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武田の糖尿病新薬、米で承認先送り 業績影響の可能性 indexへ

 武田薬品工業は27日、糖尿病新薬の米国での販売承認が、先送りされたと発表した。米食品医薬品局(FDA)から、追加試験を求められた。現行の武田の糖尿病薬が特許切れする11年1月に発売が間に合わないことは確実だ。3千億円を超える米国での売上高の多くが、安価な後発医薬品(ジェネリック)などに奪われ、業績に影響する可能性がある。
 新薬は「SYR―322」。武田によるとFDAは、心血管系への悪影響の有無を調べる試験をするよう求めた。最低でも2年程度、承認が遅れる見通しで、競合品の状況次第では発売の断念を迫られるとの見方もある。
 後発薬の普及が進む米国では、特許切れした薬の売り上げが数カ月で8 ̄9割減ることもある。武田の現行の糖尿病薬「アクトス」は、連結売上高の4分の1にあたる約3870億円を世界で売り上げており、うち8割を米国に依存する。特許切れ前に後継品の「SYR―322」に販売をシフトし、糖尿病分野での売り上げを維持するのが経営上の重要課題だった。武田は「他の薬の販売強化で売り上げの減を補っていきたい」(広報)と話している。
 武田は欧州でも「SYR―322」の承認申請準備をしていたが今月、「販売を確実にするため」と臨床試験の追加を自主的に決めた。販売は当初予定の約3年遅れの2012年ごろになる見通しだ。日本でも昨年秋に承認申請している。

カテーテル専門医に上限 質を維持、当面千人に indexへ

 心筋梗塞(こうそく)などのカテーテル治療を行う医師らでつくる日本心血管インターベンション治療学会(理事長=一色高明・帝京大教授、医師会員5598人)は、今年新設する専門医制度で、専門医の人数を当面1千人に限ることを決めた。25日に札幌市で開かれた評議員会で承認された。
 日本専門医制評価・認定機構によれば、同機構加盟の71学会で上限を設けている学会はこれまでなかった。会員の7割ほどが専門医に認定されている学会もある。要件が緩くて質の保証としては不十分な学会もある。今回の取り組みは、そうした現状を踏まえ、要件を厳しくして専門医数を制限し、質を高めようという目的だ。今後、他の学会での取り組みを促すきっかけになると期待されている。
 カテーテル治療は、風船や金属製の管で、狭くなった血管を広げる。心臓に栄養を送る冠動脈を広げる治療(PCI)だけで実施数は年間約20万件と見られている。
 今回の専門医の認定基準では、カテーテル治療の術者として500例以上(うちPCIを300例以上)経験した人に筆記試験の受験資格を与え、合格者に実技試験を課す。
 厚生労働省は、一定の要件を満たす学会専門医を取得した場合、広告でうたえるよう02年から認めている。今回の専門医は今年11月に第1回の試験を行い、来年にも同省に広告を認めるよう申請する。

患者取り違え事故、後絶たず 05年以降で85件 indexへ

 患者の取り違えによる医療事故の報告数が過去5年間で計85件にのぼり、増加傾向にあることがわかった。日本医療機能評価機構(東京都千代田区)が24日、発表した。99年に横浜市大で起こった手術患者の取り違え事故以降、各医療現場で確認の徹底など防止策づくりが進み、報告が根付く一方で、基本的なルールが守られていない実情が改めて浮き彫りになった。
 法令上の報告義務がある272の病院と、自発的に報告している262の医療機関からのデータを、同機構が分析した。調査が始まった04年は報告はなかったが、05年は10件、06年20件、07年21件、08年27件と年々増加。今年は1〜3月で7件あった。
 そのうち、06年10月〜09年3月の59件を詳しく分析したところ、薬の準備や投薬時などに関する事故が26件と最も多く、次いで輸血時、検査時がともに10件だった。
 具体的には、▽認知症患者に似た名前の患者の薬を使ってしまった▽計算ミスで10倍量の薬を投与した▽白内障手術で別の患者に使うレンズを入れた――など。1人で患者3人の薬の準備を同時にしていて間違えるなど、人手不足が背景にある事例もあった。

架空手術は黒ペンで、カルテ色分けか 診療報酬不正事件 indexへ

 奈良県大和郡山市の医療法人雄山会「山本病院」が、生活保護受給者への架空の手術で診療報酬を不正に受給していたとされる事件で、カルテの手術・検査の記載欄に、赤と黒に色分けされた印が記入されていることが、捜査関係者への取材でわかった。赤印は実施済みの手術・検査、黒印は手術などをしたように装った架空請求用の疑いがあり、奈良県警は22日、法人理事長の山本文夫医師(51)と病院事務長(57)から引き続き任意で事情を聴いている。
 県警は21日、捜査員約100人が同病院や山本理事長、事務長の自宅などを詐欺容疑で、約9時間にわたって家宅捜索。患者のカルテなど関係書類を段ボール箱約400個分押収した。
 捜査関係者によると、押収した一部のカルテの手術・検査の記載欄の右上に、ペンで赤色か黒色かどちらかの印が付けられているのを確認。記載欄には具体的な手術名などが記入されていたが、複数の内部告発者が県警に「赤は実施済み、黒は実際にはやっていない手術だった」と証言しているという。
 診療報酬請求明細書(レセプト)を作成する病院の事務職員は、黒印のカルテ分も手術などを実施したとして、奈良県社会保険診療報酬支払基金にレセプトを提出、報酬を受け取っていたという。
 今回の家宅捜索容疑の対象となったのは、架空の心臓カテーテル手術。近畿厚生局奈良事務所によると、山本病院(80床)が届け出た狭心症患者らに対する同様のカテーテル手術の件数は05年275件、06年196件、07年275件だった。奈良県内では250床以上の中核病院と同水準という多さで、病院情報誌では「心臓カテーテル専門病院」と紹介されていた。
 カテーテル手術は、心臓血管外科の専門医で当時院長だった山本理事長を中心に実施していたという。県警は患者のレントゲンなども確認し、実際の手術の有無を見極める方針。
 病院事務長は取材に対し、「心臓血管のカテーテル検査・手術に特化しようとしてきたので、どうしても数は多くなってしまう。ただし、架空手術などの不正は一切ない」と容疑を否認している。
     ◇
 奈良県は22日午前、山本病院に医療法に基づく立ち入り検査を実施し、常勤医らに入院患者の状態や当面の診療態勢などについて聞いた。現時点で入院患者79人のうち45人(約57%)が生活保護受給者。45人のうち大阪など県外からの患者が約40人を占めた。

心臓手術を装い、報酬を不正受給容疑 奈良の病院捜索 indexへ

 奈良県警は21日、生活保護を受給する患者数人に手術をしたように装って計百数十万円の診療報酬を不正に受給したとして、詐欺容疑で、同県大和郡山市の医療法人雄山会「山本病院」(80床)と、法人理事長の山本文夫医師(51)=同県香芝市=の自宅などを家宅捜索し、理事長と病院事務長(57)の2人から任意で事情を聴いた。
 同病院がホームレスの保護受給者らを入院させ、多数の病名で検査、診療報酬を請求していた疑いのあることも判明。県警は保護世帯の医療費が公費負担になる制度を悪用して、不正受給が常態化していなかったか調べる。
 今回の家宅捜索の容疑は、05〜06年、入院中の生活保護世帯の患者数人に心臓血管手術をしたかのように装って計百数十万円の診療報酬を不正に受給した、というもの。捜査関係者によると、山本理事長と事務長は容疑を否認しているという。同理事長は心臓血管外科が専門。
 同病院によると、最近まで入院患者の5〜6割超を生活保護受給者が占めていた。大阪市西成区からのホームレスの患者が多く、大阪の病院などから紹介を受けて転院してきたという。
 奈良県によると、昨年3月の立ち入り検査で、これらの患者の診療報酬明細書(レセプト)に、「疑い病名」が数多く羅列されているのを確認。病名に基づく「検査が過剰」として改善を指導した。県関係者は「転院してきた患者に、同じような病名をたくさんあてはめ、さほど必要ない検査を繰り返しているように見えた」と指摘する。
 一方、カルテには検査などの必要性を示す医師の所見が記されていなかったり、後から書き直せるように鉛筆で記入されたりしていた例が散見されたという。県警は家宅捜索でカルテなどを押収。県社会保険診療報酬支払基金などに提出されたレセプトと照合するなどして、架空や不必要な診療や施術がなかったか調べる。
 生活保護世帯には、医療扶助制度がある。医療機関は、レセプト提出先の社会保険診療報酬支払基金を通じ、自治体から報酬(医療費の全額)を受け取る仕組み。患者の自己負担がないため、医療機関が勝手に報酬を請求しやすく、不正の温床になっていると指摘されている。

既存の薬、新たな服用法で特許対象に 政府知財本部 indexへ

 既存の薬の用法・用量を見直すことで新たな効果が確認されれば特許対象とする――。政府の知的財産戦略本部は、新たな医療特許戦略を打ち出す。成分が同じでも、服用法を見直すことで副作用のリスクを減らすなどの新規性が認められれば特許として保護し、企業に研究開発投資を促すのが狙い。近く決定する09年度の推進計画に盛り込み、早ければ年内にも特許法の審査基準を改定する見通しだ。
 たとえばある骨粗鬆症(こつそしょうしょう)治療薬の場合、患者はこれまで、毎日薬を服用する必要があった。この薬を飲むと、食道炎の副作用予防のために、服用後30分は横になれないが、成分は同じで7回分の分量を1回にまとめても副作用が変わらない薬が開発された結果、週1回服用するだけでよくなり、患者の負担は減った。こうしたケースを今後、特許対象にするよう提言する。
 特許を申請する場合、医薬品メーカーはまず、治療に効果が認められる物質の特許を申請し、取得する。その後、薬事法にもとづく製造販売承認の段階で「100ミリグラムを1日2〜3回2錠ずつ」といった用法・用量が定まる。
 今回の計画は、たとえば同じ成分で「50ミリグラムを1日1回1錠」の薬をつくった場合、これも「新薬」として特許申請の対象にするというもの。特許期間は通常20年、最長25年とされるが、「100ミリ」の特許を取得したメーカーが特許期間の切れる前に、新たに「50ミリ」の特許を取得できるようになる。物質の特許期間である20年を過ぎれば、他メーカーも参入可能で、安価な後発薬と、服用法に工夫を加えた先発薬が、市場で競合することになる。
 日本の特許制度は、医療機器や医薬品の発明は「物の発明」として特許対象とするものの、手術や治療といった「医療方法」は対象外。
 欧州では07年12月に「2000年改正欧州特許条約」が発効、医薬の新たな効能発見は「方法としては保護しないが、物の発明として保護する」とした。今回はこれにならい、物質としては同じでも用法用量が違って効き方が異なる場合は、「物の発明」と解釈できると判断、特許対象を広げようとするものだ。
 特許庁関係者は、「用法用量の工夫で服用回数などを減らせれば、患者の生活の質、利便性の向上につながる。また、新たな特許として保護することで、製薬業界が別の新薬の研究開発を進める余力も広がる」と期待する。製薬業界側も「ようやく商品化した新薬の研究に、さらに力を注ぐことで、患者にとって負担のより少ない薬を提供できるようになる」と話している。

「治療怠り脳梗塞誘発」 岐阜県に7900万円賠償命令 indexへ

 岐阜県総合医療センター(岐阜市)の医師の過失で脳梗塞(こうそく)を発症し、重い障害が残ったとして、同県羽島市の男性(59)が県に約1億5200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、岐阜地裁であった。野村高弘裁判長は「十分な治療を怠った過失があり、脳梗塞が誘発された」と述べ、約7900万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性は03年10月29日、呼吸困難を訴えて同センター(当時は県立岐阜病院)に入院。不整脈である心房細動と診断され、脈拍を正常に戻すため心臓に電気を流す除細動の治療を受けた。男性が希望したため、主治医が11月10日に退院させたが、翌11日に倒れ、右半身不随などの障害が残った。
 野村裁判長は判決で「主治医が退院によるリスクを男性に十分説明していたとは言えない」と指摘。退院で除細動後の投薬療法が不十分になった過失と脳梗塞の発症との因果関係を認めた。賠償額については「男性は労働能力は喪失したが、食事や入浴は1人でできる」と認定した。
 同センターの渡辺佐知郎院長は「原告には、改めて大変気の毒だと考えている。県の主張が認められず残念だが、判決文を精読した上で対応を検討する」とコメントした。

札幌の「無料」歯科医院を来月聴聞 北海道厚生局 indexへ

 札幌市の歯科医院「デンタルライラック」で、NPO法人「コンプリヘンシブメディカル(CM)ケア機構」のアンケートに答えた患者の診察料が無料となっている問題で、北海道厚生局は18日、同医院の保険医療機関の指定取り消しに向け、医院側の説明を聞く聴聞を7月9日に開くことを決めた。同月中にも指定を取り消すとみられる。
 厚生局は「患者本人が診察料の一部を自己負担しなければならない」とする健康保険法に違反しているとして、1月に改善指導し、4月には監査に踏み切った。その結果、NPOと医院を運営している医療法人が事実上一体化したうえで、NPOが診察料を肩代わりしていると判断した。
 歯科医院は現在も開業中。保険医療機関の指定を取り消されても営業できるが、診療報酬が請求できなくなるため、患者は診察料の全額を負担しなければならなくなる。

10代のタミフル制限「継続を」 厚労省調査会が報告 indexへ

 インフルエンザ治療薬「タミフル」の安全性を検討してきた厚生労働省の薬事・食品衛生審議会安全対策調査会(座長=松本和則・独協医大特任教授)は16日、服用と異常行動との因果関係は不明としながらも、10代への使用制限は「適当」とする報告をまとめた。
 これを受け、同省は今後も制限を続ける方針だが、現行と同様、副作用のリスクを考慮した上で重症化のリスクなどが高い場合、医師の判断で使うことはできる。
 調査会では、新型インフル対策についても触れ、どんな状況ならタミフルを使ってもいいのか、一般の人に専門家がわかりやすく助言する必要性も指摘した。
 調査会では、薬が脳に及ぼす影響や突然死との関連研究のほか、約1万人のインフル患者を対象に服用の影響を比較した厚労省研究班(班長=広田良夫・大阪市立大教授)などの研究結果を吟味した。
 広田班の研究報告については、事故につながる異常行動があった10代患者では、飲んだ人と飲まない人との間に統計的に差はなかったと結論づけた。
 異常行動との因果関係や突然死など、薬との関連性を示すデータは得られなかったが、さらに調査が必要となるものも多く、調査会では、服用の因果関係の有無の結論は出せなかった。
 しかも、使用制限が徹底された08年度以降、服用者の転落・飛び降り事故の報告はないことや、服用しなくてもインフル自体が異常行動を起こすことを示す研究もあることなどから、引き続き注意喚起が必要だとし、調査会は、「現状の使用制限を緩める必要はない」と判断した。
 厚労省では今後も、学会や専門家らの協力を得ながら、服用との因果関係について情報収集をする予定だ。

有害微小物質、たばこの煙こもる店の3分の1で基準超え indexへ

 たばこの煙が漂う飲食店や遊技場の3分の1以上で、健康被害を引き起こすとされる微小粒子状物質「PM2.5」の濃度が、世界保健機関(WHO)の環境基準を超える危険性のあることが、厚生労働省研究班の調べで分かった。1時間で基準の2倍以上吸い込みかねない店もあった。班長の大和浩・産業医科大教授は「建物内の受動喫煙対策が必要」としている。
 PM2.5は、直径が2.5マイクロメートル(マイクロ=100万分の1)以下の微小粒子。肺の奥まで入り込み、肺がんや心筋梗塞(こうそく)などの原因になるとされる。WHOは06年、大気1立方メートルあたり1日平均で25マイクログラム以下とする環境基準を示した。
 厚労省研究班は今年1〜3月、喫煙者のいる喫茶店や居酒屋、パチンコ店など計22店でPM2.5の実態を調べた。混雑時に約40分間測定した結果、空気1立方メートルあたり平均70〜1230マイクログラムのPM2.5が漂っていた。
 3分の1を超える8店では、1時間いるだけでWHOの環境基準を超える計算になった。70マイクログラムと最も低かった店では、誰もたばこを吸っていないときは45マイクログラムと大幅に下がったという。

介護施設整備、計画の半分 補助減響く 06〜08年度 indexへ

 全国の自治体が06〜08年度に、特別養護老人ホーム(特養)など介護保険施設の定員を約15万2千人分増やす計画を立てていたのに対し、実際は計画と比べて半分以下の約7万5千人分にとどまったことが、朝日新聞社の集計で分かった。既存の施設の定員削減により、計画を大幅に下回ったところもあった。
 市区町村は3年ごとに介護サービスの利用量を予測し、新たに増やす施設(5種類)の定員数を決定。社会福祉法人などが都道府県や市区町村の認可を得て建設する。
 4月に都道府県を通じて計画と実際の整備状況を調査。特養は06〜08年度に5万4千人分定員を増やす計画だったが、実際に増えたのは72%の約3万9千人分。東京や千葉、大阪は50%を切った。大幅に不足しているため、入居できずに自宅などで待機している人は、未集計の鹿児島と岡山(岡山市のみ回答)を除いて全国で約36万人いる。
 介護老人保健施設は約2万8千人分の計画に対して68%の整備率で、有料老人ホームなどは約3万人に対して44%だった。介護保険を使わない人も利用できるホームなどは集計対象から除いた。認知症の人向けグループホームは約2万9千人に対して95%の整備率だった。
 施設整備が進まない背景には、建設時の補助金削減や運営費に充てる介護報酬の引き下げが響いている。特養の全国協議会事務局長を務める福間勉さんは「建設費などコストが高いうえに、以前ほど行政の補助金が出ない。介護保険の報酬や利用者から徴収する費用だけでは採算ベースに乗りにくく、手を挙げる業者自体が少ない」と話す。
 従来は特養をつくる際は国が建設費の2分の1、都道府県が4分の1の補助金を出していたが、三位一体改革で国の補助金は04年度で廃止。税源が地方自治体に移されたが、財政が厳しい都道府県は介護施設に対する補助金を抑制しがちだ。滋賀は06年度、特養の整備費補助を1床あたり約40万円減額した。
 介護事業所の収入の柱の介護報酬は03、06年度と2回続けて引き下げられてきた。
 また、介護ケアと医療の両方が必要な高齢者が長期入院する療養病床(介護型)は、計約1万1千人分増やす計画だったが、06年に国が医療費削減のため介護型を全廃する方針を打ち出したことで、逆に2万4千人分減った。
 整備率を都道府県別で見ると、7道県がマイナスだ。計画していた定員数が200人程度と少なかった愛媛は、療養病床が700近く減ったためマイナス300%を超えた。
 介護保険サービスを利用する高齢者にとって、保険料を徴収されているにもかかわらず、必要なサービスを受けられない状況だ。
 厚生労働省は、介護保険施設の整備は自治体側の責任だとしたうえで、「介護報酬の引き下げや介護の人材不足などで、施設建設に手を挙げる事業者が減り、整備がうまく進まなかった」としており、09年度補正予算で3千億円を投入し、3年間で16万人分の施設建設を目指す。

生存権侵害認めず 生活保護の老齢加算訴訟で地裁判決 indexへ

 高齢の生活保護受給者に支給されていた「老齢加算」を国が減額、廃止したのは憲法25条で保障された生存権を侵害しているとして、北九州市の70〜90代の受給者39人が国の委託を受けた同市に処分の取り消しを求めた訴訟の判決が3日、福岡地裁であった。高野裕裁判長は「減額、廃止後の原告の生活が健康で文化的な生活基準を下回っているとまでは認めがたい」と述べ、原告の請求をいずれも棄却した。
 同様の訴訟は全国8地裁で起こされ、判決は東京、広島両地裁に次いで3例目。08年6月の東京地裁判決は「廃止は厚生労働大臣の裁量の範囲内」とする判断を示し、請求を棄却。同12月の広島地裁判決も「政治的、社会的な問題として解決されるべき事柄だ」としながらも、請求を退けている。
 老齢加算は、70歳以上の高齢者には加齢に伴う「消化吸収がよく良質な食品の購入費」「墓参りなどの社会的費用」などの特別な需要があるとして、60年に創設された。だが厚労省の専門委が03年、「70歳以上の一般低所得者世帯の消費支出額が60代より少なかった」などの調査結果から見直しを提言。北九州市を含む都市部で月額1万7930円が上乗せされていた老齢加算は04年度に同9670円、05年度に同3760円と段階的に減らされ、06年度に廃止された。
 福岡地裁では、在宅医療に携わる医師や高齢受給者の生活支援に当たってきたNPO法人職員らへの証人尋問、原告4人の本人尋問があった。
 この日、福岡地裁は「老齢加算の廃止に著しく不合理な点は認められず、改定は違憲、違法とは言えない」と指摘した。
 原告側は、70歳以上の高齢受給者には、足腰が弱ったことによるタクシー利用料など、加齢に伴う新たな需要があると主張。貧困状態の高齢受給者は健康被害を受ける危険性が高いなどとして、「『健康で文化的な最低限度』以下の生活を強いる老齢加算の廃止には理由がなく、違法だ」と訴えていた。
 市側は、高齢受給者に一定の医療扶助制度が保障されていると指摘。「老齢加算に相当する特別な需要はなく、厚労相の裁量権の逸脱も認めがたい」と反論。「減額、廃止後の生活も健康で文化的な最低限度の生活を満たしている」として、請求棄却を求めていた。

はしか免疫ない乳児4割、10年で4倍 母も持たず indexへ

 はしかへの抵抗力のない乳児(6カ月未満)の割合がこの10年で4倍の約4割に増えたことが、国立感染症研究所の調査でわかった。免疫のない母親が増えたためとみられる。はしかによる死亡は0〜1歳児が多いが、0歳児は生ワクチンの接種ができない。専門家は、1歳以上ヘの予防接種を徹底して流行を防ぐよう呼びかけている。
 乳児は生まれてから半年前後、母親から受け継いだ免疫で、はしかなどの病気から守られている。免疫力の元になる母親の抗体は、胎盤を通して移る。1歳までに母親の抗体はほぼなくなり、自分の免疫で身を守るようになる。だが、母親が免疫を持たない病気には乳児も最初から免疫がない。
 感染研が0歳児のはしかに対する免疫保有状況を調べたところ、6カ月未満児で抗体がなかったのは08年度が約4割に上り、97年度の約1割の4倍に増えていた。08年度の6、7カ月児で抗体のない割合は74%、8、9カ月児では85%と月齢とともにさらに増えていた。
 はしかの定期予防接種は78年に始まり、その後、流行は減った。06年からは1歳と小学校入学前の1年間の計2回打つようになったが、若い母親の中には、はしかにかかったことがなく、予防接種も1回しか受けていないため、免疫がなかったり、弱かったりする人が増えているという。
 妊娠判明後は、胎児への影響から予防接種できない。将来、妊娠する可能性があれば、抗体がない人は、接種したほうがいいようだ。
 99〜02年、国内のはしか患者の約半数は2歳以下だった。生まれつき免疫のない乳児が増え、はしかが突然流行すれば、0歳児の死亡が増えるおそれがある。未成年のはしかの報告数は06年は516人まで減ったが、07年には3132人に増えた。
 はしかの予防接種は、弱毒化したウイルスをそのまま使う生ワクチンなので、0歳児には危険で接種できない。
 感染研の岡部信彦・感染症情報センター長は「1歳以上の児童や大人に2回接種を徹底することで、はしかの流行をなくすことが重要だ」と話している。

妊婦健診の助成、自治体で差 1人1万円〜12万円 indexへ

 出産前に14回程度受けるのが望ましいとされる妊婦健診に対する助成額が、自治体によって1人当たり1万円台〜12万円以上と大きくばらつきのあることが2日、厚生労働省の調査でわかった。妊婦健診は健康保険が適用されないため、国は妊婦健診14回分の費用として、1人当たり約11万8千円の予算を自治体に手当てしている。健診費用が助成金を上回った分は自己負担となる。
 全市区町村の平均は8万5759円。都道府県ごとの平均をみると、最も多いのが山口県(11万1127円)で、最少の大阪府(3万9813円)とは約3倍の開きが出た。
 厚労省が全国1800市区町村の4月1日現在の状況を調べた。25市区町村以外は、受診券を配布するなどして14回分以上を助成しており、平均で13.96回。
 ただ、1人当たりの助成額は開きがある。国から自治体には補助金と地方交付税で手当てされるが、地方交付税の使い道は自治体が独自に決められるためだ。
 助成額別にみると、10万円以上は156自治体(9%)で、9万円台が643自治体(36%)で最も多かった。8万円台は476自治体(26%)、7万円台は393自治体(22%)、1万〜3万円台は32自治体(2%)など。
 厚労省は標準的な検査項目を例示しているが、「そのすべての項目を実施」は42%、「血液検査の一部を実施せず」49%、「超音波検査(4回)を実施せず」35%だった。一方で、37%は国の例示にはないノンストレステストなどを実施していた。

子ども発熱外来、小児科学会「廃止を」 重病見逃す恐れ indexへ

 日本小児科学会は1日、今回の新型の豚インフルエンザへの対応のうち、小児については、感染が疑われるすべての発熱患者を最初に診る「発熱外来」を廃止するよう求める提言をまとめた。通常の季節性インフルエンザと同様に、一般の小児科での診療に改めるよう求めている。具体的な対応方法を指針にまとめ、国に要望する。
 子どもはインフルに限らず発熱しやすい。熱が出たすべての子を発熱外来で診るとすると、多くの患者が集まることになり、別の重い病気の子を見逃す恐れがあると指摘されている。
 提言は、新型、季節性の区別をなくし、通常の季節性インフルの診療態勢を維持する▽すべての小児科診療施設が新型インフルの診療に参加できるようにする▽地域ごとに新型を含むインフル疑い症例の重症度に応じて診療施設を決めるといった態勢を整備する、などとしている。
 神戸大病院発熱外来の荒川創一准教授は「今回の一番の課題は小児の扱いだった」と話す。同病院発熱外来の受診者が最も多かった日の受診者46人のうち、14歳以下が21人と半数近くを占めた。「大半が感染の可能性のない軽い風邪だったが、念のため、渡航歴に関する問診など発熱外来で実施することになっている診療をした」と説明する。
 神戸市医師会で同市西区の感染症対策を担当するさの小児科クリニックの佐野公彦院長によると、5月18日に受診した子ども118人のうち、40人が発熱していた。原因はおたふく風邪を始めとするインフル以外のウイルス性の病気など。うち1人は肺炎の疑いで総合病院に送った。
 小児の発熱は髄膜炎などが原因のこともある。髄膜炎は後遺症が残る恐れがあり、注意が必要だ。関係者によると、神戸市内のある発熱外来では、髄膜炎の子が、診てもらうまでに何十分間も待たされたという。
 小児科医不足の病院が多いため、発熱外来に小児科医をとられて小児救急が手薄になる事態も起きた。西神戸医療センターは発熱外来が忙しかった期間、小児救急の受け入れを停止した。
 日本小児科学会の野々山恵章予防接種・感染症対策理事(防衛医大教授)は「従来でも小児科は秋冬に季節性インフルの子であふれる。新型インフルが秋に再流行しても混乱しないように提言をまとめた」と話す。

大衆薬、コンビニ販売スタート 大手スーパー値下げ加速 indexへ

 改正薬事法が1日施行され、薬剤師の代わりに新設の「登録販売者」を置けば風邪薬などの大衆薬をコンビニエンスストアなどで販売できるようになった。早速、セブン―イレブンとサンクスには、「1号店」が登場。競争激化を見込み、大手スーパーは値下げに動き出した。
 セブン―イレブン麹町駅前店(東京都千代田区)には1日午前3時から、入り口正面に風邪薬や頭痛薬などの医薬品97品目が並んだ。薬剤師がいる約20店舗で時間を区切って販売していたが、4人の登録販売者を配置し、24時間通して販売する。サンクス田町東口店(同港区)も同日から、時間を区切って風邪薬や胃腸薬約200種類を販売。レジ近くに相談コーナーも。
 薬剤師を置いて販売してきた大手スーパーでは、人件費が安くてすむ登録販売者を増やして売り場を増やすだけでなく、医薬品の値下げも加速させている。イオンは本州と四国にある「ジャスコ」と「マックスバリュ」の計約300店で、1日から胃腸薬や目薬など約300品目を1〜2割程度引き下げた。割安な自主企画(PB)の医薬品を11年度までに現在の1.6倍の300品目に広げ、価格も薬品大手の商品より最大4割安くするという。
 イトーヨーカ堂は、全国112店で風邪薬や整腸薬など約200品目を30日までの1カ月間、値下げする。調剤最大手のアインファーマシーズと新会社を1日付で設立し、セブン―イレブンと調剤薬局の共同出店も進める。
 家電量販店のヤマダ電機やコジマも、登録販売者を増やして、医薬品を取り扱う店を広げていく方針。こうした動きに「本家」のドラッグストアは、マツモトキヨシが24時間を含む長時間営業の店舗やPB商品の拡充で対抗する。

無許可で医薬品成分入り保湿クリーム販売容疑 業者逮捕 indexへ

 無許可で効能をうたった医薬品成分のクリームを販売したとして、福井県警は29日、福井県鯖江市の化粧品製造販売会社「ピュアライン」の取締役山本清美(49)、同社員岡田芳浩(45)の両容疑者を薬事法違反(医薬品無許可販売)の疑いで逮捕したと発表した。岡田容疑者は認めているが、山本容疑者は否認しているという。
 県警の発表によると、両容疑者は共謀し07年3月〜08年2月、大阪、愛知など6府県の計6人に、国と福井県の許可を受けていないステロイド剤入りの保湿クリーム「ゆずりん」計10個(計約8万1千円相当)を販売した疑いがある。
 県の調査では「ゆずりん」は06年11月〜08年3月に全国で約1万5千個出荷された。県は08年3月に自主回収を命じた。ステロイド剤には皮膚炎などの副作用を及ぼす成分が含まれ、実際に同商品を使った数人に皮膚炎などの被害が出ているという。

「診療報酬の抜本見直しを」医師偏在の緩和へ財務省要請 indexへ

 財務省は厚生労働省に対し、医師の偏在を解消するため診療報酬制度の見直しを促す方針だ。勤務医と開業医との待遇格差を縮め、労働条件の厳しさから特定の診療科や大都市への医師の集中に歯止めをかける狙いだ。
 診療報酬の見直しは財務相の諮問機関の財政制度等審議会でも検討、財務相に来月提出する建議(意見書)に盛り込む。財務省は、10年度予算の基本指針となる「骨太の方針09」に反映させて政府方針に格上げしたい考えだ。
 財務省によると、医師の数は96年からの10年間で約23万人から26万4千人に14%増えた。だが、診療科別では、精神科が20%、整形外科が15%それぞれ増えた一方、産婦人科は10.6%、外科は7.7%それぞれ減った。地域別に見ても偏在は加速。埼玉県や千葉県では同じ10年間で20%以上増えたが、青森県や愛媛県の増加は6%以下だ。
 財務省は、診療内容が同じでも勤務医より開業医の報酬が高く設定されている現行の制度を問題視。開業医の平均年収は勤務医より1.8倍以上高く、勤務医をやめて開業医を目指す医師も増えているという。特に救急医療に追われる拠点病院の医師不足が深刻で、患者の「たらい回し」の一因にもなっている。
 診療報酬は2年ごとに見直される。財務省は次の改定がある10年度の予算を通じて待遇格差を縮めることを厚労省に促す。ただ、開業医の報酬を引き下げれば、報酬の配分を決める中央社会保険医療協議会などの反発は必至。日本医師会は自民党の有力支持母体でもあるため党内の抵抗も予想され、実現するかは不透明だ。

耳鼻科患者の膝に下半身押し付けた容疑 医師は容疑否認 indexへ

 診察中の患者のひざに下半身を押しつけたとして、福岡県警は28日、福岡市南区長住4丁目、医師篠隈淳容疑者(41)を準強制わいせつ容疑で逮捕したと発表した。「何かの勘違いでは」と容疑を否認しているという。
 早良署の発表によると、篠隈容疑者は08年7月16日午前、同市早良区内の病院診察室内で、リクライニング式のいすに座っていた同市在住の無職女性(21)のひざに露出した下半身を押しつけた疑いが持たれている。
 同署によると、女性はのどの治療のため、病院の耳鼻(じび)咽喉(いんこう)科を訪れていたという。

骨盤にガーゼ24年、腫瘤摘出で判明 岐阜医療センター indexへ

 岐阜県は27日、県総合医療センター(岐阜市、渡辺佐知郎院長)で84年に子宮摘出手術を受けた現在60代の女性患者の体内にガーゼを置き忘れ、昨年9月に除去するまで24年間にわたり、そのままになっていたと発表した。
 県によると、女性は昨年6月に民間病院で股関節炎の検査を受けた際、骨盤内に腫瘤(しゅりゅう)が見つかった。摘出して調べると、直径約15センチの腫瘤から直径約10センチの球状になったガーゼが見つかった。30センチ四方のガーゼ1枚分に相当するという。
 県が女性の過去3度の手術歴を調べ、カルテなどから、84年8月の同センター(当時は県立岐阜病院)での手術で置き忘れた可能性が高いと判断した。今年1月に女性に謝罪し、慰謝料などの示談交渉中という。
 記者会見した渡辺院長は「置き忘れたガーゼにより腫瘤ができたのは明らか。大変申し訳ない。再発防止へ努力していきたい」と話した。

薬ネット通販規制、2社が取り消し求め国を提訴 indexへ

 6月から規制が始まる一般用医薬品(大衆薬)の通信販売について、「憲法が定める営業の自由の侵害」などとしてインターネット販売業者2社が25日、国にネット販売の権利の確認や薬事法の省令の取り消しなどを求める訴えを東京地裁に起こした。
 提訴したのは店舗とネットの両方で医薬品を販売するケンコーコムとウェルネット。
 厚生労働省は6月施行の改正薬事法と新しい省令で、大衆薬を副作用リスクに応じて三つに分類。副作用リスクが最も低い第3類しかネットで販売できず、胃腸薬や風邪薬、鎮痛剤などの第1類と第2類は薬剤師らによる店頭での対面販売を原則とした。
 2社は、「薬事法で医薬品のネット販売は禁止されておらず、情報提供の自主ルールも作っているのに、新しい省令で販売自体を禁止するのは憲法22条の『職業選択の自由』に反する」と主張。
 省令で禁止するのは「法律の委任の範囲を超えており、形式的にも違法」と訴えている。同様に規制反対の楽天も訴訟を検討中だという。
 厚労省は提訴について「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。

出産費用、平均42万円 最高は東京、最低は熊本 indexへ

 全国の病院と診療所における出産費用の平均額は約42万4千円であることが、厚生労働省の研究班(代表者=可世木成明・日本産婦人科医会理事)の調査で分かった。都道府県別の平均額は最高の東京(約51万5千円)と最低の熊本(約34万6千円)で1.5倍の差があった。
 1月に分娩(ぶんべん)を扱う全国の病院と診療所2886施設を対象にアンケートを実施し、1707施設が回答。出産時の入院期間は平均6.28日。「出産は病気ではない」との理由から出産費用は健康保険が適用されず、各施設が独自に決める。最高は81万円、最低は21万円だった。
 研究班によると、住民1人当たりの年間所得が高い都道府県は出産費用の平均額も高く、「地域の経済状況が強く影響している」ことが分かった。また、公立病院の出産費用がその他の病院の費用設定に影響を与えていた。公立病院は自治体の助成で低額に抑えられており、研究班は「近隣施設の経営状況を圧迫している可能性が高い」と分析している。
 健康保険では、加入者の出産時に子ども1人につき一律38万円の「出産育児一時金」が支給される。国の補助金投入などで今年10月から11年3月までは、42万円に引き上げられる。

「マスクで予防」過信は禁物 ウイルス、髪や服にも indexへ

 インフルエンザは、感染した人がくしゃみなどをした際に飛ぶしぶき(飛沫(ひまつ))を周囲の人が吸い込むことで感染していく、とされる。
 外岡(とのおか)立人・元北海道小樽市保健所長はマスクについて、「着ければ安全、と期待しすぎないほうがいい」。ウイルスを含んだ他人の飛沫が口から入るのを防ぐことができても、髪や衣服などに飛び散っている可能性もある。衣服などに付着したウイルスに触った手を口に運べば、そこから感染することもある。
 北里大学の和田耕治助教(公衆衛生学)らの実験によると、季節性インフルのウイルスは、不織布製マスクの表面上で8時間、感染力を持った状態が続いていたという。
 国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長も、症状があったり、感染した人と濃厚に接触したりした人が、周囲に感染を広げないために着ける場合に意味があると指摘する。
 欧米、日本でも共通してあげられているのは「せきエチケット」。せきやくしゃみをする際はティッシュで鼻と口を覆い、使用したティッシュはすぐにごみ箱へ。そしてすぐに手を洗ってウイルスを洗い流す。英国政府は「自分を守るとともに周囲に広がりを防ぐため」と説明する。
 外岡さんは「日本では自分をどう守るかということが強調されがちだが、欧米では感染源にならないためにはどうするか、というほうに比重が置かれている」と話す。
 日本政府が今年2月につくったガイドラインでは、市区町村は住民らにマスク着用を勧めることになっている。
 ただ、政府の対策本部専門家諮問委員会が、神戸市の高校生らの新型インフル感染が確認された16日に出した「基本的対処方針」では、人込みでのマスクの着用を勧める一方、「屋外では相当な人込みでない限り、着用する意味はない」と詳しく説明した。
 英国政府が一般市民向けにつくったパンフレットでは、マスクについて「感染を防ぐという科学的根拠はない」と明記。世界保健機関(WHO)はマスク着用を医療関係者に勧めるが、市民には「口と鼻を触るのを控える」「人ごみを避ける」といった対策のほうがマスクよりも重要かも知れないと呼びかける。

心臓ペースメーカーに不具合、回収 日本メドトロニック indexへ

 心臓ペースメーカーに不具合があったとして、医療機器輸入販売会社「日本メドトロニック」(東京都港区)が19日、全国の医療機関に01〜05年に出荷した2機種「カッパ」「シグマ」計5970個の自主回収を始めたと発表した。
 同社によると、ペースメーカー内の部品とアルミ導線の接着がはずれ、誤作動を起こす恐れがある。国内では、ペースメーカー利用者が失神やめまいを起こすなどの事例が56件見つかっているという。問い合わせは同社(0120・911・381)。

医師、職員ら44人が食中毒症状 神戸の民間病院 indexへ

 神戸市保健所は14日、神戸市東灘区の民間病院「甲南病院」の医師ら44人が下痢などの食中毒症状を訴え、24人からノロウイルスが検出されたと発表した。全員が快方に向かっているという。患者に症状がなく、市保健所は食品会社運営の従業員食堂で出された食事が原因と断定。食品衛生法に基づき食堂を14日から3日間の営業停止処分とした。
 市保健所によると、44人は20〜62歳の医師、看護師、職員。7、8両日に玉子丼などの昼食を取り、8〜11日に症状を訴えた。同病院には約430人が勤めており、診療に影響は出ていないという。

薬の通販規制、離島や継続使用者は2年間猶予 厚労省案 indexへ

 一般用医薬品(大衆薬)の通信販売規制が6月に始まるのを前に、厚生労働省は11日、薬局などがない離島に住む人と、5月まで特定の薬を継続利用していた人に限り、規制後も2年間は通販を利用し続けられる、とした経過措置案を明らかにした。一般から意見を聴いた上で、省令を改正し、6月からの施行をめざすとしている。
 この日の専門家による検討会で示された案によると、離島の住民については、薬剤師らが電話などでの情報提供に努めることや販売記録の保存を条件に通信販売を認める。
 薬局で製造している漢方薬、胃腸薬など特定の薬を今月までに購入して、継続して使う人に対しては、同じ薬に限って、その店での通信販売を認める。ともに、都道府県への届け出が義務づけられる。
 厚労省は、通信販売以外で薬の入手が難しい人への救済策だと説明している。しかし、検討会で、ネットや通販の事業者は「離島が良くて、山間地などの過疎地の住民や、共働きで薬を買う時間がない人たちがダメな理由が分からない」(楽天の三木谷浩史社長)と強く反発した。
 一方、厳格な規制を求める薬害被害者団体や薬剤師会、配置薬業界からも「経過措置が拡大解釈される恐れがある」などと経過措置案に反対する声が上がった。ただ、「最終的には、行政の責任で対応すべきだ」(井村伸正座長)とされた。
 厚労省は12日にも一般から意見を募る手続きを進め、再び検討会で議論した上で、月内にも省令を一部改正し、経過措置案を盛り込む考えだ。

抗うつ薬パキシルなど「攻撃性」注意喚起 厚労省審議会 indexへ

 抗うつ薬「パキシル」などSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)の副作用が疑われる症例が相次いだ問題で、厚生労働省薬事・食品衛生審議会の部会は8日、服用により他人への攻撃性が増したり、激高したりする場合があることを添付文書に盛り込み、医師や患者に注意喚起することを決めた。
 対象は4種類の成分で、製品名ではパキシルやルボックス、デプロメール、ジェイゾロフト、トレドミンなど。このうちパキシルは、国内のSSRI市場の約半分を占め、00年の発売以後、推定100万人超が使用した。
 厚労省などには今春までに、攻撃性などの副作用報告が268件あった。うち実際に他傷行為などに至ったのは35件。分析すると、4件で服用が行為につながる可能性を否定できず、残りは、他の病気によるものか副作用のためか区別できなかった。部会に参考人として参加した樋口輝彦・国立精神・神経センター総長は「典型的なうつ病以外での処方で、攻撃性を示す例が多い印象だ」という。
 日本うつ病学会も、患者や医師に適正使用を呼びかける委員会を新設することを決めた。

発熱患者への診察拒否「医師法違反」と舛添厚労相 indexへ

 新型の豚インフルエンザを巡り、発熱などの症状がある患者が医療機関から診療を拒まれた事例が相次いでいるのを受け、舛添厚生労働相は6日、同省幹部の会議で、「(診察拒否について)医師法違反になる」との見方を示し、適切な対応を取るよう指示した。
 東京都によると、都の発熱相談センターに寄せられた診察拒否の事例は2〜5日昼の間に92件。最近海外に渡航していないのに、診察を拒まれた例が半数を超えているという。
 この日の会議で、舛添厚労相は「海外渡航もしていない方々まで拒否するのは行き過ぎで医師法違反になる。医師の社会的責任できちんと対応して頂きたい」と話し、同様の事例への指導を指示した。

新型インフル 確認された死者・感染者数(1時現在) indexへ

 新型インフルエンザと確認された死者・感染者の確認状況(17の国・地域)は次の通り。
国・地域名   感染者   死者
メキシコ   397人   16人
(疑い例を含めると感染者2500人、死者101人)
米国      160人    1人
カナダ       51人
スペイン      15人
英国        15人
ドイツ       5人
ニュージーランド  4人
イスラエル     3人
コスタリカ、フランス
         各2人
韓国、香港、オーストリア、スイス、オランダ、デンマーク、イタリア  各1人
【疑い例が報じられた国】
オーストラリア、アルゼンチン、コロンビア、ベネズエラ、ブラジル、ペルーなど
(3日午前1時現在、ロイター通信などによる)

横田基地の米国籍乳児、新型インフルではないと判明 indexへ

 新型インフルエンザ感染の疑いがあり、米軍横田基地(東京都福生市など)内で隔離されていた米国籍の乳児(4カ月)について、国立感染研究所の調査で、季節性のAソ連型で、新型の豚インフルエンザではないことが3日、わかった。政府筋が明らかにした。
 外務省などによると、乳児は1日、母親らとともに米シアトル発の米軍チャーター機で横田基地に到着。機内で発熱などの症状があったため、簡易検査をしたところ、新型が含まれるA型インフルの陽性反応が出た。米軍が検体を米疾病対策センター(CDC)に送るとともに、感染研が協力する形で調べていた。

弱毒型でも脅威減らず 新型インフル「フェーズ5」 indexへ

 世界保健機関(WHO)が警戒レベル「フェーズ5」を宣言し、新型の豚インフルエンザのパンデミック(世界的流行)懸念が高まった。このウイルスは弱毒型と見られると、国立感染症研究所の田代真人インフルエンザウイルス研究センター長が28日明らかにした。
 今後のウイルスの変化は予断を許さないが、かつて世界中で数千万人が死んだスペイン風邪のような事態は避けられる可能性が出てきた。しかし、これで安心することは決してできない。パンデミックの恐ろしさは、死者の多発に限らない。
 WHO西太平洋地域事務局の葛西健(たけし)感染症対策官は「世界中で同時に患者が多発する。これがパンデミックの真の脅威だ」と話す。
 患者が多数出ると、大震災時などと同様、医療資源が極端に不足する。また、入院不要の軽症でも、1週間程度は仕事や家事ができない。学校閉鎖は感染封じ込めには有効だが、子らに対応するため、健康な大人も仕事を休まなくてはならない。これらは、社会機能をまひさせてしまう。
 軽症者の爆発的発生は、このような社会の混乱を世界中で引き起こす。パンデミックは「経済災害」であり、弱毒型でも脅威が減ったわけではない。国内へのウイルス流入や感染の広がりを抑える対策をゆるめてはならない。
スイスでも感染者確認 新型インフルエンザ indexへ

 【ジュネーブ=南島信也】スイス保健省は30日、同国内で新型の豚インフルエンザ感染者を確認したと認めた。スイスで感染者が確認されたのは初めて。ロイター通信によると、検査を受けた患者から陽性反応が出た。現地報道は、陽性反応が出たのはバーデンに住む男性だと伝えている。

鼻粘膜ぬぐい検査 豚インフルの診断手順公表 厚労省 indexへ

 厚生労働省は29日、新型の豚インフルエンザについて、当面の診断手順を公表した。感染が疑われる場合、強制的に隔離したり、自宅待機などを求めたりするかどうかについての判断基準になる。
 発熱やせきなどの症状の有無が、最初のポイントだ。
 症状があれば、鼻の粘膜などをぬぐって調べる「簡易検査キット」で、豚インフルが含まれるA型グループかどうかをみる。数分〜30分程度で結果がわかる。
 A型陽性ならばPCR法という遺伝子検査で、ウイルスが同じA型に入る既存の香港型でないかをみる。最短で半日程度で香港型でないという結果が出ると、豚インフルの疑いが残るため、法に基づき、指定医療機関に隔離される。最終的にはウイルスを詳しく調べて豚インフルかどうかを確定する。
 空港検疫で本人が隔離された場合は、その人の家族や飛行機で長時間隣り合わせた人なども、空港周辺の宿泊施設に足止めされる。
 最初の簡易検査で陰性と出ても、医師が診て疑わしい場合は詳しい検査を求められることがある。簡易検査でB型陽性ならば、豚インフルの疑いはなく、行動制限もない。
 日本への帰国・入国時に熱やせきなどの症状がある人は検査でひっかからなくても、連絡先を伝え、一定期間、健康観察を受ける必要がある。

使いまわし医療器具で患者大やけど、両足切断 北海道 indexへ

 北海道立北見病院(北見市)は28日、腹部大動脈瘤(りゅう)で手術中の80代の男性に長時間温風を当て続け、両足に大やけどを負わせる手術ミスがあったと発表した。男性は両足切断を余儀なくされ、現在、車いすでのリハビリ生活を強いられているという。補償については今後検討するという。
 同病院によると、男性は1月14日に手術を受けた。手術中、体温を保持するために温風式の加温装置を使用。ブランケットと呼ばれる袋状の部分に温風を送ったが、つなぎ目が破損していたため、温風器の管がはずれ、男性は両足に約4時間、直接温風を受け続けて重度の低温やけどを負ったという。
 手術に立ち会った看護師は術前、温風器の管とブランケットのつなぎ目の破損を確認したが、「ひどい状態ではないので、そのまま使える」と判断して使用したという。
 看護師が異変に気づき、患部を冷やすなどの措置をとったが、男性は重度の低温やけどを負い、1月23日にほかの病院で手術を受け、両足切断を余儀なくされたという。
 メーカーの取り扱い説明書ではブランケットは「原則1回使用」とされていたが、同病院では慣習的に再利用しており、今回は3回目の使用だったという。
 一色学・病院長は「心からおわび申し上げます。今後、事故を繰り返さないよう万全の注意をしていきます」と話した。
 同病院は慢性的な赤字経営が続き、07年度は約5億8千万円の赤字。道の道立病院管理局は、道内8道立病院に、「原則1回使用」の医療用具の再利用禁止を指示した。

「PL教団理事長が不正指示」診療所側が会見 indexへ

 「PL大阪健康管理センター」(大阪市中央区)が約20年間、人間ドックの受診者に血液検査の一部で架空データを通知していた問題で、同センターは28日、不正を指示したのは当時のセンター所長で、現在は設立母体のPL教団(大阪府富田林市)の運営トップにある清島啓治郎理事長(74)であることを明らかにした。架空データを算出するコンピューターソフトもつくらせたとされ、センター側は損害賠償など法的措置も検討している。
 センター側がこの日、大阪市内で記者会見を開いた。架空通知を受けた受診者は約3万人で、通知回数は延べ約20万回に上るという。対象となったのは、一般に「善玉コレステロール」と言われる「HDLコレステロール」の検査結果。問題発覚後、「費用を返せ」との苦情が相次いでいるという。
 会見によると、清島氏は84年5月、「コレステロール値の検査は時間がかかる」との理由で、情報処理の担当者に不正を指示。2回目以降の受診者には、前回検査の値に「1」を加えただけの結果を自動的に算出するコンピューターソフトを開発させ、04年8月まで不正を続けたという。
 清島氏はセンターを統括する「医療法人宝生(ほうしょう)会」の理事でもあったが、27日付で解任された。PL教団の広報担当者は、「この問題について一切コメントできない」としている。

薬通信販売、離島は一定期間利用可に 厚労省方針 indexへ

 6月から実施される一般用医薬品(大衆薬)の通信販売規制について、厚生労働省は28日、離島に住む人たちなどは一定期間、通信販売を利用し続けられるような経過措置を検討する考えを示した。5月中に薬事法の省令改正案をまとめる予定だ。
 規制のあり方を議論する関係者らの検討会で明らかにした。経過措置の対象は、以前から特定の薬を継続使用していたり、薬局のない離島に住んでいたりして、通信販売以外に薬の入手が難しい場合を想定している。
 この日の検討会では、「安全が確保されない」として規制の完全実施を求める薬害被害者らと、「規制は消費者の利益を損なう」とするネット事業者らの主張が対立。座長の井村伸正・北里大名誉教授は「結論をまとめるのは不可能」と述べ、厚労省にげたを預けた。
 そこで厚労省が経過措置の骨子案を説明したが、これに対しても規制推進・反対の双方から異論が相次いだ。5月に再び開く検討会での議論を踏まえ、省令改正の最終案を固める。

豚インフル、警戒レベルをフェーズ4に引き上げ WHO indexへ

 【ジュネーブ=南島信也】世界保健機関(WHO)は27日夕、豚インフルエンザに対する警戒レベルをこれまでの「フェーズ3」から「フェーズ4」に引き上げることを決めた。メキシコや米国を始めとする世界各地での急速な感染拡大を受け、人から人への感染が増加する段階になったことを初めて認めるものだ。
 マーガレット・チャン事務局長は委員会終了後、声明を出し、「引き上げは世界的大流行(パンデミック)を引き起こす可能性が増したことを示している。だが、それが不可避ということではない」と強調。「ウイルスの広がりを考えると、発生を封じ込めるのは不可能だと考える。いかに抑えていくかに焦点を当てるべきだ」とし、被害拡大の防止に全力を尽くすべきだとの考えを示した。
 声明はまた「国境封鎖や渡航制限を行わないよう勧告する」とし、「季節性インフルエンザ用のワクチンの製造を続ける段階だ」と強調した。
 WHOのケイジ・フクダ事務局長補は委員会終了後、記者会見し、警戒レベル引き上げの理由について、疫学上のデータとウイルスの毒性など「純粋に専門的見地から決定した」と説明。1段階の引き上げにとどまったことについてフクダ氏は「地域社会レベルでの持続的な感染拡大が広がっている証拠を確認できなかったため」とした。ただ、警戒レベルの一層の引き上げについては「状況次第で引き上げる可能性もあるし、戻すかもしれない」と含みを持たせた。
 WHOは被害が拡大しているメキシコなどに対して、感染拡大の防止策と監視体制の強化などを求めるとともに、まだ感染報告のない国々についても、パンデミックに対する準備やワクチンの備蓄などを呼びかける。
 WHOは当初、28日に2度目の緊急委員会を開く予定だったが、感染の広がりを受けて27日夕に前倒しで開いた。

豚インフル WHO、緊急委を前倒し 欧州でも感染確認 indexへ

 【パリ=飯竹恒一、ブリュッセル=井田香奈子】世界保健機関(WHO)は27日午後4時(日本時間同11時)過ぎから、豚インフルエンザに関する緊急委員会をジュネーブで再び開いた。スペインで同日、欧州初の感染者1人を確認。感染がメキシコ、米国、カナダを含む4カ国に広がった情勢を踏まえ、警告レベルを現在のフェーズ3から4以上に引き上げるかどうかを協議している。
 当初は28日開催の予定だったが、WHO筋は「世界各地で感染の広がりが確認され、28日まで待つことはできない事態、との判断があった」と語った。25日の前回の緊急委では「国際的に懸念される緊急事態」として各国に警戒を呼びかけたが、「人から人への感染が増加」を示すフェーズ4に警告レベルを引き上げる決定は先送りしていた。
 しかし27日、メキシコで豚インフルエンザの疑いのある死者が149人に拡大。WHOの発表によると、感染が確認された人も米国で40人に増え、カナダでも初めて6人を確認。さらにスペインでも27日、1人が確認されて感染が欧州に拡大した。AFP通信によると、メキシコに最近滞在した男性(23)という。スペインでは感染の疑いがある例も20人に上る。
 また、WHOは米政府が新ワクチン製造に着手したことを明らかにした。
 WHOのケイジ・フクダ事務局長補は26日、フェーズ4への引き上げが決まった場合には「世界に向けて問題の重大性を示すサインとなる。各国で大きな反応を招くだろう」と述べた。
 一方、ルクセンブルクで27日に開かれた欧州連合(EU)外相理事会は感染拡大を警戒し、30日に加盟国の保健相による緊急理事会を開いて対応を協議することを決めた。バシリュー欧州委員(保健担当)は「個人的意見」としながらも「感染が確認された地域を、特に必要がないのに訪れることは避けてほしい」と述べた。30日に渡航制限の適否を協議する。また抗ウイルス薬の備蓄状況や、予防ワクチンを早急に製造する態勢についても検討する。

豚インフル 厚労省、新ワクチンの製造検討 indexへ

 厚生労働省は27日、国内で豚インフルエンザウイルスに感染することを予防する対策の一つとして、新たなワクチンを製造する検討を始めた。製造には少なくとも数カ月かかるとみられる。国内でのインフルエンザワクチンの製造能力には限界があり、新たなワクチン製造となれば、従来の季節性インフルエンザの供給に影響が出そうだ。
 同省によれば、新たなワクチンは、海外から種ワクチンのウイルス株を入手してつくる必要がある。専門家が今冬に流行する型を予測し、それに基づいて国内メーカーが製造準備を始めているが、原材料のウイルスを増やすために必要な鶏卵の確保や製造ラインの都合から、従来の季節性インフルエンザのワクチンづくりを縮小するか、中断することになる。
 現時点では国内の製造能力の目安は年間2500万本分。製造ラインは限られており、どの段階でどう切り替えれば、それぞれのワクチンがどれくらい確保できるか、ほかの量産方法がないかなどを「危機管理の一環として、シミュレーションをしている」(同省)という。
 ただ、製造方法を変える場合は1年以上かかる見通し。現時点では原因となるウイルスを入手できておらず、どんな製造方法がいいのか、どれくらいの効果があるのかは未知数だ。従来のワクチンが不足する可能性もあり、同省の担当者は「バランスが難しい」と話す。
 舛添厚労相は新ワクチンづくりについて、「季節性を一時中断してでも優先する」と強調したが、「まだこのウイルスがパンデミック(世界的大流行)を引き起こすか分からない。(新ワクチンだけをつくるとすれば)唐突だ」(外岡立人・元北海道小樽市保健所長)との見方もある。
 一方、同省は27日、メキシコから到着する航空機内に検疫官らが乗り込み、乗客・乗員全員の健康状態を確認する検疫を実施することを決めた。29日に成田空港に到着する便から始める。着陸後に検疫官が乗り込み、乗客らの体温を携帯型のサーモグラフィーで検査。発熱や体調不良の訴えがあれば症状を確認する。質問票に連絡先を書いてもらい、10日間、電話などで健康状態を確認する。

スペインで豚インフル感染者確認 欧州で初 indexへ

 【パリ=飯竹恒一】スペイン保健省は27日、欧州初となる豚インフルエンザの感染者1人を同国内で確認したと発表した。AFP通信によると、メキシコに最近滞在した男性(23)。感染の疑いがある事例は20人に上っている。

NZの高校生10人、インフルエンザ陽性 メキシコ帰り indexへ

 【シンガポール=塚本和人】ニュージーランドからの報道によると、同国のライオール保健相は26日、メキシコから帰国した高校生10人がインフルエンザ検査で陽性反応を示し、豚インフルエンザに感染した疑いがあるとの見方を示した。
 ライオール氏は「検査の結果、10人からインフルエンザA型の陽性反応が出た」と述べた。ほとんどの患者が回復の途上にあるといい、深刻な症状は出ていないとしている。検体を隣国オーストラリアのメルボルンの世界保健機関(WHO)の試験所に送り、詳しい調べを進める予定という。
 この10人はいずれもオークランドの同じ高校に通っており、25日、3週間のメキシコ旅行から米ロサンゼルス経由で帰国したばかりだった。語学研修の旅行で、教師3人も引率していた。

「安心安全の確保に万全を」首相が指示 豚インフル indexへ

 麻生首相は26日、米国とメキシコで感染が確認された豚インフルエンザの状況について伊藤哲朗内閣危機管理監から報告を受け、(1)情報収集及び国民への情報提供を的確に行い、水際対策を徹底し、国民の安心安全の確保に万全を尽くす(2)国際的な連携を密にして各省庁が一体となって諸対策にあたる――との指示を出した。
 伊藤氏は首相官邸で記者団に対し、「各省庁のメンバーに(首相の指示を)伝えて、その趣旨に沿った対応をしていきたい」と語った。

豚インフル、米で拡大の恐れ 感染者、3州で計11人 indexへ

 【ワシントン=勝田敏彦、ニューヨーク=田中光】豚インフルエンザの感染が米各地に広がってきた。米疾病対策センター(CDC)がカンザス州とカリフォルニア州で感染者を新たに3人確認し、感染者は3州で計11人になった。また、ニューヨーク市では感染の疑いがある生徒が8人いることが25日わかった。ニューヨークの症例も感染が確認されれば、全米の感染者は4州、計19人になる。
 AP通信によると、カンザス州の感染者は、州中央部に住む夫婦。報道によると、夫が最近、仕事でメキシコに出張して戻ってきたところ体調を崩し、その後、妻の体調も悪くなった。症状は軽いが、2人から採取した検体を調べたところ、豚インフルエンザウイルスであることが判明した。
 またメキシコ国境に近いカリフォルニア州南部でも、35歳の女性が感染していることが新たにわかった。この女性も症状は軽く、回復している。
 一方、ニューヨーク市の保健当局によると、東部クイーンズ地区の私立高校の生徒約100人が、インフルエンザに似た症状を訴え、市が生徒9人を対象に簡易検査を行ったところ、8人からA型インフルエンザウイルスが検出された。いずれもこれまでわかっているヒト型と違うタイプで、市は豚インフルエンザの可能性があるとみている。
 市や高校などによると、生徒たちは23日ごろから、発熱やのどの痛みなど始めた。いずれも症状は軽く、入院している生徒はいないが、学校側は、感染の広がりを防ぐため、週末の予定をすべて中止した。生徒らの中には、家族に感染が広がっているケースも確認されている。ニューヨーク・タイムズ紙によると、生徒の一部が最近、メキシコに旅行していたという。
 市は今後、検体をCDCに送り、ウイルスのタイプを確認したうえで、市内の学校を休校にするかどうかなどを判断する。
 米国での感染者または感染の疑いがある人はいずれも、豚と接触した形跡がなく、「人から人」感染が起きた可能性が高い。

メキシコの死者は81人か 豚インフル indexへ

 ロイター通信などによると、メキシコのコルドバ保健相は25日(日本時間26日朝)、同国内での豚インフルエンザによると疑われる死者は81人に増えたと発表した。感染者は1300人以上となったという。

食品会社は情報収集、空港は水際予防 豚インフル対応 indexへ

 メキシコの豚インフルエンザ問題で、国内でも25日、関係者らが水際での予防や情報の収集に奔走した。
 成田空港では同日夕方、メキシコ市発の日本航空機が着くと、到着ゲート付近に体温を測るサーモグラフィーの装置を置き、乗客全員を調べた。メキシコから帰省した会社員の男性(50)は「豚インフルエンザの発生は全然知らなかった」。日本に着く1時間前に客室乗務員から説明があったといい、「こんな大変なことになっているとは思いもしなかった」と話した。
 メキシコ産豚肉を扱う商社や食品メーカーでは、社員が休日出勤して対応を急いだ。ある食品商社の担当者は「情報が少なく、全体像がつかめない」といらだつ。
 豚肉は、メキシコの対日輸出農産物の最大品目で、日本で消費される豚肉の約3%がメキシコ産だ。今回の問題は伸びていた消費に水を差しかねず、別の食品商社は「肉の品質は安全でも、風評被害が起きないか心配だ」と話した。

医師になった僧侶 「人生完成させる」手助けに indexへ

 医師は人の体を診る。僧侶は「いのち」を見つめる。その両方ができれば、病む人の苦悩を丸ごと受け止められるのではないか。ならば、と禅僧の対本宗訓(つしもと・そうくん)さん(54)は医師になった。みずからを「僧医」と呼ぶ。その目には何が見えてきたのだろう。
 東京・浅草近くの小さな内科クリニック。つるつるに剃(そ)った頭に白衣姿の対本さんが、超音波診断装置を指さす。「この操作が意外と難しくて……」
 医師国家試験に合格、2年間の初期臨床研修をこのほど終えた。クリニックには4月から週3日のペースで勤め始めたばかりだ。「技術はなおトレーニング中ですが、臨床ではもう独り立ち。下町のホームドクターとして、どんな病気でも拝見しなければなりません」
 かつては臨済宗の一派の管長だった。広島県にある本山は600年の歴史を誇り、38歳での最高位就任は異例だった。
 一方、胸の内では「いのちとは何か」という問いが膨らんでいた。きっかけは、父親が長い闘病生活の末に亡くなったことだ。管長になる3年前である。
 「人にはこころだけでなく、肉体という側面があります。老・病・死をめぐる苦は体と切り離しては考えられませんが、僧侶には医学の知識がない。医療現場に飛び込み、人間という存在を考えねばと思ったのです」
管長しつつ勉強
 管長の重責をこなしつつ、医学部を受験しようと決めた。禅の道場は朝4時起床。睡眠を1、2時間に削り、勉強する日がたびたびあった。
 2000年の春、帝京大学医学部に合格した。平日は東京、土日は広島という生活だ。トップみずからの行動に「伝統に安住せず、現代にどんな役割を果たせるかを一人ひとりが問い直そう」とのメッセージをこめた。しかし共感は広がらず、その秋に辞任した。
 医学部に入り、人体を冷徹に見ることを迫られた。2年生での解剖実習では、「メスを入れるのは抵抗感がありました。申し訳ありません、という気持ちです」。献体された遺体を切ったときの感触はいまも残る。
 初めて看取(みと)りを任されたのは、卒業後の臨床研修に入って3カ月目。50代半ばの男性が最期を迎えようとしていた。見守る家族はおろおろするばかり。そのとき患者が、懸命に呼吸補助装置を調整する対本さんの手をつかみ、酸素マスクの下から息たえだえに、こう言った。
 「私はなぜ、こんな思いをしなければいけないんですか」
 医療を超えた問いである。「その瞬間、頭の中で何千冊もの仏教の本のページがパラパラッとめくられた気がします。気の利いたことばは何も出てきません。現場にあるのは個別の苦悩。対応するのがいかに難しいか、痛いほど実感しました」
 そんな「逃げようのない場」では、自分を空(くう)にしなければと気づいた。「ただし軸足は定まっていて、柔軟に相手に合わせる。それには、よほどの力をつけないと」
 医師が扱う「生命」と僧侶が説く「いのち」。そのつながりを考えるうえで、忘れられない場面がある。
 まだ医学生のときのことだ。脳腫瘍(しゅよう)の手術を受けたものの、回復の見込みのない患者を受け持った。話は通じない。ただ、目で語りかけているかのようだ。その姿をじっと見つめた。
 「そうしますとね、病気という薄皮1枚の奥で、何ら欠けたところのないものが生き生きと息づいているように感じたんです。それを『いのち』とも『たましい』とも呼んでいい。病むことも傷つくこともない……。すべてをそのままで、よし、としているような神々しさを感じ取りましたね」
両方からさぐる
 そうした経験を経て、いま、何かをとらえかけている気がしているという。「感触で言えば」と、左手を伸ばしながら語る。「体を診ることによって何かをつかもうとする」。今度は右手を出す。「僧侶として、こちらからさぐろうとする」
 見えない球のようなものを両手でつかむしぐさをする。「両方からまさぐって、何かにちょっと触れているのかな、という感じでしょうか。何とも名付けようのない、この奥のところを究めたいのです」
 医師としてはもちろん、肉体の苦しさを少しでも軽くしてあげたい。しかし、こうも考える。「病や老い、死は人生の大切な契機。それに向き合うことで何かに目覚め、成長していく。そうした経験をするために、人はあえて肉体をまとってこの世に生まれてくるのではないでしょうか」
 近く緩和ケアチームのある総合病院にも勤める。がん末期の人に接し、「人生を完成させるお手伝い」をしたい。僧医としての力がいよいよ試される。

豚インフル、国内でも警戒の動き 空港などで注意喚起 indexへ

 メキシコで約60人が死亡したとされる豚インフルエンザの感染問題。ゴールデンウイークに入った国内でも、警戒する動きが広がった。
 千葉・成田空港には25日朝、メキシコ市発のアエロメヒコ航空機が到着した。厚生労働省成田空港検疫所によると、体調不良を訴えた旅行客はいなかったという。
 厚労省によると、乗員・乗客計177人のうち、40代の日本人女性1人が旅行中にかぜにかかったと訴えていたが、すでに症状が治まってから10日以上たっており、「感染の恐れはない」と判断したという。
 検疫所はメキシコからの入国者に、通常実施しているサーモグラフィーによる体温測定に加えて、健康状態に異常がないか呼びかけている。米国経由でメキシコに向かう可能性のある旅行客が乗る便ではリーフレットを配ったり、ポスターを掲示したりして注意を呼びかける。
 米国シカゴに向かう川崎市の会社員後藤浩さん(56)は「怖いですね。ただ、どうしたらいいかわからない」と不安げに話した。
 厚生労働省は25日、記者会見を開き、「メキシコからの帰国者で発熱やせきなどの症状がある場合は、検疫所に相談してほしい」と注意を呼びかけた。同日夕方までに省内に電話相談窓口(03・3501・9031)を設置、一般からの相談に応じる。メキシコや米国・カリフォルニア州への渡航者には、マスクの着用や手洗い、うがいの徹底を訴えるチラシを空港などで配る。
 一方、同省は24日夜、省内に「情報共有連絡室」を設置。都道府県の担当部署に、注意を呼びかけるメールを送った。メキシコでは3月末以降、人への感染が疑われるケースが発生したため、万が一、メキシコからの帰国者が医療機関や保健所などに異常を訴えてきた場合に備え、現地から早急にウイルスサンプルを入手し、豚インフルに対する診断方法や診療体制が構築できるのかについても検討していくという。担当者は「一般にインフルエンザの潜伏期間は7〜10日程度。それ以前に帰国して症状がない人は心配する必要はない。正しい情報に基づいた冷静な対応をお願いしたい」と話した。
 同省結核感染症課の担当者は「国内では、今回判明しているタイプの豚インフルに対応した経験はない。通常の季節性インフルエンザか、新型かは世界保健機関(WHO)が判断するが、決定までに時間がかかる場合は、国内でも独自の対応を考えていかなければならない」としている。
 一方、農林水産省も24日深夜、米国など海外から輸入された生きた豚にせきや発熱などのインフルエンザの症状が見られる場合、検査するよう全国の動物検疫所に通知した。輸入豚肉については、加工時に殺菌処理されているため検疫を強化する必要はないとしている。
 米疾病対策センター(CDC)によれば、豚インフルエンザウイルスは豚と直接接触した場合などを除き、通常は人に感染しない。また、豚肉や豚肉製品を食べてもウイルスに感染することはない。一般のウイルスと同様に加熱すれば死滅するという。
 生きた豚は昨年、アメリカからは164頭輸入されたが、品種改良や繁殖用で、食用ではない。メキシコからはなかった。農水省動物衛生課は「今のところ国内で人への感染は報告されておらず、冷静に見ている」としている。

米とメキシコのウイルス、同一の遺伝子 豚インフル indexへ

 【パリ=国末憲人】メキシコで発生した豚インフルエンザの問題で、世界保健機関(WHO)は24日、一部のウイルスが、米国の患者から見つかった豚インフルのウイルスと同一の遺伝子を持つとの調査結果を公表した。現地に専門家を派遣し、警戒を呼びかけている。メキシコ国内の死者は62人に達したという。
 通常、人に感染しにくいはずの豚インフルのウイルスが広範囲に広がったことが確認されたため、感染拡大がいっそう懸念されている。
 WHOが明らかにした発生状況によると、メキシコでインフルエンザのような病気は3月18日に最初に確認され、4月になって急増。メキシコのコルドバ保健相は24日の会見で、23日現在、首都メキシコ市でインフルエンザが疑われる例が1004件報告されたと明らかにした。肺炎が少なくとも854例報告され、そのうち59人が死亡した。WHOによると同国中部サンルイスポトシでは24例報告され、うち3人が死亡。米国国境のメヒカリでは4例が報告されたが、死者は出ていない。
 米疾病対策センター(CDC)は23日、全米で豚インフルエンザ患者が7人報告されたと発表していた。WHOによると、米国ではこのほか、新たに9例の疑わしい例が見つかっている。
 カナダの研究所が分析した結果、メキシコの例のうち18例は豚のA型インフルエンザウイルス(H1N1)と判明。さらに、12例のウイルスは米カリフォルニア州で見つかったウイルスと同一の遺伝子を持っていた。
 通常のインフルエンザはお年寄りや子どもが患う場合が多いが、今回の患者の多くは、普段健康な若者。地域的にも広がりが大きく、予測しがたい事態が起きているのでは、との強い懸念をWHOは抱いているという。
 WHOはメキシコに専門家を派遣するとともに、25日にも緊急会合を開き、対応を協議する。WHOのマーガレット・チャン事務局長は24日、滞在中の米国で米、メキシコ当局者と情報を交換した。
 ロイター通信によると、現時点で米、メキシコ両国への渡航を控える呼びかけは必要ないと、WHOはみているという。

政府、官邸に情報連絡室を設置 豚インフルエンザ indexへ

 政府はメキシコと米国で豚インフルエンザが確認されたのを受け、25日午前10時半に首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置。全省庁の課長級が同日午後、対策などを話し合う会議を開いた。

メキシコで豚インフル?60人死亡 米で人・人感染確認 indexへ

 【パリ=国末憲人、ワシントン=勝田敏彦】世界保健機関(WHO)は24日、豚インフルエンザでメキシコ国内で60人が死亡した可能性があると発表した。一方、米疾病対策センター(CDC)は同日、3月以降、カリフォルニア州とテキサス州で確認された豚インフルエンザウイルスについて、人から人に感染するウイルスであると断定した。WHOはメキシコの一部の感染者のウイルスとカリフォルニア州で確認されたものが同じ遺伝子構造だったと発表した。
 WHOの発表によると、メキシコでは人への感染が疑われるケースが3月末以降数百件発生し、60人が死亡した可能性がある。メキシコ市周辺で約800件の感染の疑いが報告され、このうち57人が死亡。さらに中部サンルイスポトシ地方でも似た症状24例が報告され、3人が死亡した。
 AFP通信によると、メキシコ政府は16人は豚インフルが原因で死亡したと確認したと発表した。
 インフルエンザで死亡する場合、一般的には肺炎などを引き起こす。患者の多くは、普段病気に縁の少ない青年層だという。ロイター通信によると、24日はメキシコ市の学校の多くが休校になる。
 AFP通信によると、メキシコ政府は感染を広げないために集会を避けたり、地下鉄の使用を避けたりするよう呼びかけている。
 米国の感染について、CDCは「ウイルスは感染性で、人から人へ拡大することを確認した」としている。ただ、「現時点では、どれほど容易に感染が広がるかはわからない」という。米国内では7人の患者が確認されているが、いずれも回復している。ただ、AFP通信によるとCDCの報道官は「非常に懸念している」と述べた。
 一方、CDCによると、豚インフルエンザウイルスに人が感染する例はまれで、米国内ではこれまで1、2年に1人の割合だった。
 だが今回、米国で見つかった豚インフルエンザウイルスは、豚と鳥と人のそれぞれに感染するウイルスの遺伝子が混じった未知の構造の遺伝子を持っており、遺伝子が変化したことで、人への感染力を持つ新型ウイルスになった可能性がある。
 厚生労働省の担当者は24日、深夜まで情報収集に追われた。担当部署の新型インフルエンザ対策室の職員は、WHOやCDCの情報をホームページで確認したり、関係機関に問い合わせたりした。

看護師2万人「過労死レベルの勤務」 時間外60時間超 indexへ

 日本看護協会は24日、全国で2万人の看護師が過労死レベルとされる月60時間以上の時間外勤務をしているとの推計を発表した。20代が最も長く、同協会は「看護師不足の中、若年層の職場離れが進まないか」と懸念している。
 大阪高裁と三田労働基準監督署が昨秋、2人の看護師を過労死認定したのを受け、病院で交代制勤務に就く看護師約1万人を対象に調査した。同協会が時間外勤務の実態を調べるのは初めて。
 調査では、60時間以上の時間外勤務をしているのは、回答者3千人余のうち2.5%。全国の病院で交代制勤務をする看護師82万人にあてはめると2万人に相当する。
 20歳代での割合が最も高く、150時間の人もいた。平均は23.4時間。だが病院側に申告したのは8.3時間で、残りはサービス残業になっている。過労死問題に詳しい川人博弁護士は「医療現場の労働環境の厳しさを示す数字。不規則な交代制勤務の人に時間外勤務をさせること自体が問題。早急な対策が必要だ」と話す。

人間ドックで架空の検査結果数万人分通知 大阪の診療所 indexへ

 企業の健康保険組合などと契約して健康診断を実施している「PL大阪健康管理センター」(大阪市中央区)が定期的な人間ドックで、84年から約20年間、いわゆる「善玉コレステロール」の値を調べるのに必要な血液検査を実施せず、架空のデータを受診者に通知していたことが同センターへの取材でわかった。架空データを報告された受診者は数万人に上るという。同センターは「受診者への背信行為があったが、現時点で健康被害は報告されていない」としている。
 不正操作は朝日新聞が入手した資料で発覚し、同センターが調査していた。
 同センターによると、人間ドックは個人や契約企業の社員を対象に実施。費用は1回約5万円で受診者は年間1万人近いという。架空のデータだったのは、血液検査の一つで、84年から人間ドックの検査項目に加えた「HDLコレステロール」。一般には善玉コレステロールと言われ、数値が低い場合は、動脈硬化の危険性が増すといわれている。
 初回の受診者に対しては実際に検査をしていたが、2回目以降は、前回検査の値に「1」を加えただけで受診者に報告していた。5回目、10回目といった5の倍数の受診回数の時だけ再び正規の検査をし、次回からまた1を加えた結果を渡していたという。
 同センターはパンフレットなどで、検査開始から医師の説明まで3時間で終了すると、迅速さを売り物にしていた。しかし、当時は、血液と試薬を混ぜ、沈殿物を採取してHDLコレステロール値を調べる「沈殿法」という手法を採用し、沈殿させるだけで約1時間かかっていた。当時の所長らはセンターの調査に対し、「一人ひとり調べていては間に合わなかった」と明かしたという。
 同センターは、04年8月以降はコンピューターで計測する方法に変更して時間も短縮され、不正操作はなくなったと説明。HDLコレステロール値について「一度測定して正常だった人は2、3年は異常を示す可能性が低い」と釈明している。橋本清保所長は「申し訳ない。徹底的に調査し、再発防止を図りたい」と話した。
 同センターはPL教団の関連施設のPL病院(大阪府富田林市)の診療所。

米で豚インフルエンザに7人感染 「人から人」可能性も indexへ

 【ワシントン=勝田敏彦】米疾病対策センター(CDC)は23日、全米で豚インフルエンザに感染した患者が7人報告されたと発表した。患者は全員回復しているが、CDCは新型インフルエンザで恐れられている「人から人へ」の感染が起きた可能性があるとしている。
 CDCによると、3月末にカリフォルニア州でまず10歳の男児と9歳の女児の感染が見つかった。豚と接触した形跡がなく、2人から分離されたウイルスは人、鳥、豚のそれぞれがかかるウイルスの遺伝子が混じったような未知の遺伝子をもっていた。このためCDCは、ウイルスが変化して人から人への感染が起きた可能性が高いとみている。
 その後、テキサス州でも感染が見つかり、患者は計7人になった。CDC幹部は同日の会見で「患者は増えると考えられる」と述べた。
 豚インフルエンザはウイルスの型が違うため、ふつう、人には感染しないが、豚と頻繁に接触すると感染することがある。ただ、豚インフルエンザウイルスの多くは弱毒で、人が感染しても、一般的に軽症ですむとされる。
 新型インフルエンザは、鳥インフルエンザウイルスが変化することで、人から人へ感染する能力を獲得し、大流行する可能性があると心配されている。

公立病院、3割が病床削減や削減検討 朝日新聞社調査 indexへ

 公立病院の3割が入院ベッドの削減を決めたり、検討したりしていることが、朝日新聞の全国アンケートで分かった。北海道では6割、東北で4割に上る。医師不足や診療報酬の抑制に伴う減収で、地域医療の中核を担ってきた公立病院の縮小が進んでいる。患者が必要な医療を受けにくくなる可能性もある。
 公立病院の経営が自治体財政を圧迫していることを背景に、総務省は今後5年間の経営改善プランを3月までに作るよう自治体に求めた。朝日新聞は3〜4月、自治体が運営する934の公立病院にプランの内容を尋ね、657病院(70%)から回答を得た。
 ベッドの削減(08年度実施を含む)を決定、検討していると答えたのは33%。削減数を具体的に答えたのは137病院で計5729床。回答した全病院のベッドの少なくとも3.4%が消える計算だ。
 北海道の病院の61%、東北の44%が減らすほか、近畿36%、四国36%、北陸・甲信越・東海28%、九州26%、中国25%、関東12%。民間医療機関が少ない小規模自治体では、公立病院の役割が大きいが、そうした地域に多い50床未満の病院の49%が、削減を決めたり、検討したりしていた。44%は診療所への転換も検討していた。
 青森県つがる市立成人病センター(92床)は、13年度に無床診療所になることが決まっている。近隣の病院との再編で、同センターが「サテライト(衛星)診療所」と位置づけられたためだ。長崎県松浦市民病院(60床)は19床の診療所になった。
 ベッドが減ると、入院患者の受け入れに支障が出る恐れがある。ベッドを置かない診療所に転換すると、医師が一人だけになったり、夜間診療に制約が出たりすることが考えられる。
 削減の理由を北海道の町立病院は「医師不足で入院患者を診ることができない」と説明。「ベッド利用率が低いため」(長野県内の病院)との声もあった。一般病床の利用率は05年度の平均80%から07年度は75%に下がっていた。
 経営面では収入減を招きかねない。一方、人件費や経費の削減につながるほか、診療報酬の算定で有利になる面もある。削減による経営への影響は病院ごとに違う。

研修医定員枠、応募実績を反映 国が制度修正の方針 indexへ

 来春から都道府県別の定員枠を厳しく設定することにしている新卒医師の臨床研修制度について、厚生労働省は23日、一部を修正することを決めた。研修医が集まる病院に限り、今春時点の定員数枠を保証する仕組みを取り入れる。地域の反発を受けて改善する。
 同日午後に開かれた医道審議会の部会で案を示し、了承された。修正案では、来年度の研修医募集については、今年度研修を始めた研修医と病院側の採用希望をコンピューターですりあわせた「マッチング」の実績を考慮する。
 具体的には、昨年8月に登録受け付けが始まった今年度分のマッチングで、病院が示した募集定員枠いっぱいに研修医が集まった病院については、来年度も今年度実績を確保する。その結果、都市部に厳しい都道府県別の定員枠を超えても、経過措置として認める。11年度分以降は改めて検討する。
 研修医の募集定員は従来、研修病院が自由に設定できた。08年度は約8500人の希望者に対し、全国の総定員数が1万1563人。実際に働き始めた新卒の研修医7735人の44%が東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県に集中した。
 厚労省は、04年度に始まった同制度で都市部に若手が集まり地方の医師不足を招いたと批判を受け、来年度の新卒医師から都道府県別の定員上限を設けて地方に若手を誘導しようと一部変更を決定。来年度の総定員を08年度に比べて15%少なくし、上限を超えた都道府県では県内の病院で調整する案を3月に示した。削減幅の大きい京都府など都市部の自治体から「地域への医師派遣や救急医療ができなくなる」などと反発が出ていた。

ノロウイルスに45人感染、2人死亡 新潟の介護施設 indexへ

 新潟市北区の医療法人「愛広会」(池田弘理事長)は23日、同法人が新潟県内で運営している介護老人保健施設「中条愛広苑」(胎内市)で、22〜97歳の入所者と職員計45人がノロウイルスに感染し、うち入所者の女性2人が死亡した、と発表した。
 施設によると、17日に92歳女性が急性大腸炎で、22日に87歳女性が急性腎不全による脱水症状でそれぞれ死亡した。
 愛広会は、県内に介護老人保健施設を6カ所(計630床)、病院・診療所を3カ所(計348床)運営。全職員は942人(08年2月)。

ドナーから骨髄液を過剰採取 国立がんセンター indexへ

 国立がんセンター中央病院(東京都中央区、土屋了介院長)で今月半ば、骨髄移植の提供者(ドナー)から誤って予定量より過剰に骨髄液を採取するミスがあったことが21日、分かった。提供者はすでに退院しており、健康に問題はないという。
 土屋院長によると、提供者は30代の女性。骨髄液を採取する際、予定量より400ミリリットル多くを採取したという。骨髄液は採取しすぎると貧血を起こすこともあるとされる。病院側はすぐに過剰採取に気づき、主治医が女性に謝罪した。
 土屋院長は「骨髄液を採取する器具が新しくなり、スタッフが使用法に慣れていなかったことも原因の一つかもしれない。詳しく調査し、手順を見直すなど対策を考えたい」としている。

タミフル服用すると「異常行動1.5倍」 厚労省研究班 indexへ

 厚生労働省の研究班(班長=広田良夫・大阪市立大学教授)は、インフルエンザ治療薬タミフルを服用した10代の患者が、飛び降りなどの異常行動をとる割合は、服用しない場合よりも1.5倍高いとする最終報告書をまとめた。
 10代患者への投与を原則中止している方針が転換するかどうかが焦点だが、厚労省は「ほかの研究班報告もあり、今回の研究結果だけですぐに方針が変わるものでない」とする。5月以降に開く同省薬事・食品衛生審議会安全対策調査会で詳しく検討する。
 分析対象は06〜07年にインフルエンザと診断された18歳未満の患者約1万人。急に走り出すなどして死亡やけがに結びついた深刻な異常行動は、タミフルを服薬した場合、服薬しない場合より1.25倍発生率が高くなった。特に10代では1.54倍高かった。これらを踏まえ、報告書は「タミフルの使用と異常行動・言動に、関連がないとはいえない」とした。一方、うわごとなど軽いものも含めた異常行動全体では、服用した場合の発生リスクは、服用しなかった場合の0.62倍で、相対的に低かった。
 研究班は、医療機関からの報告にばらつきがあるなどの理由で、正確な解析が難しいとしており、広田班長はタミフルと異常行動の関連性の有無を調べるには、研究の計画段階から疫学者を加えたより正確な調査が必要だ」と話している。

臓器移植法、新案作りへ 14歳以下解禁・判定厳格化 indexへ

 臓器移植法を今国会で改正することを目指し、衆議院厚生労働委員会の与野党の筆頭理事が、提出されている三つの改正案に加え、各案の要素を取り込んだ新案を作ることで合意した。現在は脳死からの臓器提供の意思を書面に記してある15歳以上の人が提供できるが、書面での意思確認をなくし、14歳以下でも家族が同意すれば提供できるようにする。脳死判定の厳格化や第三者によるチェックを法律に明記する方向で調整する。
 3案は移植を受けた患者らの団体が支持するA案から、脳死移植に慎重なB、C案まで開きがある。外国への渡航移植を制限する世界保健機関(WHO)の決議を控え、新案は性急な移植拡大への慎重論に配慮しつつ国内の移植を広げる狙いがある。
 本人の書面での意思表示は、脳死を一律に人の死とすることに社会的合意がないとして、慎重な意見を踏まえて盛り込まれた経緯がある。新案では、ドナーカードなどの書面ではっきりしていなくても、家族の同意で死体として臓器が摘出されることになる。「人の死」の範囲が広がるため議論を呼びそうだ。
 鴨下一郎(自民)、藤村修(民主)の両筆頭理事はこれまでに、(1)14歳以下の臓器提供を解禁し、家族の同意で提供できるようにする(2)脳死判定の基準や第三者によるチェック体制を厳しくする(3)家族の同意などの条件を満たした場合に脳死を「人の死」とし、臓器を摘出できる、との基本的な考え方で一致した。
 書面での意思表示なしで臓器提供できるようにする代わりに、脳血流が途絶えたことの確認を脳死判定に追加。病院の倫理委員会などを義務化し、子どもの場合に虐待を受けていなかったか、治療は尽くされたかなどを監視する。
 大型連休明けまでに案をまとめ、賛同者を募って提出、衆院本会議で5月中の採決を目指す。個人の死生観にかかわるため自民、公明、民主各党は党議拘束をかけない見通し。どの案も過半数の支持を得る見通しは立っていない。
 改正3案について、「どれも過半数を得ないということになりかねない。与野党ともかなりの人が賛成できる案を作ることが大事だ」(細田博之自民党幹事長)との声が上がっていた。
 心臓はサイズが合わないと移植できず、移植が必要な子どもの患者の場合、子どもの提供者がいないと移植が受けられないという事情がある。だが、年齢制限をなくす考え方については、19日に奈良市で開かれた日本小児科学会の倫理委員会の会合で、子どもの脳死判定の難しさなどから慎重論が相次いだ。

妊婦健診無料 国は「14回」、実際には5回の自治体も indexへ

 国は子育て支援策の目玉として、「妊婦健診を14回分は無料で受けられる」と掲げているが、実際は、住む市町村で対応が異なっている。一部自己負担を求められたり、無料となるのが14回を下回ったりするところも。不況で税収が落ち込む中、厳しい財政状況が影響しているようだ。
 妊婦健診は14回受けるのが望ましいとされ、費用は内容により1回5千〜1万円程度。健康保険は適用されない。
 国はこれまで、1人当たり5回分(約5万4千円)を地方交付税で自治体に渡してきたが、少子化対策として、10年度までの時限措置で助成を増額。6〜14回分(約6万4千円)も、国庫補助と地方交付税で半分ずつ手当てすることを決定。助成額は、1人当たり約11万8千円になった。麻生首相は1月28日の施政方針演説で「14回分すべて無料にする」と述べている。
 ただ、地方交付税の使い道は自治体が独自に決めるため、妊婦健診に全額充てられるとは限らない。また、健診内容や受診機関によっては費用が約11万8千円を超え、自己負担が生じる場合もある。
 大阪府枚方市は、4月から3回(1回平均約7千円)を13回に増やした。だが、市の負担は1回2500円、13回でも3万2500円に抑えた。国の予算措置の3割弱にとどまるが、「財政状況を考えたうえでのこと」とする。
 大阪府守口市は2回(1回平均6千円)だった助成を、4月から5回に増やした。1回あたりの助成額を2500円に抑えたため、助成総額は500円増の1万2500円にとどまる。市民からは「助成は14回ではないのか」といった問い合わせがあるという。市は「妊婦健診の重要性は分かっているが、市の財政状況が厳しい」と説明する。
 福岡県太宰府市は近隣の4市町と歩調を合わせ、4月から5回(1回平均6800円)を10回(同6712円)に増やした。14回への引き上げは検討課題だが、「財政的に厳しい。11年度以降に国の補助制度がどうなるのかも分からない」。
 厚生労働省母子保健課は「決定権は自治体にあるが、妊婦健診の重要性を理解し、取り組んでいただきたい」とする。4月1日現在の各自治体の実施状況を調査しており、5月にも発表する予定だ。

献血ミスで女性の右腕まひ 日赤が7180万円で和解 indexへ

 献血に参加した大阪市の40代女性が採血針で腕の神経を傷つけられ、上肢まひの後遺症が残ったとして、日本赤十字社(本社・東京都港区)に約1億3千万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こし、日赤が賠償金7180万円を女性に支払う内容で和解していたことがわかった。献血での事故をめぐり、日赤側が今回のような多額の賠償に応じるのは異例。
 女性は、傷ついた神経が過敏になって手足がしびれたり、激しく痛んだりする反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)を発症した。厚生労働省によると、献血による健康被害は年間5万〜6万件報告されているが、めまいや皮下出血などが大半で、RSDの発症例はまれという。
 訴状によると、女性は03年7月、大阪市内で行われた日赤の献血に参加した。看護師が右ひじの血管に採血針を入れたが、手間取ったため、別の看護師に交代。女性は鋭い痛みを感じ、「やめてください。別の所にしてください」と求めたが、看護師は「大丈夫です」と言い、約20分間、針を動かし続けた。結局、採血はできなかったという。
 女性は痛みが治まらず、翌日に病院で受診。末梢(まっしょう)神経が損傷していると告げられ、その後、RSDと診断された。肩から指までまったく動かせなくなり、回復は困難な状態という。
 06年5月、「安全注意義務を怠った看護師の不法行為について日赤に使用者責任がある」として提訴。日赤側は治療費や通院交通費など約211万円を女性に支払いながらも、「発症には心因的な要因もある」などと主張し、因果関係を全面的に争ったが、今年3月下旬、最終的に和解に応じた。和解調書によると、日赤は「損害賠償債務」として7180万円の支払い義務があることを認めている。
 日赤血液事業本部は取材に対し、「和解条項が第三者に漏洩(ろうえい)しないとの内容になっているため、コメントは差し控えたい」としている。

県立病院の准看護師、33年無免許 茨城 indexへ

 茨城県病院局は17日、笠間市の県立友部病院に勤める准看護師の男性(54)が33年間、無免許で看護業務をしていたと発表した。准看護師は同日付で依願退職し、退職金の受け取りを辞退するという。
 経営管理課などによると、准看護師は県立の看護学校を卒業後、准看護師の試験に合格し、76年4月採用。以来、同病院で働き、入浴介助や傷の手当て、体温測定などに携わった。
 免許証の交付を受けるには、年度末に発行される合格証と戸籍謄本を持って保健所に申請をする必要があったが、准看護師はこの手続きを怠っていた。県は採用時、合格証のコピーを提出させ、准看護師資格を確認していた。
 同院では免許証の確認が徹底されておらず、04年度から確認作業を始めた。職員は「紛失したので再交付を申請中」などとを繰り返した。不審に思った同院職員が今年3月19日、保健所に確認して免許登録されていないことが分かった。准看護師は遅くとも06年1月には自ら保健所に問い合わせ、無免許を自覚していたという。
 記者会見した土井永史院長は「免許証を当然持っているだろうという性善説に立ち、チェック機能が働いていなかった」と謝罪した。
 准看護師は今月13日、依願退職と退職金の受け取り辞退を申し出た。県は17日、停職6カ月の懲戒処分を科し、依願退職を認めた。上司も訓告などの処分にした。
 併せて県は17日、同病院の看護師の女性(48)を停職3カ月の処分にしたと発表した。少なくとも05年以降、患者やその家族、同僚職員に対し、職務中にもかかわらず自分の信仰する宗教の勧誘を繰り返したという。処分に納得せず、「教祖様に相談します」と話しているという。

7病院が搬送拒否、65歳男性死亡 宮崎・日向 indexへ

 宮崎県日向市内で4日、心肺停止状態になった同県門川町の男性(65)が救急搬送の際、計7病院から受け入れを断られていたことが分かった。男性は119番通報から約1時間20分後、現場から約13キロ離れた日向市立東郷病院に搬送されたが、間もなく死亡が確認された。同市消防本部は「これほど断られることは通常はない。死亡と搬送の遅れとの因果関係は不明」としている。
 同本部によると、4日午後7時40分ごろ、同市日知屋(ひちや)の市道脇で、脱輪した乗用車の中に人がいるのを通行人が見つけ、119番通報した。8分後に救急車が現場に到着。心臓マッサージを行うとともに搬送先を探した。
 重症患者に対応する同市内などの第2次救急施設の民間3病院に依頼したが、「ベッドが満床」「担当医が緊急手術中」「当直の医師が脳外科医で心疾患には対応できない」といった理由で次々と受け入れを断られた。その後、より高度な医療が受けられる第3次救急施設の県立延岡病院(延岡市)に頼んだものの、現場から約20キロ離れていて搬送に時間がかかるため、「最終的には受け入れるが、まず日向市内で対応してほしい」と回答された。
 さらに、日向市内の他の民間3病院にも断られた。結局、1次救急施設の市立東郷病院に午後9時ごろに搬送され、約15分後に死亡が確認された。
 同本部は「土曜日や緊急手術と重なった。再発防止のため医師会などと対応策を検討したい」としている。
 救急搬送を巡っては06年8月、奈良県内の町立病院で出産中に意識不明となった女性(当時32)が、計19病院(奈良県2、大阪府17)に転院を断られた末に死亡していた問題が表面化。その後、同様のケースが全国的に起きていることが明らかになり、病院間の連携や搬送システムのあり方、医師不足など様々な課題が指摘されている。

NICUなど220床を追加 文科省、24大学病院に indexへ

 危険が大きい出産に対応するため、文部科学省は、国公私立の計24の大学病院に「新生児集中治療室」(NICU)など計約220床を追加設置することを決めた。政府が調整中の補正予算案に盛り込む。
 ハイリスクの出産をめぐり、東京都内で昨年10月、妊婦が複数の病院に受け入れを断られて亡くなっている。この問題をきっかけに、NICUの増床など周産期医療設備の充実が指摘されていた。
 文科省によると、NICUがない大学病院は現在、国立が全42校中9校、私立が全29校中2校。また、NICUなどの周産期医療設備が20床以上あるのは国立が8校なのに対し、私立は21校。公立は3校。整備は私立が進み、国立が遅れているのが現状だ。
 このため、文科省は今年度当初予算で、NICUがない国立大学病院9校のうち5校、すでにある5校の国立計10校に、NICUを37床、NICUを出た乳幼児の経過観察などのために使う「継続保育室」(GCU)を46床設ける経費を盛り込んだ。
 さらに今回、NICUがなかった山梨のほか、旭川医科、金沢、京都、滋賀医科、広島、島根、山口、愛媛、長崎、熊本などの国立16校▽名古屋市立、大阪市立の公立2校▽慶応、NICUがなかった川崎医科などの私立6校の計24校に、NICU54床、GCU124床、「母体・胎児集中治療管理室」(MFICU)45床を設ける。文科省は計223床の費用として、今年度当初予算分(10億円)の約4倍の39億円を補正予算案に計上する方針だ。
 今年度当初予算と補正予算で、国立大学のNICUの床数は昨年度末時点の244から73増えて317に。NICUとGCU、MFICUを20床以上備える国立大学は13校増えて21校となる。
 NICUを設置するためには、専任の医師を置く必要がある。文科省は各大学病院に「医師を確保するにしても、地元の他病院にいる医師を呼び戻すような対応は、地域医療への打撃となるのでやめてほしい」と求めている。(青池学)
【NICUなどが整備される大学病院】
■国立16校(N36床、G105床、M27床)
旭川医科、弘前、新潟、群馬、☆山梨、信州、富山、金沢、京都、滋賀医科、広島、島根、山口、愛媛、長崎、熊本
■公立2校(N6床、G7床、M3床)
名古屋市立、大阪市立
■私立6校(N12床、G12床、M15床)
慶応、東京医科、愛知医科、大阪医科、☆川崎医科、産業医科
《注》☆はこれまでNICUがなく、今回整備される病院。かっこ内は床数。NはNICU、GはGCU、MはMFICUの略

割りばし死亡事故、二審も医師の過失認めず indexへ

 東京都杉並区で99年、保育園児の杉野隼三ちゃん(当時4)ののどに綿あめの割りばしが刺さった死亡事故をめぐり、両親が、受診した病院を経営する杏林学園(東京都三鷹市)と当直の医師(41)に約8900万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は15日、両親の控訴を棄却した。
 小林克已裁判長は「予見することは不可能で、医師が検査を行う注意義務を負うとは認められない」と判断。一審・東京地裁判決に続き、医師や病院側の対応に過失はなかったと結論づけた。
 両親は上告しない方針。すでに刑事裁判は医師の無罪が確定しており、事故をめぐる裁判がすべて終結することになる。両親は「判決は無念でなりません。適切な治療だったのか真実が知りたい、という願いが打ち砕かれました」とするコメントを出した。

柔道整復師、必修実習せずに卒業・合格 名古屋の養成校 indexへ

 接骨院や整骨院で働く「柔道整復師」を養成する名古屋福祉保育柔整専門学校(名古屋市)が、必修の臨床実習を終えないまま学生146人を卒業させていたことが14日、わかった。本来は受験できないはずの国家試験を受験・合格した卒業生はすでに、現場で働いている。厚生労働省は同校に対し、該当者を対象に補講をするよう求めている。 柔道整復師養成をめぐって、授業の「未実施」が明らかになったのは全国で初めて。08年に少なくとも全国7校で問題となった無資格教員による指導も発覚した。
 名古屋福祉保育柔整専門学校は4年制で、03年に開校した。臨床実習については、併設の治療院で、計45時間にわたって治療を見学することが省令で求められている。
 厚労省東海北陸厚生局指導養成課によると、08年の立ち入り調査の結果、06〜07年度の卒業生146人が、所定の実習を受けていないと判断された。08年度の卒業生は、指導後に補講が行われた。
 また、年間30時間求められている柔道の授業で、「教員養成講習を終えた実務経験3年以上の柔道整復師」が指導しなければならないのに、資格を持たない一般の柔道有段者が教えていた。
 同校の担当者は「併設の治療院の患者数が少なく、十分に実習ができなかった。少しはやったのに、リポートなどが残っておらず、未実施と判断された。柔道の教員については、法律の理解を誤っていた」と説明する。ただ、同校は授業料85万円とは別に、年間30万円を「実習費用」として徴収していた。
 国家試験の受験には、養成学校の卒業証明書の添付が必要。臨床実習を受けていない学生は本来、単位不足で卒業は認められず、受験資格はない。ただ、東海北陸厚生局は今回の事態について、「学生に罪はないので資格を奪うまでは求めなかった」と話す。
 同校は、臨床実習の補講を5月以降に設けるが、応じるのは10人程度という。柔道の補講は08年度中に終えたという。09年度入学の学生は、募集していない。
 柔道整復師は全国に5万〜6万人おり、今年3月の国家試験合格者は約4800人。合格率は70%台で、10年前に比べて10ポイント以上落ちており、業界内で質の低下を懸念する声も上がっている。
 愛知県内の養成学校は同校を含めて6校。この10年で全国では14校から97校に急増しており、一部で教員を確保できない状況に陥っている。

福岡大病院、患者情報9千人流出 窓口のPC盗難 indexへ

 福岡大学病院(福岡市城南区)は14日、院内の医療相談窓口で使っていた業務用パソコンが盗まれ、患者約9千人分の氏名などの個人情報が流出した、と発表した。うち1400人分は相談内容で、1人分は電話番号も入っていた。福岡県警早良署が窃盗事件として捜査している。
 盗まれたのはノートパソコンで、個人情報の保存用。同病院が入院生活や病状、治療費などに関する医療相談窓口を開設した91年以来の、相談を受けた患者の個人情報が入っていた。
 病院によると、11日午前10時半ごろ、1階外来受付近くの医療相談窓口(個室)で、職員がトイレに行くため3分ほど席を離れた際に盗まれた。戻った職員がパソコンがないことに気づき、早良署に通報した。当日は土曜日で、窓口の職員は1人だけ。自動ドアで、内規では外出時は施錠するが、今回はしていなかったという。
 病院は14日の会見で、パソコンに保存された情報を見るにはパスワード入力が必要で、流出した個人情報による2次被害は確認されていないとしている。内藤正俊院長は「患者、関係者、社会の皆様に深くおわびしたい」と謝罪した。
 事件を受けて、同病院ではパソコンをワイヤで固定し、個別のデータ閲覧のたびに、パスワード入力を求めるなどの対策をとるという。

不正受給額は4千万円超 奈良産大野球部元監督の整骨院 indexへ

 奈良産業大(奈良県三郷町)硬式野球部の元監督が営む整骨院の療養費不正受給問題で、06年10月の開院以来、不正受給した総額は約4200万円にのぼることが県の調査でわかった。県と近畿厚生局は近く3人に不正受給分全額の返済を求めるとともに、刑事告訴も検討する。
 県保険福祉課によると、この整骨院では、治療の実態がないのに野球部員に療養費の支給申請書に署名させ、市町村や健保組合に提出して、療養費を受給していた。
 また、整骨院では国家資格のある柔道整復師などを施術管理者として県に登録する義務があるが、同整骨院では、施術管理者3人のうち2人に勤務実態がなかった。開院から08年1月まで管理者となっていた柔整師とその後任の柔整師で、いずれも大阪市内の整骨院団体関係者の口利きで、報酬を受け取って名義を貸していた。

てんかん発作、初の過労死認定 国の審査会が逆転判断 indexへ

 慢性の脳疾患「てんかん」の持病がある警備会社員の男性(当時54)=堺市=が発作を起こし、06年に死亡したことについて、国の労働保険審査会が「過重な勤務が原因で疲労を蓄積し、死に至る重い発作を起こした」としてその死を労災と認め、遺族の申請を退けた大阪中央労働基準監督署の決定を取り消した。
 遺族代理人で、過労死問題に詳しい松丸正弁護士(大阪弁護士会)らによると、てんかん発症をめぐる過労死認定は初めて。従来は発症に外部の影響は薄いとされ、過労との関係は認められなかったという。今回の決定で、心臓疾患や脳内出血などに加え、認定がてんかんにも広がったことになる。
 全身のけいれんや意識障害の症状が出るてんかんの発症率は約100人に1人とされるが、発作が死に至るケースは極めてまれとされる。
 審査会の8日付の裁決書などによると、男性は大阪市の警備会社で交通整理などを担当。06年2月、勤務中にけいれんを起こして心肺停止となり、低酸素脳症で5日後に死亡した。死の直前2カ月間は月100時間以上の時間外労働に従事。「時間外労働が2カ月以上にわたって月平均80時間以上」という国の過労死認定基準を超えたとして、母親が労災認定を求めていた。
 国の審査会は裁決書で「睡眠不足などが、てんかんの発作を引き起こすことは医学的に知られている」と指摘。男性のてんかんは比較的軽度だったが、長時間の時間外労働を強いられ、死の直前2カ月間は休日が1日もなかったことなどから、「過労が発症の主たる原因」と結論づけた。
 大阪中央労基署は06年9月、男性の労災を認めないと決定。不服を申し立てられた大阪労働者災害補償保険審査官も昨年1月、「てんかんが自然悪化したとみるのが妥当」と審査請求を棄却したため、母親は国の労働保険審査会に再審査を求めていた。
 患者ら約6千人でつくる社団法人「日本てんかん協会」(東京)の渡部恵子常務理事は「てんかん患者の多くは社会に参加し、普通に働いている。今回の決定は雇用主に配慮を促したものともいえる」と話した。

高校生4割、習慣病の予備軍 テレビの時間と血圧関係 indexへ

 高校生の4割超が、高血圧や高中性脂肪、高血糖など何らかの基準値を超え、生活習慣病予備軍になっていることが、厚生労働省研究班(班長、吉永正夫・国立病院機構鹿児島医療センター小児科部長)の調査でわかった。テレビの視聴時間が長かったり、朝食を抜いたりする生徒は、値がより悪かった。
 千葉、富山、鹿児島の3県の高校生男女1500人を対象に06〜08年度、身長や体重、血圧、血液、生活習慣などを調べた。うち、1257人から中性脂肪や空腹時血糖、空腹時インスリン、尿酸、善玉コレステロールなどのデータを得た。これほどの大規模調査は初めて。
 これまで、思春期の生活習慣病の基準値はなく、研究班で成人の値を参考に基準を作った。各項目で値の悪い方から1割を高血圧症、高中性脂肪などの「生活習慣病」と定義。30代以降に重い生活習慣病になるのを防ぐため、成人の値より厳しめになった。
 その結果、内臓肥満、高血圧、高中性脂肪、低善玉コレステロール血症、空腹時高血糖の五つで、男子の44%が一つ以上で基準値を超え、三つ以上超えた人も5%いた。女子では一つ以上が42%、三つ以上も3%いた。
 また、テレビの視聴時間が長いほど血圧や血糖の値が悪かった。男子では朝食を食べない生徒ほど内臓肥満になりやすかった。母親の体格指数(BMI)が高い生徒の内臓肥満度も高かった。
 調査班は、(1)運動系部活への参加か、休日に60分以上の運動(2)テレビの視聴時間は平日50分以内、休日100分以内(3)朝食を毎日とる(4)腹囲が80センチを超えたら、医師に相談、などの提言をまとめた。
 調査結果は、17日に奈良市で開かれる日本小児科学会で発表される。

道を譲ると感謝する救急車 福井で導入 indexへ

 サイレンを鳴らして現場へ急行中の救急車に道を譲ると「ご協力ありがとうございます」。こんな女性の合成音声メッセージを救急車から流す試みを福井市消防局が始めた。総務省消防庁によると、「全国でも聞いたことがない」という。
 県内で最も出動件数が多い同市中消防署の1台を改造した。大阪府東大阪市の電子サイレンアンプメーカーに特別注文した。運転手が運転席脇の「ご協力ボタン」というスイッチを押せば、車上の赤色灯と共にセットされたスピーカーから「お礼」が流れる。
 もともとは助手席に座る救急隊長がマイクを取って肉声で謝意を伝えていた。ただ、救急救命士でもある隊長は患者の搬送中、傷病者の救護に掛かり切りになる。そこで、運転手でも対応できるよう押しボタン式の自動音声装置を導入。主に交差点に進入する際に利用するという。
 道路交通法では、救急車やパトカーなど緊急車両に対し、一般車両は道を譲らなければならない。しかし、「昔はサイレンを鳴らしてえらそうに走って行くイメージがあったが、今はそれでは市民から協力も得られない」と同署の生田裕之救急隊長。
 市救急救助課は、管内にある残りの7台も買い替え時期に合わせ順次装備していくという。

南米発の水虫、感染拡大 高校柔道部の5割に発症例 indexへ

 感染力が強く、脱毛の後遺症が残ることもある南米の水虫菌が日本に上陸し、格闘技選手やその友人、家族に広がっていることが、順天堂大学などの調査で分かった。柔道団体の3割、高校の柔道部では5割超で発症者が出ていた。適切に治療すれば治るため、専門医は診断・治療の指針を作り、検査を呼びかけている。
 この菌は、水虫などの原因となる白癬(はくせん)菌の仲間で「トリコフィトン・トンズランス」。格闘技などで肌同士が接触すると主に感染する。元々は南米の菌だが、01年ごろから国際試合に参加した国内の柔道やレスリング選手の間で感染が目立つようになった。
 髪と体毛、皮膚に主に感染し、一般的な水虫菌と違い、足には感染しにくい。感染力が強く、かゆみや湿疹などの症状が出る。軽症で症状が半年ほどで治まっても、菌が潜み、感染を広げる。頭部がうんで腫れあがり、頭髪の一部を失うなど後遺症が残ることもある。
 順天堂大学の比留間政太郎教授(皮膚・アレルギー科)らは全国の学校や道場にアンケートを実施。08年に、回答のあった約1200団体のうち、3割は発症者が出た経験があったと報告した。特に高校の柔道部では過半数を占めた。
 最近は、家族、友人へも広がり始めた。柔道経験者の女性が柔道をやめて3年後、生後10カ月の長女が発症した例や、格闘技とは無縁の10代女性が感染する例もあった。
 正しく診断、治療すれば、大半が完治する。専用シャンプーや塗り薬で治療する。重症なら飲み薬もある。ただ、一般的な湿疹などと誤診されステロイドを塗ると、重症化しかねないという。
 これらの結果は、26日に福岡で開かれる日本皮膚科学会で報告される。

エステでのほくろ取りご注意 10年間で被害相談40件 indexへ

 ほくろの気になる方、施術にはご注意を――国民生活センターは9日、エステサロンのほくろ取り施術などで皮膚が陥没したり、ケロイド状になったりする被害が相次いでいると発表した。99〜08年度の10年間で、50件近い被害相談が全国から寄せられている。ほくろを取る時はエステではなく、専門医に相談するよう呼びかけている。
 センターによると、エステのレーザー施術で皮膚がやけどしたような状態になったり、針と薬品を使った施術で跡がシミになったりした相談が約40件あった。
 海外から輸入された「ほくろ取りクリーム」を個人で使い、皮膚が化膿(かのう)して陥没したなどの訴えも10件近くあったという。
 医師などの資格を持たない人がレーザーや薬品を使い、ほくろを取る行為は医師法違反にあたる。ほくろに詳しい三楽病院(東京)の前川武雄医師(皮膚科)は「ほくろと見た目が似ていても、悪性腫瘍(しゅよう)の場合もある。医師の診断が必要だ」と話した。

出産した女性勤務医、6割が育休取らず 日本医師会調べ indexへ

 病院勤務の女性医師で出産経験のある人の6割が育児休業をとっておらず、7割近くが院内保育所を利用していないことが、日本医師会(日医)の調査でわかった。医師不足対策には、女性医師が仕事と家庭を両立しやすい環境づくりが欠かせないが、厳しい現状が浮き彫りになった。
 日医が8日発表した。調査は昨年12月から1月、全国8880病院に勤務する女性医師を対象に実施し、約7500人が回答した。このうち出産経験がある約3100人では、58%にあたる1810人が育児休暇を取得していなかった。
 出産の直前直後の休暇は、79%が取得。だが取得していない21%の人のうち、ほぼ半数は「休暇を取りづらく、一時休職または退職した」と答えた。
 院内保育所については、66%が「利用したことがない」と回答。その理由は「利用制限がある」や「送迎の負担が大きい」などが多かった。
 また、仕事と家庭の両立を支える就労環境や規則の整備の有無では、「整備されていない」が40%で、「整備されている」の31%を上回った。

着たままでOK「聴診衣」 学校健診向けに開発 indexへ

 着たままで医師が聴診できる「聴診衣」を、帝人の子会社、帝健(大阪市)が開発した。衣類の上から聴診器を当てるので、下着を脱ぐことに抵抗のある人もスムーズに健診を受けられ、時間短縮にもつながる。学校などへのレンタルを始めたが、好評なようだ。
 下着をつけたままで健診する学校や医療機関もあるが、聴診器や皮膚との摩擦で雑音が起き、心音や呼吸音を聴くのが難しい。時間もかかるうえ、医師が聴診器を下着の中に入れるなどしてトラブルになった例もある。
 直径数マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の極細繊維を高密度で編んでしなやかな素材にし、摩擦を大きく減らして雑音を低減したという。近畿大学の医師との共同開発。
 3月末、第1号で使用した日本工業大学(埼玉県)の健診担当者は「男女同時に健診でき、いちいち服を脱ぐ手間も省けた」と話す。レンタルは1枚500〜千円程度、5月末をめどに販売も始めるという。

心臓移植実現は必要患者の3割、半数以上は海外 indexへ

 国内で心臓移植が必要とされた患者の3割しか、移植が受けられず、その半数以上が海外で受けていることが、日本循環器学会の調査で分かった。15歳未満は9割以上が海外で移植を受けている。世界保健機関(WHO)は渡航移植を原則禁止することを検討しており、国内でも臓器移植法の改正を目指す動きが出ている。
 日本循環器学会心臓移植委員会は97年4月〜08年10月、心臓移植を希望する524人を対象に移植が可能(適応)かどうか検討した。08年11月現在の患者の状況を調査し、503人について分析した。適応と判断した432人のうち、実際に移植を受けることができたのは3割の136人しかいなかった。
 国内で移植を受けたのは、43%(58人)にすぎず、半数以上は海外だった。アメリカが50%(69人)、ドイツ、カナダと続いた。
 15歳未満だと、今年3月10日までに移植が適応と判断された73人のうち、国内で移植できたのは1割に満たない3人だけだった。臓器移植法では、臓器提供者は15歳以上に限定されており、38人は海外で受けていた。
 移植を受けた患者の10年生存率は約9割に上った。そのうち約7割は、職場や学校に復帰できるまで回復していた。
 一方、移植の適応とされながら、実現していない患者の半数を超える164人が死亡していた。129人は移植を受けずに生活していたが、8割は階段を上るといった日常生活も難しい状況だった。
 日本循環器学会心臓移植委員会幹事の西垣和彦・岐阜大准教授は「WHOの指針によっては、海外への渡航移植はゼロになるかもしれない。国内での移植が少ないのは、本人の意思表示がない場合に、家族の同意で臓器提供が認められていないことが一因だ。提供者の年齢の引き下げなど早期改正を求めたい」と話している。

医療紛争、裁判外で 千葉、医師や弁護士会が共同機関 indexへ

 裁判によらない医療紛争の解決を目指そうと、千葉県で医療関係者と弁護士、法学研究者が共同の解決機関を立ち上げ、4月から業務を始める。医師会や弁護士会といった単独の業界がADR(裁判外紛争解決手続き)に取り組む例はあるが、共同での取り組みは全国初という。医療紛争での医師の負担を軽くすることで、深刻化する医療崩壊を食い止める狙いもある。
 千葉大医学部や法経学部の教官、医師や弁護士が03年7月に設立した医事紛争研究会(会長、植木哲・千葉大教授)が、医療分野でのADR設置に向けて研究を進め、千葉市中央区で「医療紛争相談センター」を始める。
 植木教授によると、これまで医療行為をめぐるトラブルの解決手段は裁判が一般的だった。しかし、時間や金銭面で当事者の負担は大きい。ADRでは非公開で中立的な第三者が助言や和解案を提示し、患者と医療側双方に円満で迅速な解決を目指す。
 相談は、患者側、医療機関側の、いずれからもでき、あっせんや調停が適切だと判断すれば、申し立てを受ける。医療側が応諾すれば、専門分野の医師、弁護士、学識経験者の3人で委員会が設置される。紛争の原因や因果関係を検証して損害賠償額を決め、3カ月から半年をめどに和解案を示す。
 調停に入る際、申立料として、患者側2万1千円、医療機関側4万2千円を支払う。解決時には、損害賠償額の1割程度を成功報酬としてセンターが受け取る。

インフルエンザが再び流行 感染研発表、B型増加で indexへ

 インフルエンザが再び流行していることが31日、国立感染症研究所感染症情報センターの調べで分かった。流行の主流だったA型に代わってB型が増えたためで、同センターは注意を呼びかけている。
 全国約5千の病院・診療所からの報告では、1週間の1医療機関あたりの患者数は37.45人(1月19日〜25日)をピークに、いったん12.05人まで減った。しかし、2月下旬ごろから3週連続で再び増加し、16.50人。今月22日までの1週間は、それより若干減ったものの15.63人だった。昨季のピークは17.62人、同時期の報告数は3.01人だった。
 地域別では、山形県、宮城県などの東北地方、新潟県、石川県などの北信越地方からの報告が多い。今季のウイルス型はこれまででAソ連型が57%、A香港型が26.7%、B型16.3%だった。B型は春先にかけて流行する傾向があり、今季も2月下旬以降、B型が最も多く出ており、比率が高まっているという。

ドキシル、卵巣がん治療でも承認へ 厚労省 indexへ

 厚生労働省の薬事分科会は30日、抗がん剤「ドキシル」(一般名ドキソルビシン塩酸塩)を、卵巣がんの治療薬として薬事承認することを了承した。4月にも正式に承認される。ただ、治験の症例データが少ないため、販売後は、投与患者すべての追跡調査が義務づけられる。
 欧米で広く使われ、日本でも学会の治療指針で推奨されているのに、卵巣がんでは未承認で、患者らが承認を求めてきた。卵巣がん体験者の会「スマイリー」代表の片木美穂さんは「治療の選択肢が増えて本当にうれしい。他の未承認の抗がん剤も早く使えるようにして欲しい」と話した。

後発医薬品の使用、5年で倍増計画 国立病院機構 indexへ


 国立病院機構は、値段の安い後発医薬品の使用量を5年後に現在の2倍にする方針を決めた。4月に始まる09年度からの5年計画に盛り込む。国は医療費を抑制するため、後発医薬品の利用を促しており、規模が大きい同機構の病院で利用を進め、後発医薬品への患者の抵抗感を薄くする狙いがある。
 同機構145病院での後発医薬品の使用率は、数量ベースで約16%(07年度)。これを2013年度までに30%以上に引き上げる。金額ベースでも現在の8%から15%に増やす。同機構の外来患者は院外処方が大半なので、対象は主に入院患者。
 国は社会保障費抑制のため、07年の「骨太の方針」で後発医薬品の比率を3割にする目標を設定している。同機構は、全病院で使う後発医薬品のリストを公表するなど、国の方針に沿って対応。同機構は「後発薬の利用促進にどのような課題があるかについても把握したい」とする。

銚子市長が失職 市立病院の休止めぐり住民投票 indexへ


 千葉県銚子市の市立総合病院休止をめぐり、休止に反発する住民らが求めていた岡野俊昭市長(63)の解職請求(リコール)の是非を問う住民投票が29日にあり、開票の結果、解職を求める票が有効投票の過半数に達し、同市長は失職した。公職選挙法により、住民投票の投開票日の翌日から50日以内に市長選挙が実施される。岡野市長はこの市長選に立候補する意向を示した。
 投票率は56.32%。投票総数3万3681票のうち、賛成は2万958票、反対は1万1590票だった。
 国の臨床研修医制度改革のあおりで、06年、同病院に35人いた常勤医が昨春、17人と半減。院長も辞意を表明した。岡野市長は昨年7月、医師不足や財政難を理由に14科あった市立総合病院の診療を9月末で休止すると発表。現在、夜間小児急病と精神科の診療所2部門のみを残し、診療を休止している。
 この決定に住民や市議は「休止は国の政策ではなく、市長の能力の問題」「説明不足だ」と反発。署名運動を展開し、今年2月、2万3405人の署名を集めて解職請求していた。岡野市長はこうした動きを「市政の混乱を招く」と批判、賛否両派がビラを配り、市を二分する議論が続いていた。

AEDの救命率、2倍に 心停止から処置までの時間半減 indexへ


 病院以外の場所で心停止して倒れた人がAED(自動体外式除細動器)で電気ショックを受けるまでの時間が8年間で半分以下になり、救命率は倍の3割になったことが京都大などの解析でわかった。より効果を上げるには一般の人の取り組みがカギという。
 病院外で心停止した人の救命記録をきめ細かく集めている大阪府内の98〜06年のデータを分析。倒れた際に目撃者がいた約9千人分を検討した。このうち、心筋が細かく震えて血液が送り出せなくなる心室細動を起こしたのは1733人。ほぼ全員が救急救命士によりAEDで電気ショックを受けた。
 心室細動では、心停止から電気ショックまでの時間が命や後遺症に大きくかかわる。その時間は98年に平均19分だったのが徐々に短くなり、06年に9分。1カ月後に生存している救命率は15%から31%に、神経障害がほぼ残らず社会復帰する率も6%から16%に上がった。AEDを使うのが1分早ければ、社会復帰率が16%高まる計算という。
 AEDは、03年から医師の指示がなくても救命士が、04年から一般の人も使えるようになった。スポーツ大会などで配備され、倒れた人に使われる機会も増えた。京都大の石見拓・助教は「救急隊の努力でここまで上がったが、これ以上到着時間を縮めるのは難しい。居合わせた一般の人がもっと心肺蘇生やAED使用に取り組んでくれればさらに救命率は高まるはずだ」と話す。

6病院、受け入れできず 救急搬送の男性死亡 奈良 indexへ


 奈良県生駒市で21日、勤め先で突然意識を失って倒れた新聞販売所従業員の男性(62)が、県内の6病院・医療施設に受け入れを断られ、通報から約1時間後に大阪府内の病院に搬送後、死亡していたことがわかった。
 生駒市消防本部などによると、21日午後1時40分ごろ、新聞販売所から「男性従業員が急に倒れた。意識がない」と119番通報があった。約5分後に救急隊が現場に着いたとき男性は呼吸も脈もあったが、救急車に乗せてから心肺停止状態になった。隊員は電話で救急専門医の指導を受けながら蘇生措置を続けると同時に搬送先を探したが、「ベッドが満床」「処置が難しい」などの理由で同市や隣の奈良市などの6施設に断られた。
 男性は午後2時40分ごろ、大阪府大東市の病院に運び込まれたが、約30分後に死亡が確認された。死因は不明という。受け入れを断った病院には、当日の2次救急の当番病院や救命救急センターを持つ病院もあったという。
 奈良県内では06年8月、入院中に意識不明になった妊婦が奈良、大阪の19病院に受け入れを断られて8日後に死亡。07年8月にも、かかりつけ医のいない妊婦が下腹部の痛みを訴えたが、11病院に断られて死産している。
 生駒市は、196床の総合病院が05年3月に廃院になったのを受け、救急医療に重点を置く新病院の建設計画を進めているが、地元医師会からは「計画は既存の医療機関の崩壊を招く」「現在の態勢を強化すれば対応できる」といった意見が出ている。

地域医療再生に補助金、与党、1兆円の基金検討 indexへ


 医師不足対策や救急医療体制の強化を目指し、与党は27日、追加経済対策に「地域医療再生基金」(仮称)の創設を盛り込む方向で検討に入った。都道府県ごとに地域医療再生計画をつくり、計画実施に必要な費用を基金から補助する。09年度補正予算を念頭に税負担で基金を設置し、少なくとも3年間で1兆円規模とする案が浮上している。
 与党が厚生労働省と調整中の案によると、都道府県が医師確保や救急医療体制の整備などを盛り込んだ地域医療再生計画を策定。実施に必要な費用を国が補助する。地方の実情に応じ、幅広い使途を認める方針だ。
 現時点では、大学病院などと連携した医師派遣システムの強化▽産科を強化した病院への支援▽病院内・病院間をネットワークでつなぐIT(情報技術)基盤の整備▽医学生の地元定着を促すための奨学金や寄付講座の支援――などが想定されている。
 国は医療機関などを対象にした施設整備や人件費などの補助について、都道府県にも負担を求めてきた。しかし、財政難で自治体が支出できず、結果として国の補助制度そのものが使えないケースがあった。基金は、こうした「地方負担分」の軽減にも活用する方針だ。
 地域の拠点病院を強化することで、周辺に予防医療につながる薬・医療機器メーカー、介護事業所などを集積させ、「健康長寿産業」が地域の雇用の受け皿となることも狙う。
 このほか、災害時に地域医療の中核となる災害拠点病院の耐震化費用の補助率の拡大も検討している。厚労省によると、国の耐震基準を満たしているのは6割弱。国は4月から耐震化工事の補助率を従来の3分の1から2分の1に引き上げるが、追加対策で補助をさらに手厚くする。

8つの健保組合が解散 従業員の給与減り収入減 indexへ


 厚生労働省は27日、大企業のサラリーマンが中心の健康保険組合(健保組合)のうち8組合が4月1日付で解散すると発表した。1年前の高齢者医療制度改革に伴う負担増に加え、不況で従業員の給与が下がったことによる保険料収入減などが、解散につながったとみられる。
 解散するのは運送業が加入する「埼玉県トラック」(加入者数3万7655人)など8組合で、加入者は合計5万9403人。業種は運送のほか製造や観光などで、大半は中小企業のサラリーマンらが加入する「協会けんぽ」(旧政府管掌健康保険)に移る。08年度は14組合が解散し、被保険者約8万7千人が協会けんぽに移った。

レセプトのオンライン義務化、自民総務会が了承見送り indexへ


 診療報酬明細書(レセプト)のオンライン請求義務化をめぐり、自民党総務会は27日、党行政改革推進本部などがまとめた見直し案の了承を見送った。今後、政府側と文言を再調整する。
 オンライン請求は07年の規制改革推進3カ年計画で閣議決定されたが、日本医師会などの反発を受け、党行革推進本部が「地域医療の崩壊を招くことのないよう配慮する」など、新たな例外を認める文言を盛り込んだ改定を政府に求めることを決めていた。総務会では、見直し案でも残った「11年度当初から原則完全オンライン化」とした記述をめぐり、「『原則』としていながら『完全オンライン化』という文言もあり、認められない」と、さらなる見直しを求める意見が相次いだ。
 笹川尭総務会長は総務会後の会見で「閣議決定したから絶対不変のものだとの考え方は硬直化している。内閣が代わったら、変わるのは当たり前だ」と述べ、政府側と文言を再調整する方針だ。

愛育病院、一転して総合周産期センター継続を検討へ indexへ


 リスクの高いお産を診る「総合周産期母子医療センター」の指定返上を東京都に申し出た愛育病院(港区)は26日、再考を求める都の意向を受け入れ、総合センターの継続を検討することを決めた。
 同病院は、医師の勤務条件に関する労働基準監督署の是正勧告を受け、総合センターとして望ましいとされる産科医の当直2人以上の態勢を常勤医だけでは維持できないと判断し、返上を申し出た。
 同病院によると、26日に病院を訪れた都の担当者から、周産期医療の提供体制を守るために必要だとして継続を要請された。都側は非常勤の医師だけの当直を認める姿勢を示したという。
 一方、厚生労働省の担当者からは25日、労働基準法に関する告示で時間外勤務時間の上限と定められた年360時間について、「労使協定に特別条項を作れば、基準を超えて勤務させることができる」と説明されたという。
 中林正雄院長は26日の記者会見で、「非常勤医2人の当直という日があってもいいのか。特別条項で基準を超える時間外労働をさせても法違反にならないのか。都や厚労省に文書で保証してもらいたい」と話した。
 中林院長は、非常勤医だけで当直をすることの是非について、周産期医療の関係機関でつくる協議会に検討を求めたことも明らかにした。

薬害被害者「私は肝炎」カード所持 救護者感染防ぎたい indexへ


 私はC型肝炎です。血液の取り扱いにご注意下さい――。08年6月の東京・秋葉原の無差別殺傷事件の被害者にB型肝炎感染者がいて、救護者に感染の不安が広がったことを教訓に、新潟県内の薬害C型肝炎被害者らが、自身が感染者であることを明らかにするカードを作り、所持する試みを始めた。
 カードは名刺大の紙製で、感染者であることや本人の氏名などが書かれている。患者が財布などに入れて日常的に所持し、万一、事故や事件に遭った際には救護者に見せて二次感染を防ぎたい考えだ。
 作ったのは、「カルテのない薬害C型肝炎の全員救済を求める新潟の会」(佐藤静子代表、720人)。汚染された血液製剤の投与でC型肝炎ウイルスに感染した可能性が高いものの、カルテなどの記録が残っていない被害者らでつくる。
 昨年1月に同会を結成以降、被害者の幅広い救済を求めてきたが、佐藤代表は「『助けて』と社会に救済を求めるだけではなく、自分たちも社会に貢献したい。自分たちにできるのは、新たな患者を絶対に出さないということ」と話す。今後、会員からカードの所持希望者を募る。
 C型肝炎は血液を介して感染する。救護者の手に傷などがあって、感染者の血液に触れた場合には感染の恐れがある。

執刀医「米で5百例」経歴詐称 05年の生体肝移植事故 indexへ


 群馬大医学部付属病院で05年11月に実施された生体肝移植手術で、臓器提供者が下半身まひに陥った事故で、第1執刀医(手術責任者)に十分な経験がなく、「米国で500例」と経歴を詐称していたことが同学部検討委員会の調査で分かった。検討委は、確認できる執刀経験は37例しかない、などとする報告書を高田邦昭医学部長に提出した。
 同学部総務課によると、この執刀医は、生体肝移植の執刀経験として、米国以外でも国内で120例の経験があると同病院などのホームページで公表していた。しかし、本人への聞き取り調査の結果、同病院に04年に赴任するまで、国内で37例しか執刀経験がなかった。いずれも第2執刀医だった。米国での経験は「手術室に入った程度」だったと説明したという。
 05年の事故をきっかけに、同病院は07年に生体肝移植手術を中止、この執刀医も県外の病院に転出した。同病院は、今回の検討委の報告を踏まえたうえで、再開に向けた準備を始める方向だ。

愛育病院が総合周産期センター返上申し出 当直維持困難 indexへ


 危険の大きい出産に24時間態勢で対応する総合周産期母子医療センターに東京都から指定されている愛育病院(港区)が、都に指定の返上を申し出たことがわかった。今月中旬、三田労働基準監督署から受けた医師の勤務条件についての是正勧告に応じるためには、医師の勤務時間を減らす必要があり、総合センターに求められる態勢が確保できないと判断した。
 総合センターでなくなると、救急の妊婦の受け入れが制約されたり、近隣の医療機関の負担が増したりするおそれがある。都は愛育病院に再検討を求めている。厚生労働省によると、総合センターの指定辞退を申し出るケースは初めてという。医師の過重労働で支えられている周産期医療の実情が露呈した形だ。
 病院関係者によると、三田労基署から、医師の勤務実態が労働基準法違反に当たるとする是正勧告書を受け取った。勧告書は、時間外労働に関する労使協定を結ばずに医師に時間外労働をさせ、必要な休息時間や休日、割増賃金を与えていないと指摘。4月20日までに改善するよう求めている。
 愛育病院は、同法などに沿って時間外勤務の上限を守るには、現在の人員では総合センターに求められる産科医2人と新生児科医1人の当直を維持できないため、指定を返上することにした。
 同病院は周産期医療が中心。99年4月に総合センターに指定された。常勤の産科医は昨年10月現在で研修医も含め14人、新生児科医7人。年間千数百件の出産を扱う。「自然出産」がモットーで、皇室との関係が深く、皇族や有名人の出産も多い。
 病院関係者は「勧告に沿うには医師を増やすしかないが、月末までに新たに医師を探すのは不可能。外来だけしかできなくなる恐れもある」と話す。
 都は25日、「労基署の勧告について誤解があるのではないか。当直中の睡眠時間などは時間外勤務に入れる必要はないはず。勧告の解釈を再検討すれば産科当直2人は可能」と病院に再考を求めた。
 東京都では昨年10月、脳出血の妊婦が8病院に受け入れを断られ、死亡した問題があった。都は「ぎりぎりの態勢で保っている周産期医療のネットワークが揺らぎかねない」と衝撃を受けている。
 一方、同様に総合センターに指定されている日赤医療センター(渋谷区)も渋谷労基署の是正勧告を受け、労使協定などの準備を急いでいる。

後発医薬品への移行6%どまり 医療費抑制策進まず indexへ


 特許が切れた先発薬と同じ成分で価格が安い後発医薬品(ジェネリック)を使える処方箋のうち、実際に後発薬が処方されていたのは6%にとどまっていることが25日、厚生労働省の調査で明らかになった。医療費抑制の柱として期待されているが、普及が進まない実態が浮き彫りになった。
 調査は08年11月〜09年2月、無作為抽出した全国2千の薬局を対象に実施。有効回収率は47.2%。「後発医薬品に変更できる処方箋」は全体の65.6%あった。
 後発医薬品へ変更するには、従来は医師の署名が必要だったが、08年度の診療報酬改定で「変更不可」の署名がなければすべて後発医薬品に変更できるようになった。しかし、医療機関の24%が、処方した医薬品の9割以上を「変更不可」としていた。
 一方、後発薬の調剤率(処方箋ベース)は前年度の約30%から10ポイント程度上昇した。後発薬の調剤割合が多い場合に報酬が加算されるように改定されたことが影響しているとみられる。

血液製剤データを不正差し替え 田辺三菱、承認取り下げ indexへ

 血液製剤として使うアルブミン製剤の承認申請に必要な試験データを不正に差し替えていたとして、田辺三菱製薬(大阪市、葉山夏樹社長)は24日、承認を取り下げると厚生労働省に届け出た。製品は自主回収する。昨年5月の発売以後、約800人に使われたが、健康被害の報告はないという。
 承認を取り下げるのは、同社とその子会社「バイファ」(北海道千歳市)が共同開発した遺伝子組み換え人血清アルブミン製剤「メドウェイ注5%」。同時期に承認された「メドウェイ注25%」も自主回収する。アルブミン製剤は、やけどや大量出血時に使われる。メドウェイは、酵母を使い遺伝子組み換え技術でつくるため、血液が原料の従来品に比べて感染リスクが低いとされる。遺伝子組み換えのアルブミンでは世界で初めて、07年10月に承認された。
 バイファ社などによると昨年12月、同製品の有効期間を延長するため厚労省に提出した試験データについて「上司の指示で一部を差し替えた」と社員から申告があった。調査したところ、製造販売承認申請で提出した書類についても、データ差し替えが判明。05年10月から07年3月にかけ、ラットで行ったアレルギーの反応試験結果で、品質不適合になったサンプルを、適合するものと取り換えていたという。内部調査で社員は、「上司の指示で差し替えた」と話したという。
 2件のデータ差し替えには2人の元管理職とその部下3人の計5人が関与したとみられる。問題発覚前に退社した元管理職2人は、聞き取りに対し、差し替え指示を否定したという。
 田辺三菱製薬の小峰健嗣副社長は「(バイファ社の社員には)承認を通したいという意図があったようだ」と説明。申請書類などの改ざん防止について「法令順守を徹底し、品質保証体制の見直しを図る」とした。
 同社は、薬害エイズ問題で経営難に陥った旧ミドリ十字を前身とする三菱ウェルファーマと、田辺製薬が07年10月に合併してできた。データ差し替えを指示したとされる元管理職2人は旧ミドリ十字出身だったという。

注射針使わず電流で 痛くない予防接種、京都薬科大開発 indexへ

 注射針を使わずに、弱い電流で薬物を体内に吸収させる「痛くない予防接種」の開発に、京都薬科大や北海道大などのグループが動物実験で成功した。麻酔薬などの投与法では実用化されているが予防接種成分ではできなかった。28日の日本薬学会で発表する。
 薬物に電気を帯びさせて、電流を使って皮膚に吸収させる手法は、注射針のように皮膚を傷つけず痛みもない。日本ではほとんど使われていないが、痛みを極度に嫌う人が多い米国などでは需要があるという。薬を飲み込めない高齢者や飲んでも吐いてしまう人などにも使われる。
 しかし、予防接種成分は、分子量が大きく、電気を帯びにくいため、この手法が使えなかった。そこで、京都薬科大の小暮健太朗教授らは、予防接種成分に、リポソームという電気を帯びやすい物質を混ぜて粒子状にした。ネズミの背中の皮膚に電流を流して送り込むと皮下にまんべんなく広がった。免疫が刺激され、予防接種成分に対する抗体ができたことも確認した。
 インフルエンザでは最初に感染する鼻やのどなどの粘膜に抗体ができると、予防効果が高まるとされるが、予防注射による抗体は主に血液中にできる。今回の方法で、補助に加える物質を工夫すると粘膜にも抗体ができるという。
 小暮教授は「すでに安全性が確かめられている材料のみをそろえれば海外での臨床試験が可能になるかもしれない」と話している。

40代後半で認知症、10万人に27人 厚労省が対策 indexへ

 65歳未満でアルツハイマー病などの認知症を発症した「若年性認知症」の人が、働き盛りの40代後半で10万人に27人の割合でいるとの推計が厚生労働省研究班(代表=朝田隆・筑波大教授)の調査で明らかになった。30代前半は同5.9人、60代前半は同189.3人で、年齢が上がるにつれ急増していた。
 06〜08年度に茨城、群馬、富山、愛媛、熊本の5県で、認知症の人が利用するすべての病院やグループホームなどを調べた。18〜64歳全体の全国推計は約3万7800人で、10万人当たり47.6人が若年性認知症という計算だ。別の手法による97年の推計では2万5600〜3万7400人で、厚労省老健局は「ほぼ横ばい」とみている。
 家族への影響は深刻だ。87人の若年性認知症患者について調べたところ、介護する家族の6割が不眠や食欲不振を訴え、抑うつ状態にあるとみられた。家族を支える現役世代が発症したことなどで、7割で収入が減ったと回答。大半が専門的な支援サービスが必要と訴えたという。
 厚労省は新年度予算案で、初めて若年性認知症対策に1億5400万円をあて、専門のコールセンターを開設する方針だ。

救急受け入れ進まぬ改善 妊婦照会26回も 都市で顕著  indexへ

 総務省消防庁と厚生労働省は19日、08年中の救急搬送における医療機関の受け入れ状況を発表した。妊婦の搬送では26回目の照会で受け入れ先が見つかったケースもあった。大都市部を中心に患者の受け入れ拒否が改善されていないことがわかった。
 調査結果によると、受け入れ先が見つかるまでに4回以上照会したケースは、妊婦や出生後1週間未満の新生児で749件あり、こうした患者の搬送(転院を除く)の4.6%(前年4.8%)を占めた。26回目で受け入れられたのは東京都内で30代の妊婦が搬送されたケースで2時間余り待たされた。07年の最大照会数は43回だった。
 産科や小児科以外のけがや病気で運ばれた重症以上の患者で、11回以上照会したのは903件あり、これらの患者の搬送の0.2%だった。重症以上の患者で、4回以上の照会をした割合を都道府県別にみると、奈良県(12.5%)、東京都(9.4%)、埼玉県(8.7%)、大阪府(8.2%)などが高い。
 受け入れられなかった理由としては、けがや病気の種類にかかわらず、医療機関が「処置困難」と判断した場合が多く、「手術中・患者対応中」「ベッド満床」「専門外」などが目立つ。
 消防庁は、容体に応じた医療機関リストを作成し、搬送先を選ぶルールを都道府県に義務づける消防法の改正案を今国会に提出している。

科研費審査で点数水増し 厚労省担当者、外部委員に依頼  indexへ

 首都圏の公立大教授が申請した厚生労働省の厚生労働科学研究費補助金の審査をめぐり、厚労省の担当者が外部の事前評価委員会の委員に対し、この教授の申請課題の点数の水増しを依頼していたことがわかった。厚労省は審査を白紙に戻し、書類審査からやり直す方針。
 厚労省によると、加点を求めたのは「臨床研究・予防・治療技術開発研究事業」の一分野に申請した大学教授の研究課題。乳幼児から繰り返し発熱する自己炎症性症候群の研究で、4千万円を申請した。
 教授の申請書の書類評価は当初、10点満点中5.6点で、応募した17件中、上から10番目だった。厚労省の担当者は9日、「点数が足りず、(ヒアリングに)お呼することが難しい」と5人の評価委員に電子メールで加点を依頼。3人の委員が応じて評価は5.9点になり、順位も6番目に上がった。18日にヒアリングがあり、他の2件とともに採用が内定した。
 同省の担当幹部は「珍しい病気についての研究で、患者団体からも採用を要望されていた。ヒアリングに進めたいと思い、メールを送ってしまった。公平性の点で不適切で申し訳ない」と話している。
 厚労科研費は研究者に交付するもので、外部評価委員は申請された研究課題を点数化し、上位者にヒアリングをして採用するかどうかを決める。年間予算約480億円。

レセプト電子化撤回求め、医師・歯科医783人追加提訴  indexへ

 11年度から原則義務化される診療報酬明細書(レセプト)のオンライン化をめぐり、全国の医師らが国を相手取り、従う義務の不存在確認などを求めている訴訟で、新たに43都道府県の医師・歯科医師783人が18日、横浜地裁に提訴した。1月に続く追加提訴で、集団訴訟の原告は45都道府県の計1744人になった。
 訴状によると、原告側は、オンライン化に伴って新たにコンピューターの購入が必要になるなど開業医の負担が増し、廃業に追い込まれる可能性があるなどと主張。「(医師の廃業は)国民の生存権につながり、営業の自由にとどまらない重要性がある」などと違憲性を訴えており、義務の不存在確認のほか、1人あたり110万円の損害賠償の支払いを求めている。

警報音、看護師が止めたまま 京大病院で入院患者死亡 indexへ

 京都大学医学部付属病院(京都市左京区)は18日、呼吸困難で入院していた80代女性の容体を観察するモニターの警報音を鳴らないようにしたまま放置したため、女性が心肺停止で死亡する医療ミスがあったと発表した。担当看護師が医師の指示に反して警報音を停止させており、病院側はミスを認め、女性の遺族に謝罪したという。
 同病院によると、女性は昨年12月、甲状腺疾患で気道が狭くなる症状が出たため入院。呼吸ができなくなる恐れがあるため、夜間は血液中の酸素濃度を測るモニターを付けて、ナースステーションで観察する態勢をとっていた。しかし、今年1月5日未明、心肺停止状態となっているのが見つかったという。看護師が、不眠が続いていた女性に配慮してモニターの警報音を止めたため、気付くのが遅れた可能性があるという。

リウマチ治療薬の副作用の疑いで15人死亡 indexへ

 関節リウマチの治療薬「アクテムラ」(一般名トシリズマブ)を製造・販売している中外製薬(本社・東京)は17日、アクテムラを投与した約5千症例の患者のうち、薬との因果関係が否定できない死亡が15症例あることを明らかにした。
 同社によると、アクテムラは体の免疫反応を抑えて関節リウマチの炎症などを抑える。05年4月、リンパ節が腫れるキャッスルマン病の治療薬として製造販売を承認された。昨年4月、関節リウマチなどについて承認されたが、臨床試験(治験)で分からない副作用などを確認するため、厚生労働省はすべての患者の調査を義務づけた。
 今年2月までの10カ月間に、4915症例のうち221症例で「重篤な副作用」があり、死亡の15症例は因果関係が否定できないとされた。
 他の治療薬の副作用と際だった違いは認められないと指摘されているが、同社広報IR部は「厚労省に事実関係を報告した。医師にも改めて適正使用の徹底など注意喚起している」と説明した。

教授ら救急医4人全員が辞職 鳥取大・救命救急センター indexへ

 鳥取大医学部付属病院(鳥取県米子市)の救命救急センターに勤務する救急医4人全員が3月末で辞職する。4人には医学部の教授と准教授も含まれ、教授らは「地方の救急医療の現場は体力的にも精神的にも限界」と訴えている。同センターは同県西部で、重篤患者に対応できる唯一の救急施設。後任の救急医はまだ2人しかめどがたっておらず、4月以降のセンターの機能に不安の声が上がる異例の事態となっている。
 辞職するのは、同センター長で鳥取大医学部救急災害科の八木啓一教授(54)と中田康城准教授、若手医師2人の計4人。若手医師は昨年夏に年度末での退職を申し出て、教授と准教授は昨年末から今年1月にかけて辞職の意思を大学に伝えた。
 同センターは04年10月に開設。06年前半には専任の救急医7人と付属病院の他科からの応援医師2人の9人態勢だったが、退職が相次いで昨年4月から専任救急医師が4人、応援医師が3人の7人態勢に減り、年間900人の患者を受け入れてきた。
 センターによると、当初1人月5〜6回だった当直勤務は月8〜10回まで増え、1人当たりの夜間・休日の緊急呼び出しも急増。若手2人の辞職理由は「体がもたない」だった。
 同センターが後任を探したが、希望者はなく、付属病院の他科も人手不足で応援を増やすのは難しかった。教授と准教授は「センターが壊れるぐらいのショックがないと現場の窮状が伝わらない」と辞職を決めたという。
 救急医不足の背景には、04年度に始まった「新医師研修制度」もある。研修医が自由に研修先を選べるようになったことで都市部の病院に移るケースが相次ぎ、年間四十数人いた同大医学部での研修医は06年には半分以下に減少。研修後、救急災害科の希望者は5年間で今回辞職する若手医師2人だけだった。さらにセンターは老朽化した処置室の整備を大学側に要求したが実現していない。
 付属病院の豊島良太院長は「04年の国立大学法人化以降、補助金が5年で計約10億円減額された。設備の更新もままならず、民間病院のように高報酬で医師を招くこともできない」と話す。
 同病院によると、教授と若手医師1人の後任しか決まっていないという。4月から他科の医師約10人が交代でセンターに入るため、受け入れ自体には支障はないとしている。だが、他科で対応してきた時間外の軽症患者(年間約1万2千人)もセンターで受け入れる運用になる予定で、医師の負担がさらに重くなる恐れがある。

輸血ミスで患者死亡 熊本の病院、別人の血液で型判定 indexへ

 国立病院機構熊本医療センター(熊本市)が13日、救急外来に運ばれた80代の女性患者に誤った血液型の輸血を施し、患者が死亡したと発表した。患者はO型だったが、採血で試験管に別の患者のAB型の血液を入れてしまい、型の判断を誤ったという。
 同病院によると、患者は9日午前11時20分ごろ、肺水腫で呼吸困難になり、熊本市内の別の病院から救急車で救急外来に運ばれてきた。輸血に備えて血液型を判定するため採血した。2本の採血用試験管のうち、1本に別の患者の血液を入れてしまった。この間違った試験管で血液型の判定をし、患者にAB型の輸血をしてしまった。
 血液型判定の試験管は1本でよかったが、誤って患者の名前を書いたラベルを2枚印刷。余分な1枚を別の患者の血液を採った試験管に張り付けてしまったらしい。当時、救命外来には8人の患者がいたという。
 輸血を始めて約7分後に間違いに気づき、輸血は中止されたが、35ccが注入され、患者の意識が低下。集中治療室で治療が行われたが、11日に亡くなったという。

育児日記から製剤投与裏付け 薬害肝炎認定求め提訴へ indexへ

 汚染された血液製剤の投与でC型肝炎ウイルスに感染した可能性が高いものの、カルテなどの記録が残っていない新潟県内の女性が13日、自分の「育児日記」を根拠に、薬害C型肝炎被害者救済法の適用を求める訴えを新潟地裁に起こす。女性は、カルテなどがないために、一度は裁判を断念。しかし、1年がかりで記録を集め、投与を裏付け、提訴にこぎつけた。
 提訴するのは同県上越市に住む調理師久保紀子さん(50)。13年前にC型肝炎の感染がわかり、現在は慢性肝炎になっている。
 久保さんは、「カルテのない薬害C型肝炎の全員救済を求める新潟の会」の会員。約720人の会員で、提訴に至るのは初めて。救済法は昨年1月に成立したものの、薬剤投与を立証する難しさが壁となり、救済される患者は限られている。
 久保さんの場合、これまで大量出血をしたのは長女の出産時だけだったが、産院はすでに廃院、カルテも廃棄されていた。弁護士に提訴を相談したが、この時は、立証の難しさを理由に引き受けてもらえなかった。
 その後、久保さんは、新潟の会の児玉義明・事務局長らの協力を受けながら、証拠を集めた。手がかりの一つになったのは、自分の育児日記。出産した日のページに、「午後より急に悪くなり、点滴4本」と書き込みがあった。
 廃院した産院の村井惇医師(76)の協力もあり、製薬会社から取り寄せた産院への血液製剤の納入記録、久保さんが出産した前後5カ月間の他の患者への投与状況などを調査。こうした資料をつきあわせたところ、点滴は、多くのC型肝炎感染者を出した血液製剤「フィブリノゲン」の可能性が濃厚となった。村井医師も「久保さんの出血量なら、フィブリノゲンを投与していた」と、当時の治療方針を文書にして裁判所に提出してくれることになった。
 児玉事務局長が弁護士と相談。昨年12月、裁判を引き受けてもらえることになった。久保さんは「育児記録をつけていたことや、医師や会の協力があったからこそ提訴できる」と打ち明ける。そのうえで「カルテや証明してくれる医師が見つからず、泣き寝入りしている被害者がたくさんいる。行政や医療機関、製薬会社もできるだけ患者に協力してほしい」と話した。

舛添氏、薬価など決める中医協の見直し示唆 indexへ

 舛添厚生労働相は10日の閣議後会見で、診療報酬や薬価を決める中央社会保険医療協議会(中医協)について、「(国民から見て)すぐわからない、複雑な仕組みは見直した方がいい」と述べ、将来的な見直しを示唆した。
 舛添氏は「厚労省の役人のなかでも専門家以外わからない」と問題点を指摘。医療提供者、医療保険者、公益代表の20人を同省保険局が事実上統括している今の運営を、より国民が議論に参加しやすい形に改めるとともに、産業育成の視点も入れることが望ましいとの考えを示した。
 舛添氏は、製薬や医療機器など、同省の担当分野の産業育成に取り組む計画づくりを進め、3月中の取りまとめを目指している。政府の経済財政諮問会議でも、民間議員側から診療報酬体系の見直しを求める意見が出ており、舛添氏が打ち出す計画の中に同様の考えが盛り込まれる可能性がある。

「視力回復手術で角膜炎、視力低下」 患者が眼科を提訴 indexへ

 東京都中央区の銀座眼科でレーシック手術を受けた患者が角膜炎などを発症した問題で、07年の手術で角膜炎になり視力が低下した都内の男性(34)が2千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたことがわかった。
 男性は9日、同じく07年に手術を受けて角膜炎になった神奈川県の女性(29)や弁護士と厚生労働省で会見した。
 男性によると、07年7月の手術翌日から目が痛くなり、2日後、別の病院で「角膜潰瘍(かいよう)」と診断された。緊急手術を受けたが、矯正視力は手術前の1.0以上から0.4に落ちたという。女性は、同年3月、初めて同院を受診した日に事前検査なしで手術を受け、角膜炎になった。病院側は検査しない理由を「若い人なら大丈夫」と説明したという。
 病院側は患者について08年9月から今年1月に手術した67人と説明しているが、2人はそれ以前の発症。医療問題弁護団は被害相談を電話(03・5698・8544)で受け付ける。

地域医療貢献「若月賞」、夕張の診療所医師に indexへ

 農村での地域医療確立に貢献した故・若月俊一医師の業績を記念し、保健医療分野で草の根の活動をしている人々を顕彰する「若月賞」の09年受賞者に、北海道夕張市立診療所の村上智彦医師(47)が選ばれた。
 村上氏は2年前、夕張市の財政破綻(はたん)で閉鎖された市立総合病院を公設民営診療所として引き継ぎ、予防と在宅医療を核とした地域包括ケアの確立に取り組んできた。村上氏は9日、「ここでの取り組みを見ていてくれた人がいると思うとありがたく、励みになる」と語った。
 7月10〜11日、若月氏を名誉総長としている長野県佐久市の佐久総合病院で表彰式と受賞者の記念講演がある。

タミフル以外も備蓄、東京都のみ 厚労省「別の薬必要」 indexへ

 新型インフルエンザ対策としてタミフル以外の薬を準備しているのは、都道府県別では東京都だけであることが、朝日新聞社の調べでわかった。タミフルは薬が効かない耐性が出る恐れもあるため、厚生労働省は、都道府県に対して新年度から、1割は別の治療薬で備えるよう求めている。
 新型インフル発生に備えた薬の備蓄はタミフルが中心。だが、発生時に薬の効かない「耐性ウイルス」が広がっていれば治療に影響が出る。海外では、新型インフルへの変異が懸念される鳥インフルの一部で、タミフル耐性が確認されるなど危機感が高まる。このため朝日新聞社は2月、47都道府県にタミフル以外の薬の備蓄状況を聞いた。
 その結果、タミフルと同じ抗インフル薬で、別の成分の薬「リレンザ」も備蓄していたのは東京都のみだった。昨年3月時点で2万人分。さらに10年度末までに治療薬の備蓄量を人口の60%にあたる800万人分に引き上げ、その半分をリレンザにするという。一方、46道府県の備蓄はタミフルのみだった。
 国の行動計画では抗インフル薬の備蓄目標は人口の45%。国と都道府県はこれまでに計2800万人分のタミフルを備え、今年度補正予算で1330万人分を追加した。一方、リレンザは国が135万人分、補正予算で133万人分を追加するにとどまる。
 国は飲み薬で使いやすいタミフルを第1選択としてきた。耐性への懸念を受け厚労省は、新年度から1割をリレンザにするよう都道府県に通知した。
 鈴木宏・新潟大学大学院教授(公衆衛生学)は「どんな薬でも耐性が発生する可能性は否定できない。新型インフル対策でも、複数の薬を備蓄しておくことが危機管理上、重要だ」と話す。

「抗うつ薬で攻撃性」副作用の疑い42件 厚労省調査 indexへ

 抗うつ薬「パキシル」など4種類のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を服用した患者が、他人への攻撃性を増したり、激高したりするなど副作用が疑われる症例が08年秋までの4年半に計42件、医薬品医療機器総合機構に報告されたことが分かり、厚生労働省が調査を始めた。製品の添付文書の改訂を指示することも検討する。
 厚労省によると、パキシルのほか、ルボックス、デプロメール、ジェイゾロフトについて、攻撃性、敵意や焦燥感を膨らませるといった報告が寄せられた。07年以降が32件に上る。暴力を振るうなど他人を傷つけるおそれのあるケースが42件中19件あった。同省はメーカー側に報告への見解を尋ね、専門家らの意見も聞いて検討する。
 SSRIは日本で99年に承認された。脳内の神経細胞に情報を伝える神経伝達物質の働きを円滑にさせる効果があり、副作用が少ないとしてうつ病の治療に広く使われている。
 パキシルは00年の販売開始以来の推定使用患者数が100万人を超え、国内のSSRI市場で約5割のシェア。製造販売元のグラクソ・スミスクライン社は「報告の集積状況を見て国とも協議しながら対応を考えたい」としている。他3社も同様の姿勢だ。
 薬害オンブズパースン会議は昨年5月、厚労省などにSSRIの使用実態を調べるよう要望書を出した。水口真寿美事務局長は「攻撃性が増すなどの副作用は海外でも報告があり、日本での報告は氷山の一角」と指摘する。
 専門家の中には、SSRIの副作用でなく、元々の病気や医師の処方との関連を指摘する声もある。防衛医大の野村総一郎教授(精神科学)は「詳しいデータがそろっておらず、医学的評価は難しい。治療効果が上がっている患者が多いことを踏まえ、慎重な対応が必要だ」と話す。

柵や手すりで事故多発 介護ベッドのJIS規定、強化へ indexへ

 介護ベッドのさくや手すり(グリップ)でお年寄りらが死傷する事故が相次ぐ中、経済産業省は20日から日本工業規格(JIS)の規定を強化することにした。手すりの規定を新設したり、さくなどのすき間に一定の力をかけても頭や首が入り込まないようにしたりする。
 経産省には07年5月以降、さくや手すりによる死亡事故が11件、重傷事故が14件報告されている。今年度は手すりの規定をつくり、さくの規定見直しは09年度の予定だったが前倒しした。ただ、JISは任意の規定で強制力はない。
 介護ベッドは構造上、二つのさくの間や頭部ボードとさくの間などにすき間ができる。これまでは「60ミリ以下」と、すき間の寸法だけを定めていたが、頭や首が入り込む事故をなくすため、「直径6センチの円柱を約5キロの力で押しても入り込まない」と改める。手すりについては「上から75キロの力、横から50キロの力をそれぞれ10回繰り返しかけても壊れない」などと性能を定める。
 手すりに衣服の襟首部が引っかかって首が絞まる事故や、手すりのすき間に頭などを挟む事故も起きており、メーカーにそうしたリスクを分析して設計に反映させることも求める。
 介護ベッドの注意点などの情報は、日本福祉用具・生活支援用具協会のホームページ(http://www.jaspa.gr.jp/index.html)で。

期限切れワクチンを子ども4人に接種 愛知の医療機関 indexへ

 愛知県蒲郡市は3日、市内の医療機関「あおば内科クリニック」(鈴木高志院長)が2月に、有効期限を過ぎた風疹と麻疹の混合ワクチンを、1歳と6歳の子ども計4人に過って接種したと発表した。健康被害は生じていないという。
 市によると、ワクチンは2月7日が有効期限だった。いずれも期限を過ぎた後、1歳の女児2人と男児1人、6歳の女児1人の計4人に打った。医師や看護師の確認が不十分だったという。
 市は「事業の主体として責任がある」として、2日に各家庭を訪問して謝罪するとともに、子どもの健康状態を確認したという。接種は改めてする。
 市は今後、各医療機関にワクチンの有効期限確認の徹底を求めるとともに、有効期限の近づいたワクチンについて、市としても各医療機関の在庫状況を確認し、注意喚起するとしている。

鎌倉の医師会立産院 所長、早くも辞意 人事に不満 indexへ

 約2週間前に診療を始めたばかりの神奈川県の鎌倉市医師会立産科診療所の所長・雨森良彦医師(77)が2日、朝日新聞の取材に対し、医師会が行ったスタッフ人事の不満を理由に辞意を表明した。医師会によると、雨森所長以外に常勤医が2人おり、診療に問題はないという。
 同診療所の運営は医師会が担当し、財政面を鎌倉市が支援する全国的にも珍しい取り組みで、注目を集めている。
 雨森所長は「所長はすべてに責任がある立場。しかし、人事を医師会が握り、一部の医師の人事について納得できないので辞める」と述べた。
 雨森所長は2月17日から、別の医師と診療を担当。さらに医師1人が3月1日付で就任し、2日から勤務を始めた。このほか助産師9人、看護師3人、事務職3人が常勤として働いている。
 雨森所長は日赤医療センターの元副院長で、1月1日付で所長に就任した。3月2日は朝から診療に当たり、同日正午前に診療所を去った。
 同医師会の細谷明美会長は「先週末に副会長とともに所長にお会いして、今週中に医師会側の考えを伝えて協議することになっていた。医師会として検討し、対応することになる」と話した。

挿管ミス、群馬大医師を書類送検 業務上過失致死容疑 indexへ

 群馬大学医学部付属病院(前橋市)で07年4月、60代の女性患者が首にカテーテルを挿入された際、大量に出血して死亡した事故があり、群馬県警は、挿入時に動脈を傷つけたことが死亡の原因だったとして、処置をした30代の女性医師を業務上過失致死容疑で前橋地検に書類送検した。
 県警や同大によると、患者は07年4月に入院。食事がとれない状態になったため、同月27日に栄養補給のためのカテーテル(直径約2ミリ)を右頸部(けいぶ)の静脈に挿入しようとして過って動脈を傷つけた結果、肺から大量に出血し、約7時間半後に死亡した。

学会が受精卵取り違え再発防止策 研修受講義務づけなど indexへ

 日本産科婦人科学会(日産婦)は28日、香川県立中央病院の受精卵(胚(はい))取り違え問題を受け、体外受精や顕微授精などの不妊治療をする医療機関の登録基準を強化したり、各施設への安全対策の指導のあり方を検討したりするなどの再発防止策をまとめた。同病院の担当の川田清弥医師(61)は処分しないことを決めた。
 27日に川田医師から説明を受け、28日の理事会で対応を協議した。
 日産婦は不妊治療をする医療機関の登録制を設けており、今後は医師や看護師らに安全管理研修の受講を義務づけ、新たな登録や登録更新の条件にする。
 ただ、研修の中身は各施設に任せる方向だ。不妊治療は大学病院から小規模な診療所まで様々な施設で行われている。実効性をどう確保するかが課題になる。日産婦はリスクマネジメント委員会を設け、現場の安全対策に学会としてどのように関与していくのか検討する。
 また、日産婦は「取り違えは許されない。再発防止に努めたい」との声明を発表。近く各施設の責任者らに送る文書でも研修の受講を勧め、十分な安全対策を求める。
 日産婦は従来、安全対策は各施設が当然行うべきことと位置づけてきた。不妊治療施設の登録基準も、採卵室や培養室、凍結保存室を設置するなどの施設基準と、不妊治療に2年以上従事した専門医を責任者にするといった人的基準だけだった。今回の問題を機に、不妊治療の安全対策に学会として踏み出す。
 川田医師は、受精卵を取り違えた女性以外にも昨年だけで20回以上、複数の胚を移植してきた。多胎児を減らすため、体外受精や顕微授精での胚の移植を原則1個と定めた日産婦の会告(指針)に反するため、理事会で検討したが、処分しないことを決めた。08年4月に会告を改めた際、「厳しい内容なので、違反しても即、処分はしない」と合意していたという。
 受精卵取り違えについても、星合昊・日産婦倫理委員長は記者会見で、「倫理的な問題というより安全管理上の問題。学会が処分するようなものではない。病院に任せたい」と説明した。

民間病院の過半数「運転資金が不足」 153病院回答 indexへ

 民間の病院団体が加盟病院を対象に実施した緊急の経営状況調査で、54%の病院が運転資金は不足していると回答したことがわかった。日本病院会などは「経済状況の悪化が悪影響を及ぼしている」として国に対策を求めている。
 同会が全日本病院協会、東京都病院協会と合同で1月に調べた。対象とした全国670病院のうち153病院から回答を得た。
 運転資金に関する質問では、「大幅に不足」が18%、「不足気味」が36%だった。不足と答えた病院に運転資金の使途を尋ねたところ、人件費が半分を占めていた。「新規借り入れが難しくなっている」と答えたのは48%。63%が資金繰りに苦しんだ経験があった。ただ、患者数は1年前とほぼ同じだった。
 東京都に限ると、62%が運転資金の不足を訴えた。都病院協会の河北博文会長は「診療報酬が全国一律なのに対し、東京は人件費などが高額で経営を圧迫する。地域医療に悪影響を与えかねない」としている。

受精卵取り違え、川田医師から説明聞く 産婦人科学会 indexへ

 香川県立中央病院(高松市)で起きた受精卵(胚(はい))を取り違えた可能性がある問題で、日本産科婦人科学会(理事長・吉村泰典慶大教授)は27日、担当医の川田清弥医師(61)から説明を受けた。川田医師も会見を開き「今後は会告(指針)を順守する」と述べた。同学会は28日の理事会で再発防止策や今後の調査などについて話し合う。
 川田医師から「学会に対して説明をしたい」との申し出で開かれた。理事長ら同学会幹部計8人が、経緯のほか、取り違え疑惑が起きた原因、危機管理の状況、今後の再発防止策などについて聞いた。
 経緯について説明した川田医師は「間違えた可能性があると思った」と話した。吉村理事長は会見で川田医師の判断について「どのようにして取り違えがわかったか、理解できないところがある」と疑問を口にした。ダブルチェックをしなかったことは「マニュアルがないのが問題ではない。なくても当然すべきことだ」と述べた。
 08年4月に改定された会告では「胚の移植は原則1個」だが、川田医師は23人に対し3個の胚を計28回移植していたことが判明。吉村理事長は、指針の内容が海外より厳しいことに触れ「今のところ処罰については考えていない。今後、守っていただきたい」と述べた。
 川田医師は会見で、複数の胚の移植について「妊娠率が高まると考えた」と説明。改定後の違反については「頭の切り替えが遅かった。従来の方法を続けてしまった」と話した。改定前は原則3個だった。

欠品防げ!骨髄採取キットの代替品、スピード承認 indexへ

 薬事・食品衛生審議会(会長・望月正隆東京理科大教授)の医療機器・体外診断薬部会は26日、白血病などの治療のための骨髄移植に使う米バイオアクセス社製骨髄採取キットの製造販売を、申請から1カ月という異例の早さで承認した。
 従来品は米国での製造企業の変更で輸入が止まっていたが、輸入元のバクスターは今回の承認品をすでに600個確保。骨髄移植の中断や、未承認で保険が利かないために患者の負担が重くなる事態はひとまず回避された。
 患者団体、全国骨髄バンク推進連絡協議会の大谷貴子会長は「ホッとした。安定供給のシステムができるか今後も見守りたい」と話す。
 骨髄採取キットは、骨髄移植を行う際、提供者の骨髄をこして骨片などを取り除く使い捨ての機器。移植の治療成績向上に欠かせない。国産品はない。

延命治療中止「数十例」 救急医学会アンケート indexへ

 日本救急医学会の特別委員会(委員長=有賀徹・昭和大教授)が07年10月につくった終末期医療に関するガイドライン(指針)に沿って、これまでに、治る見込みがないと判断された患者数十人の延命治療が中止された可能性があることが、救急医を対象にした同委員会のアンケートで分かった。中止を検討したことがある医師は96人に上る。
 救急医療では本人や家族の意思が分からないまま延命治療を続けるケースがある。現在の法制度では、治療してもすぐに死亡すると予測される場合であっても、医師が治療をやめれば刑事責任を問われかねない。そうした事情は指針ができた後も変わっておらず、調査結果は終末期医療の議論に影響を与えそうだ。
 指針は終末期について、「突然発症した重篤な疾病や不慮の事故などに対して、適切な医療にもかかわらず死が間近に迫っている状態」などと定義。(1)脳死などと診断された場合(2)人工呼吸器などに生命の維持を依存し、移植などの代替手段がない場合(3)治療を続けても数日以内に死亡することが予測される場合(4)回復不可能な病気の末期の場合――と分類し、本人の意思が明らかでなく、家族が判断できない場合は主治医を含む医療チームで延命治療を中止できる、などとした。
 こうした指針の普及ぶりを探ろうと、同委員会は昨夏、全国の救急医2700人余にアンケートをし、715人が回答した。
 延命治療中止のために指針を適用しようとした例が「あった」と答えたのは有効回答の13%に当たる96人。有賀委員長が回答の詳細を検討したところ、中止に至ったと見られるケースが数十例あった。有賀委員長は「複数の患者で中止を検討したと回答した医師もいた」と説明する。
 26日には、福岡大病院で指針に基づき、60代男性の人工心肺装置を止めて延命治療を停止した例があったことが明らかになった。同委員会が把握する数十例に含まれるとみられる。
 指針を適用しようとしたができなかった理由を13の項目から選んでもらったところ(複数回答)、「法的な問題が未解決」(75人)が最も多かった。「家族らの意見がまとまらなかった」などの答えも目立ち、判断の難しさが浮き彫りになった。同委員会は今春、指針の実施情報を集める仕組みを整え、問題点を掘り起こす方針。

日本脳炎新型ワクチン、幼児の定期接種再開の見通し indexへ

 日本脳炎の新型ワクチンについて、厚生労働省の専門家会議は26日、幼児に限って接種を定期化する必要があるとの意見で一致した。今夏の流行期までに再開される見通し。いまのワクチンは副作用が報告された05年から、定期接種が事実上中断されている。
 再開されれば、いまの旧型ワクチンで中学生が寝たきりになったとして、厚労省が「接種を積極的に勧奨しない」と勧告した05年5月以来。新ワクチンは今月23日に薬事承認された「ジェービックV」で、旧型より副作用が少ないとされる。
 ただ、当面は供給量が限られるとして、厚労省は予防接種を実施する自治体に対し、積極的な勧奨は求めない見通し。また、9歳以上の子への接種の定期化については、引き続き検討する。
 日本脳炎は蚊を介して感染。発症すれば根治療法がなく、死亡や後遺症が残る率が高い。定期接種再開を求める声が高かったが開発が遅れ、その間に接種を逃した子らの感染が懸念されている。

視力手術で角膜炎 開院3年、滅菌装置の点検なし indexへ

 東京都中央区の銀座眼科で視力回復のためのレーシック手術を受けた67人が角膜炎などを発症した問題で、溝口朝雄院長が区保健所の立ち入り調査に対し、3年前の夏の開院以来、手術器具の滅菌装置を「点検していなかった」と話していることが26日、わかった。開院当初から感染防止体制がずさんだった恐れが高まり、区保健所は発症者が出た昨年9月〜今年1月以外の時期に手術を受けた人にも発症者がいないか確認するよう同眼科に指示した。
 区保健所によると、銀座眼科は06年8月の開院。今回の集団発症は角膜を削る手術器具の消毒に使う高温高圧の滅菌装置に不具合があって滅菌が不十分だった疑いがあるが、溝口院長は「メンテナンスをしなければいけないという認識がなかった」と話したという。
 また溝口院長は「手術は手袋をせずに行うこともあった」とも話しているという。手洗い場から手術室に向かうには汚れ物を洗うシンクの脇や待合室を通る必要があった。手洗い場に備え付けの消毒薬は規定濃度になっていなかったこともわかった。

49歳女性が体外受精出産 自分の卵子では国内最高齢か indexへ

 札幌市の49歳の女性が市内の産婦人科医院で、自分の卵子と夫の精子を使った体外受精で妊娠し、昨年11月に女児を出産していたことが分かった。日本生殖医学会理事長の田中俊誠(としのぶ)秋田大教授(産婦人科学)は「自分の卵子を使った体外受精で出産した例としては、国内最高齢の可能性が高い」と話している。
 不妊治療をした「神谷レディースクリニック」の神谷博文理事長によると、女性は昨年2月、卵子に精子を直接注入する顕微授精を行い、妊娠した。48歳6カ月の時に採卵した卵子だった。11月、市内の別の病院で体重約2400グラムの健康な女児を出産したという。
 女性は00年から同クリニックで治療を受けていた。神谷理事長は「40歳を超えると卵子の老化が進み、妊娠・出産が難しくなる。この女性の場合は、卵子の活動が活発だったため成功した」と話す。
 田中教授は「不妊に悩む人の希望になる。ただ、今回のように妊娠・出産に至るのは非常にまれで、いたずらに長期間の治療をすれば、患者にとって精神的にも経済的にも負担になる危険性がある」と指摘する。
 厚生労働省の人口動態統計によると、45歳以上の高齢出産は増えているが、卵子の活動の衰えや閉経などのため、他人から卵子の提供を受けるケースが多いとみられる。

受精卵3個移植28件、学会指針に抵触 取り違えの医師 indexへ

 香川県立中央病院(高松市)で不妊治療を受けた20代の女性患者に他人の受精卵が移植された問題で、担当の川田清弥医師(61)が、複数個の受精卵の移植を原則禁じた日本産科婦人科学会の会告(指針)に反して、28件(23人)に3個の受精卵を移植していたことがわかった。同病院が25日に発表した。指針は多胎妊娠を防ぐためだが、患者2人が双子を妊娠、出産していた。
 同病院によると、学会指針が出た昨年4月以降、川田医師は患者70人に対し83件の移植を実施した。指針に違反したのは、今回の問題で人工中絶した20代の女性を含む26〜46歳の23人。18人が35歳以上だった。いずれも最初に受精卵2個を移植した数日後、別の受精卵1個を移植していた。
 この結果11人が妊娠し、2人が双子で、9人が1人だけの妊娠だった。9人のうち1人は流産した。生まれた双子4人のうち3人が低出生体重児(2500グラム未満)だったが、経過は良好で母体にも異常はなかったという。
 川田医師は、患者に「(複数移植は)妊娠の可能性を高めるためだが、多胎妊娠などの可能性もある」と説明していた。しかし、指針に抵触していることには触れなかったという。
 指針は、妊娠可能な同じ期間に移植する受精卵の個数を「原則一つ」と定めている。35歳以上か2回以上続けて妊娠が成立しなかった場合は、2個の移植を認めている。

レーシック手術の患者、角膜炎に集団感染 東京の眼科 indexへ

 東京都中央区保健所は25日、同区銀座6丁目の銀座眼科で視力矯正のレーシック手術を受けた639人のうち67人に、感染性角膜炎などの集団発生があったと発表した。同保健所が立ち入り調査した結果、医療器具の滅菌処理が不十分だったことなど、衛生管理の不徹底が原因として疑われているという。
 同保健所によると、今のところ、67人が08年10月から今月23日にかけて発症、1人が入院したという。
 同眼科は06年8月開設。レーシック手術は、角膜屈折矯正手術の一種で、角膜に特殊なレーザー光を当てて角膜の形を変えることで視力を回復させる。

取り違え医師、3割が複数受精卵移植 院長の注意後も indexへ

 香川県立中央病院(高松市)で不妊治療を受けた女性に他人の受精卵を移植した可能性がある問題で、昨年4月以降、担当の川田清弥医師(61)が実施した移植の約3割で、複数の受精卵の移植をしていたことが同病院の調査でわかった。日本産科婦人科学会は昨年4月の会告(指針)で複数の移植を原則禁じている。
 同病院によると、川田医師は昨年4月以降83件の受精卵移植を実施。女性には「妊娠の可能性を高めるため」と説明し、3個を移植していた。松本祐蔵院長は取り違え問題の報告を受けた昨年10月31日、川田医師に「指針を守り、2個の移植はしないように」と口頭で注意。だが、その後も指針に抵触する治療が2件あったという。
 学会指針では35歳以上か2回以上続けて妊娠不成立の場合を除き、移植個数を「原則一つ」と定めている。
 不妊治療専門のIVF大阪クリニック(大阪府東大阪市)の福田愛作院長は「指針は法律のように拘束力はなく、ひとつの基準だ。不妊治療患者の希望は切実で、川田医師は指針を守る意識を失っていたのでは」と話した。

受精卵3個を移植 学会指針に抵触 香川・取り違え indexへ

 香川県立中央病院(高松市)で不妊治療を受けた20代の女性患者に他人の受精卵を移植した可能性があるため人工中絶した問題で、担当の川田清弥医師(61)が3日間に、本人のものを含む3個の受精卵を移植していたことがわかった。日本産科婦人科学会の会告(指針)は、多胎妊娠を防ぐため複数の移植を原則禁じている。川田医師は同病院の調査に対して、「指針への抵触を認識しながら、過去にも同じような移植をしていた」と認めたという。
 同病院によると、川田医師は昨年9月中旬、2度に分けて受精卵を女性患者に移植。初回は2個、その2日後に行われた2回目は1個だった。このうち2回目が別の患者の受精卵の可能性が高く、初回の2個は本人のものという。
 川田医師は女性に「妊娠の可能性を高めるため2度に分ける」と説明し同意を得ていたとしているが、指針に抵触するとは説明しなかったという。病院側はどの受精卵が育ったかを確認しないまま、「中絶するなら早期に」と結論づけ、女性は同11月中旬に中絶した。
 学会の指針は昨年4月に出され、35歳以上の女性や2回以上続けて妊娠不成立の女性を除き、妊娠可能な同じ期間に移植する受精卵は「原則として単一」と定めている。35歳以上などであっても、移植数は「2胚(はい)(受精卵)」としている。
 川田医師は過去にも指針に抵触する移植を実施していたことを認めた上で、「最初に移植した胚による妊娠の可能性は低いと考えた。反省している」との談話を出した。日本産科婦人科学会は「事実関係を調査し、28日に開く理事会で対応を協議する」としている。

フィリピンで看護師と介護福祉士探し indexへ

 【マニラ=松井健】日本とフィリピンの経済連携協定(EPA)に基づいて日本に派遣されるフィリピン人看護師・介護福祉士の候補者に対する日本側の面接が23日、マニラで始まった。面接は他都市でも実施されており、今後、候補者と病院などの施設双方の希望を踏まえ、日本側で受け入れを担当する国際厚生事業団が4月上旬までに受け入れ施設を決める。来日は5月上旬になる見通し。
 マニラではこの日、受け入れを希望する日本の29施設が候補者に給与などの条件を説明した。福岡県の病院は「本気で日本の看護師資格をとらせたい。意欲のある真剣な看護師を選ぶ」。徳島県の特別養護老人ホームの担当者は「人手不足からではなく、将来への先行投資として優秀な人をとりに来た」と話した。
 フィリピンの海外雇用庁によると、日本行きの希望を登録したのは約6千人。このうち資格要件を満たし、必要な書類を提出した人の中から看護師231人、介護福祉士305人の計536人を候補者として選んだ。
 実際に派遣されるのは看護師200人、介護福祉士250人の予定だが、日本側で看護師の派遣を希望する施設が少なく、看護師は枠を下回る可能性がある。

薬害エイズ、松村元厚生省課長に医業停止1年 厚労省 indexへ

 厚生労働省は23日、医道審議会の答申を受け、薬害エイズ事件で有罪判決が確定した松村明仁・元厚生省生物製剤課長を医業停止1年に、須山忠和・元旧ミドリ十字社長を免許取り消しにするなど、医師28人と歯科医師19人の計47人の行政処分を発表した。
 対象者のうち、免許取り消しは4人で、2年〜1カ月の業務停止が37人、戒告は6人。1人を除き、3月9日から発効する。
 松村元課長と須山元社長はエイズウイルスに汚染された非加熱濃縮血液製剤について回収を命じるなど適切な措置を取らなかった結果、患者を死亡させた過失責任を問われ、逮捕・起訴された。
 松村元課長は去年3月、禁固1年執行猶予2年の有罪判決が確定。須山元社長は05年6月に禁固1年2カ月の実刑が確定した。2人の処分の差について厚労省医事課は「刑事処分の量刑や判決の内容を勘案しながら審議して頂いた」としている。
 また、厚労省研究事業の補助金をめぐる詐欺事件で、計約590万円をだまし取ったとして詐欺罪などに問われ、懲役1年6カ月の実刑判決を受けた中村健二・元厚労省技官は免許取り消しにした。
 このほかの主な処分は次の通り。(呼称略、勤務先は当時)
 【免許取り消し】松井茂光=覚せい剤取締法違反▽レインボークリニック(東京都台東区)宮本克=準強制わいせつなど
 【業務停止2年】名古屋市立大(名古屋市)伊藤誠=収賄▽いわき市立総合磐城共立病院(福島県いわき市)山尾秀二=業務上過失致死など
 【業務停止1年】京成江戸川クリニック(東京都江戸川区)小倉暢夫=医師法違反

受精卵容器、机に複数 同時作業でミス 香川・取り違え indexへ

 香川県立中央病院(高松市)で不妊治療を受けた20代の女性患者Aさんに別の女性患者Bさんの受精卵を移植した可能性があるため人工中絶した問題で、受精卵を取り違えたとされる作業台に、Bさんのシャーレを含む四つ以上のシャーレが置かれていたことが分かった。いずれも患者を識別するふたが外されており、誰のものか分からない複数のシャーレを同時に扱うというずさんな作業の中で、取り違えるミスが起きた可能性が出てきた。
 病院によると、昨年9月18日、同病院で不妊治療を担当している川田清弥医師(61)は産婦人科のある病棟5階の作業部屋で、1人で受精卵の成長具合の確認や培養液の交換作業をしていた。この日はAさんとBさん、もう1人の計3人の受精卵を扱ったという。
 川田医師はBさんの作業が終わっても、廃棄するBさんの受精卵の入ったふたのないシャーレを一つ作業台に置きっぱなしにした。このとき、シャーレの中にBさんの受精卵がいくつあったか確認しておらず記録もないという。
 川田医師は続いて、Aさんの受精卵の入ったシャーレを培養器から取り出し、同じ作業台に並べた。Aさんのシャーレは三つ以上だったという。川田医師は20日の記者会見で、Bさんのシャーレを残したまま作業したことについて「うっかりミス。よけたつもりが残っていたのでは」と話している。
 シャーレはいずれもプラスチック製で直径約5センチの皿状の容器。通常、一つのシャーレに複数の卵を入れて管理し、培養器で受精卵を移植できる状態まで成長させる。
 同病院では当時、受精卵の入ったシャーレがどの患者のものか、ふたに張った無記名の5色のシールで識別していたが、シャーレ本体に識別用の印はなく、ふたを外すと誰のものか分からなくなる。
 川田医師はAさんのシャーレのふたを外して作業を続行。それぞれの受精卵の成長を顕微鏡で観察した後、Aさんの受精卵を二つの新しいシャーレに移し替える行為を繰り返した。このとき、Bさんの受精卵も新しいAさんのシャーレに移した可能性が高いという。川田医師は、新しいシャーレに移された受精卵の一つを「成熟がいい」と思った記憶があると話している。
 川田医師は、新しい二つのシャーレを培養器に入れ、Aさんの作業を終えた。Bさんの受精卵が混入すれば、Aさんの受精卵が一つ増えるが、作業過程で受精卵の個数の記録があいまいで、ミスに気付かなかった。
 川田医師は記者会見で「これまで2検体を同時に扱うことはなかった。今回だけ」と話した。疑念を持つまでは「いい胚(はい)(受精卵)だ」としか思わず、Aさんの妊娠経過が順調なことで疑いを持って考えた結果、「あのときかな」と気がついたと説明している。


受精卵の廃棄数記録せず 取り違え検証「記憶たどり…」 indexへ

 香川県立中央病院(高松市)で不妊治療を受けた20代の女性患者に他人の受精卵を移植した可能性があるため人工中絶した問題で、担当医が受精卵の廃棄数を記録していなかったことがわかった。記載された受精卵数もチェックが甘くて信用できなかったため、病院側は担当医の記憶でしか取り違えを検証できなかった。担当医は「作業時の私の行為の感覚が手と頭の中に残っている。感覚的には間違ったと思っている」と話している。
 担当した川田清弥医師(61)によると、昨年9月中旬、別の患者Bさんの廃棄用の受精卵を入れたシャーレを作業台に置き忘れたまま、女性患者Aさんの受精卵の入ったシャーレを並べて生育状況をチェックした。
 当時、患者を識別するシールは、シャーレのふただけに張られていたが、先に置いてあったBさんのふたは廃棄されていた。このため、BさんのシャーレをAさんのものと思い込んだという。この受精卵はAさんのものとしては生育状況が良く、その後間もなく、Aさんに移植された。
 専門医によると、取り違えを防ぐためには、各患者ごとの受精卵数や廃棄数、成長率、作業日時などの詳細な管理記録が欠かせない。日本産科婦人科学会は記録の作成を求めているが、記載の項目や内容は各病院に任されているという。
 県立中央病院によると、川田医師は昨年1月に作業結果を管理するデータベースをコンピューター上に作成し、ほぼ1人で記録していた。当時、受精卵数などを示す欄はあったが、廃棄数を入力する欄を設けていなかった。
 さらに受精卵数のチェックも甘かったという。培養のため複数の受精卵を別のシャーレに移し替えた際、実際に移動できたかを顕微鏡で確認する必要があるが、それを怠ったまま記録していたという。
 廃棄数を記録し、移し替えた受精卵の数が正確であれば、両者を足し合わせた数と、作業前の総数を比較することで取り違えがわかる。このチェックができないため、同病院は「川田医師の記憶でしか取り違えを検証しようがない」と判断し、Aさんが人工中絶するなら早期の方がいいと結論づけた。
 川田医師は20日の記者会見で、取り違えた可能性に気づいた理由について、「確たる証拠はなかったが、記憶をたどりながら間違ったのではないかと。自分の頭の中で検証した」と話した。
 全国の不妊治療施設を対象に、取り違え防止マニュアルの整備状況などを調査した「蔵本ウイメンズクリニック」(福岡市博多区)の福田貴美子看護師長は「記録方法や手順について統一した指針が必要だ。さらに全施設に順守してもらうような仕組みも欠かせない」と話している。

受精卵「1人で扱う」、ほかの病院も 背景に人件費抑制 indexへ

 香川県立中央病院(高松市)で不妊治療を受けた女性患者に他人の受精卵を移植した疑いがあり人工中絶した問題は、担当医が1人で受精卵を扱う作業を続けていた環境がミスを誘発したとされる。こうした「1人作業」はほかの病院でもあり、現場からは不安の声が上がっている。背景には、人件費抑制で医師を補助する「培養士」の雇用が難しい事情もある。
 「昨年まで産婦人科の医師としてお産や手術、外来、中絶をこなしながら、1人で不妊治療にあたっていた。事故が起こらないかと怖かった」
 西日本の公立病院で、10年近く1人で不妊治療を受け持つ40代の男性産婦人科医は打ち明けた。受精卵や精子の取り違えを防ぐため、患者は年30人程度に抑え、作業には細心の注意を払ってきた。それでも1人の作業は不安だったという。
 受精卵を扱っているさなかに妊婦の陣痛が始まることもあった。「慌てず間違えないように」。自分に言い聞かせながら、急いで片づけて出産に向かった、と振り返る。
 病院には、受精卵の培養・管理で医師を補助する「胚(はい)培養士」が必要と訴え続け、今年ようやく1人の雇用が認められた。一方、不妊治療は収益が上がるため、病院から「もっと患者を受け入れて」と言われたこともあったという。「公立病院は経営が苦しく、新規雇用は厳しい。香川県立中央病院も同じ状況ではないか」
 香川県立中央病院では胚培養士が3人いたが、いずれも検査技師と兼務で、担当医の川田清弥医師(61)が1人で受精卵を扱うことが多かったという。20日の記者会見で川田医師は「医師である私が検査技師や胚培養士の勤務態勢を決めることはできない。私の力のなさ」と話した。
 「民間では専門家である胚培養士を雇って任せるのが一般的」。不妊治療専門医院であるASKAレディースクリニック(奈良市)の中山雅博院長は「医師が診療の合間に培養作業や管理まで行うのは負担が大きすぎる。役割分担が必要だ」と指摘する。
 日本生殖再生医学会(事務局・横浜市)の森崇英理事長も「医師が1人で何でもやるのは、体外受精が始まったころの昔の話。胚培養士のほか、生殖医療のカウンセラー、専門の看護師でチームをつくらなければ医師が疲労し、ミスが起こる」と話す。
 胚培養士の団体「日本臨床エンブリオロジスト学会」(本部・浜松市)によると、胚培養士も人手不足だという。「培養士が少ないうえ、都市で奪い合うため、地方は人を確保しづらい状態。培養士も1人で作業をしている施設が大半だろう」

「医療費に不安」2年前より5割増 NPO調査 indexへ

 将来の医療費について「非常に不安」と感じる人の割合が2年前に比べ、約5割増えていることがNPO法人日本医療政策機構(代表理事・黒川清政策研究大学院大教授)の調査でわかった。20、30歳代で割合が高く、「雇用や経済の急速な悪化が健康問題にも影響し始めているのでは」と分析している。
 調査は1月、20歳以上の男女1650人を対象に実施。回答があった1016人の答えを分析した。
 自分や家族が深刻な病気にかかった時、医療費を払えない恐れについて「非常に不安」と回答した人の割合は43%。07年調査の29%を大きく上回った。「ある程度不安」とする人は同じ44%だった。
 世代別では20、30歳代はともに50%が「非常に不安」と回答。70歳代以上は33%と最も少なかった。
 職業別にみると、パートやアルバイトなど非正規雇用の人で「非常に不安」は55%と最多。会社員・団体職員・公務員の45%、自営業の35%に比べ、際立っていた。

「治療に不安」苦情や相談60件超 受精卵ミスの病院に indexへ

 香川県立中央病院(高松市)で起きた受精卵の取り違え問題を受け、同病院に開設された電話相談窓口に「(自分が)過去に受けた治療について調べ直してほしい」との訴えや苦情が相次いでいる。21日午後1時までに計65件にのぼっている。
 同病院は、今回の問題を公表した翌日の20日、相談窓口を設置。過去に同病院で体外受精を受けた患者らが対象で、初日は、自身の治療をめぐる不安を訴える相談が9件、苦情が42件あった。21日も午前8時半の受け付け開始後、電話が入っているという。
 内容は「不妊治療をこのまま受けても大丈夫なのか」「治療を続けてもらえるのか」との問い合わせのほか、今回の問題を起こした川田清弥医師(61)が治療を継続していることへの苦情もあったという。同病院は過去の治療については、カルテなどを調べて返答する。
 川田医師は20日の会見で、これまでに実施した体外受精について、「(ミスやトラブルなどの)ヒヤリ、ハッとしたことは何度かあったが、今回のケース以外に取り違えた可能性のあるものはない」と話した。

広島大小児科医師、年度末に10人辞職 「体力もたぬ」 indexへ

 広島大学病院小児科医局の医師10人が今年度末で辞職することが、広大への取材でわかった。ほかに、昨年9月からすでに2人が辞職し、今年4月以降も1人が辞める見込み。4月に後期研修医7人が入局するが、同医局がこれまで通りに地域の各病院に医師を派遣するのは困難で、小児医療が十分提供されなくなるおそれがある。
 広大によると、同医局には約120人の医師がおり、うち約100人が広大病院以外の広島県内の公立と民間の30病院へ派遣され、常勤している。大学病院内で勤務している医師たちも、診療や研究のほかに多い人で1カ月に9回は広大以外の病院で非常勤として働き、うち3回は当直をこなしている。
 3月末で辞職するのは、広島市立舟入病院(広島市)や呉共済病院(呉市)に派遣されている医師ら8人と、広大病院内で勤務する2人。辞職する医師たちのほか、昨秋から今年度末までに3人の医師が出産にともなう休暇に入る。このため4月以降は各病院への派遣体制を見直さざるを得なくなり、入院機能を維持できずに、外来のみとなる病院が出てくる可能性もある。
 呉共済病院では、4人の小児科医のうち広大からの1人が年度末に退職するため、市内の3病院で実施している夜間救急輪番制のあり方を見直すよう関係機関に求めているという。
 13人の辞職理由は「県外の医療機関に赴任する」5人、「開業する」4人、「家庭の都合」2人、「眼科医になる」1人などだが、多くが「疲れた。体力が持たない」と述べているという。小児科は夜間に診療を希望する患者が多く、他科より勤務がハードだとされる。
 医師の大学病院離れの背景には、04年に始まった国の新臨床研修制度がある。制度によって、新人医師は大学の医局を経ずに自らの意思で全国どこの病院でも研修先に選べるようになった。大学病院の医局に入ると中山間地域へ派遣されることなどを理由として、都市部の民間病院に人気が集中。大学病院で研修する割合は新制度実施前の7割から半分以下に減少した。地域医療を担う大学の医局は、従来通りの派遣機能を維持することが難しくなり、急な人員減にも対応できなくなっている。
 広大の小林正夫教授(小児科学)は「大学病院以外の病院にも地域の病院への派遣機能を持ってもらわないと、地域医療は破綻(はたん)する」と話している。

「黙っていようか葛藤…人として報告」 受精卵ミス医師 indexへ

 香川県立中央病院(高松市)で不妊治療を受けた20代女性に別の患者の受精卵を移植した可能性があり人工中絶した問題で、担当した川田清弥医師(61)が20日夜、同市の県庁で記者会見し、体外受精について「ダブルチェックの態勢をとらず、私1人でやっていた」と明かした。受精卵を取り違えた原因として、「原則を守らず、最初の検体を片づけずに、同じクリーンベンチ(作業台)で次の人の検体の作業をした」と説明した。
 会見は午後9時に始まり、同病院の松本祐蔵院長が同席した。川田医師は会見の冒頭、「患者や家族の皆さんに心よりおわび申し上げます」と謝罪。取り違えた可能性に気付いた状況について、「(被害女性が)妊娠した時、あまりに胚(はい)がどんどん成熟するので、これまでの女性の診察の経験から『間違えたのでは』とがくぜんとした」と述べた。
 また、このまま黙っていようと心の中に葛藤(かっとう)があったと認め、「(隠蔽(いんぺい)は)人間として許されないと考えた」と述べた。

「本当にこの1件だけか」受精卵取り違えで野田科技相 indexへ

 香川県の病院が不妊治療中の夫婦の受精卵を取り違えた可能性がある問題について、野田科学技術担当相は20日の閣議後会見で「厚生労働省は不妊治療をしている施設の実態把握がまだできていないはずだ。(取り違えの可能性は)本当にこの1件だけなのか、疑念の思いが大変強い。これを機に不妊治療の全国の状況を徹底的に調べてほしい。こうしたケースを未然に防ぐために、国がきちっと指導監督していかなければならない」と述べた。野田科技相は病院や不妊治療などの所管大臣ではないが、自ら不妊治療を受け、その体験をつづった著書もある。体験者の一人として記者の質問に答えた。

受精卵取り違え妊娠、中絶 香川県立中央病院 indexへ

 香川県は19日、県立中央病院(高松市)で昨年9月中旬ごろに体外受精をした不妊治療中の20代女性に対し、過って別の患者の受精卵を移植した可能性があるため、同11月に人工妊娠中絶をした、と発表した。妊娠9週目だった。病院は女性に謝罪したが、女性とその夫は「精神的な苦痛を被った」などとして、慰謝料など約2千万円の支払いを県側に求める訴えを今月10日に高松地裁に起こしている。
 日本産科婦人科学会によると、不妊治療の際に受精卵を取り違えて別の女性の子宮に移植し、その女性が妊娠に至った例は初めて。95年に石川県の産婦人科診療所で受精卵を取り違えた例が報告されているが、この時は妊娠しなかった。
 同病院によると、別の患者の受精卵を移植された可能性がある女性は、高松市に住むAさん。Aさんは昨年4月から同病院で不妊治療を開始。産婦人科の男性担当医(61)が同9月中旬ごろ、Aさんに対し、別の女性Bさんの受精卵を間違えて移植した疑いがあるという。
 体外受精した受精卵を移植するには培養が必要で、担当医は移植前に、受精卵を顕微鏡で確認したり培養液を入れ替えたりする作業をしていた。その際、Aさんの受精卵が入ったシャーレだけでなく、事前に同じ作業をしていたBさんのシャーレも作業台に置いていたという。移植したシャーレのふたにはAさんであることを示すシールが張ってあったが、ふたが入れ替わってBさんのシャーレをAさんのものと間違えた可能性が高いという。
 担当医は昨年10月にAさんを診察。同7日に超音波検査で妊娠を知り、同16日にも経過が順調であることを確認した。だが、過去の治療からAさんの受精卵がこの時期に妊娠可能なほどに成熟する可能性が低かったことを思い起こし、これまでの作業内容を点検した結果、入れ替えの可能性に気付き、同31日に院長に報告した。
 担当医と産婦人科主任部長は院内で経過を検証後、昨年11月7日、Aさん夫婦に受精卵を誤った可能性が高いことを説明し謝罪。「妊娠15週目に入ればDNA鑑定などにより確定の可能性が高いが、母体に負担が大きい中絶になる」と病院側から説明を受けたAさん夫婦は人工妊娠中絶を決断した。病院側はBさん夫婦にも説明、謝罪している。
 病院によると、担当医は不妊治療が専門で、93年から体外受精の治療をしていて、これまでに約1千件の実績があるという。同病院では人工授精の作業をほぼ1人で担っていた。担当医は病院に対し「注意不足だった。非常に反省している」と話しているという。
 Aさん側からの訴状が18日夕に届いたことから、県は19日に発表した。

「がんに効く」うそ勧誘で11万人 錠剤205億円売る indexへ

 「がんに効く」などとうその説明で勧誘し、健康食品を売ったとして、経済産業省は19日、「フォーリーフジャパン」(大阪市北区)に対し、特定商取引法に基づき、新規勧誘などを20日から6カ月間禁ずる業務停止命令を出した。
 同社は「ファースト・リーフ」という錠剤を会員登録料3千円、毎月1万3600円で販売。新たに会員を勧誘すれば紹介料が得られる連鎖販売(マルチ商法)の仕組みだった。勧誘の際、会社や商品名を出さずに、全国各地の「セミナー」に中高年者らを誘い出し、根拠がない効能を強調して売り込んだという。
 同省によると、同社は08年3月期で約205億2千万円の売上高があり、個人会員は全国で11万人を数える。各地の消費生活センターに昨年9月までの約3年間で千件以上の苦情が寄せられていたという。

新卒医師研修、実質1年に 厚労・文科両省が短縮案 indexへ

 新卒医師に2年間義務づけられている臨床研修制度について、厚生労働省と文部科学省の合同検討会は18日、必修診療科を現行の7から5に減らし、実質1年に短縮できる案をまとめた。両省は省令改正など必要な手続きを行い、10年度実施を目指す。
 研修医を専門医として早期育成し、地方で深刻な医師不足の解消につなげる狙い。だが、医師の基本的な診療能力を高めようと始まった制度の趣旨をゆがめると民間病院団体などは批判する。
 同検討会がまとめた報告書では、必修は、内科(6カ月以上)と救急(3カ月以上)、地域医療(1カ月以上)の三つ。外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科の5科から2科を「選択必修」として研修する。その他は各病院の判断で弾力的にプログラムを作ることができる。
 現行では7科・部門が必修のため、今より少ない診療科で基本的な研修を終えることが可能になる。一方、各病院が現行と同様に多数科を回るコースを作ることは認める。
 また、報告書は、研修医が都市部に集中するのを避けるため、都道府県別や病院別に定員枠を設け、地域偏在を正す考えも示した。
 臨床研修制度は、医師の臓器別の専門性が高まった一方、患者の体全体を診る力が足りないとの指摘を受け、04年から導入。だが研修先として都市部の民間病院に人気が集まり、大学病院で研修する新卒医師は実施前の7割から半分以下に減少。この影響で大学医局が若手医師を各病院に派遣する余力を失い、地域の医師不足を招いた、と批判され、制度変更を求める声が高まっていた。

審査基準、厚労省介入前に戻す 神奈川県診療報酬基金 indexへ

 歯科医からの診療報酬請求の審査に厚生労働省が介入したことで、請求を認めない減額処分が1月は約10分の1に減った神奈川県社会保険診療報酬支払基金の審査委員会は18日、審査基準を厚労省の介入前に戻す方針を決めた。
 厚労省は1月、神奈川基金を管轄する関東信越厚生局神奈川事務所を通じて審査委員会に具体的な項目を示し、審査基準を変更するよう求めた。これを受けた委員会は、問題のあるレセプト(診療報酬明細書)の減額措置である「査定」をやめ、原則として、医療機関に戻す「返戻」で対応した。
 この結果、全国的にも厳格とされていた神奈川基金の1月の査定件数は通常の約1万件から千件程度に減り、査定率が最も低い大阪府のレベルに落ちた。

HIV感染者数、最多の1113人 indexへ

 厚生労働省のエイズ動向委員会は18日、08年の1年間に国内で新たに報告されたエイズウイルス(HIV)の感染者数(速報値)が、前年より65人増えて過去最多の1113人だったと発表した。新たに発症が確認されたエイズ患者も432人で過去最多だった。
 厚労省によると、HIV感染者の男女別は、男性1049人、女性64人。感染経路は、同性間の性的接触が約7割の772件、異性間の性的接触が約2割の219件。年齢別では特に20〜30代が多いが、40代以上も前年より増えた。
 同委員会は「年齢分布が広がる傾向にある。早期発見は早期治療につながるので、検査や相談の機会を積極的に利用してほしい」としている。

公立病院特例債、全国で572億円予定 最多は北海道 indexへ

 総務省は18日、経営難の公立病院を抱える自治体に発行が認められる公立病院特例債の発行予定額が全国で572億5千万円になると発表した。都道府県は沖縄県のみ、政令指定都市は名古屋と神戸の2市、一般市町村は一部事務組合も含めて49市町村・組合が発行する。
 地域別では、北海道の136億2600万円(12市町)が最も多く、大阪府の90億1200万円(5市)、青森県の56億2700万円(8市町)が続いた。同省自治財政局によると、医師不足で採算がとれなくなったり、財政難で一般会計から病院事業に繰り入れできなかったりした自治体が多い。
 病院特例債は、不良債務の増加が激しい公立病院を抱える自治体に08年度に限って発行が認められ、利払いは国が地方交付税として負担する。08年度の地方債計画では600億円を病院特例債として計上していた。

おかゆ食指示の患者に通常食、窒息死 平塚市民病院 indexへ

 神奈川県平塚市の平塚市民病院は17日、おかゆ食(軟食)にしなければならない入院患者の女性(79)に、通常の食事(常食)を出してしまったため、女性が野菜などをのどに詰まらせて窒息死した、と発表した。管理栄養士や看護師が軟食の指示を見過ごしたという。
 病院によると、15日午前8時40分ごろ、前日に入院した女性が食事後、吐いているのを看護師が見つけた。女性は約1時間後に死亡した。
 朝食は「全がゆ、副食は刻み」と指示されていたが、米飯と魚、キャベツとニンジンのソテーが出されていた。病院食作りは給食会社(本社・東京)に委託し、同社の管理栄養士(24)がパソコン上の食事の指示を見落とした。さらに食事を運んだ看護師(22)も、引き継ぎ書類の「軟食」を見ていながら、そのまま食べさせたという。
 石山直巳院長は「ご本人および家族に心からおわびいたします」と陳謝した。

大人並み400ミリ献血、男子は17歳に引き下げへ indexへ

 若者の献血を増やすため、厚生労働省は17日、1人あたり400ミリリットル採血する年齢基準を、現行の18歳から男子に限って17歳に引き下げる改正案を明らかにした。高校生の献血機会を増やすことが狙い。同省血液対策課は「当面の献血量の増加はわずかだが、長期的な献血者の確保につながる」としている。
 同省はこの日開かれた検討会に提案。3月の専門家会議で了承が得られれば、来年度にも省令改正したい考えだ。
 同課によると、90年に770万人だった献血者数は08年に510万人まで減少。特に10〜20歳代の減少が著しい。
 現行の採血基準では献血は16歳から可能だが、17歳までは200ミリしか献血できない。400ミリに比べて、医療現場で使う際に多人数の血液が必要になる分、感染症のリスクも高くなる。このため、医療現場で需要が減り、高校での集団献血の機会も減っている。
 一方、若者の献血者を対象にした意識調査(06年)では、6割以上が「集団献血がその後の動機付けに有効」と答えるなど、高校時代の経験がその後の献血にもつながっている面がある。
 厚労省は今年1月からの作業部会で、年齢引き下げの健康への影響を検討し、「17歳男子なら可能」との結論が得られた。引き下げによる献血者数(400ミリ)の増加は約3万人と、全体の0.5%程度と予測されている。17歳女子や16歳男女への引き下げについても引き続き検討する。

歯科レセプト審査、厚労省「介入」で支払い不認可9割減 indexへ

 歯科医からの診療報酬請求を審査する社会保険診療報酬支払基金の神奈川県の審査委員会で、審査のあり方に厚生労働省が「介入」した結果、支払いを認めない処分件数が従来の10分の1にまで減少、請求に占める処分の割合が全国最低レベルになったことが分かった。「審査の独立性が損なわれた」と委員から反発の声が上がっている。
 神奈川県の歯科の審査は全国的に見て厳格という評判が高く、毎月、全体の2%弱(全国平均は約0.5%)にあたる1万件程度について、請求を認めない処分「査定」をしてきた。こうした現状について、衆院神奈川5区の坂井学議員(自民)が昨年、「神奈川は査定が飛び抜けて多い」などと国会で2度にわたり問題にした。
 複数の審査委員からの取材によると、1月の審査委員会初日に、神奈川基金を管轄する関東信越厚生局神奈川事務所の指導医療官が委員に「神奈川基金取決事項・取決が厳しいと思われる事項」と題したリストを配った。
 その際の説明によると、厚労省医療課の歯科医療管理官と課長補佐が指導医療官にリストを手渡し、「査定率が高い。上の方は、このままだと問題になると言っている」などと、リストの項目を査定しないよう要請したという。
 指導医療官と審査委員の話し合いで、急な要請で審査基準の統一が保てないため、原則として、レセプト(診療報酬明細書)の査定を一切せず、問題があるレセプトは医療機関に差し戻す「返戻」にすることになった。
 歯科担当の委員48人の多くが、この方針に従って査定をした。この結果、1月の査定は千件程度と、約10分の1に減り、査定率が全国で最も低い大阪府並みになった。一方、医療機関への返戻が通常の2500件程度から約1万1千件に急増した。
 異例の事態に危機感を持った神奈川基金の事務局が「事務局から見ても明らかなものは査定としてほしい」と申し出るなど動揺が広がり、委員会終了後に本省の歯科医療管理官が神奈川基金で説明する騒ぎになった。
 委員からは「目の前のレセプトが正しいか、正しくないかで、査定率は結果でしかない」「高い査定率が問題なら低いほうも問題にすべきだ」と批判が出た。
 この経過について、上條英之歯科医療管理官は「リストは全国の基準を超えた神奈川独自の基準の疑いがある項目で、一律の判断をすることがないよう求めた。査定をしないよう求めたことはない」と説明している。

薬効かぬアタマジラミ急増 2年で倍、全体の1割超に indexへ

 髪の毛に寄生するアタマジラミの中で駆除薬が効かないタイプが急増し、全体の1割を超えていることが国立感染症研究所(東京都新宿区)の調査でわかった。アタマジラミは病気を媒介しないが、頭皮をかきすぎて感染症になったり感染した子が学校で避けられたりしかねない。各地の保健所は薬を過剰に使わないよう専用のくしを使った駆除方法の普及に乗り出した。
 感染研昆虫医科学部は、06年から全国の保健所などを通じて集めたアタマジラミの遺伝子を解析した。駆除薬が効かない抵抗性のタイプは06年は4.76%だったが、07年6.18%、08年11.49%と倍以上に増えていた。3年間に届いた28都道府県分のうち13都道県分で抵抗性が確認され、広がりが懸念されている。
 国内で製造承認されている駆除薬は、シラミの神経細胞にある特定たんぱく質に作用し殺虫効果を持つ。しかし抵抗性のシラミは、このたんぱく質の構造を決める遺伝子の一部が従来と異なっていた。
 昆虫医科学部の冨田隆史室長は「90年代から米英仏など一部先進国や途上国で抵抗性のアタマジラミが問題視されるようになり、米国では抵抗性が全体の90%近くに上る。対策を講じないと日本でも流行の恐れがある」と話す。
 東京都には98年度にアタマジラミについて1046件の相談が寄せられた。00年度までに半減したが、06年度1125件、07年度1935件と急増した。都内の保健所は学校や保護者、理容師ら向けにパンフレットを配り、全国の自治体の講習会などに駆除方法を伝える担当者を派遣している。
 池袋保健所で環境衛生を担当する矢口昇さんによると、保護者から「感染した子を登園させないで」と求められた保育園や幼稚園からの相談も多い。矢口さんは「子どもの髪を専用のくしで丁寧にすいてあげることで、薬を使わずに駆除できる。感染源の子を探すなどの過剰反応は避けて欲しい」と話す。(和田公一)
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 ■アタマジラミ ヒトの髪の毛に寄生し、根元に卵を産み付ける。頭皮から血を吸うためかゆくなる。大きさは成虫で2〜4ミリ、卵は0.5ミリ。成虫は1〜1.5カ月生き、約100個の卵を産む。駆除して血を吸えないようにすると2、3日で死ぬ。戦後大流行したが、殺虫剤と衛生状態の改善でほとんど目にしなくなった。現在の発生は衛生状態と関係なく、11歳までの子が約9割。体を寄せ合って遊んだり、集団で昼寝したりしてうつることが多い。

「見えないマスク」「ワクチン開発」…花粉対策の進化 indexへ

 スギの花粉が本格的に飛び散り始める時期を示す「花粉前線」が北上中だ。近畿では今月末までに全域で飛散し、量は昨年の2〜3倍と予測されている。花粉症の人にはつらい日々が続きそうだが、市販の対策商品は進化を続け、ワクチン開発など抜本的な解決に向けた取り組みも始まっている。
 環境省によると、昨年の近畿各地のスギとヒノキの花粉飛散量は少なかったが、今年は例年(過去10年間の平均)に比べても多くなりそうだ。大阪府は例年の1.22倍で、昨年の3.03倍。奈良県は例年の1.25倍、昨年の3.36倍になるという。
 飛散量は前年夏の天候に影響を受ける。昨年7〜8月は気温が高く、日照時間も長かったため、花粉をつける雄花(おばな)の成長が促されたらしい。同省はこうした気象データと、11〜12月に観測した雄花の状態から、飛散の時期や量を予測している。
 今年の飛散はすでに四国や広島県、島根県などで始まり、ほぼ例年並み。通常は飛散開始から1週間ほどで量が増え、その状態が約4週間続き、4月末に終息する。晴れて気温の高い日や、乾燥して風の強い日、雨の降った翌日は量が多いという。一日のうちでは正午ごろと日没直後に多くなる傾向がある。
 医師らによると、花粉の量が増えるにつれて症状が際限なく悪くなるわけではない。ただ、比較的症状が軽かった人が悪化したり、平気だった人が発症したりする可能性があるという。
 患者増を見込んで対策グッズ商戦は活気を帯びる。東急ハンズ江坂店(大阪府吹田市)では、1月中旬から花粉防護用のマスクや眼鏡、静電気で花粉が衣服につくのを防ぐスプレーなどの特設コーナーを設けた。
 「見えないマスク」と銘打った「ノーズマスクピット」は、スポンジ状のフィルターを鼻孔に詰めて使う。松山市の会社が昨年末から3個入り(525円)など2種類を約20万セット出荷したが、生産が注文に追いつかない状況だという。
 医療機関では、薬物で症状を抑える対症療法と、スギ花粉のエキスを注射してアレルギーを起こさないよう体を慣れさせる免疫療法が受けられる。免疫療法は今のところ根治の可能性がある唯一の方法だ。急性アレルギー反応によるショックを起こさないようにエキスの濃度を徐々に上げるため、治療に3年ほどかかるのが一般的。治療を受けた人の6割以上に有効だったというデータもある。
 アクティ大阪耳鼻咽喉(じびいんこう)科(大阪市北区)の大橋淑宏・副院長は、免疫療法の患者を約200人抱えている。「医師に専門性が要求され、関西で実施している病院は少ないので、口コミで訪れる人が多い」という。
 理化学研究所の免疫・アレルギー科学総合研究センター(横浜市)は「スギ花粉症の撲滅」を目指し、ワクチン開発に取り組む。すでに動物実験で有効性や安全性は認められ、製薬会社と連携して10年後までに市場に出る可能性があるという。
 林野庁は、根元を断つ対策に乗り出した。今年度から首都圏と京阪神地域の周辺のスギについて、花粉をほとんど出さない品種や広葉樹に転換させる事業を開始。10年後には現在のスギの5割を植え替えてしまうのが目標だ。(浅倉拓也)
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 〈花粉症〉 体内に入った花粉にアレルギー反応を起こし、くしゃみ、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が出る。原因となる植物は様々だが、日本の森林面積の2割を占めるスギによる患者が最も多い。花粉を吸い続けると、アレルギー反応を起こす物質として体内に作られる抗体が許容量を超え、発症するともいわれる。環境省はウェブサイト(http://kafun.taiki.go.jp/)で、全国の観測地点の花粉データを1時間おきに更新している。

厚生年金・社会保険病院、売却へ 一部、廃止の可能性も indexへ

 与党と厚生労働省は13日、全国10カ所の厚生年金病院と53カ所の社会保険病院について、2月中にも地方自治体や医療法人に売却する手続きを始める方針を固めた。買い手がつかず、地域医療にとっての重要性も低いとされた一部の病院は廃止し、土地だけを売却する可能性もある。
 この日あった自民党の厚生労働族幹部と厚労省の会合で、現在病院を管理する独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」に売却を指示する方針を確認した。
 売却相手は公益法人や医療法人、地方自治体などに限定し、一般の企業などは対象としない。救急医療や産科医療など、各病院が地域医療に果たしている役割が維持できるよう考慮しつつ、病院ごとの個別売却を基本とする。採算性は低くても地域医療にとって必要な病院を存続させるため、複数の病院をまとめて売却することも検討する。
 厚生年金病院は公的年金の保険料、社会保険病院は中小企業向け旧政管健保(現・協会けんぽ)の保険料で整備されたが、「保険料の無駄遣い」と批判されたことなどから売却方針が決まった。原則、同機構が解散する10年10月までに売却を完了させる必要がある。
 厚生年金病院の07年度収支は10病院中4病院が赤字。社会保険病院は53病院中13病院が赤字だ。これらの病院は現時点では国有のため固定資産税を払っておらず、民営化で赤字幅がさらに膨らむ可能性もある。

インドネシア人看護師候補104人、全国の医療機関に indexへ

 日本とインドネシアとの経済連携協定(EPA)で来日したインドネシア人看護師候補者104人が13日、全国47の医療機関に赴任した。
 女性の候補者5人を受け入れた医療法人社団「葵会」(本部・東京都千代田区)はこの日、千葉県柏市の専門学校で入職式を開いた。5人を代表して、ザイニ・ワルダニ・シトルスさん(27)が、法人幹部らを前に「きちんとコミュニケーションをとって皆さんといい関係を作りたい。将来は日本で看護師として働きたい。そのためには国家試験に合格しなくてはいけない」と抱負を語った。
 5人はインドネシアの看護師免許を持ち、それぞれ母国の病院の救急や内科などで約2〜5年勤務した経験を持つ。昨年8月に来日し、今月12日までの約半年間、ほかの看護師候補者と一緒に日本語や生活習慣を学んできた。
 当面は、同会が運営する千葉・柏たなか病院(同市)に看護助手として勤務。食事の介助や口腔(こうくう)ケアなど、日本の看護技術の研修を受けながら、期限となる来日から3年以内に日本の看護師の国家試験合格を目指す。

女性医師の復職、無料研修で後押し 福岡県、予算計上へ indexへ

 出産や育児などで離職した女性医師の職場復帰を後押ししようと、福岡県は、県内の大学病院で無料の研修を実施する方針を決めた。09年度予算案に約1千万円を盛り込む。地域の医師不足を緩和するとともに、女性の働く機会を確保するのが狙い。
 県によると、医療現場は、休日や夜間の緊急の呼び出しが日常的に発生するなど不規則なため、結婚や出産を機会に離職する女性医師が少なくない。一方、新薬や機器の開発など医療技術の進歩は速く、いったん長期間現場を離れると復帰しづらくなる。
 厚生労働省によると、医師国家試験の合格者数に占める女性の割合は、08年に過去最高の34.5%を記録した。女性が年々進出しているのだが、大学医学部の卒業後10年程度の35歳時点での就業率は男性90%に対し、女性は76%にとどまっている。
 県の新事業では、委託先の大学病院にコーディネーター(指導医師)を1人置き、復職を希望する女性医師と面談。診療科ごとの責任者が、その女性医師に適した個別の研修プログラムを考える。患者を診察したり、新しい医療機器の使い方を習ったり、現場感覚を取り戻してもらい、職場復帰を促す。
 研修期間は最長で半年で、年間20人程度をめざす。委託先は福岡大学病院と久留米大学病院を検討している。
 女性医師の復職を支援する事業としては、医師会が女性医師に医療機関の求人情報を紹介する「女性医師バンク」などがある。県独自の取り組みを始めることについて、県の担当者は「同バンクとうまく連携し、1人でも多くの職場復帰を促したい」と話している。

救急患者、容体別の搬送先リスト作成を義務化へ 消防庁 indexへ

 救急患者の受け入れ拒否が相次いだ問題を受け、総務省の消防審議会は9日、患者の容体に応じた医療機関リストを作成し、搬送先機関を選ぶルールを都道府県ごとにつくるよう求める答申をまとめた。消防庁は、リスト作成などを都道府県に義務づける消防法改正案を今国会に提出する方針。
 答申では、搬送の遅れの一因として、消防機関と医療機関の連携不足を指摘。調整責任を都道府県に求めている。
 消防庁によると、07年に全国の重症以上の患者の搬送は約39万件あり、このうちの約1万6千件(4.0%)で、救急隊が現場に到着してから現場を出発するまでに30分以上かかっている。

点滴薬キットに表示と別の薬剤 大洋薬品、自主回収 indexへ

 大洋薬品工業(名古屋市中村区)は10日、08年8〜12月に出荷した点滴薬のキットに誤って表示とは違う薬剤を入れた疑いがあるとして、自主回収を始めたと発表した。同時期に製造・出荷された製品は全国の81医療機関に計1万キットが納入されたが、同日昼までに健康被害の報告はないという。
 同社によると、問題の製品は急性気管支炎や肺炎に使われる抗生物質製剤「静注用フラゼミシンS(2gキット)」。神戸市内の医療機関から1月下旬、「液が異常な色をしている」と報告があり、現物を回収したところ、表示とは違う抗生物質の混入が分かったという。
 この抗生物質が合わない患者に使われた場合、急激なアレルギー反応の「アナフィラキシーショック」を引き起こす恐れがあるという。同様の混入があった可能性が否定できないとして、同社は同時期に出荷された製品の回収を始めている。

薬700種以上ネット販売禁止へ 省令改正 indexへ

 一般用医薬品(大衆薬)のインターネットを含む通信販売について、厚生労働省は6日、風邪薬や漢方薬などの取り扱いを禁じるため省令を改正した。対象は700種類以上とみられる。改正薬事法とともに、6月から施行される。これまで薬事法に定めがなく、ネットでの販売が広がっていたが、規制されることになる。
 ネット事業者や政府の規制改革会議などは、厚労省方針が明らかになった昨夏から、「消費者の利便性が損なわれる」と規制強化に反対。舛添厚労相は6日の閣議後会見でこうした声にも配慮し、事業者や薬害被害者らも入れた有識者会議の設置を公表。通信販売のあり方や今回の規制で不利益を受ける消費者への対応も検討していくという。
 舛添厚労相は「会議で精力的に議論して、この省令で不備があれば変えればいい」とし、検討結果によっては、改正省令を再び見直す可能性にも言及した。
 改正薬事法では、大衆薬を3段階に分類。省令改正では、このうち、副作用リスクが高い第1類と第2類について、ネットや電話注文などでの販売を禁止。薬剤師らによる店頭での対面販売を原則とする。1、2類合計で700種類以上が対象になるとみられる。リスクが比較的低い整腸薬など第3類は通信販売を認める。
 日本オンラインドラッグ協会によると、04年の医薬品のネット市場は約61億円、通信販売全体では約260億円という。規制強化にはネット事業者らが反対する一方、薬害被害者団体や消費者団体などは規制強化を支持し、賛否が分かれている。

妊婦の救急対応へ周産期センター再編 厚労省懇談会提言 indexへ

 周産期医療と救急医療の専門家でつくる厚生労働省の有識者懇談会は3日、周産期母子医療センターの新生児集中治療室(NICU)を増床させるとともに、妊婦の救急医療に対応できる組織に再編するよう提言する報告書をまとめた。厚労省は報告書をもとに具体策をまとめる。
 報告書は、現在2種類ある同センターについて、3月末までに整備指針を見直し、(1)妊婦の救急を含むあらゆる母子の疾患に対応する施設(2)リスクの高い胎児・新生児に対応する施設(3)妊婦の救急とやや低リスクの胎児・新生児に対応する施設の3種類に分類することを提言。各施設の症例数に見合う効果的な配置も求めた。
 現在はリスクの高いお産を診る全国75カ所の総合センター、同約240カ所の地域センターの2種類ある。
 報告書はさらに、当面の目標として、NICUのベッド数を現在の出生1万人あたり20床から25〜30床に引き上げることや、各センターの診療実績を客観的に評価する仕組みを検討することを提言。周産期医療を担う医師への手当のあり方も検討するよう求めた。
 座長を務めた岡井崇・昭和大教授は「母子の安心安全を守る医療のため、提言を政策として実現して欲しい」と話した。
 懇談会は、東京都内で容体が悪くなった妊婦が相次いで受け入れを断られた問題を受け、11月に議論を始めた。

医師の臨床研修を短縮 必修科を絞り込み indexへ

 新人医師に2年間義務づけられる臨床研修制度について、厚生労働省は2日、必修の診療科を内科と救急、地域医療にしぼり、その他は選択制にする見直し案をまとめた。必修の研修期間を、現行の16カ月から1年程度まで短くできるという。
 厚労省が、文部科学省と共同で設置している検討会に提案した。必修短縮により研修医が将来進もうとする科での研修を手厚くし、早く診療現場で活躍できるよう狙う。
 案によると、国が必修とする診療科は現行の7科・部門から、内科(6カ月以上)と救急(3カ月以上)、地域医療(1カ月以上)の3科・部門に絞る。その上で、外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科の5診療科の中から、1〜2科を選んで研修することを必須とする。
 また、医師の地域偏在を解消するため、都道府県別に研修医の定員に上限を設ける考えも示された。
 04年の臨床研修制度の開始後、研修医が都市部の総合病院での研修を選ぶ傾向が強くなり、大学の医師派遣機能が低下し、地域の医師不足を招いたとも言われる。厚労省は「見直し案の実施で地方の医師不足の解消につなげたい」としている。

藍染では廃棄…茎にインフルエンザウイルス抑える効果 indexへ

 廃棄物に抗ウイルス効果があった――。大阪府富田林市で生薬加工業を営む堀川豊勝さん(59)が中国の漢方薬にヒントを得て、植物「タデアイ」の茎のエキスを調べてもらったところ、流行しているA型インフルエンザのウイルスの増殖を抑える効果があることがわかった。タデアイの葉は藍(あい)染めに使われるが、茎は捨てられている。企業と組み、加湿器やマスクに利用するなど商品化を目指している。
 堀川さんは大学卒業後に家業の機械加工会社を継いだが、91年に倒産。一時6億円の負債を抱えたが、深夜の工場で働いて研究資金をため、友人の依頼で生薬の殺菌技術の開発に着手。成功して生薬加工業を起業した。
 そんな時、中国では藍染めの原料であるアブラナ科の植物を乾燥させた漢方薬を服用しており、免疫力を高めインフルエンザにも効くらしいと知人から教えられた。
 ならば藍染めに使うタデアイも、と思いついた。特殊な技術で取り出した葉と茎のエキスを北里研究所(東京)に送って分析してもらうと、濃度2%の茎のエキスが10分以上H1N1(Aソ連)型と接触すると、増殖を抑え込む効果があった。同研究所の小林憲忠・メディカルセンター病院研究部長補佐(43)は「幅広いA型ウイルスに効く可能性がある」と話す。茶やナガイモなど食品で坑ウイルス効果を持つ物質はあるが、「入手コストの安い廃棄物を有効利用している点でユニーク」(小林部長補佐)という。
 いま、タデアイは徳島県と北海道などで年間約150トン弱(05年度)しか生産されていない。堀川さんは、かつて河内木綿を使った藍染めが盛んだった地元の南河内地区で、遊休農地を使ったタデアイの栽培を構想。「茎はエキス抽出に、葉は染色に使って地域の活性化につなげたい」と夢を膨らませる。

新生児集中治療室「1年以上入院」が全体の3.8% indexへ

 身体管理が必要な新生児に対応する新生児集中治療室(NICU)に、1年以上入院している子どもが全体の3.8%にのぼることが、厚生労働省の研究班(班長=梶原真人・愛媛県立中央病院長)の調査でわかった。障害児や未熟児が増えたのに退院後の受け皿整備が追いついていないことなどを背景に、増加傾向にあるとされる。研究班は「極めて高い割合」としたうえで、こうした長期入院が母体や新生児の受け入れに支障をきたしているとみている。(重政紀元、稲垣大志郎)
 研究班は06年10月、NICUを持つ296病院に調査票を郵送。その後の経過をみる後方病床(GCU)を含めて、長期入院している子どもの数や障害・疾患の状況などを聞いた。この結果、回答があった188施設(4333床)中、102施設に計163人が1年以上入院していた。研究班はこうした子どもが全国で300〜350人いると推計している。
 NICU、GCUのうち、人工呼吸器がつけられる「呼吸管理可能病床」に1年以上入院している新生児は108人で全体の6.6%。日本産婦人科医会が03年に363病院を対象に実施した調査では、長期入院児は全病床の2.8%、呼吸管理可能病床の4.2%だった。単純比較はできないが、いずれも3年間で約1.5倍に増えている。
 増加原因としては、先天異常などで重い障害を負った子どもが医療の進歩で助かるようになったほか、不妊治療が進み、多胎児や体重千グラム以下の極小児が増えたことが影響しているとみられる。NICUの入院期間は通常、長くても3カ月とされ、1年の長期入院が1人いると、少なくともほかに3人の受け入れができない計算になる。
 退院できない理由では、在宅療養の担い手がいないなど「家族の都合」が24%、「療育施設の不足」が22%で、いわゆる「社会的入院」が半数近くを占めた。「症状が重い」などの医学的原因は34%にとどまった。
 今後の措置に関する主治医の判断を分析すると、「入院継続」はわずか2%。「地域療育センター」(58%)と「在宅療養」(28%)を合わせると、8割超が「退院が望ましい」との意見だった。
 長期入院児が新規患者の受け入れに与える影響では、20%が「非常にあり」と回答。「時々あり」を含めると、7割が問題と感じていた。厚労省が周産期母子医療センターを対象にした調査では、07年度に病院が母体搬送を受けられなかった理由の第1位は「NICUが満床」だった。

退院後の受け皿不足、家族への支援……NICU重い課題 indexへ

 本来は生まれたばかりの赤ちゃんを処置するNICU(新生児集中治療室)に、1歳を超えた子どもが多数、入院している。NICUのベッド数や専門医が不足する中、円滑な母体搬送のためにも解消が急がれるが、退院後の受け皿不足や家族のフォローなど、重い課題も浮かぶ。
 大阪府内で新生児医療に携わる28病院は07年、長期入院児の実態を調査。入院1年以上の子が13病院に計28人いることがわかった。入院期間の最長は14年3カ月だった。
 高槻病院(高槻市)のNICU。21床の小さな保育器が並ぶ薄暗い部屋の奥にベッドがあり、人工呼吸器をつけた女児が横たわっている。千グラム未満の乳児が多い中、ひときわ大きく見える。南宏尚小児科部長は「この子はもう2年、ここにいます」。
 女児は866グラムで生まれ、重篤な慢性肺疾患と肺高血圧症を患っている。容体が安定せず、退院は難しい。「こうした子は呼吸障害が出やすく、入院が長期化する」
 府立母子保健総合医療センター(和泉市)では、親の病気や経済的理由など、家族の事情で在宅に移れない例もあった。出産直後から母子が離ればなれになる影響も大きい。同センターのメディカルソーシャルワーカー(MSW)は「病院スタッフがフォローしないと、親子の関係を保っていくのは難しい」。
 在宅療養が困難な場合の受け皿となる重度障害児向けの施設は圧倒的に不足している。重度の知的・身体障害がある児童は08年時点で約3万8千人。重症児施設や国立病院重症児(者)病棟のベッドは計約1万9千で、入所待機者は5千人以上とみられる。
 滋賀県の男性会社員(36)の長女(3)は、昨年5月までNICUと小児病棟に計3年余入院し、在宅療養に移った。仮死状態で生まれ、今も意識はない。人工呼吸器が離せず、主治医からは「この子を自宅でみるのはつらいですよ」と言われた。近隣の障害者施設はどこも入所待ち。24時間態勢の見守りが必要な子を家に連れて帰る結論に至るまでに、それなりの時間と在宅介護の情報が必要だった。
 岡山県倉敷市の倉敷中央病院は07年、長期入院の解消に向けて在宅療養支援を強化した。35ある新生児病床の満床が続き、一般病棟に子どもの患者があふれたためだ。
 同病院では原則、乳児は生後1〜2カ月で小児科に移る。NICUや小児科の医師らでつくる在宅チームが外泊テストを重ね、退院が可能かを検討。退院後は、訪問看護師やヘルパーが患者の変化をチームに伝えて情報を共有する。こうした環境を整えるため、地元自治体との協議で、2〜3歳まで認められなかった障害認定を生後半年以内で可能とし、小児看護ができる訪問看護ステーションも1カ所から4カ所に増やした。

抗うつ剤、効果に3割の差 日英伊研究、薬を順位付け indexへ

 「薬の種類による差はない」とされてきた抗うつ剤が、効果に30%以上の開きがあることが日英伊の大規模な国際研究でわかった。効果と副作用のバランスをもとに薬の順位づけもした。世界各国の抗うつ剤に関するガイドラインを書き換える可能性がある。29日付の英医学誌ランセットで発表した。
 抗うつ剤は、20年ほど前に「新世代」と呼ばれる副作用が比較的軽い薬が登場し、12商品(日本では4商品)が主に流通している。しかし「効果には大差がない」というのが通説。世界の精神医療を先導している米精神医学会の治療指針も効果に差はないとしたうえで、患者の意向や費用などをもとに選ぶよう求めている。日本でも医師の考えで薬が決められていた。
 今回の研究で、うつ病治療でどの薬を第一選択肢とすべきかが初めて明らかとなり、薬の選択がしやすくなる。
 研究には、名古屋市立大の古川壽亮教授(精神医学)のほか、英オックスフォード大やケンブリッジ大、伊ベローナ大の医師12人が参加。12の薬を対象に、91〜07年に世界各国で行われた効き目に関する比較臨床試験のうち、科学的信頼度の高い117試験を選んで解析。8週間後の効き方と、副作用のため薬をやめた率を比べた。
 効き目だけでみるとミルタザピンが最も高く、レボキセチンに比べて患者に効く率が34%高かった。日本で承認販売されている薬を比べると、セルトラリンはフルボキサミンに比べ、11%高かった。
 一方、副作用などもあるため、その要素を加味。その結果、効き目と副作用のバランスがよく、患者にとって使いやすい薬の順番がわかった。
 日本では現在、ミルタザピンとデュロキセチンが販売承認申請中のほか、エスシタロプラムなどが臨床試験中。厚生労働省調査では、うつ病や躁(そう)うつ病など気分障害により通院している人は90万人以上いる。

鳥インフルエンザ死者相次ぐ 警戒強める中国 indexへ

 【広州=小林哲】中国で鳥インフルエンザ(H5N1型)のヒトへの感染が広がっている。公表された感染者は今年になって7人、うち5人が死亡し、すでに昨年の死者数を上回った。中国政府は「感染拡大の兆候はない」としているが、旧正月(春節)を故郷で過ごした人たちのUターンラッシュが始まり、警戒を強めている。
 今年最初に死者が出たのは北京。昨年末に市場で買ったアヒルを調理した女性(19)が発熱や呼吸困難を起こし、入院先で5日に死亡した。その後も17日に山東省済南の女性(27)▽20日に湖南省懐化の病院に入院中の貴州省の男性(16)▽23日に新疆ウイグル自治区ウルムチの女性(31)▽26日に広西チワン族自治区の男性(18)と死亡が相次ぎ、3週間余りで昨年1年間の4人を上回った。
 かつてない速いペースでの死者の増加に中国政府は警戒を強める。国営新華社通信は、「現在の感染は散発的」「大規模で爆発的な感染が起きる証拠はない」などとする専門家の意見を紹介。ヒトからヒトへの感染拡大でないことを強調して、国内外に広がる不安を打ち消そうとしている。
 中国中央テレビも、死者が出るたびに情報を詳しく報じている。各地で緊急対応措置が発動され、専門家チームが感染者と接触した人を特定し、発熱などの症状が出ていないか7日間様子を見ていることなどが伝えられている。
 政府は、春節明けを前に多くの人が都会に戻るのに備え、原因不明の肺炎患者が出た場合に医療機関に報告の徹底を求めるなど、対策を強化する。
 ただ中国には感染源になりうるアヒルやニワトリを飼う農家が多く、感染の危険性が元々高い。感染の約8割が冬から春(11月〜3月)に集中しており、増加は避けられそうにない。陳竺・衛生相も「今はヒトへの感染が多発する季節で、感染防止は厳しい状況にある」と散発的な感染が続くことを認めている。
 ヒトへの感染が続けば、やがてウイルスが進化してヒトからヒトに感染するタイプが現れる可能性がある。万一、人口が密集する都市部でウイルスが広まれば、一気に流行する危険が高い。
 大流行(パンデミック)を防ぐには、発症初期に患者を隔離するなど感染の封じ込めが欠かせない。だが、北京で死亡した女性の場合、病室などで家族や医療関係者116人が二次感染の危険にさらされるなど当局の対応に不安が残った。
 現地紙によると、女性は地元の医院で「風邪」「肺炎」などと診断されて転院を繰り返し、家族に鳥インフルエンザ感染の疑いが告げられたのは発症から11日後の死亡前日だった。中国のある医療当局者は「患者側が医療費の負担を心配して症状が重くなるまで受診しないことや、高額な検査を受けたがらないことが多く、感染確認が遅れることはあり得る」と認める。

リレンザなど「異常行動の恐れ」 厚労省が注意喚起 indexへ

 インフルエンザ治療薬のリレンザ(一般名ザナミビル)とシンメトレルなど(同アマンタジン)について、厚生労働省は29日、小児や未成年者が服用した場合に異常行動を起こす恐れがあるとして、メーカーに対し、医療機関への注意喚起を徹底するよう指示した。
 同省は07年12月にも同様の通知を出したが、今季は治療薬タミフル(同オセルタミビル)に耐性を持つウイルスの流行が報告され、リレンザなどの処方が増える可能性があるとして、改めて注意を促す。服用後2日間は保護者が見守ることを呼びかけるよう求めている。
 異常行動の報告は昨年3月末までにタミフルで313人、リレンザ57人、シンメトレルなど10人。タミフルは07年3月から10代の患者への処方が制限されている。リレンザをめぐっては、処方された長野県の男子高校生が集合住宅の駐車場で死亡しているのが今年1月27日に見つかり、転落したとみられているが、服用の有無は不明という。

レセプト電子化、積極姿勢に転換 診療報酬支払基金 indexへ

 診療報酬明細書(レセプト)を審査する社会保険診療報酬支払基金の中村秀一理事長(前厚生労働省社会・援護局長)は27日記者会見し、11年4月までに原則義務化される、レセプトの電子化・オンライン請求について、「あと2年しかない。新しい審査支払い体制の確立を図っていきたい」と語り、積極的に取り組む考えを示した。
 レセプトの電子化・オンライン請求をめぐっては、政府の規制改革会議の積極姿勢にくらべ基金側は慎重な姿勢が目立っていたが、中村氏は方針を転換させた格好だ。
 医療機関から届くレセプトは昨年秋に50%超が電子化されたが、オンライン化されているのは2割弱にとどまっている。

心臓移植患者ら12人の検体取り違え 国循センター indexへ

 国立循環器病センター(大阪府吹田市)が昨年10月、心臓移植手術を受けた患者ら12人分のウイルス検査の検体を取り違え、うち1人に誤ったデータをもとに不要な投薬治療をしていたことがわかった。不要な治療をした患者には謝罪したが、残る11人には「実害がない」として説明していなかった。同センターは「説明すべきだった。今後対応する」としている。
 同センターによると、昨年10月上旬、心臓移植患者10人を含む12人の患者から採血し、検査技師が二つのラックに検体を6人分ずつ番号順に並べた。しかし、血液を少量取り分ける作業をした際、ラックを逆にしたため検体の順序が入れ替わったという。
 その結果、同センターで心臓移植を受けて入院していた女性患者について、実際は感染症などを起こす恐れがある「EBウイルス」が陰性だったのに、別人の高い数値をもとに治療が必要と判断し、抗ウイルス薬を投与した。この薬は白血球が減る副作用があり、現実に白血球が減ったため、投薬は10日間で中止した。12月半ばに取り違えが発覚し、臓器移植部長や技師長らが謝罪した。現在、女性は退院しているという。
 残る11人は治療や健康への影響はなかったという。同センター医療安全推進室は「患者は月1回しか通院しない人が大半で、説明するタイミングを逸したようだ。今後、説明したい」としている。
 医療安全に詳しい厚生労働省の中央社会保険医療協議会委員の勝村久司さん(47)は「検査データは患者にとって基礎情報。影響がどうであれ、誤りを含めすべて患者に説明し、理解を得ることが医療の信頼のために必要だ」と指摘する。

未承認薬、大病院の6割が使用 厚労省実態調査 indexへ

 国内の規模の大きい病院の約6割で、薬事法で承認されていない未承認薬を、がんや難病の治療のため使用していたことが、厚生労働省の実態調査でわかった。薬の承認をめぐっては、欧米より承認が遅いと指摘されているが、厚労省が未承認薬の使用実態を調べたのは初めて。
 調査は07年11月〜08年1月、新薬の開発試験にあたる「治験」を実施している494の医療機関を対象に実施、247施設から回答を得た。治験以外での未承認薬の使用状況を聞いたところ、全体の32.0%にあたる79病院で使用実績があると回答。そのうち76病院は、大学病院など入院ベッドが300床以上の比較的大規模な病院だった。同程度以上の規模の病院に限ると63.3%にあたる。
 使用報告された未承認薬は79種類で、計約4300人の患者に処方。対象疾患はがんが42.3%で最も多く、難治性疾患が36.9%と続いた。
 こうした未承認薬の中には、海外で広く使われているのに日本では申請や承認の作業が遅れているものも少なくない。最も使用実績が多かったサリドマイド(多発性骨髄腫)のほか、ダサチニブ(慢性骨髄性白血病)などは調査後に、承認された。だがシロリムス(肝移植後の拒絶反応)などいまも未承認の薬もある。
 未承認薬の入手方法は、医師らの個人輸入が8割。費用負担は患者側が51.5%、医療機関が15.7%、製薬・卸業者が11.1%だった。
 医師は未承認の薬でも、有効性や安全性などを踏まえて処方できる。ただ未承認では原則、公的保険が適用されない。
 厚労省審査管理課は「サリドマイドなど要望が強いものは承認を進めてきた。調査結果をもとに未承認薬の必要性をさらに検討したい」としている。

微量の薬で効果・副作用を予測 新薬開発に新たな手法 indexへ

 臨床試験(治験)に先立ち、開発中の薬をごくわずか飲み、人体での効果や副作用を予測する技術の確立に向けた検証が、3カ年の計画でスタートした。人体への負担が少ないうえ、成功しそうにない治験は避けられ、1千億円ともいわれる新薬開発費を圧縮できる可能性がある。
 「マイクロドーズ試験」と呼ばれる。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託で、東京大学や医薬品開発支援機構、製薬メーカーなどによるグループが実施する。
 すでに承認された約20種の薬で、服用量の100分の1以下を飲んでもらい、放射性同位体や陽電子放射断層撮影(PET)などを用いて、体内での吸収や分布、代謝などを調べる。これで実際の効果や副作用をどの程度、予測できるかを検証する。
 厚生労働省は昨年6月、マイクロドーズ試験の実施にあたって、被験者へのインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)など、手続きや届け出のガイダンスを作製した。杉山雄一・東大薬学系研究科教授は「(マイクロドーズ試験の導入で)治験の成功確率を3割程度まで上げられれば新薬開発にとって飛躍的進歩になる」と話す。

富山大付属病院、医師が結核感染 indexへ

 富山大付属病院(富山市杉谷、小林正院長)で、30代の男性医師が肺結核にかかっていたことが、22日分かった。同病院では医師と接触のあった患者らの検査を始めているが、現在のところ、院内感染は確認されていないという。
 医師は約1カ月前に検査で罹患(り・かん)が確認され、その後入院して治療を受けているという。同病院は富山市保健所に報告し、同保健所の指導のもとに対応を進めている。
 病院関係者によると、男性医師に自覚症状はなく、検査で分かった。男性医師は、他の病院に勤務していた3年ほど前に結核の罹患歴があるが、治療を完了していることを確認し、採用したという。大学で年2回、治療を受けた病院でも年2回の計年4回、検査を受けていたという。

臨床研修、実質1年に短縮? 「経験不足する」と批判も indexへ

 新人医師に2年間義務づけられている臨床研修制度について、国が、実質1年に短縮できる見直し案を提示している。医師不足に対応するため、地方の国立大学病院などの要望に応じた。だが、医師の診療能力を高めようと導入された制度の趣旨がゆがみかねないと、批判の声も上がる。(野瀬輝彦、和田公一)
 21日午後、東京・永田町であった自民党の議員連盟「医師臨床研修制度を考える会」。厚生労働省の担当者は、臨床研修の必修科目を内科や救急など最も基本的な診療科に限り、現在は必須となっている精神科や小児科などを選択制にする「見直し案」を説明した。この案だと、2年の研修期間のうち後半の1年は、将来専門としたい診療科での研修を主軸にできる。
 同省は、この案を文部科学省とともに開く専門家の検討会に「たたき台」として提示。10年度からの実施を目指し、3月末までに最終報告書をまとめたい考えだ。
 見直しの狙いは、地方の国立大学病院などに若手医師を確保すること。様々な診療科を回る期間を短くすることで、小児科や産科、外科などの専門医を早く育てたいという要望が寄せられていた。
 臨床研修が必修化された04年より前は、新人医師の7割が大学で研修を受けていた。だが開始後は5割以下に。若手が不足した大学は、地域の病院に派遣していた医師を引き揚げざるをえなくなった。
 「医師が行きたがらない地方に若手を派遣してきたのは、大半が国立大学病院。現状では、そうした派遣機能が維持できない」と厚労省幹部は見直しの背景を説明する。
 今後、地域別に研修医受け入れ人数の上限を決め、地域偏在を正す方法も検討する。
 だが、見直しで医師不足にどこまで対応できるのか。今でも2年間の研修が終わった後、指導体制や給与など待遇への不満を理由に、大学に戻る医師は外科などで年々減る傾向にある。「この見直し案では、かえって医師の偏在を助長するのではないか」と、検討会の委員の一人は懐疑的だ。
 また、学会などは「基本的な診療能力を向上させる」という現行制度の目的が損なわれると、案に反対する。
 見直しで必修科から外れる可能性が高まっている精神科。臨床医や学者、病院経営者らでつくる「精神科七者懇談会」は見直し反対の要望書をまとめ、検討会の高久史麿座長あてに提出した。日本精神神経学会の小島卓也理事長は「心の問題や自殺予防対策などは、専門外の医師でも精神科医療の基礎知識と診療能力が要る。見直しは時代の流れに逆行している」と厳しく批判する。
 全国の6割以上の病院が加入する「四病院団体協議会」も昨年12月の会見で、見直し案に疑問を呈した。日本病院会副会長の堺常雄・聖隷浜松病院長は「地域や診療科ごとの医師の偏在は臨床研修制度の開始前からある。制度自体は医師の質を向上させており、なぜいま見直しをしなければならないのか」と話す。
 《臨床研修制度》 医師に基本的な診療能力を身につけてもらおうと04年度から必修化された。原則として医師国家試験合格後の2年間に7科・部門を順番に回り、先輩医師から指導を受ける。研修先は自由に選べるため、症例数が多く経験を積める都市部の民間病院に研修医が集まり、地方の大学病院などで若手が不足する原因となった。

診療報酬オンライン化「強制は違憲」 医師ら961人提訴 indexへ

 11年度から原則義務化される診療報酬明細書(レセプト)のオンライン化をめぐり、全国35府県の医師・歯科医師計961人が21日、国を相手に、オンライン化の義務がないことの確認と1人あたり110万円の損害賠償の支払いを求める訴訟を横浜地裁に起こした。オンライン化は医師の営業の自由や患者のプライバシー権の侵害にあたり違憲だと主張している。
 原告側の弁護団によると、オンライン化をめぐる訴訟は全国で初めてという。
 訴状によると、原告側は、オンライン化に伴って新たなコンピューター設備の購入が必要になるなど開業医の負担が増し、廃業に追い込まれる可能性があると主張。「(医師の廃業は)国民の生存権につながるもので、営業の自由にとどまらない重要性がある」と訴えている。さらに、患者の病名や診療内容がデータ送信の過程で流出しかねないとして、情報漏出の危険性も指摘している。
 レセプトは、医療機関が健康保険組合などに提出する医療費の請求書。これまで紙やフロッピーディスクで提出されていたが、事務の効率化などを目的に08年度から400床以上の病院でオンライン化され、11年度以降は小規模を除く全医療機関に義務づけられる。

新型インフルワクチン、試験接種で8人入院 indexへ

 新型インフルエンザのプレパンデミック(大流行前)ワクチンの安全性を評価している厚生労働省の研究班は19日、調査結果の中間まとめを公表した。試験接種した5561人のうち8人が、発熱などで入院していた。追加調査を実施し、今春、最終報告をまとめる。
 代表研究者の庵原俊昭・国立病院機構三重病院院長らが発表した。調査は、昨年8〜11月に2回ワクチンを接種した医療機関や検疫所の職員らについて、1回目接種後から2回目接種後30日までの健康状態を調べた。
 その結果、1回目の接種後に66.1%で接種部位に赤みや痛みが出た。27.7%に頭痛やだるさが、2.2%に発熱があった。
 入院例は、1回目の接種後に39.8度の高熱が出た27歳男性のほか、手足のしびれと微熱があった40歳男性のケースなど計8件。ただ、腎結石になったことがある人が尿路結石で入院した例なども含まれており、研究班は「接種との因果関係が考えられるのは2例のみ」としている。

インフル集団感染の病院、都が立ち入り調査 indexへ

 東京都町田市の鶴川サナトリウム病院でインフルエンザの集団感染が発生した問題で、都は19日、医療法や感染症法に基づく同病院への立ち入り調査を始めた。病院がとった感染拡大の防止策や感染が広がった経路を調べる。
 都は感染患者が増え続けた原因を調べるため、都職員約10人が立ち入り、職員の病棟間の移動や面会者の受け入れなどと発症状況の関連を調べる疫学調査を実施する。都は13、14の両日に実地調査をした際、院内の加湿が不十分だったことや、発症者がいない病棟でマスク不着用の職員がいたことを確認した。
 都によると、同病院では3〜18日に7病棟の入院患者82人、職員24人の計106人がインフルエンザを発症。肺炎を伴った100歳、85歳、77歳の女性入院患者3人が死亡し、患者1人が一時重症となった。

国保の滞納世帯、初めて20%超える 08年6月現在 indexへ

 自営業者や退職した会社員らが加入し、市区町村が運営する国民健康保険(国保)の滞納世帯数が08年6月現在、全加入世帯の20.9%の453万455世帯に上ることがわかった。前年より2.3ポイント上がり、少なくとも98年以降では初めて2割を超えた。厚生労働省が16日、速報値として公表した。
 厚労省は「無所得者の増加や保険料の上昇といった構造的な要因に加え、昨春に後期高齢者医療制度ができて収納率の高かった高齢者層が国保から抜けたことが影響している」と分析している。
 同時に発表した07年度の国保の財政状況(速報値)によると、収入は13兆1164億円、支出は13兆726億円。表面上は439億円の黒字だが、積立金の取り崩しなどを除く単年度収支では1231億円の赤字。市町村が一般会計から繰り入れている分も除いた実質的な赤字額は、前年度より445億円多い3787億円に膨らんだ。

臨床試験薬を投与後死亡 遺族が病院・製薬会社を提訴へ indexへ

 臨床試験(治験)中の抗がん薬「マツズマブ」(EMD72000)を投与された後に死亡した大阪市の男性(当時71)の遺族が、近畿大医学部付属病院(大阪府大阪狭山市)側とドイツの製薬会社「メルクセローノ」の日本法人(東京)に慰謝料など4950万円の賠償を求める訴訟を14日、大阪地裁に起こす。
 遺族は、日本癌(がん)治療学会のガイドラインでは治験薬の投与は「従来の標準的治療法ではもはや無効か、確立された治療がない場合」に限られており、投与はこれに反するものだったと主張。近大病院には「国が承認済みの抗がん剤を施す余地もあったのに治験を優先した過失がある」、メルク社については「不適切な治験を監督する義務を怠った」としている。病院側は朝日新聞記者の取材に「男性側とは示談交渉中のため取材には応じられない」と回答。メルク社は「個別の事情は承知していない」としている。
 EMDは05年9月、メルク社が武田薬品工業(大阪市)と共同開発を始め、昨年2月、「効果が得られない」として開発を打ち切った。非公表の関係資料によると、投与例は少なくとも海外で265件、国内で26件。このうち頭痛や発熱、発疹などの副作用の症例が海外で214件、国内で8件報告されている。死亡例は海外で34件あり、国内では男性の死亡まで報告がなかったとされる。
 遺族側によると、男性は03年に肺がんと診断され、05年から近大病院で治療を受けた。06年4月、担当医は男性にEMD投与を勧め、副作用情報も示したうえで「あなたにはEMDが効く」などと告知。男性は同意のうえ、EMDの点滴を2度受けた。まもなく肺炎を発症し、翌月、転院先で死亡した。
 一連の経過をめぐって遺族側は、近大病院側が肺炎の発症がEMDの副作用によるものと認める一方、その責任は否定したとしている。
 厚生労働省は薬事法に基づき、メルク社からEMDの治験データや副作用情報の報告を受けてきた。医薬食品局審査管理課はEMDにかかわる報告について「治験段階では企業秘密の面もあり、副作用など安全にかかわる情報であっても企業が公表していない内容は答えられない」としている。

国民保険1人当たりの医療費 最高は広島、最低は沖縄 indexへ

 国民健康保険中央会は13日、08年度上半期(4〜9月分)の国民健康保険(国保)の医療費速報値を発表した。医療費総額は5兆2796億円で、市町村国保の1人当たり医療費は13万7515円だった。都道府県別では広島が最も高く16万8940円、最も低かったのは沖縄の11万5612円となり、両県には1.46倍の差が出た。
 同時に発表した75歳以上の後期高齢者医療制度(後期医療)の医療費総額は5兆5697億円。1人当たりの医療費は42万4090円で、福岡が最高額で53万6003円、最低額は長野の34万9459円だった。
 速報値は、全国の国民健康保険団体連合会が審査確定したレセプトから集計。

歯科インプラント認定医、受験資格満たさず「合格」も indexへ

 欧州屈指の歯科インプラント国際学会「DGZI」(ドイツ口腔(こうくう)インプラント学会)日本支部の認定医の中に、受験資格を満たさないで合格した若手歯科医が複数いることが、朝日新聞の調べで分かった。
 DGZIを巡っては、同学会の日本支部を統括する国内の学会「AIAI」(最先端インプラント国際学会)の現職幹部らを含む5人が、ドイツ本国で認定医試験を受ける直前に、ほかの歯科医の治療例(症例)を借りていたことが明らかになっている。
 要項に定められた受験資格を満たしていないことが判明したのは、歯科医になって3カ月〜2年8カ月だった6人で、いずれも05年の試験で合格した。インプラント治療は術後の経過観察が重要で、当時の受験要項では、3年以上経過した治療例の提出を義務づけていた。
 関東地方の歯科医は受験当時、歯科医になってまだ1年。「提出した10の治療例はいずれも3年を過ぎていなかったので、ばれたら受験をやめればいいと思ったが、合格した」と話した。
 AIAI理事の医院に勤務していた歯科医も4人含まれている。ある理事は「(受験者の)動員をかけるよう理事会でいわれ、プレッシャーがあった」としている。
 AIAIは「疑わしい歯科医は処分した。理事がかかわっていたかも調べる」としているが、処分した人数などについては確認中という。
 AIAIの認定医試験では現在、「手術後3年以上経過の症例提出」という受験資格そのものを撤廃している。これについて「インプラントは一定期間機能して初めて『成功例』といえる。認定基準や審査は厳格であるべきだ」との批判もある。AIAI側は「出された症例をみれば、術後何年経過しているかは常識的に分かる」としている。
 AIAIでは、第1回試験が行われた05年から1年足らずの間に600人以上の認定医が生まれた。ホームページによると、現在の認定医は731人。
 受験資格で5年以上の学会在籍歴や論文発表、計100時間近い講習の受講なども課している「日本口腔インプラント学会」では、98年から11年間で約500人が認定医(専門医)になっている。
 同学会の幹部は、「高度な技術を要するインプラント治療で歯科医が独り立ちするには、少なくとも数年は必要。歯科医に成り立ての若手を認定医にするのは安易だ」と指摘する。
 AIAI側は「日々の業務に忙しい開業医たちを、臨床の実力で評価するための試験だ。日夜努力して優秀な人たちがたくさんいるということ」としている。

都会でも医師不足進む? 2025年、政投銀試算 indexへ

 東京都や京都府など医師が比較的多い地域も、現状のままなら2025年には不足状態が進む可能性のあることが、日本政策投資銀行の試算でわかった。患者千人当たりの医師数でみると2割以上減る地域も出るとしている。高齢化が進んで病気の人が増えるとみられるためだ。
 国立社会保障・人口問題研究所の人口予測と高齢化率をもとに47都道府県の患者数を推計した。政府は医師不足を認めて09年度に大学医学部の定員を増やすが、同行は「将来の見通しが明確でない」として、医師数が05年のまま変わらないと仮定して試算した。
 それによると、患者千人当たりの医師数は、全国では05年の30人から25年には26人に減る。著しい人口減少で患者が減る秋田など3県を除く44都道府県で減少する。
 05年に41人と最も多かった東京都は33人に減る。東京に次ぐ京都府は40人から36人、福岡県は39人から34人に。大阪府は36人から31人、愛知県は29人から23人に減る。05年に21人で最も少なかった埼玉県は17人と深刻化する。
 減り方が激しいのは神奈川県。05年は27人だったが、25年は22%減の21人。沖縄県(21%)、埼玉県、千葉県、東京都(各20%)、愛知県(18%)が続くなど、人口の多い都市部が並ぶ。沖縄県は出生率が全国最高で、人口増に伴う患者の増加が見込まれることが影響した。
 藤木敬行調査役は「高齢化で患者が増えれば医師確保が深刻な課題になりかねない」として、各地の住民の年齢構成を考慮した医療政策の必要性を指摘している。

インプラント認定医試験、他人の治療例借りて「合格」 indexへ

 歯科インプラント治療を手がける国内の歯科医を指導する立場にある複数の歯科医が、ドイツに本部を置くインプラント国際学会の認定医試験を受験する際、他の歯科医の治療例を自身のものと偽る目的で、治療の記録や術前・術後の写真を借りていたことが分かった。一部の歯科医は取材に対し、実際に虚偽の書類を提出して認定医の資格を得たことを認めている。
 問題になっているのは、会員約1万人を擁する欧州最古のインプラント学会「DGZI」(ドイツ口腔(こうくう)インプラント学会)の認定医資格。他の歯科医の治療例を借りたとされるのは、DGZIの日本支部を統括する国内の学会「AIAI」(最先端インプラント国際学会)の会長職を10月に辞任した竹前健彦(やすひこ)氏(65)のほか、現職のAIAI幹部3人を含む、少なくとも計5人。
 5人は01〜02年にドイツであったDGZI認定医試験に合格した。
 竹前氏らが借りたとされるのは、国内におけるインプラント治療の草分け的存在の一人で、勉強会「総合インプラント研究センター」(横浜市)会長の津末(つのすえ)臺(うてな)氏(79)の治療例。
 津末氏によると、5人は当時、この勉強会のメンバーだった。当時の受験要項では、自身やチームで手がけた患者8人分の治療例を示す口の中の写真やX線写真などの資料が必要だった。学会発表などで資料を豊富に保管している津末氏の治療例を借りることになり、津末氏の医院に集まって適当な治療例を分け合ったという。
 津末氏は提供を認め、「計40人分の治療例すべてを提供した。安易に貸した私にも責任がある。保険指定医の資格を返上する」と話している。
 竹前氏は昨年3月、津末氏の治療例で申請・合格したことを認めたうえで、「術前の写真がなかったため、8症例すべてを借りてしまった」などと述べ、AIAI会長職の辞任や認定医資格返上の意向を示していた。その後は発言を撤回し、「一度は借りたが、実際に提出した書類には自分の医院での治療例を使った」と疑惑を否定している。
 別のAIAI幹部は、8治療例のうち一部を借りて提出したことを認め、「本当は自分の症例でやりたかった。入れなきゃよかったなと思う」と述べた。
 他の3人のうち1人は全面的に不正を認めた。残る2人は01年の受験は渡航直前に取りやめ、02年に受け直した。2人のうち1人は、治療例を借りたことは認めたが、翌年の受験の際は自分の治療例で申請した、と述べた。残る1人は疑惑を否定している。
 DGZIは、国内外で高い評価がある。国内では「日本口腔インプラント学会」が有名だが、認定医(専門医)になるには、指定施設での100時間近い講習受講や論文発表などの要件がある。論文などの必要がないDGZI認定医資格は、権威のうえでも取得要件のうえでも魅力があったと思われる。     ◇
 インプラント治療 歯が抜けたあごの骨に金属の人工歯根を埋め、その上に義歯をかぶせる。入れ歯と違い天然の歯と同じようにかめるうえ、見た目も自然。60年代から欧米で普及した。
 国内では、日本口腔インプラント学会が最も権威がある。そのほか、メーカー主宰や、歯科医の研究会から発展した学会など、数多くの学会が独自の認定医資格を与えている。世界最大規模の学会は米国のICOI(国際口腔インプラント学会)。欧州では、DGZIなどドイツの3団体が大組織として知られる。海外の学会と提携する国内学会では、AIAIやICOI日本支部などがある。

病院、耐震化まだ5割 災害拠点でも6割 厚労省調査 indexへ

 国の耐震基準を満たしている病院は全国で半数にすぎず、災害拠点病院でも6割にとどまることが、厚生労働省の調査でわかった。まったく耐震化していない病院も1割あった。厚労省は新年度予算で、耐震工事にかかる費用の補助比率を3分の1から2分の1に引き上げる。災害拠点病院については、都道府県を通じて、取り消しも視野に指導を強化していく方針だ。
 調査は、厚労省が昨年5〜6月、都道府県を通じて実施した。全国に約9千ある全病院を対象に調べ、約9割の8130病院から回答があった。このうち、災害拠点病院は全体の97%にあたる565から回答があった。
 調査では、病棟、診察室、手術室など患者がいる場所が、81年の建築基準法改正で定められた耐震基準を満たしているか尋ねた。この基準は、震度5強では建物が無傷、震度6強で倒壊しないことを目安にしている。
 この結果、「すべての場所で基準を満たしている」と答えた病院は、05年の調査に比べて約14ポイント増えたものの、まだ50.8%にとどまっていた。「一部は満たしている」は33.1%、「すべて満たしていない」と回答した病院も12.4%あった。災害拠点病院でも「すべて満たしている」は、58.6%だった。
 調査結果を受け、厚労省は新年度から、民間病院の耐震化工事費の補助率を、従来の3分の1から2分の1に引き上げる。耐震化が進んでいない病院について耐震化計画を再検討するよう、各都道府県に個別に求めていく。災害拠点病院については、10年度までに約7割で耐震化を終える目標を掲げ、指定取り消しも視野に都道府県を通じて耐震化を促していく。
 病院の耐震化がなかなか進まない背景には、24時間体制で動いているほか、多額の耐震工事費を出しにくい、などの事情があるようだ。
 阪神大震災を経験した兵庫県災害医療センター顧問の鵜飼卓医師は「病院の耐震化が進まないのは、お金の問題が大きい。とくに、公立病院は普段から赤字を抱えている施設が多く、補強工事費を負担しにくい」と指摘する。
 同省医政局指導課の道上幸彦専門官は「震災時でも病院が機能するためには、電源・給水の確保や食料・医薬品の備蓄など他の課題も山積している。まずは建物の耐震化が着実に進むよう取り組みたい」と話している。
     ◇
 ■災害拠点病院 災害時に地域医療の中核を担う病院で、都道府県が指定する。阪神大震災を教訓に96年から制度化された。原則として、24時間対応できる救急医療設備やヘリコプター発着場の整備、水・電気などライフラインの確保などが指定の条件になる。耐震化も条件の一つだが、古い建物では現在の耐震基準を満たしていないことも少なくない。

札幌・歯科の無料診療 「健保法違反」厚生局が改善指導 indexへ

 札幌市の歯科医院でNPO法人のアンケートに答えた患者の診察料が無料となっている問題で、北海道厚生局は8日、この仕組みが「患者本人が診察料の一部を自己負担しなければならない」とする健康保険法に違反するとして、歯科医院を開設する医療法人に対し、文書で改善を指導した。同時に、是正に向けた改善計画書の提出も求めた。厚生労働省によると、このような「無料診察」への行政指導は異例。改善指導に応じない場合には、保険医の指定が取り消される可能性もある。
 問題の歯科医院とNPO法人は、札幌市中央区の同じフロアに所在。NPOの会員は歯科医院で受診後、NPOのアンケートに答えて診療代と同額の「労務料」を受け取り、それを歯科医院の窓口で支払うことで、実質的に無料となる。会員には、健康保険証があり、年収520万円以下であれば、誰でもなれる。
 NPO法人によると、アンケートの質問は数問程度で、最近半年間での歯科受診の有無や、医療費の一部自己負担金割合といった内容。「労務料」の原資は、アンケートの調査受託料などをあてているという。
 NPOは医療・介護サービスを受ける人を支援する目的で05年に設立され、歯科医院は08年7月に開業した。違法とされたシステムも開業と同時に始まり、延べ3千人が無料診察を受けたという。
 NPO法人の理事長は「改善指導については内容を見て検討するが、弱者救済が目的なので、今の仕組みをやめるつもりはない」と話した。

准看護師が点滴ミス、87歳男性死亡 大阪・茨木の病院 indexへ

 大阪府警は5日、同府茨木市の「友紘会総合病院」に入院中の男性患者(87)=同府箕面市=が、胃に直接投与する注入食を誤って静脈に注入された後、死亡したと発表した。府警などによると、女性の准看護師(45)が「私のミス」と説明しているといい、業務上過失致死の疑いで調べている。
 茨木署によると、2日午後4時ごろ、准看護師が液体状の注入食を男性患者に投与した。約30分後、別の准看護師が、男性の腕の静脈につながる点滴用チューブに、注入食の容器が誤って接続されているのに気づいたという。医師が応急処置をしたが、男性は同日午後5時40分ごろ死亡。司法解剖の結果、死因は誤投与による副作用と判明したという。
 准看護師は「次々とやることがあり、確認しきれなかった」と話しているという。当時、男性患者がいたフロアでは46人の入院患者を介護ヘルパー2人を含む計4人で担当していたという。
 男性は05年3月に入院。寝たきりの状態だったという。5日に会見した同病院の斉藤裕之副院長は「医療ミスで家族にも謝罪させて頂いた。今後は器具の色を変えるなど、再発防止に努めたい」と陳謝した。