表へ 椎間板に悪影響 indexへ

たばこを吸う人ほど腰を痛めやすい、という喫煙と腰痛の因果関係を、日本大学医学部の松崎浩巳教授(整形外科)らのグループが突き止めた。背骨でクッションの役目を果たす椎間板がニコチン摂取によってつぶれやすくなることを、動物実験で確認。6日から宮崎市で始まる日本脊椎脊髄病学会で発表する。
実験は、たばこを1日20本吸う人とほぼ同じ血中濃度のニコチンをウサギの体に4〜12週間続けて注入した後、解剖して椎間板の変化を調べた。ニコチンを長く与えたウザギほど、椎間板は弾力を失うことがわかった。
弾力のない椎間板は弱い力でもつぶれやすい。つぶれた椎間板は背骨周辺の神経を刺激して腰の痛みをもたらす。
松崎教授は「椎間板の変化はニコチンによって血流障害が起き、コラーゲンが破壊されたためだろう。腰痛に悩む人は、ぜひ禁煙を」と話している。

歯科医の救急研修「医療行為も」6割 学会調査挿管や洲術助手 indexへ

歯科医が患者の急変に対応するため病院で受ける「救急研修」について、研修を依頼している各地の歯科口腔外科を対象に学会が調査したところ、6割近くが「研修医は医科の患者に気管挿管などの医療行為もしている」と答えていることがわかった。救急研修をめぐっては、市立札幌病院の部長が歯科医に医療行為をさせたとして起訴されており、調査結果は研修ガイドラインなどの早急な整備を迫る形になっている。
歯科医の「救急研修」は、あごの骨や舌がんの手術も手がけ、患者の容体が急変する場面にも直面する歯科口腔外科医を中心に、10年ほど前から救命救急センターなどに依頼して行われるようになった。日本口腔外科学会が全国214病院の歯科口腔外科を対象にアンケートし、186病院が答えた。
その結果、177病院が救急研修は必要とし、76病院が実際に研修を依頼していた。うち60病院が「今まで通り続ける」、13病院が「見学に変えるなどして続ける」と答え、「やめた」は2病院、「やめることを検討している」は1病院にとどまった。
研修内容については、6制近い43病院が起訴後も「医科領域の患者も診察している」と答えた。具体的な医療行為としては、気道を確保する気管内挿管(38病院)、点摘のための中心静脈路の確保(35病院)、カテーテルの抜去(33病院)、道具を使った手術の補助(25病院)=複数回答=などで、札幌事件で検察側が違法とした行為も含まれていた。歯科医側は、指導医がついていれば合法な行為、との立場だ。

医療ミスで患者が死亡 滋賀・長浜赤十字病院 indexへ

滋賀県長浜市宮前町の長浜赤十字病院(原慶文院長)は2日、「医療ミスで患者が亡くなった」と県警長浜署に電話で届け出た。同署は、内科の看護師(21)が入院中の同市内の男性患者(69)への塩化カリウムの注入法を誤って死亡させたとして、看護師と主治医(33)らから業務上過失致死容疑で事情を聴いている。
調べによると、看護師は1日午前、点滴容器に注入しなければならない塩化カリウム20ミリリットルのうち、約半分を注射器を使って、点滴容器と患者の体をつなぐ管に注入した疑い。このため、患者の心臓に急激な負担がかかり、容体が急変、2日午後5時すぎ、死亡した。患者は白血病で入院していた。看護師は看護学校を卒業してこの4月から同病院に勤務していたという。
病院の話によると、看護師は塩化カリウムを注入するのは初めてで、先輩の看護師とともに注入することになっていた。ところが、先輩の看護師が病室を離れたあと、1人で注入したらしい。

通勤電車に電磁波充満 携帯電話、電源オンで indexへ

通勤電車は日々、強い電磁波にさらされている。列車内では多くの乗客が持つ携帯電話の電磁波が重なりあって反射しあい、その電磁波密度は国際的な安全基準を大幅に超えうることが、東北大の研究で分かった。

金属で覆われた車両は電波が外に漏れにくく、複数の携帯電話が同時に発した電磁波は重複して反射する。この研究者は「電源がオンなら、通話中に限らない」などと警告、このほど日本物理学会の論文誌で発表した。東北大理学研究科の本堂毅助手(熱物理学)は、通勤途中の車内で携帯電話のメールを使う人を多く見かけ、車内で同時に携帯電話を使った場合の電磁波強度(平均電力密度)を調べた。
携帯電話は通話中だけでなく待機中も、位置情報を近くの中継基地局と交換するため、電磁波を出している。本堂氏は、車内では電磁波は一部窓から出ていくものの、多くは金属の車内壁で跳ね返ることに注目した。各車両の窓の表面積や、車両全体の体積などを考慮し、列車内に携帯電話が複数ある場合、重複と反射によって発生する平均電力密度を求める計算式を導き出した。
仮にある車両で50人が0.4ワット(W)の電波を出す携帯電話を1台ずつ持つとすると、車両内の総出力は20W。携帯電話1台あたりの出力は最大でも2W以下と定められており、重複によって非常に強い電磁波が出力されることになる。これを計算式に当てはめると、車内の電力密度は、世界保険機構(WHO)の協力機関が定める国際基準値の数倍にも達しうることがわかった。
ラッシュ時は1車両に約300人が乗車することや、携帯電話機器を複数台持つ人を考えると、さらに強い場合も容易に想定されるという。「金属の箱で電磁波を反射させる『電子レンジ』の大型版と考えれば分かりやすい。閉鎖空間での電磁波の影響を考慮し、予防原則を考える必要がある」と、本堂氏は話す。
総務省では「昨年から、携帯電話の人体への影響を調べているが、列車内など閉鎖空間での重複や反射などは特に想定していない。電波環境課は「携帯電話と、反射する壁までの距離が遠ければ電磁波強度は減衰するし、実際に基準値を超過する事態ば起こりにくいのでは」としている。

電磁波の健康被害と防護指針
携帯電話や放送用アンテナ、送電線などから出る電磁波が人体に与える影響については、脳腫瘍(しゅよう)や白血病などとの関連が指摘されている。WHOも昨年、高圧送電線からの電磁波が「発がんの可能性がある」との見解を示している。WHOの協力機関である国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)はこれを満たせば安全性が確保されるという基準値を策定し、日本でもこの数値を、電波法に基づき電波防護指針と定めている。だがイタリアやスイスなどでは健康被害を懸念してこの基準値を厳しくし、英国では政府の委員会が子供の携帯電話使用を避けるよう提言するなど、欧州を中心に見直しが広まっている。

虫歯治療が入れ歯を招く? indexへ

「いまの普通の治療では虫歯は治らず、最後は入れ歯になることが多い」と聞くと、たいていの人はびっくりする。「ええ。歯科医でさえ、わかっているとは限らない」と第一生命保険の日比谷診療所歯科医長の安田登さん(東京医科歯科大学臨床教授)。まず歯科医に知つてもらおうと安田さんは今春、「来て見て接着」(共著、クインテッセンス出版)を出した。
歯の象牙質の表面を固いエナメル質が保護している。エナメル質が溶かされ、象牙質に傷が及ぶと痛む。虫歯の傷は自然に治ることはない。そこで歯科医が修復する。すき間のない詰め物を作ればいいと信じてきた歯科医は詰めやすい形に虫歯部分を大きく削る。「自然なら1年かかる穴をたった10秒で」(安田さん)という勢いだ。
ところが、接着するセメントは唾液で溶け、数年ですき間だらけ。詰め物やかぶせ物も材料により数年から15年ほどで落ちたり、欠けたりする。傷跡に再び菌などがとりつき、虫歯は再発、悪化する。こうした治療を受けているうち歯は無くなってしまう。
予防第一だが、別の治療法がないわけでもない。安田さんの本の共著者でもある東京医科歯科大学名誉教授の中林宣男さんが82年に開発した接着性レジン(樹脂)の応用だ。セメントと違ってこの樹脂は酸などに強いうえ、象牙質にしみ込み、間に「樹脂含浸象牙質」という人工エナメル層を作り、象象牙質を保護する。
中林さんによると、接着性レジンは歯科で広く使われているが、まだ単なるセメント代わりが多い。「できるだけ歯を削らず、人工エナメル質を作って歯を守る。そういう使い方ができる歯科医は1割以下かな」(編集委員・田辺功)

抗生物質で1人死亡 indexへ

気管支炎や中耳炎などに使われるファイザー製薬の抗生物質「アジスロマイシン水和物」(商品名・ジスロマック)を投与された患者で、00年6月の販売開始から今年3月末までに、25人がショック症状を起こしうち1人が死亡したことが30日、厚生労働省への報告でわかった。
厚労省によると、ほかに皮膚障害のスティーブンス・ジョンソン症侯群(SJS)や中毒性表皮壊死(えし)症(TEN)を起こしたのが同時期に22人おり、同省は同日、安全性情報を出して医師らに注意を呼びかけた。死亡した患者を除く46人は全員快復している。

ハルシオン無断処方 indexへ

東大医学部付属病院は30日、30代の男性看護師が医師のIDとパスワードを勝手に使って、向精神薬トリアゾラム(商品名ハルシオン)を処方し服用していたと発表した。医師法違反に当たり、同病院は懲戒処分にする方針。
同病院によると、薬剤部が大量の処方に疑問を持ち、今年3月に事実が発覚した。流用は昨年4月ごろに始まり、30回にわたって約1680錠を処方していた。
同病院の調査委員会に、看護師は「すべて自分で飲んだ。他人には渡していない」と話しているという。使われた2人の医師のIDとパスワードは、メモにしてだれでも見られる診察室内に置いてあった。同病院はパスワードなどの管理を徹底した。

看護師静脈注射の解禁検討 厚労省業務拡大へ協議 indexへ

厚生労働省は28日、看護師ができる業務を見直し、現在は禁じられている静脈注射を認めるなど、拡大する方向で協議する検討会を設けた、と発表した。初会合は31日で、来年3月までに報告書をまとめる。
厚労省によると、静脈注射は身体への影響が大きいため、51年、看護師の「業務の範囲を超える」との局長通知が出されている。しかし、医療現場では、点滴などの静脈注射を看護師がすることが多い。
検討会では、法解釈と実態がかけ離れていることを念頭に議論し、認めるならば、どのような条件が必要なのか提言してもらう。
また、訪問看護を進めるため、在宅患者に処置する際に看護師が主治医の指示を細かく仰ぐ必要がある点を改められないかも検討するす。

劇症1型糖尿病の発症頻度が判明、日本人急性発症1型の約20% indexへ

2日前から口渇、多尿、全身倦怠感があり初診。翌日、全身倦怠が増強し再受診するもそこで心肺停止に。蘇生後、血糖値は高値だがHbA1cは正常値上限から軽度上昇の程度、膵島関連の自己抗体は陰性で、膵島炎は見られなかった−−。このような臨床像を持つ劇症1型糖尿病の発症頻度は、日本人急性発症1型糖尿病の約20%であることが明らかになった。日本糖尿病学会の劇症糖尿病調査委員会がまとめた調査によるもので、大阪医科大学第一内科の花房俊昭氏が5月17日、「ワークショップ2:1型糖尿病の新知見」で報告した。
劇症1型糖尿病の定義は、1.超急性にケトアシドーシスを伴って発症する、2.血糖は著明高値であるがHbA1cは正常上限から軽度上昇にとどまる、3.膵外分泌酵素が上昇している、4.膵島関連の自己抗体が陰性である、5.尿中CPRは<10μg/日、6.膵島炎はない、7.膵外分泌組織へのリンパ球浸潤が見られる−−というもの。
 この定義を基に委員会では、劇症1型糖尿病のスクリーニング基準を設定。以下の1から3をすべて満たすものとした。
 1 糖尿病症状発現後1週間前後以内でケトーシスあるいはケトアシドーシスに陥る。
 2 尿中CPR<10μg/日または負荷前血清CPR<0.3ng/ml(または食後2時間血清CPR<0.5ng/ml)。
 3 初診時のHbA1c値<8.5%。
 委員会は、この基準に基づいて、各委員が所属する施設で10年間の患者調査を実施した。その結果、スクリーニングできた222例中劇症型は43例(19.4%)で、男性が27例、女性が16例と男性に多かった。花房氏は、約20%という発症頻度について「予想より多い」とコメントした。
成人に先行感染を伴って発症する例が目立つ
糖尿病学会会員に呼びかけて実施した全国調査では、これまでに144例(上記の委員施設調査の症例を含む)の劇症型糖尿病症例を集積している。
同様に集積した自己免疫性糖尿病(132例)との比較では、罹患期間(劇症型4.6±3.1日、自己免疫性37.6±24.2日、p<0.0001、以下同)、HbA1c値(6.4±0.8%、12.1±2.1%、p<0.0001)、尿中CPR(4.2±3.5μg/日、21.1±14.0μg/日、p<0.0001)などで有意差が見られた。
発症時の臨床所見の比較では、年齢(劇症型39.1±15.5歳、自己免疫性31.2±16.0歳、p<0.0001、以下同)、BMI(20.5±3.2、18.9±2.7、p<0.0001)、体重減少(3.1±2.8kg、6.0±3.7kg、p<0.0001)、感冒様症状(+88/−48、+33/−93、p<0.0001)などで明らかな差が認められた。
これらの分析から花房氏らは、劇症1型糖尿病の主な特徴として、以下の9点を挙げた。1.日本人急性発症1型糖尿病の約20%である、2.有症状期間は<10日、3.血糖値は著明高値でHbA1cは正常上限から軽度上昇、4.ケトアシドーシスで発症、5.尿中CPR<10μg/日、6.膵外分泌酵素の上昇、7.膵島関連自己抗体陰性、8.膵島炎はマイナス、9.膵外分泌組織へのリンパ球浸潤。
劇症1型糖尿病の成因については、10日以内という超急性の発症、発症前の感冒様症状の存在などから「ウイルス説」がある一方、一部症例で膵島炎が見られ、また自己抗体が確認できる症例もあることなどから「自己免疫疾患説」も出ているが、いずれにせよ詳細な分析を待たざるをえない。
なお、同委員会では劇症1型の症例集積を継続しており、新規発症例について事務局へ連絡するよう呼びかけている。事務局の連絡先は、TEL:0726-84-6431、FAX0726-5-1655、電子メール:hanafusa@poh.osaka-med.ac.jp。またその際、発症時の血清10mlの保存を求めている。
日本糖尿病学会の劇症型糖尿病調査委員会メンバーは以下の通り。牧野英一氏(委員長、愛媛大学)、花房俊昭氏(事務局、大阪医科大学)、今川彰久(大阪大学)、内潟安子氏(東京女子医科大学)、金塚東氏(加曽利病院)、川崎英二氏(長崎大学)、小林哲郎氏(虎ノ門病院)、島田朗氏(慶応大学)、清水一紀氏(愛媛県立中央病院)、豊田哲也氏(久留米大学)、丸山太郎氏(埼玉社会保険病院)。

2002年3月期大手製薬メーカー連結決算 indexへ

製薬メーカー
売上高(億円)
前期比増減(%)
当期利益(億円)
前期比増減(%)
海外売上高比率(%)
武田薬品礦業
10,050
4.3
2,356
60.5
34.7
三共
5,488
0.7
387
-8.7
21.4
山之内製薬
4,813
5.1
551
36.7
39.8
エーザイ
4,316
19.3
365
56.6
46.2
塩野義製薬
4,201
1.8
84
-33.0
3.0
藤沢薬品工業
3,413
14.7
261
27.4
44.1
第一製薬
3,327
4.9
313
10.2
22.0
大正製薬
2,713
-1.1
373
19.5
4.4
三菱ウェルファーマ
2,289
26.2
89
229.4
19.9
中外製薬
2,117
4.3
145
-5.8
13.8
田辺製薬
1,896
-2.2
124
307.7
10.0

薬剤の関連文献検索HPを閲設 indexへ

萬有製薬(東京都中央区)は、同社が販売する薬剤36品目の関連文献名が調べられるコーナーをインターネットのホームページ上に開設した。医学や薬学分野の専門誌に掲載された同社製品に関する研究論文の題名と収録文献が検索できる。同社は「患者さんが自分で薬のことを調べられるよう、将来は題名だけでなく論文の内容も検索できるようにしたい」としている。ホームページのアドレスは http://www.banyu.co.jp「製品関連文献情報」の項。

院内感染原因点滴液の汚染世田谷区が報告書 indexへ

東京都世田谷区の伊藤脳神経外科病院(伊藤誠康院長)で1月、入院患者7人がセラチア菌による院内感染で死亡した事故で、世田谷区は21日、最終的な事故対策報告書を発表した。
セラチア菌感染が確定したのは12人うち死者6人)、感染の疑いのあるのが12人(同1人)。感染経路については、点滴のために血管に針を刺したままにする「留置針」と、血液が固まるのを防ぐ「ヘパリン生食(生理的食塩水)」を使った患者の発症が多いことから、「ヘパリン生食がセラチアに汚染され、血流感染を起こした可能性が示された」と結論づけた。
患者の遺族らは同日、病院側に損害賠償を求める考えを明らかにした。

外科手術と効果同じ 乳がん負担少ない放射線治療 indexへ

早期乳がん治療で一般的なわきの下のリンパ節をとる外科手術と、とらずに放射線をあてる体の負担が少ない治療を比べた場合、再発率や生存率にはほとんど差がないーー大船中央病院(神奈川県鎌倉市)と慶応大学の共同研究でわかった。20日、オーランドで開かれた米国がん治療学会で発表した。
グループは87年から、病巣の大きさが5センチ以下でわきの下のリンパ節にしこりがない早期の乳がん患者は、リンパ節をとるのをやめ、5週間放射線をあてることにした。
87年以前にリンパ節をとった78人と、同年以後にとらなかった1400人を比べた。その結果、わきの下のリンパ節への再発率と5年生存率に有意な差はみられなかった。
リンパ節をとる手術は、再発を防ぐために国内のほとんどの病院で行われている。しかし、リンパ節をとった2割程度の人に腕のむくみが生じる。大船中央病院の雨宮厚外科部長は「むくみは治らないことが多く、むくんだ手先が人目に触れて悩んでいる人は少なくない。今後はリンパ節をとらない治療法が広まっていくだろう」という。

6月の医学関連の学会 indexへ

日本プライマリ・ケア学会 1日(土)〜2日(日)
日本超音波医学会 1日(土)〜3日(月)
日本小児外科学会 5日(水)〜7日(金)
日本脊椎脊髄病学会 6日(木)〜7日(金)
日本熱傷学会 6日(木)〜7日(金)
日本臨床ウイルス学会 6日(木)〜7日(金)
全日本鍼灸学会 7日(金)〜9日(日)
日本皮膚科学会 7日(金)〜9日(日)
日本頭頚部腫瘍学会 12日(水)〜14日(金)
日本老年医学会 12日(水)〜14日(金)
日本肝臓学会総会 13日(木)〜14日(金)
日本神経治療学会 13日(木)〜14日(金)
日本アフェレシス学会 14日(金)〜16日(日)
日本小児精神神経学会 14日(金)〜15日(土)
日本麻酔・薬理学会 14日(金)〜15日(土)
日本サーモロジー学会 20日(木)〜22日(土)
日本病院学会 20日(木)〜21日(金)
日本DDS学会 21日(金)〜22日(土)
日本外科系連合学会 21日(金)〜22日(土)
日本弱視斜視学会 21日(金)〜22日(土)
日本小児救急医学会 21日(金)〜22日(土)
日本白内障学会 21日(金)〜23日(日)
日本臨床寄生虫学会 22日(土)
日本内分泌外科学会 24日(月)〜26日(水)
日本小児神経学会 27日(木)〜29日(土)
日本心血管インターベンション学会 27日(木)〜29日(土)
日本緩和医療学会 28日(金)〜29日(土)
日本足の外科学会 28日(金)〜29日(土)
日本内分泌学会 28日(金)〜30日(日)

医療過誤、市民が「鑑定」 訴訟を再検証、HPに掲載 indexへ

医療過誤訴訟でまかり通る不可解な鑑定や判決を、法廷外で「鑑定」する−−東京の市民団体がホームページにこんなコーナーを設けた。鑑定人や裁判官らの実名も挙げて検証し、公平な医療裁判の実現をめざす。
この団体は医療消費者ネットワークMECON。近藤誠・慶応大医学部講師の協力を得て、手始めに四つの事例を「鑑定」し、ホームページ(http://homepage2.nifty.com/MECON/)に載せた。
たとえば、福岡県の病院での京都大教授(当時)による脳手術で、患者が1カ月後に死んだケース。福岡地裁支部で手術の必要性や手術ミスの有無などを争点に裁判が続いている。鑑定人の埼玉医大教授は、執刀医や病院の落ち度をほとんど否定。執刀医を「標準以上の腕前だ」と褒めた。
しかし、MECONは、ほかの鑑定書や意見書がいずれも埼玉医大教授の見解とは異なる点を指摘。同教授が執筆者の一人である論文を取り上げ、「論文中の治療方針に反する鑑定意見を述べたのはおかしい」と批判した。
東京大病院の医師が乳がんと早合点し、健康な乳房を切除したケースでは、多くの専門家が過誤と考えているのに、東京地裁は患者側の訴えを退けた(東京高裁で係争中)。これについては、「専門医が見れば、病院側に過失も責任もあるのは明らか」と分析する。
MECON代表世話人の清水とよ子さんは「学会で指導的な立場にある専門家ですら、医学的な常識をねじ曲げた鑑定意見を述べることがあります。後に検証される可能性があれば、いいかげんな鑑定はできなくなるでしょう」と話す。

補助3600万円不正受給 indexへ

東京都足立区保木間5丁目の医療法人財団「東京足立病院」
(関昌比古理事長)で、96年度から6年間にわたり、アルコール依存症を治療する病棟に勤務する看護要員の数を水増しし、都から約3600万円の補助金を不正受給していたことがわかった。病院は「事務上の怠慢で、間違った申請をしてしまつた」と説明する。アルコール病棟は96年5月にオープンし、ベッド数は50床。都はアルコール依存症患者への医療を充実させるため、87年度からアルコール専門病棟がある民間病院に運営費の助成を始めた。
この病院の専門病棟の規模の場合、施設基準を満たし補助金を得るには看護師、看護補助者など16人が勤務しなければならない。しかし、その定員がそろわないため、窓口勤務の職員ら2、3人を常勤の看護補助者として配置したように見せかけていた。都にも偽りの「看護要員名簿」を提出していた。この結果、96年度から昨年度までに計約3600万円の補助金を受け取っていた。
都は毎年度初め、病院から医療内容や看護職員数などを記した計画書を提出させる。今年度は九つの民間病院に約5千万円の補助金を予算計上している。

急性気管支炎への抗菌薬投与、効果はビタミンC並み indexへ

急性気管支炎を起こした人に、マクロライド系抗菌薬のアジスロマイシンを投与しても、治療効果はビタミンCを投与した場合と変わらないことがわかった。急性気管支炎はルーチンに抗菌薬を処方されることが多い疾患だが、抗菌薬の適正使用という観点からも、今後は何らかの見直しが必要となりそうだ。研究結果は、Lancet誌5月11日号に掲載された。
この研究を行ったのは、米国Rush医科大学Cook County病院のArthur T. Evans氏ら。Evans氏らは、急性気管支炎の多くは細菌ではなくウイルス感染で起こるため、アジスロマイシンは理論的には無効の場合が多いはずだが、複数の臨床試験で有用性が報告されている点に着目。既存の試験では試験ごとに評価項目が異なり、単純な比較ができないため、新たに無作為化二重盲検試験を実施して治療効果を再評価した。
対象患者は、1999年の12月から2000年の3月にCook County病院を受診し、急性気管支炎と診断された成人220人。無作為に2群に分け、咳止めシロップと吸入気管支拡張薬の頓用処方に加え、アジスロマイシン(総量1.5g)またはビタミンC(総量1.5g)を5日分処方した。なお、対象からは、肺炎など呼吸器合併症が疑われるケースは除いた。
1次評価項目を健康関連の生活の質(QOL)として、1週間後に比較したところ、アジスロマイシン群とビタミンC群にはほとんど差がないことが判明。1週間後に日常生活に戻れていた人の比率も、両群ともほぼ9割で違いはなかった。患者が最も症状緩和に役立ったと評価したのは、抗菌薬でもビタミンCでもなく、気管支拡張薬だった。
この結果についてEvans氏らは「アジスロマイシンの効果はビタミンC並みで、“ビタミンCが急性気管支炎に効く”とのエビデンスがない以上、アジスロマイシンもこの疾患には無効であり患者には処方すべきでない」と結論。ただし、こうした患者は何らかの医療行為を求めて来院するため、現実には「何もしない」わけにはいかないことを鑑みると、ニーズに応え得る“最も有効な治療戦略”を今後も追求する必要があると強調している。

人工呼吸器事故昨年度死亡7人 国立病院、療養所で indexへ

国立の病院と療養所から昨年度に人工呼吸器にかかわる事故が11件報告され、7人が死亡、2人が意識不明になっていたことが14日、厚生労働省のまとめでわかった。報告は2病院、8療養所からあり、大半が人工呼吸器と気管チューブの接続部分が外れたケースだった。死亡の7人について厚労省は「事故が直接の原因とはみられない人も含まれている」としている。

焼き肉食べた22人からO157 indexへ

兵庫、大阪など兵庫県姫路市に本社を置く焼き肉チェーン店「焼肉の牛太」の直営店やフランチャイズ(FC)店の肉を食べた兵庫、大阪など5府県の男女22から、腸管出血性大腸菌O157が検出され、兵庫県や大阪府などが食品衛生法に基づく立ち入り調査をしていたことが14日、分かつた。姫路市は同社に在庫の処分などを口頭で指導した。
兵庫県や姫路市などによると、22人は4月26〜30日の間、岡山、和歌山、奈良など5府県にあるこの会社の直営店やFC店の肉を食べた。5月上旬に腹痛や下痢などの食中毒症状を訴えたが、快復しているという。
姫路市によると、近畿を中心に展開するチェーン店のうち約60店が、姫路市にある食肉加工センターの加工肉を使っている。

ハンタウイルス4人感染 北海道根室 indexへ

発熱が続いて進行性の呼吸困難になり、死亡率が10〜50%とされるハンタウイルス感染症とみられる患者4人が、北海道根室市でみつかったことが14日わかった。日本での発生は珍しく、道保健福祉部で感染源の特定など対策を検討している。
同部によると、患者は根室市立病院で診察を受けた。国立感染症研究所(東京都)に病状を照会したところ、同感染症の可能性が高いとの回答があった。同病院は根室保健所などに報告するとともに、同研究所に検体を送り、詳しい分析を依頼した。
同部は「人から人に感染するものではないが、発症例が少ないものなので慎重に対応したい」としている。
ハンタウイルスネズミにかまれたり、フンや尿に触れたりすると感染する。感染から2〜4週間後に急な発熱、下痢、吐き気、腹痛が起きる。重症化すると出血や腎不全、心不全などを起こし、死亡する。50年代に朝鮮半島で国連軍兵士の間で流行し、有名になった。極東から東欧、ロシア、北欧などに広く分布している。

カルテ情報。26%、同意なく外部へ 全国医療機関厚労省が調査 indexへ

26%の医療機関が患者の同意を取らずに外部からの問い合わせに応じていることが厚生労働省の全国調査でわかった。情報の提供先を具体的に警察や保険会社に限っても、同意を取らない医療機関が目立った。カルテ情報の取り扱いについて文書で規則を定めているのは13%だけで、個人情報保護について対応の遅れが浮き彫りになった。
同省は、個人情報保護法案成立後、医療情報の取り扱いについての解釈を具体的に指針で定める方針。調査は指針作りに備えるため、研究班(代表・開原成允灯台名誉教授)が昨年11月に実施。全国4500の病院や診療所などに質問紙を送り、521件の回答を得た。
「他の医療機関への紹介」など14項目の利用方法を挙げて、過去3年間の提供の有無や患者の同意を取ったかを聞いた。外部への提供は、診療報酬の請求事務が86%(450機関)と多く、研究への利用40%(206機関)、警察51%(264機関)、保険会社43%(224機関)など、カルテ情報が幅広く外部に提供されていた。
患者の同意を取った割合は、提供したと回答した医療機関のうち、診療報酬9%、研究16%、警察20%、保険会社68%。
「14項目とも、特に同意は取っていない」と答えた医療機関は、全体の26%の134機関。
カルテ取り扱いなどを定めた規則を持っていない医療機関は83%、作成中が4%。個人情報が外部に漏れたり破壊されたりしないように安全管理するための方法を文書で定めている医療機関は10%で、「ない」81%、「作成中」8%などだった。

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参考規制値の約10倍 盗難防止装置の電磁波 市民団体調査 indexへ

盗難防止のために図書館などの出入り口に設けてある感知装置から出る電磁波が、人の健康にも影響を及ぼしかねない−−とする調査結果を、市民グループ「電磁波プロジェクト」(上田昌文代表)がまとめ、12日、「電磁波問題国際フォーラム」(東京・江戸東京博物館)で発表した。
同グループは埼玉県内の大学の図書館で、測定器を使って防止装置周辺の磁界を調べた。装置の電磁波の周波数は様々だが、この図書館の場合は14キロヘルツ。世界保健機関(WHO)の協力機関の国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は14キロヘルツの参考規制値(一般への暴露参考レベル)を6.25マイクロテスラ以下としている。
調査の結果、利用者が出入りするゲート(幅約1メートル)の1メートル手前で21マイクロテスラ、ゲート内では78マイクロテスラと、参考規制値の10倍を超えた。
明確な健康影響はなくこれらの数値がすぐに対策が必要なレベルかどうかは何とも言えないが、上田代表は「一般にシステムのそばで長時間仕事をする人の中には、頭痛など身体の不調を訴える人もいる。早急な健康影響調査が必要だ」と話す。
総務省電波環境課は「経済産業省などと協カして各機種の実態を調査し、盗難防止装置で使う電磁波の規格作りを進めたい」と話している。