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子の甲状腺「安心できる」 福島、問題なしが99.5% indexへ

 福島県は26日、東京電力福島第一原発事故に伴う放射線の健康影響を見守る県民健康調査で、子ども約3万8千人の甲状腺検査の結果を発表した。しこりがないなど問題ないとされた子どもが99.5%を占め、残りも良性の可能性が高いと判定。県の検討委員会は「通常と変わりない状況で安心できる」としている。
 避難区域を含む13市町村に当時いた18歳以下の約4万7千人が対象で、約8割の3万8114人の検査を終えた。約0.5%の186人に良性の可能性が高いしこりなどが見つかり、念のため再度の超音波検査や血液検査が必要としている。
 県は、すべての子ども約36万人を対象に、生涯にわたって甲状腺に影響が出ないか追跡していく。

医薬品ネット販売の権利認める 東京高裁が逆転判決 indexへ

 医師の処方箋(せん)なしで買える一般用医薬品(市販薬)について、インターネット販売を原則禁止にしたのは過大な規制だとして、ネット販売業者2社が販売できる権利の確認などを求めた訴訟の控訴審判決が26日、東京高裁であった。三輪和雄裁判長は業者側の請求を退けた一審・東京地裁判決を取り消し、販売を認める逆転判決を言い渡した。
 市販薬のネット販売をめぐっては政府内でも規制緩和の議論が高まっており、国は現在の販売制度の見直しを迫られることになる。
 控訴していたのは「ケンコーコム」(東京都港区)と「ウェルネット」(横浜市)。
 厚生労働省は、改正薬事法で市販薬を副作用の危険性に応じ1〜3類に分類。省令で、危険性の高い1、2類には薬局などでの対面販売を義務づけ、ネット販売は3類しか原則認めないようにした。両社は1、2類を含む全体のネット販売を認めるよう求めていた。
 高裁判決は、改正薬事法がネット販売の一律禁止を想定していたとは認められないと指摘。原則禁止にした省令について「法の趣旨の範囲を逸脱した違法な規定で、無効であると解釈すべきだ」とし、ネット販売できる権利を認めた。
 ネット販売の禁止について、一審では「健康被害を防ぐための規制手段としての必要性と合理性を認めることができる」と容認していた。しかし、東京高裁では、「ネット販売された薬の副作用の実態把握が不十分で、省令で規制する合理性が裏付けられているとは言い難い」とした。

インプラント治療トラブル 28日に無料電話相談 indexへ

 歯科のインプラント治療でトラブルが相次いでいるとして、医療問題弁護団は28日に無料の電話相談を実施する。インプラント治療は、人工歯根を埋め込み義歯をつくる。国民生活センターによると、痛みや腫れなどが出たという相談が2006年度からの約5年間で343件あった。弁護団は「実態を調べて救済につなげたい」としている。相談は午前10時〜午後5時、専用電話(03・6869・0428、9028)へ。

子どもの花粉症発症、平均7.4歳 「免疫力が低下か」 indexへ

 気象情報会社ウェザーニューズは24日、子どもが花粉症を発症する年齢について「平均7.4歳」とする調査結果を発表した。調査に協力した医師からは「食生活が高たんぱく・高カロリー化し、免疫力が下がっているのではないか」「生活環境が清潔になりすぎている」との指摘があったとしている。
 気象情報サービスの利用者に「自分の子どもや周りの子どもの発症年齢」を質問。1万3947件の回答のうち、4〜6歳が27.4%、7〜9歳が17.5%、0〜3歳が17.4%で、平均7.4歳だった。医師50人に対する調査でも、45人が「子どもの花粉症患者が増えている」と答えたという。

医療事故で重体患者死亡 蘇生用器具組み立てミス indexへ

 大阪市立大医学部付属病院(阿倍野区)で、看護師が蘇生用器具を誤って組み立て、患者が意識不明の重体になっていた医療事故で、この患者が24日に死亡したことが病院などへの取材でわかった。
 府警阿倍野署は、業務上過失傷害の疑いで、同病院の関係者から任意で事情を聴いている。病院側が19日に、同署に事故を届け出ていた。
 病院によると、患者は45歳女性で、昨年10月に入院し、白血病治療のための手術後に合併症で全身が衰弱。今月10日になって呼吸状態が悪化したため、手動で肺に酸素を送り込む蘇生用器具を使用したが、肺に十分な酸素を送ることができず低酸素脳症になったという。患者は一時心肺停止状態となり、その後意識不明の重体のまま24日に死亡した。

新型インフル法案、成立へ 流行時に施設使用や催し制限 indexへ

 毒性や感染力が強い新型インフルエンザの対策を定めた特別措置法案が24日、参院内閣委員会で民主、公明などの賛成多数で可決された。自民は欠席した。流行時に大勢の人が集まる施設の使用や催しを制限できる内容で、人権が過度に制約されないよう求める付帯決議をつけた。今国会で月内に成立する見通し。
 特措法案は、3年前の新型の流行を踏まえ、国や自治体の対応を法的に位置づけた。発生時には国や都道府県が対策本部を設け、首相が緊急事態を宣言する。宣言後は、都道府県知事が外出の自粛や、学校などの施設の使用、催しの制限を要請。施設が応じなければ指示もできる。

不活化ポリオワクチンに一斉切り替えへ 厚労省、9月に indexへ

 ポリオの予防接種について、厚生労働省は23日、9月1日から現行の生ワクチンをやめ、病原性をなくした不活化ワクチンに一斉に切り替える方針を決めた。生ワクチンはごくまれに、手足にまひが残るなどの副作用が報告されていた。
 生ワクチンの接種を受けていない場合は不活化ワクチンの注射を4回、1回受けている場合は3回受けることになる。生はのむタイプで、2回接種していた。
 この日開かれた専門家による検討会で方針が了承された。ポリオ単独のワクチンが9月に導入できるめどが立ち、必要な供給量も確保できると判断した。

ポリオ生ワクチン接種率、急減 「不活化」導入待ちか indexへ

 ポリオ予防のため自治体が現在使っている生ワクチンについて、昨秋の都道府県別の予防接種率が20日わかった。厚生労働省によると、全国平均の確定値は前年同期比15.5ポイント減の76.2%だが、千葉57.6%、埼玉65.8%、東京66%、神奈川66.2%と首都圏で特に低かった。まひが起きない個人輸入の不活化ワクチンの接種が受けられる医療機関が多いことなどが背景とみられる。
 千葉は前年同期比32.6ポイント減で最も落ち込みが大きかった。他に接種率が低かったのは青森62.9%、山梨66.7%、熊本66.7%、奈良68%など。国産の不活化ワクチンの導入を待つ保護者らが増えたためとみられる。

同意なく鎮痛剤で臨床研究 宮崎大、麻酔科助教に訓告 indexへ

 宮崎大学(宮崎市)は20日、医学部付属病院で麻酔科の助教が、医学部倫理委員会の承認や患者の同意を得ずに薬剤の効果を比較する臨床研究を行っていたと発表した。
 発表によると、40代の男性助教が昨年2〜5月、手術の成人患者44人に対し、国の倫理指針が定める倫理委の承認や患者の同意を得ず、硬膜外麻酔の痛みや緊張を和らげるために投与された4種類の鎮痛・鎮静剤の効果について得られたデータを研究に流用していた。いずれも一般に用いられる承認薬で、投与量も問題ないという。
 助教は昨年5月、医局会で麻酔科教授の指摘を受けて倫理委に申請し、10月まで研究を継続。11月に内部告発の文書が菅沼龍夫学長、池ノ上克病院長らに届いて、大学側は申請前の研究について調べた。

不活化ポリオワクチン承認へ 秋に公費接種可能の見込み indexへ

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会は19日、ウイルスの病原性をなくした不活化ポリオワクチンの製造販売を承認することを了承した。生ワクチンのように副作用で手足のまひを起こす危険はない。夏前には国内で初めて承認され、秋には公費による接種が受けられる見込みだ。
 承認されるのはサノフィパスツール社のポリオ単独の不活化ワクチン。注射で計4回受ける。承認申請は今年2月で、異例の早さで承認の方針が認められた。ただ世界では86カ国で承認されている。
 厚労省は今後、予防接種法の省令を改正し、公費で受けられる予防接種に不活化ポリオワクチンを追加する。国内で実施された臨床試験(治験)では、重い副作用は確認されていないという。

326グラムの生未ちゃん、小学生に 歩行器で鬼ごっこ indexへ

 体重326グラムで生まれた大阪府松原市の吉岡生未(いくみ)ちゃん(6)がこの春、市立松原東小学校に入学した。350ミリリットルのペットボトルより軽かった。生き延びるのは奇跡と言われながら、一日一日、少しずつ成長を続けてきた。いま身長100センチ、体重14キロ。ひときわ小さな体で、新たな明日へ踏み出した。
 所属は1年1組。知的には1歳児ぐらいで、自立歩行も10歩でよろけてしまう。それでも入学直後、25人のクラスメートと鬼ごっこをした。歩行器を使って体育館をシャーッと走り抜ける。勢い余ってひっくり返っても泣かなかった。特別支援学級の松熊康代先生は「安心して助けを待っていた。周囲を信頼しているんですね」。
 生まれたのは2005年8月。妊娠23週の母みゆきさん(38)はまだおなかもふくらんでおらず、家電量販店の販売員としてバリバリ働き、倒れた。妊娠高血圧症候群。大阪府立母子保健総合医療センターで、急きょ帝王切開をした。

日本の中絶、母体に重い負担 WHOが勧める方法、1割 indexへ

 日本で行われている人工妊娠中絶では、世界保健機関(WHO)が安全と勧めている「吸引法」は1割に過ぎず、事故が比較的起きやすい方法が8割を占めていた。神奈川県立保健福祉大などの調査でわかった。中絶に関連した深刻な事故は、この5年で72件あった。WHOが勧める中絶薬も認可されておらず、日本の女性は体への負担が軽い手法を選びにくい実態が浮かんだ。
 妊娠初期の中絶法には、器具で胎児をかき出す「掻爬(そうは)法」や、金属棒で吸い取る「吸引法」がある。掻爬法は医師の技量が必要で、子宮に穴があいたり、腸を傷つけたりする事故が起きることがある。
 日本学術振興会の研究で同大の杵淵(きねふち)恵美子教授(看護学)らが2010年、中絶手術ができる医師がいる932の医療機関を対象に行い、343施設から回答を得た。この結果、吸引法は11%だけで、掻爬法が35%、掻爬法と吸引法の組み合わせが48%を占めた。

【新型インフル法案】 審議大詰め 自由を制限、懸念の声も indexへ

 毒性や感染力が強い新型インフルエンザの対策を定めた特別措置法案の審議が国会で大詰めを迎えている。3年前の教訓を踏まえ外出や行事の制限など危機管理を強化するのが目的だ。ただ自由を制限する内容に懸念の声も出ている。対策はどう変わるのか。
 特措法案は災害対策基本法や国民保護法を参考にした。2009年から10年に新型として流行したインフルエンザA09年型の経験を反映させた。結果的に弱毒性だったが、行事の自粛や休校などの判断が自治体で分かれ、責任の所在もはっきりしなかった。3月末に衆院を通過し、参院内閣委員会で審議中だ。
●外出の自粛要請
 新型が発生すると、国と都道府県は首相、知事が本部長の対策本部を設置。国民生活に大きな影響を及ぼす恐れがあると判断されると、首相が区域を定めて緊急事態を宣言する。
 宣言後、都道府県知事は外出の自粛、学校や大勢の人が集まる施設の使用、催しの制限を要請できる。施設が要請に応じなければ、より強く指示ができる。
 法案は「国民の自由と権利の制限は必要最小限でなければならない」と定める。しかし、「必要な最小限度を超えて集会の自由が制限される危険性が高い」(日本弁護士連合会)と懸念の声も上がる。17日の参院内閣委の審議でも、緊急事態を宣言する場合の根拠や、制限の対象をめぐり質問が相次いだ。
●罰則規定設けず
 政府は制限を求める期間を発生初期などの1、2週間程度と想定。要請や指示を公表すれば人も集まらなくなるとして、従わない場合の罰則は設けなかった。
 厚生労働省の専門家会議の岡部信彦議長は「権利の制限をやたらに振りかざしてはならない。病原性の評価や緊急事態の宣言、解除などは専門家の判断を尊重してもらいたい」と話す。
 ワクチンの予防接種は、医療関係者など社会機能を保つために必要な人と、住民とで対策を分ける。流行するウイルスの型を予測することは難しいためだ。
 医療関係者らに使う分として、海外で流行した鳥インフルエンザのウイルスでつくったワクチンを備蓄している。現時点で2千万人分。ただ実際に流行する新型のウイルスに効果があるか、わからない。
 住民向けのワクチンは、流行が始まったウイルスからつくる。1億2千万人分を用意できるまでの期間は1年半から2年とされる。13年度までに半年で可能にする体制を目指している。半年でも流行の第1波への対応は困難で、第2波に備えるのを目的にしている。住民の費用負担はない。
 知事は患者の治療を医師らに要請、指示できるようになる。その結果、医師らが感染したり、死亡したりしたときには補償する。

来日前の日本語研修支援 政府、ベトナム看護師対象に indexへ

 野田政権は17日、ベトナムから受け入れる看護師・介護福祉士候補者の日本語研修費用を来日前も含め全額負担することを決めた。今月21日に東京都内である野田佳彦首相とベトナムのグエン・タン・ズン首相との会談で合意する。候補者は、早ければ来年中に受け入れが始まる。
 2009年に日本とベトナムの経済連携協定(EPA)が発効したのを受け、日本政府内で受け入れ条件を検討。その結果、ベトナムで看護課程を修了または看護師資格を取得した人▽来日前に日本語研修を1年間行い、日本語能力試験でN3レベル以上を取得した人――を候補者の対象とすることを決めた。現地での研修費用は日本政府が全額負担し、ベトナム政府が施設を提供する。
 EPAにもとづく看護師や介護福祉士を受け入れるのは、インドネシア、フィリピンに続いて3カ国目。これまでの候補者は、来日後に研修を受ける日本語の難しさが壁になり、国家試験の合格率が低迷している。ベトナムとの間では、来日前の語学研修を充実させる方向で調整していた。

発毛の元つくり移植、マウスで成功 新しい増毛法に期待 indexへ

 毛穴の奥にあり、毛を生み出す「毛包(もうほう)」の元をつくって移植し、毛髪を再生する方法を辻孝・東京理科大教授らのチームがマウスの実験で見つけた。再生された毛は神経とつながり、抜けても生え替わることが確認された。大量に再生する技術などに課題はあるが、新しい増毛法につながると期待される。17日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズで発表した。
 チームは、マウスのヒゲの毛包にある「上皮性幹細胞」と「毛乳頭細胞」の2種類の細胞をとり出して培養し、毛包の元をつくった。別のマウスの背中に移植した結果、約3週間後に74%の確率で背中から毛が生え始めた。さらに10日前後で天然のヒゲと同様に1センチくらいまで伸び、その後生え替わった。刺激への反応やたんぱく質などを調べたところ、周りの神経や筋肉ともつながっていた。

放射線治療後がん再発、原因細胞わかった 京大チーム indexへ

 放射線治療後にがんが再発するしくみの一部が京都大チームの研究でわかった。腫瘍(しゅよう)内部の血管からやや離れた特定のがん細胞が生き残って増殖していた。17日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズで報告した。
 胃がんや大腸がんといった固形タイプのがんは、内部にできた血管から酸素や栄養を受け取って増殖している。血管に近く活発ながん細胞は、放射線により敏感で死滅しやすい。一方、血管からやや離れ、十分な酸素を得られない環境に適応したがん細胞は生き残りやすい。
 今回の研究で、血管から離れて不活発ながん細胞は、放射線を受けるとHIF―1という遺伝子を活性化させて血管近くに移動し、がん再発の原因となっていることがマウスの実験で分かった。

医薬行政の監視組織、政府案提出できず 厚労相が見解 indexへ

 薬害を防ぐために医薬品行政を監視する第三者機関の設立法案について、小宮山洋子厚生労働相は17日の閣議後の会見で、政府としては提出できないとの見解を示した。「今国会に超党派の議員立法でやっていただきたい」と語ったが、民主党の歴代厚労相が明言してきた今国会への法案提出の見通しは立っていない。
 第三者機関は、薬害肝炎を検証する厚労省の委員会が2010年に創設を提言。法律に基づく中立的な審議会を求め、長妻昭厚労相(当時)が薬害肝炎訴訟の原告団に12年の通常国会に法案を提出することを約束した。その後の細川律夫前厚労相、小宮山厚労相も同様の意向を示していた。
 しかし厚労省は、政策を議論する審議会は新設しないとした1999年の閣議決定を理由に、政府として第三者機関をつくる法案を出すことは難しいとしていた。

妊娠中の高血圧、生活習慣病リスク 疫学研究チーム調査 indexへ

 妊娠中に血圧が上がり、脳出血などの危険が高まる妊娠高血圧症候群を経験した女性は、将来的に高血圧や高脂血症といった生活習慣病になりやすいとの調査結果を、国内の疫学研究チームがまとめた。13日、神戸市で開かれる日本産科婦人科学会で発表する。
 看護職を対象に、女性の生活習慣と健康について継続調査している「日本ナースヘルス研究」(主任研究者=林邦彦・群馬大教授)の一環。2001〜07年、25歳以上の女性4万9927人を分析した。
 妊娠高血圧症候群を経験した45歳以上の女性は、そうでない女性に比べ、高血圧になる割合が2.4倍、高脂血症が1.4倍高かった。また、妊娠高血圧症候群の女性の娘が妊娠高血圧症候群になる割合はそうでない人の2倍高かった。

体外受精卵、1つでも多胎 確率、通常の2倍に indexへ

 不妊治療の体外受精では、受精卵を一つだけ子宮に戻しても、双子や三つ子が生まれる確率が通常の2倍になることが、日本産科婦人科学会の調査で分かった。妊娠成功率を上げるために、受精卵を体外で培養していることが影響しているようだ。多胎は早産や胎児の異常、母親の高血圧などのリスクが高まり、学会は慎重に治療法を選ぶよう呼びかけていく。
 同学会は、2007〜09年に行われた体外受精で、受精卵を一つだけ子宮に戻し、着床して心拍が確認された約5万3千件の実態を調べた。この結果、双子以上の多胎と分かったのは0.8%で、自然妊娠で一卵性の双子以上になる確率0.4%の2倍だった。
 多胎になる確率は、体外で受精卵を培養する時間が長いほど高くなった。体外受精卵をすぐ子宮に戻した場合は0.54%だったが、5日間ほど体外で培養して胚盤胞(はいばんほう)という状態にまで育ててから戻すと、1.2%に上昇した。

東京のニューオータニで59人食中毒 ノロウイルス indexへ

 東京都福祉保健局は13日、ホテルニューオータニ(千代田区)の宴会場でノロウイルスによる食中毒が発生し、客の男女59人が発症したと発表した。千代田保健所は14日から6日間、発生源とみられる調理場と宴会場を営業停止とする処分を出した。営業停止期間中は別の調理場を使用し、宴会や結婚式はホテル内のほかの宴会場に振り替える。
 ホテル側によると、7日昼に二つの宴会場で企業の招待会と出版社の会議があり、洋食と中華料理をビュッフェ形式で出した。
 9、10日にそれぞれの宴会の参加者から吐き気や発熱、下痢の症状が出たとの連絡があり、保健所が12日に男性従業員からノロウイルスを検出した。男性従業員は果物の調理を担当していた。保健所によると、発症したのは24〜75歳で、入院患者はいないという。

被災地「産後うつ」の疑い20%超す 東北大調査 indexへ

 東日本大震災の発生前後に出産し、現在、宮城県沿岸の被災市町に住む母親のうち、「産後うつ」と疑われる状態の人が20%を超えていたことが東北大の調査で分かった。通常は10〜15%といい、被災地で暮らす母親が厳しい状況に置かれている実態がうかがえる。専門家は「ストレスを抱えていることに外見からは気付きにくい。周囲が気をつけてあげてほしい」と指摘している。
 東北大の菅原準一教授(産科)らが昨年末から今年3月、県内の病院や産婦人科クリニックなどを通じ、震災前後に出産した約700人にアンケートを実施。「悲しくなったり惨めになったりした」「自分自身を傷つけるという考えが浮かんできた」といった気持ちになる頻度などから病状を調べた。
 その結果、精神科医ら専門家によるケアが必要な「産後うつ」が強く疑われる母親は21.5%。「津波被害を受けた」と答えた母親に限ると28.7%と多く、実家も含めて避難が必要だった母親も23.9%にのぼった。「津波被害がなかった」と答えた人でも、18.1%で疑いがあったという。

感覚障害の原告に水俣病認定認めず 大阪高裁、一審覆す indexへ

 最高裁判決で水俣病と認められた女性(86)=大阪府豊中市=が熊本県などに、水俣病の行政認定を求めた訴訟の控訴審判決が12日、大阪高裁であった。坂本倫城(みちき)裁判長は、女性を水俣病と認定するよう命じた一審・大阪地裁判決を取り消し、原告の逆転敗訴を言い渡した。
 水俣病をめぐっては、司法と行政で認定の判断が分かれるケースが続出。今回の訴訟は、行政機関が本来すべき認定をしない場合に裁判所に認定の義務付けを求める「義務付け訴訟」にあたる。同様に義務付けを求めた2月の福岡高裁判決は、二つ以上の症状の組み合わせを認定条件とした国の「77年基準」を「認定されるべき申請者が除外された可能性がある」と否定。条件を満たさない「被害者」に一時金を支払う、国の救済策の申請期限が7月末に迫る中、再び高裁レベルでどう判断されるか注目されていた。この日の判決で坂本裁判長は基準を「医学的見解からみて相当だ」と判断した。
 女性は熊本県生まれで手足に感覚障害がある。関西へ転居した後の1978年、県に行政認定を申請。しかし77年基準に従い、棄却された。女性ら関西に移り住んだ人々は、国などに賠償を求めて提訴。感覚障害だけで水俣病と認める判決が2004年に最高裁で確定したが、その後も女性は行政認定されず、07年5月に大阪地裁に提訴した。

上あご手術でガーゼ置き忘れ13年 岡山大病院 indexへ

 岡山大学病院(岡山市北区)は10日、歯のかみ合わせを治す13年前の手術で、ガーゼ1枚(30センチ角の半分の三角形)を患者の上あご内に置き忘れていたと発表した。患者がこの3月に岡山市内の別の病院で手術を受けて発覚した。槇野博史病院長は「心からおわび申し上げる」と謝罪した。
 岡山大病院によると、ガーゼが見つかったのはほお骨の裏付近にある「右上顎洞(じょうがくどう)」と呼ばれる空洞部分。1999年に当時20代の県内の女性が手術を受けた際、当時40代の歯科医が止血に用いたガーゼを置き忘れたとみられる。
 女性が約1年前に蓄膿(ちくのう)症にかかり、今年3月の手術で偶然ガーゼが見つかった。蓄膿症の原因となった可能性もあるとして、病院が医療費を負担するという。

「検診慎んで」環境副大臣発言に抗議 水俣病被害者団体 indexへ

 水俣病の潜在化した被害を明らかにする集団検診について、「期限が来た後は慎んでもらいたい」などと述べた横光克彦環境副大臣の発言に対し、最大の被害者団体「水俣病不知火患者会」(約5400人)が怒りを隠さない。9日、「被害者切り捨ての歴史の過ちを繰り返す予兆だ」との抗議文を細野豪志環境相に送った。細野環境相の責任を問い、横光氏の辞任も求めている。
 横光氏は8日、熊本県津奈木町で別の被害者団体と意見交換した席上、被害者の救済策の申請が7月末で締め切られるまでは「不知火患者会が(潜在被害を)掘り起こすのは多くの方に手を挙げていただく機会」とふれたが、「期限が来た後は慎んで」「いつまでもやっていたのでは他の団体にも迷惑」とも述べた。
 抗議文は「被害者救済に逆行した横光副大臣の『迷惑』発言に断固抗議する」と題し、発言は「環境省の本音が表れている。発言を万一、環境省が容認するなら水俣病の救済は全く期待できない」と批判している。救済策が法律で、被害者を「あたう限り(できる限り)すべて救済」するとうたっていることにふれ、「法の趣旨を自ら破る言動」と厳しく指摘した。その上で、「被害者の立場に立とうとしない横光副大臣は辞してしかるべきだ」と主張している。

水俣病患者掘り起こし「期限後は慎んで」 環境副大臣 indexへ

 症状がありながら国の基準では水俣病と認められない人の救済策の申請が7月末で締め切られる問題で、横光克彦環境副大臣は8日、最大の未認定患者団体「水俣病不知火患者会」(約5400人)などが潜在被害解明のために実施している集団検診について、「(7月末以降は)慎んでもらいたい」と発言した。
 熊本県津奈木町で、既に会員の救済を終えた別の未認定患者団体との意見交換の席で述べた。
 横光氏は、「(潜在被害の)掘り起こしは(7月末の)期限までなら多くの方に手を挙げていただく機会。(7月末以降は)慎んでもらいたい」と述べた。不知火患者会などが期限の撤回を求めていることに対しては「永久にこの問題で皆さんが気持ちに区切りをつけることができなくなる」と否定した。
 また、救済が終わった一部の団体から福祉や地域づくりなどの要望が出たことを念頭に、「(不知火患者会が)いつまでも(集団検診を)やっていたのでは、他の団体にも迷惑かかる」とも述べた。

慶大への補助金交付を延期 厚労省、骨髄液の無断採取で indexへ

 慶応大医学部の教授らが、患者に無断で手術中に骨髄液を採取していた問題で、厚生労働省は、慶応大に予定していた新薬開発の補助金5億円の交付を延期した。厚労省の倫理指針に反しているため、6月末までに再発防止策を報告しなければ、補助金を打ち切ることもあるという。
 厚労省は2011年度から5年間の計画で、新薬開発のための臨床試験(治験)を支援する事業を開始。全国5病院を指定し、各病院には年間5億円の補助金を出すことにしている。慶応大病院は免疫難病の分野で指定された。
 厚労省は「大学としてきちんと原因究明をして、対応しなければ事業の継続は認められない」と判断した。3月30日付で慶応大に通知した。

東大教授が引責辞任 論文に不適切データか indexへ

 米国の科学誌に2003年に載った論文の研究データに不適切な処理があったとして、東京大学分子細胞生物学研究所の加藤茂明教授らが論文を取り下げたことがわかった。加藤教授は3月末、監督責任があるとして東大を辞職した。この論文を含め複数の論文でデータの使い回しや加工の疑いがあるとの指摘が大学外からあり、東大は調査委員会を設けて調べている。
 取り下げられた論文は、難病の仕組みを研究したもので、著名な科学誌「セル」に掲載された。加藤教授が指導監督した。取り下げの詳細な理由は明らかにされていないが、加藤教授らは実験結果の図について「実験データを正しく反映できていないなど不適切な処理があった」と同誌に説明している。一方、論文投稿時に加藤教授の研究チームに所属し、論文の筆頭筆者だった群馬大の教授は、取り下げに同意しなかった。

出生前診断で「胎児に異常」、10年前と比べ中絶倍増 indexへ

 出生前診断で胎児の異常が分かったことを理由にした中絶が2005〜09年の5年間で少なくとも6千件と推定され、10年前の同期間より倍増していることが、日本産婦人科医会の調査でわかった。高齢出産の増加や簡易な遺伝子検査法の登場で今後、十分な説明を受けずに中絶を選ぶ夫婦が増える可能性もあるとして、日本産科婦人科学会は遺伝子検査の指針作りに乗り出した。
 同医会所属の約330施設を対象に中絶の実態を調べ、平原史樹・横浜市立大教授(産婦人科)がまとめた。年により回答率にばらつきがあるため、5年単位で傾向を分析した。この結果、ダウン症、水頭症などを理由に中絶したとみられるのは、1985〜89年は約800件だったのが、95〜99年は約3千件、05〜09年は約6千件と急増していた。
 日本では、70年代から胎児の異常を調べる羊水検査やエコー検査、90年代から母体血清マーカー検査が広がった。35歳以上の高齢出産の増加で、出生前診断を受ける人は増えている。妊婦健診で使われるエコーも精度が上がり、染色体異常の可能性を示す首の後ろのむくみの厚さや臓器の奇形もわかるようになった。

改正国保法成立へ 都道府県単位での財政調整を拡大 indexへ

 財政基盤が弱い市町村の国民健康保険を支援するため、医療費負担を国保同士で調整する仕組みを拡充する国保法改正案が3日、参院厚生労働委員会で民主、自民、公明などの賛成多数で可決した。近く参院本会議で成立する見通し。
 現在は2013年度までの時限措置として、1件30万円以上の医療費を各国保が都道府県単位で出し合った拠出金で賄っている。改正案では、これを14年度以降も続け、15年度からはすべての医療費に財政調整の対象を広げる。また、1件80万円以上の医療費では、各国保が出す拠出金のほかに国と都道府県が4分の1ずつ負担する今の支援策を、恒久措置にする。
 これにより、人口が少なく高齢者が多い地域の国保財政は改善される見通し。一方、現役世代が多く、医療費が比較的少ない都市部では、保険料が上がる可能性もある。

東京・光が丘病院、新体制でスタート 24時間救急継続 indexへ

 東京都練馬区の日本大学医学部付属練馬光が丘病院が1日、公益社団法人・地域医療振興協会が運営する新病院に移行した。協会は同日記者会見し、小児科を含め救急患者の24時間態勢での受け入れを続けると説明した。
 協会によると、1日現在の新病院の常勤医師数は65人で、非常勤医師53人の勤務時間が常勤医師12人分相当となるため、換算すると計77人相当という。看護師は165人。協会は、1年以内に常勤換算を含めて医師100人、看護師250人にまで増やす方針。
 新病院は、342病床や診療科目など日大の態勢を維持。125床程度から規模を順次拡大し、年度内には全病棟を稼働させる。3年以内に、経常収支での黒字化を目指すという。
 同病院の藤来(ふじらい)靖士管理者は、耳鼻咽喉(いんこう)科など一部の診療科では常勤医師がいないなど、「日大と比べて不十分なところはある」と話した。「入院と救急に比重を置き、一日も早く地域の信頼を得られるよう取り組む」と語った。

看護師8人、患者に暴力?うち1人は自殺 indexへ

 新潟県長岡市寿の県立精神医療センターで昨年7月、入院中の30歳代男性患者が胸の骨を折るなどの重傷を負った問題で、原因究明のため設置された第三者委員会(委員長=比護隆證弁護士)は27日、8人の看護師が男性患者に暴力行為を行った可能性があると発表した。
 同委員会は、男性患者と家族、職員への聞き取りを行ったところ、暴力行為を見たり聞いたりしたとして8人の名前が挙がった。うち1人は暴行をほのめかす手紙を委員長に残して聞き取り調査の前日に自殺し、残り7人は関与を認めていないという。
 再発防止への提言として、同センターに重症患者が集中しないようにすることや、ベッド数の削減、看護師のストレス軽減などを求めた。
 報告書では、負傷の原因について、「自傷、事故や他の患者による加害の可能性は低く、看護師の関与が疑われるが、強制力を持たない委員会の調査には限界があり、負傷の原因と時期は特定できず、事実関係は解明できなかった」とした。
 同センターは今後、長岡署に報告書を渡して相談した上で、この問題への対応を検討したいとしている。

患者骨折で院長ら処分 新潟県、告発も検討 indexへ

 新潟県長岡市の県立精神医療センターに入院中の30代男性患者が肋骨(ろっこつ)を折るなどの不審なけがを負った問題で、新潟県は30日、和知学(わち・まなぶ)院長と女性看護部長を戒告の懲戒処分にしたと発表した。暴行や傷害容疑で関与が疑われる看護師らの刑事告発も検討する。
 県が設置した第三者委員会は27日、患者のけがについて「自傷や事故の可能性は低く、看護師の関与が疑われる」として、暴行を受けた可能性を指摘する報告書を県側に提出した。
 職員らへの調査では、男女8人の看護師が患者への加害行為者として名前が挙がり、このうち1人は調査中の2月に自殺している。

「看護師8人、患者に暴力の可能性」…新潟 indexへ

 新潟県長岡市寿の県立精神医療センターで昨年7月、入院中の30歳代男性患者が胸の骨を折るなどの重傷を負った問題で、原因究明のため設置された第三者委員会(委員長=比護隆證弁護士)は27日、8人の看護師が男性患者に暴力行為を行った可能性があると発表した。
 同委員会は、男性患者と家族、職員への聞き取りを行ったところ、暴力行為を見たり聞いたりしたとして8人の名前が挙がった。うち1人は暴行をほのめかす手紙を委員長に残して聞き取り調査の前日に自殺し、残り7人は関与を認めていないという。
 再発防止への提言として、同センターに重症患者が集中しないようにすることや、ベッド数の削減、看護師のストレス軽減などを求めた。
 報告書では、負傷の原因について、「自傷、事故や他の患者による加害の可能性は低く、看護師の関与が疑われるが、強制力を持たない委員会の調査には限界があり、負傷の原因と時期は特定できず、事実関係は解明できなかった」とした。
 同センターは今後、長岡署に報告書を渡して相談した上で、この問題への対応を検討したいとしている。

無資格麻酔で起訴猶予処分 千葉県がんセンター医師ら indexへ

 千葉地検は26日、資格のない麻酔をしたとして、医師法違反(無資格医業)容疑で書類送検された千葉県がんセンター(千葉市)の手術管理部長(47)と歯科医師(38)を起訴猶予処分にした。患者への実害がなかったことなどを総合的に考慮したとみられる。
 歯科医師は2010年5月から4カ月半の間に、がん患者10人の外科手術の際に資格のない全身麻酔をしたなどとして、部長は適切に指導しなかったとして、昨年7月に書類送検された。
 中川原章(なかがわら・あきら)センター長は「真摯(しんし)に受け止め、安全な医療の提供に努力する」とコメントした。

診療報酬、書類審査に限界 発覚遅れ、最悪の不正に indexへ

 傘下の4病院合わせて、約50億円の診療報酬を不正受給していた愛知県豊橋市の医療法人「豊岡会」。不正受給額は過去最大規模とされるが、行政側は長期にわたる不正を見抜けず、「医療機関との信頼関係で成り立っている」(厚生労働省医療指導監査室)という"性善説"の書類審査の限界が浮き彫りになった。
 ▽発覚遅れ巨額に
 豊岡会関係者によると、不正が行われていたのは豊橋元町病院(豊橋市)、岡崎三田病院(愛知県岡崎市)、浜松とよおか病院(浜松市)、はまなこ病院(同市)。
 4病院は慢性的な疾患を抱える患者が長期間入院する「療養病棟」が主体。入院料については、病院が厚労省に報告した看護師数などに応じ、ランク付けされる。
 患者へのサービスが充実すれば診療報酬は高くなる仕組みだが、4病院とも看護師数を水増しし、実際の入院料よりも高く設定。その結果、診療報酬を過大に受け取っていた。
 看護師の勤務状況をごまかす手口は珍しくはない。福井県の病院も2010年、看護師の夜勤時間を虚偽申告して入院料を高く設定し、診療報酬を不正受給したとして、約1億3千万円を返還。保険医療機関の指定取り消し処分も受けた。
 少なくとも06年から不正に手を染めていたとされる豊岡会は発覚が遅れたことで、受給額が巨額になったとみられる。厚労省によると、10年度に医療機関から返還を求めたのは約43億4千万円。豊岡会の不正受給額は一つの法人で年間の返還額を上回る見通しだ。
 ▽厳しい人繰り
 医療機関は、医師数や看護師数の変更などがあった場合は随時、書類を提出するほか、年1回の定例報告もある。愛知県には約1万1400の医療機関があり、届け出があると、厚労省東海北陸厚生局の約20人の職員が書類審査を担当する。
 だが、同局の担当者は「書面では解釈の誤りや報告ミスは指摘できるが、意図的な虚偽報告を見抜くのは難しい。外部の情報提供などに頼らざるを得ない」とこぼす。
 医療機関を直接訪問する「適時調査」も行っているが、人繰りが厳しく、目標の年間60件に満たないという。大半は書類審査に頼らざるを得ないのが現状だ。
 淑徳大総合福祉学部の結城康博(ゆうき・やすひろ)准教授(社会保障論)は「医療機関がこれだけ多いと審査する職員が足りないのは事実。書類に記載の事実をうのみにしがちなのは否めない」と指摘。
 厚労省医療指導監査室の担当者は「仮にこれだけ巨額の不正受給だとしたら、チェックのやり方を見直す必要があるかもしれない」と話した。

医療法人豊岡会の不正受給、診療報酬50億円も indexへ

 愛知、静岡県で療養型病院や老人介護施設を運営する医療法人「豊岡会」(本部・愛知県豊橋市)が、昨年までの5年間に約50億円の診療報酬を不正に受給していたことが、21日分かった。
 同会は昨年10月には介護報酬25億円の不正受給が発覚し、愛知県と浜松市から入院患者の受け入れ停止などの行政処分を受けている。
 同会の関係者によると、愛知県豊橋市と岡崎市、浜松市で運営する療養型病院4施設で、看護師の数を水増しし、実際よりも高い入院基本料で診療報酬を請求していたという。
 入院基本料は、看護師1人当たりの患者数などによって3ランクに分かれている。同会は最低ランクの「特別入院基本料」(一律5630円)であるにもかかわらず、一つ上のランクの「療養病棟入院基本料2」(7220-1万6950円)を請求していた。

鳥インフル論文、一転して公開OK テロ直結せずと判断 indexへ

 高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)が哺乳類でも空気感染することを示した日本とオランダの論文に対し、バイオテロに関する米政府の委員会が内容の一部削除を求めていた問題で、委員会は30日、一転して論文の全文公表を認める声明を発表した。
 2論文が投稿された英米の科学誌ネイチャーとサイエンスの編集長は、委員会の声明を歓迎するコメントを発表。論文は全文掲載される見通しとなった。
 委員会は昨年末、「テロに悪用されかねない」として実験の詳細を論文から削除する勧告を出した。しかし、著者らから提示された追加データなどを検討した結果、公表してもテロには直結しないと判断。河岡義裕・東京大学医科学研究所教授らの日本の論文については全会一致で、オランダの論文については賛成多数で、全文公表を認めた。

70〜74歳の医療費負担「2割に」 岡田副総理 indexへ

 岡田克也副総理は31日、70〜74歳の医療費の窓口負担について「暫定的に1割になっているが、2割に戻させていただきたい」と語り、2013年度以降に引き上げるべきだとの認識を示した。青森市で開かれた消費増税と社会保障の一体改革の対話集会で語った。
 70〜74歳の医療費負担は、自公政権時代に1割から2割への引き上げを決めたものの、高齢者への配慮などから実施しないまま凍結。毎年2千億円を超す予算を投じ、1割負担で据え置いている。野田政権は12年度から2割に引き上げる方向で当初検討したが、民主党内の反発を受けて見送っていた。岡田氏は集会後、「政府としての議論はこれからだ。ただ、私(の考え)は早期に戻すべきだ」と記者団に述べた。

東京・光が丘病院、常勤医が一気に4割減 日大が撤退 indexへ

 東京都練馬区にある日本大学医学部付属練馬光が丘病院で、日大が3月末に運営から撤退し、4月1日から別法人に引き継がれる。後継の態勢づくりは遅れ、常勤医師数が今の6割に満たない状況での再出発になる。小児などの救急患者を多く受け入れるだけに、隣接する埼玉県を含めて影響を心配する声がある。
 日大が撤退を表明したのは昨年7月。救急医療など不採算部門の巨額の赤字が理由だった。土地と建物を所有する練馬区は後継を公募。全国で約50の病院などを運営する公益社団法人・地域医療振興協会を9月に選んだ。「日大と同等の医療水準・規模を確保できる」と区は説明していた。
 しかし、協会が新病院の開設を申請したのは、4月の引き継ぎまで残り10日に迫った今月22日。翌日に都は開設を許可した。区は当初、2月中に開設許可を得られると見込んでいたが、駆け込みになった。

ハンセン病患者隔離運動を裏付けか 熊本県庁で文書発見 indexへ

 ハンセン病患者の強制収容や隔離をするため、昭和初期から30年代まで官民一体で進められた「無らい県運動」に関するとみられる文書が熊本県庁の書庫で見つかった。蒲島郁夫知事が30日、発表した。隔離政策の検証に取り組む元患者らは当時の文書の開示を県に求めてきたが、県はこれまで「資料は残っていない」と説明していた。
 県によると、見つかったのは県内の患者の氏名や自宅住所を記した文書、患者の家族に関する書類など10点。昭和20年代後半〜30年代に作られたとみられ、県が「無らい県運動」に関与したことを裏付ける資料である可能性が高いという。今月7、23の両日、県職員が書庫で見つけた。
 県は「当時の文書は残っていないという思いこみがあった。今後も調査を続けていきたい」としている。

災害医療管理の専門部署、東大病院が設置へ 震災踏まえ indexへ

 東京大病院は4月1日、災害時の救急医療から長期的な保健活動までを一貫して管理・運営する「災害医療マネジメント部」を新設する。東日本大震災での医療支援経験を踏まえたもので、こうした専門部署の設置は全国で初めてという。
 同部には救急や小児医療、こころのケアなどを専門とする医師や看護師ら約10人が所属。災害時の混乱を避けるため、国や自治体、他の医療機関と連携し、災害の規模などに応じた役割分担を明確化させる。また、素早く被災地のニーズを把握して支援の態勢を整える「災害保健医療マネージャー」の育成も始める。
 自治体や医療機関も甚大な被害を受けた東日本大震災では、従来のような災害直後に特化した医療支援だけでは被災地のニーズに応えきれなかった。東大病院は医療チームを現地の病院に約3カ月間、交代で派遣し、心のケアチームも今年3月末まで宮城県東松島市で活動したという。

心臓移植受けた32人が仕事に 脳死移植102例を検証 indexへ

 脳死での臓器移植が適正に行われたのかを調べる厚生労働省の検証会議(座長=藤原研司・横浜労災病院名誉院長)は29日、検証を終えた102例の結果を公表した。心臓移植を受けた80人のうち76人(2011年末現在)が生存し、32人は働いているなど、移植を受けた人の社会復帰の状況が明らかにされた。
 臓器移植法改正前の85例と、本人の意思表示がなかった改正後の17例が分析された。肺移植を受けた79人のうち58人が生存し、29人は発病前と同じ程度に、22人は家事・事務労働ができるまで回復していた。
 また、医療機関が臓器提供に積極的に関わっている実態も浮かんだ。臓器提供の意思を確認するきっかけは、法改正前は「家族からの申し出」が91%だったが、法改正後は「医師からの選択肢の提示」が6%から65%に急増していた。

心臓移植、若者が優先? 71歳チェイニー氏手術で論議 indexへ

 心臓移植に当たって年齢は考慮すべきか――71歳のチェイニー前米副大統領が心臓移植を受けたことをきっかけに年齢をめぐる議論が起きている。医療技術の向上で、高齢でも移植を受けられるようになった半面、臓器提供者(ドナー)は不足、若年者に配慮すべきだとの意見も出ている。
 心臓移植について、日本では関係学会がつくる基準で「60歳未満が望ましい」としているが、米国では医師の判断に委ねられる。
 チェイニー氏は24日、匿名のドナーから提供された心臓の移植手術を受け、経過は順調という。移植までは20カ月間の待機期間があったといい、米心臓協会の担当者はAP通信に「これだけ待ったという事実が特別扱いではないことを示している」と話した。
 だが、心臓医のスクリプス・トランスレーショナル科学研究所のトポル所長は、「問題はチェイニー氏が移植を受けたことではなく、だれが受けられなかったかだ」と指摘。ペンシルベニア大学のカプラン教授(生命倫理)も「移植による恩恵をより受けることのできる若い世代のために年齢も考慮すべきではないか」と話している。

チッソ「水俣病で経営損害」強調 中国向け紹介文書で indexへ

 水俣病の原因企業チッソ(東京)が中国向けに自社を紹介するため作成した文書の内容に、患者団体などが批判を強めている。水俣病の教訓などを記したものだが、被害実態にほとんど触れない一方、補償責任など経営上の「損害」を強調。加害責任の否定につながりかねない主張もあり、「被害に向き合う姿勢が感じられない」との声が上がっている。
 文書は中国語で書かれ、「水俣病を引き起こした企業の体験と反省」との題でA4判1ページ余り。2005年ごろ作成されたもので、チッソによると、当時の社長が訪中した際、文書の内容を中国政府の関係者に紹介した。また、中国・清華大学の公共政策の専門家らが昨年11月に同社水俣本部(熊本県水俣市)を訪れた際などに読み上げて配布されたという。
 文書は、被害について「現在まで2千人以上が水俣病と認定されている」とのみ言及。一方、「水俣病を起こした負のイメージは経営上の重大な足かせになった。反体制運動の攻撃目標となり、従業員が暴力に遭い、妨害を受け、経済損失以外でも重大な打撃を被った」と総括している。  チッソ総務部は取材に対し「患者への申し訳ない思いはもちろんある。ただ、患者向けの文書ではないためこういう内容になった」と回答。「反体制運動の攻撃」とは、1970年代初めに患者らが補償を求めてチッソ本社で直接交渉した時に「支援者の学生や活動家が役員室前の廊下に座り込んだことが象徴的な例」とし、従業員への暴力も同じ頃に起きたと主張する。

がん細胞事典、米英で作成中 患者の抗がん剤効果予測へ indexへ

 「この抗がん剤は、この患者のこのがんに効くのか」を予測することは難しいが、がん細胞の性質を詳しく調べてデータベース化すると、患者ごとに効果が期待できる抗がん剤選びに役立つ可能性がある。そんな狙いの「がん細胞百科事典」の編集が始まり、29日付英科学誌ネイチャーに詳細が発表された。
 編集は、米ブロード研究所や英サンガー研究所などの二つの研究チームがそれぞれ別途、進めている。両チームで合計1500種類以上の培養がん細胞を分析。未承認のものも含む合計150種類以上の抗がん剤を作用させ、細胞の増殖が抑えられるかどうかや遺伝子の働きがどう変わるかなども分析し、登録している。
 抗がん剤の効果は少数の遺伝子の働きだけでは説明できないことが多いが、「百科事典」は、大量の遺伝子を網羅的に分析しており、より正確に予測できる可能性がある。実際、小児がんの一種では、遺伝子の特別な変異があると、予想外の薬が増殖を抑えることが、今回わかった。

EPAでの介護福祉士、36人合格 合格率38% indexへ

 厚生労働省は28日、経済連携協定(EPA)に基づきインドネシアとフィリピンから介護福祉士候補として受け入れた36人が今年の国家試験に合格したと発表した。EPAに基づく外国人の介護福祉士試験の受験と合格者は今回が初めて。専門学校で学び受験が不要の就学コースを修了した22人を含む58人が、介護の現場で働くことになる。
 日本人を含む全体の合格率は63.9%だったのに対し、両国の受験者の合格率は37.9%(受験者数は95人)。ただ、今年の看護師試験で同じEPAに基づく受験者の合格率が約11%だったのに比べると、大幅に高く、厚労省の担当者は「予想以上」としている。
 介護福祉士は介護現場で、一般のヘルパーのリーダー役として働くことが多い。EPAの枠組みで研修生が日本に滞在できるのは最大4年間。受験には介護現場での実習が3年以上必要なため、原則1度しか受験できないが、今回の結果を受けて、政府は一定の点数に達した不合格者47人について、在留資格を延長し、来年も受験できるようにすることを決めた。

患者からの副作用情報、募ります 厚労省がネットで indexへ

 厚生労働省は、インターネットを通じて患者から医薬品の副作用情報を受け付ける事業を始めた。まだ知られていない副作用の発生をより早くつかむのが狙い。当面は試行的に実施する。
 副作用の情報はもともと、製薬企業や医療機関から報告されていた。薬害肝炎事件の検証委員会が2010年にまとめた提言を受け、副作用に最初に気づく可能性のある患者からも情報を集めることにした。
 医薬品の承認審査や、副作用情報の収集・分析を担う厚労省所管の医薬品医療機器総合機構が、副作用と感じた患者やその家族から情報を受け付ける。ホームページ(http://www.info.pmda.go.jp/)上にある「患者副作用報告」のコーナーに入り、「どのような副作用がおこりましたか?」「副作用が現れたのは、いつですか?」など約40項目の質問に答える形で入力する。

拒絶反応ない腎移植に成功 骨髄壊して手術 米チーム indexへ

 拒絶反応が起きない生体腎移植に米ルイビル大などが成功した。抗がん剤と放射線で患者の骨髄を壊してから腎臓を移植する。白血球の型が一致しなくても移植が可能で、手術を受けた8人のうち5人で免疫抑制剤をのまなくてもいい状態になった。
 移植では、患者の免疫システムが、移植臓器を「異物」とみなして攻撃するのを防ぐため、白血球の型がある程度一致した人を提供者に選び、手術後は免疫を抑える薬を一生飲み続ける必要がある。だが、薬には感染症や高血圧などになりやすくなる副作用がある。
 新手法では、抗がん剤と放射線で、白血球などの免疫に関わる細胞を作り出す骨髄を破壊、免疫反応が起きない状態にした後に腎臓を移植する。一方、腎臓提供者から骨髄液を採取、免疫反応にかかわる物質を調整した後、移植手術の翌日に患者に入れる。すると患者の骨髄細胞が腎臓提供者のものに入れ替わる。

EPAで来日の看護師候補、47人合格 昨年比31人増 indexへ

 厚生労働省は26日、経済連携協定(EPA)に基づきインドネシアとフィリピンから受け入れた看護師候補者47人が国家試験に合格した、と発表した。受験者は415人で、合格率は11.3%だった。昨年の合格者は16人(合格率4%)だった。
 今回は、08年度に第1陣として来日し、滞在期間の1年延長が認められたインドネシア人候補者にとって最後の受験機会となった。27人が試験に臨み、合格したのは8人。このほかに、帰国後に再来日して受験した人も4人おり、うち1人が合格した。この結果、第1陣104人のうち、最終的な合格者は24人となった。滞在期間を終えるため、不合格者は帰国する。
 日本人を含む全体の合格者は4万8400人で、合格率は90.1%。
 28日には、両国から来日した介護福祉士候補者にとって初めての合格発表がある。

がん罹患率4%増加 男性は胃、女性は乳がんが最多 indexへ

 国立がん研究センターは21日、全国33府県の地域がん登録の集計・分析結果(2007年度版)を発表した。人口10万人当たり、新たにがんと診断された人数を示す罹患(りかん)率は323.6で、前年より約4%増えた。年齢構成のばらつきを調整した統計では、男性で胃、女性では乳がんがもっとも多かったが、男女ともに肺がんが増える傾向にあるという。 医療情報はこちらでも発表によると、07年に全国でがんと診断された人は約70万人。部位別罹患率の順位は男女とも前年と変わらないが、男性でもっとも多い胃がんは減る傾向で、肺がんは増加傾向だった。年齢構成を調整する前の実数では2位の大腸がんよりも多く「喫煙者の多い世代が高齢化しており、今後しばらくは肺がんが増える傾向は続くとみられる」と松田智大・がんセンター地域がん登録室長は分析する。

延命措置しなくても、責任問われず 尊厳死法案 indexへ

 超党派の国会議員でつくる尊厳死法制化を考える議員連盟(増子輝彦会長)は22日、終末期の患者が延命措置を望まない場合、措置を始めなくても医師の責任が問われないとする法案を、初めて公表した。この日の総会では異論も出たため、とりまとめは、次回以降に持ち越された。
 法案は、適切な医療を受けても回復の可能性がなく、死期が間近と判断される状態を「終末期」と定義。15歳以上の患者の意思が書面などで明らかで、2人以上の医師が終末期と判断すると、生存期間の延長を目的とした人工呼吸器の装着や人工栄養の補給を始めなくても、医師は民事、刑事、行政いずれの責任も問われないとする。
 知的障害がある人や意思表示ができない人などは、対象としない。
 法案をつくるにあたり、延命措置の中止も含むべきだという意見があったが、治療を開始すると本人が意思を示せなくなることもあるため、最も範囲の狭い「延命措置を始めないこと」に限定した。
 法案は、国や自治体に終末医療の啓発をすることも盛り込む。延命措置を希望するかどうか、運転免許証や保険証に記載できるようにするとした。
 2005、06年に北海道や富山で医師が人工呼吸器を外し、患者が死亡したと明らかになり、厚生労働省などは終末医療の指針を作った。だが明確な手順を決めたものでなく、法的根拠もない。医療現場からは「責任を追及される可能性があるからとどんな状態でも延命措置を始め、一度開始すれば続けるしかない」という指摘が出ていた。
 総会に出席した関連団体からは「適切な医療や死が間近とはどういうことか。議論の前提を欠いている」(日弁連)、「人工呼吸器などは使ってみないと価値がわからない」(障害者インターナショナル日本会議)と反対意見も出た。
 増子会長は「生を大事に、個人の意思を尊重することを一番に考えてまとめた上で、今国会への提出を目指したい」と話した。
 終末医療に詳しい国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)の三浦久幸・在宅医療支援診療部長は、「病状と共に変わっていく本人の気持ちを把握して実現できるよう、書面に意思を残すことに加え、希望をかなえる組織づくりも進めていかねば」と話す。
 会田薫子・東京大特任研究員(死生学)は「大事なことは法律の条件を整えることではなく、本人がその人らしく生きるための最善の選択肢を探り、実現していくこと」と強調する。

心筋梗塞「注意報」出せるかも 米チーム、血液検査で indexへ

 死亡率が高い心臓発作(急性心筋梗塞〈こうそく〉)が起きる数週間前に、血液検査で「注意報」を出せるかもしれない。心臓病患者の救命につながるそんな研究結果を、米スクリプス研究所などのチームが22日付の米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシンに発表した。
 チームは、米サンディエゴにある四つの病院に運ばれた心臓発作の50人の血液を調べた。血液を流れる内皮細胞の数が、健康な人の5倍近く多い傾向があった。形も異常で、2倍以上の大きさで核が三つ以上ある細胞が多く確認された。
 チームは「研究が進めば、救急搬送された患者がすぐに心臓発作を起こしそうなのか、数週間後なのか、血液検査で見極められるようになるかもしれない」とし、2年以内の実用化も視野に入れている。

患者31人から無断で手術中に骨髄液採取 慶応大教授ら indexへ

 慶応大学は19日、医学部教授ら2人が臨床研究に使う目的で、計31人の肺がん患者らから無断で手術中に骨髄液を採取していたと発表した。患者同意を求めた厚生労働省の臨床研究の倫理指針に違反しており、同大は厚労省と文部科学省に経緯を報告。2人について懲戒処分を検討している。
 すでに患者に説明や謝罪をしているが、現時点で、健康被害は報告されていないという。
 同大医学部によると、呼吸器外科の50歳代の教授と40歳代の専任講師が、骨髄液を使って、効果的な治療法を予測する研究を計画。昨年10月24日から今年1月11日までの2カ月半にわたって、肺がんの手術中に40〜84歳の男女26人の患者の肋骨(ろっこつ)から、事前の説明をせず同意を得ないまま骨髄液を採取していた。この間は学内の正式な倫理審査の手続きも踏んでいなかった。

佐賀県、肝炎患者対策に力 肝がん死亡率「最悪」返上へ indexへ

 佐賀県は肝臓がんの死亡率が、2010年まで12年連続で全国最高になっている。死亡率を下げるため、県は肝炎ウイルスに感染した人への対策に力を入れる。肝がん「予備軍」とされる肝炎患者の状況をつかむことで、がんの死亡率を抑える考えだ。
 14日、佐賀市のアバンセで、県健康増進課が「連携手帳」について医師らに説明会を開いた。手帳はC型、B型肝炎ウイルスに感染した人向けのもので、血液検査の結果を記録する。医師だけでなく、患者にも自分の肝臓の状態を把握してもらうねらいがある。
 県は手帳を5千部つくった。肝がん患者の大半はC型、B型肝炎にかかっているとされ、県は「肝炎感染者の検査結果から肝がんの兆候を見つけて早めに治療し、肝がんの死亡率を下げたい」と説明する。

薬が効かない慢性痛、関与のたんぱく質発見 京大 indexへ

 鎮痛薬がほとんど効かない慢性の痛みに関わるたんぱく質を、京都大のグループが突き止めた。これを手がかりに、新しい痛み止めを開発できる可能性がある。16日、発表した。  がんなどの病気や、けがに伴って神経に異常が起きた場合、アスピリンやモルヒネといった通常の鎮痛剤がほとんど効かず、けがが治っても痛みが長期間続くことがある。
 京大の中川貴之准教授(薬理学)らは、神経が障害を受けたときに働く免疫細胞に注目し、この細胞にたくさんあるたんぱく質「TRPM2」をもたないマウスをつくった。
 すると、このマウスは通常の痛みにはほかのマウスと同様に反応したが、神経に異常があるときに起きる痛みには平気だった。

昨年の風疹患者最多に 08年以来、今年も昨年の倍近く indexへ

 国立感染症研究所は16日、昨年の風疹患者の報告数が371人と、全患者数を把握できるようになった2008年以降最多だったと発表した。今年も昨年同期の2倍近い勢い。妊娠初期の女性が、感染すれば胎児に影響を与えかねず、厚生労働省は注意を促している。
 これまでの報告数は08年が292人、09年147人、10年87人で、昨年は大幅に多かった。人口100万人当たりの都道府県別の報告数では、福岡県が17人、神奈川県7人、大阪府6人と多かった。年代・性別では、20代と30代の男性で43%を占めた。
 一方、はしか(麻疹)は08年以降、減り続け、08年は1万1012人で、昨年は434人だった。

心不全での搬送、震災直後2倍に 宮城県の救急搬送記録 indexへ

 大きな災害直後はストレスなどで循環器疾患を発症する人が多い傾向が知られているが、東日本大震災では特に心不全が多いことが宮城県の救急搬送記録からわかった。被災者に高齢者が多く、津波で薬が流されるなど今回の震災に特徴的な影響が考えられている。
 東北大循環器内科の下川宏明教授らが、2008〜11年の3月11日を挟み前1カ月、後3カ月の記録約12万件を分析。循環器疾患のうち、心機能が低下する心不全で搬送された人は08〜10年は週平均28人だったが、11年の震災後1カ月間は約60人と2倍以上だった。心筋梗塞(こうそく)や脳卒中など、過去の震災で増加が指摘された病気も増えていた。一方、新潟県中越地震で注目された肺塞栓(そくせん)症の目立った増加はなかった。
 下川さんは心不全が多かった理由として、長期ストレスのほか、高血圧の薬など薬の補給の遅れ、塩分の高い保存食の増加などを挙げる。また中越地震の車中泊者に肺塞栓症が多かった反省から、血流を

ポリオ予防接種率15ポイント減 不活化ワクチン待ち? indexへ

 感染すると手足がまひするポリオの予防接種率が前年同期比で15ポイント下がったことが15日、厚生労働省の調査でわかった。現行の生ワクチンと違い、接種によるポリオ発症はない不活化ワクチンが今秋には導入予定で、対象の乳幼児に接種を控えさせる保護者が増えたとみられる。
 厚労省によると、全国の市町村が実施する公的接種の接種率は、2010年秋の約91%から11年春には約84%、11年秋には約76%まで下がっていた。

製薬企業、患者団体への資金提供も実態公開へ indexへ

 製薬企業69社でつくる日本製薬工業協会( 製薬協)は14日、患者団体への資金提供の実態を公開するよう加盟社に求める指針を発表した。行政の検討会に代表者が参加するなど、患者団体の発言力や影響力が高まっており、その関係の透明性を確保するために必要としている。
 指針では、(1)寄付金、会員費、協賛費、広告費は、提供した患者団体名と項目ごとの金額を記載(2)患者団体の支援を目的とした企業主催・共催の講演会、説明会に伴う費用は、団体名と提供した資金総額を記載。団体や項目ごとに分ける必要はない(3)講師、原稿執筆・監修など企業からの依頼に対する謝礼は、団体名と項目ごとの金額を記載――などと定めた。  加盟社のウェブサイトなどを通じて公開する。2013年度分の資金提供について14年度から開始する。
 製薬協は昨年3月、医師への資金提供について公開の指針をまとめている。

ES細胞、臨床研究解禁へ 厚労省の専門委、指針見直し indexへ

 厚生労働省の専門委員会は13日、さまざまな組織の細胞になりうる万能細胞の一つ、ヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を臨床研究で使うため、関連する指針を見直すことを決めた。
 ES細胞については現在、細胞レベルの基礎研究用の指針がある。国内では国立成育医療研究センターと京都大が作製に成功しているが、基礎研究用のES細胞は人の治療への転用は想定されておらず、今後も認めないこととした。見直す指針では、安全性確保のため、ES細胞のもとになる受精卵の提供者の病歴を追跡するルールなどを定める。具体的な項目は新年度以降、議論する。
 ES細胞を使った臨床試験では、米国のチームが目の網膜を治療している。

長崎大病院でガーゼ置き忘れ ペースメーカー手術で indexへ

 長崎市の長崎大学病院の医師が昨年9月、男性患者に心臓ペースメーカーの埋め込み手術をした際、男性の体内に止血用ガーゼを置き忘れるミスをしていたことがわかった。ガーゼは2カ月後に取り出され、男性の容体は安定しているという。
 長崎大によると、手術後、男性が傷口からの出血などを訴えて、ミスに気づいた。病院側は「ガーゼの置き忘れが出血の一因になった可能性はある」と認め、男性と家族に謝罪したという。
 長崎大は、病院の医療ミスを報道機関に発表する規定を設けている。だが、今回は男性が公表を望まなかったとして、病院のホームページにだけ発表文を載せていた。

幹細胞で大腸の潰瘍治す 医科歯科大などマウスで成功 indexへ

 大腸から取り出した、たった一つの幹細胞を体外で増やし、大腸に移植して潰瘍(かいよう)を治すことに、東京医科歯科大の渡辺守教授や中村哲也講師らがマウスの実験で成功した。人で応用できれば、自分の細胞を使った再生医療につながる可能性がある。12日付の米医学誌ネイチャーメディシン(電子版)で発表した。  
渡辺さんらは、大腸の表面にある細胞から幹細胞を一つだけ分離。実験装置のなかで幹細胞に送る栄養を工夫して、大腸の細胞では難しいとされる体外での培養に成功した。
 増やした細胞を、潰瘍のあるマウスに移植したところ、1カ月後、潰瘍でできた凹凸が平らになって健康な大腸の表面と同化していることを確認した。

「こどもホスピス」大阪に初開設へ 小児がんなど対象 indexへ

 小児がんや神経性難病の子どもを対象にした全国初の「こどもホスピス(緩和ケア小児科病棟)」が、大阪市東淀川区の淀川キリスト教病院にできる。11月の開院をめざしている。
 淀川キリスト教病院は国内で2番目にホスピスを設けた草分け的存在。今ある分院を改装し、大人向けと子ども向けのホスピスが同居する5階建ての新ホスピスをつくる計画で、こどもホスピスは2階部分で12床。小児がんや神経性難病、ムコ多糖症などの先天性疾患を抱える主に15歳以下の患者を対象とする。5月にも大阪市保健所に構造設備の変更許可を申請する。
 病室は約30平方メートル。従来のホスピスの4倍の広さがあり、家族が泊まり込んでともに過ごすことができる。院内学級にあたる「がっこう」や友だちを呼んで一緒に遊べる「おうち」、体を動かせる「おそと」といった共用室も設ける。厚生労働省の基準を満たす施設で保険が適用され、1日1万5千〜2万円程度の患者負担を見込む。

萩原流行さん「うつ病、すべてが悪いわけでない」 宮崎 indexへ

 うつ病などの精神疾患について知ってもらおうと、宮崎市の南九州大学で10日、「2012こころの健康フォーラムin宮崎」があり、うつ病を経験した俳優の萩原流行(ながれ)さん(58)が講演した。フォーラムは、3月の自殺対策強化月間の取り組みの一つで、県と県医師会の主催。
 萩原さんは、仕事の重圧が重なるなどして20年ほど前にうつ病と診断された。当時は「死にたい死にたい、ということばかり考えていた」という。それ以前には、妻がうつ病を発症していた。「妻が『胸の中の悲しみ、苦しみを、包丁で裂いて取り除きたい』と話したときにはびっくりした。まさか、自分もうつ病になるとは思ってもいなかった」と語った。
 一方、うつ病になって気づいたこともあるという。「何げない言葉で人は傷つく。自分が傷ついたことで人の痛みが分かりました。うつ病になってすべてが悪いわけではない」。最後には、「くよくよしないで明るく生きていきましょう」と語りかけていた。

保育園児ら10人、赤痢に感染 大阪、集団発生6年ぶり indexへ

 大阪府は10日、枚方市内の私立保育所の園児8人と家族2人の計10人が赤痢に感染したと発表した。女児(5)が下痢や発熱などで一時入院したが、すでに退院し、全員が快方に向かっている。府は感染経路を調べている。
 大阪府によると今月2日、同じ保育所の男児(5)が発熱と下痢の症状を訴え、赤痢と判明。府が10日までに保育所の園児、家族、職員ら計101人の便を調べると、うち10人から陽性の反応が出たという。府内で赤痢が集団発生したのは、2006年に堺市内の保育所で計14人が感染して以来。

甲状腺被曝、最高87ミリシーベルト 50ミリ超も5人 indexへ

 東京電力福島第一原発事故で、放射性ヨウ素によって甲状腺に90ミリシーベルト近い被曝(ひばく)をしていた人がいることが分かった。弘前大学被ばく医療総合研究所の床次眞司(とこなみ・しんじ)教授らが、事故の約1カ月後に行った住民65人の測定結果を分析した。被曝した人の約半数が10ミリシーベルト以下だったが、5人が50ミリシーベルトを超えていた。  甲状腺被曝はがんのリスクがあるが、ヨウ素は半減期が短く、事故直後の混乱などで、きちんとした計測はされておらず、詳しい実態は分かっていなかった。
 床次さんらは昨年4月11〜16日、原発のある福島県浜通り地区から福島市に避難してきた48人と、原発から30キロ圏周辺の浪江町津島地区に残っていた住民17人を対象に、甲状腺内の放射性ヨウ素の濃度を調べた。この結果、8割近い50人からヨウ素が検出された。
 この実測値から、甲状腺の内部被曝線量を計算した。事故直後の3月12日にヨウ素を吸い込み、被曝したという条件で計算すると、34人は20ミリシーベルト以下で、5人が、健康影響の予防策をとる国際的な目安の50ミリシーベルトを超えていた。
 最高は87ミリシーベルトで、事故後、浪江町に残っていた成人だった。2番目に高かったのは77ミリシーベルトの成人で、福島市への避難前に同町津島地区に2週間以上滞在していた。子どもの最高は47ミリシーベルト。詳しい行動は不明だ。  国が昨年3月下旬、いわき市、川俣町、飯舘村の子ども1080人に行った測定では、35ミリシーベルトが最高値と公表されていた。

血液がん患者の凍結卵子で妊娠 国内2例目 indexへ

 血液がん患者の卵子を治療前に凍結保存し、その後体外受精で妊娠に成功したと、不妊治療を行う21施設でつくる「不妊・生殖補助医療国際学会(A―PART)日本支部」が8日、発表した。血液がん患者が卵子を凍結し妊娠に至るのは国内では2例目だという。
 血液がん患者は、副作用の強い抗がん剤や放射線治療により、卵子が影響を受けやすい。そのため、凍結保存しておかないと、将来子どもを持つのは難しい。  
女性が不妊治療を受けた加藤レディスクリニック(東京都)によると、女性は30歳だった2006年に悪性リンパ腫と診断され、07年に卵子7個を凍結保存した。その後、結婚したが妊娠できず、昨年8月に体外授精で2個の受精卵を作成。1個は流産したが、今年1月に戻した受精卵が着床した。現在は妊娠9週で、経過は順調だという。

いかいか・うらうら…理解を 被災者と医師結ぶ方言集 indexへ

 いかいか、うらうら、ぴりかり……。体や気分の不調を表現する、東日本大震災の被災地の方言を集めた用例集を国立国語研究所(東京都立川市)が作り、3月末に3県の主な医療機関に配ることになった。被災地に応援で入る医師や看護師らと、被災者との間のコミュニケーションツールとして役立ちそうだ。
 盛岡出身の同研究所非常勤研究員、竹田晃子(こうこ)さん(43)がまとめた。
 きっかけは昨夏、方言の研究者の集まりで、方言の手引がほしいと聞いたことだった。現地に入った医師からも「患者の言葉がわからず、無力感をおぼえた」と聞いた。「じりじり」「いらいら」など、体調の悪さや困った様子などを伝えるオノマトペ(擬音語、擬態語)にも方言があり、患者の思いや状態がよく理解できなかったという。

無資格で脱毛治療した疑い 大阪のエステ経営者ら逮捕 indexへ

 医師免許がないのに脱毛治療をしたとして、大阪府警は6日、大阪市北区茶屋町のエステサロン経営会社「エアフール」社長の吉川理恵容疑者(34)=住居不定=ら3人を医師法違反(無資格医業)の疑いで逮捕し、発表した。いずれも容疑を否認している。
 ほかに逮捕されたのは、エアフール梅田店(大阪市北区)の店長原井祐美子容疑者(29)=大阪府豊中市熊野町4丁目=と、店の従業員今井さち容疑者(35)=京都府向日市寺戸町。
 生活環境課によると、3人は昨年7月、医師の資格がないのに梅田店で20代の女性に光線を当てる脱毛治療をした疑いがある。女性は左腕にやけどを負い、知人が昨年12月、曽根崎署に相談。府警が2月、医師法違反容疑で会社などを家宅捜索した。

炎症性腸疾患抑える免疫細胞発見 阪大教授ら、マウスで indexへ

 患者数が急増している難病「炎症性腸疾患」の症状を改善させる免疫細胞を、大阪大大学院医学系研究科の竹田潔教授らがマウスの実験で発見した。新しい治療法につながる可能性がある。5日付の米国科学アカデミー紀要に報告する。
 潰瘍(かいよう)性大腸炎やクローン病など炎症性腸疾患は、大腸や小腸の粘膜がただれ、下痢などの症状を引き起こす。国内の患者数は約15万人。近年は毎年1万人ほどずつ増えている。詳しい原因は分かっていないが、本来は病原体などの異物を攻撃する免疫細胞が暴走し、自分の腸管を傷つけ炎症を引き起こしていると考えられている。
 研究グループは、マウスの大腸から採取した免疫細胞を分析。炎症を引き起こす免疫細胞に結合して、その増殖を食い止める働きがある別の細胞の存在を突き止め、「制御性M細胞」と名付けた。この細胞の異常が発症の条件になっているとみられる。

医療ミス「リピーター医師」を初処分 三重の産婦人科医 indexへ

 厚生労働省は5日、医師26人と歯科医師12人の行政処分を発表した。三重県四日市市の産婦人科医院で医療ミスを重ねた塩井澄夫医師(71)を戒告処分とした。医療ミスを繰り返す「リピーター医師」として行政処分されるのは初めて。処分の発効は19日。
 免許取り消しは6人、1カ月〜3年の業務停止は30人、戒告は2人だった。
 塩井医師については、1998年から2001年までに4件の医療ミスをしたとして、被害者側が03年以降、医師免許の取り消しを厚労省に求めていた。  厚労省は昨年9月、4件のうち、麻酔薬の誤投与で出産後の女性を死亡させた業務上過失致死罪で罰金刑が確定した1件についてのみ、戒告処分にした。
 厚労省は今回、刑事事件になっていなかった残りの3件のうち、子どもが脳性まひになった事故と死産となった事故の2件を、4日開かれた厚労相の諮問機関の医道審議会にはかった。医道審は「約3時間分娩(ぶんべん)の現場から離れて直接診察することを怠った」「必要な検査、治療を行うことなく、高次医療機関への速やかな搬送を怠った」と認定。前回処分の1件も考慮し、戒告が適当と判断した。改めて再教育を受けることになる。
 残る1件については、「現段階では明らかな不正が確認できない」との理由で諮問しなかった。
 医師の行政処分はもともと、刑事事件で罰金刑以上が確定したケースや診療報酬の不正請求が対象だった。医道審は02年12月、刑事罰に問われない医療ミスでも、明らかな過失がある場合は処分対象とする方針を打ち出した。
 事実認定が厳格な刑事事件の場合には確定判決をもとに処分してきたが、刑事事件以外では厚労省が事実認定をしなければならない。このため、刑事事件以外の医療ミスを認定した処分は、これまでに3件だけだった。
 このほか、横浜市の美容形成外科「菅谷クリニック」で、診療報酬を不正請求したとして詐欺罪で懲役1年8カ月が確定した旧厚生省の元医療指導監査官、菅谷良男医師(61)は免許取り消しとした。

難病の子の宿泊施設、建設助けて 名古屋で寄付呼びかけ indexへ

 難病と闘う子どもや付き添う家族を支援するため、患者や家族が安く宿泊できる施設が中部地方で初めて、名古屋市昭和区の名古屋大学病院に開設されることになった。しかし、建設資金が不足しているため、3日、寄付を広く募るイベントが同病院で開かれた。
 小児がんなど治療が難しい病気の子どもは、長期入院して家族と離ればなれになったり、自宅から遠く離れた病院への通院を強いられたりするケースが少なくない。高度治療が受けられる病院が都市部に集まっているためで、患者や家族は金銭的・心理的な負担が避けられないのが現状だ。
 建設予定の施設は「ドナルド・マクドナルド・ハウスなごや(仮称)」。米ファストフード大手のマクドナルド系列の財団法人が中心になって世界各地で建てている施設で、日本で9カ所目、世界で315カ所目になる予定。
 ボランティアの支援で運営され、個室のほかにキッチンやリビングなどが備わり、料金は小児患者が無料、家族は1日千円。利用者は名大病院の患者や家族に限らない。
 3日のイベントには、大村秀章愛知県知事や河村たかし名古屋市長も参加。浜口道成・名大総長が「名大病院に入院する子のうち約40%は県外から訪れる。社会全体で患者家族を支える活動を応援してほしい」と呼びかけた。建設費は約3億円で、うち2億円を目標に寄付を募る。
 寄付などの問い合わせは名大医学部総務課のドナルド・マクドナルド・ハウスなごや募金委員会(052・744・2775)へ。

ベットの患者、離れた所から様子把握 島根大病院が開発 indexへ

 簡単な仕組みで、離れた場所からベッドにいる人の様子が詳しく分かる離床検知装置を、島根大学付属病院(島根県出雲市)が中心になって開発した。病院や介護老人保健施設では、ベッドをこまめに見回ることで患者や入所者の安全を確認していることが多いが、新しい装置は職員の労力を大幅に減らすことができると期待されている。
 装置は島根大学付属病院の花田英輔准教授(49)と安来市の自動制御装置メーカー「山陰制御有限会社」(畑広史社長)らが共同開発。病院の新病棟に入れたドイツ製ベッドに離床検知装置がなかったため、花田准教授が知り合いの畑さんに相談し、半年ほどで完成させた。簡単なつくりで取り外しもできるため、市販の装置の半値以下で商品化できそうだという。
 新しい装置は、寝る人の背中、腰、すねの位置に合わせ、ベッドの床面3カ所に取り付けたプラスチック製の細長いカバーに、パソコンのキーボードなどに使うスイッチが3カ所ずつ配置されている。寝ている人が動くたびに計9カ所のスイッチが切り替わり、制御装置が「仰向け」「横寝」「正座」などの姿勢を判断する。今後、スマートフォンや呼び出し装置との接続を試したうえで商品化する。

第一三共とグラクソ・スミスクラインが新会社設立へ indexへ

 英大手の製薬会社、グラクソ・スミスクライン(GSK)と第一三共は2日、病気を予防するワクチンの販売などを担う新会社を折半出資で4月に設立すると発表した。資本金は1億円。社員約200人は両社から出向する。第一三共の販売ノウハウを使い、GSKが海外販売するワクチンを国内で展開しやすくするほか、両社の製品を合わせた混合ワクチンの開発も進める。

SBIが製薬業に参入 indexへ

 インターネットを中心に銀行や証券を展開するSBIホールディングスは29日、製薬業に参入したと正式発表した。化粧品製造販売の子会社「SBIアラプロモ」が医薬品を製造・販売する許可を得た。同社は4月1日付で社名を「SBIファーマ」に変え、製薬業に特化する。同社はアミノ酸「ALA」を応用したがん診断薬を開発中。国から医薬品の承認を受け次第、2012年度にも製造・販売を始める。

「密封しにくいから」不妊治療薬を少なく投与 名大病院 indexへ

 名古屋大学病院(名古屋市昭和区)は28日、有効成分量が少ない不妊治療薬を受診者に投与していた、と発表した。期間は2010年8月から昨年8月までの1年間で、投与されたのは53人。成分不足が原因で妊娠しなかったケースはなかったとしている。
 不足していた有効成分は「プロゲステロン」で、体外受精による不妊治療を補助する。プロゲステロン剤は日本では未承認で、成分量などの規格は各病院で判断し、了解を得た患者に投与している。
 同病院によると、10年8月ごろ、同剤を包装容器に注入する際、現場の薬剤師たちが「容器いっぱいに入れると密封しにくい」として、病院の規格より少ない量を入れ始めた。11年7月に自動注入用の機械を導入した際も、そのまま規格より少ない注入量が引き継がれた。規格の約8割だったとみられる。昨年8月、新しく配属された薬剤師が規格と実際の注入量の違いに気づいたという。
 松尾清一院長は「規格より成分が少ない薬を投与したことは、病院の製業務の信頼を損なうミスで重く受け止めている」と話した。受診者にはすでに謝罪した。血中の有効成分濃度が低かった受診者には追加で投与などをしていて、成分不足で妊娠しなかった例はないという。

訪問看護の1人開業、被災3県は9月末まで期限延長 indexへ

 東日本大震災の被災地に特例で認めている看護師1人での訪問看護ステーション開業について、厚生労働省は28日、岩手、宮城、福島の3県に限って期限を9月30日まで延長することを決めた。1月に福島市で、2月に福島県飯舘村でそれぞれ1事業者が認められたが、当初の期限が今月29日に迫っていた。
 訪問看護ステーションは、介護保険法に基づき看護師が2.5人以上いなければ開業できない。厚労省は昨年4月、被災地の住民がサービスを受けやすいよう、市町村の判断で1人でも開業できるようにした。3県以外の被災地は今月29日で打ち切る

水俣病訴訟、遺族が逆転勝訴 認定命じる高裁判決は初 indexへ

 感覚障害があるのに水俣病と認定せず、認定申請を21年後に棄却したのは違法として、熊本県水俣市の女性の遺族が県を相手に、棄却決定の取り消しと認定義務づけを求めた訴訟の控訴審判決が27日、福岡高裁であった。西謙二裁判長は遺族側の請求を退けた一審・熊本地裁判決を取り消し、棄却決定を取り消して水俣病と認定するよう命じた。
 判決は「国の認定基準が、唯一の基準として運用されたことは適切であったとは言い難い」と述べ、水俣病と認定するよう命じた。認定基準の見直しを避けてきた国に再検討を迫るもので、政府が「最終解決」を掲げる水俣病被害者救済法に基づく救済策にも影響が出る可能性がある。
 水俣病と認定するよう命じる判決は2010年の大阪地裁判決があるが、高裁段階では初めて。

被災3県沿岸部、病院の3割で入院長期化 復旧に格差も indexへ

 東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3県沿岸部の3割の病院で、患者の平均入院期間が震災前より1割以上長くなっていることが、朝日新聞社の調査で分かった。入院の長期化傾向は、病院や介護施設の復旧の遅れのほか、自宅での看護・介護力の低下も影響している。
 朝日新聞社は2月、沿岸部9医療圏108病院(仙台医療圏は沿岸部のみ、福島第一原発の警戒区域は除く)にアンケートを実施。97病院の回答を分析した。
 平均入院期間が1割以上長くなっている病院は30病院(30.9%)あった。この半数が2割以上長くなっていた。この影響もあり、都市部を中心に病床利用率が震災前より高くなっている病院は43病院(44.3%)に上った。そのため、退院先や転院先の確保に困り、遠方への転院や入院待機もおきている。

抗肥満薬、米で承認へ 臨床試験で年10%減量効果 indexへ

 米国で4月にも、抗肥満薬「キューネクサ」が承認される見通しになった。米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会が22日、承認を求める勧告を賛成多数で可決した。
 キューネクサは、日本でも承認されている食欲抑制薬と抗てんかん薬を混ぜ合わせたカプセル剤。申請をしていた製薬会社によると、肥満の人を対象にした臨床試験では1年間で平均10%の減量効果が認められた。
 2010年には、心臓へのリスクなど副作用に関するデータ不足から承認勧告が一度否決されていた。製薬会社では、将来は米国外での展開を視野に入れているが、今のところ日本で承認を目指す動きはないという。

外部被曝、住民最高23ミリシーベルト 福島1万人推計 indexへ

 東京電力福島第一原発の事故による福島県民の外部被曝(ひばく)線量について、県は20日、県民約1万500人のうち原発作業員らを除く一般住民約9750人の最高が事故後4カ月で23.0ミリシーベルトで、20ミリシーベルトを超えた人が2人いたと発表した。年20ミリシーベルトは、政府が決めた帰還、居住の目安になっている。
 最高は47.2ミリシーベルトだったが、行動の記録から原発作業員とみられる。
 推計値は、各自が記入した事故後4カ月間の詳細な行動記録を基に、放射線医学総合研究所が開発した独自のソフトを使って計算した。自然放射線量は含まれない。全県民約200万人を対象に今後30年以上、被曝の健康への影響を見守る「県民健康管理調査」の基礎データになる。

病院食、ホテルが監修 窯焼きパンやバイキングも 京都 indexへ

 京都府立医大付属病院(京都市上京区)は今月、入院患者の食事の外部委託を始めた。京都ホテルオークラ(中京区)の直営レストランのシェフが、毎日3食のメニューを監修。栄養だけでなくおいしさにもこだわり、患者サービスを充実させる。
 同病院が入院患者に提供する食事は、朝昼夕で各500食。ホテルから料理人や管理栄養士らを派遣し、地元の食材を使った手作りの料理を提供し、ホテルから窯焼きパンを届ける。運営を工夫することで、患者の負担額は変えない。
 今後は、季節メニューやバイキング方式の食事も予定している。平岩孝一郎社長は「味はホテルのシェフが確認し、料理は一番弟子が病院の調理場で作る」と話す。
 同病院は昨年、コンビニエンスストアや京都ホテルオークラ直営のレストランを設けるなど、患者の利便性を高めている。患者へのアンケートで病院食の不満が多く寄せられていた。

医師1000人不足 都市部偏在、浮き彫り 北海道調査 indexへ

 医師不足の現状を把握するため、北海道は昨年6月現在に医療現場で新たに必要な医師数を調べ、結果を公表した。道内全域で必要とされる医師の数は計1075人で、都市部に医師が偏在している現状が改めて浮き彫りになった。
 道内の全583病院と、出産を取り扱う44診療所を対象にアンケートし、約8割の505施設が回答した。各医療施設が「必要な数」と応えた医師数を積み上げたほか、現在働いている医師の数に対し、本来必要だとされる数を比較したデータを示した。数値が高いほど医師不足が深刻となる。
 道内に21ある中規模の医療提供単位「2次医療圏」別にみると、道内平均の1.14倍を下回ったのは、札幌圏(1.07倍)と旭川市を含む上川中部、北空知(いずれも1.13倍)の3圏域だけ。最も倍率が高かったのは道南の北渡島・檜山で1.65倍。留萌1.49倍、中空知1.38倍、日高1.35倍と続き、都市部との格差が大きかった。
 必要な医師の数を診療科別にみると、最も多かったのは内科で219人。消化器内科(78人)や循環器内科(69人)、整形外科(87人)、精神科(64人)も多かった。

エボラ熱・ペスト対応の感染症施設 福岡に新設へ indexへ

 福岡県古賀市の国立病院機構福岡東医療センターが、エボラ出血熱やペストなど致死率の高い「1類感染症」の患者に対応できる施設を新設する方針を固めた。センターへの取材でわかった。県に事業計画書も提出済みで、2012年度末の着工を目指す考えだ。
 厚生労働省によると、1類感染症の対応施設は、九州では、福岡市のこども病院(2床)と熊本市の市民病院(同)にあるが、こども病院は福岡市内の人工島への移転に伴い、病床を返上するため、センターが引き継ぐ形となる。
 施設は、公道から50メートル以上離れた敷地内に一般病棟とは切り離して建設し、1類感染症と、鳥インフルエンザや新型肺炎SARSなどの2類感染症の患者を完全に隔離できるようにする。病床数は1類が2床、2類が10床の予定という。

妊婦の食事、子どものアトピー発症に影響? 千葉大研究 indexへ

 妊娠中の食生活が、生まれてくる子どものアトピー性皮膚炎の発症に影響する可能性が、千葉大の研究でわかった。納豆を毎日食べた女性の子どもは発症率が低く、バターを毎日食べた女性の子どもは高いという傾向が出た。18日に東京都内で開かれる食物アレルギー研究会で発表した。
 2007〜08年に千葉大付属病院などで出産した女性と、生後6カ月の子ども650組を分析した。2カ月以上かゆみを伴う湿疹を繰り返した114人(18%)が、アトピー性皮膚炎と診断された。子どもがアトピーと診断された女性とそうでない女性の間で、アトピーの有無や母乳育児の割合などに差はなかった。
 納豆を毎日食べた女性から生まれた子どもは7%しかアトピーを発症しなかったのに対し、そうでない場合は19%だった。バターを毎日食べた女性の子どもは35%がアトピーを発症、そうでない子は17%だった。魚、マーガリン、ヨーグルトでは差が出なかった。

手術ミスで後遺症、1億7千万円賠償命令 名古屋地裁 indexへ

 藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)で脳動脈瘤(りゅう)の破裂を防ぐための手術を受けて障害が残ったとして、愛知県豊田市の女性(57)が、病院を運営する藤田学園に2億円余りの損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、名古屋地裁であった。堀内照美裁判長は病院側の過失を認め、介護費用や慰謝料など計約1億7千万円の支払いを命じた。
 判決によると、女性は2006年8月、手術で脳血管内に通したワイヤが動脈瘤を突き破って出血し、くも膜下出血や脳梗塞(こうそく)を起こした。左半身のまひが残り、立ったり座ったりできなくなって、介護が必要となった。
 堀内裁判長は「医師が慎重にワイヤを操作していれば動脈瘤は破られず、後遺障害が残らなかった可能性が高い」と指摘。また、医師がほかの有効な手術方法と比較できるだけの説明を十分にしなかったと結論づけた。

インフル出席停止「発症から5日」に 文科省方針 indexへ

 小中高生や大学生がインフルエンザを発症した際の学校の出席停止期間について、文部科学省は現行基準の「解熱後2日間」から「発症後5日を経過し、かつ解熱後2日間」に改める方針を決めた。タミフルやリレンザなど抗インフル薬の普及で解熱が早くなり、感染力が残ったまま登校するケースが増えているためという。
 発症後5日を過ぎれば、ウイルスがほとんど検出されなくなるという研究報告を踏まえた。幼稚園児は「発症後5日を経過し、かつ解熱した後3日間」とする。
 また、おたふくかぜ、百日ぜきについては、症状などによって出席停止期間を細かく規定するよう見直す。
 関係省令を改正し、4月1日から実施する方針。

「弁当配るから結核検診を」 西成地区で大阪市検討 indexへ

 大阪市は、結核罹患(りかん)率が全国一高い西成区・あいりん地区での治療や予防策の一環として、日雇い労働者ら向けの巡回検診や訪問診療の際に、食券や弁当を支給して受診を促す対策の検討に入った。  大阪市の人口10万人あたりの結核罹患率は政令指定市で最悪の2010年で47.4人。あいりん地区は同516.7人で、国平均の28倍に達する。市は月に3回、同地区で日雇い労働者やホームレスを対象に、結核の無料検診を実施。だが対象者約3万人のうち、受診者は年間延べ約3500人(2010年度)にとどまっているという。
 橋下徹市長は、西成区に市外から転入する子育て世帯向けに市税の減免などをする「西成特区構想」を打ち出し、結核対策にも最優先で取り組むよう指示。その後、受診率向上に向けて「1回500円程度の食券の配布」を担当部局に提案した。結核の原因として指摘される栄養不足対策も兼ねたアイデアとみられるが、担当者は「食券では換金されてしまう恐れもある」として、同額程度の弁当の支給も検討している。

老人ホームでインフル集団感染 入所者3人死亡 岡山 indexへ

 岡山市保健所は15日、有料老人ホーム「ベストライフ岡山」(同市中区)でインフルエンザの集団感染があり、入居者3人が死亡したと発表した。3人のうち1人の感染を確認。2人も発熱などの症状を訴えていたとしているが、施設側は朝日新聞の取材に「病院からは死因は持病や誤嚥(ごえん)性肺炎による多臓器不全と聞いている」と説明している。
 保健所の発表によると、同ホームでは2日以降、入所者と職員計106人のうち25人に発熱などの症状が出た。85歳、92歳、93歳の女性3人が入院し、13日までに死亡。93歳の女性を含む11人はインフルエンザA型と診断されたが、85歳の女性は陰性だった。92歳の女性は検査前だった。
 保健所は3人の死亡とインフルエンザとの因果関係について「分からない」と説明している。ほかの22人は全員が快方に向かっているという。

小中学生145人が腹痛・吐き気で休む ノロウイルスか indexへ

 岐阜県羽島市教育委員会は15日、市内の小中学生計145人が腹痛や吐き気の症状を訴えて学校を休んでいると発表した。ノロウイルスが検出された生徒が1人おり、市はノロウイルスに集団感染した可能性があるとしている。重症者はいないという。
 市教委によると、腹痛による欠席者が多いのは竹鼻中(68人)と中央中(51人)、中島中(11人)の3中学校。いずれも午前中で全校生徒を帰宅させ、16、17両日を休校にすることを決めた。市内の公立幼稚園やほかの小中学校の腹痛による欠席者は0〜5人で、集団感染とは関係ないとみられている。
 報告を受けた県生活衛生課は、感染症の集団感染か食中毒の可能性があるとみて、学校や給食センターからの調査を始める。羽島市には二つの給食センターがあり、欠席者の多い3校は羽島市南部学校給食センターが給食を作っている。調理員で体調を崩している人はいないという。

バファリン、小中学生向けにも フルーツ味「ルナJ」 indexへ

 ライオンは3月14日、小中学生向けに頭痛や生理痛を抑える薬「バファリンルナJ」を新発売する。子どもでも服用できる鎮痛成分「アセトアミノフェン」を配合。フルーツ味で、水がなくてもかんで飲める。授業や試験の際でも飲めるように、眠くなる成分は入っていない。8錠入りで希望価格は税抜き650円。

人工呼吸これで完璧? ALSOKが動く救命訓練用人形 indexへ

 ALSOKは、人工呼吸やAED(自動体外式除細動器)による救命訓練用の人形「プレスタンCPRマネキンAL」を15日に売り出す。AEDで電気ショックを与えるとマネキンが人間のように動く。心臓マッサージの押し方や回数が適切なら、左肩部分に緑色のランプが点灯する。価格は5万8800円(税込み)に抑え、学校やスポーツ施設、マンション管理組合向けに売り込む。

インフルエンザで80代男性死亡 茨城・笠間の特養施設 indexへ

 茨城県笠間市の特別養護老人ホーム「すずらんの里」で、インフルエンザB型に感染した80代の男性入所者が10日に死亡した、と県が11日発表した。
 県健康危機管理対策室によると、この男性は2日に発症。8日に肺炎の症状が表れたため、医療機関に入院していたが、10日夕に細菌性肺炎で死亡した。施設では入所者ら25人、職員4人の計29人が感染し、うち高齢の入所者3人が入院中。
 茨城県では先月末、取手市内の医療機関で発生したインフルエンザB型の集団感染で90代の入院患者2人が死亡している。今月9日にはインフルエンザ警報が県内全域に発令された。

ATL治療にがんワクチン臨床試験へ 阪大病院で国内初 indexへ

 大阪大病院(大阪府吹田市)は今春、成人T細胞白血病(ATL)を「がんワクチン」で治療する国内初の臨床試験を始める。大阪大医学部の倫理委員会が10日、承認した。効果を確認したうえで数年以内に一般的な治療法となるようにしたいという。患者本人の免疫力を高めてがんを征圧する手法で、副作用の心配も少なく、新たな治療法として期待される。
 ATLは、免疫細胞のT細胞がウイルスによってがん化して免疫力が急激に低下する。ほかの感染症で死亡することが多い。国内の感染者数は100万〜200万人とみられる。母乳などを通じて感染し約50〜60年の潜伏期間を経て、毎年約800人が発症する。抗がん剤を使う化学療法などが効きにくく、治療が難しいとされてきた。
 がん細胞は体外から侵入した異物ではないため、免疫細胞の攻撃を受けにくい。しかし、「NY―ESO―1」というたんぱく質があれば、免疫細胞が異物として攻撃することが分かっている。

09年の「新型インフル」影潜める 多くの子に抗体か indexへ

 今シーズンのインフルエンザの流行では、2009年に「新型」として猛威をふるったインフルエンザA09年型が影を潜めている。国立感染症研究所によると、2月初旬までに収集したウイルスの約0.3%にとどまる。厚生労働省は、これまでに、多くの子どもらが感染して、抗体を持った影響とみている。
 感染研によると、昨年9月初旬〜今年2月初旬に全国で確認されたウイルス1526件のうち、A09年型は4都府県で5件(0.3%)だった。A香港型は44都道府県で1369件(89.7%)、B型は152件(10.0%)。一方、A09年型は大流行した09〜10年のシーズンには98%、10〜11年にも52%を占めていた。
 A09年型の大流行で、子どもたちの多くが抗体をもったようだ。感染研によると、ワクチン接種前の昨年7〜9月に実施した検査の速報値で、15〜19歳が40%超、10〜14歳で30%超の人が抗体を持っていた。今季に流行しているA香港型の2倍以上の抗体保有率になっている。

インフル流行、長期化か 1月はA香港型、2月はB型も indexへ

 インフルエンザの患者数がこの10年で最高の水準で急増している。定点医療機関から報告された患者数が最新の1週間(1月30日〜2月5日)で1医療機関当たり42.62人に達し、この時期では2002年以降で最高になった。推計の患者数は約211万人に上る。今月に入ってウイルスの別の型も増えており、流行が長引く恐れも出てきた。
 1月半ばまでは患者が比較的少なかった首都圏で急増しているうえ、年始からの流行の中心だった東海、四国地方でも高止まりが続いている。
 国立感染症研究所の発表によると、1医療機関当たりの患者数(人)が前週は全国平均で35.95人だった。最新週では、埼玉50.94、千葉50.84、東京45.20、神奈川48.86と首都圏で急増した。大阪44.81や兵庫42.46など近畿地方では、前週に続き40人前後の状態が続いている。前週に上位3位だった福井は64.41、高知54.21、愛知47.38といずれも患者数が減ったものの、40〜60人台のままだ。中国・九州地方では山口51.64や宮崎55.36、大分45.67など高水準が続いている。

在宅医療充実に重点、勤務医の負担減 診療報酬改定 indexへ

 治療や検査など医療サービスの4月からの価格が決まった。中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)が10日、診療報酬の改定内容を答申した。患者宅でのみとりや緊急時・夜間の対応などの報酬を手厚くし、4月の介護報酬改定とも連動する形で、在宅医療の充実を後押しする。厳しい環境で働く病院勤務医や看護師らの負担軽減にも、引き続き力を入れる。
 2年ごとに改定される診療報酬は政権交代後の前回(2010年)、民主党の公約に沿って10年ぶりに引き上げられた。野田政権も昨年末、わずかながら0.004%の引き上げ方針を決定。このうち「薬価部分」を市場価格の下落に合わせて下げる一方、医師の技術料などにあたる「本体部分」は1.38%(約5500億円)引き上げる。医療機関に支払われる診療報酬は保険料のほか、1〜3割の患者窓口負担などでまかなわれており、医療サービスごとの増減は患者負担の増減にもつながる。
 本体部分では、在宅医療の充実などに1500億円、救急を中心とした医療従事者の負担軽減に1200億円、がんや認知症治療をはじめとする医療技術の向上に2千億円を充てる。

震災ストレス?宮城で患者が倍増 胃潰瘍などの出血 indexへ

 東日本大震災直後に、胃・十二指腸の潰瘍(かいよう)から出血した患者が、宮城県の病院で前年に比べ倍増したことが、東北大学病院の菅野武医師(32)らの調査でわかった。震災によるストレスの影響が強いとみられるという。10日の日本消化管学会学術集会で発表する。
 調査は、石巻市、気仙沼市など沿岸部を含む宮城県内の7基幹病院で、昨年3月11日〜6月11日に内視鏡により胃・十二指腸潰瘍と診断された患者383人と、2010年の同時期の患者261人を分析した。
 潰瘍の範囲が血管に及ぶと出血し、出血が続いた場合に吐血やどす黒い便が出るなどの症状がある。阪神大震災でも出血性の潰瘍患者が増えたという報告がある。

抗がん剤、アルツハイマー病に効果? indexへ

 抗がん剤にアルツハイマー病の原因と考えられている異常なたんぱく質を減らす効果があることが、米ケース・ウエスタン・リザーブ大(オハイオ州)によるマウスの実験でわかった。10日付米科学誌サイエンスに論文が掲載された。
 アルツハイマー病は、ベータアミロイドやタウと呼ばれるたんぱく質の異常なものが、脳内の神経細胞に蓄積して起こると考えられている。
 研究チームは、この病気を発病するモデルマウスに抗がん剤のベキサロテンを投与したところ、脳内に蓄積したベータアミロイドが72時間で約半分に減少。14日間の投与で最終的に75%減っていたという。

患者ら74人がインフル感染 大阪の病院、2人死亡 indexへ

 大阪府大阪狭山市の樫本病院(樫本秀好院長、病床数199床)は9日、入院患者と職員の計74人がインフルエンザに集団感染し、女性患者2人が肺炎で死亡したと発表した。府はウイルス型をいずれも季節性のA香港型と確認し、院内感染と断定。他の感染者は快方に向かっているという。
 病院や府によると、1月31日に同じ病棟の4部屋に入院していた患者9人が発熱し、2月1日に簡易検査でインフルエンザと確認。病院は2日、富田林保健所に集団感染を連絡。9日夕までに50〜90代の入院患者52人と20〜60代の職員22人の感染を確認した。感染者のうち、肺炎で危篤状態となっていた90代の女性患者と、重篤な基礎疾患があった80代の女性患者が死亡。インフルエンザとの因果関係は不明という。
 会見した樫本院長は「拡大防止に努めたが、感染スピードがあまりにも早かった」と述べた。

コンタクト検査時の治療ダメ 厚労省が指導強化 indexへ

 コンタクトレンズ(CL)の購入希望者を専門的に検査する眼科診療所(CL診療所)が、不必要な検査などで医療費を不正請求する事例が絶えないことから、厚生労働省は、CL診療所に対し、目の病気に関する治療や検査をしないよう指導に乗り出すことを決めた。4月の診療報酬改定に合わせて実施する。
 CL診療所は販売店のそばに併設される眼科診療所。レンズをつくるのに必要な検査を医師が行い、初診料や屈折検査料、精密眼圧測定料などをひとまとめにした「CL検査料」を受け取れる。しかし、中には病名を追加して必要のない検査や治療を行い、医療費を水増し請求する事例がある。CL業界の競争は激しく、販売店が実態として提携関係にある診療所の利益を確保しようとする動きが背景にあるといわれる。
 2010年には厚労省の課長補佐が、大阪市のCL販売会社が運営する診療所に監査を受けずに済むよう便宜をはかり、現金を受け取ったとして、収賄容疑で逮捕される事件も起きた。

「医者にわしの方言伝わらん」 解決ガイド作成中 広島 indexへ

 災害時に医師や看護師が被災地に派遣されることを想定した、各地の方言ガイド作りが進んでいる。地元の言葉で症状を訴える患者との円滑なコミュニケーションに役立てるのが狙いだ。
 「せっころしかー(胃が刺すように痛い)」「がっついのさんのよ(とても調子が悪い)」。2月に完成した方言ガイド第1弾の鹿児島版はA3判1枚。折りたたんでポケットに入れられる。体の部位を示す言葉や不快感、痛みの程度など、重要度の高いものを10項目に分けて紹介。裏は50音別の一覧表になっている。
 取り組んでいるのは、呉工業高等専門学校(広島県呉市)の岩城裕之准教授(40)=方言学=と、青森や大分の大学教授らによる研究チーム。富山、広島版も3月中にできる予定だ。

さいたま市、全中学校でAED実習 急死事故受け indexへ

 突然の心肺停止時に自動体外式除細動器(AED)をきちんと使えるようにしようと、さいたま市が新年度、市立の全中学校の授業に、胸骨圧迫も含めた心肺蘇生処置の実習を採り入れる。昨秋に市内の小学生が急死した事故を教訓にする。政令指定都市では初の試みという。
 さいたま市内では昨年9月、市立小学校で6年生の女児が長距離走の後に倒れ、死亡する事故があった。女児は校内で心肺停止状態に陥ったが、学校側は把握できず、備え付けのAEDも使わずに心肺蘇生処置をしていなかった。この対応が問題視され、市教育委員会が再発防止策を検討していた。
 市教委によると、実習授業は救命救急の知識と技能の習得が狙いで、対象は中学1、2年生計約2万1千人。講師は主に、市消防局の講習を受けた応急手当て普及員の資格を持つ教師が務める。

結核、横浜市議から?市議に感染 「保健所の連絡遅い」 indexへ

 横浜市の男性市議が昨年11月初旬、結核を発症し、ほかに少なくとも2人の市議も感染していることがわかった。市の保健所は最初の感染を把握しながら、多くの市議に連絡したのは1カ月半後。市議の間では「議員は不特定多数の人に会う。発症した市議と接触があった議員には保健所はもっと早く連絡すべきだった」と批判が出ている。最初に感染した市議も当初、同僚議員に自ら説明することはなかったという。
 市議らに対する市保健所の説明によると、男性市議の1人が結核と診断されたのは昨年11月2日。健康診断がきっかけで肺にかげが見つかったが、自覚症状はほとんどなかったという。
 診断結果の連絡を受けた保健所は直後に男性の所属会派には報告したが、他の会派には連絡しなかった。

風疹・はしか、海外型急増 「旅行・出張前に接種を」 indexへ

 国内の風疹やはしか(麻疹)の感染者で、海外で流行するタイプのウイルスが急増している。厚生労働省研究班が調べた。妊婦が風疹に感染すると、子どもに障害が出る危険があるほか、麻疹では流産や死産につながりかねない。30〜40代の男性は風疹の予防接種を受けていない人が多く、専門家は「海外旅行や出張前には接種を」と呼びかけている。
 国立感染症研究所や地方衛生研究所が2011年に国内の患者からとった麻疹ウイルス約120検体、風疹ウイルス約20検体の遺伝子の特徴を調べた。この結果、麻疹は東南アジア、欧州など海外で流行しているタイプがほぼ100%を占めた。海外タイプは3年前から急増している。風疹も大半がタイやフィリピン、ベトナムなどで流行しているタイプの可能性が高かった。
 風疹も麻疹も、全身の発疹や高熱などが主な症状。妊娠初期の女性が風疹に感染すると、子どもに心臓病や白内障、難聴などの障害が出る危険がある。妊娠中に麻疹に感染すると、3分の1が流産・死産したという報告もある。

仮設被災者の9%に血栓 一般の4〜5倍 宮城・石巻 indexへ

 宮城県石巻市の仮設住宅で暮らす被災者約500人の9%に、血行不良でできる血の塊「血栓」が見つかったことがわかった。新潟県や横浜市で一般を対象にした検査と比べ4〜5倍の高さ。活動性が落ちたことが原因とみられる。冬は、血管が収縮して血栓ができやすいため、専門家は注意を呼びかけている。
 調査は石巻市や石巻赤十字病院、東北福祉大などが2011年8月〜12年1月、100戸以上の仮設住宅21カ所で実施。中高齢者や一人暮らしの人に足の超音波検査や問診、理学療法士らが運動指導をした。
 参加した498人のふくらはぎの静脈を調べたところ、約9%にあたる43人に血栓がみつかった。調査地点別では、ゼロから約20%のばらつきが出た。約10カ所は10%を超した。
 石巻赤十字病院の植田信策・健診部長(呼吸器外科)は「浸水した避難所で過ごした人が多いと、血栓ができる割合が高くなる可能性もあり、今後分析したい。仮設住宅ごとに活動を高めていく必要がある」と話す。

女性医師は2割以下「もっと働きやすく」前橋でシンポ indexへ

 医師不足解消へ女性が働きやすい環境を考える催しが4日、群馬県前橋市昭和町3丁目の群馬大学医学部記念会館であった。結婚や子育てを経験した現役医師が、仕事との両立に向けた対応策や課題を発表。大学生や高校生といった医師志望者や若手医師らが聴き入った。
 県医師確保対策室によると、県内には2010年末現在で4354人の医師がいるが、女性は764人で18%。出産や子育てに伴う女性の離職が医師不足の一因という。一方で、群大医学部では近年、学生の4割超が女性といい、現役医師の経験を聞くことで志望者の理解を深めてもらおうと県医師会が企画した。
 群大5年生は「女子学生に調査したら最大の不安は仕事と家庭の両立だった」と報告。3年目の外科医は「結婚も出産もしたい。仕事もプライベートも妥協したくない」と訴えた。

あいりん地区の結核撃退せよ 橋下・大阪市長が対策指示 indexへ

 西成再生はまず結核対策から――。橋下徹大阪市長は、労働者の街として知られる同市西成区のあいりん地区で、罹患(りかん)率が全国一高い結核の治療や予防に最優先で取り組むよう市幹部らに指示した。子育て世帯を優遇する西成特区構想を打ち出したが、大阪府幹部から指摘を受けて実情を知り、結核対策に「エネルギーを投入する」と方針転換。新年度予算で対策費の積み上げも検討する。
 大阪市の人口10万人あたりの結核罹患率は2010年で47.4人にのぼり、政令指定市では40年連続で最悪。あいりん地区に限ると516.7人で、国平均の28倍に達する。高齢化した日雇い労働者や路上生活者が多く、免疫力の低下などが指摘されている。
 橋下氏は1月、西成区の振興に向け、市外から転入する子育て世帯向けの市税減免や、低所得層向けの教育クーポン配布など予算を重点配分する「特区構想」を提案。しかし、健康・医療対策は主な検討課題となっていなかった。

インフルエンザ、小2が死亡 北海道 indexへ

 インフルエンザの感染が北海道内で広がっている。1月下旬から患者が急増しており、今月2日には紋別市の小学2年生が死亡した。道立衛生研究所は「予防のため、手洗いやうがいなどの基本動作を忘れずに」と呼びかけている。
 道立衛生研によると、1月29日までの1週間の患者数は、1医療機関あたり全道平均で20.94人。全国平均(35.95人)は下回るが、前々週の3.58人、前週の8.44人から一気に増えた。年齢別では3〜14歳が全体の7割強を占めた。今のところ、季節性のA香港型が主流だ。
 また、厚生労働省のまとめでは、この間のインフルエンザによる休校は15校(前週0校)で、学年閉鎖50校(同2校)、学級閉鎖104校(同13校人)と急増している。

アルツハイマー治療に光 原因物質拡散の仕組み判明 indexへ

 アルツハイマー病の原因の一つとされる異常なたんぱく質が脳内で感染症のように拡散していることが、米コロンビア大などによるマウスの実験でわかった。この挙動を止める物質ができれば、治療法の開発につながる可能性がある。1日付米科学誌「プロスワン」に論文が掲載された。
 この病気は、ベータアミロイドと呼ばれるたんぱく質やタウと呼ばれるたんぱく質の異常なものが、脳内の神経細胞に蓄積して起こると考えられている。
 論文によると研究チームは、人間のタウを持つマウスを遺伝子操作でつくって脳を観察。生後10〜11カ月の若いマウスでは情報の通り道である嗅内野(きゅうないや)と呼ばれるところの神経細胞にタウがたまっていたが、22カ月以上のマウスでは、嗅内野だけでなく、回路がつながっていて、記憶をつかさどる海馬の神経細胞にもタウが広がっていることを確認した。

妊婦救急、千葉のネットワーク効果 搬送システム定着 indexへ

 生命の危険がある妊婦の受け入れができなくなるケースを無くそうと、千葉、東京、神奈川、埼玉の病院を結ぶネットワーク構想が始まった。千葉県内の病院は2007年10月に同様の仕組みで結ばれ、効果を上げている。定着には何が必要なのか――。現状と課題を探った。
 県内で導入しているのは、地域の周産期医療の拠点16病院が参加する「県母体搬送システム」。
 かかりつけ医が、母子の生命に危険があると判断し、連携病院での受け入れが不可能な場合、専任のコーディネーターが16病院の中から受け入れ先を探す。

インフル流行、全国的に警報レベル 昨季のピーク上回る indexへ

 国立感染症研究所は3日、インフルエンザの患者数が全都道府県で増加しており、推計約173万人(前週約111万人)にのぼったと発表した。大きな流行の発生・継続が疑われる警報レベルを超えた地域は42都道府県に達している。
 全国約5千の定点医療機関を対象にした調査によると、最新の1週間(1月23〜29日)に受診したインフルエンザの患者は、1医療機関当たり35.95人(同22.73)で昨季のピーク31.88人を上回った。
 患者の約6割が14歳以下。全国の医療機関で集団感染後の死亡も相次いでいる。厚生労働省は「高齢者ら抵抗力の弱い人に感染を広げないように注意を」と呼びかけている。
 都道府県別では、福井74.88(同59.88)、高知66.69(同59.31)、愛知60.48(同49.03)、三重54.58(同52.17)、岐阜49.87(同49.79)など北陸や東海、四国地方で流行が際立つ。

水俣病救済法の申請期限「7月31日まで」 環境相発表 indexへ

 水俣病の症状があっても国の基準では患者と認められない被害者の救済策を巡り、細野豪志環境相は3日、7月31日に申請受け付けを締め切る方針を表明した。細野環境相は「(残された)半年間で広報を徹底し、すべての被害者を救済する」と強調した。
 水俣病被害者救済法は「あたう限り(可能な限り)の救済」を目指し、「水俣病の最終解決」をうたう。申請開始日から「3年以内をめど」、来年4月末に救済対象者を確定させる、と定める。環境省は当初、今年度末の締め切りを検討した。だが被害者・患者の「潜在被害者の切り捨てになる」という反発を受けて、4カ月間、先に延ばした。
 7月末にした理由について、細野環境相は「(申請者の)審査にかかる時間を考えれば、ぎりぎりだ」と説明。申請が間に合わず、救済策から取り残される人がでないよう「私自身が先頭に立つ覚悟。(加害企業である)チッソ経営者を呼び、周知徹底への協力を強く要請する」と述べた。東京や大阪で説明会を開いたり、全国各地の病院にポスターを掲示したりするなど、広報に力を入れるという。
 昨年末までに、熊本、鹿児島、新潟の3県で、想定を超す約5万人が救済を申請した。国の患者認定基準より対象とする症状の幅が広がり、これまで声をあげなかった潜在被害者が数多く申請したことなどが理由とみられる。昨年12月も800人以上が申請し、なお増加が続いている。(岩井建樹)
 ◇ 〈水俣病被害者救済法〉 2009年成立。手足の先や全身性の感覚障害などの症状がある被害者に、一時金210万円や医療費などが支給される。一時金は原因企業であるチッソが負担するが、原資は国や県が貸し付ける。国が決めた認定基準による患者は約3千人にとどまり、未認定患者による裁判闘争が長く続いた。95年、政府は患者と認めないままで被害者約1万1千人に一時金を支払い、解決を図った(第1の政治決着)。その後、04年の最高裁判決が国の基準より幅広い救済を認めた。これを契機に再び認定申請を求める人が急増。これを受け、「第2の政治決着」として、自民、公明、民主の超党派の合意で救済法が成立した。

中枢神経に侵入する免疫細胞、入口は腰椎の血管に indexへ

 脳や脊髄(せきずい)などの中枢神経に免疫細胞などが侵入する「入り口」が腰椎(ようつい)の血管にあることを、村上正晃・大阪大准教授(免疫学)らのグループが見つけた。その開閉にはふくらはぎの奥の筋肉が関わっていた。この成果を応用すれば、中枢神経系の難病の治療につながると期待される。3日付の米科学誌セル電子版に掲載される。
 中枢神経の血管の内壁には不要なものを簡単に通さないようにバリアー機能があり、細胞がどのようにくぐり抜けるかは謎が多い。
 手足のまひなどを引き起こす「多発性硬化症」は、外敵をやっつけるはずの免疫細胞が誤って中枢神経を攻撃することで発症するとされる。グループは、その免疫細胞が血管内をどう動くかをマウスで調べ、「第5腰椎」の背側の血管から脊髄に集中的に入っていることを突き止めた。

インフルエンザ集団感染、患者1人死亡 宮崎市内の病院 indexへ

 宮崎市保健所は2日、市内の潤和会記念病院(呉屋朝和〈ごや・ともかず〉)院長、446床)で患者30人と職員25人がインフルエンザに集団感染し、うち患者1人が死亡したと発表した。60代〜70代の患者の男女2人も重篤な状態だという。
 死亡したのは80代の女性で、2日に肺炎で亡くなった。先月10日に入院し、栄養がとれない状態だったといい、市と病院はインフルエンザとの因果関係は不明と話している。この病院では24日に職員1人が発症、28日に保健所が指導・調査に入り、30日から新規の入院や転院などを取りやめていた。

インフル集団感染、高齢の患者2人死亡 甲府の病院 indexへ

 甲府市城東4丁目の私立城東病院(藤巻信也院長)は2日、患者や職員ら計36人がインフルエンザに院内で集団感染し、入院していた高齢者2人が死亡した、と発表した。
 同病院によると、1月27日から、73〜102歳の入院患者26人と、30〜55歳の職員10人が発熱などの症状を訴えた。簡易検査の結果、インフルエンザA型に感染していることが判明。90代の女性患者が30日に、80代の男性患者が31日にいずれも肺炎で亡くなった。ほかに3人の入院患者が重症という。現在、231人が入院している。

救命率向上に期待、ドクターヘリ運航開始 三重 indexへ

 三重県の「ドクターヘリ」の運航が1日、津市の三重大医学部付属病院を拠点に始まった。119番通報を受けて出動要請する県内の15消防本部のうち、訓練の終わったところから順次運用を始める。
 ドクターヘリは、医師や看護師を乗せて現場近くに運び、治療を始めるまでの時間を短縮する。三重大病院と伊勢市の伊勢赤十字病院に2カ月ずつ交互に設置する。県によると、離着陸ポイントは県内に550カ所あり、年間約500回の出動を見込む。
 この日の運航開始式で鈴木英敬知事は「県内すべての場所に35分以内に行ける。離島や中山間地などの救命率向上に期待したい」と話した。

インフル猛威 福井は定点あたり患者数が全国最多 indexへ

 インフルエンザが北陸でも猛威をふるっている。3県の定点医療機関(128カ所)での患者数は、1月16〜22日の1週間で前週の4倍超となる3975人。23〜29日の週も福井県で2396人、富山県でも1229人とさらに増加が続き、各県は2月上旬が流行のピークとみて、注意を呼びかけている。
 福井県は25日、定点あたりの平均患者数が平均59.88人と30人を超え「警報」を発令。国立感染症研究所のまとめによると、この週、47都道府県で最も多かった。25.63人だった石川県も26日付で注意報を発令した。この時期の増加傾向は例年と変わらないものの、3県の担当者はいずれも流行は当面続くとみている。
 今年は5シーズンぶりに「A香港型」が全国的に流行の主流。金沢大の市村宏教授(ウイルス学)は同型の特徴について「昨シーズンに流行した新型に比べ、病原性が強い」という。この時期に流行するのは、ウイルスの侵入を防ぐのどの粘膜の働きが空気の乾燥で弱まるため。北陸は太平洋側と比べて屋外の湿度は高いが、暖房をエアコンに頼ると室内が乾燥し、感染が広がりやすくなる。

再診料の徴収1日2回まで 中医協が合意 indexへ

 4月からの診療報酬改定で、中央社会保険医療協議会(中医協)は1日、患者が同じ日に同一医療機関で複数の診療科を受診した場合に、医療機関が受け取る再診料を2回まで認めることで合意した。ただし、2回目は減額する方向だ。
 再診料は690円が基本で、200床以上の病院は700円。患者はこのうち1〜3割を負担する。現在の仕組みでは、患者が同じ日に同一医療機関で複数科を受診しても、再診料は1回しか徴収されない。
 2回目を認める案に対しては、健康保険など支払い側の委員から「患者負担が増える」といった慎重意見が出ていたが、1日の協議で「患者が自らの意思で2科目を受診した場合」との条件をつけることで折り合った。

血圧測定は両腕で 左右の差、血管の病気発見に有効 indexへ

 血圧は左右の腕でそれぞれ測ったほうがいい――英ペニンシュラ医科歯科大などのチームがそんな研究結果を30日付英医学誌ランセット(電子版)に発表した。左右で差が大きいと、手足や脳などの血管の病気の危険が高いことがわかるという。
 チームは心臓が収縮するときの血圧(最高血圧)を扱った28の論文を調べた。左右の差が15ミリHg以上あると、手足の動脈が狭くなったり、動脈硬化が進んだりする危険が2.5倍になり、認知症などにつながる脳血管障害が起きている危険も1.6倍になっていた。また循環器の病気で死亡する危険も1.7倍だった。重要なのは血圧の差で、左右の腕のどちらが高いかは人によって異なるという。
 論文は「臨床的に意味がある左右の差の理由はよくわからない」としつつ、今回の結果は、左右の血圧の差は手足の血管の病気によるとする欧州高血圧学会と欧州心臓学会の見解を裏付けるとしている。
 現在、動脈硬化を調べる方法として足首で測った血圧と腕で測った血圧の比較が行われているが、チームは両腕の血圧測定を検診などに取り入れることを勧めている。

内視鏡ロボ手術に保険適用 4月スタート、中医協が了承 indexへ

 遠隔操作で内視鏡手術を支援する米国製ロボット「ダビンチ」が4月から、前立腺がんの摘出手術で公的医療保険の適用を受けることになった。厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」(中医協)が30日、了承した。これまでの手術に比べ、患者の身体的な負担が小さいという。
 医師はカメラをのぞき、拡大された体内の3次元画像を見ながら操作する。医師の手の動きに合わせて、ダビンチの手も動くようになっている。
 2009年11月、前立腺や胃、食道がんなどの手術を支援する医療機器として承認された。前立腺の周囲は血管などが集まり、がんの摘出は出血に注意が必要。細かな動きが可能なため、これまでの腹腔(ふくくう)鏡手術より出血量が少なく、入院日数も短縮でき、治療効果が期待できるという。
 販売会社「アダチ」(大阪市)によると、国内では現在、32病院が導入。昨年は約700人の前立腺がん患者の手術に使われた。前立腺がん手術のみが、一部に公的医療保険が使える先進医療に5病院が指定されている。ほかでは保険が適用されず、自己負担は100万円以上になるという。

がんの悩み、話して軽減 今治の病院、サロン開設 愛媛 indexへ

 がん闘病中の患者や家族が情報交換したり悩みを語り合ったりできる「患者家族サロン(談話室)」が、済生会今治病院(愛媛県今治市喜田村7丁目)に開設された。常設の専用スペースが院内に設けられたのは県内七つの「がん診療連携拠点病院」で初めて。
 サロンはがん患者や家族が、同じ立場同士で悩みを気軽に話し合ったり、治療体験などの情報交換をしたりする。県内のほかのサロンは病院の会議室などを利用して開いているが、ここでは常設の部屋を設けた。
 済生会今治病院は、四国がんセンター(松山市)などと共に厚労省が指定する「がん診療連携拠点病院」の一つで、今治地域では唯一。病院ではこれまで、患者や家族から「医師や看護師相手になかなか心の内を言葉にできない」という悩みが寄せられていた。だが、がん患者や家族団体の活動は松山が中心だった。

ドクヘリ目標「30分」 徳島県、広域連合の計画案 indexへ

 関西広域連合の2府5県内なら30分以内でドクターヘリが駆けつける――連合の広域医療を担当する徳島県がこんな救急医療連携計画案を作成した。計画案は「30分以内」の実現を5年後とうたっているが、そのためには6機以上が必要。今のところ連合内で調達できるめどは立っていない。
 徳島県が作った計画は、連合が来年度から3年で進める救急医療施策を決めるもの。26日にあった連合委員会で各府県の知事の承認を得た。3月の連合の定例議会で提案される。
 現在、連合の2府5県には、和歌山県▽大阪府▽兵庫・鳥取・京都3府県共有のドクターヘリ計3機が運航。徳島県も改築中の県立中央病院が開業する10月に本格運航を始め、連合全体で計4機になる。

搬送先探し、首都圏のネットワーク始動へ indexへ

 早産などの危険が迫った妊婦がお産できる病院を、東京圏全体で探すネットワークが始動する。東京都と神奈川県は31日から、コーディネーターを介して連絡をとり合い、都県境を越えて妊婦を運ぶ仕組みを試行する。都は新年度中に、千葉、埼玉両県とも連携を広げることを検討する。
 かかりつけ医は出産のリスクが高いと判断すると、妊婦を新生児集中治療室(NICU)がある施設に転院させる。だが、高齢出産などで小さく生まれる赤ちゃんが増える中、特に都市部ではNICUの整備が追いついていない。
 1都3県は専従スタッフが24時間態勢でNICUの空きを探す「コーディネーター制度」で対応してきた。しかし、現状では空きを探せるのは自らの都県内に限られ、県外では地域の基幹病院の医師が人脈などを頼りに探しているのが現状だ。その間、医師は患者の診察ができず、空きが見つかるまで時間もかかる。  そこで東京と神奈川は、都県境をまたぐケースでも両都県のコーディネーターが仲介することにした。

水俣病救済の申請期限「3月末適切でない」 細野環境相 indexへ

 水俣病の症状がありながら国の基準では患者とは認められない人を対象とする水俣病被害者救済法の申請期限問題で、細野豪志環境相は29日、熊本県水俣市と新潟市を続けて訪問し、患者・被害者と面会した。細野環境相は「依然として申請者がおり、3月末は適切ではない」と述べ、救済策の周知期間をとるため、締め切りを4月以降にする考えを表明した。
 一方で細野環境相は、法の枠組みによる申請期限の設定は必要という見解は変えなかった。救済漏れが生じないよう、「集中的に申請してもらう努力をする」と話した。判断時期については明言せず、「みなさんの思いを無駄にしないよう、熟慮して判断したい」と述べるにとどめた。
 昨年9月の環境相就任から初めての水俣入り。11の患者・被害者団体と面会した。声をあげられなかった潜在被害者の数は予想を超え、申請は昨年末までに約5万人に。各団体からは「打ち切りで見殺しにしないで」「切り捨てにつながる」などの声が相次いだ。

子どものうつぶせ寝に注意 保育施設で死亡の8割占める indexへ

 2011年に保育所などの保育施設で14人の子どもが亡くなり、うち11人が発見時に「うつぶせ寝」の状態だったことが、厚生労働省の調査でわかった。死亡との因果関係は不明だが、うつぶせ寝は、赤ちゃんが睡眠中に突然亡くなる乳幼児突然死症候群(SIDS)などのリスクを高めるとされ、同省は注意を呼びかけている。
 厚労省が27日に全都道府県の報告をまとめた。うつぶせ寝だった11人の年齢は、0歳児が6人、1歳児が3人、2歳児が2人。11人のうち10人は認可外の保育施設に入っていた。子ども1人当たりに置く保育士の基準がなく、一部の施設で配置が手薄になっていることなどが背景にあるとみられる。
 厚労省によると、「うつぶせ寝にすると泣きやむ」、「仰向けに寝かせた後、寝返りを打ったことに気づかなかった」などの理由で、赤ちゃんが長時間うつぶせ寝になるケースが多いという。

インフル、57人集団感染で2人死亡 茨城・取手の病院 indexへ

 茨城県取手市の取手北相馬保健医療センター医師会病院は28日、入院患者と職員計57人がインフルエンザに集団感染し、このうち入院していた90代の男女2人が死亡した、と発表した。
 病院によると、今月20日に看護師1人の感染を確認。その後、増加して入院患者25人、職員32人にのぼった。職員1人がA型で、他の56人はB型。
 死亡した2人はいずれも昨年12月から肺炎で同じ病棟に入院していた。23日から24日にかけてB型の陽性反応が出た。男性が25日に心不全の悪化で、女性は26日に肺炎で、それぞれ死亡したという。

福島県、独自に18歳以下の医療費無料化 indexへ

 平野達男復興相と福島県の佐藤雄平知事が28日、県庁で会談した。知事が要望していた県内の18歳以下の医療費無料化を断念する政権の方針を伝えた平野氏に、知事は「極めて残念だが、県として(医療費無料化を)前向きに検討する」と述べ、県単独で無料化を導入する方針を示した。
 会談後、佐藤知事は無料化について、記者団に「極めて大事な政策であると判断し、県独自の施策として進めていきたい」と表明。対象は「18歳以下の全ての県民だ」と述べた。
 18歳以下の医療費無料化に必要な経費は、年間100億円近くと見積もられている。県は、国が2011年度第2次補正予算から支出した約780億円をもとに健康管理基金を創設しており、県単独で無料化を実施する場合は、この基金などを活用する方針だ。

ノロウイルスに入院患者ら感染 山口大病院 indexへ

 山口大学医学部付属病院(山口県宇部市)で、入院患者と職員の計30人以上が吐き気や下痢の症状を訴え、このうち2人からノロウイルスが検出されていたことが27日、分かった。同ウイルスの集団感染による急性胃腸炎とみられる。重症者はおらず、感染は終息に向かっているという。
 病院の説明によると、16日と17日にそれぞれ入院患者1人が発症、ノロウイルスの陽性反応があった。21日には職員11人を含む計28人が同様の症状を訴えたため、病棟の一部を閉鎖するなどして感染防止措置をとった。同病院での集団感染は初めてと言い、感染経路を調べているという。岡正朗院長は「保健所と連絡をとりながら対応しており、幸い重症の患者さんがなく、終息に向かっている」と話した。

子宮外妊娠の女性死亡 愛知・岡崎市に賠償命令 indexへ

 岡崎市民病院(愛知県岡崎市)での受診直後に子宮外妊娠による出血で死亡した同市の女性(当時36)の遺族が、市と医師に7800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、名古屋地裁であった。堀内照美裁判長は、病院側が子宮外妊娠の可能性を伝えなかったため、処置が遅れて死亡したと認定し、市と医師に約6700万円の支払いを命じた。
 判決によると、女性は2007年10月3日、妊娠を疑って同病院で検査を受けた。女性が帰った後の同日夕には検査結果が出て、担当した女性医師は子宮外妊娠の可能性に気づいた。
 翌4日朝に女性から腹痛を訴える電話があり、午前11時に来院することになった。女性が病院に来ないため、病院は何度も女性に電話したが通じず、午後1時に女性から「腹痛で動けない」と電話があった。病院が救急車を呼んだが、女性は自宅で意識を失っていて、5日に出血性ショックで死亡した。
 判決は、最初に腹痛を訴える電話があった時点で、女性は危険な状態だったと指摘。子宮外妊娠の可能性が高いことや危険性を具体的に伝え、できるだけ早く来院するよう勧める責任があったと結論づけた。
 堀内裁判長は「適切に伝えていれば、迅速な手術と治療で救命できた可能性が高かった」と述べた。
 同病院は「判決文を見ていないのでコメントは差し控える」としている。

南相馬に医療・福祉復興支援センター 厚労省が開設 indexへ

 厚生労働省は27日、福島県南相馬市にある県相双保健福祉事務所内に「医療・福祉復興支援センター」を開設した。同市など福島県東部の相双地区といわき市の医療機関、福祉施設から要望を聞き、職員の確保などを支援する。相双地区の医師や看護師の不足を解消するために昨年10月に設けられた「医療従事者確保支援センター」の業務も引き継ぐ。

インフルエンザ本格流行 患者100万人超す indexへ

 インフルエンザの患者数(推計)がこの1週間で今季初めて100万人を超え、流行が本格化したことが27日、国立感染症研究所(感染研)の定点調査でわかった。全国の11県で警報レベルを超えており、例年の流行のピークとなる2月上旬にかけてさらに患者が増えそうだ。
 感染研によると、最新の1週間(1月16〜22日)に受診したインフルエンザの患者は、1医療機関当たり22.73人で、前週7.33人から急増。11県が警報レベルの30を超えた。
 推計の患者数は約111万人で、5〜14歳が約半分を占める。冬休みを終えた学校などで流行が広まったためとみられる。60歳以上の患者は8%で、昨季の同時期の2倍となった。

金曜入院と月曜退院が多い病院、診療報酬減 厚労省方針 indexへ

 厚生労働省は、入院期間が長くなりがちな「金曜入院」や「月曜退院」などの割合が高い病院について、病院側が受け取る入院基本料を減額する方針を固めた。不必要な医療費を抑制するねらい。診療報酬改定を議論している中央社会保険医療協議会で了承されれば、4月から実施する。
 厚労省によると、金曜日に入院した患者の平均入院日数は18.14日で、曜日別で最長。最も短い水曜日の入院患者より3日余り長い。一方、退院の曜日別では、月曜日が17.79日と最も長く、最も短い土曜日退院とは3日近い差があった。
 金曜日の入院は全体の14%、月曜日の退院は11%で、曜日別で見ると少なめ。ただ、厚労省は、治療を行わないことが多い土日を挟んで入退院させることが、入院日数を長くして医療費を押し上げる一因になっていると判断。高齢化で医療費が年々増えるなか、効率化のために見直すことにした。

インフルウイルスの構造解明 東大、治療薬開発に期待 indexへ

 2009年に新型インフルエンザとして世界的に流行し、いまは季節性インフルになったウイルス(H1N1型)の内部の立体構造がわかった。長さの違う小枝状の遺伝子が8本あり1本を残りの7本が囲むように入っていた。インフルウイルスの立体構造の解明は初めてで治療薬の開発につながると期待されている。
 東大医科学研究所の河岡義裕教授や野田岳志准教授らが24日付の科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。コンピューター断層撮影(CT)のようにウイルスの内部を様々な角度から撮影できる電子顕微鏡で撮影後、コンピューター・グラフィックスで立体構造を再現した。

ES細胞で視力改善 米研究チーム治験「副作用なし」 indexへ

 さまざまな組織になることができるヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使って、目の網膜を治療する臨床試験(治験)で、患者の視力の改善効果があったとする成果を、米国の研究チームが23日付の英医学誌ランセット(電子版)に発表した。移植された細胞に異常や拒絶反応もないという。
 アドバンスト・セル・テクノロジー社と米カリフォルニア大のチームは、失明につながる「加齢黄斑変性」と「黄斑変性」の患者を対象にES細胞から作った網膜色素上皮を移植する治験を昨年から始めた。
 移植から4カ月までに患者2人の網膜色素上皮は定着、細胞の異常増殖やがん化は確認されていないという。安全性を確かめる試験で、実用化には有効性の立証が必要になるが、特殊な視力表を使った検査で視力の改善がみられたという。ヒトES細胞の治験の成果が明らかになるのは初めて。

インフル突如猛威 子ども1日で2914人感染 静岡 indexへ

 23日に静岡県内の学校で一挙に広がったインフルエンザ。県疾病対策課は当初、今年の感染は遅いとみていたが、突如、広がった。県の統計で、インフルエンザにかかった子どもたちが1日で2914人に上るのは、統計が残る過去10年間で最悪。今季はこれまでに203校の高校や小中学校、幼稚園、特別支援学校で学級閉鎖などの措置がとられており、同課は注意を呼びかけている。
 同課によると、県内では10日に集団発生が初めて確認され、毎日300人程度の子どもたちが発症していた。だが、23日に急増し、この日だけで125校272学級で学級・学年閉鎖の措置がとられた。浜松市東区の「天王幼稚園」では園児350人のうち126人が症状を訴え、24日から3日間の全園閉鎖となった。
 23日に学級・学年閉鎖の報告があった125校のうち、最多は浜松市の37校。静岡市では26校で、県東部で人口の多い沼津市では2校だった。同課は「西高東低の傾向にある」と分析している。

静岡県、インフルで2575人欠席 1日で年間規模超す indexへ

 静岡県は24日、インフルエンザとみられる症状を発症して23日に学校や幼稚園を休んだ県内の生徒、児童、園児が2575人に上ったと発表した。同県では新型インフルエンザがはやった年を除くと年間2千人程度がインフルエンザで欠席しており、1日で年間欠席者数の規模を上回った。
 同県疾病対策課は、ここまで集団感染が広がった理由は「わからない」としている。県では、幼稚園から高校までを対象に発症者数を調査。23日は、125校272学級が学級・学年閉鎖になり、症状を抱えながらも登校した子どもたちを含めると、この日は2914人が発症していた。1日あたりの患者数として、過去10年で最悪だという。

国内8空港にオゾン殺菌装置 検疫所で短時間殺菌 indexへ

 IHIは24日、成田、中部、関西など国内の8空港内の動物検疫所に、衣類などを消毒するオゾン殺菌装置を計9台納入したと発表した。検疫担当者が消毒が必要と判断した入国者の衣類や靴、カバンなどをオゾンガスで消毒する装置で、短時間で殺菌できる。高病原性鳥インフルエンザ、口蹄疫(こうていえき)などのウイルスが海外から侵入するのを防ぐ水際対策の強化を定めた昨秋の改正家畜伝染病予防法の施行を受け、一括して受注した。

食物アレルギー「食べて治す」は注意 治癒は半数以下 indexへ

 食物アレルギーの原因となる食物を食べて治す「経口免疫療法」と呼ばれる治療法を受けても、治ったと言える患者は1〜5割程度にとどまり、重い副作用を経験する例も多いことが、厚生労働省の研究でわかった。研究班は診療指針を改定し「現時点で一般診療として推奨しない」とした。
 食物の摂取量を増やしながら症状が出ないようにする治療法はまだ研究段階だが、研究班の調査では少なくとも49施設が実施、1千人以上が受けていた。
 研究班は、卵や牛乳、小麦を摂取すると、じんましんや呼吸困難など複数の症状が出る子ども179人を治療した国立病院機構相模原病院の事例を分析。原因となる食物の目標量(鶏卵1個、牛乳200ミリリットル、うどん200グラム)を3カ月間取り続けても、アレルギー症状が出なかった患者に対し、2週間休止した後、食物をもう一度摂取して症状が出ないかどうかを確認した。

鳥インフルエンザに感染し死亡 中国・貴州省の男性 indexへ

 中国国営新華社通信によると、貴州省貴陽市の病院で22日死亡した39歳の男性が、鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染していたことが確認された。感染経路は不明だが、男性は6日から発熱を訴え、入院していた。
 患者と密接に接触があった71人を調査したところ、不調を訴えている人はいないという。中国では先月31日にも、広東省深セン(土へんに川)市でバス運転手の男性が鳥インフルエンザウイルスに感染し死亡している。

看護師養成、医学部・県で支援強化 山形 indexへ

 山形大医学部が看護師の養成に力を入れている。全国に先駆けて1年前に始めた「潜在看護師」の復職研修では、20人が職場復帰を果たした。今春からは、看護現場に詳しい付属病院の看護部長を医学部教授に迎え、即戦力となる若手を育てる。
 付属病院7階にある循環器病センターのナースステーション。春から看護師復帰を目指す芦田久美子さん(34)は、入院患者の心電図や呼吸の状況を映し出すモニターの前で機材の説明を受けていた。
 第2子の出産を機に同病院を退職した芦田さんは、4年間のブランクを埋めるため、昨年9月から同大の「リフレッシュ研修」を受けている。一度退職した看護師の復帰を支援するこの制度は、看護師を増やそうと同大が2010年12月から始めた。研修生として現場で学びながら働いてもらい、その間は大卒4年目並みの給与がもらえる。「医療技術は日々進歩している。一人目の子どもの出産時も復帰したあとで苦労したので、ブランクを埋められて安心」と芦田さんは話す。

9割に水俣病の症状 患者会など400人検診 indexへ

 国の基準では水俣病と認定されない被害者を対象とした新救済策をめぐり、申請者らでつくる水俣病不知火(しらぬい)患者会(熊本県水俣市)と民間の医師団が22日、熊本、鹿児島両県と大阪市、岡山市で400人規模の集団検診を開いた。受診者の約9割に水俣病とみられる症状が確認された。
 環境省は新救済策の申請を早ければ3月末で締め切ることを検討しており、近く最終判断する方針だが、不知火患者会は「潜在的被害者の多さがうかがえる結果だ」と同省を牽制(けんせい)した。
 受診者は不知火海沿岸地域に住む人や同地域の出身者で、40〜90代の計396人。このうち集計の済んだ377人の91%に当たる344人に、新救済策の対象となる全身の感覚障害や手足の先ほど感覚が鈍くなる症状が確認された。国の基準で水俣病と認定されてもおかしくない人もいたという。症状が確認された人は救済申請する予定。

「小ささ3位」赤ちゃん無事退院 出生時270グラム indexへ

 世界で3番目に小さく生まれたとされる赤ちゃんが生後約5カ月で保育器から出て、母親(22)と米ロサンゼルスの病院を20日退院した。米メディアによると、出産当時は感染症などの危険から数日の命とされたが、医師団の懸命な治療で脳や聴覚の検査も合格。「奇跡」と話題になっている。
 赤ちゃんは、昨年8月30日に生まれたメリンダ・スター・グイドちゃん。予定より16週早く生まれた結果、当時の体重は約270グラム、身長20センチ余りだった。
 体重はなお約2千グラム。酸素チューブもつけたままで、今後6年は神経系の発達などを注視する必要があるという。2004年に世界で一番小さい体重約260グラムで生まれた米イリノイの赤ちゃんは成長を続け、今は元気に通学しているという。世界で2番目に小さい赤ちゃんは06年に東京で生まれた女の子で、翌年無事退院した。

鎮痛剤、オーダーメードで 患者の遺伝子配列で適量予測 indexへ

 患者の遺伝子の配列を調べることで、その人に適合した痛み止めの薬の量を副作用を抑えながら投与する方法を、東京都医学総合研究所の池田和隆参事研究員らのグループが開発した。同グループによると、人によって異なる鎮痛薬の適量を予測する治療法は、世界で初めてという。
 がんや手術後の痛み止めなどに使われる「オピオイド性鎮痛薬」について、効き目に影響する五つの遺伝子の配列を調べ、必要な投薬量を決める方法を数式化した。東京歯科大水道橋病院で、下あごの形成外科手術の際にこの治療法を始める。将来は、がん患者の痛みを和らげるために使うことを目指しており、すでに実験を始めているという。
 東大医学部付属病院麻酔科・痛みセンターの住谷昌彦助教は「鎮痛薬は麻酔医が経験と勘で投与していた。副作用があるので少なめにすることが多いが、少ないと患者さんは痛い。オーダーメードで必要量が分かれば、痛みを防ぐことができる」と話している。

福島の子の医療費無料化を断念 首相、財源困難と判断 indexへ

 野田佳彦首相は、福島県内の18歳以下の医療費無料化を断念する方針を固めた。福島県からの要請を受けて検討する考えを表明していたが、財源確保が難しいと判断した。近く県側に伝える。
 東京電力福島第一原発事故の影響で子どもの放射線被曝(ひばく)への懸念が強まっており、福島県の佐藤雄平知事が無料化を求めていた。県外への人口流出を防ぐねらいもある。首相は今月8日に福島県を訪れた際、「政府内でしっかり検討したい」と表明していた。
 野田政権は必要な経費を年間100億円弱と試算したが、医療費が膨らむ可能性も指摘されていた。政権内で検討した結果、無料化で増える受診に対応する医師の確保が新たな問題点として浮上。福島県外の住民との公平性からも難しいと判断した。復興対策本部の幹部は「額はそれほど大きくないが、風邪などの医療費も含めて福島だけ無料にする説明がつきにくい」と話す。

鳥インフル研究自主停止 60日間、H5N1論文著者ら indexへ

 強毒性鳥インフルエンザH5N1の論文に対して米政府のバイオセキュリティーに関する委員会が生物テロへの懸念から内容の一部削除を掲載前に求めた問題で、論文の著者らが20日、「今後の研究のあり方について議論する時間が必要だ」として、H5N1に関する研究を60日間自主的に停止するとの声明文を発表した。
 オランダ・エラスムス医療センターのフーシェ教授と米ウィスコンシン大の河岡義裕教授(東京大医科学研究所教授)ら39人が連名で、問題の論文の投稿先となった米科学誌サイエンスと英科学誌ネイチャーに同時に発表した。研究の一時停止について米国立保健研究所(NIH)でも、コリンズ所長らが「NIHや米疾病対策センター(CDC)など米政府機関が実施する研究も同調することになる」との声明を発表した。

心臓の奇形三つ治す 静岡のこども病院、男児の手術成功 indexへ

 静岡県立こども病院(静岡市葵区)は21日、心臓に三つの奇形を伴って生まれた生後7カ月(当時)の男児の手術に成功し、同日に退院すると発表した。心臓に穴が開いていたり、左心室につながる大動脈が右心室につながるなどの症状を抱えていた。坂本喜三郎副院長は「世界でも発症の報告がない、非常に複雑な心臓病の根治に成功した」と話した。
 同病院によると、患者は東京都中野区、有川拓さん(39)の次男、護くん。護くんは昨年5月に同病院で生まれた。心臓の四つの部屋(心房、心室)の壁に穴が開いた「完全型房室中隔欠損(ぼうしつちゅうかくけっそん)症」や、右心室と左心室につながる動脈が逆転している「大血管転位症」、肺動脈が閉鎖するなどした「肺動脈閉鎖症・主要体肺側副動脈」と診断された。昨年12月、12時間22分に及ぶ手術を実施。途中、2時間半にわたって心肺を停止させての手術だった。
 同病院によると、この三つの症状を抱えて誕生するのは世界的に報告がないという。そのため、治療方針について何度も検討を重ね、三つの症状について一度に手術することにした。
 会見した母親の由紀子さん(35)は「同様の症状を持つ患者さんに、治るんだということを知ってもらいたい」と語った。

iPS細胞から血小板、臨床試験へ 東大・京大チーム indexへ

 東京大と京都大のチームが、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から血小板と呼ばれる血液成分を作り、止血剤として使う臨床試験(治験)を米国で計画している。2015年に米当局への申請を目指す。iPS細胞の究極的な目標である組織や臓器の再生ではないが、別の形の先進的な臨床応用例となる。
 血液を固める働きがある血小板を利用した血小板製剤は、血液の病気の治療や心臓の手術などに欠かせない。しかし献血液から作るためにウイルス混入の恐れがあり、採血から4日間しか保存できないなどの課題がある。
 だが皮膚細胞などから作ったiPS細胞を変化させて血小板にする方法では、事前にウイルスのチェックができるうえ、血小板になる手前で止めた細胞は長期間の凍結保存ができる。

糖尿病の診断基準値、国際標準に変更へ indexへ

 日本糖尿病学会などは20日、糖尿病の診断に広く用いられているヘモグロビンA1c(HbA1c)と呼ばれる値の読み替えを発表した。表記を国際標準に合わせる。4月以降の一般診療で実施する。
 HbA1cは、過去1〜2カ月の平均的な血糖値を反映する測定値。日本ではJDS値と呼ばれる数値が「精度が高い」として使われてきたが、海外ではNGSP値と呼ばれる値が一般的で、「日本だけ異なる表記のままだと、研究や治療に重大な不利益となる」として変更する。
 NGSP値はJDS値より約0.4ポイント高い。「糖尿病が強く疑われる」数値はこれまでの6.1%以上から6.5%以上となる。
 ただし、特定健診(メタボ健診)はシステムの変更など影響が大きいため、2012年度まではJDS値のみを使い、13年度以降については今後、協議する。

繊毛の動き、根っこが決定 不妊などの新治療法に期待 indexへ

 気管や卵管の内側にある「繊毛」をどうやって規則的に動かしているのか、その仕組みを大阪大などの研究グループが明らかにした。繊毛の根っこには同じ方向に突起があり、それが繊毛の動くべき方向を決めていた。繊毛の異常が原因の気管支炎や不妊の新たな治療法につながる可能性がある。
 気管の繊毛は、バケツリレーのように毎分1千回ほどの高速で同じ方向に振動して、入り込んだウイルスや異物を体外へ運び出す。それにはすべての繊毛が同じ方向に連動して揺れることが欠かせないが、繊毛細胞がどうやって口の方向を知るのかは謎だった。
 大阪大大学院医学系研究科の国本晃司研究員らは、繊毛にある「Odf2」というたんぱく質に注目。これがないマウスをつくったところ、せきやくしゃみをするようになった。そのマウスは繊毛の根っこにあった突起が失われ、生え方や振動がバラバラになり、繊毛の動きで気管に入った異物を排除できなくなっていた。
 月田早智子教授は「繊毛は体内の様々なところで働いており、関連する病気は多い。治療や予防に応用できそうだ」と話す。論文は20日の米科学誌「セル」に掲載される。

子宮内膜症抑制、ぜんそく治療薬が効果 産学3者が特許 indexへ

 多くの女性が悩む月経困難症の予防や治療に、ぜんそくなどに使われていた治療薬が効くことがわかり、熊本大学と慶応義塾大学、創薬ベンチャー「リンク・ジェノミクス」(東京)の3者が特許を取得し、学会で発表する。
 月経困難症は生理に伴って起きる下腹部痛や腰痛、頭痛などで、大きな原因の一つとして子宮内膜症が考えられている。
 熊本大によると、この子宮内膜症の抑制に、トラニラスト(商品名リザベン)という薬が効くことが慶大とリンク・ジェノミクスの研究でわかった。トラニラストは20年以上前から、ぜんそく治療薬や抗アレルギー薬として使われてきた。

水俣病の新救済策、5万人申請 当初予想の3万人上回る indexへ

 水俣病とみられる症状がありながら、国の基準では患者と認められない人を対象にした政府の新救済策への申請が、昨年末までに5万人近くに達した。潜在的な被害者の多さが改めて裏付けられたが、環境省は今春にも受け付けを締め切ることを検討する。一方の患者・被害者からは「切り捨てにつながる」と反発する声もあり、調整は大詰めを迎えている。
 「反対意見もあるが、いずれ申請を締め切らざるをえない」。18日、熊本県水俣市を訪れた環境省の横光克彦副大臣は、患者・被害者の11団体に対し、申請期限の設定は避けられないとの考えを改めて伝えた。
 新救済策は、2009年の水俣病被害者救済法に基づく。救済する症状の範囲を広げ、10年5月に受け付けが始まった。「3年以内をめど」に、一時金210万円や医療費を払う救済対象者を確定する、と明記されている。
 環境省によると、昨年末までの申請者は、熊本、鹿児島、新潟の3県で計4万9636人。3万人程度という当初想定を上回った。被害者団体の自主的検診による掘り起こしなどが背景にある。

久光、「カットバン」の祐徳薬品と資本提携 indexへ

 湿布薬「サロンパス」で知られる久光製薬(佐賀県鳥栖市、東証1部)は17日、ばんそうこうの「カットバン」で知られる祐徳薬品工業(同県鹿島市、非上場)の発行済み株式の15%を取得したと発表した。
 医療機関向け湿布薬の販売などで協力していたが、資本提携を機に久光が役員を派遣して関係を強める。久光が同日付で祐徳の個人株主らから買い取った。金額は公表していない。
 祐徳は久光がつくる医療機関向け湿布薬「モーラステープ」の販売を手がけており、自社の売上高の7割超を占める主力商品となっている。今後は医薬品の共同開発も進める。

スマホで心電図送信、救急現場で活用 静岡県立総合病院 indexへ

 心筋梗塞(こうそく)など緊急処置が必要とされる心臓病の治療に役立てようと、静岡県立総合病院(静岡市葵区、神原啓文院長)が、スマートフォン(多機能型携帯電話)などを使った心電図送受信システムを開発した。救急医療現場や医療過疎地で従来より素早い心臓病治療が可能になるとして、開発者らは「配備が進めば画期的」と期待している。
 このシステムは、文庫本サイズの「ポータブル心電図」とスマホやタブレット端末などを近距離無線通信でつなぎ、心電図の画像をスマホなどを通してリアルタイムで病院のパソコンへ送信するシステム。心電図の画像はスマホなどに無線で送られ、スマホからは電子メールに添付する方法でパソコンへ送信することができる。スマホやタブレット端末は、基本ソフト「アンドロイド」を搭載しているものであれば、アプリケーションを無料でダウンロードして使えるという。
 ハンガリーの医療機器メーカー「ラブテック社」と共同開発した同病院院長代理の野々木宏医師は、このシステムを「富士山(ふじやま)」と命名。川根本町の診療所などに配備し、すでに実証実験を始めているという。
 システム最大の利点は「正確な診断を素早くできる」こと。心筋梗塞(こうそく)の診断に不可欠とされる「12誘導心電図」は大型で高価なため、これまで救急車などへの配備は進んでいなかった。医師法の制限で救急隊員は現場で診断はできず、患者を病院に運んでから医師が心電図を使って診断していたため、治療開始まで時間がかかることが問題となっていた。
 現場から心電図が送られれば、病院側が前もって受け入れの準備や治療チームの招集ができるようになり、野々木医師は「心筋梗塞の治療時間を30分は短縮できる」と胸を張る。
 ポータブル心電図やスマホの配備は救急車や診療所を中心に進めなければならないため、普及には行政の後押しが不可欠。野々木医師は「我々としても働きかけなければならない」というとともに、「心筋梗塞の治療問題は世界共通なので、ゆくゆくは世界に広げていきたい」と話している。

「紹介状なし」負担増 診療報酬改定で厚労省方針 indexへ

 4月からの診療報酬改定で、厚生労働省は13日、患者が紹介状を持たずに大病院を受診した場合に、病院が受け取る初診料を引き下げ、その分を保険外の料金に転嫁する方針を示した。病院側の収入は変わらないが、保険外の料金は全額患者が払うため、患者の負担は増える。軽症の人は診療所に行くよう促し、病院勤務医の負担軽減をはかる。
 診療報酬の配分を議論する中央社会保険医療協議会で示した骨子案に盛り込んだ。現在、病院が受け取る初診料は2700円で、200床以上の病院は、紹介状のない患者の初診時に保険外の「選定療養費」も追加請求できる。ただ、紹介状のない患者の受診は後を絶たず、厚労省はそうした患者の割合が高い病院を対象に、初診料の一定割合を選定療養費に置き換えるよう促す仕組みを検討。パブリックコメントなどで異論がなければ4月から導入する方針だ。
 また、長期入院患者の退院を促す施策も提案。今は入院が90日を超えると、病院が受け取る入院基本料を下げるのが原則だが、「重度の肢体不自由者」や「がん治療患者」などに該当すると、引き下げ対象から除く仕組みがある。ただ、具体的な該当項目が不明のまま除外される例が多く、厚労省は、病状が安定した患者が多い一般病棟について、除外制度の廃止を検討している。

「HIV感染で休職強要された」看護師が2病院を提訴 indexへ

 エイズウイルス(HIV)の検査をした大学病院が本人に無断で勤務先の病院に感染の事実を伝えたため退職に追い込まれたとして、福岡県内の20代の看護師が、両病院を経営する2法人に対し慰謝料など計約1100万円の損害賠償を求める訴訟を11日付で福岡地裁の支部に起こした。
 厚生労働省は職場におけるガイドラインで、HIV感染は就業禁止や解雇の理由にはならないと定める。原告側代理人によると、医療従事者がHIV感染による退職をめぐって訴えるのは初めて。
 訴状によると、福岡県内の総合病院に勤務していた看護師は昨年、目に異状を感じて複数の病院を受診した後、勤務先の病院にかかった。その後紹介された大学病院でHIV感染の検査をし、陽性と判明した。
 HIV治療の副作用で体調を崩して一時欠勤したが、相談した大学病院の医師は「看護師を続けることは可能。注射なども自分を刺して患者を刺すということはあり得ず、あったとしても感染させるリスクは小さい。上司に報告する必要もない」と話した。
 しかし、勤務先の上司が感染を知っていた。上司は「患者に感染させるリスクがなくなるまで休職してください。規定で90日以上休職すると退職扱いになりますが、やむを得ませんね」と言ったという。そのため、休職せざるをえなくなり、退職した。その後、目の異常で受診した病院にも、感染の事実が伝わっていることを知った。
 看護師側は「医師の守秘義務違反で、必要ない休職を余儀なくされ、退職もやむを得ない状況に追い込まれた」と主張。「日常行為における接触でHIVに感染することはまずなく、看護の現場ではなおさら可能性は低い」として、感染のリスクを理由とした休職の強要は働く権利を侵害している、と訴えている。
 勤務先の病院と受診した大学病院側は取材に対し、いずれも「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。

アルマールとアマリール 薬の取り違え多発 改名へ indexへ

 血圧を下げる薬の「アルマール」と、血糖値を下げる薬の「アマリール」。販売名が似ているため、医師や薬剤師が薬を取り違える事故が後を絶たないとして、アルマールを製造販売する大日本住友製薬は、名称の変更を厚生労働省に申請した。早ければ6月に新しい名称で売り出される。
 アルマールは1985年から、アマリールはフランスの製薬会社の日本法人サノフィ・アベンティスが2000年から販売している。医師が処方する薬をコンピューターに入力する際に誤ったり、薬剤師が処方箋(せん)を読み違えたりして、患者に誤って処方された例が報告されている。
 大日本住友製薬によると、把握しているだけでこれまでにのべ15人分。5人に健康被害があり、うち1人は低血糖や意識障害を起こして死亡した。5人はいずれもアルマールを処方されるはずが、誤ってアマリールを渡されていた。

iPhoneを補聴器に 難聴の男性アプリ開発 兵庫 indexへ

 大人になってからのおたふくかぜで片耳が聞こえなくなった兵庫県神戸市須磨区の男性が、携帯電話のiPhone(アイフォーン)を補聴器代わりに使えるソフトを開発し、売り出した。自らの体験を元に、突然聴力を失った人のつらさや戸惑いを少しでも軽くしたいとの思いからだ。
 「あれ?音声が聞こえない」。大坪健二さん(35)が右耳に異変を感じたのは昨年2月。当時住んでいた横浜市の自宅で夜、枕に左耳を当て、横になってテレビを見ていた。頭を上げると聞こえる、の繰り返し。発熱のせいかと思ったが、耳鼻科で「ムンプス難聴」と診断された。おたふくかぜにかかるとまれに併発するという難聴だった。
 入院しても右耳の聴力は戻らない。仕事に責任を持てないと、勤め先の保育園を辞めて神戸の実家に戻った。平衡感覚にも影響が出て、しばらくはまっすぐ歩けず、めまいも続いた。左耳は正常に聞こえるために障害者手帳ももらえない。
 そんな立場に突然立たされ、仕事を失ったり思い悩んだりする人は多いのでは――。自分の経験から、まだ完全に聴力を失う前の「聞こえにくい人」を助けられないかと、7月にソフトの開発を思いついた。保育士になる前、企業でデジカメ部品などの開発に携わった経験が後押しした。
 東京のソフト会社に依頼して完成したソフトの名は「Easy(イージー) Hearing(ヒアリング) Aid(エイド)」。相手の声をアイフォーンの内蔵マイクが拾い、増幅されてイヤホンから耳に届く。声は125〜5千ヘルツまで13の周波数ごとに左右それぞれ出力を調整できる。人によって聞こえにくい音域の音量を、画面上で簡単に調整できるのが特徴だ。
 想定しているのは、中途の難聴の治療中で、高額な補聴器を買うかどうか迷っている人や、補聴器が故障した時の代用だ。
「コミュニケーションが取れないと、心情的にしんどい。そんな人たちの力になれれば」。任意団体「Link」を立ち上げ、昨年12月に発売した。筆談用の携帯ホワイトボードなどの販売も手がける。
 ソフトはアイフォーンで専用サイトからダウンロードできる。税込み1200円。問い合わせは、メール(k.ohtsubo@link-ai.jp)か大坪さんの携帯(090・8467・1156)へ。

薬の副作用データ、日本語で検索 京大教授らが開発 indexへ

 米食品医薬品局(FDA)が公開している薬の副作用報告を独自に整理、日本語で検索できるデータベースを京都大の奥野恭史教授(薬学)らが開発した。医師や薬剤師が、世界の最新の副作用情報を知ることができ、海外で先に発売された薬を使うときに、副作用を調べるのにも役立ちそうだ。
 薬は販売後に重い副作用が出ても、添付文書の改訂には時間がかかる。世界の最新情報を早く調べれば、副作用の被害者を減らせると期待されている。
 FDAは、薬の副作用の報告を集めており、1997年から現在まで8600の薬について400万以上の報告を公開している。ただ、情報が並んでいるだけで、誰でも簡単に検索できるような形になっておらず、医療現場では使いにくいとの指摘が出ていた。
 そこで、奥野教授らは、生物学や化学、情報科学を組み合わせた手法で、このデータを独自に整理。世界中の医薬品名とその主成分を厳密に関連づけたり、日本語に翻訳したりして、簡単に検索できるシステムを作った。薬の名前から副作用の一覧、患者がどうなったか、などがわかるようにして、もとの報告書の閲覧もできるよう工夫した。FDAや世界保健機関(WHO)などが使っている手法を使って、情報の信頼性も判断できるようにした。
 このデータベースでは、副作用情報が早く入手できることも確認できた。抗インフルエンザ薬、タミフルの添付文書に異常行動が追加されたのは04年だが、データベースで調べると、03年6月には異常行動との関連性が示されていた。
 検索サービスは、医療従事者や製薬会社を対象に、京都大学発ベンチャーの京都コンステラ・テクノロジーズが有料で提供している。

妊婦健診、実質無料化へ 大阪市、助成大幅増の方針 indexへ

 出産前の妊婦健診への助成が全国最低レベルの大阪市が、2012年度から自己負担を実質無料化するよう助成額を大幅に増やす方針を決めた。約6億円の追加財源が必要だが、経済的な理由で受診しない例や児童虐待との関連性が指摘されており、必要性が高いと判断した。
 妊婦健診は母子の健康管理のため、出産までに14回受けるのが望ましいとされ、費用は1回5千〜1万円程度。健康保険は適用されない。国や自治体が8〜9割超を助成する地域が多いが、大阪市の助成額は19政令指定市で最低の1人あたり5万7540円。全国平均の9万4581円より大幅に低いため、市は約10万円に拡充する方針。
 大阪府や産婦人科医らの調査によると、2010年には、妊婦健診の受診回数が3回以下などの実質的な「未受診妊婦」が500人に1人にのぼった。約3割が「お金がない」など経済的な理由を挙げていた。
 大阪市はまた、6歳までの子どもの通院医療費助成の対象を所得制限付きで15歳まで拡大。事業費約51億円を新年度予算に計上し、11月から実施する。

水俣病、食中毒として届け出 熊本県の姿勢「告発」 indexへ

 水俣病被害者救済法に基づく救済を申請中の熊本県上天草市の男性2人について、津田敏秀・岡山大大学院教授(環境医学)らが6日、「有機水銀食中毒の疑いがある」と天草保健所に届け出た。水俣病は食中毒事件だとする立場から、公式確認から55年以上過ぎても食品衛生法の定める調査に手を着けない熊本県の姿勢を「告発」する取り組みだ。
 津田教授と頼藤貴志准教授はこの日、上天草市姫戸町に赴き、71歳と67歳の男性を診察した。目の前の不知火海で取れた魚を多食した喫食歴を確かめ、手足の感覚障害、運動失調といった水俣病の症状が認められたため「有機水銀食中毒の疑い」と2人を診断し、その足で保健所に向かった。
 県から水俣病と認定されるためには本人の申請が必要だ。しかし、教授は「水俣病は、有機水銀に汚染された魚介類を食べて起きた食中毒事件。喫食歴と関連症状があれば患者であり、申請など不要。届け出を受けた保健所は食品衛生法に基づき、速やかに調査しなければならない」と主張。医師が届け出を怠ったり、行政がこの法律を発動しなかったりして被害を拡大させた歴史は、カネミ油症事件や中国製の毒入りギョーザ事件でも繰り返された、と指摘する。
 原因物質に汚染された食品を口にしたのが何年も前の食中毒は届け出ができないとは法律に書かれていないという。届け出を受けた天草保健所は県と協議し、同夜、職員を男性2人の自宅に派遣した。
 県健康危機管理課の市田弘美課長補佐(食品衛生班長)は「届け出の事実の確認に向かわせた。そのうえで必要があれば、改めて調査したい」と述べた。

災害遺族の「悲嘆」ケアを 震災契機に全国ネット発足 indexへ

 2万人近い死者・行方不明者が出た東日本大震災を契機に、災害で大切な人を亡くして悲しみに暮れる人たちを支えようと、心療内科の医師や研究者らが12月、災害遺族の悲嘆(グリーフ)について考える全国ネットワークを立ち上げた。災害遺族への支援とともに、悲嘆の理解を深め、適切な対応を広めてゆく。
 「災害グリーフサポートプロジェクト」(事務局・国立精神・神経医療研究センター)。東日本大震災後、全国の専門家11人が世話人となり発足した。ホームページ(http://jdgs.jp/)を開設し、遺族、支援者、専門家に向けてそれぞれ情報を提供。被災地で悲嘆ケアに取り組んでいる団体と連携するほか、遺族と接する医師らへの講習会も開いてゆく方針という。
 プロジェクトのホームページなどによると、災害による死別は、突然訪れる▽多くの喪失が重なる▽遺体の損傷が激しい――といった傾向や特徴がある。加えて、遺族は避難生活や生活再建に追われて悲しみを口に出来ない場合も多く、悲嘆が長期間に及ぶ恐れがあるという。

ニキビの原因・アクネ菌で皮膚がん撃退に成功 三重大 indexへ

 ニキビの原因となるアクネ菌を皮膚がんの一種・悪性黒色腫に投与し、白血球を集めてがん細胞の増殖を抑える動物実験に、三重大大学院医学系研究科の山中恵一講師(42)のグループが成功した。
 実験では、アクネ菌と戦う性質を持つ白血球が、がん細胞とも戦う効果がある点に着目。アクネ菌をがん細胞に投与すれば、白血球がアクネ菌を攻撃するために集まり、その白血球ががん細胞を攻めて、消失させると考えた。
 マウスの腹にがん細胞の悪性黒色腫を入れ、ヒトのアクネ菌を投与。投与の回数や時期に応じて複数のパターンを試したところ、悪性黒色腫を入れた直後と14日目の2度投与すると、28日目にはほぼすべてのがん細胞が消滅した。アクネ菌も消えた。

胃ろう造設安全に 開腹せず胃壁固定具、医師開発 三重 indexへ

 病気やけがで自力では食事ができない患者の腹部に穴を開け、胃に通じるカテーテルを挿入して水分や栄養を送る「胃ろう造設」。三重県松阪市上川町のふなだ外科内科クリニック院長の鮒田昌貴さん(57)が開発した胃壁固定具は、胃ろう造設を安全に行う「鮒田式」として、全国の医療現場で活用されている。
 胃ろう造設の手術をめぐっては、カテーテルが抜けて胃壁と腹壁が離れて腹膜炎を起こしたり、肝臓や横行結腸へ誤って穴を開けてしまうといった医療事故が相次ぎ、中には死亡例もある。
 鮒田さんは、安全な胃ろう造設を医療現場に普及させようと、開腹せずに胃壁と腹壁を縫合固定する胃壁固定具の開発を進めてきた。この「鮒田式」だと短時間で手術できるうえ、手術後には体外から抜糸することができ、体内に異物が残ることもないという。
 1990年に特許出願し、3年後に製品化された。胃ろう造設は全国で年間10万例以上あるといい、このうち鮒田式は年間約4万1千例で実践されているという。さらに、胃がんの摘出や虫垂の切除など、ほかの腹腔(ふくくう)鏡下手術にも応用されているという。
 昨年8月には、手術にあたる医師が片手で操作できる改良版も製品化。医師が内視鏡カメラの画像を見ながら1人でも操作できるようになった。
 鮒田式の胃壁固定具を取り扱う医療機器メーカーによると、旧製品はこれまで国内で34万本、改良版は今年9月までに1万2千本が出荷されたという。海外の医療現場でも使用例が増えており、2002年からドイツを中心に中国や韓国、イタリア、イランでも使われているという。
 鮒田さんは「アメリカなどほかの国の医療現場でも活用してもらい、安全な胃ろう造設の普及へ情報発信を進めたい」と話している。

被災地で働く看護師、33%にPTSD懸念 専門家調査 indexへ

 東日本大震災の被災地で働く看護師を対象にしたストレス調査で、3分の1が心的外傷後ストレス障害(PTSD)が懸念される状態にあることが分かった。うつなどにつながりかねない「精神的不健康」度の高い人も約3分の2に及んだ。
 調査した専門家は「ほかの惨事後に実施されたストレス調査結果より特異に多い。うつや離退職につながりかねない」としている。
 調査は松井豊・筑波大教授らが、8〜9月にかけて実施。岩手県・宮城県の沿岸部で勤務する看護師407人から回答を得た。

不活化ポリオワクチン、初の承認申請 阪大微生物病研 indexへ

 ワクチンメーカーの阪大微生物病研究会(大阪府)は27日、ウイルスの病原性をなくした不活化ポリオワクチンの製造販売を厚生労働省に承認申請した。不活化ポリオワクチンの承認申請は国内では初めて。厚労省は来年秋の接種時期までに導入をめざしている。
 申請したのはポリオと百日ぜき、ジフテリア、破傷風の4種混合ワクチン。
 感染すると手足に麻痺(まひ)が出るポリオの予防接種は、国内では生ワクチンのみが承認されている。生ワクチンには病原性が残るため、まれに接種を受けた子どもらに麻痺が出ることがある。不活化ワクチンの早期導入が課題となっている。
未承認薬、条件つき容認へ 重病患者を対象、厚労省方針 indexへ

 厚生労働省は、ほかに治療法がない重い病気の患者に対し、国内では承認されていない薬を一定の条件で使えるように制度化する方針を固めた。26日夜、薬事行政の見直しを検討している厚労省の審議会で大筋了承された。同様の制度は欧米にあり、がん患者らが要望していた。
 日本は欧米に比べて薬の承認時期が遅れるため、欧米で受けられる最新の治療を受けられないことがある。医師や患者が海外の薬を個人輸入して使っている例もあるが、偽造薬を買わされる危険性や、副作用が起きたときに対応ができるのか、などの問題がある。
 創設する制度では、欧米で承認済みで、国内で承認を得るための臨床試験(治験)が始まっている薬を対象とする。医療機関が厚労省に必要な届け出をすれば、複数の病気を抱えているなど治験に参加できない患者に、この薬を使えるようにする。患者にとっては治療の選択肢が広がることになる。

体外受精児を追跡調査へ 人工操作加えるほど体重増 indexへ

 体外受精で生まれた赤ちゃんの体重は、凍結保存など人工的な操作を加えるほど重くなることが、厚生労働省研究班の調査でわかった。遺伝子の働きを調整する仕組みに異常が出ている可能性もあり、将来、がんなどのリスクが高くならないか、15年間、数千人を対象に健康影響を調べていくことにしている。
 研究班(主任研究者=吉村泰典・慶応大教授)は2007〜08年度に、体外受精により正常な週数で生まれた赤ちゃん約2万7千人の出生時の体重を調べた。
 その結果、受精卵をそのまま子宮に戻した場合は平均3003グラムだったが、受精卵を胚盤胞(はいばんほう)という段階まで体外で培養すると3025グラム、凍結保存すると3070グラム、体外で培養し、凍結保存した後に戻した場合は3108グラムと、受精卵に操作を加えるほど重くなっていた。凍結保存した場合は、正常な週数で生まれた平均体重3060グラムよりも重く、いずれも統計的に有意な差があった。これらの操作は、妊娠率を高めるために行われるようになった。

歯科インプラントのトラブル増加 「治療水準に差」 indexへ

 歯が抜けた部分に土台(人工歯根)を埋め込み人工の歯を作る「インプラント」で、消費者トラブルが増えている。国民生活センターが22日、「治療水準に差がある恐れがある」として、注意を呼びかけた。
 同センターによると、東京都の50歳代女性は、インターネットで知った歯科医院でインプラントを実施。土台を埋めて5カ月以上も炎症が続いた。別の歯科医に意見を聞くと、土台からやり直したほうがいいと言われたという。
 全国の消費生活センターには、インプラントで痛みやはれなどの症状が出たとする相談が、2006年度から11月中旬までに343件あった。そのうち約2割は、症状が1年以上続いたという深刻な内容だった。10年度の相談は80件を超え、06年度と比べて2倍以上に増えている。

診療報酬は実質据え置き 12年度、介護は1.2%増 indexへ

 診療報酬と介護報酬について、野田政権は21日、来年度の改定率を決めた。診療報酬は0.004%のわずかなプラス。医師の人件費や技術料に当たる「本体部分」を1.38%引き上げる一方、「薬価部分」を市場実勢に合わせ、ほぼ同じ幅で引き下げる。前回(2010年度)改定は10年ぶりのプラスだったが、今回は実質的に据え置く。介護報酬は1.2%引き上げ、前回(09年度)に続くプラス改定とする。
 医療機関に支払われる診療報酬は2年に1度、介護事業者に支払われる介護報酬は3年に1度改定され、来年度は6年に1度の同時改定となる。報酬が引き上げられると、医療機関などの収入が増える一方、保険料や税負担、患者の窓口負担も増える仕組みだ。
 診療報酬のうち、本体部分の引き上げ幅の内訳は医科1.55%、歯科1.70%、調剤0.46%で、計約5500億円の増額となる。勤務医・看護師の負担軽減、在宅医療の充実などを重点項目とした。年明けの中央社会保険医療協議会で、具体的な配分や個別の保険点数を決め、来年4月から実施する。

「鳥インフル論文、テロ悪用も」 米研究所が非公表勧告 indexへ

 強毒性鳥インフルエンザH5N1の動物実験についての2本の論文がテロに利用される恐れがあるとして、研究を支援した米国立保健研究所(NIH)のバイオセキュリティーに関する国家科学諮問委員会が20日、内容の一部を公表しないよう科学誌に勧告したと発表した。
 2本の論文は、H5N1が人間でも空気感染する可能性を示したもので、別の研究チームが米科学誌サイエンスと英科学誌ネイチャーにそれぞれ投稿した。
 勧告は「悪用の可能性が否定できない」として、実験に使ったウイルスの遺伝子や作り方を掲載しないよう求めた。科学論文はデータの掲載が欠かせず、削除要求は異例。勧告に拘束力はない。

震災直後の病院現場は 日赤の看護師らが講演 秋田 indexへ

 東日本大震災の被災地の病院で続く救援活動について、日本赤十字秋田看護大(秋田市)で20日、学生向けの講演会があった。井上忠男・同大教授が「3・11の体験を、あらためて学生と共有したい」と企画し、日赤事業局の看護部長や学生らが体験を発表した。
 石巻赤十字病院(宮城県)の金愛子・看護部長はパネルで発表。発生40分後には病院に最初の負傷者が訪れたという。「津波や雪にさらされ、低体温症で運ばれる人が多かった」「防災訓練はしていたが、現場の判断力や決断力が試された」と当時を振り返った。
 また、医師や看護師も自宅や家族を失った被害者だと強調し、「しばらくは使命感で頑張れたが、時間が経つにつれて悲しい感情が出てくる。職員の精神的なケアが必要」と話した。

iPS細胞バンク、来年度スタート 山中教授が方針 indexへ

 京都大の山中伸弥教授は19日、再生医療用につくったさまざまな人工多能性幹細胞(iPS細胞)を保管し、必要な患者に提供する「iPS細胞バンク」を来年度に始める方針を明らかにした。朝日新聞などのインタビューで答えた。まずは一般の人からiPS細胞のもとになる皮膚の提供を受け、2013年度にもiPS細胞の提供を始めるという。
 iPS細胞はさまざまな組織の細胞に変えることができるが、作製には時間がかかる。そこで、献血のように、健康な人から提供された皮膚からiPS細胞をつくって増やし、冷凍して保管しておく。事故で脊椎(せきつい)を損傷し、緊急な移植が必要な患者にも素早く対応できるよう、あらかじめ準備しておくという構想だ。
 現在、皮膚の提供者の募り方などを厚生労働省などと詰めているという。山中教授は「来年は非常に重要な1年。臨床研究に向けてバンクを軌道に乗せたい」と話した。

子宮頸がんなど3ワクチンの助成、来年度も継続へ indexへ

 厚生労働省は、女性の子宮頸(けい)がんや乳幼児の細菌性髄膜炎を予防する3種類のワクチン接種への助成について、来年度も継続する方針を決めた。20日に閣議決定された今年度の第4次補正予算案に526億円が盛り込まれた。
 3種類のワクチンは、子宮頸がんワクチンのほか、インフルエンザ菌b型(Hib=ヒブ)と肺炎球菌への感染を防ぐワクチン。全額自己負担だったが、2010年末に約1085億円の補正予算を計上して助成を始めた。ただ今年度末に終わる予定だった。

診療報酬、据え置きで調整 野田政権、両論に配慮 indexへ

 野田政権は、診療報酬の来年度の改定率について、据え置きの方向で最終調整に入った。「薬価部分」は市場での値下がりを反映して約1.3%分引き下げる一方、医師の人件費や技術料などに当たる「本体部分」を同じ分だけ引き上げ、報酬全体でプラスマイナスゼロとする方向。財務省や経済界などの引き下げ論と与党の引き上げ要求の間で、バランスをとる。21日にも決着させる方針だ。

ヒトiPS細胞からつくった肝臓細胞、市販へ indexへ

 医薬基盤研究所(大阪府茨木市)とバイオベンチャー「リプロセル」(横浜市)は15日、ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)からつくった肝臓細胞を製品化したと発表した。来年4月に販売開始する予定。薬の安全性や副作用の検査が効率よくでき、新薬を安く早く開発するのに役立つという。iPS細胞でつくった細胞では、心筋や神経細胞はすでに製品化されているが、肝臓細胞は初めて。
 医薬基盤研などによると、特定の遺伝子を適切な時期に導入することで、効率良く肝臓細胞を作り出せるという。従来1〜2割程度だった効率を8〜9割までに上げられたとしている。この手法は、医薬基盤研の水口裕之チーフプロジェクトリーダー(大阪大教授併任)らが開発した。
 肝臓には薬を分解する働きがあり、薬剤が肝臓にどう働くかや、毒性がないかの確認は、新薬開発の初期段階で欠かせないが、現在はヒトの肝臓細胞から育てた輸入品に頼っている。

国内初の子どもの臓器移植は「妥当」 検証会議が見解 indexへ

 脳死での臓器移植が適正に行われたのかを調べる厚生労働省の検証会議(座長=藤原研司・横浜労災病院名誉院長)は16日、今年4月に国内で初めて10代前半の少年から臓器提供された事例について、救命治療や脳死判定に問題はなかったとの見解をまとめた。2008年以降の他の臓器移植5件についても、妥当と判断した。子どもの臓器提供については、虐待防止委員会や児童虐待に対するマニュアルの整備など、提供施設の体制に問題がないことを確認したという。

インフルエンザ、全国的な流行期入り 主流はA香港型 indexへ

 厚生労働省は16日、インフルエンザの全国的な流行期に入ったと発表した。平年並みの時期という。  厚労省によると、今月5日から11日までの1週間に全国約5千カ所の医療機関でインフルエンザと診断された患者は5447人。1施設あたり1.11人となり、流行開始の目安としている1.00人を超えた。
 都道府県別では、宮城が10.33人で最多だった。続いて愛知と三重が5.33人、岡山4.04人、山口2.91人、沖縄2.57人となっている。  これまでに確認されたウイルスの88%がA香港型という。

不活化ワクチン接種開始 ポリオ予防で乳児に 神奈川 indexへ

 ポリオの予防接種をめぐり、神奈川県が独自に輸入した未承認の不活化ワクチンの接種が15日、始まった。接種費用は自己負担。4回で2万4千円と高額だが、接種を待ち望んでいた保護者も多く、「安心した」との声が聞かれた。
 この日は茅ケ崎と小田原の保健福祉事務所であった。24人の乳児が接種した茅ケ崎の会場。副作用についての説明があった後、医師が体調を確認し、注射していった。
 「いつ接種できるか不安だったので、思ったより早くできてよかった」。横浜市戸塚区の木挽屋(こびきや)律子さん(32)は生後7カ月の長男の接種を終え、ほっとした表情を浮かべた。
 インターネットで生ワクチンの危険性を知り、かかりつけの医者や家族と相談し、不活化ワクチンを選んだ。
 当初は平塚市内で個人輸入している病院に予約を入れていたが、県が接種を始めると聞き、予約を取り消した。県が任意の予防接種による国の救済制度に準じて、副作用被害の補償をする方針を示しており、「何かあっても県が動いてくれる」と安心した。
 ただ、定期接種の生ワクチンと比べると、補償額は大幅に少ない。接種代も生ワクチンは公費負担で無料だが、不活化は1回6千円。4回の接種が必要とされている。生後8カ月の長女を接種させた同区の中川智子さん(35)は、「国の対応が遅すぎる。無料で打てるようにして欲しい」と求めた。
 不活化ワクチンの申し込みは14日現在で1415人。用意した1200本を超えており、県は追加輸入する方針だ。接種の様子を視察した黒岩祐治知事は「希望する人は全員受けられようにしたい」と語った。

富士フイルムHD、米医療機器会社を買収 770億円で indexへ

 富士フイルムホールディングスは15日、米国の医療機器メーカーのソノサイト社を9億9500万ドル(約770億円)で買収すると発表した。株式公開買い付けで完全子会社にして、医療事業を強化する。
 ソノサイト社は、体の表面に超音波をあてて体内の臓器や血管、神経などの様子を画面に映し出す超音波診断装置のメーカー。とくに、携帯型の装置では世界シェアの約4割を握り、世界2位という。
 富士フイルムは、エックス線を使った画像診断装置や内視鏡などの医療分野に力を入れており、こうした自社の事業との相乗効果が見込めると判断した。  富士フイルムの古森重隆社長は15日の記者会見で、「超音波診断装置を医療事業の新たな柱にしていきたい」と語った。

国境なき医師団、仮設診療所をプレゼント 岩手・宮古 indexへ

 国境なき医師団日本(東京)は13日、震災直後から6月末まで医療支援をした岩手県宮古市田老に仮設診療所を贈った。400棟の仮設住宅が集中する高台の保養施設のホテル棟を改造。設備費などを含め1億5千万円の経費を負担した。
 診療所は約350平方メートル。カラオケルームをX線室などに、畳の休憩スペースを事務室に替えた。入院設備はないが、当面、地元の医師2人と看護師6人らで診察にあたる。ホテルは営業を続けており、同じフロアに大浴場や土産物売り場も並んでいる。
 仮設だが、5年程度は使用可能。診療所の黒田仁所長は「ちょっと変わっているが、仮設の人は安心。将来は診察も受けられる保養施設を売りにできる」と話した。
 国際紛争地や災害現場に医療スタッフを緊急派遣する医師団が、先進国で長期の支援をしたり、診療所を贈ったりするのは異例。「インドネシアやハイチの経験によれば、大災害では公的機関の支援と現場には常にギャップがあるものだ」とエリック・ウアネス事務局長は語った。

ひざの半月板、再生治療法を開発 東京医科歯科大 indexへ

 一度傷つくと再生が難しいひざの半月板を、自分のひざの滑膜(かつまく)という組織からとった幹細胞で再生させる治療法を、東京医科歯科大の関矢一郎教授(軟骨再生学)が開発し、来年4月にも臨床研究を始める。半月板の損傷は、全国に2500万人という変形性膝(しつ)関節症につながる。歩きづらいひざの痛みに苦しむ患者には朗報になりそうだ。
 半月板は関節軟骨に挟まれた軟骨組織で、クッションの役目をする。加齢などですり切れると、手術で縫い合わせて補強したりするが、手術できない場合も多い。症状が進めば、痛みをとるためにすねの骨を切って向きを変えたり人工関節を入れたりする。
 新しい治療法では、患者のひざの状態を内視鏡で確認するとき、半月板の近くにある滑膜の一部を採取。2週間培養して増やした幹細胞を、注射器で半月板の損傷部に移植して再生させる。同大で3年間で20人ほどの患者を対象に臨床研究を行ったあと、他の病院にも広げて臨床試験(治験)を行う。

窓口2割負担は見送りへ 70〜74歳医療費 indexへ

 70〜74歳の医療費の窓口負担について、野田政権は12日、来年度から2割に引き上げる案を見送り、1割に据え置く検討に入った。民主党内の反発に配慮した。来年度も1割負担のままにするため、今年度第4次補正予算案に必要経費を盛り込む調整を進める。
 藤村修官房長官、安住淳財務相、小宮山洋子厚生労働相ら関係5閣僚が12日に首相官邸で協議。2割に上げる時期は、後期高齢者医療制度を廃止するため2013年度実施をめざす高齢者医療制度見直しと合わせて行うことで党側と調整する。
 70〜74歳の医療費の窓口負担は、保険財政を立て直すため自公政権時代の06年に1割から2割へと法改正したが、高齢者の反発を避けるねらいで08年の実施直前に凍結。毎年約2千億円の予算を投じて、1割負担で据え置いてきた。

5千人の誕生見守った 引退助産師に感謝状 茨城・日立 indexへ

 茨城県日立市で約40年間、助産院を開院し、約5千人の赤ちゃんを取り上げた加茂吉子さん(82)に9日、市から感謝状が贈られた。出産施設の少ない日立市で安心してお産ができる環境づくりに努め、産後の母子保健の向上に尽力したとして、小川春樹副市長から感謝状を受け取った加茂さんは「助産師の仕事は一人でできない。みなさんに支えられてここまでこられたことに感謝しています」と話した。
 加茂さんは1972年11月に助産院を開院。2011年5月までの間に約5千人の赤ちゃんを取り上げた。加茂さんは、出産が始まれば、長時間にわたってもそばを離れず、大丈夫と優しく産婦に声をかけ安心感を与えるのが特徴だった。母子の命を預かる仕事なので、体力のあるうちに辞めると決め、誕生月の10月に保健所に閉院の届けを出した。

当直明けの手術、やめれば診療報酬加算 厚労省方針 indexへ

 厚生労働省は7日、当直明けの外科医に、手術の予定を入れないよう取り組む病院について、来年度から診療報酬の加算対象に加える方針を固めた。勤務医の負担軽減策の一環。診療報酬改定に向けて議論する中央社会保険医療協議会(中医協)に提案し、大筋で了承された。
 厚労省は、当直明けに手術を行う頻度を985人の外科医に尋ねた日本外科学会の調査結果を中医協に報告した。「いつも」が31%、「しばしば」が26%、「まれに」が15%であわせて7割に上った。
 当直による疲れが原因で「手術時に医療事故や、事故には至らないミスの経験がある」のは4%、事故経験はないが手術の質が低下することが「多い」「まれにある」と答えたのは83%に達し、医療安全に影響があると判断した。
 勤務医の負担減対策としては、長時間の連続勤務を減らす取り組みなどに加算する仕組みがある。当直明けに手術を入れないことも追加する。

ヨウ素剤の服用基準を厳格化 50ミリシーベルトに indexへ

 放射性ヨウ素による甲状腺被曝(ひばく)を防ぐ安定ヨウ素剤の服用基準を、これまでの甲状腺の局所的な被曝線量100ミリシーベルトから50ミリシーベルトへとより厳しくすることになった。原子力安全委員会の防災専門部会被ばく医療分科会で7日、意見がまとまった。
 国の原子力防災指針では現在、放射性ヨウ素の影響を最も受けやすい1歳児の甲状腺の被曝線量が100ミリシーベルトになると予測される場合に、原子力安全委員会がヨウ素剤の服用を助言するとしている。

 しかし、世界保健機関(WHO)は1999年から小児や妊婦、授乳中の女性の服用基準を10ミリシーベルトにした。国際原子力機関(IAEA)も今年6月に投与基準を100ミリシーベルトから50ミリシーベルトに下げた。背景には、チェルノブイリ原発事故で約50ミリシーベルトの被曝でも甲状腺がんが増えたとの疫学調査などがある。

支えの中で新たな道へ ポルフィリン症と闘う兄弟 鳥取 indexへ

 紫外線を浴びると皮膚に炎症を起こす「ポルフィリン症」。患者が、黒い頭巾をかぶる姿をニュースで見た記憶はあったが、夕方、鳥取県米子市役所の1階玄関で会った池谷鉄兵さん(24)は、きりっとしたベージュのジャケット姿。「今は、黒頭巾みたいな帽子はかぶってないんですよ」とはにかんだ。症状も落ち着いていることから、主治医と相談して、春から帽子とマスク、手袋で外出できるという。
 この病気は、通常尿や便の中に排出されるポルフィリンが、酵素の欠損により体内に過剰蓄積されて発症する。ポルフィリンは光にあたると毒性を持つことから、日光にあたると皮膚が痛み、腫れてしまう。紫外線を浴び続けると、肝硬変や肝不全を起こすこともあるが、根本的な治療方法はない。ポルフィリン症患者の全国組織「さくら友の会」によると、現在患者数は国内に100人前後という。
 鉄兵さんが、ポルフィリン症とわかったのは、中学校1年生の時。当時小学校4年生だった弟・栄治さん(21)も同じ病と診断された。黒い頭巾のような帽子をかぶって外出したり、学校では夏場でも窓やカーテンを閉めたりして日の光を避ける2人の生活が始まる。
 鉄兵さんはクラスメートを気遣い、掃除用具をしまう木棚に入って授業を受けたこともあった。栄治さんも「何に対しても悪いなと思い、一歩、身を引くというか自分の思いをあまり外に出さなくなった」と話す。
 鉄兵さんは2007年、愛知県の日本福祉大学に進み社会福祉の勉強を始める。1年の時、たまたま名古屋市であった「さくら友の会」に参加。そこで病気を隠して生活する患者や、公的な助成がなく月数十万円の治療費に苦しんでいる患者の存在を初めて知った。
 国に難病指定され、社会に認知されることで、医師の関心も高まる。そうすれば、病気の早期発見にもつながり、支援体制も充実する。鉄兵さんは患者会の理事にもなり、08年冬、難病指定を求める署名活動を始めた。1年後、全国から集まった約41万人分の署名を厚生労働省に提出。しかし、いまだに難病指定を受けていない。近く、新たに集めた追加の署名約10万人分を提出する予定だ。
 鉄兵さんは今春、大学を卒業し、米子市役所で臨時職員として働きながら民間の福祉団体への就職を目指す。自分の体験を話す講演活動も続けていきたいと思っている。弟の栄治さんも2浪の末、今春、鳥取大学医学部生命科学科に進学した。「署名活動をする兄の姿を見る中で自分は何ができるのか真剣に考えた。自分じゃない誰かのための研究がしたい」
2人は今、悲観的な気持ちになることはほとんどないという。たくさんの人たちに支えてもらったからだ。「マスク姿を好奇の目で見るだけではなく、何でそんな格好になったのか、を考える。そんな人が一人でも増え、そんな社会で患者一人ひとりが自分らしく生きていければうれしいですね」
■病と向き合う2人 「治すだけがすべてじゃない」。根治療法がないとされるこの病と向き合い続ける鉄兵さんの言葉だ。弟の栄治さんは「ここまで苦しめられた病気だが、21年間、一緒にいる病気。この病気と研究で向き合う」。署名活動や講演、医学部での研究とそれぞれが別々の場所でこの病と向き合っている。2人の頑張る姿と活動をこれからも取材していきたい。

呼吸穴ふさがれ70代男性患者死亡 愛媛県立中央病院 indexへ

 愛媛県立中央病院(松山市)は4日、70代の男性入院患者ののどにある呼吸用のあなを看護師が過って塞ぎ患者が窒息死した、と発表した。愛媛県警は業務上過失致死の疑いで調べている。
 病院によると、死亡したのは、約10年前に喉頭(こうとう)を摘出し、のどに開けた永久気管孔(直径約2センチ)からしか呼吸できない患者で、先月中旬、脳内出血で入院し、手術を受けた。
 3日午後3時ごろ、担当の20代の女性看護師が、孔から異物が混入するのを防ぐためのガーゼの代わりに、過って粘着性のフィルムシートで孔を塞いだという。約1時間半後に看護師が男性の呼吸が止まっていることに気づき、心肺蘇生を試みたが、同日午後5時5分に死亡が確認された。
 看護師は、患者がガーゼを外そうとしていたために、口から呼吸できると思いこみ、フィルムシートを用いたという。
 河崎秀樹副院長は会見で「情報共有が徹底できていなかったことも原因と考えられる。心からおわびしたい」と話した。

子どもの死因 登録して検証 小児学会、予防策に反映へ indexへ

 事故や虐待による死など「助けられる命」を救おうと、日本小児科学会が、子どもの死亡状況を登録し、その原因を検証する仕組みを作ることを決めた。子どもの死に立ち会った医師が、なぜ、どのように亡くなったのか情報を登録する。現在の国の統計調査では子どもの詳しい死因がわからず、死につながったリスクを探ることで、予防策にいかす。
 登録は病死も含め、18歳未満で亡くなった子どもが対象。来春から数カ所の地域でモデル事業を始め、2〜3年以内の本格稼働を目指す。データ収集には司法機関や児童相談所などの協力も必要なため、連携できる制度も整えていく。
 18歳未満の死亡者は年間約5千人に上り、交通事故などの「不慮の事故」は年代によって死因の1、2位を占める。厚生労働省研究班の分析では、日本の新生児の死亡率は先進国27カ国中最低なのに、1〜4歳の幼児では17位と突出して高い。虐待で亡くなる子どもも年間約50人に上る。しかし、現在の国の統計調査では、死亡の詳しい状況はわからない。

ネット銀行・証券のSBI、製薬業参入へ 12年度にも indexへ

 インターネットを中心に銀行や証券を展開するSBIホールディングスは2日、製薬業に参入する方針を明らかにした。すでに子会社が医薬品を製造・販売するための許可を申請しており、国の承認がえられれば、がん診断薬の製造・販売を来年度にも始める方針だ。
 北尾吉孝最高経営責任者(CEO)は「金融と製薬の二つの事業をグループの柱として成長させる」と話している。
 製薬業に参入する子会社は2008年、石油元売り大手のコスモ石油と合弁で立ちあげた化粧品製造販売会社「SBIアラプロモ」。コスモがつくるアミノ酸「ALA」を使った化粧品や食品を取り扱ってきた。

診療報酬、薬価分は引き下げ見通し 厚労省調査 indexへ

 厚生労働省は2日、薬の市場価格が9月時点で公定価格より平均8.4%安いとの調査結果を明らかにした。このため、来年度の診療報酬改定で薬価部分(医療材料を含む)は引き下げられる方向。診療報酬に換算すると、前回改定(2010年度)と同程度の約1.3%分の押し下げ要因になる見通しだ。
 厚労省によると、医療費の総額は約40兆円。来年度改定では市場価格を考慮し、薬分(約8.4兆円)が約5千億円、医療材料分(約1兆円)は約400億円ほど引き下げられる見通し。薬価自体で6%程度の引き下げ、診療報酬改定への影響では約1.3%分の下げ幅に相当するという。
 診療報酬には、薬価部分のほかに、医師の人件費や技術料にあたる「本体」部分があり、今後はこの部分の改定率が焦点となる。民主党政権は前回改定で報酬全体を0.19%引き上げ、10年ぶりのプラス改定を実現。10年参院選でも「引き上げ」を公約している。

ネット情報「原発事故で白血病急増」を否定 日本医師会 indexへ

 「白血病患者の急増を日本医師会が発表する」との書き込みが、インターネット上の掲示板やツイッターなどで広まっている。東京電力福島第一原発事故による影響を示唆する内容になっている。日本医師会は「そのような事実はない」として、公式ウェブサイトで全面的に否定した。
 医師会によると、この書き込みはほぼ同じ文面で、11月ごろから一気に広まったという。「4〜10月に白血病と診断された患者数が昨年の約7倍」で、「原中勝征会長が原因が判明次第発表する」と続いている。患者の6割以上が急性白血病とも書かれていた。
 医師会に問い合わせが数十件相次いだため、同会は書き込みを否定する文書をウェブサイトに11月29日付で載せた。文書では「そのようなデータを確認できず、信憑性(しんぴょうせい)を疑わざるを得ない」と強く否定した。
 医師会の事務局は「誤った情報や無用な不安が広がるのを避けるためにコメントした」と説明している。
 放射線医学総合研究所放射線防護研究センターの吉永信治さんは「原発事故による正確な被曝(ひばく)線量は不明だが、一般の人の白血病が7倍に増えるほど高い線量とはとても考えられない」と話している。

がん告知遅れ死亡、解決金3千万円で和解 愛知・半田 indexへ

 愛知県半田市は29日、同市立半田病院の患者が検査で胆嚢(たんのう)がんだと判明したのに、告知を怠ったために治療が遅れて死亡したとして、遺族に慰謝料を含む解決金3千万円を支払うことで和解が成立する見込みになったと発表した。
 病院の説明によると、死亡した患者は同市の60代の男性。2009年3月、胆石などの手術と病理検査を実施し、6日後には胆嚢がんが見つかった。ところが、主治医が検査結果を見落とし、その後に診察に訪れた男性に伝えなかった。
 男性は10年12月、左下腹部にしこりと痛みを訴えて再度受診。この時のCT検査で、病院は胆嚢がんが進行し、転移の可能性が高いと診断。さらに、以前の検査結果が見落とされていた過失に気づき、男性と家族に謝罪。抗がん剤治療を始めたが、男性は今年6月に死亡した。

マイコプラズマ肺炎、過去最多の患者数 全国的に流行 indexへ

 マイコプラズマ肺炎の週単位の患者数が調査を始めた1999年以降で過去最多となったことが29日、国立感染症研究所(感染研)の定点調査でわかった。有効なワクチンはなく、感染研はせきエチケットやマスク、手洗いでの予防を呼びかけている。
 感染研によると、最新の1週間(11月14〜20日)に、全国500カ所の医療機関を受診した患者は、1カ所当たり1.26人(前週1.25人)と最多だった。今年6月下旬から過去に例のない高水準で流行が続いていた。
 都道府県別では、埼玉の4.33が最多で、青森3.00、沖縄2.71、大阪2.67、岐阜2.60が続いた。21カ所で前週より患者数が増えており、全国的な流行がみられる。

再発卵巣がん用抗がん剤、供給停止の恐れ 利用者1万人 indexへ

 再発卵巣がん向けの抗がん剤ドキシルが来年1月以降、使えなくなる恐れが出てきた。米国の工場が操業停止に追い込まれたためで、販売元のヤンセンファーマは25日付で、別の抗がん剤への変更などを医師らに求める通知を出した。約1万人の患者が使っており、影響は大きい。
 新たに卵巣がんが見つかる人は年間約8千人。早期では見つかりにくく、半数の患者が、がん発見時には再発・転移している。
 今年に入り、製造元の米国の工場の不備で供給不足が続いていたが、新たに機器の定期点検に問題があることがわかり、完全に操業を停止した。現時点で再開の見通しは立っていない。

お産の質向上へ「院内助産」 山梨大病院で導入2年 indexへ

 医師の代わりに助産師がお産に立ち会う「院内助産」。医師不足を補うだけでなく、母親に寄り添った「質の高いお産」をめざし2年前に始めた山梨大医学部付属病院では定着しつつある。院外の助産師への技術普及や助産師の権限を広げる取り組みも始めている。
 山梨大の付属病院に設けられた院内助産施設「よつ葉ルーム」。11月中旬、韮崎市の浅利由香さん(28)が産後1カ月検診に訪れた。胸に抱く男の子は、ここで出産した。
 「助産師さんが手を握ってくれると、不思議と陣痛がおさまるような気がするんです」。浅利さんは、初めて経験した院内助産をそう振り返る。第1子が安産だったこともあり、2人目は担当医から院内助産を勧められた
。「同じ女性に一心同体で付き添ってもらえた」と、友人にも胸を張って院内助産を勧めている。
 2009年11月に国立大学の付属病院として初となる院内助産を導入してから、よつ葉ルームで産声を上げた赤ちゃんは計37人。施設やスタッフが限られているため、1カ月に6人までしか対応できないが、口コミで評判が広がり、予約は4カ月先まで埋まっている。
 分娩(ぶんべん)部長の平田修司教授(産婦人科)は「助産師は、母親の満足度より安全性を優先しがちな医師とは違った観点からお産がサポートできる」という。精神的な面まで、きめ細かいケアができる院内助産が、単なる医師不足の代替策ではなく、お産の質の向上につながると自負する。
 院内助産ができるのは、県の寄付講座による研修セミナーを修了した助産師。山梨大の付属病院では、県全域の助産師を育成するため、院外の助産師にもセミナー参加を奨励している。セミナーを修了して院内助産の資格を取った助産師は、院内外ですでに29人に達している。
 さらに院内助産は新たな展開も見せている。山梨大の付属病院は助産師の権限拡大をめざす厚生労働省の研究拠点病院に指定された。産道を損傷した場合の「縫合」と呼ばれる手術を助産師に任せる取り組みを開始。さらに、院内助産のセミナー修了者向けに「縫合」だけの資格認定制度もスタートさせた。すでに7人が認定され、医師の立ち会いのもと、実際に縫合をこなしているという。
 助産師による縫合を全国で制度的に認めるには、法整備が欠かせない。平田教授は「助産師の役割を拡大させつつも、お産の安全性を一歩も後退させてはいけない」と説明する。来年3月、試行結果をまとめて、厚労省に報告する。

肉食女子、がんリスク1.5倍 8万人を10年調査 indexへ

 肉類を食べる量が多いと、結腸がんになるリスクが約1.5倍高いことが、国立がん研究センターの研究班の調査でわかった。大阪や岩手、茨城、秋田、新潟、長野、高知、長崎、沖縄など9府県の45〜74歳の男女約8万人を10年以上追跡した。欧米より肉を食べる量が少ない日本では、これまで結腸がんと肉食の因果関係が不明だった。
 研究班は、調査追跡期間中に結腸・直腸がんになった男性714人、女性431人について肉類を食べる量で5グループにわけ、がんの発生率を比べた。
 すると、男性は、ハムやソーセージも含めた肉類全体の摂取量が1日約130グラムのグループは、20グラムのグループの約1.4倍、結腸がんのリスクが高かった。女性は、牛肉や豚肉を1日約90グラム食べるグループは、約10グラムのグループの約1.5倍、結腸がんリスクが高かった。

誤投薬防止責任者、5割が放射線技師 医師関与せず indexへ

 甲府市立甲府病院の放射性物質を使った核医学検査で子どもが過剰被曝(ひばく)した問題を受け、専門医らの学会が実施した緊急全国調査の中間報告で、5割の施設で過剰投与など誤った投与を防ぐ責任者を、診療放射線技師が務めていることがわかった。
 甲府病院では、技師が投与量を決めるなどの検査全体を担い、医師が関与していなかった点が問題とされたが、今回の調査で、全国の施設でも、技師主体で行われている実態が浮き彫りになった。

「出産直後預けられ後遺症」 母乳推進の病院を両親提訴 indexへ

 母乳育児などを推奨する病院で、生まれたての長女が母乳を飲まなかったのに病院側が母乳以外の栄養分を与えなかった結果、呼吸障害などの後遺症を負ったとして、神奈川県の両親らが26日、九州医療センター(福岡市中央区)を運営する国立病院機構に約2億3千万円の損害賠償を求め、福岡地裁に提訴した。
 訴状によると、母親は2月に同センターで長女を出産した。センターの助産師は母親の個室に数回、長女を預け、母乳を与えるよう指示。長女は母乳を飲まなかったが、センター側は代わりの栄養分を与えず、長女は生後約12時間で心肺停止状態に。呼吸障害などの後遺症を負い、意識不明で寝たきりの状態が続いているという。原告側は「病院が適切な栄養管理を怠り、低血糖症に陥ったことが原因」と主張している。
     ◇  母乳だけによる育児や、出産直後の母親に子どもを抱かせるカンガルーケアが原因で、子どもが死亡したり脳性まひなどの後遺症が残ったりしたとして、九州や関西、関東の家族らが26日、福岡市で患者・家族の会を発足させた。この日、医療機関側を福岡地裁に提訴した両親も加わった。
 発会式には、福岡や大阪などの6家族と弁護士ら計約20人が集まった。6家族とも医療機関を提訴したか提訴を準備中。参加した医師によると、「完全母乳」を勧める病院で母乳以外の糖分を与えないと、母乳が十分に出ない場合、赤ちゃんが低血糖になる可能性があるという。また、出産直後の母親は汗をかいて体の表面温度が下がりやすいため、カンガルーケアだと赤ちゃんが低体温になって脳性まひなどを誘発することもある、と指摘している。
 代表の須網香さん(35)=宮崎県小林市=は「右にならえで勧めている医療機関が多いが、関係者はきちんと赤ちゃんの管理をしてほしい。これ以上、私たちのような家族を増やして欲しくない」と話した。会の問い合わせは福岡市の羽田野総合法律事務所(092・715・5251)へ。

放射線治療、半数が照射足りず 前立腺がん indexへ

 早期前立腺がんの放射線治療を受けた患者の半数が、根治に必要とされる放射線量を照射されていないことが大阪大などの調査でわかった。病院の規模が小さいほど照射不足の傾向が強く、専門医らの不足が一因と考えられる。
 早期の前立腺がんは70シーベルト以上という大量の放射線を照射すれば根治が可能だ。ただこの線量では直腸粘膜の出血など重い副作用が起こる危険があるため、高度な照射技術が必要となる。
 手島昭樹大阪大教授(医用物理学)らの研究チームは2003〜05年、前立腺がんの放射線治療を実施している全国の大学病院とがんセンター、それ以外の国公立病院を病院規模でそれぞれ2群にわけ、無作為に病院と患者を抽出して照射線量を調べた。
 約400人を調べた結果から照射量の全国的な傾向を推定すると、平均照射量は68シーベルトで、患者の半数以上が根治に必要な照射を受けていないとわかった。

新種豚インフル3人感染確認 米、人から人への感染疑い indexへ

 米中西部アイオワ州で子ども3人が新種の豚インフルエンザウイルス(H3N2型)に感染していたことがわかった。いずれも豚と直接接触していないことから、米疾病対策センター(CDC)では、人から人に感染した疑いがあるとみている。
 3人はいずれも軽症で、すでに回復している。
 見つかったウイルスは、2009年に新型インフルエンザとして世界的に流行し、現在は季節性インフルエンザになったH1N1型の遺伝子の一部を含んでいた。

脳性まひ児、臍帯血で治療 高知大、国内初の臨床研究へ indexへ

 早産で脳性まひになった子どもに、出産時にへその緒から採った自分の臍帯血(さいたいけつ)を点滴して運動機能の改善をめざす臨床研究を、高知大が来春にも始める。臍帯血は主に白血病の治療に使われていて、脳性まひの治療に試みるのは国内で初めて。今後、人工多能性幹細胞(iPS細胞)などと同様に幹細胞の供給源としても注目を集めそうだ。
 先天性の脳性まひは約1千人に2人(0.2%)の割合で発症する。母体内で脳が何らかのダメージを受け、体の動きや話し方に障害が出るといわれる。ただちに生命に危険が及ぶわけではないが、根本的な治療法はなく、対処はリハビリが中心になっている。
 研究は、早産の危険が差し迫っているケースが対象。妊娠33週ごろ、帝王切開で産む際に赤ちゃんの臍帯血を採って保存する。半年ほどして脳性まひと診断された段階で臍帯血を点滴する。計画は今月、厚生労働省が承認した。

「茶のしずく」発症者569人に 学会が受診呼びかけ indexへ

 悠香(福岡県)が販売した「茶のしずく石鹸(せっけん)」の旧商品によるアレルギー問題で、日本アレルギー学会は25日、東京都内で会見し、発症の報告が569人になったと発表した。「異常な事態」として、軽く治まった場合でも安心せずに、皮膚科の専門医を受診するよう注意を呼びかけた。
 同学会によると、569人は医師にアレルギーと診断されたケースで、今月4日までの情報を悠香から提供された。
 厚生労働省には10月17日時点で、発症者471人が悠香から報告されていた。2週間あまりの間に約100人増えたことになる。
 悠香の集計とは別に、学会に設けられた特別委員会が集計したところ、旧製品に含まれる小麦由来成分「グルパール19S」が原因でアレルギーを発症したと六つの病院が確定診断した222人のうち、血圧が低下するなど特に重症化した例が3〜5割に上った。強いかゆみや呼吸困難などは7割以上、まぶたのはれが5割以上でみられた。
 発症者はもともと小麦アレルギーの体質ではなかったが、グルパール19Sが皮膚を通して体内に入り、小麦由来成分に反応する抗体ができた。旧製品を使っただけでは発症しにくいが、パンやパスタなど小麦を原料とする食品を食べることなどで反応が促され、発症したと考えられるという。全身のじんましんや呼吸困難などの重い症状が突然出る割合が高く、旧製品が原因と気づきにくいとしている。
 学会特別委の松永佳世子委員長(藤田保健衛生大教授)は「化粧品でこれほど大規模なアレルギーが発症した例はない。症状の出ていない人も、心配ならばアレルギーの有無を調べる検査を受けたほうがよい」と述べた。
 検査を受けられる全国の病院は同学会のウェブサイト(http://www.jsaweb.jp/)に掲載されている。

筋肉のセシウム蓄積は血液の数十倍 警戒区域の牛を調査 indexへ

 東京電力福島第一原発から半径20キロ圏内の警戒区域にいた牛の筋肉に蓄積した放射性セシウムの量は、血液中の放射性セシウム量の20〜30倍という相関関係が見られることが、東北大や大阪医科大、山形大、新潟大などの調査でわかった。血液から体内の放射性物質の量を推定するなど、人に応用できる可能性があるという。
 調査したのは東北大加齢医学研究所の福本学教授(病理学)らのグループ。警戒区域で野生化した家畜の殺処分が進められているが、8月下旬から11月半ばにかけて殺処分された牛のうち、47頭を所有者の同意のうえで解剖し、筋肉や内臓、血液に含まれる放射性物質を調べた。
 その結果、血液から1キロあたり60ベクレルが検出された牛のももから1800ベクレルが測定されるなど、筋肉から血液の20〜30倍の放射性セシウムを検出。肝臓などの臓器は10倍ほどで筋肉より低く、セシウムが蓄積すると見られていた甲状腺ではほとんど測定されなかった。

診療報酬、薬価含む総額引き下げを提言 政策仕分け indexへ

 行政刷新会議(議長・野田佳彦首相)の「提言型政策仕分け」は22日、医療機関に支払われる診療報酬について、薬価などを含む総額の引き下げを求める提言をまとめた。首相や小宮山洋子厚生労働相はこれまで引き下げに否定的で政権としての判断が焦点だ。
  診療報酬は治療行為や医薬品の「値段」。年間36兆円にものぼり、85%を税金と保険料でまかない、残りを患者が負担する。来年度が2年に1度の見直し時期に当たり、年内に改定率をまとめる。
  仕分けではまず、財務省の担当者が「引き下げはやむを得ない」と指摘。その理由として、診療報酬を1%引き上げた場合には医療費が約3600億円増え、国民負担増に直結すると説明した。9人の仕分け人からも「国民の平均所得が下がっているのに、医者の報酬は減っていない」などの意見が出た。
  最終的には、薬価などを除く診療報酬の本体部分について6人が「据え置き」、3人が「抑制」を求め、提言は「(結果を)重く受け止めて対応されたい」とした。薬価の部分は引き下げられる予定で、総額で引き下げを求めた形だ。

医療費明細書、発行に5千円の例も 厚労省が上限検討へ indexへ

 野田内閣は22日、医療機関が医療費明細書を発行する際に患者から徴収している手数料について、最高額が5千円だったとし、「適切な額とはいえない」との見解を示した答弁書を閣議決定した。自民党の秋葉賢也氏の質問主意書に答えた。
 医療費の明細書は、病院が昨年4月から、診療所は昨年7月から、原則としてすべての患者に無料で発行するよう義務づけられた。ただ、明細書の発行機能がないコンピューターを使っている医療機関などは例外扱いで、手数料の徴収も認められている。
 答弁書によると、今年9月時点で手数料を徴収できる医療機関は全国で3135あり、平均は485円で最高が5千円。「明細書の入手の妨げとなるような高額の料金を設定すべきではない」としている。
 厚生労働省は今後、上限額の設定を検討する方針。

抗がん剤アバスチン、米で転移性乳がんへの適用取り消し indexへ

 米食品医薬品局(FDA)は18日、抗がん剤アバスチン(一般名ベバシズマブ)の転移性乳がんへの適用を取り消した。2008年2月、緊急性が高い薬の申請に適用されるFDAの迅速承認制度のもと追加の臨床試験を実施するとの条件付きで承認されていたが、結果として生存率や生活の質の向上には効果がないと判断した。大腸がんなど、それ以外のがんへの適用については「これまで通り何ら変わりない」と説明している。
 アバスチンは日本でも07年に大腸がんに対して承認され、今年9月には手術不能または再発乳がんに対して追加承認を受けている。

日赤と田辺三菱、血液製剤の事業統合を半年延期 indexへ

 日本赤十字社と田辺三菱製薬は18日、来年4月に予定していた血液製剤「血漿(けっしょう)分画製剤」の製造販売事業の統合を、半年延期して同10月にすると発表した。事業を運営する非営利法人の設立準備が遅れているため。同法人が医薬品製造や販売の許認可を取る手続きに時間がかかる見通しという。血漿分画製剤は人の血液から分離したたんぱくを基に作る薬で、両社の事業統合は生産コストなどを削減し、国内の供給体制を高めるのが狙い。

心臓手術でガーゼ置き忘れか 患者は死亡 福岡大病院 indexへ

 福岡大学病院(福岡市城南区)は18日、80代の女性患者に今年5月下旬、心臓手術をした際、体内にガーゼ1枚を残すミスをした可能性が高いと発表した。女性は術後に容体が悪化し、2日後に死亡した。病院は「ガーゼが腹部の大動脈に残され、血流に異常が起きて死亡につながった恐れがある」と説明。遺族に謝罪したという。
 病院によると、女性は心臓の弁を人工弁に取り換える手術を受けた。弁は石灰化して固まっており、除去手術の際に石灰が心臓の中に入らないよう、ガーゼ1枚(縦約30センチ、横約15センチ)を心臓の入り口にかぶせた。手術の翌日、女性の腹部に血栓ができ、両足に血が流れにくくなるなどして症状が悪化。再手術したが、女性は多臓器不全で死亡した。
 執刀した医師らは最初の手術直後、使ったガーゼがないことに気付いたが、X線の画像などから「体内にはない」と判断し、術後に悪化した原因も特定しなかったという。

不妊題材に女性が撮影 映画「幸せのカタチ」公開 埼玉 indexへ

 埼玉県行田市出身の映像作家・茂木薫さん(33)が、不妊と向き合う女性たちのドキュメンタリー映画「幸せのカタチ」(90分)を制作した。ワーナー・マイカル・シネマズ羽生(羽生市川崎2丁目)で公開している。25日まで。
 茂木さん自身も不妊に悩み、2009年8月、人工授精で授かった赤ちゃんを子宮外妊娠のために失ったという。その直後、病室でぼうぜんとする茂木さんを夫が撮影するシーンから映画は始まる。
 退院した茂木さんはカメラを携え、不妊の人を支援するNPO法人「Fine」の活動を追う。不妊を経験した女性たちが、孤独になりがちな当事者を心理面で支援。不妊の勉強会の様子もある。自らの不安を打ち明ける茂木さんに対し、メンバーが「不安になったら、話して」とほほえむ場面が印象的だ。
 小児がん治療の影響で「将来的に不妊になる」と告げられた4歳の少女とその母親の日常も撮った。
 「不妊で悩んでいる人だけでなく、当事者以外の人も、自分の幸せのかたちが何なのかを感じてほしい」と茂木さん。
 大人千円、中学生以下800円。行田足袋を作る人々を追ったドキュメンタリー「ミシンの子守唄」(60分)も同時上映する。上映時間などの問い合わせは同シネマ(048・560・3302)へ。

消費者庁「茶のしずく」報告見過ごす 注意喚起に遅れ indexへ

 悠香(福岡県)の「茶のしずく石鹸(せっけん)」の旧商品で小麦由来成分によるアレルギー症状が多発している問題で、消費者庁が昨年10月、厚生労働省から被害発生を伝えられていたにもかかわらず、見過ごしていたことがわかった。事態の把握は7カ月後の今年5月、注意喚起は6月にずれ込み、被害を拡大させた恐れがある。
 省庁や地方自治体は、消費者庁に対し、商品やサービス側に原因がある事故を通知するよう消費者安全法で義務づけられている。事故情報を1カ所に集めて分析、公表することで、被害のいち早い発見や拡大を防ぐ狙いがある。
 同庁によると、厚労省からこの問題の通知があったのは昨年10月15日。事故情報の担当者に届いた文書には、小麦由来成分を含んだせっけんを使っていた30代女性がパンを食べてテニスを始めた15分後、目や顔、手が腫れ、血圧低下や腹痛、下痢などの症状が出て入院した――など三つの症例が記されていた。
 当時、厚労省には21人の発症例が医療機関から報告されていたが、同省は「公表対象の事業者の利益や信用を考慮した」として、文書では事故の日時や場所、商品名や症例数などのデータを伏せていた。
 消費者庁では、この文書は事故情報の担当者間で共有されたものの、消費者安全法上の通知とは扱われず、公表もされなかった。データが不足していたためとみられるが、厚労省に問い合わせたかどうかは「担当者が覚えていない」としている。

ES細胞の臨床試験、米社が撤退 経営上の問題で indexへ

 米バイオベンチャー、ジェロン(本社・カリフォルニア州)は14日、ヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使った臨床試験(治験)から撤退すると発表した。同社は昨年から交通事故などで脊髄(せきずい)を損傷し、手足がまひしたりした患者に対し、世界初のヒトES細胞を使った治験を手掛けていた。
 経営上の問題が理由としている。治験で今のところ重大な副作用は確認されていないといい、すでに開始した治験は続けるが、新たな参加者は募らない。同社は「幹細胞治療計画の進展のため、技術的、財政的なパートナーを探している」としているが、同社は抗がん剤の開発に集中していくという。
 同社の治験はヒトES細胞を使った再生医学の先端例として注目されているが、米紙ニューヨーク・タイムズによると、これまで4人に行われた治験で、効果がみられたとの結果は得られていないという。また米紙ワシントン・ポストは「希望を持たせておいて金銭上の理由でやめるとはひどい」という患者団体側の声を紹介している。

イレッサ控訴審、企業と国の責任認めず 原告逆転敗訴 indexへ

 肺がん治療薬イレッサをめぐり、副作用で死に至る危険性を十分に説明していなかったとして、死亡した患者3人の遺族が販売元のアストラゼネカ(大阪市)と国に計7700万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が15日、東京高裁であった。園尾隆司裁判長は、ア社と国の双方の責任を認めた一審・東京地裁判決を取り消し、遺族側の請求を全面的に退けた。
 高裁判決は、副作用の危険性は説明書に書かれており、医師も危険性を認識していたことから、製造物責任法の「指示・警告上の欠陥」はなかったと判断してア社の責任を否定した。さらに、ア社の責任を認めない以上、国の責任も認められないとした。
 イレッサの副作用をめぐっては、東京、大阪両地裁で遺族らが提訴。大阪地裁では2月にア社の責任だけを認める判決が出て大阪高裁で控訴審が続いており、高裁段階の判断は初めて。製薬会社、国双方の責任が認められなかったことは、国が検討している抗がん剤の副作用被害救済策の議論にも影響を与えそうだ。
 イレッサは2002年7月に輸入が承認され、販売が始まった。当初の説明書では、動脈に酸素が取り込みにくくなる間質性肺炎が「重大な副作用」の4番目に書かれ、死に至る可能性は明記されなかった。しかし、発売直後から間質性肺炎による死亡例が相次ぎ、厚生労働省の行政指導を受けたア社はこの年の10月、説明書に「警告」を追加して注意を呼びかけた。
 今年3月の東京地裁判決は、警告を出すまでの国とア社の対応を違法と認め、それまでに服用した患者2人について計1760万円を支払うよう命じていた。国の責任は「臨床試験の結果から副作用で人が死ぬ可能性があると認識していたのに、ア社に十分な説明をするよう行政指導をしなかった」と判断。ア社には「指示・警告上の欠陥」があったと指摘した。これに対し、ア社と国がいずれも控訴していた。
 肺がんはがんの中で死者数が最も多く、09年には約6万8千人が死亡した。イレッサの年間使用患者数は推計で約1万6千人(09年)に上る。
 二つの訴訟では、東京、大阪両地裁が今年1月に和解を勧告し、遺族側は応じる姿勢を見せたが、国とア社が拒否して和解が成立せず、判決に至っていた。

消費者庁「茶のしずく」報告見過ごす 注意喚起に遅れ indexへ

 悠香(福岡県)の「茶のしずく石鹸(せっけん)」の旧商品で小麦由来成分によるアレルギー症状が多発している問題で、消費者庁が昨年10月、厚生労働省から被害発生を伝えられていたにもかかわらず、見過ごしていたことがわかった。事態の把握は7カ月後の今年5月、注意喚起は6月にずれ込み、被害を拡大させた恐れがある。
 省庁や地方自治体は、消費者庁に対し、商品やサービス側に原因がある事故を通知するよう消費者安全法で義務づけられている。事故情報を1カ所に集めて分析、公表することで、被害のいち早い発見や拡大を防ぐ狙いがある。
 同庁によると、厚労省からこの問題の通知があったのは昨年10月15日。事故情報の担当者に届いた文書には、小麦由来成分を含んだせっけんを使っていた30代女性がパンを食べてテニスを始めた15分後、目や顔、手が腫れ、血圧低下や腹痛、下痢などの症状が出て入院した――など三つの症例が記されていた。
 当時、厚労省には21人の発症例が医療機関から報告されていたが、同省は「公表対象の事業者の利益や信用を考慮した」として、文書では事故の日時や場所、商品名や症例数などのデータを伏せていた。
 消費者庁では、この文書は事故情報の担当者間で共有されたものの、消費者安全法上の通知とは扱われず、公表もされなかった。データが不足していたためとみられるが、厚労省に問い合わせたかどうかは「担当者が覚えていない」としている。

イレッサ控訴審、企業と国の責任認めず 原告逆転敗訴 indexへ

 肺がん治療薬イレッサをめぐり、副作用で死に至る危険性を十分に説明していなかったとして、死亡した患者3人の遺族が販売元のアストラゼネカ(大阪市)と国に計7700万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が15日、東京高裁であった。園尾隆司裁判長は、ア社と国の双方の責任を認めた一審・東京地裁判決を取り消し、遺族側の請求を全面的に退けた。
 高裁判決は、副作用の危険性は説明書に書かれており、医師も危険性を認識していたことから、製造物責任法の「指示・警告上の欠陥」はなかったと判断してア社の責任を否定した。さらに、ア社の責任を認めない以上、国の責任も認められないとした。
 イレッサの副作用をめぐっては、東京、大阪両地裁で遺族らが提訴。大阪地裁では2月にア社の責任だけを認める判決が出て大阪高裁で控訴審が続いており、高裁段階の判断は初めて。製薬会社、国双方の責任が認められなかったことは、国が検討している抗がん剤の副作用被害救済策の議論にも影響を与えそうだ。
 イレッサは2002年7月に輸入が承認され、販売が始まった。当初の説明書では、動脈に酸素が取り込みにくくなる間質性肺炎が「重大な副作用」の4番目に書かれ、死に至る可能性は明記されなかった。しかし、発売直後から間質性肺炎による死亡例が相次ぎ、厚生労働省の行政指導を受けたア社はこの年の10月、説明書に「警告」を追加して注意を呼びかけた。
 今年3月の東京地裁判決は、警告を出すまでの国とア社の対応を違法と認め、それまでに服用した患者2人について計1760万円を支払うよう命じていた。国の責任は「臨床試験の結果から副作用で人が死ぬ可能性があると認識していたのに、ア社に十分な説明をするよう行政指導をしなかった」と判断。ア社には「指示・警告上の欠陥」があったと指摘した。これに対し、ア社と国がいずれも控訴していた。
 肺がんはがんの中で死者数が最も多く、09年には約6万8千人が死亡した。イレッサの年間使用患者数は推計で約1万6千人(09年)に上る。
 二つの訴訟では、東京、大阪両地裁が今年1月に和解を勧告し、遺族側は応じる姿勢を見せたが、国とア社が拒否して和解が成立せず、判決に至っていた。

茶のしずく石けんで66人重篤 アレルギー症状471人 indexへ

 延べ約467万人に約4600万個販売され、小麦由来成分による重いアレルギー症状を引き起こすとして自主回収中の悠香(福岡県)の「茶のしずく石鹸(せっけん)」の旧商品をめぐり、発症者が471人に上ることが、厚生労働省のまとめでわかった。うち66人は、救急搬送や入院が必要な重篤な症例で、一時意識不明に陥った例もあった。
 14日にあった厚労省の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会で、10月17日までに悠香から報告のあった件数が示された。一方、日本アレルギー学会には千件を超す症例が報告されているといい、被害件数は増える可能性がある。
 症例は、全身の腫れや呼吸困難など。小麦アレルギーが元々なかった人も、アレルギーの原因物質が目や鼻の粘膜などに毎日少しずつ付着することで、発症することがあるという。原因となった小麦由来成分は様々な石鹸や化粧品で使われているが、悠香の自主回収の後、悠香と同じ小麦由来成分を使っていた10社が33商品計380万個余を自主回収している。
 一方、各地の消費生活センターには14日現在、健康被害の相談が936件寄せられている。「昨年11月と今年2月に呼吸困難の発作を起こし、意識不明の重体になった」(兵庫県・60代女性)
▽「食後に胃痛がしてじんましんが出る」(岩手県・20代女性)
▽「パンなどを食べた後に運動をすると両目の腫れやじんましんの症状が出る」(熊本県・40代女性)――などだ。
 また、この問題に詳しい国立病院機構相模原病院(神奈川県相模原市)の福冨友馬医師によると、日本アレルギー学会に報告された症例は、医師の診断書つきが約300件、自己申告が約900件に上る。アレルギー症状は問題の石鹸を使うのをやめると改善に向かうが、根本的な治療方法は見つかっていないという。
 北海道、東京、愛知、大阪、福岡など13都道府県で被害弁護団が結成され、仙台地裁では損害賠償を求める訴訟が起きている。
 悠香はお客様窓口(0120・112・266)で、交換返品や被害の相談に応じている。日本アレルギー学会は10月、この石鹸によるアレルギーの診断基準を公開した。使用後30分以内にかゆみや鼻水が出る、小麦を食べると目や顔のかゆみ・腫れが出る、など。診断できる医療機関もホームページ(http://www.allergy.go.jp/allergy/flour/003.html)で公開している。

京大病院、透析装置を間違え患者死亡 府警が捜査 indexへ

 京都大病院(京都市左京区)は14日、人工透析の際に間違えて別の装置を取り付けるミスで、入院中の50代の男性患者が死亡したと発表した。三嶋理晃病院長は「病院の過失」と認め、「社会の信頼を損なう結果となり、おわび申し上げます」と謝罪した。病院から報告を受けた京都府警は、業務上過失致死容疑での立件を視野に捜査を始めた。
 京大病院によると、患者は今月5日、脳死による臓器提供での肝臓移植手術を受けた。経過が良好だったため一般病棟に移った。もともと腎不全で透析を受けており、12日夜に当直医2人が透析用の濾過(ろか)装置を交換した。ところが、その約3時間後に血圧が低下するなど容体が悪化。治療を受けたが、翌13日午前10時50分に死亡した。
 その後の調査で、付けられていた透析用の装置が、血液中の老廃物を取り除く本来の装置ではなく、血液の成分を分離するための別の装置だったことが分かった。当直医の指示で看護師が装置を取りに行き、保管場所の隣にあった別の装置を誤って持ってきた。当直医も確認を怠って装着したという。装置は形は似ているが、色や大きさは違う。

丸薬処方、390年不変 「奇応丸」の大阪・樋屋製薬 indexへ

 「♪赤ちゃん 夜なきで こまったな〜 かんむし 乳はき よわったな〜」。CMソングでおなじみの「奇応丸」。天然の生薬を原料に使い、小さい子の様々な症状に効く丸薬として、特に関西で支持を集めている。江戸時代初期に創業してから390年、処方を変えずに一つの製品を作り続けるのが、樋屋(ひや)製薬だ。
 大阪・天満橋の住宅地にある、ひときわ目立つ茶色いビルが本社だ。のちの創業者の一家が1563年に移転してきた場所に今も立つ。
 子供用の風邪薬なども作っているが、主力商品はもちろん「樋屋奇応丸」。色々な不調にすぐに対応できる、「奇」に応じる薬、の意味だ。
 「奇応丸」の元々の処方は奈良時代の高僧・鑑真が伝えたともいわれ、不老長寿の薬などとして珍重されていたという。原料が輸入品だったため高価で、当初は公家や僧侶だけが使う薬だった。
 1622年、初代の坂上(さかのうえ)忠兵衛が「赤ちゃんの服用量なら庶民にも手が届く値段になるし、生薬だから安全」と作り始めたところ、「よく効く」と評判になった。社名の「樋屋」とは、雨どいのある店を表す。現在の坂上隆彦社長(57)で15代目になる。丸薬の一粒一粒は極めて小さく、最小で直径1.3ミリ。「お母さんのおっぱいの先につけてそのまま含ませるため、小さいのです」と説明してくれた。
 原料は、体力回復に役立つとされるニンジン(高麗ニンジン)、熊の胆汁を固め強い苦みがあるユウタン、ジャコウジカの雄のにおい袋から出来たジャコウなど、植物や動物由来のもの。貴重なので「余力がある時に蓄えよ」との教えが伝わる。製品を口に含むと、独特の臭いと苦みが広がるが、不思議にクセになる。処方は創業時のものを今も守っている。

「植物状態」でも言葉に反応 カナダの大学が脳波調査 indexへ

 交通事故や脳卒中で「植物状態」になっても意識のある人がいることが分かった。患者16人に脳波を測る装置をつけ、言葉の指示に対する反応を調べたところ、3人(19%)が正常な人と同じ反応を示した。10日付の英医学誌ランセット(電子版)で発表された。
 実験は、カナダやベルギーの大学のチームが、英国とベルギーの二つの病院で行った。脳波の活動をみる装置を頭につけた植物状態の患者16人に、音が鳴ったら「右手を握りしめた後、ゆるめる」か「両足のつま先を動かした後、ゆるめる」場面を想像するという指示を聞かせた。一定間隔を置いて、指示を100回前後繰り返したところ、20〜40代の3人からは比較のために実施した正常人と同じ脳波が検出された。体を動かすことはできないが、言葉を聞き分け、脳から決められた体の部位を動かすように指示が出ているとみられる。
 今回の実験に使った装置は、安価でどの病院でも導入できるもので、研究チームは、現場での診断に活用することを提案している。

外来受診上乗せ負担、低所得者は50円 厚労省案 indexへ

 外来患者に受診のたびに窓口負担に上乗せして100円を求める「受診時定額負担」について、厚生労働省は9日の社会保障審議会医療保険部会で、低所得者は50円にする案を示した。ただ、民主党内には定額負担の導入自体に反対論が強く、理解が広がるかは不透明だ。
 厚労省の試算では、市町村民税非課税の低所得者の負担を50円、それ以外を100円とした場合、2015年度時点で約1100億円の公費が浮く。同省はこの財源を使って、中・低所得層の医療費の月額負担上限を引き下げたい考え。
 一方、定額負担の代わりに保険料引き上げで財源を確保した場合、一人当たりの年間平均負担額は、協会けんぽで約4600円、企業の健康保険組合で約4400円、市町村国保で約1400円、後期高齢者医療制度で約350円増えるとの試算も示した。

ES細胞で初の治療へ 肝臓病の0歳児 国立成育医療研 indexへ

 重症の肝臓病で治療法がなく、肝移植も難しい0歳児に、ヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)からつくった肝細胞を移植する治療を、国立成育医療研究センター(東京都)が計画している。ES細胞による治療は国内では例がなく、肝臓病への応用は世界初とみられる。研究センターは3年後をめどに、倫理委員会の承認を受けて臨床試験に臨む。
 受精卵からつくられるES細胞には、生命の萌芽(ほうが)を壊すことになるという倫理面の問題やがん化の危険性があり、研究レベルに制限され、一部の認められた研究機関でしか扱えない。しかし、研究が進んで海外では臨床試験も始まっていることなどから、ほかに治療法がない難病患者に限って臨床研究の対象として、厚生労働省は先月、指針づくりを始めたところだった。
 治療するのは先天性代謝異常症で、肝臓が有毒なアンモニアを分解できない新生児。血中の濃度が高くなると脳に障害が出る。10万人に1人程度の割合で発症し、生存率は10〜20%。

診断・治療もできる「特定看護師」導入へ 厚労省が原案 indexへ

 医師がしている診断や治療の一部ができる「特定看護師」の導入を議論してきた厚生労働省は7日、作業部会で制度の原案を示した。法律を改正し、床ずれの治療や脱水した場合の点滴開始の判断など「特定の医行為」を認証を受けた看護師ができるようにする。医療の質や患者の満足度の向上につながると期待される。
 この日の部会で示された原案では、5年以上の実務経験がある看護師が、国指定の研修を受け、国の試験に受かると「特定能力認証」を受ける。医師の事前の指示に従えば、自らの判断でできるようになる。養成課程は、高齢者の慢性的な病気など幅広い2年と、皮膚・排泄(はいせつ)ケアなど分野を限る8カ月コースを想定している。

タミフル遅れても投与を A09年型インフル indexへ

 インフルエンザA09年型の感染者には、遅くなっても抗ウイルス薬タミフルの投与を――。そんなことを示す研究を国立国際医療研究センターの工藤宏一郎医師らがまとめ、米科学誌プロスワンに発表した。タミフルの投与は発症後2日以内が望ましいとされている。
 工藤医師らは、2009年に大流行したこのインフルエンザの発生国メキシコの国立病院と協力、症状とタミフル投薬後の経過を442人分の診療記録で調べた。
 その結果、発症から2日以内にタミフルを投与された患者では重症肺炎の割合は2.2%と低く、早期投与が効果的であることが裏付けられた。しかし、発症から2日以降の投与開始でも、重い症状を免れた患者が一定数いた。メキシコでは発生当時、受診が遅れ、平均的なタミフルの投与時期は発症後5日だった。
 工藤医師は「たとえ遅れても、飲んでもらう価値があることが裏付けられた」と話している。

被災地患者の血圧、栃木で分析 医師不足をバックアップ indexへ

 東日本大震災の津波で大きな被害を受けた宮城県南三陸町の診療所で、患者の血圧データを栃木県の大学病院の医師に送信し、体調管理を支援してもらう試みが進んでいる。医師不足で患者へのきめ細かいケアが難しい被災地を遠くからバックアップする仕組みだ。
 公立南三陸診療所にかかった漁師(49)は、仮設住宅で不眠に悩んでいた。震災後に血圧が上がり、一時は200を超えた。診療所で血圧を測ると、結果は300キロ離れた栃木県下野市の自治医大病院のパソコンに即座に送られた。
 データを受け取ったのは、苅尾七臣(かずおみ)教授(循環器内科)のグループ。数値の変化が気になると、南三陸診療所の西沢匡史医師に連絡する。診療所の常勤医は西沢さんだけで、患者の対応に追われて個人のデータをじっくり見る余裕がないためだ。

簡単検査でアスピリンぜんそく判定 最短90分で 群馬 indexへ

 解熱・鎮痛剤などに使われるアスピリンが、ぜんそくを誘発する「アスピリンぜんそく」。医療法人群馬アレルギーぜんそく研究所(邑楽町)は、簡単な検査で、アスピリンぜんそく患者かどうかを見分ける方法を開発したと発表した。10日から始まる日本アレルギー学会で報告する。
 研究所によると、国内の気管支ぜんそく患者300万人のうち、約30万人がアスピリンぜんそくと見られる。呼吸困難で死に至ることもある。
 アスピリンぜんそくと診断するにはこれまで、アスピリンを実際に投与して反応をみるしかなかった。
 「危険がなく、負担のかからない検査を」と考案されたのが、口内の粘膜を綿棒でこすり取り、遺伝子で判別する方法だ。
 黒沢元博所長らは、肝臓で薬物を分解する酵素に着目。アスピリンぜんそくの患者の多くは、遺伝子の一部が変異していることが分かった。
 年齢や性別などの要素も加えて解析すれば、誤差は1%程度。最短で1時間半ほどで診断できるという。
 「今後は、ほかの遺伝子の変異との関係も調べ、診断の精度を上げたい」と阿部修三・専任研究員。
 研究所では、アスピリンぜんそくの検査を無料で行っている。問い合わせは研究所(0276・91・8500)へ。

がん細胞を直接死滅 岡山大発ベンチャー、新薬開発へ indexへ

 がん細胞を死滅させ、がんへの免疫力も高める治療薬づくりに岡大発ベンチャー企業が5年間4億円で取り組む。科学技術振興機構(JST)の事業に採択され、資金のめどがたった。前立腺がんや中皮腫、腎がん、乳がんへの効果が動物実験で確認された遺伝子を用いる。
 事業主体の桃太郎源(岡山市北区)によると、製剤の元になるのは遺伝子「REIC(レイク)」。無毒化したウイルスに組み込み、直接がんに注射する。がん細胞にREICが増えると、たんぱく質の生産異常を起こして死ぬ。REICが普段からある正常な細胞は、少し増えても問題はない。
 さらに、死んだがん細胞の断片がワクチンのように働き、がんに対する免疫を高めるという。
 岡山大病院では、REICの特許権を持つ公文裕巳教授らが、ウイルスに組み込んだREICを前立腺がん患者で臨床研究中。今のところ安全性に問題は無い。今回は臨床研究中の製剤を改良する。ウイルスへのREIC遺伝子の入れ方を工夫し、薬効を10〜100倍に上げ、5年以内に腎がんでの臨床研究を目指すという。

美容医療のHP規制へ 料金などトラブル多発 厚労省 indexへ

 美容医療などを行う医療機関のホームページ(HP)の不適切な情報でトラブルが起きているとして、厚生労働省は4日、HPに掲載する内容の指針をつくり、行政指導の対象とする方針を固めた。公的な医療保険が適用されない自由診療を実施している医療機関を対象に、年度内にも指針をまとめたいとしている。  医療機関の広告には医療法上の規制があり、記載項目を医師の氏名や診療科名などに限定している。医療機関のHPは「情報を得たい人が自ら検索して閲覧するもので広告にはあたらない」として、医療法の規制の対象外になっている。
 しかし、料金などをめぐるトラブルが、脱毛や脂肪吸引などの分野で多発している。HP上の料金の手術を希望したのに「その方法は、仕上がりが悪い」と説明され、表示より何倍も高い手術を強引に勧められたなどの苦情が出ている。このため、消費者庁が昨夏、トラブル防止への対応を厚労省に求めていた。

処方薬へのポイント禁止 厚労省、値引きと認定 indexへ

 厚生労働省は2日、医師の処方箋(せん)をもとに出される薬(処方薬)を薬局が販売する際、ほかの商品の購入などに使えるポイントを付けることを原則禁止にする方針を決めた。法律で値引きが認められていないものにポイントを付けることが「実質的な値引きにあたる」と判断した。来年4月から実施する。
 公的医療保険が適用される処方薬は全国一律の価格になっている。健康保険法では、薬局が患者の自己負担分から独自に値引きすることを認めていない。
 ただ、患者の支払いにポイントを付けることを禁じる規定はなく、昨夏ごろから大手ドラッグストアを中心にポイント導入が広がった。ドラッグストアでは生活用品も売られ、ポイントをためて安く買える。これに対し、日本薬剤師会などが問題視していた。

睡眠薬、基準上回る3種類以上の処方例6% 厚労省調査 indexへ

 厚生労働省は1日、抗不安薬と睡眠薬の処方実態を調べた結果を発表した。2009年、基準となる用量を上回る3種類以上の処方例が抗不安薬で1.9%、睡眠薬で6.1%あった。厚労省は、3種類以上処方する場合には、必要性を十分考えるよう医師に求めるとともに、患者にも医師や薬剤師に確認するよう呼びかけている。
 約33万人分の診療報酬明細書を分析した。同じ作用の薬を同時に3種類以上飲むと1日の用量が基準を大きく上回り、薬物依存に注意する必要があるという。
 1人の患者が複数の医療機関を受診したケースについては調べていない。

交通事故後の頭痛に診断指針 「脳脊髄液減少症」 indexへ

 交通事故や転倒をきっかけに、激しい頭痛やめまいなどが続く「脳脊髄(せきずい)液減少症」について、厚生労働省の研究班が診断指針を作った。患者は全国に数万〜数十万人いると推定されるが、「原因不明の頭痛」などと片付けられがちだった。初めて統一の診断指針ができたことで、患者救済へ一歩前進となる。
 脳脊髄液減少症は、頭部への強い衝撃などで、脳や脊髄を覆う硬膜に穴が開き、中の髄液が漏れることで発症すると考えられている。症状は激しい頭痛のほか、吐き気、めまい、視力低下など様々だ。しかし、適切な診断、治療が受けられず、周囲から理解されない症状に長期間、苦しむ人たちが少なくなかった。また、詳細な原因や診断法がはっきりせず、医師の間でも、病気として認めるかどうか考えに開きがあった。
 厚労省の研究班は2007年、統一した診断や治療の指針作りに着手。MRI(磁気共鳴断層撮影装置)やCT(コンピューター断層撮影)で、髄液漏れを特定する画像判定の基準を作ったほか、各検査の結果を組み合わせて診断する仕組みも盛り込んだ。指針案は10月、日本脳神経外科学会、日本整形外科学会など8学会の承認を受けて、統一した診断基準となった。
 研究班代表者の嘉山孝正・国立がん研究センター理事長は「基準ができたことで、この症状を見逃したり、むち打ち症の人まで過剰に診断したりする例は減るだろう」と話す。一方、症状はあっても、明らかな髄液漏れが見つからない患者も診断できないか、さらに検討を進めるという。

病気腎移植を先進医療に申請 徳洲会「保険適用に」 indexへ

 医療法人「徳洲会」(本部・東京)は31日、腎臓がん患者から摘出した腎臓を修復して別の患者に移植する第三者間の病気腎移植について、治療の一部に保険が適用される先進医療として認めるよう、厚生労働省に申請した。
 徳洲会によると、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)では2009年12月以降、万波誠医師らの執刀で、国の指針に基づく臨床研究として、親族間でない第三者間の病気腎移植を9例実施。いずれの患者でも、がんの転移は確認されていないという。
 同会の能宗克行事務総長は「この移植で生活の質が大きく改善し、通常とほとんど変わりなく暮らせるようになった方がいる。一刻も早く保険適用にこぎつけたい」と話した。

抗がん剤「イレッサ」保険適用、対象者限定 indexへ

 肺がん治療薬イレッサについて、患者に事前の遺伝子検査を義務づけ、特定の遺伝子変異のある人に限り、原則的に公的医療保険が適用されることになった。厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会が31日、対象者を限定するよう変更することを決めた。
 イレッサは2002年、再発したり、手術ができないほど進行したりした「非小細胞肺がん」を対象に承認。その後の臨床試験で、がんの増殖にかかわる遺伝子に変異のある患者に効果があることがわかった。
 部会では、遺伝子変異のある人には、最初の治療からイレッサを使うことも認めた。これまでイレッサは、ほかの抗がん剤治療を受けたことがない患者には有効性や安全性が確立していないとされていた。

自治体の病院事業、22年ぶり黒字 職員削減などで indexへ

 自治体が経営する病院事業の総収支が2010年度、22年ぶりに黒字に転じた。全国650事業の黒字額は9億円で、1070億円の赤字だった09年度から大幅に改善した。総務省が31日発表した。
 経営状況の改善は、職員数を減らして経費を削減したことや、診療報酬が増額改定されたことなどが要因。職員数は09年度の22万4千人から2.3%減って、21万9千人となった。
 自治体の病院事業は、50億円の黒字を計上した1988年度の翌年から赤字に転落。赤字額は06年度に最大の1985億円に達した。総務省は07年度に公立病院改革ガイドラインをつくり、自治体に経営改善を求めていた。

肺がんX線検診で死亡率低下せず 米で15万人調査 indexへ

 年に1度、X線による肺がん検診を受けても、死亡率低下にはつながらないとする大規模調査の結果を、米国立がん研究所などがまとめた。国際的に肺がん検診を実施している国はほとんどないが、日本では国が年に1度の肺がん検診を自治体に勧めている。科学的根拠がはっきりしない検診を続けるべきかどうか、議論となりそうだ。
 論文は26日付の米医師会雑誌(JAMA)電子版に発表された。
 55〜74歳の約15万人を対象に、半数は4年間連続でX線検診を受けた人、半数は何も受けなかった人に無作為に分けて、肺がんによる死亡との関係を13年間、追跡調査した。

心筋梗塞で心停止、冬は夏の5割増 屋内外の気温差注意 indexへ

 国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)は27日、冬場の心筋梗塞(しんきんこうそく)による心停止の発生件数は夏場に比べ5割増えるとの調査結果を発表した。冬場は屋内外の温度差が大きく心臓への負担が増すため、防寒対策を呼びかけている。
 2005年から4年間に国内で救急車搬送された心停止の症例約19万6千件分を解析した。12月から翌2月までの3カ月間の件数は年間の31%だったが、6月からの3カ月間では21%。心筋梗塞のなかで最も症状が重い心停止は、冬場に多いことが裏付けられた。11月の米国心臓病学会で発表する。
 同センターは心筋梗塞による突然死を防ぐための10カ条を作成。脱衣場を暖める、熱い湯に入らないなど特に入浴の前後で注意するよう促している。被災地の仮設住宅でも警戒が必要だとして、早めの対策を呼びかけている。

ユッケ集団食中毒、死亡率過去の3倍超す 原因調査へ indexへ

 4月に発生した焼き肉チェーン「焼肉酒家(さかや)えびす」の集団食中毒で、重症化した患者が死亡する率が、これまでの腸管出血性大腸菌による食中毒の例に比べ3倍を超えていたことが富山県の調べでわかった。脳症や溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症して重症化する傾向も強く、厚生労働省の研究班は全患者のカルテなどを分析し、原因を調べる。
 えびすが提供したユッケを原因とした集団食中毒では、富山、福井、石川、神奈川の各県で181人が発症し、5人が死亡。37人の患者から腸管出血性大腸菌O(オー)111が検出された。
 富山県生活衛生課によると、これまでの腸管出血性大腸菌による集団食中毒では、患者のうち腎臓の機能が低下するHUSに陥るのは10〜15%で、HUS患者の死亡率は1〜5%だった。しかし、今回は患者181人のうち32人(17.7%)がHUSを発症し、このうち15.6%に当たる5人が死亡した。特に、100人の患者が出た砺波(となみ)店(富山県砺波市)では22人がHUSになり、4人が死亡。死亡率は18.2%だった。

禁煙薬服用後に失神、注意喚起後も事故6件 indexへ

 厚生労働省は26日、禁煙治療の飲み薬「チャンピックス」(成分名・バレニクリン)について、意識障害の副作用に注意するよう呼びかけた7月以降、飲んだ後に自動車を運転した6人が意識を失うなどして事故を起こしたと発表した。他人を巻き込んだ事故はないという。厚労省は、服用期間中は運転しないよう、指導の徹底を医療機関に求めている。
 厚労省によると、6人は30代〜80代の男性。車が側溝に落ちて1人が軽傷を負ったという。
 チャンピックスは意識障害の副作用が出ることがあるとして、厚労省が7月、医師向けの説明書を改めるよう販売元に指示。服用期間中は運転をしないよう注意喚起していた。厚労省は「仕事などで運転する人は、ほかの薬を使うなど、医師と相談してほしい」としている。

学生向け地域医療ツアー活況 医師不足対策に効果 福井 indexへ

 地元の人と交流し、自慢の海を楽しみながら、地域医療も学べる。福井県高浜町の体験ツアーが、全国の医学部生の人気を集めている。ツアーがきっかけで研修先に高浜を選ぶ医師や実習生が5年間で6倍に増えるなど、医師不足の対策にも効果をあげている。
■研修生、5年で6倍に増加  高浜町は福井県の最西端に位置する、人口1万1千人ほどの小さな海沿いの町だ。夏になると、関西や中部地方から多くの海水浴客が訪れる。
 体験ツアーは7〜8月に4泊5日の日程で、5回実施される。対象は地域医療に興味がある全国の医学部生、研修医、看護学生らだ。観光協会から「海水浴場の救護ボランティアをしてもらえないか」という要望があり、高浜町と町内の和田診療所が協力して2007年に始めた。参加者は初回が11人だったが、年々増え、今年は28人だった。
 1回の定員は6人以内のため、医師や福祉職員がきめ細やかに指導できる。在宅医療についていったり、海水浴場で救護ボランティアをしたり、大学教授の地域医療の講義を受けたりと内容は盛りだくさんだ。
 ツアーがきっかけで、医学部5、6年次の臨床実習生や、大学卒業後の研修に高浜町を選ぶ人が急増している。05年、高浜に来た研修医と臨床実習生は14人だったが、昨年は87人と6倍以上になった。
 診療所所長の細川知江子医師(30)は「早いうちから現場を知るのは、学生にとっていいことだと思う」と話す。
■「人同士の濃いつながりが魅力」  学生の評判も高い。
 岡山大医学部3年の塚本真弓さん(25)は「人間同士の濃いつながりの中に医療があることが魅力的で、私が目指す理想の医療に近いと思った」と、ツアーがきっかけで地域医療に興味を持った。富山大医学部1年の星野由維さん(20)は「今までは漠然としたイメージしかなかったけど、自分の地元ではこんな地域医療ができるんじゃないかと、イメージをふくらませることができた」という。
 ツアーは何より、地元の頑張りがあって成り立っている。学生が参加しやすいよう、参加費は7千円に設定。足りない部分は町が負担する。初日は、町の担当者が車で簡単な観光案内もする。
 高浜町は、学生や若い研修医を受け入れようという住民の意識も高かった。09年、住民自身が地域医療を支えていこうと、「たかはま地域医療サポーター」を発足。勉強会などを開き、「地域医療を守り育てるため、学生や研修医の教育に協力しよう」と決めた。
 福井大医学部3年の新谷万智子さん(21)は「町の方、患者さん、ご家族、民宿の方など、皆さんが私たちを温かく見守ってくださった。居心地がよく、またこの町に来たいと思った」と振り返る。
 町保健課地域医療推進室長の中津由明さん(55)は「医師不足のなか、100人の参加者のうち1人でも町に残ってくれれば、という思いでやっている。今後は夏だけでなく、冬の高浜も楽しめるツアーを考えたい」と話す。

男子も子宮頸がん予防ワクチンを 米で勧告 indexへ

 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて、米疾病対策センター(CDC)の予防接種に関する諮問委員会は25日、11〜12歳の男子に対して定期接種を求める勧告を承認した。HPVは性交渉を通じて感染し、子宮頸(けい)がんを引き起こすことで知られるが、ほかにものどや肛門(こうもん)、性器などのがんの原因になるため、男子への定期接種が有効だと判断した。
 CDCは11〜12歳の女子に対してHPVワクチンの定期接種を勧めている。米メディアによれば、今回の決定の背景には、男性が女性への感染源となっていることから、全体で感染率を下げる狙いもある。HPVワクチンが高価なこともあり、女子での初回接種率は半分程度にとどまっているという。

休職中の職員に「病気でなく甘え」 元産業医に賠償命令 indexへ

 奈良県に住む40代の団体職員男性が「休職中に『病気ではなく甘え』などと言われ、自律神経失調症が悪化した」として、当時の産業医に530万円の慰謝料と休業損害の支払いを求めた訴訟の判決が25日、大阪地裁であった。寺元義人裁判官は「病状を悪化させるような圧迫的な言動は控えるべきだった」と判断し、60万円の賠償を命じた。
 判決によると、元産業医は2008年11月、面談に訪れた男性に「薬を飲まずに頑張れ」「こんな状態が続いとったら生きとってもおもんない(面白くない)やろが」などと言った。判決は、面談後に症状が悪化して翌09年1月の復職見通しが約4カ月延びたと指摘した。

小児がんの記録、生涯保存 クラウド利用し成人後も活用 indexへ

 小児がんの子どもの診療記録を半永久的に保存する仕組み作りが始まる。記録の保存義務はこれまで5年間だった。がんを克服した後のフォローアップや、成人後に別の病気になった際に、どこに住んでいても、子ども時代の診療内容も参考に、治療方針を決められるようにする。
 この事業は、内閣のIT戦略本部の「医療情報化」の一環。データをパソコンなどではなく、インターネット上に保存できるクラウドコンピューティングを使う。千葉県がんセンターなどが中心になり、まずは小児がん患者を診ている約60病院に参加を呼びかけ、12月に協議会を発足。
 小児がんの中で白血病と脳腫瘍(しゅよう)に次いで多い神経芽腫を中心に登録を始める。順次、小児がん全体に対象を広げ、小児がん診療を手がける約130病院の参加を目指す。

混合診療禁止は「適法」 最高裁が初判断 indexへ

 健康保険が使える保険診療と適用外の自由診療を併用する「混合診療」を原則として禁じている国の政策が適法かが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷(大谷剛彦裁判長)は25日、「適法」との判断を示した。そのうえで、保険診療分については保険が使える権利の確認を求めた患者の上告を棄却。患者の敗訴が確定した。
 最高裁が混合診療の適法性について判断を示したのは初めて。結論は裁判官5人全員一致の意見だった。ただ、大谷裁判長ら3人が「補足意見」を、寺田逸郎裁判官が異なる理由を示す「意見」を述べ、それぞれ制度や運用のあり方に問題提起をした。
 訴えていたのは、神奈川県藤沢市に住む腎臓がん患者の清郷(きよさと)伸人さん(64)。保険適用の「インターフェロン療法」と併せて適用外の「活性化自己リンパ球移入療法」を受けたところ、すべての治療について自己負担を求められたため、「混合診療を禁じる法律的な根拠はないから、インターフェロン分は保険が使える」として提訴した。
 健康保険法に混合診療を禁じる規定はないが、国は法解釈で禁止してきた。その一方で、1984年の同法改正以降、特定の高度先進医療に限って例外的に混合診療を認めている。
 第三小法廷は、禁止が「法律から直ちに導かれるとは言えない」と指摘しつつ、法改正の経緯などを踏まえて「医療の安全性・有効性の確保や、財源面での制約から、保険が給付される範囲を合理的に制限するのはやむを得ない」と述べ、国の解釈は妥当と結論づけた。
 個別意見のうち、弁護士出身の田原睦夫裁判官は「現行法は文言上、他の解釈の余地がある。対象者が広範囲に及ぶ場合、明快な規定が一層求められる」と注文を付けた。裁判官出身の寺田裁判官は「給付を認める基準や運用の合理性に疑問がある」との意見を述べた。

院内感染、患者3人が死亡 千葉の松戸市立病院 indexへ

 千葉県松戸市の松戸市立病院で院内感染が発生し、男性患者3人が死亡した。同病院が25日、明らかにした。
 病院の説明によると、患者は58、68、79歳で同室だった。今年9月20日から10月23日の間に死亡した。多剤耐性緑膿(りょくのう)菌に感染していたが、「直接の死因とはみていない」としている。

マイコプラズマ肺炎急増 愛知は全国平均の3倍 indexへ

 若い世代に多い「マイコプラズマ肺炎」の患者が全国的に増えている。特に愛知県で急増し、ここ数週間の患者数は全国平均を3倍近く上回る。国がまとめた1医療機関あたりの患者数は、夏ごろから急に増え、10月以降ここ数年にない数に上っている。
 マイコプラズマ肺炎は細菌による感染症でワクチンはない。せきや接触でうつり、潜伏期間は2〜3週間。幼児や小学生、若者に患者が多い。乾いたせきから始まり、発熱や頭痛、だるさの症状がある。重症になると、中耳炎や脳炎などの合併症を起こす。
 国立感染症研究所が、全国約500カ所の医療機関から報告された患者数をまとめたところ、1医療機関あたりの患者数が6月から0.6〜0.7人に増えた。これは例年の流行期(10月中旬から春先)の患者数に当たる。10月に入ると、過去10年間では初めて「1人」を超えた。
 特に愛知県の場合、6月ごろから増え始め、9月にすでに2人を超え、10月に入ると3.15人を数えた。これまでの5年間では1人を上回ったことがほとんどなく、患者数の多さは異例だ。患者年齢は5〜9歳に集まっている。患者が多いのは、ほかに埼玉県や東京都、大阪府など。

眠くなりにくい鼻炎薬 エスエス製薬、25日発売 indexへ

 エスエス製薬は、飲んでも眠くなりにくい鼻炎薬「アレジオン10」を25日に発売する。医療向けだった成分「エピナスチン塩酸塩」を、初めて大衆薬に使った。1日1回1錠で、15歳未満は服用できない。希望小売価格は6錠入りで1280円、12錠入りで1980円(いずれも税込み)。

「インフル予防」トローチ発売中止 医薬品と誤解の恐れ indexへ

 「インフルエンザ予防に役立つ」として、ミヤリサン製薬(東京)とバイオベンチャーのファーマフーズ(京都市)が共同開発したトローチが発売中止になった。健康食品として今月中にも売り出す予定だったが、予防に期待する消費者からの問い合わせが殺到。製造販売元のミヤリサン製薬は「医薬品と誤解される恐れがある」と判断した。
 トローチは、インフルエンザ感染を抑える抗体を成分に配合し、売り出す予定だった。だが今月中旬以降、学会発表や報道で伝えられると、消費者から連日、企業側に問い合わせが寄せられたという。
 ミヤリサン製薬の開発担当者は「健康食品なので、人への臨床試験はしていない。しっかり効果を調べる必要が出てきた」と話す。厚生労働省医薬食品局の担当者は「効能をうたっていなくても、成分の説明などで誤解を招きかねない場合もある」と注視している。

脳死の少年の肝臓、2人の子へ分割移植成功 国内で初 indexへ

 脳死の少年から提供された肝臓を、2人の子どもに分割して移植する国内初の手術が成功した。国立成育医療研究センター(東京都)で移植を受けた10代の少女が19日、退院を前に会見した。脳死の子どもからの臓器提供がまだ2件にとどまる中で、分割移植が確立すれば、移植を受ける機会が広がると期待される。
 肝臓は9月3日に脳死と判定された15〜17歳の少年から提供された。肝臓は二つに分割され、一方は同研究センターの肝硬変の少女に、もう一方は京都大病院の肝硬変の10歳未満の女児にそれぞれ移植された。京都大病院の女児も経過が順調で来週にも退院する見込みだという。
 10代の少女は会見で「ドナー(提供者)さんのおかげでここまで良くなれたので、とても感謝しています」と述べた。

インフル予防にトローチ開発 京都のバイオ企業 indexへ

 インフルエンザ感染を抑える抗体入りのトローチを、バイオベンチャー企業ファーマフーズ(京都市)とミヤリサン製薬(東京)が共同開発し、健康食品として販売を始める。「通勤・通学など人が混み合う所へ行く前になめれば、感染予防に役立つ」(ファーマフーズ開発部)という。
 ファーマフーズは、ニワトリの卵を使って抗体を作り出す技術をもつ。京都府立医科大と共同で、ニワトリにインフルエンザウイルスを注射し、卵黄からウイルスに対する抗体をつくったところ、30秒以内にウイルスが死滅する効果を確認。唾液(だえき)で効果が失われることもなかったという。
 トローチの商品名は「バリフル」(1箱18錠入り)。季節性と新型のインフルエンザウイルスのほか、弱毒性の高病原性鳥インフルエンザウイルスの抗体も含む「万能型」で、子どもがなめても大丈夫という。今月中にも薬局・薬店の店頭に並ぶ予定。

医療費立て替え、外来でも不要に 来年4月から indexへ

 医療費の窓口負担が一定額を超えると、超過分が払い戻される「高額療養費制度」で、入院だけでなく、外来の場合も患者が超過分を立て替えずに済むようになる。政府が18日、関係する政令の改正を決めた。来年4月から実施される。
 この制度では、患者の所得額に応じて1カ月の自己負担の上限額を設定。上限を超えた場合、患者はいったん窓口で全額を払い、後で超過分の払い戻しを受けるのが基本だが、入院患者や一部の在宅療養患者は、加入する医療保険から事前に「所得区分」の認定を受ければ、立て替え払いなしで済むようになっている。来年4月からは、外来患者も同様の取り扱いにする。
 ただし、複数の医療機関を受診して上限額を超えた場合は、従来通り、後で払い戻しの手続きをとる必要がある。

脳死肺移植後、40代女性が意識不明 京大病院が調査へ indexへ

 京都大病院(京都市左京区)は18日、脳死による臓器提供で肺の移植手術を受けた40代女性が重い脳障害を起こし意識不明になっていると発表した。手術中に人工心肺装置が一時停止したという。外部の専門家を含む調査委員会を設け原因を究明するとしている。
 京大病院によると、女性は肺リンパ脈管筋腫症という重い肺の病気。山梨県内で脳死判定された60代男性から肺の提供を受け、10日に移植手術をした。
 移植後に血中の酸素濃度が低下したため、補助的な人工心肺装置を作動させた。13分後、装置内に空気が混入し、安全装置が働いて停止。その間も患者の心肺は動いていたが、再始動まで約4分間かかったという。容体はいったん安定したが、翌朝になって重い脳障害が確認された。意識不明の状態が続いている。

子ども用薬の開発進めよう 小児医療機関27施設が連携 indexへ

 子ども向けの薬の開発を進めるため、全国27の小児医療専門機関が「小児治験ネットワーク」を立ち上げた。子どもは患者数が少ないため、製薬企業は開発に及び腰で、7割の薬は、大人向けの量を適当に減らすなどして使われている。同じ薬でも、大人と子どもでは安全性や効果が異なり、子ども向けの臨床試験(治験)の必要性が指摘されていた。
 ネットワークは、国立成育医療研究センター、大阪府立母子保健総合医療センターなど27施設で発足した。製薬企業が治験を行いやすい環境作りを目指す。
 国立成育医療研究センターを窓口にして、治験の事務手続きを簡略化。複数の病院が共同で治験を行うことで、参加する患者を短期間に集めやすくする。早ければ、年明けにも共同で治験を行う。

ポリオ不活化ワクチン提供、厚労相「望ましくない」 indexへ

 ポリオの予防接種で、神奈川県が国内ではまだ承認されていない不活化ワクチンを提供する方針を打ち出したことについて、小宮山洋子厚生労働相は18日の閣議後の会見で「健康被害が生じた際に救済制度がないなど、行政上望ましいことだと思わない」と述べた。
 厚労相は「(生ワクチンに対する)国民の不安をあおって、結果として全国的に生ワクチンの接種を控える人が増え、免疫を持たない人が増加する恐れがある」とも指摘した。
 厚生労働省は、病原性をなくした不活化ワクチンが導入されるのは早くても来年度末になるとし、それまでは、生ワクチンの接種を受けるよう呼びかけている。

ガーゼ置き忘れで容体悪化、再手術後も重篤 佐賀大病院 indexへ

 佐賀市の佐賀大医学部付属病院が60代の男性患者の体内に止血用ガーゼを置き忘れた問題で、佐賀大病院は17日、男性の容体が悪化したため、ガーゼを取り除く手術をしたと発表した。除去で心臓や肺の機能は改善したが、合併症の危険性があり重篤な状態という。
 佐賀大病院は2005年4月に大動脈の手術をした男性の体内に、ガーゼを置き忘れたことを7日に公表。除去手術が難しいため、抗生剤を投与して経過を見る方針だった。
 しかし、男性は9日、ガーゼ置き去りによる感染症で発熱し、肺や心臓の機能が低下。病院側は、男性に「手術死亡率は50%」と説明したうえで14日に手術し、ガーゼを取り除いた。

人工乳房、全国の温泉巡る 浸して色や形の変化検証 indexへ

 乳がん摘出手術で人工乳房をつける人に安心して温泉を楽しんでもらうための「おっぱいリレー」が17日、全国各地で一斉に始まった。人工乳房を温泉などに浸して色や形が変わらないか調べる初の試みで、メーカーと温浴施設の共同企画。人工乳房をバトンがわりに湯から湯へ、北海道から鹿児島まで19地域の計95施設を巡る。
 17日朝、福岡県那珂川町のスーパー銭湯「湯あみの郷(さと)」。営業前に、従業員が炭酸カルシウム入りの人工温泉に人工乳房を浸した。30分後、色や形が変わっていないか確かめ、写真に収めて「検証」は終了。永倉篤彦支配人(42)は「よかった。人工乳房をつけている方に安心してうちの湯に来てもらいたい」。3日以内に次の湯に届け、31日までにゴールする。
 検証に使うのは、業界最大手の池山メディカルジャパン(名古屋市)のシリコーン製の商品。池山紀之社長(53)によると、熱や酸に強く、社内実験で温泉の影響はなかった。だが、泉質は多様なため、変化する可能性は「ゼロではない」。人工乳房使用者の問い合わせに施設側も答えられない実情を知り、知人の温浴施設「夢古道の湯」(三重県尾鷲(おわせ)市)の伊東将志店長(37)に相談。ツイッターやフェイスブックで参加を募り、リレー方式で確かめる話が進んだ。

現代のペスト菌、中世の「黒死病」菌と酷似 DNA調査 indexへ

 中世ヨーロッパで大流行したペスト菌のDNAが、アフリカなどに現在も広がるペスト菌と非常に似ていることがわかった。独加米の研究チームが、英科学誌ネイチャーで発表した。
 研究チームは、1348〜50年ごろのペスト犠牲者が埋葬された英ロンドンの墓地の4遺体の歯髄から、ペスト菌に特有のDNAを検出。遺伝情報を調べると、感染症を起こす遺伝子は、660年経った現在の菌との違いがほとんどなかったという。当時ほど感染が広がらないのは、気候や社会環境の変化のせいではないか、と推定している。
 14世紀半ばに流行したペストは、黒い発疹ができることから「黒死病」とも呼ばれ、5年間でヨーロッパの全人口の30〜50%が死亡したともいわれる。日本では1926年以降、感染者は出ていないが、厚生労働省検疫所によると、2004〜09年にアフリカやアジア、アメリカの16カ国で1万2503人の患者が確認され、843人が死亡している。

甲府病院の過剰被爆、放射線技師を任意聴取 山梨県警 indexへ

 甲府市立甲府病院で、放射性物質による検査で子どもたちが過剰被曝(ひばく)した問題で、山梨県警は16日、医師法違反(無資格医業)の疑いで、同病院と投与量を決めていた技師長補佐の男性(54)の自宅を家宅捜索した。県警は同日、この男性から任意で事情聴取した。
 県警によると、放射性物質を使った検査薬の投与量は、本来は医師が決めなければいけないのに甲府病院では医師免許を持っていない技師長補佐が独断で決め、投与していた疑いが持たれている。
 甲府病院によると、1999年から今春にかけて、同病院で15歳以下の子ども145人が放射性物質を使う検査を受けた際、少なくとも84人が日本核医学会などの推奨基準の2倍以上のテクネチウムを投与された。技師長補佐は病院の調査に対し、「検査が早く終わり、画像も鮮明になる」と説明しているという。
 技師長補佐は使用記録に保険で認められるよう虚偽の記載をしていた。

市立甲府病院を家宅捜索 医師法違反の疑いで山梨県警 indexへ

 甲府市立甲府病院(同市増坪町)で子どもが放射性検査薬で過剰被曝(ひばく)した問題で、山梨県警は16日朝、医師法違反の疑いで同病院と検査を担当していた診療放射線技師の自宅の家宅捜索を始めた。
 市立甲府病院によると、1999年以降、同病院で15歳以下の子ども145人が放射性物質を使う検査を受け、うち84人が日本核医学会などの推奨投与量を超えるテクネチウムを投与されたという。

ポリオ不活化ワクチン、神奈川5カ所で接種可能に indexへ

 神奈川県と県立病院機構が、ポリオの不活化ワクチンを、県内の保健福祉事務所で年内にも接種できるようにすることが分かった。県によると、不活化ワクチンの接種機会を県が増やす取り組みは全国で初めてという。
 接種を予定しているのは、県内9カ所の保健福祉事務所のうち5カ所。費用は助成せず、1回5千〜6千円になる見込み。国内で未承認のため、県立病院の医師が個人輸入する予定。接種による健康被害が起きた場合は、県としての補償はしない方針で、接種の際には同意書の提出を求めるという。
 神奈川県で、今年4〜6月にポリオの公的な予防接種を受けた乳幼児は、前年同時期に比べ約1万7千人(21.5%)減った。当面、この1万7千人が接種できる量のワクチンの輸入を目指すという。

混合診療巡る上告審、25日判決 「禁止は適法」維持へ indexへ

 健康保険が使える保険診療と保険外の自由診療を併せて受ける「混合診療」を原則禁じた国の政策が適法かが争点となった訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(大谷剛彦裁判長)は14日、判決言い渡しの期日を今月25日に指定した。
 最高裁が結論を見直す際に必要な弁論が開かれていないため、「禁止は適法だ」として原告側の敗訴とした2009年9月の二審・東京高裁判決が維持される見通しになった。
 訴えているのは、がん患者の男性。保険診療のインターフェロン療法に加え、保険適用外の療法を受けたところ、全ての治療を自由診療として自己負担を求められたため、インターフェロン療法分は保険が使えることの確認を求めていた。一審・東京地裁判決は「禁止に法的な根拠はない」として男性の勝訴としていた。

学校のAED使われず さいたま・駅伝練習中の小6女児死亡 indexへ

 さいたま市北区の市立日進小学校で9月、千メートル走の練習中に6年生女児(当時11)が倒れて死亡した事故で、救急隊の確認時は心肺停止状態に陥っていたのに、同校が備え付けの自動体外式除細動器(AED)を使っていなかったことが、関係者への取材で分かった。
 市教育委員会や同校の説明によると、女児は9月29日、駅伝大会の選手選考を兼ねた練習に参加。持病はなく、事前に体調不良も訴えずに走り終え、15メートルほど歩いてから倒れ込んだ。午後4時5分ごろで、意識はもうろうとしていた。
 学校側は、女児を担架で保健室に運んだ後の同8分に119番通報し、救急車を要請。女児は大きく息を吸う動作はしたが、声を掛けても反応がなく、指先は冷たかったという。
 市消防局によると、到着した救急隊員が同15分に確認したところ、心肺停止状態だった。人工呼吸や胸の圧迫などの心肺蘇生処置はされておらず、瞳孔も開いていた。重篤だったため認定救急救命士が追加派遣された。薬剤を投与しつつ、女児を市内の病院に搬送したが、翌30日に死亡した。死因は分かっていない。
 備え付けのAEDを使わなかった理由について、学校側は「自発呼吸と脈があったため」と説明する。
 しかし、救命救急に携わる関係者からは、この判断を疑問視する指摘もある。
 日本救急医学会員の鈴木崇儀歯科医師=愛知県岡崎市=によると、「自発呼吸」は「あえぎ呼吸」だった可能性がある。呼吸の中枢機能が失われ、口を開けて努力するように呼吸する状態を指し、すぐに心肺蘇生処置が必要となる。
 しかし、専門の訓練を受けていなければ判断しにくく、そもそも動転した現場で脈や呼吸の状態を判断するのは難しいという。
 それだけに、鈴木氏は「迷ったらAEDを使った方が良い。自動的に心臓の動きを解析し、必要なら電気ショックを与えることができる」と指摘する。
 遺族の意向で、遺体は解剖されず、火葬された。両親は「同じような死亡事故は、二度と起きてほしくない。教育委員会と学校は、事故を検証し、事実を明らかにしてほしい」と話す。市教委は、専門家を交えた事故の検証委員会を立ち上げることを検討している。

多剤耐性緑膿菌に感染、1人死亡 新潟県立新発田病院 indexへ

 新潟県立新発田病院(新潟県新発田市)は14日、抗生物質に抵抗力を持つ多剤耐性緑膿菌(りょくのうきん)が院内感染で入院患者3人に広がり、白血病で入院していた1人が菌の影響で死亡したと発表した。3人から検出された菌の遺伝子がほぼ一致したことから院内感染が判明した。
 病院の説明では、9月20日に白血病で入院していた40代男性が多剤耐性緑膿菌敗血症を合併して死亡。同じ7階の病棟にいた人を検査したところ、ほかに男女2人の感染が分かった。うち1人は50代男性で同18日に白血病で死亡していたが、残っていた便から菌が検出された。菌の影響はなかったとしている。もう1人の女性は入院中で、菌による影響は見られないという。
 病院は先月29日、3人が多剤耐性緑膿菌に感染したことを発表。3人に接点がなかったことや手洗いなどの院内感染対策をしていたことを挙げて「院内感染の可能性は極めて低い」と説明していた。14日の記者会見で矢沢良光院長は「認識が甘かった」と話した。

認知症患者の入院短縮「目標値、再検討を」 有識者会議 indexへ

 認知症患者の入院短縮に向け厚生労働省が設定した目標値に不十分な点があるとして同省有識者検討会のメンバーだった精神科病院の院長や患者家族会の代表らが13日、目標値の再検討を求める意見を表明した。
 目標値は「2020年度までに精神科病棟に入院する患者の半数を2カ月以内に退院させる」というもの。
 しかし、意見書では「入院期間の目標設定だけにとどまると、短期で退院できる患者を多く入院させた方が達成しやすくなり、かえって入院を促進させる」として、入院医療を最低限にするには、入院患者数の目標値も同時に定める必要があるとしている。

臍帯血移植1074件に 昨年度、10年間で6倍超に indexへ

 赤ちゃんのへその緒や胎盤にある臍帯血(さいたいけつ)を白血病患者らに移植した件数が、昨年度は1074件に伸び、骨髄移植の1191件に肩を並べていることがわかった。厚生労働省が13日、審議会に報告した。
 臍帯血は赤血球や白血球になる細胞が豊富で血液がんの白血病治療などに使われている。厚労省によると、臍帯血移植は、2000年度に年間169件と骨髄移植(716件)の4分の1以下だったが、昨年度までに6倍以上に増えた。腰に針を刺して骨髄を採取する骨髄移植と比べ、提供者の負担が少ないことなどが要因という。

大腸がん有無、おならで検査 名古屋大院准教授ら開発 indexへ

 おならのガスの成分から大腸がんの有無を調べる手法を、名古屋大大学院工学研究科の八木伸也准教授(量子工学)らの研究チームが開発した。大腸がん患者のおならには硫黄分が多く含まれていて、原理を応用して息から肺がんも調べられるという。
 研究の概要は、英科学誌ネイチャーの関連誌10月号で紹介された。
 八木准教授は2005〜07年、歯科医師の山岸一枝さんが代表を務める美白歯科研究会(東京都目黒区)と共同で、大腸がんの手術前の患者22人のおならの成分を調べた。
 採取する袋の内側に、金属の微粒子をつけた1センチ角の基板を取り付けてガス成分を吸着させ、広島大の放射光科学研究センターで成分を分析した。
 大腸がん患者のおならと、健康な学生ら38人のおならを比べたところ、大腸がん患者には硫黄原子を持つメチルメルカプタンが平均して10倍程度多く含まれていた。がんの進行が進んだ患者の方が、メチルメルカプタンは多かった。

腎臓移植の3割 提供者の意思確認に患者同席 indexへ

 生体腎移植を行う施設で、腎臓を提供するドナーの意思を確認する際、移植を受けるレシピエントが同席している施設が3割あることが、日本移植学会による調査の中間集計でわかった。同学会では、ドナーの自発的な意思が担保されていない恐れもあるとして、倫理指針の改定も検討する。
 生体腎移植をめぐる臓器移植法違反事件を受け、同学会が移植の実施施設にアンケートを配布。生体間の腎移植の実施例がある92施設を集計したところ、臓器提供をするかどうか、意思を確認する場に、移植を受ける親族らが同席している施設が28施設(30%)あった。親族間で提供する場合、移植医がドナーとレシピエントの両者と面談しながら、手術の説明と同時に意思確認するケースがあるという。
 日本移植学会によると、2009年の生体腎移植は1123件。学会の倫理指針には意思確認の際にレシピエントの立ち会いを禁じる規定はないが、ドナーの自由意思を担保するため、同席させない施設が増えているという。同学会の高原史郎理事長は「ドナーの自由意思の担保は最も大事」として、意思確認の方法について、倫理指針の改定を含めて検討する考えを示した。

北陸初、金沢で脳死肝移植 家族が承諾 indexへ

 金沢大付属病院(石川県金沢市宝町、富田勝郎院長)は11日、脳死と判定された60代男性から家族の承諾で提供された肝臓を、60代の女性に移植したと発表した。同病院は昨年7月に脳死判定による肝臓移植の実施施設に選ばれ、脳死肝臓移植は今回が北陸3県で初めて。
 日本臓器移植ネットワークによると、男性は山梨県立中央病院で9日、脳出血により法的脳死と判定。男性は提供の意思を口頭や書面で示していなかったが、家族が承諾した。金大病院の肝臓などを専門とする医師らが摘出に向かい、10日から11日未明にかけ、同院で20人の医師が16時間に及ぶ移植手術をした。  同院によると、臓器提供を受けた女性は肝不全を患い、1カ月以内に命を落とす危険があったという。8月下旬に移植の待機者に登録し、提供を待っていた。女性の術後の経過は良好という。富田院長は「今後も安全、確実に移植手術を実施できる体制づくりをしていきたい」と話した。
 日本臓器移植ネットワークによると、脳死者からの臓器提供は国内149例目。昨年7月の改正臓器移植法の施行後、本人ではなく家族の承諾による臓器提供は54例目。

山梨で初の脳死判定、臓器提供 脳出血の60代男性 indexへ

 日本臓器移植ネットワーク(東京)は9日、山梨県立中央病院(甲府市)に入院している60代男性が臓器移植法に基づく脳死と判定され、臓器提供が行われると発表した。1997年の法施行後、脳死判定や臓器提供は県内で初めて。男性は書面や口頭で提供の意思を周囲に示していなかったが、最終的に家族が承諾したという。
 移植ネットによると、男性は脳出血を患い、医師が8日までに脳死の可能性があると診断。家族から脳死判定を受け入れるという承諾を同日正午に受けたあと、同日午後9時38分に1回目の脳死判定を実施。翌9日午前9時39分に2回目の同判定を実施後、脳死と判定した。
 家族は心臓や肺、肝臓、腎臓、膵臓(すいぞう)、小腸、眼球の摘出を承諾した。家族は「苦しんでいる人や(東日本大震災の)被災者を見て、『代われるものなら代わってあげたい』と言っていた。本人は臓器提供をして助かる人がいるなら、提供したいと言うと思う。家族としても本人の人柄を考えて提供したいと思う」と話したという。
 摘出手術は10日午前5時ごろから順次開始。医学的理由で移植を断念した小腸を除く各臓器はその後、国立循環器病研究センター(大阪)や京都大医学部付属病院など県外5カ所の移植施設に搬送され、移植手術が行われる予定だ。
 脳死者からの臓器提供は全国で149例目、家族の承諾だけで提供されるのは54例目となる。

B型肝炎、九州訴訟で初の個別和解 全員和解は道半ば indexへ

 予防接種での注射器使い回しの責任を国が認め、菅直人前首相が患者や遺族に謝罪してから3カ月。B型肝炎九州訴訟でも初の個別和解が成立した。だが残る課題は多い。  5日、福岡地裁。和解協議に先立つ追加提訴の初弁論で、証言台に立った福岡市の原告猿渡剛さん(57)は訴えた。「もう私に効く抗がん剤はありません。国は生きるための対策をとってほしい」
 55歳のとき、B型肝炎が原因の肝臓がんが見つかった。それまで体調に異変はなかった。手術を受けたが肺に転移。抗がん剤治療を続けるが、病の進行が止まらない。国と原告が基本合意書を交わした後の7月、72人による追加提訴に加わった。
 原告はその後も増え、計276人。今後も提訴が続く。
 「このようなペースならいつまでかかるのか」。5日の和解成立後、小宮和彦弁護団長は憤った。弁護団は年度内の全員和解を目標にする。しかし現状では厳しい。
 弁護団によると、和解に必要と考える資料を提出できた原告は全国1191人中約140人。うち5日までの和解は17人。福岡地裁では9月14日までに22人分を出し、今回10人以上の和解成立を見込んだが、3人にとどまった。
 国は来夏までに原告727人(6月末時点)との和解を成立させたい考えだが、いまのペースで単純計算すると10年以上かかる。約1200人の原告全員なら17年余りになる。提訴から3年半、九州訴訟の原告だけでも7人が亡くなった。原告団代表の谷口三枝子さん(61)は訴える。
 「重篤な方がたくさん、祈るような気持ちで法廷に詰めかけている。あまりにも国の対応が遅い。救済を待つうちに亡くなる原告がまた一人と増えるのではないか。不安な思いでいっぱいです」  厚生労働省は8月、書類審査や出廷に携わる職員8人からなる「B型肝炎訴訟対策室」を設置。来年度は人員を増やして態勢を強化する方針だ。担当者は「個別和解は始まったばかり。原告側とこちら側で書類提出の認識のずれもあるが、いずれスムーズになると思う」と説明する。
 書類などがそろわずに原告になれない人たちの救済にも迅速さが欠かせない。
 この3カ月間、弁護団への1300件を超す問い合わせのうち、原告になれないケースは約2割。その多くは親の死亡やカルテの入手が困難などの理由で、母子感染ではないという重要な証明ができないという。時間が経つほど原告になりづらくなり、和解ではなく、国の恒久対策の確立を待つしかなくなる。
 一方、国のB型肝炎に関する啓発はこの3カ月間、活発とは言えなかった。C型肝炎では新聞各紙の折り込み広告が使われたこともあったが、大きな動きは見られない。
 九州訴訟弁護団への問い合わせ件数は6月末の2日間で61件、翌7月は1178件だったが、8月は81件、9月は53件と低迷している。救済対象者は九州全域で4万3千人とも推計され、明らかに少ない。B型肝炎に感染していると肝機能数値が正常でも、いきなり肝がんが見つかることがある。いち早くB型肝炎に関する知見を広め、詳しい検査を受けることが大切なのは言うまでもない。
 厚労省は6月以降、ホームページをはじめ、自治体や専門病院を通じて啓発を続け、新たにパンフレット作成も議論中という。担当者は「出来る限りのことはしたい」と言う一方、「役所が厳しい目を向けられている折、予算や人員確保は大変」とも漏らす。
 9月25日、恒久対策を話し合った全国の弁護団と原告団の初会合で、根深い偏見や差別の現状が浮かび上がった。ある男性は「入院中、医師や看護師の指導に反し、食堂で働く人が自分の皿を洗うことを拒否した」と明かした。
 九州訴訟弁護団事務局長の武藤糾明弁護士は言う。
 「一人ひとりが救済を受ける手続きが始まった。でも8合目くらいまで登ったと思ったら実は6合目だったというのが実感。原告になれない人も含め本当の全員救済には、まだ5合目でしょうか」

前立腺がんPSA検査「全年齢で推奨せず」 米政府案 indexへ

 前立腺がんの検診で使われているPSA検査について、米政府の予防医学作業部会は7日、すべての年齢の男性に対して「検査は勧められない」とする勧告案をまとめた。2008年の勧告では75歳以上で検査を勧めていないが、対象を全年齢に広げることになる。
 これまでに実施された五つの大規模臨床試験の結果を分析した結果、年齢や人種、家族歴にかかわらず、PSA検査が死亡率を下げるとの証拠は見いだせなかったと結論づけた。ただ、自覚症状があったり、前立腺がんが強く疑われたりする場合は含まれていない。
 米国ではPSA検査は50歳以上の男性に広く普及している。ただ検査で見つかる前立腺がんの多くは進行が遅く、放置しても寿命には関係しない。必要のない治療等を受けて、勃起障害や尿漏れなどの後遺症が残る人もいる。

鼻粘膜からインスリン分泌細胞 糖尿病治療に活用も indexへ

 鼻の粘膜の細胞から、インスリンを分泌する膵臓(すいぞう)のベータ細胞と同じ働きをする細胞を作ることに、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)などのチームがラットで成功した。この細胞を膵臓に移植したラットで、血糖値が下がることも確認した。将来、自分の鼻の細胞を使った新たな糖尿病の治療法につながる可能性があるという。
 7日、英科学誌「EMBO分子医学」(電子版)に論文が掲載された。
 チームは、神経細胞には膵臓のベータ細胞のようにインスリンを分泌する能力があることを突き止めた。神経細胞のもとになる神経幹細胞をラットの鼻から採取。インスリンの分泌を活性化させる特殊な溶液の中で培養し、2型糖尿病のラットに移植したところ、インスリンが分泌され、血糖値がほぼ正常値に下がることが確認できた。
 産総研の桑原知子主任研究員は「臨床応用が可能になれば、自分の細胞を使うため、現在の膵臓移植のようなドナー不足や拒絶反応の問題を解決できるだろう」と話している。

最新のオペ機器、見てさわって 徳島大がキッズセミナー indexへ

 最新の外科手術機器の操作を体験できる「徳島キッズセミナー2011」が11月20日、徳島大学蔵本キャンパス内で開かれる。同大学消化器・移植外科の実行委(088・633・9276)が企画し、小学4年〜中学2年の40人を募集する。参加無料。
 「自動縫合器で胃や腸をつなぐ」「超音波メスの切れ味を体験」などのプログラムのほか、手術用ロボットの操作体験もできる。応募締め切りは10月31日(当日消印有効)。参加の動機を400字詰め原稿用紙1枚にまとめ、学校名、学年、名前、年齢、住所、電話番号を用紙に記入の上、返信用はがきを同封して「徳島キッズセミナー実行委員会」(〒770・8503 徳島市蔵本町3丁目18の15)へ。

患者の体内にガーゼ置き忘れ 佐賀大病院 indexへ

 佐賀市の佐賀大医学部付属病院は7日、60代男性患者の体内に20センチ四方の止血用ガーゼ1枚を置き忘れる医療ミスがあったと発表し、謝罪した。ガーゼの周りには直径約7センチの球状の腫れ物ができていた。再手術が難しいため、抗生剤を与えて経過を見るという。
 男性は、2005年4月に佐賀大病院で心臓の大動脈の手術を受けた。その際、大量出血したため、約700枚のガーゼを使った。今年9月になって、男性がだるさと発熱を訴えて別の病院で診てもらったところ、CT撮影でガーゼの置き忘れがわかった。
 佐賀大病院によると、ガーゼにはワイヤを入れてエックス線撮影でわかるようにしていたが、取り忘れたガーゼは心臓の裏にあったため映らなかった。手術の時には看護師がガーゼの枚数を数えていたが、気付かなかったという。

大阪府立成人病センター移転、住民が差し止め請求 indexへ

 大阪府立成人病センター(大阪市東成区)の移転候補地の住民ら39人が7日、府などに移転差し止めを求める仮処分を大阪地裁に申請した。治療法や診断法の開発のために病原体を調べる研究所を備える同センターが造られると、地震などで病原体が外部に漏出して住民に健康被害が出る可能性がある、と訴えている。
 移転候補地は大阪府庁に近い同市中央区の大手前地区。府を南北に縦断している活断層「上町断層帯」の上にあり、マグニチュード7.5規模の地震の発生確率は今後30年間で2〜3%とされている。一方、新たなセンターは地上13階・地下2階(延べ床面積約6万5千平方メートル)で、地下部分にコレラ菌や狂犬病ウイルス、赤痢菌などを使える研究施設の設置が検討されている。
 住民側は申立書で、東日本大震災では安全とされた原子力発電所から放射性物質が流出したと指摘。「病原体が外部に漏れた場合、平穏な生活を営むことを保障した『人格権』が侵害される」とし、十分な安全対策や情報開示がされるまで移転は受け入れられないと主張している。

全国の電子カルテ、ネットで管理 富士通、災害時を想定 indexへ

 富士通は、災害時に備えて全国の病院から電子カルテの情報を預かる事業に乗り出す。かかりつけの病院が被災しても、ほかの病院からインターネット経由で患者の診療情報を確認し、診察できるようにする。多くの病院が被災した東日本大震災をきっかけに開発したもので、全国規模のサービスは国内初という。  来月には長崎県の拠点病院が導入する。神奈川、福岡、大分の各県の3病院も、年度内の採用を計画。採り入れる病院が増えないと、サービスの実効性が薄れるため、早く100病院での導入をめざす。
 電子カルテは、患者の氏名や病名、処方、検査歴、検査時の画像データなどを電子データとして保管した記録だ。いまは病院内部のサーバーに保存したり、磁気媒体に記録して別の場所で保管したりしている。

治療用の放射性物質、誤廃棄か 国立がんセンター indexへ

 国立がん研究センター(嘉山孝正理事長)は4日、がん治療用の放射線源を誤って廃棄した可能性が高いと発表した。脱脂綿などと一緒に捨てられ処理業者の焼却炉内に残っているとみられ、同センターが調査している。融点が高く、拡散の恐れはないという。  同センターによると、紛失したのは放射性物質ルテニウム106を銀で密封した器具で、直径約1.5センチ、厚さ1ミリの半月状。がんの裏側に数日間埋め込み、放出した放射線でがん細胞を死滅させる。
 9月30日の手術で患者から抜き取った後、紛失していたことが今月3日にわかり、院内を捜索したが見つからなかった。  同センターは空気中の1メートル離れた場所での1時間当たりのルテニウム106の実効線量は約0.2マイクロシーベルトで、今回のケースでは「健康被害は生じない」としている。嘉山理事長は「(誤廃棄を)重く受け止めている。今後起きないようにしたい」と話した。

うつ病・不安…気分障害患者増 12年で1.5倍 富山 indexへ

 気持ちが落ち込んだり不安に襲われたりする、うつ病など気分障害の患者が、県内でも増えている。富山市内では、うつ病の夫と看病する妻の生活を描いた映画「ツレがうつになりまして。」の原作者によるトークショーが開かれ、病気への向き合い方をアドバイスした。
 厚生労働省が3年ごとに全国の医療機関に対して行っている「患者調査」によると、1996年に全国で43.3万人だった気分障害の患者数は、2008年に104.1万人と2倍以上に増えた。県内では同期間に、4千人から1.5倍の6千人に増加した。
 支援対策の一つが、06年に施行された障害者自立支援法に基づく自立支援医療。うつ病などの患者が申請し、認められれば、医療費の本人負担が3割から1割に減免される。
 県健康課によると、県内では、6月時点で2720人が認められ、近年は毎年100人を超えるペースで増え続けている。
 自立支援医療は、減免される2割を国と自治体でもつ仕組み。認定者が増えるほど、財政負担が膨らむという問題もある。
 同課の担当者は「財政負担が膨らむのは事実。それでも、早期治療により、病気の長期化を防ぐことで医療費が最終的に減ると考えられる」と話す。
■「人生の夏休み」長くても大丈夫
 富山市安住町のサンシップとやまで2日に開かれたトークショーには、約300人の市民が訪れ、うつ病を夫婦で克服した体験談に耳を傾けた。
 映画は妻の細川貂々(てんてん)さんが、うつ病をもっと知ってもらいたいとの思いで、夫の望月昭さんとの夫婦生活をつづった実話に基づいている。女優の宮崎あおいさんが貂々さん役を、堺雅人さんが昭さん役を演じ、8日に全国公開される。
 うつ病になった原因について、昭さんは「仕事がつらく精神的に追い詰められて、うつ病になった。誰でもうつ病になってしまう怖さがある」と指摘した。
 一方、看病する側の精神的な負担について、貂々さんは「自分の時間を作って、その時は邪魔させないようにした。支える側が元気でないと支えていけない」。昭さんは「当時、妻は韓流ドラマに熱中していて、その時間だけは部屋に入れてくれなかった」と話し、会場の笑いを誘った。
 また、貂々さんは「ツレ(昭さん)がうつになった時、この人は一生このままでいいやと思ったら、楽になった」とも。これについて昭さんは「面と向かって『治らなくてもいい』と言われ、ホッとした」と話した。その後しばらくして、うつ病は治ったという。
 最後に、昭さんは会場に向かい、「うつ病は治療に焦ることがマイナスになる病気。病気になってもクヨクヨしないで。『人生の夏休み』が長く続いても大丈夫」と呼び掛けた。

O157の疑い、園児死亡 同クラスの園児からも 岐阜 indexへ

 岐阜県は3日、同県各務原市那加新加納町の「ひよし幼稚園」に通う男児(3)が、溶血性尿毒症症候群にかかって死亡したと発表した。腹痛などを訴えて入院した同じクラスの3歳と4歳の女児から腸管出血性大腸菌O(オー)157が検出されたことから、男児もO157に感染した可能性が高いという。今のところ原因は、感染症か食中毒か不明。同幼稚園は4日から当分、休園する。
 県によると、男児は9月29日、腹痛や下痢を訴えて同市内の医療機関を受診。翌30日、血便の症状も出たため岐阜市内の病院に入院した。10月2日に溶血性尿毒症症候群を発症し、3日午後、容体が急変して亡くなった。
 男児と入院した女児以外にも同じクラスで3人の児童が腹痛を訴えているという。県は4日以降、このクラスの園児全員の検便をして、健康調査と原因究明を急ぐ。

ノーベル医学生理学賞に米のボイトラー氏ら3氏 indexへ

 今年のノーベル医学生理学賞の受賞者は3日、米スクリプス研究所のブルース・ボイトラー教授(53)、仏ストラスブール大のジュール・ホフマン教授(70)、米ロックフェラー大のラルフ・スタインマン教授と発表された。
 ボイトラー教授とホフマン教授は、生まれながらにもつ「自然免疫」の仕組みを解明した。ロックフェラー大が9月30日に68歳で死去していたと公表したスタインマン教授は、外敵にさらされてできていく「獲得免疫」で重要な役割を果たす「樹状細胞」を発見した。これらの研究により、感染症やがんなどの治療法開発への道を開いた。
 賞金は、1千万スウェーデンクローナ(約1億1千万円)。2分の1をスタインマン教授、残りを2人で分けることになっていた。授賞式は12月10日、ストックホルムである。

「ボクも注射しないッ」で乳がん検診訴え 兵庫の男性ら indexへ

 第7回ピンクリボンデザイン大賞のポスター部門で、兵庫県芦屋市山芦屋町のコピーライター眞竹広嗣(またけ・ひろつぐ)さん(35)の作品が最優秀賞を受賞した。全国1916点の中から選ばれた。フリーデザイナー竹内堅二さん(28)=大阪市淀川区=との共同制作だ。
 作品は、大きな吹き出しに「じゃあ ボクも 注射しないッ」と書いたシンプルな構成。呼びかけの対象である女性、特に母親世代に子どもが訴える様子を想像してもらうことで、逆に「検診に行って」というメッセージを伝えている。
 眞竹さんは、今年1月に生まれた長男の姿から着想を得た。病院での注射の際に泣く息子の姿を見て、そんな大切な子どもに言われたら「母親もドキッとするのでは」とひらめいた。
 竹内さんは「子供のメッセージなので殴り書きがいいと思った。吹き出しからはみ出すくらい元気よく」と考え、鉛筆で手書きし、パソコンで色づけした。
 県内からは、ポスター部門で西宮市の池田真樹さん(29)、神戸市垂水区の笹川聖太さん(21)も佳作に選ばれた。入賞者と作品はピンクリボンフェスティバル運営委員会の公式サイトで公表している。

メロンで食中毒か 米で15人死亡 リステリア菌に感染 indexへ

 米疾病対策センター(CDC)は30日、メロンが原因とみられるリステリア菌による食中毒で7月下旬以降、中西部コロラド州を中心に84人が感染、15人が死亡したと発表した。
 米食品医薬品局(FDA)によると、感染源とみられるメロンはコロラド州の農場から17州に出荷された。9月中旬以降、農場が自主回収しているが、感染者は19州にまたがっている。また、30日にはカリフォルニア州で生産されたレタスの一部からリステリア菌が検出された。自主回収が始まったが、関連はわかっていない。
 CDCによると、リステリア菌は水や土壌などに広く存在する。人に感染すると発熱や頭痛などの症状があり、重症化すると敗血症や髄膜炎を起こす。欧米では牛乳やチーズ、野菜、食肉などを原因とした集団発生が報告されている。

研修医の希望先、宮城と福島は昨年同期比1割減 indexへ

 卒業後1、2年目の医師に義務づけられている臨床研修で、宮城、福島両県内の病院を研修先の第1希望に挙げている医学生が、昨年同期と比べて約1割減っていることがわかった。研修医は医療の担い手としても期待されており、大幅に減ることになれば両県の医療に影響が出かねない。
 医学生と受け入れ側の臨床研修病院の双方の希望を組み合わせる業務を担当している「医師臨床研修マッチング協議会」が30日、全国の病院別に、来春卒業予定の医学生の第1希望者数(29日現在)を中間発表した。希望登録の締め切りは10月13日。
 中間発表によると、宮城県では18病院の来年度の募集定員計170人(昨年度比18人増)に対し、医学生の第1希望者は計89人で昨年同期より10人減っていた。福島県は16病院の募集定員計146人(同3人減)に、第1希望者は計54人で8人減だった。
 岩手県は12病院の募集定員計126人(同7人増)に、第1希望者が計62人で1人増えていた。

除細動器不具合、低温でショートが原因 滋賀 indexへ

 滋賀県長浜市で今年2月、心肺停止状態になった男性(当時69)を救急搬送する際に「半自動除細動器」が作動しなかった事故で、湖北地域消防本部は30日、外部有識者の調査報告書を発表した。原因は、機器内部が0度以下の低温だったため、電子部品(トランジスタ)に負荷がかかってショートし、ヒューズが溶断したと結論づけた。
 男性は2月12日朝、長浜市内の自宅から救急搬送される際に心肺停止状態となった。救急隊員が救急車に備え付けられた半自動除細動器のスイッチを入れたが、電源が切れて動かなくなった。男性は心臓マッサージを受けながら病院に運ばれたが、約1時間後に急性心筋梗塞(こうそく)で死亡した。
 調査委員会は田畑貴久・滋賀医科大救急集中治療部講師ら7人で構成。報告書では、代替機やAED(自動体外式除細動器)を全救急車に配備することを提案している。同消防本部では7日の湖北地域消防組合議会臨時会に補正予算案を提出し、AEDの整備を進める方針。

手足の血圧を比較 動脈硬化、簡単判定 岡山 indexへ

 足は動脈硬化を発見する窓――。足首と腕の血圧を比べて算出する「ABI」に関心が集まっている。動脈硬化の危険度が分かるといい、9月中旬に岡山市で開かれた無料測定会には200人以上が訪れた。
 測定会を開いた川崎医科大付属病院の種本和雄副院長(心臓血管外科)によると、足首の血圧は通常、腕の血圧と同じか少し高いくらい。しかし、心臓から足首までの血管で動脈硬化が進むと、血液の流れが悪くなり、血圧が下がる。これが閉塞(へいそく)性動脈硬化症だ。
 足にしびれや冷え、歩行による痛みといった症状が出やすくなるという。川崎医科大付属病院の心臓血管外科には、こういった症状のある人が毎日のように訪れる。その9割が閉塞性動脈硬化症と診断される。
 ABI検査はベッドに横になり腕と足首の血圧を同時に測るだけ。痛みもなく5分程度で終わる。足の血圧値を腕の血圧値で割って計算し、0.9以下だと動脈硬化が進んでいると診断される。高齢者や喫煙者のほか、コレステロールや尿酸値が高い人らは動脈硬化になりやすいといい、注意が必要だ。
 ABIを測る機器は、心臓などの循環器を診察する医療機関に多く準備されており、県内では約700の医療機関にある。検査を希望する場合はまず、かかりつけ医や健康診断の受付で問い合わせる。
 種本医師は「動脈硬化は心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞も引き起こす。ABIで動脈硬化を早く見つけ、生活習慣を見直してほしい」と話している。