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臨床試験なし 抗がん剤承認 厚労省、1例目

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厚生労働省は29日、海外で確立した抗がん剤の使い方を国内での臨床試験なしに承認する制度に基づいて、乳がんの骨転移の発症を遅らせるなどの働きがあるとして「パミドロン酸二ナトリウム」を承認した。同制度による承認は初めて。

フィブリノゲン公表 相談電話を延長

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C型肝炎ウイルスが混入した血液製剤「フィブリノゲン」が納入された可能性のある医療機関を公表したのに合わせ、相談電話を開設していた厚生労働省は、28日までとしていた開設期間を見直し、来年1月4日から再開する。相談電話(03・3595・2297)は平日の午前9時半〜午後6時。
咽頭炎や急性気管支炎などの感染症に処方れる抗生物質「テリスロマイシン」〈商品名ケテック錠〉を飲んだ数時間後、一時的に意識を失う患者が昨年12月から半年で6人にのぼることが21日、厚生労働省のまとめでわかった。全員回復したが、車の運転中で事故が起きたケースもあり、同省は医療機関に処方の際の注意を呼びかける安全性情報を出した。
この錠剤は昨年10月に承認された。同12月に販売を始め、今年5月までの半年で投与患者は230万人にのぼる。
意識を失ったのは50〜80才代の男女6人。70才代の男性は急逝咽喉頭炎で1日1回2錠を処方された。最初の服用から4時間後に気を失って転倒。その日のうちに回復したが、翌日も服用4時間後に倒れて搬送された。50才代男性は服用数時間後、車の運転中に意識をなくして対向車とぶつかり、軽傷を負ったという。

東京医大調査に5人

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(東京都新宿区)は28日、同病院第二外科の心臓外科医(45)が、執刀などにかかわった心臓弁膜症患者4人が手術後に相次いで死亡した問題に関し、日本胸部外科学会と日本心臓血管外科学会に人選を依頼していた調査委員会のメンバー5人を決めた。委員長はJR東京総合病院長の古瀬彰氏、委員は両学会の医師4人で、事務局は同病院から独立させる。

抗生物質服用で意識失う例 咽頭炎や気管支炎

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咽頭炎や急性気管支炎などの感染症に処方れる抗生物質「テリスロマイシン」〈商品名ケテック錠〉を飲んだ数時間後、一時的に意識を失う患者が昨年12月から半年で6人にのぼることが21日、厚生労働省のまとめでわかった。全員回復したが、車の運転中で事故が起きたケースもあり、同省は医療機関に処方の際の注意を呼びかける安全性情報を出した。
この錠剤は昨年10月に承認された。同12月に販売を始め、今年5月までの半年で投与患者は230万人にのぼる。
意識を失ったのは50〜80才代の男女6人。70才代の男性は急逝咽喉頭炎で1日1回2錠を処方された。最初の服用から4時間後に気を失って転倒。その日のうちに回復したが、翌日も服用4時間後に倒れて搬送された。50才代男性は服用数時間後、車の運転中に意識をなくして対向車とぶつかり、軽傷を負ったという。

米社鎮痛薬に心臓発作の疑い 研究機関が調査結果

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米医薬品大手ファイザーは17日、主力商品の一つである鎮痛薬「セレブレックス」使用者の心臓発作の発生率が、未使用者に比べ2.5倍に上るとの調査結果が、外部研究機関から出されたことを明らかにした。
セレブレックスは「処方箋なしで個人輸入できる薬」としてインターネット上で紹介されており、日本でも利用者がいるとみられる。同社は、現時点で販売停止は検討していないとしている。

心臓手術後3人死亡 東京医大病院 同じ医師、執刀

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東京都医科大学病院(東京都新宿区)の第二外科で、02年10月から昨春にかけ、男性の心臓外科医(45)が執刀した心臓弁膜症の手術で、患者3人が術後に相次いで死亡していたことがわかった。遺族は東京簡裁に証拠保全を請求。同簡裁は10日、3人のカルテなどの保全手続きをした。今年1月にもこの外科医が助手を務めた手術で男性患者が死亡。同病院は事実関係の調査を始めた。
遺族側の説明によると、最初の死亡事例は東京都杉並区の女性(71)。02年10月、心臓弁の閉鎖不全と急性心不全のためこの外科医の執刀で手術を受けた。しかし、術後に心臓から出血し、再手術を数回受けたが03年1月下旬に死亡した。
03年1月には、同区の女性(81)が手術後、意識が戻らず、12日後に死亡した。
同年3月には、心臓弁の閉鎖不全や狭心症などを起こした東京都中野区の女性(68)がこの外科医の執刀で、弁置換手術と冠動脈バイパス手術を同時に受けた。だが、術後に出血が止まらず、再手術を繰り返した後、4月中旬に死亡した。
男性医師は3人の遺族らに対し、「合併症などが原因」などと説明したという。
病院などによると、この外科医は同大の出身。心臓血管外科専門医や日本循環器学会専門医などの資格を持ち、現在は第二外科で講師を務めている。これまで約千件の心臓手術にかかわりうち約270件で執刀医を務めた。弁膜症の手術も約190件に加わり、21件で執刀した。
同病院広報室は「現段階では医療過誤であったという認識には至っていないが、このような事態になった事は遺憾に思う。第三者を含む調査委員会を持ち、事実関係の究明に当たりたい」としている。
弁膜症手術は広く行われている。特に人工弁に置き換える弁置換手術の数は多く、専門家によると成功率90%を超す。一方、狭くなった部分を広げたり、広い部分を縫い縮めたりする弁形成術はある程度の熟練が必要という。

臨床経験偽り合格か 日医大、助教授を調査へ 認定内科医試験

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日本内科学会が03年に実施した認定内科医試験で、日本医科大老人病研究所(川崎市中原区)の助教授が、提出を義務づけられている受け持ち患者の記録などを偽造して提出し、臨床経験を偽って試験に合格していた疑いがあることが6日、わかつた。日本医大は同日、学内調査委を設置。大学側から報告を受けた同学会は、偽造が事実ならば、認定の取り消しや学会除名などの処分を検討するとしている。
同学会によると、認定内科医の試験は同学会が指定する教育病院で3年以上研修を積み、受け持ち患者の入院記録などの記録を提出しなくてはならない。その上筆記試験を経て、合否が決まる。学会への報告によると、助教授は教育病院に指定されている日本医大付属第二病院での勤務実態がないのに、そこでの症例記録などを提出していたという。
同学会でば偽造されていないかどうかを確認するため、患者IDなどをつけてもらい、疑わしい場合はカルテと照合するなどの措置を取っているが、認定内科医の試験の受験者は毎年2千人以上もおり、碓認は事実上、無理という。
同学会では2年前にも認定内科医試験の受験資格を虚偽申請し合格の内定通知を受けていた問題が発覚した。同学会認定制度審議会会長の小林祥泰・島根大教授は「2前の不正をきっかけに細則を変更しており、もし事実なら厳しく対処する」と話している。

新生児を「脳死」診断 両親同意で延命停止 神奈川の病院

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神奈川県内の病院で昨年9月、生後18日の新生児の男児が「脳死状態」と診断され、病院側と両親が話し合ったうえ人工呼吸器を外していたことが分かった。国内では生後3カ月未満の新生児については脳死判定基準が確立していない。主治医は「国が生後3カ月以上を対象に示している基準を参考に判断した」と話している。
病院によると、新生児は昨年8月、県内の別の病院で仮死状態で生まれ、救急搬送されてきた。生後6日目に脳死診断を実施し、深昏睡や瞳孔散大、脳幹反射消失を認め、「脳死状態」と診断。病院と両親は誕生の日から呼吸器を外す当日まで計7回、看護師やソーシャルワーカーも同席の上で約1時間ずつ話し合い、両親の同意の下で呼吸器を外し赤ちゃんは心停止したという。
主治医によるとこの病院では3カ月未満の新生児を「脳死」と診断したのは初めてだが、国内のほかの病院では過去に数例あるという。
臓器移植法上の脳死判定基準は、15歳以上が対象のドナー(臓器提供者)となることを前提とした脳死判定に用いられる。また、臓器移植を想定したものではないものの、将来15歳未満がドナーとなる可能性や医療現場からの要望に応える形で、生後3カ月以上を対象とした「小児における脳死判定基準」を旧厚生省の研究班が00年に公表している。今回はこのどちらにも該当しない。主治医は「両親に重症度を理解してもらう一つの判断材料として『脳死判定』をした。ターミナルケアをめぐる具体的な方策は各現場で模索している状態」と話している。
「新生児の判断極めて難しい」
日本小児科学会倫理委員長の谷澤隆邦・兵庫医大小児教授の話
新生児の脳は成熟していないため、成人なら回復が見込めない症状でも回復する可能性がある。米国では生後7日目以上の新生児の脳死判定基準を設けているがこれは臓器提供が前提にあり、新生児を本当に「脳死」と判断するのは極めて難しい。今回のように新生児について「脳死状態」と診断した上で延命措置を中止する例は多くないが、新生児集中治療室(NICU)などでは重い染色体異常の新生児に対し、積極的な医療をしないケースは珍しくない。

C型肝炎ウイルス混入「フィブリノゲン」 納入可能性6916病院公表 厚労省

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C型肝炎ウイルス(HCV)が混入した血液製剤「フィブリノゲン」をめぐり、厚生労働省は9日、納入した可能性のある医療機関名6916カ所を公表した。厚労省は、HCVの危険性を除けるようになった94年以前に、手術などを受けた人たちを中心に肝炎検査を受けるよう、呼びかけている。
公表は製造元の三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)から提供されたリストにもとづいており、三菱側は約30万人に投与され、約1万人が肝炎になったと推定している。
公表されたのは、記録が残っている80年から、厚労省が薬事法に基づいて実態調査を命じた01年までの間に納入された医療機関。確認できた施設は6611カ所でうち5398カ所が今も存続し、1213カ所は廃院していた。連絡が取れず特定できない施設は305カ所にのぼった。納入記録を保管していたのは約5%、332カ所にとどまり、投与記録を残していたのも約7%、477カ所だけだった。
存続施設の約15%、796カ所が患者に投与の事実を伝えていた。しかし、「納入はあり得ない」とする病院がある一方、リストから漏れている病院も存在する可能性もある。また、HCVは輸血などで感染する恐れもあったため、厚労省は、一覧に掲載されていない病院で輸血を受けた人たちにも、検査をするよう呼びかけている。
病院名の公表については、広範囲のHCV感染が明らかになった01年から求める声があったが、厚労省は「医療機関の利益を損ねる」「数があまりにも多く、影響が大きい」などの理由で拒否していた。元大阪HIV薬害訴訟原告団代表の家西悟参院議院の情報公開請求に対し、情報公開審査会が今年2月に「医療機関の利益もあるが、人の生命・健康を保護する利益の方が上回る」との判断を示したことなどを受け、公開を決めた。
厚労省は、相談専用窓口(03・3595.2297)を設置するとともに、ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/h1209-1/index.html)に医療機関名、住所、電話番号、カルテの有無などの一覧を掲載した。

薬剤投与ミス?直後に死亡 葛西中央病院71才女性患者

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江戸川区船掘7丁目の葛西中央病院(早川大府院長)で11月、病院側が都内の女性患者(71)に救命措置を施した際、指示と異なる速度で薬剤を投与するミスがあった。女性は直後に死亡しており、葛西署は業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。
病院によると、女性は肺炎などで入院していたが、同日15日午後4時ごろ、心肺停止状態となった。早川院長が救命措置として、血圧上昇剤200ミリリットルを10時間で点滴するよう看護師に指示したが、女性は約3時間で全量投与されたという。女性の容体は快復せず約8時間後に死亡したため、病院が「死囚不詳」として同署に届け出た。
同署は遺体を司法解剖し、点滴装置を押収するなどして調べている。病院も事故委員会を設置し、早川院長は「調査委で死因や、投与ミスと死亡との因果関係があるのかを明らかにしたい」と話している。

気道に綿球落とす 消毒中筋ジス患者死亡 都立荏原病院

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東京都大田区東雪谷4丁目の都立荏原病院(加賀谷寿孝院長)で、筋ジストロフィーで入院していた同区内の男性患者(60)に胸部の消毒措置をした際、医師が体内に綿球を落とすミスをしていたことがわかった。
男性は約7時間後に死亡しており、届け出を受けた警視庁は、業務上過失致死の疑いもあるとみて調べてる。田園調布署の調べなどによると、病院側は男性の唾液を吸い取るため、胸部に穴をあけてチューブを差し込んでいた。8日午前11時40分ごろ、この穴の周囲を男性医師がピンセットで挟んだ綿球で消毒中、誤って綿球を穴の中に落とした。綿球は気道に入り、取り出す処置をしたがうまくいかず、同日午後6時半ごろに死亡が確認された。
病院は直後に同署に届け出た。調べに対し、医師は綿球を落としたことを認めており、死亡との因果関係を調べている。

元院長ら処分方針 富士見産婦人科事件から24年経て 医道審議会

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医師の行政処分を審議する厚生労働相の諮間機関「医道審議会」は8日、24年前に「乱診乱療」で社会問題となり、民事訴訟が確定した富士見産婦人科病院(埼玉県所沢市、87年破産)の元院長や元勤務医ら5人について、「処分の対象となり得る」との考えをまとめた。これを受け、厚労省は今後処分案を決め、医道審に提示する見通しとなった。
医師の行政処分はこれまで、刑事裁判の結果で行われてきたが、民事裁判の事実認定をもとに判断される初めてのケースとなる。処分内容は一定期間の業務停止や医師免許取り消しなどがある。
この日の医道審では、民事訴訟の事実認定は詳細▽昔の事件だが、最高裁で確定したのが今年▽傷害罪では不起訴になっているが、医師法上とは別の問題−−などの理由で処分の妥当性は確保できるとの意見が大勢を占めたという。
富士見産婦人科病院をめぐっては、でたらめな診断で200人以上が健康な子宮と卵巣の両方を摘出されるなど、千人以上が被害を訴えた。
元院長の女性医師は81年に、夫で医師資格のない元理事長の診療を幇助したとして6カ月間の医業停止処分を受けているが、自身の医療行為は問われていない。元院長は現在も、所沢市内で別の産婦人科クリニックを開業している。

カテーテル挿入器具の一部が血管中に流出する事故発生でクラス1の自主回収

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都内の医療用具輸入販売業者から、滅菌済み血管処置用チューブ及びカテーテルの自主回収を開始するとの報告がありましたのでお知らせします。
1 概要
 ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社(新宿区)が輸入販売した滅菌済み血管処置用チューブ及びカテーテルのイントロデューサーを血管内に挿入中、ダイレーター先端部が血管内に離断する不具合が国内で2例発生し、うち1例において、血流により肺動脈末梢に到達するという重篤な健康被害が発生した。
 このため、同社は自主回収することを決定し、平成16年11月30日から情報提供及び使用を中止するよう納入医療施設に依頼を開始するとともに、薬事法の規定に基づき、同社から都へ報告があったものである。
 「ダイレーター」:
フィルターカテーテルを下大動脈に留置させるためのルートを確保するために使用する器具 「イントロデューサー」:
ダイレーターとシースを組み合わせた器具 「シース」:
カテーテルを挿入するために使用される筒状の器具2 自主回収品等
(1)医療用具の販売名等
 ア 販売名 アンテオフィルター
 イ 出荷数量 1,405本
 ウ 輸入先製造業者 ボストン・サイエンティフィック社(アイルランド)
 エ 用途
  フィルターカテーテルを下大動脈に留置し、浮遊血栓を捕獲することにより、肺塞栓症の発症を阻止する。
(2)納入施設数
 511施設(医療機関)
 納入先医療機関はすべて業者が把握しています。
3 回収分類
 クラスI(ダイレーター先端部が血管内に残存するという重篤な健康被害を招く可能性が否定できない。)
4 輸入業者営業所の名称及び所在地
 名称 ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社
  (代表取締役 エドワード・エス・ノーソップ)
 所在地 東京都新宿区西新宿1−14−11 日廣ビル
5 本件の問い合わせ先
 ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社
 コーポレートコミュニケーションズ 小山 薫
 電話:03−3343−9411
 FAX:03−3343−0264
問い合わせ先
福祉保健局健康安全室薬事監視課
 電話 03−5320−4510
〔参考〕
1 回収等の定義
(1)回収:
製造業者等が製造し、若しくは輸入し、又は承認を受けた医薬品等を引き取ること、又は「改修」すること。
ただし、「在庫処理」及び「現品交換」を除く。また、製造業者等が新製品の販売にあたり、品質、有効性及び安全性に問題のない旧製品を置き換える行為を除く。(2)改修:
医療用具を物理的に他の場所に置き換えることなく、修理、改良、調整、廃棄又は監視(患者モニタリングを含む。)を行うこと。(3)在庫処理:
未販売又は未だ製造業者等の直接の管理から離れていない医薬品等について、製造業者等がこれを引き取り、又は修理、改良、調整又は廃棄すること。
ただし、賃貸等、製造業者等が所有権を有しながら当該製造業者等以外の者がその医療用具を現に使用しているもの又は使用する目的で製造業者等以外の場所で貯蔵しているものに対するこれらの行為を除く。(4)現品交換:
保健衛生上の問題が生じないことが明らかな場合であって、かつロット又はある一定範囲の医薬品等、当該製品以外の医薬品等に同様な瑕疵が生じないことが明らかなときに、業者が当該医薬品等を引き取り交換すること。(医療用具にあっては、修理、改良、調整又は廃棄又は監視を行うこと。)2 回収クラス分類について
 回収にあたっては、回収される製品によりもたらされる健康への危険性の程度により、以下のとおり3つに分類される。
 クラスI:その製品の使用等が、重篤な健康被害又は死亡の原因となりえる状況をいう。
 クラスII:その製品の使用等が、一時的な若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性があるか又は重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況をいう。
 クラスIII:その製品の使用等が、健康被害の原因となるとはまず考えられない状況をいう。
※平成12年3月8日医薬発第237号厚生省医薬安全局長通知「医薬品等の回収について」からの抜粋

定量注入輸液セット、部品組み付け不良でクラス1の自主回収

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都内の医療用具輸入販売業者から、滅菌済み輸液セットの自主回収を開始するとの報告がありましたのでお知らせします。
1 概要
 バクスター株式会社(千代田区)が、輸入販売した「輸液セット サブラテックポンプ用」について、構成部品(プラテン)が本体(カセット)に組み付けられていないために生じた不具合が、海外で1件発生したとの情報が製造元よりありました。
 現在までのところ、同様の不具合についての報告は国内外ともにありませんが、薬液の過剰投与による重篤な健康被害が生じるおそれがあるため、同社は自主回収することを決定し、薬事法の規定に基づき平成16年11月25日に、その旨都へ報告しました。なお、納入先医療施設等への情報提供は11月24日に完了しています。
2 自主回収品等
(1)医療用具の販売名等
 ア 販売名 輸液セット サブラテックポンプ用
 イ 回収対象モデル
  (ア)250mLバッグロック(品番560500250)
  (イ)100mLバッグロック(品番560500100)
 ウ 輸入先製造業者 バクスターヘルスケア社(コスタリカ)
 エ 用途等
  静脈注射用医薬品等を注入するために用いる。専用の輸液ポンプを使用して定量注入するための輸液セットとしても使用。
(2)納入施設数
 286施設 (186医療機関 100卸業者)
 納入先医療機関等についてはすべて業者が把握
(3)輸入数量
 26,460個
(4)回収対象
 上記(3)のうち構成部品(プラテン)が本体に組み付けられていることが目視確認できたものを除く。
3 回収分類
 クラスI(薬液の過剰投与による重篤な健康被害が生じるおそれがある。)
4 輸入業者営業所の名称及び所在地
 名称 バクスター株式会社(代表取締役社長 フランシスコ・カナル)
 所在地 東京都千代田区六番町4番地 英全ビルヂング
5 本件の問い合わせ先
 【輸入元】
 バクスター株式会社 担当者:総務部 重山裕典
 電話:03−5213−5607 ファクシミリ:03−5213−5101
「プラテン」:薬液を送液する際、ローラーがチューブを圧迫する時の受け側となるカセット構成部品。
「カセット」:本製品のうち、ポンプ内部に挿入される樹脂成型品。
問い合わせ先
福祉保健局健康安全室薬事監視課
 電話 03−5320−4514
〔参考〕
1 回収等の定義
(1)回収:製造業者等が製造し、若しくは輸入し、又は承認を受けた医薬品等を引き取ること、又は「改修」すること。
 ただし、「在庫処理」及び「現品交換」を除く。また、製造業者等が新製品の販売にあたり、品質、有効性及び安全性に問題のない旧製品を置き換える行為を除く。
(2)改修:医療用具を物理的に他の場所に置き換えることなく、修理、改良、調整、廃棄又は監視(患者モニタリングを含む。)を行うこと。
(3)在庫処理:未販売又は未だ製造業者等の直接の管理から離れていない医薬品等について、製造業者等がこれを引き取り、又は修理、改良、調整又は廃棄すること。
 ただし、賃貸等、製造業者等が所有権を有しながら当該製造業者等以外の者がその医療用具を現に使用しているもの又は使用する目的で製造業者等以外の場所で貯蔵しているものに対するこれらの行為を除く。
(4)現品交換:保健衛生上の問題が生じないことが明らかな場合であって、かつロット又はある一定範囲の医薬品等、当該製品以外の医薬品等に同様な瑕疵が生じないことが明らかなときに、業者が当該医薬品等を引き取り交換すること。(医療用具にあっては、修理、改良、調整又は廃棄又は監視を行うこと。)
2 回収クラス分類について
 回収にあたっては、回収される製品によりもたらされる健康への危険性の程度により、以下のとおり3つに分類される。
 クラスI:その製品の使用等が、重篤な健康被害又は死亡の原因となりえる状況をいう。
 クラスII:その製品の使用等が、一時的な若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性があるか又は重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況をいう。
 クラスIII:その製品の使用等が、健康被害の原因となるとはまず考えられない状況をいう。

処分医師『不服』相次ぐ 行政訴訟01年以降5件 厳罰化が背景に

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刑事事件を起こした医師や歯科医師に対する厚生労働省の業務停止などの行政処分に対し、取り消しを求める行政訴訟が01年以降、5件相次いでいることが分かった。こうした訴訟は83年からは起こされていなかった。医療過誤が増えていることなどを背景に、厚労省が処分を厳罰化していることが背景にあるとみられる。
医師、歯科医師に対する行政処分は、刑事裁判の事実認定を根拠に行われ、記録が残る71年以降、833件にのぼる。処分に不服があれば提訴できるが、79年から83年までに3件起こされた後は提訴がなかった。
01年以降、訴えたのは医師4人、歯科医師1人。01、02年の処分については、提訴後に取り下げられたが、ほかの3件は地裁で係争中だ。
汚職事件で懲役3年執行猶予5年の刑が確定した奈良県立医科大の教授だった医師は、量刑を上回る業務停止5年の処分だった。代理人弁護士は「急に重くなった印象がある。人を死なせたわけではないのに、理解できない」などと主張している。埼玉医大の業務上過失致死事件では、医療過誤による処分としてはこれまで最も重かった業務停止1年6カ月を大幅に上回る3年6カ月の処分が行われた。医師側は「過去の処分と比べて、重くしなければならない理由はない」としている。
厚労省は、医療過誤か相次ぎ、処分が甘いという批判の声を受けるなどしたため、02年12月に処分のあり方について「厳正に対処する」などとする見解をまとめている。
処分内容を厚労相に答申する医道審議会の委員の一人は「処分が重くなる過程では、やむを得ない現象だが、処分を軽くする必要はない」という。厚労省は「係争中の案件もあり、コメントできない」としている。

医療事故 報告を義務づけデータベース化

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厚生労働省にとって、医療事故防止は最重要課題。医師の臨床研修で安全意識の徹底を図ったり、薬の取り違えを防ぐために容器など外観の紛らわしさを解消したりしている。
事故情報の収集・分析も柱の一つで、10月から大学や国立病院機構などの255病院に事故の報告を義務づけた。
対象は、1、明らかな過誤で患者が死亡もしくは障害が残った。2、明らかな過誤は認められないが医療行為や管理上の問題で患者が死亡するか障害が残った−などの事例。従来、大学病院などが自ら公表してきた過誤事例より範囲が広い。
発生の日時や場所、患者の性別、年齢、病名、関係した医療関係者の経験年数、専門医資格の有無、事故の内容などを、発生から2週間以内に財団法人日本医療機能評価機構に報告する。病院が調べた事故原因や改善策なども随時、追加報告するよう求めている。
報告内容の分析結果は来春以降定期的に、病院名を伏せて厚労省のウェブサイトで公表される。
従来の報告書公表は報道機関に資料提供する方式が大半で、インターネットでの公表は約4分の1。事故の概要や原因について、だれでも簡単に知ることができる公的データベース誕生の意義は大きい。
課題は、いかに正確な情報を把握できるかだ。評価機構が調査に出向くわけではなく、病院側の取り組みに左右される。
評価機構の野本亀久雄理事は「事故情報では、職員同士の意思疎通や協力関係を特に重視している。患者との係争防止を考えて真実が報告されなければ、対策につながらない。正確な情報を上げてほしい」という。

大学病院の医療事故 報告書公表半数のみ

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大学病院が医療事故を起こすと、約7割の事例で外部委員を加えた調査委員会が組織されているものの、原因などをまとめた報告書の公表は半数程度にとどまっていることが、02、03年度の事故を対象とする朝日新聞社のアンケートで分かった。重大事故については発生を自ら公表する医療機関が増えてきたが、結果を施設での再発防止に生かしてもらう姿勢はまだ不十分なようだ。
事故の検証には被害者側への説明責任を果たすとともに、同種事故の再発を防ぐ目的がある。
正確を期すには当事者の記憶が薄れないうちになるべく早く調査を始める必要があるが、初会合が事故の発生(把握)から1年4カ月後という調査委もあった。回答があった調査委設置38件のうち、初会合が10日以内だったのは半数の19件にとどまり、8件が「11〜20日後」、7件が「21〜60日後」、4件が「61日以上後」だった。
調査報告書がすでにまとまった36件のうち、公表済み・公表予定は要約版も含めて19件(53%)にとどまった。
公表理由は「同種事故の再発防止・他院への警鐘」(東北大、大阪大)▽「透明性の確保」(秋田大、和歌山県立医大、島根大)▽「医療への信頼喪失を避けるめ」(名古屋大)など。
一方、未公表の病院は「プライバシー保護」(東京大、滋賀医大、鳥取大)▽「家族・遺族の希望」(北海道大、自治医大、鹿児島大)▽「公表しないことを前提に関係者から事情聴取した」(三重大)などを理由に挙げた。
調査の透明性や客観性を確保するため、27(71%)の調査委は外部有識者を委員に加えていた。ただ、うち14件は外部委員比率が30%未満。また弁護士やジャーナリスト、NPO(非営利組織)関係者らを委員に迎えだ委員会もあったが、ほとんどは医師などの医療専門職だった。
調査委員長は病院長15件、副病院長13件で、委員が委員長を務めたケースは3件あった。
調査委の設置・運営で苦労した点としては「調査の時間を確保するのが難しい」(68%)、「適切な外部委員を見つけにくい」(39%)などの回答が目立つた。
調査委の開催回数は平均5.6回。初会合から報告書作成までの期間は「60日以内」が12件、「61〜120日」が10件、「121〜180日」が7件、「181日以上」が7件だった。

薬剤師狙い「ミスミス」詐欺 家族に「娘が調剤誤る」200万円詐取

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薬剤師の家族に「調剤ミスで患者が危篤状態になった」などと言って現金をだまし取ろうとするオレオレ詐欺が相次ぎ、報告を受けた日本病院薬刑師会(全田浩会長、約3万7千人)
が会員に注意を呼びかけている。
日病薬によると、17日午後、都内の病院に勤務する女性薬剤師の母親に、病院院長を名乗る男から電話があり、投与してはいけない患者に抗生物質を与えたために「患者が危篤状態になった」と説明、示談金として400万円を要求した。母親は銀行の現金自動出入機(ATM)で200万円を振り込み、だまし取られた。
また、神奈川県内の病院に勤務する女性薬剤師の家族にも同日午後に200万円を要求する同様の電話があっだが、家族が不審に思い、未遂に終わったという。
日病薬は2件が同じ時間帯にあったことなどから薬剤師の家族を狙った組織的な犯行とみて、警視庁と神奈川県警に届けを出すとともに、会員に注意を促している。

腸閉塞見落とし医師ら書類送検 業過致死容疑

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東京都目黒区の国家公務員共済組合連合会「三宿病院」(紫芝良昌院長)で女性患者(当時78)が入院中に腸管洗浄剤を投与された後で急死した医療事故で、警視庁は22日、当時の担当だつた松岡正記医師(42)と元看護師2人を業務上過失致死容疑で書類送検した。同庁は、松岡医師が投与前に十分な検査をせず、腸閉塞を見逃し、看護師も容体の急変を見逃したことが事故につながったと判断した。3人とも容疑を認めているという。
病院側は遺族に「腸管洗浄剤の投与に問題はなかった」などとする事故報告書を提出しており、同庁は、虚偽公文書作成の疑いもあるとみて調ベている。


放射線治療施設3分の1は常勤医不在 学会が全国725使節調査

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昨年、放射線治療を実施した全国726の医療機関のうち、32%の234施設には常勤の放射線治療医がおらず、29%の209施設は新規患者数が治療の質を保証する目安とされる100人に達していなかった。千葉市で19日あった日本放射線腫瘍学会で、データベース委員会が報告した。大きな施設間格差が生じると懸念されている。
年間の新規患者は14万9793人で、01年の推計に比べ13%増えた。うち98%ががん患者で、がん患者の4〜5人に1人が放射線治療を受けた計算になる。
1施設平均206人だが、最も多い施設は1539人、少ない施設は4人と極端に差が大きかった。常勤の放射線治療医がいない施設では、アルバイトの治療医や放射線診断医が治療していた。
放射線治療の診療報酬は、年間患者数が100人未満だと減額され、常勤の放射線治療医がいると加算されている。
調査をまとめた渋谷均・東京医科歯科大教授は
「施設側の経験度や専門性が低いと、治療中のトラブルに目が行き届かず、十分に対応できない恐れがある。患者数の格差は、経験豊かな病院への患者の集中を示しているともいえる」と話す。
同学会は、経験度や態勢の条件を満たした施設や治療医の認定制度を導入、ホームページ(http://www.jastro.jp/)で公表している。

隠れた疲れ唾液が目安 長く休むとウイルス減 慈恵医大教授ら確認

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長めの休暇を取ると唾液に含まれるヘルペスウイルスが減ることを、東京慈恵会医科大の近藤一博教授(微生物学)らが確認した。仕事による疲労がウイルス量に反映しているらしく、見えない疲労度を評価する目安に応用できそうだ。横浜市で21日から始まる日本ウイルス学会で発表する。
着目したのは、1歳までに感染し、体内にいる「ヒトヘルペスウイルス6」。幼児期には熱性けいれんを起こすことがあるが、大人は病気にならない。
20〜40代の男女の研究者や会社員20人に、今年の黄金週間に1週間の休暇をとってもらい、なるべく室内で静養してもらった。全員の唾液を同じ日に採取できた3回分を比較すると、ウイルスが検出されたのは休暇前は18人と17人、休暇後は4人だった。
近藤教授は「休養を取ることで、仕事の疲れで増えていたウイルスが減ったようだ」とみる。


「ドクハラ」で医師らを提訴 遺族「言葉で傷ついた」

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東京都済生会中央病院(港区)で入院中に死亡した女性患者(当時79)の遺族が19日、「死亡直前、母親は内科部長から『迷惑だから病院から出ていってくれ』などと言われ傷ついた」として、部長と病院を経営する法人を相手に慰謝料などの支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。原告側は「死亡は医療ミスが原囚」とも主張しており、請求した損害賠償額は約6700万円となる。
訴状などによると、女性は01年11月、全身にむくみが出て入院。13日後に心不全で死亡した。死亡する3日前、病室で
内科部長から「ほかの病院に行ったらいいじやないか」といわれ、「ドクターハラスメント」で精神的苦痛を受けたという。
同病院の話 訴状を見ていないのでコメントは差し控えさせていただきます。


二重治療ミス?男性死亡 検査で食道に傷 転院先、、造影剤漏もれる

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主要病院が年間の手術数や手術を担当した医師を社会保険庁に届け出ている文書について、内閣府の情報公開審査会は19日、一部を除いて開示するよう社保庁に求める答申を出した。答申を受け、近く開示される見通し。病院選びの参考となる医師の手術の経験年数と、手術後の患者の経過が分かることになる。
請求者が昨年、東京都内と北海道内の病院が提出した心臓バイパスや肺がんなど6分野の手術についての文書の開示を請求。手術の種類、実施日、患者の病名、性別・年齢などば開示された。
しかし、医師の手術経験年数は「個人情報にあたる」とし、また患者の生死は「もともとの病状が明らかではないので、健全な競争を阻害する」などとして、不開示としていた。そのため、請求者が異議を申し立てていた。
一方で、情報公開審査会は、経験年数は「慣行として公にすることが予定されている」とし、生死については「病院間で同等の条件で比較することが不可能」であるため、競争を害しないとして、開示を求めた。
厚生労働省は100余りの手術について年間の基準数を定めている。基準を満たしている病院は、手術結果などの情報を各地の社会保険事務局に届け出ている。


二重治療ミス?男性死亡 検査で食道に傷 転院先、、造影剤漏もれる

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鹿児島県大隅町の男性(47)が町内の病院の内視鏡検査で食道を傷つけられ、転院した宮崎県都城市の病院で造影剤を飲まされた直後に容体が悪化、死亡していたことが分かった。宮崎県警は治療ミスの疑いもあるとみて業務上過失致死容疑で捜査を始めた。
調べによると、男性は今年9月15日、大隅町の病院で胃の検診を受けた際、内視鏡で食道を傷つけられた。治療のため、その日のうちに都城市の病院に移ったが、傷の場所を探すために病院側が造影剤を飲ませたところ、傷口から体内に漏れて容体が悪化し、敗血症によるショックで同月30日に死亡した。


半導体の粒でがん治療、名大教授ら方法を発見

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半導体でできた小さな粒「量子ドット」をがん細胞に取り込ませ、紫外線をあてて死滅させる方法を、独立行政法人産業技術総合研究所四国センターの馬場嘉信・単一分子生体ナノ計測研究ラボ長(名古屋大教授)らのグループが発見した。
直径数ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の半導体の粒は、量子ドットと呼ばれ、紫外線を当てると特殊な光を出すことが知られている。しかし、生体との相性が悪く、応用が限られていた。
研究チームは、がん細胞だけに結びつくたんぱく質「レクチン」と合体させる手法を開発。できた物質をがん細胞に取り込ませ、約1時間、紫外線を当てるとがん細胞の10〜15%が死んだ。
量子ドットががんの発見だけでなく、治療にも応用可能であることを示したのは世界で初めてという。
成果は、米科学誌ネイチャーバイオテクノロジー11月号に掲載された。

臍帯血移植、2000例超す 提供者の負担軽く急増

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白血病などの治療で97年に始まった臍帯血移植が2千例を超えたことが、「日本さい帯血バンクネットワーク」のまとめで分かった。
血液の病気では、骨髄移植と並ぷ有力な治療方法として急速に普及。小児を対象に始まった移植だが、現在は大人が約8割を占めるようになっている。
出産時にへその緒や胎盤から取る臍帯血は、造血幹細胞が豊富で骨髄とともに血液の病気の治療に用いられている。
97年2月に初めて臍帯血移植が行われ、千例に達したのが03年6月。骨髄移植と違い、提供者の負担が軽いことから、1年5カ月で、2千例に倍増した。
03年以降、臍帯血移植希望者の8割を16歳以上の大人が占める。同ネットワークが約千人の移植患者を調査したところ、移植が成功して再発がない「無病生存率」は、治療後3年で16歳未満が約30%、16歳以上は約20%だった。

手術ミスで?死亡 独協医大病院 埼玉県警業過致死容疑で捜査

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埼玉県越谷市の独協医科大学越谷病院(長尾光修院長)で02年10月、狭心症の手術を受けた同市の会社役員の男性(当時67)が心臓を傷つけられ、手術後に死亡した。越谷署は、手術ミスが原因で死亡した可能性もあるとみて、業務上過失致死の疑いで調べている。
同病院によると、男性は狭心症のため、02年10月18日、心臓のバイパス手術を受けた。手術中、糸にゴム管をかぶせた器具で心臓を持ち上げたところ、心臓に傷が付いて出血し、止血処置などを施したが、同夜死亡したという。
同病院では「手術ミスが原因で死亡したとは考えていない。警察の捜査結果を待っている」と話している。

内視鏡検査後82歳女性死亡 杏林大付属病院

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杏林大学医学部付属病院(東京都三鷹市)で10月、東京都世田谷区の女性(82)が腸の内視鏡検査を受けた後に死亡していたことが分かった。同病院は翌々日に医療ミスの可能性があるとして警視庁と東京都に届け出た。同庁は、内視鏡検査で直腸に穴があいて出血死した可能性があるとして業務上過失致死の疑いで調べている。
三鷹署の調べでは医師は10月6日、女性に直腸がんの疑いがあることから腸に内視鏡を入れて検査をした。その後、容体が急変したためエックス線検査をしたところ、腸に穴が開いている可能性が高いことか判明。5時間後に急性腹膜炎で死亡したという。司法解剖の結果、死因は直腸に穴が開いたことによる腹腔内出血とみられる。
東京都への報告では、女性は意識がはっきりしない状態だったが、病院は家族から口頭で内視鏡検査の同意をとっていたとしている。

人工透析の注射液 異物混入、700本回収

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茨城県守谷市の医薬品製造会社「伊藤ライフサイエンス」(佐藤静治社長)が製造した人工透析時に使う注射液の未出荷品に、カビのような異物が混じっているのが見つかり、同社は9日、出荷済みの注射液700本の自主回収を始めた。
回収するのはダルテパリンナトリウム注射液の血液凝固阻止剤「リザルミン注1000」(1本5ミリリットル)。9月8日に製造し、280本を北海道と青森、福島、埼玉、新潟、愛知、石川、福岡、長崎、鹿児島各県の計10医療機関に納入した。出荷前の検査では異常がなかつたという。同社は伊藤ハムの100%子会社。

感染性胃腸炎の集団発生について〜今期初めてノロウイルスが検出されました〜

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福祉保健局
 このたび、都内での感染性胃腸炎の集団発生で、今期初めてノロウイルスが検出されましたのでお知らせします。ウイルスを原因とする感染性胃腸炎は冬季に流行します。
 今後に備えて、感染の予防など十分に注意してください。
1 集団発生状況
 11月1日に多摩府中保健所に「管内の特別養護老人ホームの入所者からおう吐、下痢等の症状を呈する患者が発生した。」との連絡があり、患者の便を東京都健康安全研究センターで検査したところ、ノロウイルスが検出されました。感染原因については調査中ですが、患者全員に共通する飲食がないことから、食中毒の可能性はないものと考えられます。
2 患者情報
(1)発症期間 平成16年10月27日から11月4日まで
(2)主症状 おう吐、下痢
(3)発症者数 38名(入所者28名、職員8名、関係者2名)症状は軽い
3 感染性胃腸炎について
 感染性胃腸炎のうちノロウイルスやロタウイルスなどウイルスによるものは、冬から春先にかけて流行します。予防には、手洗いが大切です。かかった場合には、脱水症状に注意して、早期に医療機関を受診してください。
 感染性胃腸炎は、特に学校や高齢者施設での集団感染が多く報告されているため、都は関係施設への注意喚起を行っています。
おなかにくる冬の風邪
 冬の感染症といえば、インフルエンザと思われがちですが、ノロウイルスやロタウイルスなどによる感染性胃腸炎も冬季に流行します。吐き気、嘔吐、下痢、発熱が主症状です。
 人から人へ感染する場合と食品から感染する場合があります。
 人から人への感染では、ウイルスが手などに付いて口に入る場合と吐物の飛散からうつる場合があります。
ノロウイルス
 ノロウイルスとは人の小腸粘膜で増殖するウイルスで、従来は小型球形ウイルスと呼ばれていました。11月から3月にかけて胃腸炎を起こし、またカキなどから食中毒を起こします。60℃・30分程度の加熱では病原性を失いません。
感染予防のポイント
 感染予防の最も有効な対策は手洗いです。トイレを使用した後、調理の前、食事の前には必ず手洗いをしましょう。石けんと流水で30秒よく手を洗います。
 部屋やトイレで吐いた場合は、部屋の換気を十分に行いながら、吐物をふき取り、ふき取ったあとをアルコールや熱湯、塩素系殺菌消毒剤などで消毒します。直接触れた時は、石けんで十分に手を洗いましょう。
食中毒予防のポイント
 食品を介した感染を防止するためには、手指や調理器具などの洗浄の徹底と食品は中心部まで加熱することが効果的です。また、野菜、果物や魚介類は調理前に流水で十分に洗いましょう。
感染性胃腸炎にかかったら
 下痢や嘔吐が続く間は、脱水症状に注意してください。子供がぐったりする、唇が乾燥する、尿が濃くなる、機嫌が悪いなどの症状が現れた場合はすぐに病院を受診しましょう。
 吐き始めた3〜4時間は何を与えても吐いてしまいます。しばらくすると吐き気がおさまってくるので、安静にしてりんご果汁、麦茶などを少しずつ飲ませましょう。

注射用抗生物質によるショック、皮内反応では予知できず

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10月末に発表された医薬品・医療用具等安全性情報(206号)は、医療現場に大きな影響を与える情報が盛り込まれていた。その一つが、注射用抗生物質によるショック・アナフィラキシー様症状に対する安全対策の見直しだ。従来は「事前に皮膚反応を実施することが望ましい」とされてきたが、薬事・食品衛生審議会専門委員が「実施する意義が乏しい」と結論、「十分な問診、救急処置の備え、投与の際の十分な観察」などの対策がより重要とされた。
 対策変更の背景には、日本化学療法学会の検証で、皮内反応ではショック・アナフィラキシー様症状を予知できないことが明らかになったことがある。
 同学会は、注射用βラクタム系抗菌剤などの添付文書にある「事前に皮膚反応を実施することが望ましい」との記載について、皮内反応の実施意義が十分に検証されていないと指摘。その上で、予知目的の皮内反応の有用性を評価するエビデンスが存在しないと結論付けた(委員会報告:日本化学療法学会誌 51:497-506, 2003)。
 同様に、財団法人日本抗生物質学術協議会からも、βラクタム系注射剤の皮内反応が科学的に根拠が乏しいとし、「今後継続する意義はない」とする要望書が出されていた。
 
 これらを踏まえ、薬事・食品衛生審議会専門委員は、添付文書の「使用上の注意」を改訂。以下のように改めた。
(1)事前に既往歴などについて十分な問診を行うこと。なお、抗生物質などによるアレルギー歴は必ず確認すること。
(2)投与に際しては、必ずショックなどに対する救急処置をとれる準備をしておくこと。
(3)投与開始から投与終了まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
 なお、日本化学療法学会は「抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドライン(2004年版)」を作成、ホームページ上に掲載するなど周知徹底を図っている。

精神科医に賠償命令 搬送同行せず患者が窒息死

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東京都内でクリニックを開業している精神科医が、自傷行為を防ぐため女性患者(当時31)の口にティッシュペーパーを詰めて病院に搬送したところ、女性が窒息死した事件で、その両親が医師を相手に計約1億2千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。藤山雅行裁判長は「措置は不適切ではなかったが、搬送を他人に任せずに同行して容体に注意する義務を怠った」と過失を認め、医師に計約1800万円の支払いを命じた。
被告は「宝喜クリニック」(杉並区)の宝喜正身医師。この事件で業務上過失致死罪に問われ、千葉地裁で公判中。
判決によると、宝喜医師は01年1月、女性を入院させるため男性職員2人と女性宅を訪問。女性が入院を拒否し、舌や唇を強くかんで自傷行為に及んだためティッシュ6枚を口に詰めてタオルで猿ぐつわをし、鎮静剤を注射して眠らせた。
職員2人が車で千葉県東金市内の病院に搬送したが途中で容体が急変し、死亡が確認された。

抗がん剤「延命効果」重視へ 癌治療学会新指針策定「縮小で承認」変更

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厚生労働省の委託で抗がん剤の臨床試験(冶験)手順や評価方法の見直しを進めている日本癌治療学会(理事長=北島正樹・慶応大医学部長)は、がんの縮小効果ではなく、延命効果を中心に薬効を判断すべきだとする新しい指針をまとめた。26日に開く理事会で正式に決める。厚労省も新指針に沿って審査基準を改める方針。日本ではこれまで縮小効果があれば新薬として承認されてきたが、今後は欧米並みに既存の治療法と比べて生存率や生存期間が優れていることを証明する治験が必要となる。
新指針は治験を段階ごとに、1、主として安全性を評価する第1相試験2、安全性と縮小効果を判定する第2相試験3、標準的な抗がん剤治療などを受ける患者群と比較し、延命効果を検証する第3相試験−に分け、手順などを規定。そのうえで、肺がんや胃がん、大腸がん、乳がんなど、患者数が多く第3相試験の実施がそれほど困難ではない抗がん剤について、「第3相試験の成績を承認申請時に提出しなければならない」とする。
ただし、このため開発に遅れが出るのではないかという懸念に配慮し、海外で信頼できる策3相試験が実施されている場合はその結果を利用して試験を効率化できるとしている。患者数が少なく第3相試験が難しい新薬や、第2相試験段階で特に有望な結果が出ている新薬については、第2相試験の結果だけで承認したり、優先審査の対象にしたりするとしている。
学会の指針改訂の委員長で、国際肺癌学会会長も務めた加藤治文・東京医大教授は「延命効果がはっきりしない薬を承認していたのでは、日本の抗がん剤は国際的な信用を得ることができない」と話している。

飲む中絶薬「注意して」未承認、ネットで流通厚労省

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国内で承認されていないうえ、医師の適正な処方がないのにインターネットなどで出回つている経口中絶薬について、厚生労働省は、多量の出血などの副作用があるとして注意を呼びかけた。これまでは少量であれば個人輸人を認めていた取り扱いを改め、医師の処方を証明する書類がなければ輸入できないようにした。
厚労省によるとこの中絶薬は「ミフェプリストン」(成分名)。フランスや米国などでは医師の指示の下で使われている。承認されていない日本国内では、通称「RU486」などとして知られ、インターネットで個人輸入代行会社が1箱6錠を1万円前後で販売している。
妊娠7週間以内に服用すると、ホルモン作用を抑え中絶する。多量の出血を伴い、止血のため手術が必要な場合もある。

ネット仲介、腎臓移植 米男性 公平な提供に懸念も

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インターネットで臓器提供者を見つけた米国の男性が20日、米コロラド州の病院で生体腎移植の手術を受けた。ネットが臓器移植を仲介するのは、移植先進国の米国でも初めてのケースだという。当事者同士で契約する移植が広がれば、臓器売買につながる恐れもあると指摘されている。
移植を受けたのは同州在住の元会社役員で、公的な全米臓器分配ネットワーク(UNOS)では提供者が見つからなかったため、1月開設の民間サイト「マッチングドナーズ・ドットコム」に月々297ドル(約3万2千円)支払い、病状や血液型などを掲示。約500件の申し出の中からテネシー州の男性(32)の腎臓を提供してもらうことに決めた。
当初、手術は18日の予定だったが、ネットの介在を知った執刀医が直前になって中止。病院の倫理委員会に諮った結果、両当事者が営利目的の移植でないことを宣言しているため、特例として手術が認められた。
ロイター通信などによると、元会社役員は提供者と契約し、提供者と家族の旅費、滞在費、休業補償など約5千ドル(約54万円)を支払うという。専門家から「支払い能力が重視されれば公平な臓器配分が脅かされる。専門家の支援がないと医学的な問題が起きる恐れもある」と懸念が出ている。

株式会社の病院経営「特区」 自治体の申請ゼロ 高度医療に限定アダ?

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株式会社による病院経営を地域限定で認める構造改革特区の認定申請で、応募した自治体がゼロだつたことが18日分かった。「病院特区」は、厚生労働省や日本医師会の反対を押し切って首相が設置を決めたものの、厚労省側の主張で、参入可能な分野が保険対象外の一部の高度医療に限られ、期待できる規制緩和の効果が薄れたのが理由と見られる。
特区は自治体や民間企業の提案に基づいて、地域限定で規制を緩和する制度。病院特区については、適用を希望する自治体を今月4日から15日まで募ったが、もともとこの特区を提案した長野県も、地元で参入を希望する企業がなく、「この参入条件では地方は無理」(医務課)と判断して応募しなかった。
株式会社の参入は病院経営の効率化やサービスの多様化につながるとされ、03年2月に特区創設が決まった。その後、具体的な基準づくりで、「お金がない患者に公平な医療を提供できなくなる」と強く主張する厚労省の意向が反映され、「株式会社病院」が提供できる医療は、脊髄を損傷した患者に対する再生医療や、肺がん患者らへの遺伝子治療など5分野に限定された。
応募自治体がゼロだったことを受け、民間人でつくる政府の「特区評価委員会」穴代尚宏委員長)は、条件の妥当性を改めて検証したうえで、基準を緩め、対象分野を拡大させたい考えだ。

電子カルテ共有各地で継続断念 26地域中、10地域休止

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経済産業省の支援を受けて、電子化したカルテを地域の医療機関で共有し、病院や診療所間の連携に役立てる取り組みが、全国各地で次々と休止に追い込まれている。地域ごとのシステム開発を国費で支援し、開発終了後も継続をもくろんだが、事業期間が終わると費用は医療機関の負担に。「費用が高すぎる」「入力が面倒」などと、医師らに敬遠されたようだ。
この事業は、経産省が00年度の補正予算で01年度に実施した「先進的情報技術活用型医療機関等ネットワーク化推進事業」(通称・竜子カルテの共有モデル事業)。地域の医療機関が、患者紹介の効率化などのため、ネットワークを作りカルテを共有するシステムの開発・運用に、合計約5億円を投入。モデル地域を全国公募し、26地域の医師会などが参加したが、10地域で完全休止に追い込まれた。
三重県久居市・津市では、約2億5千万円の国費でシステムを開発。事業終了後も継続したがソフトの使用料など月約2万円の負担が敬逸され、当初14あった参加診療所は二つに激減。今年3月に休止が決まった。
約4千万円をかけ47機関が加わった静岡市では、費用負担に加えて「電子カルテの入力が複雑」との声が強く、中止。宮城県仙台市・古川市でも、「患者のデータを知るのは電話やファクスが慣れている」「自分で診断したデータしか信用しない」……。21機関が参加し約2億4千万円を費やしたが、自然消滅した。
システム継続に成功した地域もある。愛知県の豊田加茂医師会では、トヨタ記念病院(豊田市)が月約130万円のシステム維持費を負担し、開業医の負担は月約4千円のインターネット接続料のみ。現在も38機関が続け、月ごとのデータベース検索件数は多い時で約2600件と好調だ。
経産省医療・福祉機器産業室は相次ぐ休止について、「費用や入力の手間がかかっても、効率化といつた目的を追求するシステムなのに、ムードで手を挙げた団体もあるのではないか」とする。

放射線治療に「管理士」 5学会事故多発受け認定制度」

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放射線の過剰照射による医療事故が相次いでいることを受け、放射線医師や技師らでつくる関連5学会が、「放射線治療品質管理士」を認定することを決めた。照射装置の精度管理をする専門家がほとんどいないことが事故につながったため。来月、「放射線治療品質管理機構」を立ち上げ、年明けにも初の認定試験を実施、5年以内に、全国約700の放射線治療施設に最低1人ずつの配置を目指す。
日本医学放射線学会や日本放射線腫瘍学会など5学会が4月に作業部会を設け、検討してきた。
品質管理士は、装置に必要な数値を正確に入力する▽複雑な治療を行う際、医師と技師の間に立ってプログラムを作る▽日々の点検や定期の保守点検を行い、病院に助言する−などの業務を行う。受験資格は、放射線治療と機器の品質管理に携わってきた技師ら。受験の際に講習会も受講してもらう。
放射線をめぐる事故は、昨年10月に国立病院機構弘前病院で276人に過剰照射が行われ、うち1人が死亡した疑いがあることが明らかとなったほか、この1年間で少なくとも6件が明らかになっている。
現在も医学放射線学会が認定する医学物理士という精度管理の専門職があるが、100人程度で、うち半分は実際には治療に携わっていない。
作業部会の議長を務めた早渕尚文・久留米大教授は「将来は保険点数の適用を国に働きかけるほか、病院の質の証明となるような制度に」と話す。

乳腺と歯周病医「専門」と広告OK

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厚生労働省は6日、学会が認定した専門医で、病院の看板や電話帳の広告などで使用できる資格として、日本乳癌(にゅうがん)学会の「乳腺専門医」と日本歯周病学会の「歯周病専門医」を追加したと発表した。乳癌についてはこれまで「どこの誰に診てもらえばいいか分からない」という患者の声が少なくなかった。

横浜地検 胎児投棄で元院長起訴 初の廃棄物法違反罪適用

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天皇、皇后両陛下は6日午後、東京都千代田区のホテルで開かれた04年世界医師会東京総会歓迎レセプションに出席した。レセプションには国内外約350人が参加。9日まで「先端医療と医の倫理」をテーマに学術集会などが行われる。

横浜地検 胎児投棄で元院長起訴 初の廃棄物法違反罪適用

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横浜市中区の産婦人科「伊勢佐木クリニック」(廃院)が中絶胎児を一般ごみとして捨てていたとされる事件で、横浜地検は5日、12週未満の中絶胎児を含む「感染性一般廃棄物」を業者に通知せずに捨てたとする廃棄物処理法(委託基準)違反の罪で元院長原田慶堂容疑者(62)を起訴した。中絶胎児を不法に投棄した行為に同罪を適用し医師を起訴するのは初めて。
原田元院長は起訴事実を認め、「94年の開業以来、中絶した胎児を他のごみと混ぜて捨ていた」と話しているという。同クリニックを巡る捜査はこれで終結した。
起訴状によると、原田元院長は今年1月〜6月、15回にわたり、感染性一般廃棄物である妊娠5週未満〜10週までの中絶胎児や胎盤、血液の付いたガーゼなど計約212グラムの処埋を業者に委託する際、文書で通知しなかった、とされる。
法律上[死体」として扱うと定められている12週以上の中絶胎児について、元院長は市の調査に対して捨てたことを認めたが、同地検は最終的に「遺棄の専実が特定できなかった」として死体遺棄・損壊罪などの適用を見送った。神奈川県警によると、中絶手術によって母体内で損傷を受けた胎児を、母体外で切断することの違法性も立証できなかったという。
県警などは「胎児は廃棄物ではないが、廃棄物と混合されて排出された場合には感染性一般廃棄物として取り扱う」とする環境省の見解を踏まえて立件に踏み切った。

抗炎症材併用肝がん化半減

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C型肝炎で肝硬変になった患者に、肝臓の炎症を抑える薬を、複数種類併用するなど積極的に与えると、肝がんの発生をほぼ半減できることが、神奈川県立がんセンターの多羅尾和郎所長らの研究でわかった。がん化した後でも、摘出手術後の再発防止に役立つという。
C型肝炎は、長い年月の間に肝硬変を経て肝がんに進むことが多い。
多羅尾所長らは、炎症の持続ががんにつながると推測。C型肝炎から肝硬変になった患者に対し、炎症の程度を示す検査値GPTを80未満にすることを目標に、漢方薬など肝臓の炎症を抑える薬を、2、3種類併用するなど積極的に投与した。
患者76人に約6年間この治療を続けた結果、肝がんが見つかる率は年3.6%。抗炎症剤を1種類だけ使う一般的な治療をした50人では年7.8%だったので、がんの発生をほぼ半分に抑えたことになる。
一方、C型肝炎から進んだ肝がんを摘出する手術を受けた患者で、薬を使うなどしてGPTを80以下に抑えることができた13人は、肝がんの再発までの期間は平均66カ月だった。80以上の21人では再発まで平均22カ月だったのに比ベ、大きく遅らせることができた。
多羅尾所長は「日本はC型肝炎が多いにもかかわらず、そこから肝硬変になった患者の肝がんを防ぐ治療が不十分。高率でがん化するので、積極的に治療した方がいい」と話している。

呼吸器装着ミス、死亡 横浜の病院 73才の肺炎患者

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横浜市港北区の菊名記念病院(山本登院長、218床)で先月、肺炎で緊急入院した同市内の男性患者(73)に人工呼吸器を誤った方法で取りつけていたことがわかった。患者は間もなく死亡した。病院側は「ミスが死期を早めた可能性も否定できない」として神奈川県警港北署に通報し、同署が業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。
同病院などによると、男性は呼吸困難に陥り、9月22日午前7時25分ごろ救急車で病院に到着。心臓マッサージなど救急処置を受けた後、前9時前に集中治療室へ移された。自発呼吸をしていたが、より多くの酸素を送るため看護師の女性(33)が人工呼吸器を装着。その際、装置から患者に酸素を送り出すチユーブと、患者の気管に挿管されたチューブをつなぐ弁を逆向きに取り付けてしまい、酸素が送られなかったという。男性は午前11時過ぎに死亡した。

献血後1%に副作用 日赤調べ

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献血の後、めまいや気分が悪くなるなどの副作用被害を起こした人が、99年度〜03年度の5年間で約28万人にのぼることが、日本赤十字社のまとめでわかった。
5年間に献血した約2900万人の約1%にあたる。採血時、緊張によるショックで血圧が下がり、意識を失うなどの症状が現れる血管迷走神経反応(VVR)が7割を占めた。ほとんどは軽症で収まっていたが、採血の数時間後、運転中に意識を失って事故を起こしたり、駅のホームから転落して大けがをしたりした事例もあった。
献血と被害の因果関係が明らかな場合は医師賠償責任保険が適用されるが、数時間後に症状が出たケースなどは賠償されないことも多い。

脳死伏態の15歳未満 4分の1、長期脳死

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脳死状態になった15歳未満の小児について、厚生省の判定基準に沿って脳死と診断後も、心停止まで30日以上かかった「長期脳死」の患者が99年以後に少なくとも4人いた。日本小児科学会の全国調査でわかった。主治医が臨床的に脳死状態だと診断した例も含めると、脳死状態の小児の4分の1が長期脳死になっている実態も明らかになった。
調査は、現在の臓器移植法下では認められていない15歳未満の脳死臓器提供に向けたもの。全国の救命救急センターや研修指定病院、計637施設を対象に実施。脳死診断を経験した75病院のうち、回答があった36施設、計74例の「脳死」症例を調べた。

手術後死亡控訴審「医師の過失なし」

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千葉県市川市の「日下部病院」で腸のポリープの摘出手術を受けた男性(当時56)が術後に死亡したことをめぐり、遺族が、同病院を経営する医療法人と医師を相手に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が22日、東京高裁であった。根本真裁判長は「医師に過失はなかった」と述ベ、病院側の過失を認め約8千万円の賠償を命じた一審・東京地裁判決を取り消し、遺族側の請求を退けた。

角膜 口の粘膜から再生 4人の視力回復 阪大講師ら成功

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患者の口内の粘膜を目に移植して角膜を再生させることに、大阪大医学部付属病院の西田幸二講師(眼科学)らのグループが成功した。角膜の異常でほとんどなかった患者の視力が回復した。16日発行の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表した。
片目の障害なら、正常な方の角膜細胞を移植して角膜を再生させることも可能だが、両目では視力を回復させる方法がなかった。
同グループば口内の粘膜が持つたんはく質が角膜と共通することに注目。患者本人の口の粘膜を3ミリ四方の大きさに切り取り、特殊な培養液を使って直径25ミリの薄いシート状に育て、目に移植した。昨年1月から3月にかけ、4人の患者で移植手術を実施、0.01以下だった視力が15カ月後には0.6〜0.8まで回復した。

中絶胎児事件 元クリニック院長逮捕 廃棄物処理法違反の疑い

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横浜市区の産婦人科「伊勢佐木クリニック」(廃院)が中絶胎児を一般ごみとして捨てていた事件で、神奈川県警は15日、廃棄物処理法(委託基準)違反の疑いで、元院長の原田慶堂容疑者(62)を逮捕した。中絶胎児をごみ扱いしたとされる行為に同容疑を適用し、医師の刑事責任を問うのは初めて。容疑を認めているという。
調べでは、原田元院長は、今年1月から6月、15回にわたり、いずれも妊娠12週未満の中絶胎児や、血液の付いた脱脂綿など計約220グラムの処理を業者に委託する際、感染性一般破棄物が含まれていることを文書で通知しなかった疑いが持たれている。
県警は8月初め、同法違反容疑でクリニックや原田元院長宅を捜索。カルテなど約300点を押収し、関係者への事情聴取を進めていた。元院長はクリニックを廃院し、「開業当初から中絶胎児を一般ごみとして捨てるのが習慣だった」と事実関係を認めていたが、県警は事件の悪質性や逃亡の恐れなどから、逮捕が不可欠と判断した。
同法は感染性一般廃棄物に中絶胎児が含まれるかどうかを明記していない。県警は今回、「中絶胎児は廃棄物とは言えず、丁重に扱うべきだ。しかし、引受先がなく、ごみとして捨てる場合は最低限、感染性廃棄物として処理すべきだ」とする環境省の見解を踏まえて立件に踏み切った。

輸血副作用重い肺障害5年間に3人死亡 44国立大病院調査

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国内ではあまり知られていなかった輸血による重い肺障害で、死亡例が出ていることが、全国44カ所の国立大学付属病院による調査で分かつた。過去5年間に少なくとも3人が亡くなっており、調査した医師は「全国で年に数十人が死亡している可能性がある」と推測している。「輸血関連急性肺障害(TRALI、トラリー)」と呼ばれ、欧米では注目されている副作用。17日から京都市で開かれる日本血液学会で発表し、実態調査の必要性を訴える。
トラリーは、輸血から数時間で激しい呼吸困難を引き起こす。約8割は数日で軽くなるが、根本的な治療法はなく5〜10%の割合で死亡するとされる。輸血血液の提供者が持っていた「抗体」が輸血を受けた患者の白血球と結びつき、免疫の働きが異常になり、肺の毛細血管が傷つけられて起きると考えられている。
欧米で発症例の報告が増え、米食品医薬品局(FDA)が01年に警告を発して、危険性が知られるようになった。
国内でも日本赤十字が98年から、医師向けの文書でトラリーについて、注意を呼びかけていた。しかし、この副作用だけにみられる特徴的な症状や特定するための検査方法がないうえ、もとの病気が重い場合も多く、医療現場で見落とされてきたとみられていた。
国立大学の医学部付属病院輸血部会議は、44病院で輸血された年間約4万人のうち、トラリーが疑われるケースを分析。輸血から24時間以内に発症した例で、患者の血液や輸血用血液のパックに残っていた血液に、白血球と結びつく抗体があるかどうかを調べた。
その結果、98〜02年までの5年間で、白血病の治療やがんの手術などで輸血を受けた21人が発症しこのうち3人が死亡していたことがわかった。21人に使われた血液は血小板製剤が57%、赤血球製剤が38%で、複数の製剤は5%だった。
同じ期間中、血液型の取り違えやGVH(移植片対宿主)病、ショックといつた原因による死亡はそれぞれ1人ずつしかなく、トラリーが最も多い輸血の劇作用だったことになる。
調査をまとめた藤井康彦・山口大学病院輸血部副部長は「医師が気づかずに発生していると考えられる。症状を引き起こした血液製剤がほかの患者にも使われないような態勢が必要」と話す。医療機関に対して、血液製剤の使い過ぎを避け、トラリーが発症した場合には、日赤への報告を求めている。
輸血の副作用
厚生労働省の「血液事業報告」によると02年に報告された輸血による副作用(疑いを含む)は1323例。「じんましん」(586例)や「発熟」(250例)が多い。「呼吸困難」は104例で、未報告のトラリーも含まれているとみられる。輪血した血液の細胞が患者の体内で増え、「異物」として患者の細胞を攻撃する「GVH病」は、血液製剤に放射線を照射する対策がとられたため、00年以降は報告されていない。日本赤十字社は、トラリーについて対策を検討している。

「薬投与後、観察怠った」医療ミスめぐる訴訟 高裁へ差し戻す判決

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がんの手術を受けた男性が抗生物質の投与でショック死したのは医療ミスによるものだとして、遺族が大手前病院(大阪市中央区)を運営する国家公務員共済組合連合会(東京都千代田区)と担当医師に約8千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)であった。同小法廷は「病院側は抗生物質の投与後、異変が起こらないか注意深く観察する義務を怠った」と認定。遺族の請求を退けた二審・大阪高裁判決を破棄し、審理を大阪高裁に差し戻す判決を言い渡した。
判決によると、男性は同病院でS状結腸がんと診断され、90年8月に手術を受けた。その後、縫合不全が起き、炎症を抑えるために抗生物質の投与を受けていたが、違う抗生物質に切り替えた直後にショック症状を示し、間もなく死亡した。
同小法廷は、医師の指示に従って点滴投与した看護師が時間をおかずに病室を退出、その後に男性の状態が急変した点を重視。「投与後にショック症状が出ることをあらかじめ予想し、看護師に対して患者を十分に観察し、救急措置がとれるようにしておく義務を怠った」と認めた。

死亡胎児は専門業者に 都医師会、指導徹底へ

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横浜市内の産婦人科クリニツクで、中絶胎児を一般ごみとして捨てるなど不適切な取り扱いが問題となっていることを受け、東京都医師会は12週未満の死亡胎児や胎盤などを「廃棄物」として処理するのではなく、都の許可を受けた専門業者に回収させるよう求める通知を近く会員に出し、指導を徹底する。
墓地埋葬法で「死体とみなされない妊娠12週未満の胎児の取り扱いについての判断は現在、自治体ごとに異なる。東京都では独自の条例を設け、廃棄物処理法の感染性廃棄物とは別に許可を与えた専門業者に、扱わせている。現在、都内で6業者が許可を受けている。だが、都医師会によると、条例の存在すら知らない産婦人科医も少なくないという。

東大、来月から夜間講座 医療制作のプロを養成

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限りある医療費をどう分配するのかなど、日本の医療政策を担っていく人材を医療以外の分野からも広く育てようと、東京大学が10月、社会人を中心とした夜間講座(無料)を開講する。医師や厚生官僚だけでなく、患者や個人の視点から政策決定に参画できる専門家を育成する試みだ。
講座は毎週水曜の午後6時から8時までで、1年間。1、医療実務者・政策立案者コース。2、患者支援者コース。3、医療ジャーナリストコースの三つがある。3コースの合計定員は45人。資料代が年間約4万円かかる。
募集の締め切りは9月7日。詳細はホームページ(http://www.hsp.u-tokyo.ac.jp)で。

医療不信の中「ほめるのも大事」「医療の質奨励賞」創設

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医療事故が多発し、医療不信が高まるなか、たまには医者や病院をほめようと、日本科学技術連盟は「医療の質奨励賞」を創設した。サービス向上の取り組みや、トップの指導力などを評価して表彰する。選考委員長の黒川清・日本学術会議会長は「病院をたたいてばかりでは仕方ない。ほめることも大事だ」と話している。
選考対象は、医師個人ではなく医療機関。第三者評価は日本医療機能評価機構による認定病院制度などがあるが、「一つの基準にこだわる必要はない。いろいろな角度からの評価が必要だ」と日科技連。「病院は、たたかれると隠す」などとささやかれる中、病院が医療事故を減らすために行っている努力などを評価、共有化することによって、医療界全体の質向上につなげる期待もある。
がん手術の成功数などの個別の診療行為よりも、医療の質の向上に継続的に取り組んでいるか、人材をどう育成しているかなど、治療成績をよくするための道筋の方を重視する。数値基準は設けない。来年4月まで応募を受け付ける。11月に受賞者を発表する。

京都大学院内感染か?2人死亡 患者複数から耐性緑脳菌

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京都大学医学部付属病院(京都市左京区)に入院していた患者の血液などから多剤耐性緑膿菌(MDRP)が検出されたことがわかった。少なくとも4人の感染が確認され、2人が死亡している。MDRPによる院内感染が原因になった可能性が高いとみられる。
同病院が2日未明、緊急会見。病院側によると、1人は8月中に死亡した。いまも入院中の患者もいるが、すでに退院した人もいる。8月下旬に、京都市左京保健所と文部科学省に報告したという。
多剤耐性緑膿菌(MDRP)緑膿菌は、土中や水回りなどにいる環境常在菌で病原性は低い。だが、薬剤に耐性をもつMDRPは、通常の緑膿菌の治療に便われる特効薬「カルバペネム」も効果がなく、感染すると垂症化する。

レセプト、615万件ミス 過去最多 保険証カード化影響? 昨年度

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医療機関が発行する診療報酬明細書(レセプト)の誤りが03年度は615万件にのぼり、現行基準になった97年度以降で最多だったことが30日、審査をする社会保険診療報酬支払基金の調べでわかった。前年度比9万件の増加で、レセプト全体に占める割合も0.782%と過去最多だった。
本人と家族を間違える誤りが前年度比18万件増の70万件と大幅に増えたのが主な要因。03年度から一部の健康保険組合で被保険者証のカード化が始まったため、「従来と違い、家族が1枚づつカードを持つケースが増えていることが影響しているのではないか」と同基金は分析している。
レセプトの誤りの発生を防ぐため、同基金は医療機関や保険者団体との懇談を増やすなどして働きかけを強める方針。

がん発症は年62万人

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年間の国内のがん発症者数は、厚生労働省による従来の推計値48万人より3割多い62万人程度と見られることが、国立がんセンター情報研究部などの調査で分かつた。
同センターは、厚生労働省が使った97年の地域がん登録の内容と、死亡診断書の情報などをつきあわせて、届け出漏れを調べた。
その結果、死亡診断書にはがんと記載があるのに、生前の登録がない例などが多く見つかり、精度を補正して推計しなおした結果、胃がん約12万人(従来は10万人)、乳がん4万人(同3万2千人)で、男女別、部位別ともに従来の推計値よ多くなった。
厚労省は、比較的精度が高いとされる大阪府や広島市など12府県市の地域がん登録を基に推計しているが、国際標準を満たしているのはわずか5府県。信頼度が高いとされているのは広島市だけで、がん登録の充実が必要と指摘されている。

臍帯血移植、がん化4件 白血病治療提供者に発病告げず

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白血病などの治療で臍帯血移植を受けた患者4人が、提供者の細胞ががん化して新たに発病したことが28日、日本さい帯血バンクネットワークの委員会に報告された。提供者の細胞のがん化は骨髄移植では知られ、臍帯血でもその可能性は予測されていたが、明らかになるのは初めて。ただ、バンクは提供者自身が発病するとは限らないため提供者に知らせない方針を決めた。
4人は40〜50代で、01〜03年に白血病などの治療のために臍帯血移植を受けた。4人とも移植は成功したが、8カ月から1年4カ月で発病。うち3人ば死亡している。
がん細胞の染色体などを調べたところ、提供された細胞ががんになっていたことがわかった。
臍帯血は赤ちやんのへその緒からとる。白血球や赤血球を作る造血幹細胞が豊富で、現在は骨髄とともに白血病をはじめ血液の病気の治療に用いられている。臍帯血移植を受けた人は7月未現在、1826人いる。
提供された細胞のがん化は骨髄移植では70年代から知られていた。しかし、臍帯血を提供してもらう段階ではこうした可能性は提供者側に説明されておらず、どこまで伝えるか、専門家の間でも意見が分かれている。
今回の方針の背景には 1、移植患者の体内で提供者の細胞ががん化したからといって、提供者自身が必ずしも白血病になるわけではない 2、仮に発病するとしても、早期診断や予防は難しい−−などがある。
バンクでは、提供者側の「知る権利」と「知らないでいる権利」を比較し、「現時点では伝えることで生じる不安や混乱が大きい」と判断した。
今後、提供を受ける際に発病などの可能性をどこまで知りたいかを家族に確認するとう。

飲んだ子2割耐性ウイルス インフルエンザ薬タミフル 東大など調査

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人に強い感染力を持つ「新型インフルエンザ」の出現に備え厚生労働省が備蓄の準備を進める抗ウイルス薬のオセルタミビル(商品名タミフル)についてこの薬を使った子どもの2割で薬の効かない耐性ウイルスが見つかった。東京大学医科学研究所やけいゆう病院(横浜市)などのグループが28日発行の英医学誌ランセットに結果を発表する。
02〜03年、発熱などで同病院を含む神奈川県内の4病院を受診し、検査キットでインフルエンザと診断された0〜13歳の50人を対象に調べた。タミフルを飲む前と後とで、のどや鼻の粘膜から採取したウイルスを見たところ、18%に当たる9人から遺伝子の変異が見つかり、タミフルが効きにくくなっていることが実験で確認された。
9人は2〜7日で熱が下がったが、その後も体内にウイルスが長くとどまっている傾向が強かったという。治療期間に体内で耐性ウイルスが生まれたとみられる。この耐性ウイルスが人から人へ感染すれば、タミフルが効かない恐れがある。
耐性ウイルスができる割合はこれまで大人で0.4〜1%、子どもで4%程度とされ、鳥インフルエンザの流行などで出現が心配される新型インフルエンザに対してもタミフルは効果があるとされる。
分析をした東大医科研の河岡義裕教授は「新型インフルエンザに対しては、だれもが免疫がなく、耐性ウイルスができやすいといえる。タミフルの使用に際しては、耐性ウイルスの監視が重要だ」と話している。
論文は4月に日本感染症学会で報告したデータなどをもとにまとめた。
タミフル
スイスの口シュ社が製造し、中外製薬が輪人・販売するインフルエンザの特効薬。日本では01年2月発売。烏インフルエンザウイルスなどが変異して、人から人へ爆発的に感染する新型インフルエンザウイルスが出現する場合に備え、厚生労働省は計2500万人分を備蓄する方針を固めている。同省によると、昨シーズンは約1500万人分を輸入し、約770万人に投与されているという。

イレッサ副作用 重い肺炎、患者の5.81%

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肺がん用抗がん剤「イレッサ」(一般名・ゲフィチニブ)で、副作用の重い肺炎を発症する確率が5.81%に上ることが25日、わかった。米国での発生率は0.3%程度で、02年の承認当時は副作用の少なさが期待されたがこれまでの抗がん剤と変わらなかったことになる。
輸入販売元のアストラゼネカ社(大阪市)が全国615の医療機関でイレッサを投与された3322人を分析した。
3322人のうち、間質性肺炎と診断されたか、疑われたのは193人で、5.81%だった。
このうち死亡したのは75人。過去2回の調査では、間質性肺炎の発生率は1.9〜3.2%とされていた。
ほかの抗がん剤治療を受けた、全身の状態が悪い、喫煙歴があるなどの場合は、発生率が約2倍に高まるという。
調査に加わった工藤翔二・日本医科大教授は「米国と比べて日本人の場合は極めて高いこうした差は臨床試験するうえで課題になる」と指摘している。

呼吸器はずれ男性患者死亡 虎の門病院

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東京都港区にある虎の門病院で7月末、肺がんの手術を受けた都内の70代男性が、人工呼吸器がはずれて意識不明になり、2週間後に死亡していたことが26日、分かった。同病院は発見が遅れたミスを認め、遺族に謝罪した。届け出を受けた赤坂署は業務上過失致死の疑いもあるとみて、関係者から事情を聴いている。
同病院によると、男性は6月1日、肺の一部を切り取る手術を受けた。
手術後、気管を切り開いて人工呼吸器を装着して入院していた。7月31日に人工呼吸器の接続部分が外れ、低酸素脳症などのため意識不明になつた。人工呼吸器のモニター記録では12分間外れていた。事故との因果関係ははっきりしないが、2週間後に肺炎が悪化して死亡したという。

定年医師へき地で「再出発」 厚労省、専門医ら対象に一般診療を研修

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定年退職した大学病院の教授や高度先端医療機関の研究者ら専門医に、へき地の診療所などで再就職してもらおうという事業が来年度からスタートする。厚生労働省は、専門分野には詳しいが一般診療には不安を抱く退職医師が少なくないとみて、内科や整形外科など基本的な診療科目の研修を受け、地方に赴任してもらう考えだ。離島や山間部では若手医師を確保するのが難しいための知恵で、人材の「有効活用」を目指す。
厚労省によると、毎年約3千人の医師が病院や研究所などの職場を離れるというこれまで、高度医療や研究に専念してきた医師の中には、出身地での再出発を希望する人はいたが「専門領域しか分からず、幅広い知識を必要とする初期診療が中心のへき地でやっていけるか不安」といった声が多かった。
計画では、再就職する医療機関は、半径4キロ圏内に医師がいないへき地を含む地域が対象で、小規模病院や常勤の医師がいなくなった診療所などを想定している。
まず、地域保健対策を進める社団法人・地域医療振興脇会(東京都千代田区)で、地方の医療機関側に「どういう医師がほしいか」、医師側には「どの地域で再出発したいのか」などを登録してもらう。
双方の意向が一致した場合、退職医師は専門領域以外の内科、整形外科、産婦人科といった基本診療科の研修を国立病院で3週間程度受ける。
へき地で再出発する場合のもう一つの心配は、急患が出た場合に人脈がないことだ。孤立しないために、派遣される地域の中核病院でも1週間程度の研修を行い、人間関係をつくってもらう。
厚労省は年間20人から30人を想定し、研修費など約500万円を来年度予算の概算要求に盛り込む予定だ。

医療中の死、第3者検証 専門医が分析、公表 厚労省、来年度モデル事業

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手術や治療で起きた事故死などを含む不審な医療関連死をめぐり、厚生労働省は原因を究明するための調査、分析を公費で行い、患者側と病院に報告する第三者機関を来年度から設置する方針を固めた。事例の内容は公表する。当面は、東京や大阪など法医学や病理学の医師の体制が整っている5カ所程度の地域でモデル事業を行い、軌道に乗れば全国に広げる。長期化しがちな患者と病院との紛争を早期に解決させ、事例を積み重ね再発防止策にも役立てることを目指す。
第三者機関によるシステムは、専門性の壁に阻まれ、弱い立場の患者側にとって「不審な死」についての真相究明が進む効果も期待される。
調査対象は医療事故を含め、予期できなかった死亡や診療行為による合併症などで死亡した場合など、死因があいまいな事例。明らかな病死や刑事事件になる可能性が高いものは対象外とする。
第三者機関の主要メンバーは、内科、外科、法医、病理の4学会を中心に、関係学会や医師会の協力を得ることを想定している。
医療関連死があった場合、患者の遺族は病院などを通じて第三者機関に調査を依頼する。遺族の同意を前提に病院が自主的に依頼することもできる。第三者機関が調査を必要と判断すると、法医学、病理学の専門医が解剖を実施。これと並行して、疾患に関連する学会の専門医が死亡した患者のカルテを見たり、主冶医からヒアリングをしたりして死因を調査する。
こうした調査を受け、第三者機関に設置する評価委員会が死因を特定する報告書をまとめ、病院と患者の遺族に提出。事例を積み重ねることによって、予防・改善策を検討できることも期待しており、プライバシーに配慮しながら事例の内容を公表する。
病院側に責任が認められると、両者間で賠償問題が発生することも考えられるが、第三者機関は関与しない。調査件数は年間200件程度を想定し、解剖や調査にかかる人件費などを中心に公費で負担する予定で、来年度予算の概算要求に盛り込む予定だ。
厚労省は今後、対象とする死亡例の基準や、調査の具体的な手順、評価委員会のメンバー構成などを詰める。モデル事業を通じて課題を探り、全国展開したいという。
医療事故をめぐる民事訴訟は年々増加する傾向にあり、最高裁によると、医療事故にかかわる訴訟は03年には約千件にのぼり、10年間で2倍強になった。医療訴訟は長期化するため、第三者の目を通すことで死因に客観性や中立性を持たせ、紛争を早期に解決すること目指す。
医療事故をめぐっては、財団法人・日本医療機能評価機構(東京都千代田区)が10月から、大学病院などから重大事故に関する情報を集め類型化し、再発防止に役立てる仕組みが始まる。しかし、個別のケースを専門医らが調査することはなく、今回の第三者機関は初めての本格的なシステムとなる。

手術中事故患者が死亡 岩手県立病院

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岩手県立北上病院(北上市、後藤勝也院長)は20日、心臓手術で挿入した医療器具が抜けなくなり、県内の40代の男性が急性心筋梗塞による心不全で死亡した、と発表した。同院は「医療行為に問題はなく、器具の不具合によるものだと考えている」としている。同院から報告を受けた県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。
同院によると、7月29日、男性は狭心症の治療のため、心臓にカテーテル(管)を挿入して先端のバルーン(風船)を膨らませて血管を広げ、そこにステントと呼ばれる金網状の筒を置く手術を受けた。ところがカテーテルを抜く際にバルーンが縮まず、男性の血管をふさいだままになった。
男性は同日夕に県立中央病院(盛岡市)に搬送されてバルーンを除く開胸手術を受けたが、8月1日に転送先の東北大医学部付属病院(仙台市)で死亡した。
バルーンのメーカー「ボストン・サイエンティフィック・ジャパン」(東京)によると、バルーンが縮まない例はこれまで海外の死亡2件を含む27件があるという。

感染症危険の血液日赤、過って出荷 システム設定ミス

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献血時の問診で感染症の危険性があるとされた血液を、日本赤十字社が誤って輸血用の血液として医療機関に出荷し、2本が患者に使われていたことが11日、わかった。日赤は、献血者の履歴などを管理するコンピューターシステムの設定ミスが原因と説明している。
日赤は健康状態、海外渡航歴など14項目を問診票で確認しており、「過去1年間に不特定の異性と性的接触をもつた」という項目に「はい」と答えた場合、以後1年間は献血を断っている。
だが、システムの設定ミスで、7月2日から8月9日まで同項目の回答結果が反映されず、本来は献血を断るべき8人の血液を採血。検査でウイルスなどは見つからなかったため、輸血用の血液として4本を医療機関に出荷。うち2本は関東地方の2病院で患者に使用されたという。

薬の副作用、症状別に整理 厚労省治療手引きを作成 「イレッサ」契機

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厚生労働省は、医薬品の重い副作用による疾患の診断法や治療法の「対応マニュアル」を作ることを決めた。肺がん用抗がん剤「イレッサ」の副作用で400人を超える死者を出した間質性肺炎などが対象で、05年度から4年間で120疾患をマニュアル化する方針。
副作用情報はこれまで医薬品別に収集され、別の医薬品で同じ副作用が起きても、情報や経験が生かされなかった。
イレッサの副作用による間質性肺炎の場合、抗てんかん剤や解熱鎮痛消炎剤、血圧降下剤、漢方製剤に含まれる約220成分でも起こる可能性がある。また副作用の初期症状や診断、治療をまとめたものがなかったため医師が気づいた時には手遅れの例も相次いだ。
疾患別にすれば副作用の早期発見につながり、重篤化を防げると判断。マニュアルは医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載、患者向けの「自覚症状リスト」も作り、医療側と患者側から早期発見をめざす。また情報を蓄積し、副作用のリスクが高い患者群を割り出すことで予防に生かすほか、安全性の高い新薬の開発につなけていく。
10月に医師や薬剤師、学識経験者による「重篤副作用総合対策検討会」を設置、血液や肝臓など10の作業班をつくり、重篤度や患者の多さから対応を急ぐべき疾患を選び、関係学会と連携し、毎年30疾患ずつマニュアルを作成する。
間質性肺炎については呼吸器学会と連携して今年度中にマニュアル化をめざす。また、市販の風邪薬などにより皮膚がただれて失明したり死亡したりすることもあるスティーブンス・ジョンソン症侯群(皮膚粘膜眼症侯群)や、高脂血症用剤や抗生物質製剤に含まれる成分のために筋肉の成分が血中に溶け出す横紋筋融解症も対象にする。

イレツサ 02年7月、世界で最初に日本で承認された肺がん用の新型抗がん剤。開発段階での臨床試験では日本人51人の27.5%、外国人52人の9.6%に効果があったとされる。副作用も少ない「夢の新薬」といわれたが、販売間始後に副作用が続発。輪人販売元によると、今年3月末までに推定で5万人以上に投与され、死者は438人に上るという。
イレッサの副作用で死亡した患者の遺族が7月、国と輸入販売元を相手取り、損害賠償請求訴訟を大阪地裁に起こしている。

京都・毒物混入 一審無罪判決を破棄 大阪高裁「自白に任意性」

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京都市右京区の国立療養所宇多野病院で98年10月、電気ポットの湯に毒物のアジ化ナトリウムが混入され、医師7人が吐き気などを訴えた事件で、傷害と浄水毒物等混入の罪に問われた同病院元内科医長の石田博被告(47)の控訴審判決が5日、大阪高裁であった。白井万久裁判長は「取り調べた刑事からの脅迫はなく、犯行を自白した供述調書の任意性に疑いはない」として、一審の無罪判決(求刑懲役1年6カ月)を破棄し、審理を京都地裁へ差し戻した。
石田被告は捜査段階でいったん犯行を認めたが、公判段階では一貫して否認してきた。被告側は上告する方針。
一審判決は、石田被告が「ポン中(覚せい剤中毒)極道を使って家族に危害を加える」などと刑事から脅迫されて自白したと認定。供述調書20通を「任意性に疑いがある」として証拠採用しなかった。
そのうえで、毒物が混入されたとされる時間帯には犯行場所に被告以外も出入りできたことから「ほかの者の犯行可能性を排除できない」として、無罪を言い渡した。
白井裁判長は、石田被告が刑事に脅迫されたと一審で供述した内容について「脅迫の文言はとっぴで不自然。創作、
捏造の可能性がある」と指摘。被告が脅迫の事実をすぐに弁護人に打ち明けなかったことにも触れ、「供述に信用性は認められない」と判断した。その上で、自白調書を証拠採用しないまま無罪を言い渡した一審の訴訟手続きには審理を尽くさなかった法令違反があると結論づけた。
主任弁護人の村井豊明弁護士は「予想外の判決。被告人質問や証人尋問もないまま一審の記録だけで判断しており、不満だ」と話した。
大阪高検の中尾巧次席検事は「調書の証拠能力を否定した原判決の誤りを指摘した点は大いに評価したい」との談話を出した。

有罪医師ら30人処分 厚労省

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厚生労働省は30日、刑事事件で有罪が確定するなどした医師19人と歯科医師11人の計30人の行政処分を発表した。うち免許取り消しは3人、医療過誤で刑事事件に問われたのは5人だった。刑事事件にならない医療過誤を複数回起こした「リピーター医師」の処分も課題となっているが、厚労省は今回も見送った。
民事案件も処分するとした02年12月以降、患者側からの処分申し立ては57件。大半が民事裁判の判決を迎えておらず今回の処分にも含まれていない。医道審議会医道分科会は、「乱診乱療」が問われ、被害者から免許取り消しの強い要望がある富士見産婦人科病院(破産)事件に関与した医師について、最高裁での民事訴訟確定を受け論点整理を厚労省に求めた。
主な処分は次の通り。
【免許取り消し】亀田総合病院(千葉県鴨川市)、渡辺智幸医師(40)=建造物等以外放火と業務妨害罪▽ハマダ美容外科(那覇市)、浜田雄志医師(41)=準強制わいせつ、業務上過失傷害罪▽東京都三鷹市、矢端雄平歯科医師(32)=準強姦(ごうかん)未遂罪
【業務停止4年】京都市、天野浩之医師(42)=収賄罪▽徳島市、斎藤勝彦医師(63)=詐欺罪など▽東京都渋谷区、北村亮歯科医師(50)=詐欺罪【同3年】甲府市、久津間智允医師(63)=収賄罪▽東京都港区、松嵜愛一郎歯科医師(57)=覚せい剤取締法違反
【同2年】埼玉県越谷市、井関正栄医師(42)=大麻取締法違反
【同1年6カ月】東京都世田谷区、黒田直行歯科医師(46)=児童買春・児童ポルノ禁止法違反▽栃木県那須町、石原広典歯科医師(40)=大麻取締法違反

中絶胎児問題 院長「遺棄、習慣だった」不正請求も認める

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横浜市中区の産婦人科「伊勢佐木クリニック」が中絶胎児を一般ごみに捨てていた間題で、同クリニックの原田慶堂院長(62)は23日、朝日新聞の取材に「習慣だった」と述べ、これまで否定してきた事実関係を全面的に認めた。法律で火葬・埋葬することになっている妊娠12週以上の中絶胎児も同様に扱い、さらに人と
見られないよう職員に切断を指示していたことも認めた。94年の開業当初から続けていたといい、12週以上の胎児に限っても数十体がこうした扱いを受けたと見られる。
院長は横浜市内で弁護士とともに取材に応じ、診療報酬の不請求なども認めた。横浜市も同日、違法廃棄などについて事実を確認、廃葉物処理法違反などの疑いで告発を検討する。
原田院長との主なやりとりは次の通り。
−妊娠12週以上の胎児を切断し、一般ごみとして捨てていたのか
「(94年の開業当初から)習慣的にしていた」
−人だとわからないよう職員に切らせたのか
「そういうことだ」
−12週を超える中絶手術の頻度は
「2年前まで、数カ月に1回程度あった」
−捨てた理由は
「中絶した胎児をどうするかと患者さんに聞くと、10人が10人とも『いらない』と言う。(火葬の際、市町村に提出する)死産届も患者さんは出したがらない。葬儀業者に頼むと何万円もかかる。悪いとはわかっていたが、どこでもしていることだと思っていた。認識不足だった。患者さんには申し訳ない」
−12週未満も含めて、一般ごみにしていたのは感染性廃棄物だと処理料が高くなるからか
「習慣だった。コストを考えたわけではない」
−中絶件数を「月3〜5件」と説明したが
「もつと多い。月15件から20件あった」
−HIV(エイズウイルス)検査の結果など、個人情報が記載された資料をそのまま捨てていたのはなぜか「シュレッダーにかけて捨てていると思っていた。そのまま捨てろとは指示していない」
ーカルテが2種類あった。診療報酬を水増し請求するためか
「実際に診察した内容を記録したカルテと、診療報酬を請求するための書類がある。全部ではないが、水増し請求したことも認める」
−今後どうするか
「クリニックはなくなる可能性はある。すべて自分の責任だ。繁華街にあり、患者さんには外国人女性や、飲食店に勤める女性が多い。経済能力を考えて中絶料金は安くしていた。チャンスがあれば将来、社会に奉仕できる仕事がしたい」
中絶胎児の扱い近く調査を指示 都道府県へ、環墳省
環境省適正処理・不法投棄対策室は23日、妊娠12週未満の中絶胎児が感染性廃棄物として捨てられている現状について「胎児を『ごみ』とみるかどうかについて厚労省とすりあわせし、統一した認識を示すことが必要だ」との認織を示した。中絶胎児の取り扱いについて実態を把据するため、近く都道府県に調査を指示する。
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府中の病院 心電図警告音20回 異常確認せず 倒れた患者放置、死亡

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心臓病の治療を受けるため榊原記念病院(東京都府中市)に入院していた都内の男子大学生(当時23)が今年3月下句、病棟のトイレで倒れたまま放置され、死亡いたことが分かった。監視する心電図モニターの警告音が鳴ったのに看護師が音を切り、1時間以上そのままにされていた。病院は大筋で事実関係を認めている。遺族側は府中署に刑事告訴するとともに「病院に事実関係をきちんと説明してほしい」と訴えている。
両親が22日に開いた記者会見での説明によると、大学生は今年3月19日、不整脈と診断され、検査入院した。その際、無線で電波を出す送信機を胸に付け、心電図の監視が行われた。
23日の朝、男性はトイレで倒れ、モニターが警告音を鳴らした。心電図のモニターに残っている記録などから、少なくとも20回鳴ったという。当時病棟にいた3人の看護師のうち、警告音に気づいた1人は電波切れだと思って捜さず、別の看護師も「ベッドにいなかったか捜さなかった」という。2人とも心電図の波形を確認しないまま警告音を消したという。
男性は、放置された結果、警告音が鳴ってから約1時間後に、異変に気づいたほかの患者の指摘でトイレで発見された。両親は「看護師らがきちんとモニターを監視していれば、息子は助かったばずだ」と主張。榊原記念病院の菊池利夫副院長は、発見の遅れを謝罪するとともに「患者さんがどこかで倒れているかもしれないと、捜すべきだった」と話している。

国立病院汚職 赤十字社部長を逮捕 数十万円収賄容疑

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国立国際医療センター(東京都新宿区)の物品購入にからみ、納入業者から現金を受け取ったとして、警視庁は22日、同センター元運営部長で特殊法人「日本赤十字社」事業局医療事業部長の石沢宣文容疑者(58)=東京都東久留米市本町2丁目=を収賄容疑で、新宿区の医療関連機器販売会社「キリク」の社長川上裕容疑者(52)=東京都国分寺市日吉町2丁目=を贈賄容疑でそれぞれ逮捕した。2人とも容疑を認めているという。同庁は同日、石沢容疑者の自宅などを家宅捜索した。
捜査2課の調べでは、石沢元運営部長は03年11月ごろ、カルテや診察券用の写真撮影機の納入にあたって川上社長に有利な取り計らいをした謝礼などとして、数十万円のわいろを受け取った疑い。納入した写真撮影機は2台で計約500万円だったという。
石沢元運営部長は今年2月、朝日新聞の取材に対し、「業者からの接触はなかった。金ももらっていない」などと話していた。
国立病院の発注業務をめぐっては、東京医療センター(目黒区)の会計課長だった厚生労働省職員(47)が、清掃業務の指名競争入札と寝具納入に絡んでそれぞれ別の業者に便宜を図り、計約500万円のわいろを受け取ったとして、今春、収賄罪で起訴されている。石沢元運営部長は国際医療センターに異動する前、東京医療センターの事務部長を務めこの職員の上司だった。

胎児遺棄の病院 個人情報、そのまま破棄 HIV検査書など

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人工妊娠中絶手術で出た胎児などを一般ごみとして捨てていた横浜市中区の産婦人科「伊勢佐木クリニック」が、HIV(エイズウイルス)検査の結果など患者の個人情報が記載された検査報告書や診査票をそのままごみ袋に入れて捨てていたことがわかった。ごみ袋は翌朝に回収されるため、路上脇に一晩中置かれたままになっており、個人情報が漏れる危険もある。厚生労働省は「不適切だ」としている。
関係者によると、伊勢佐木クリニックが、シュレッダーにかけるなどせずに、そのまま捨てたのはHIV検査や、淋病などの細菌学検査、血液検査、生化学検査の報告書。片仮名書きの氏名と性別、年齢、受付日、感染の有無を示す判定結果、検査数値などが記載されているという。
また、横浜市が実施している子宮がんや乳がん、大腸がんの検診票、40歳から64歳を対象にした基本健康診査票も、氏名や住所か記されているものが出されていた。
同クリニックは、月曜から土曜日まで、診察が終了した牛後8時ごろ、45リットルのごみ袋1〜3個をクリニック前に出している。原田慶堂院長は「検査結果などをそのまま捨ててはいけないことはわかっている。シュレッダーにかけてから捨てている」と否定しているが、個人情報を記した用紙は、毎日のように捨てられていたという。収集業者が回収するのが翌日早朝。それまであは歩道脇のスペースに置かれている。
来年4月に全面施行される個人情報保護法では、5千人を上回る診療録を保管している医療機関は、この法律が適用される。伊勢佐木クリニックも含まれる。同法では、個人データの漏洩防止などのために適切な措置を講じなければならないとしている。

中絶胎児、全国調査へ厚労相方針
中絶した胎児を一般ごみとして捨てていた問題で、坂口厚生労働相は20日の閣議後会見で「事実ならば大変なこと。きちんと調査したい」と述ベ、中絶胎児の扱いについて全国的な実態を調べる方針を明らかにした。
また、墓地埋葬法が妊娠12週以上の中絶胎児に限って火葬・埋葬を義務づけていることについて「(妊娠から)月数が少ない段階でも生存できるようになってきた。現在の医学に照らして科学的
に検討しなければならない」とした。
また、小池環境相も「社会通念上、12週未満の胎児であってもごみといえるのかどうか」と述ベ、各自治体の胎児の取り扱いについて実態を調査する方針を示した。

抗生物質で4人死亡例 気管支炎・肺炎治療

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気管支炎や肺炎などの治療に広く使われている抗生物質・クラリスロマイシンを投与後、94年から02年までに4人が劇症肝炎などで死亡したことが29日、厚生労働省の調査でわかった。
劇症肝炎で死亡したのは70代の男性2人。このほか白血球減少などで50代と70代の女性も死亡していた。

皮膚粘膜眼症侯群 2年半で1064例報告 かぜ薬などでも副作用

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市販のかぜ薬を含む様々な薬の副作用で、皮膚がただれて失明したり死亡したりすることもあるスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS、皮膚粘膜眼症侯群)が、01年4月から03年10月末までの2年7カ月の間に1064例報告されたことが29日、厚生労働省のまとめでわかった。
SJSは1922年に米国で発見された疾患で、抗生物質や痛風、てんかん治療薬など様々な薬の副作用で、100万人当たり年間1〜6人発症するとされている。
報告のうち、かぜ薬などの市販薬が58例含まれていた。702例は症状が軽くなったが、106例が薬とのかかわりに伴って死亡、ほかに後遺症や未回復の例もある。同省は、「赤い発疹が広がる症状が出たら、服用をやめ、皮膚科に受診してほしい」と強調している。

抗がん剤イレッサ 副作用死初の提訴 国・販売元に遺族が賠償請求

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肺がん用抗がん剤[イレツサ」の副作用で死亡した京都府の元会社員男性(当時69)の妻ら遺族4人が15日、国と輸入販売元の「アストラゼネカ社」(大阪市)に、慰謝料など3300万円を求める全国初の損害賠償請求訴訟を大阪地裁に起こした。原告側は「重大な副作用が予見できたのに国はずさんな審査しかせず、ア社も十分な警告をしないで販売を始めた」と主張している。
イレツサは02年7月に厚生労働省に輸入を承認された。手術ができない患者にも効果がある「夢の新薬」といわれ、多くの患者に使われた。しかし、販売開始後に副作用が続発。ア社によると、今年3月末までの死者は438人に上っている。
訴状によると、男性は肺がんのため02年4月から京都府内の病院に4カ月入院、別の抗がん剤と放射線治療が効果を上げ自宅に戻った。9月初めに同府内の別の病院で医師の勧めでイレッサを1週間服用したところ、まもなく呼吸困難に陥り、約1カ月後に副作用の間質性肺炎で亡くなった。
原告側は、イレッサの輸入をア社が02年1月に厚労省に申請した後、わずか半年で世界に先駆けて承認された事実を重視。国とア社は承認前、海外の臨床試験で因果関係を否定できない副作用が196例あり、55人が亡くなった情報などを得ていたのに、国は安全性を確認しないまま早期に承認し、ア社も十分に警告しないまま漫然と販売した、と主張している。
ア社側代理人の弁護士は今月5日、遺族団体あての書面で「国が厳正に審査、承認しており会社に法的責任はない」と反論。ア社は「訴訟が提起されたことは残念。内容を見ていないのでコメントは差し控えさせていただく」とする談話を出した。厚労省は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。
弁護団は17日午前10時〜午後4時、「イレッサ薬害」の無料電話相談(075・211・1459)を実施する。

心臓の医療器具2社自主画収へ 健康被害の恐れ

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心臓の鼓動を促す植え込み型の除細動器(米ガイダント社製)のリード線に不具合が見つかり、輸入販売をしている2社が自主回収,改修を決めたと都が16日、発表した。出荷済みの69本が対象でこのうち66本は植え込み済みという。
2社はインターメディクスジヤパン(大田区)と日本ガイダント(港区)。都などによると、患者の心臓に不必要な電気ショックを与えた事例があったため原因を調べたところ、リード線に溶接不良の恐れがあることがわかった。重篤な健康被害があり得ることから、2社は医療機関に患者の経過観察などを依頼した。

アトピー治療640万円賠償命令地裁判決

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「脱ステロイド療法」を掲げる院長のもとでアトピー性皮膚炎の治療を受けたところ、全身が衰弱するほど悪化したとして、都内の女子児童と両親が練馬区の医院と院長に総額約1150万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、東京地裁であった。片山良広裁判長は「症状を悪化させる可能性がある塗り薬や消毒液を処方した」と過失を認め、約640万円を支払うよう命じた。院長はアトピー治療で知られており、著書や論文も多く発表している。
判決によると、児童は当初はステロイド外用薬を使っていたが、4歳だった00年4月、この医院でステロイドを含まない薬を処方された。しかし、皮膚が腫れ「髪の毛が抜け高熱が出るなど症状が悪化。7月に他の病院に入院しステロイド薬を含む治療を受け回復した。
判決は「アトピーの治療法自体の当否は論じない」と断った上で、院長が処方した薬は皮膚に刺激やかゆみを与え、症状を悪化させたと認定。院長側は「症状はステロイド薬をやめたリバウンドで、治る過程で現れる」と主張したが、判決は「リバウンドとは到底考えられない」と述べた。

不合格の献血血液15本からHEV

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献血時の肝機能検査で不合格になった献血血液2452本のうち、15本にE型肝炎ウイルス(HEV)の遺伝子が含まれていたことが7日、日本赤十字社の調査でわかった。同日開かれた厚生労働省の血液事業部会で報告された。HEVは感染すると、急性肝炎を引き起こすことがある。発展途上国で流行しているとされ、国内でも死亡例が出ているが、感染の広がりは不明だった。

患者殺害容疑で看護助手を逮捕人工呼吸器外す

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滋賀県湖東町医療法人社団昂会「湖東記念病院」で昨年5月、男性患者の人工呼吸器をはずして死亡させたとして、県警は6日、看護助手西山美香容疑者(24)を殺人容疑で逮捕した。
調べでは、西山容疑者は昨年5月22日午前4時過ぎ、病室で、谷栄次郎さん(当時72)=同県永源寺町=に装着されていた人工呼吸器の管の接続部をはずし、約3時間半後に殺害した疑い。
呼吸器外し殺害の容疑者「警告音ならぬよう操作」
滋賀県湖東町の医療法人社団昂会「湖東記念病院」で昨年5月、入院していた男性患者(当時72)が人工呼吸器を外されて死亡した事件で、殺人容疑で逮捕された看護助手西山美香容疑者(24)=同県彦根市西葛籠町=が県警の調べに対し、「人工呼吸器の管を外した際にアラームが鳴らないように操作した」と供述していることが分かった。
県警などによると、装着されていた人工呼吸器は、管が外れるとアラームが鳴り、スイッチを押すと一時的に音は消えるが、外れたままだと再び鳴り始める仕組みになっているという。しかし、西山容疑者が呼吸器を外した昨年5月22日午前4時過ぎ、同じ病棟で勤務していた職員らは「アラームは聞こえなかった」と証言。男性の病室はナースステーションの向かいだったが、当直の看護師2人もアラームには気づかなかったという。
県警は事件発生当初、人工呼吸器の故障による事故の可能性もあるとみて、鑑定を京都大に依頼したところ、誤作動などの可能性はないとの回答を得た。このため、人為的に引き起こされた事件との見方を強め、西山容疑者を含む当直者らから事情を聴いていた。西山容疑者は、人工呼吸器の消音スイッチか、音量のつまみを操作したとみられる。一方、動機について西山容疑者は「賃金は良かったが、労働環境が悪かった」などと話しているといい、県警は、西山容疑者の勤務実態などについても関係者から事情を聴く。

慈恵医大補助金全額を返還

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東京慈恵会医科大学が臨床医学研究所(千葉県柏市)の研究費として00年度から4年間に交付された補助金を不正にプールしていた問題で、同大は6日、文部科学省などの返還命令に基づき、不正のあった2事業の補助金全額に加算金を加えた計約2億1210万円を返還した。文科省と日本私立学校振興・共済事業団は5日、交付された約1億7590万円全額に加算金を加えて返還するよう求める命令書を文書で通知していた。

国立大病院超勤手当て不足数十億円に 法人化で給与変更支給見合わせも

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付属病院を抱える国立大学の多くで、超過勤務手当を支払う資金が年間数億円単位で足りなくなっていることがわかった。4月からの法人化に伴い給与の算定方法が変わり、新たに医師への支払いを迫られたことが原因で、全国の不足額は数十億円にのぼるとみられる。他の支出を削ることで対応している大学もあるが、九州大では超勤手当の支払いを見合わせる事態になっている。「将来には学費値上げなど収入を増やす方法も考えないといけないかもしれない」という大学もある。
これまで、教員の労働条件は人事院規則で定められていた。医師は宿直手当などはあったが、長時間勤務しても研究の一環と見なされ、手当はつかなかった。法人化に伴い、労働基準法で定められることになり、大学は医師を含めた教員に超勤手当の発生しない裁量労働制を適用することにした。
しかし、厚生労働省は昨年10月、「急患などがある医師は、勤務時間を裁量で決められない」として、医師には裁量労働制を適用しないよう都道府県の労働局長あてに通達を出した。
国立大学を所管する文部科学省は、人件費の急増を警戒する各大学の要請を受けて厚労省と折衝したが、物別れに終わった。この結果、大学は医師への超勤手当てを支払わなければならなくなった。
各大学は文科省から渡され、人件費などにあてられる運営費交付金と、学費収入や寄付金などの自主財源で経営している。関西のある大学によると、超過勤務は文科省の想定を大きく上回った。文科省が超勤手当てと見込んだ予算額は、必要額の3割程度しかなかったという。
九州大は交代勤務を徹底することで人件費を削っているが、4〜6月の3カ月間で推計3千万円の超勤手当が発生した。年間の支出額が不透明であることなどから、手当の支払いを見合わせている。これに対し、福岡東労働基準監督署は6月下旬から、同大医学部付属病院へ監督指導に入っている。
京都大、大阪大は超勤手当が年間「数億円」、東北大は「1億円程度」にのぼる見込みだという。京都大は医師の宿直手当を減らし、超勤手当を工面している。
付属病院を抱える国立大は全国に42あり、多くの大学が超勤手当ての工面の必要に迫られているとみられる。
文科省人事課は「大学と相談しながら、必要な対策をとっていきたい。厳しい状況であることは理解しているが、医師にも裁量労働制が適用されるよう、厚労省への働きかけは続ける」と言う。
厚労省賃金時間課は「裁量労働制は経費減らしのための制度ではない。適用範囲を広げることは、働いた分の給与を受け取るという原則をゆがめるので認められない」と話している。
裁量労働制
研究開発など業務の性質上、使用者が仕事の進め方や時間配分を具体的に指示せず、働く人の裁量にゆだねる制度。実際に働いた時間にかかわらず、労使の交渉で決めた時間だけ働いたとみなされる。03年10月の厚労省の通達で国立大の教授、助教授、講師も適用対象になったが、医師は適用除外とされた。

輸血で?肝炎感染死 先月男性患者、術後に発症

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3月に胃がん手術などで輸血を受けた男性が、劇症肝炎を発症し、6月に死亡していたことが2日、わかった。保管してあった献血血液から肝炎ウイルスは見つかっていないが、献血時の検査をすり抜けた可能性もあるという。厚生労働省が同日、血液事業部会運営委員会で報告した。
同省によると、男性(当時60)は胃がん手術や貧血のため3月2〜10日に計3回、4人の献血血液から作られた血液製剤を輸血された。その後、6月10日に劇症肝炎で死亡した。手術前の検査では見つからなかったB型肝炎ウイルス(HBV)が皿液中から検出された。
日本赤十字社は、保管してあった4人の血液を高感度検査で調べたが、いずれもHBVは検出されなかったこのためウイルスが少なく検査をすり抜けた可能性のほか、院内感染など別の理由も考えられるとしている。
日赤は4人の献血者には通知はせず、再度献血に来た際に再検査する方針。ただし、運営委員会では「本人に知らせるべきではないか」との意見も相次ぎ、再検査などについては今後検討する。
HBVは感染直後はごく微量で、高感度検査でも検出できない「空白期間」が約1カ月ある。

臓器移植で狂犬病感染 米で死者確認

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米疾病対策センターは1日、臓器移植で狂犬病に感染し、死亡した事例が国内で初めて確認されたと発表した。
それによると、臓器提供者(ドナー)はアーカンソー州の住人で、5月4日に死亡。肺、腎臓、肝臓が摘出され、4人に移植された。1人は手術中に死亡。テキサス、オクラホマ両州で移植手術を受けた他の3人もその後に死亡し、解剖で狂犬病感染が確認された。
ドナーは死亡時に狂犬病の症状を示していなかった。

大学病院の「質」を初調査 全国医学部長病院長会議

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全国に79ある大学病院の質を比較し評価する初の試みが始まった。国公私立大学医学部と付属病院でつくる全国医学部長病院長会議が、患者の満足度や手術件数など200項目以上をアンケートしてまとめる。各病院が格差の実態やその中での自らの位置を知って、水準向上に動くことが狙いだ。途中集計で、1床当たり看護師数で2倍近い差があるなど格差の一端が明らかになっている。
調査票は今年1〜3月に全大学病院に郵送、これまでに48病院から回答があった。
その集計によると、1床あたりの看護師数は0.5人〜0.9人と、約2倍の開きがあった。病院を通じて患者に尋ねた満足度では、「この病院に来てよかったと思うか」という質問に「非常によかった」「よかった」と答えた患者の割合は平均で9割に達したが、6割台にとどまった病院もあった。
ある病院では、患者の2割以上が「患者の話を聞く」「病状説明をもっとする」などの要改善点を挙げていた。
院内感染への配慮を示す、職員のインフルエンザ予防接種率や、医療事故防止への医師の意識の高さを反映する、インシデントリポート(医療事故につながりかねない出来事の報告書)を医師自らが提出している割合、また、磁気共鳴断層撮影(MRI)の画像判読を、専門の放射線科の診断医が担当している割合などにも、かなりの差があった。
最終結果は8月ごろまでにまとめ、発表する。個別の病院の「成績」が分かる形では公開しないが、各病院自らの公開が進めば、それと合わせて一般の人も各病院の実力を知ることができる。
調査をまとめている永井良三・東京大学病院長は「大学病院のあり方を考える貴重なデータ。毎年続けて蓄積していきたい」としている。

医療事故防止 先例に学べ

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岩手県内で医療事故が次々に起きている。昨年1年間に県立病院では16件の医療事故が起きたという報告があった。これは氷山の一角で、その裏にはもう少しで事故になるところだったニアミスが1万件以上ある。そうした例から何を学び、医療の現場で働く人の安全意識をどう高めるか。病院は様々な取り組みに乗り出し、行政も動き始めた。
昨年10月、県立久慈病院。手術を受けていた50代男性の顔の骨の下からガーゼが出てきた。
この男性は、02年12月に顔に大けがをし、久慈病院に運ばれた。ガーゼが見つかったのは三度目の手術。昨年6月の2度目の手術で使った止血用の1枚だった。ガーゼによる炎症などはなく、大事には至らなかった。
顔など狭い場所の止血用に使われるこのガーゼは「込めガーゼ」と呼ばれる。一般のガーゼは30センチ四方だが、こちらは3センチ×6センチで、さらに小さく畳んで詰め込まれる。一般のガーゼは置き忘れを防ぐため、X線に写る金属繊維を織り込んでいるが、込めガーゼにはなかった。
久慈病院は、手術をする時は、すべてのガーゼ、針、器具などを、3回以上声に出して数えることに決めた。込めガーゼにも金属繊維を織り込むことにした。
吉田郁彦前院長(3月末で退職)は「一つのミスから何を学ぶか。学んだことを、職員全体が共有して実行することが大切だ」と話した。
間違えそうになったり、間違ったが患者に被害がなかったりしたニアミスは日常茶飯事だ。
「抗生剤を誤って隣の患者に注射した」「医師の口頭での指示を看護師が誤解し、延期するはずの化学療法(抗がん剤投与など)をした」「停電時、非常用バッテリーが役にたたなかった人工呼吸器があった」…。
これらは、県立病院が県医療局に出すニアミスのリポートの一部だ。中には、生死にかかわる例もあり、ニアミスだからと高をくくれない。
医療局は、報告されたミスの原因と対策を分析し、すべての県立病院に送る。病院は自分の病院でも起こる危険はないかなどを点検し、防止策を考える。
対策を職員一人ひとりに徹底させるのは、病院の取り組み次第だ。
すべての職員のミーティングや違う職種の職場を見学する研修会を開き、意思疎通と情報の共有をはかったり(大迫病院)、安全対策などを載せた手のひらサイズのしおりを作って常に持たせたり(久慈病院)、と工夫をしている。
岩手医大は昨年、「医療安全推進室」を作った。手術や医薬品、外来など11の部会がある。
医大で報告されるニアミスは、月平均100件に上る。青木英彦室長は「対策を立て、見直し、改善する。それでも人間の思い込みや慣れは、100%は防げない。医療は危険な行為を伴うのに、過ちを起こすという前提に立ったシステム作りが遅れている」と言う。
人の注意だけに頼らずミスを減らす方法も作られ始めた。
盛岡赤十字病院は昨年1月、バーコードを使った電子カルテシステムを採り入れた。
患者はバーコードの入ったバンドを手首につける。患者のバーコードと点滴などのボトルに張ったバーコードを、医師の指示や処方が記録されている携帯端末で読み取った時、一致しないと警告音が鳴る。
02年に44件あった注射に関する間違いは、システムを入れた03年には3件に減った。初期投資だけで5億円近かったが、盛岡赤十字病院は「安全を第一に考えた」と話す。
しかしバーコードは毎月270万円の運用コストがかかる。医師がパソコンでバーコードのデータを打ち込む手間もある。どの病院でもすぐに採り入れるのは難しい。
そもそも、人命を機械だけに任せきっていいのかどうか。盛岡赤十字病院の浅沼宏子看護副部長は「システムは、安全性をさらに確保するためのもの。最も大切なのは、やはり人間による基本的な確認作業を徹底させることなのです」と話している。●県の医療安全対策●
県立病院を受け持つ県医療局は01年2月、「医療安全対策指針」を実行に移した。県立病院は医療安全対策を話し合う「医療安全対策委員会」と「リスクマネジメント部会」を置き、医療安全対策マニュアルを作らなくてはならないことなどを定めている。
県立病院以外の医療機関への取り組みは、昨年度から始めた。
それぞれの保健所管内で、地元医師会と協力して「地域医療安全対策研修会」を開いたほか、二十数件の医療事故を載せた事例集を作って病院などに配った。
病院には言いにくい質問や相談などを受け付ける「県民医療相談センター」(盛岡市)も作った。昨年6月から今年2月までの9カ月間で、延べ629件の相談があった。

病院の過失、HP公開/名古屋市立大病院、 医療事故42件、防止策も

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名古屋市立大学病院(名古屋市瑞穂区)は30日、03年度中に発生した医療事故のうち、病院側に過失があると考えられる42件を同病院のホームページに初めて公開した。ネット公開は、全国でも数少ない試みだという。
昨年6月に院内で策定した医療事故等公表基準に従った。1年間に発生した医療事故(過失なしを含む)は103件。今回、年間をまとめた公表対象になったのは、過失があった医療事故のうち、後遺症がない程度の医療事故。処置の要・不要は公表していないがほぼ半々だという。
「筋肉注射予定の薬剤を静脈内へ投与し、ショック症状になった」「麻酔導入時に筋弛緩(きんしかん)剤ではなく、昇圧薬を投与し、血圧が上がった」「氏名が似ていた患児に造血剤を投与した」といった事例が並び、「患児はリストバンドのバーコードで確認する方式とした」などと再発防止策が記されている。
死亡や後遺症が残るような重大な医療事故は個別に公表する。03年度は1件あったが、患者家族の同意が得られておらず、未公表という。
名古屋市立大病院の公表サイト
http://w3hosp.med.nagoya-cu.ac.jp/topics_frame/topics_frame6.html

阪大病院 院内感染で緑膿菌 9人から検出、1人死亡

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大阪大学医学部付属病院(大阪府吹田市)は29日、集中治療部(ICU)に入院していた9人の患者の血液などから多剤耐性緑膿菌(MDRP)が検出された、と発表した。3人が死亡しており、そのうち40代の男性はMDRPによる肺炎が死因とみられるという。別の2人の死因について、病院側は「現時点では感染とば関係ない」としている。9人のうち8人は同じ装置を使って「経食道エコー」という心臓検査を受けており、現在はこの装置の使用を中止しているという。
病院によると、MDRPは5月下旬から6月14日にかけて、心臓手術などを受けた入院患者の血液や、のどのぬぐい液から検出された。
9人から検出された菌の遺伝子はすべて同じだったという。「院内感染か」との問いに、荻原俊男院長は「そう認識している」と答えた。緑膿菌が死因でないとする2人については「重症心不全にもとづく多臓器不全」と説明している。
8人に使った経食道工コー装置を調べたところ、先端から10センチのところの被覆が長さ5ミリほどはがれており、患者から検出されたMDRPと同じ遺伝子の菌が検出されたという。院内に4台ある装置の一つで、この装置の汚染が院内感染を招いた可能性がある。
阪大病院は学内外の専門家による調査委員会を設け、原因を解明する。

高濃度「リドカイン」外来・病棟から撤去へ

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投与量を誤り患者が死亡するなどの医療過誤が相次いでいる抗不整脈剤「リドカイン」について、日本循環器学会(北畠顕理事長)は事故防止のため、すべての医療機関の外来、病棟から高濃度リドカインを撤去するよう会員あてに緊急通告する方針を固めた。25日の学会で正式に決定する。
日本救急医学会、日本集中治療医学会など6学会も同調する意向。すでに胸部外科など3学会も同様の通告を出しており、厚生労働省は「全国のほとんどの病棟から排除できる」とみている。

がんの医師、未承認薬「自ら試す」法改正生かして申請

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自らも肝臓がんを患う大阪市の開業医・三浦捷一さん(65)が、未承認の抗がん剤の臨床試験に国内で初めて取り組む。24日、医薬品医療機器総合機構に申請した。これまでは製薬会社だけが手がけてきた治験だが、医師もできるようになった法改正を生かす。
三浦さんは約30年前から肝臓を患ってきた。00年に肝臓がんの手術を受け、抗がん剤治療も続けている。注目したのは、国内で開発中の抗がん剤「非環式レチノイド」。肝臓がんの再発予防に効果があると確信した。
抗がん剤を病巣に流す装置「この薬を試したい」。だが、国の承認には数年の時間がかかる。しかも、製薬会社の治験では、効果を検証するため見た目が同じ「偽薬」を投与されることもある。早期承認を求めているうちに、03年に改正薬事法が施行され、仲間の医師と治験をすることにした。
抗がん剤を病巣に流す装置を体内に入れながら、診察も続ける。「がん患者が、希望する薬を使えるようになる。今回の試みがそれにつながると信じています」

ぜんそく患者参加で治療指針 症状・療法やさしく説明

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ぜんそく患者のための「診療ガイドライン(指針)」を、患者団体が一からかかわって、まとめた。厚生労働省のぜんそくの研究班(班長・宮本昭正東京大名誉教授)による指針作りの一環で、患者の視点から、患者にとって必要な情報を考え、治療に主役が主体的にかかわることを目指した。様々な病気で科学的根拠に基づく指針作りが進み、患者向け指針もあるが、従来は医師中心で作ってきた。
参加したのは、アレルギー児を支える全団ネット「アラジーポット」幹事の栗山真理子さんら。
ぜんそくの研究班が指針を改訂するにあたり、診療指針の作成や利用、普及について検討している厚労省研究班長の中山健夫情報学)が橋渡し役となって、参加が実現した。
ぜんそくに関しては、かねて医療者向けと患者向けの2種類の指針があった。だが、患者向け指針は実質4ページほど。図表が2枚あるだけで、残りは難しい医学用語で埋め尽くされていた。
栗山さんら今回加わった患者代表は、イラストや表を多用して、症状の見分け方や薬物療法などを、20ページほどの冊子にまとめた。重症度をひと目で分かるマークにし、発作の重さごとに症状や家ですること、病院受診の緊急度などを図解した。これをたたき台に医師側と協議を重ね、約2カ月かけて完成させた。
栗山さんは「これが完全とは言えないが、患者の視点を入れて作ったことは第一歩。発作が起きた時にどうすればよいかなど、病気の知識がない人でも分かるように工夫した」と話す。
今回の指針の対象となる大人のぜんそく患者は300万人とも推計される。班長の富本さんは「医師だけで作ったらこのように分かりやすくはできなかったと思う。指針は、患者の役に立たなければ意味がない。自分の受けている治療が正しいかを、医師と話し合えるぐらいになって欲しい」と話す。指針は今後、日本アレルギー協会などのホームページで公表するほか、講演会などで無料で配布する。
厚労省は、病院や医師ごとにばらつきのある治療の標準化を目指すため、研究班による治療指針作りを99年度から系統的に始めた。03年度までに乳がんや糖尿病など20の病気で作られ、今年度は新たに3疾患で作る。
指針は、財団法人・日本医療機能評価機構がウエブサイト(http://minds.jcqhc.or.jp/to/index.aspx)で順次公間する。

大学ベンチャー新薬試験医に未公開株 阪大教授ら5人取得

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大阪大学医学部付属病院(大阪府吹田市)で遺伝子治療薬の臨床試験を実施した教授ら5人が、この治療薬を開発したベンチャー企業「アンジェスMG」(本社・大阪府豊中市)から未公開株を取得していたことがわかった。株式はその後上場され、取得株は現在の株価で数億円分に上るとみられる。違法行為ではないというが、製薬会社の株式保有者による臨床試験はデータの信頼性が損なわれる恐れが指摘されており、阪大は学内にガイドラインづくりに向けた委員会を設置した。
同病院などによると、遺伝子治療薬は、血管をつくる働きのある肝細胞増殖因子(HGF)の遺伝子が含まれ、足の血管が詰まった患者に投与し、血流を再開させるという。
臨床試験は、阪大教授(60)が総括責任者として98年に大学側に申請。01年5月に実施が認められ、01年6月〜03年3月に患者22人に対して行われた。
アンジェスMGは、この遺伝子治療薬の主要特許を持つ元阪大助教授が中心となり99年12月に創業した大学発ベンチャー。01年1月に同薬の開発に関して大手製薬会社との提携を発表した。
一方、その前月、臨床試験メンバーだった約10人のうち総括責任者を合む教授2人と医師3人が、同社の第三者割当増資に応じて1株5万円で数株から20株を取得。その後、株主割当増資があり、保有株数は教授2人が各320株となり、医師も各数十株になった。
株式は02年9月に東証マサーズに上場された。株価は一時1株100万円を突破し、現在はで70万円台で推移している。総括責任者の教授は、上場時に160株をアンジェスMGの求めに応じて同社に売り、約3200万円を得たという。
この教授は、ベンチャー設立前から冶療薬の研究開発にかかわっていた。「株の購入は法的な問題はない。製薬の初期段階では、研究の関係者でなけれぱ臨床試験ができない状況がありうる。関係者がどこまで試験にタッチしてよいのかルールがなかったため、私は許されることだと判断した」と話している。
アンジェスMG社の中塚琢磨取締役は「臨床試験の信頼性は、阪大の試験結果を第三者がチェックしており、担保されている」と話している。
富原秀夫・大阪大学長の話
突然の話で驚いた。株の購入は法的には問題ないと聞いているが、道義的、倫理的にみても疑惑を持たれないようにしなければならない。学内の委員会での検討結果を待っている。

血液輸送20分遅れ 昨年5月供給事業団緊急手術の患者向け

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輸血用血液を医療機関に届ける業務を担っている献血供給事業団(本部・東京都渋谷区)が昨年5月、病院から緊急の輸送を要請されながら、緊急車両を直接向かわせず、先に出発していた定期便を利用して届けたため、20分近く遅れた可能性があることが、11日分かった。輸血を待っていた60代の男性患者は死亡した。事業団は「輸送方法は内規に反していた」としている。
事業団によると、昨年5月29日午後4時16分、大田区大森西6丁目の東邦大学大森病院から、交通事故で緊急手術をしている男性患者のために、O型の赤血球製剤10本の注文が東京都赤十字血液センターにあった。
渋谷区広尾のセンターと同じ敷地内にある事業団は、製剤を緊急車両で同病院まで直接運ばねばならないのに、その直前に出発していた定期便の車両を使って届けることにした。
事業団から約1キロ離れた地点を走っていた定期便を待機させ、製剤を積んだ緊急車両を向かわせた。届いた製剤を積んだ定期便は緊急走行で向かった。4時25分に病院から製剤8本の迫加注文があり、再度、定期便を港区内の路上に停止させ、追加分を別の緊急車両で届けた。定期便は品川区内の別の病院に立ち寄り、もともと届ける予定
の血液を別の車両に移し替えた。結局、大森病院に到着したのは午後5時だった。
この間、大森病院から催促がセンターに入っていた。患者の死亡と、輸送の遅れの因果関係は不明だという。
事業団は、他の緊急搬送が発生、輸送車両がなくなってしうことを心配して定期便を使った、と説明している。事業団の業務手引では、緊急の注文は1件ずつ直接病院に届けることを定めている。

検査値悪化、内科医甘い判断 腎臓医への紹介早めに 自治医科大講師指摘

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賢臓の働きがどれくらい悪くなったら患者を専門医に紹介するか。
内科医は、患者の状態がかなり悪くなってから専門医に送り込んでいる実態が自治医科大総合診療部の丹波嘉一郎講師による意識調査でわかった。
人工透析患者は約23万人で、年に1万人以上増加中。丹波さんは「早く紹介してもらえれば、透析患者の増加をより防げる」と指摘している。
調査は、日本腎臓学会が認定した専門医114人と、自治医大卒業生のうち腎臓以外の一般内科を診療している111人を対象に昨年11〜12月に実施した。血中クレアチニン濃度がどの段階になったら専門医への紹介が必要と考えているか尋ねた。
クレアチニン濃度は、腎臓機能の基本的な検査項目の一つ。0.6〜1.2が基準値とされる。基準値を超えても日常生活に不自由のない場合が多いため、病気の進み具合を自覚しにくい。一般的に8を超えると透析が検討される。
専門医の78%は、腎機能が約3分の1に低下している「2以下」で紹介を求めた。この段階で紹介すると答えた一般医は20%どまり。「4」「6」と答えた人が計70%を占めた。
腎臓病は、早めに専門的な食事療法や薬物治療を受ければ、透析にいたらずにすんだり、透析を始める時期を3〜5年ほど遅らせたりできる。

ミス多発の抗不整脈剤 外来・病棟から撤去を緊急通告

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投与量の間違いで患者が死亡するなどの医療過誤が多発した抗不整脈剤「リドカイン」をめぐり、胸部外科、心臓血管外科、血管外科の3学会でつくる「心臓血管外科専門医認定機構」(代表循環器病センター総長)は、全外来、病棟から撤去するよう会員あてに緊急通告を出した。
リドカインは、過剰投与すると中毒症状などの,副作用を引き起こし、心停止に至る場合がある。濃度2%の注射用と濃度10%の点滴用があり、これまでの医療過誤は、濃度の違うニつの薬剤を取り違えるケースが大半を占める。厚労省によると、患者が死亡、重体に陥った医療過誤はこの1年間で7件にのぼるという。

献血血液 検査すり抜け210本 日赤肝炎など6人が感染

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輸血用血液にウイルスが混入していた間題で、日本赤十字社は1日、献血時の検査をすり抜けた可能性があるとして迫跡調査した99年4月以降の血液1万7174本のうち、210本からB型肝炎ウイルス(HBV)などが検出されたと公表した。これを元に作られた輸血用血液を投与された6人の感染が確認された。日赤は迫跡調査の指針案をまとめた。
日赤は、厚生労働省の指導を受け、昨年6月から、献血時の検査でウイルスが陽性だった人の過去の献血血液について、高感度の検査で1本ずつ調べ直している。その結果、B型肝炎ウイルス(HBV)が207本、C型肝炎ウイルス(HCV)が2本、エイズウイルス(HIV)1本が、検査をすり抜けていた。感染した6人のうち5人がHBV、1人かHIVだった。
献血時に行う高感度検査は50人分をまとめて実施するため、感染直後などウイルス量がわずかだと、検出できないことがある。指針案は、過去に献血歴がある場合、迫跡調査でどこまでさかのぼるのかなどのルールを定めた。献血時の検査で検出されたウイルスの種類や状況によって、1、前回の献血血液を検査 2、その結果が陰性でも35〜92日さかのぼって調べる−などとした。必要に応じ、供給先の医療機関にも連絡するとしている。

医療ミスで死亡 6889万円賠償命令 東京地裁判決

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神奈川県鎌倉市の湘南鎌倉総合病院の医療ミスで女性(当時54)が死亡したとして、遺族が病院を経営する医療法人を相手に7570万円余の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった`。福田剛久裁判長は「肺塞栓症を疑って適切な検査・診断をすべきだった」と述ベ、計6889万円余の支払いを医療法人に命じた。

筋弛緩剤は少量 川崎協同病院男性窒息死 被告医師が反論

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筋弛緩剤を投与するなどして男性患者(当時58)を窒息死させたとして、殺人罪に問われた川崎協同病院(川崎市)の元呼吸器内科部長・須田セツ子被告(49)に対する弁護側の被告人質問は、横浜地裁で27日午後まで続いた。無罪を主張している須田医師は、筋弛緩剤について「投与は少量で、思ったほどの弛綬の効果はなかった」と述ベ、死因とする検察側主張に反論した。検察側の質問は次回の6月10日に予定されている。
投与の状況について須田医師は、白分で筋弛緩剤1アンプル(2ミリリットル)を生理食塩水100ミリリットルの入ったボトルに注入して薄めたうえで患者に点滴した、と説明した。「ゆっくりと入るよう1分間に40〜50滴に調整した。数分で呼吸が弱まったので止めた。(薬剤は)少し落ちただけ」と主張した。
また、投与するまでの経緯として、呼吸を助ける気管内チューブを抜いたところ、患者が上体を反らせるなど苦しむ様子を見せたため、2種類の鎮静剤を投与したが、苦しそうな呼吸音は収まらなかった−と話した。「(病室に集まった)大勢の家族の前で(苦しむ姿を見せるのは)忍びない」という。そのうえで、病室の外に出て、同僚だった医師に助言を求めると、筋弛緩剤の名前を言われたとし、「作用が部分的に起きれば、呼吸が楽になると考えた」と説明した。

自殺率高い医・歯学生 茨城大が全国調査4年生大を上回る

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過去約20年間の大学生の自殺では、医学部、歯学部、獣医学部といつた6年制大学に通う学生の方が、4年制の学生に比べ自殺率が高いことが、茨城大学保健管理センターの内田千代子助教授(精神科)らの調べでわかった。カリキュラムのきつさなどが理由として考えられ、内田助教授は心のケアが必要と指摘する。21日、札幌市での日本精神神経学会総会で発表した。
内田助教授らは全国立大学の9割にあたる88校からデータの提供を受け、79年から00年までの数値を集計・解析した。
22年間の自殺者の合計は979人。男女別で学生1万人当たり・1年当たりの自殺者数を比較すると、95〜00年の場合、6年制男子は2.3人、6年制女子は2.1人。これに対し、4年制男子は文系が1.8人、理系が1.4人、女子も文系が0.6人、理系が0.7人と、いずれも6年制より低かった。94年以前も同様の傾向だった。
内田助教授は「医学部生らはカリキュラムが詰まっていて、医師へのレールから一度外れると、どうしていいか分からなくなりやすいのではないか。教育の見直しと、心のケアの態勢づくりが必要だ」と指摘している。


被告医師「家族の要請」主張 川崎協同病院男性窒息死 チューブ取り外しで

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筋弛緩剤を投与するなどして男性患者(当時58)を窒息死させたとして、殺人罪に問われた川崎協同病院(川崎市)の元呼吸器内科部長・須田セツ子被告(49)に対する被告人質問が27日午前、横浜地裁で始まった。弁護側の質問に対し、須田医師は、呼吸を助ける気管内チューブを外した点について「『外してほしい。みんなで考えた結果』と患者の妻に要請された」と主張した。須田医師が公の場で自ら意見を述べるのは初めて。
起訴状などによると須田医師は98年11月16日、ぜんそくの発作で入院中の患者から呼吸を助けるための気管内チューブを抜き、准看護師に筋弛援剤3アンプル(6ミリグラム)を投与させたとされる。
治療行為の中止が許される要件としては95年、横浜地裁が東海大病院安楽死事件判決で
1、死が避けられない末期状態
2、患者本人の意思表示(ない場合は家族からの推定)−を示した。
被告人質問で須田医師は事件当日の経緯について、家族からの希望で妻と話をしたところ「『チューブを外してほしい』『見ていてつらい』と言われ、びっくりした」と説明した。「抜けば息ができない」「早けれぱ数分で最期になる。みなさん了解していらっしやるのか」と聞くと、妻は「わかっています。みんなで考えた結果です」と答えたと主張した。
チューブを外す直前のやりとりについてはすでに証人尋問に応じた患者の妻が「外す要請はしていない」と証言しており、争点になっている。
また、須田医師は事件当日の患者の病状について、肝機能や呼吸状態がさらに悪化し、回復の見込みはほとんどないと判断したと説明。3日前には急変した場合の心配蘇生措置について、妻から「覚悟はできているので、しないで結構ですと言われていた」とも語った。

麻酔科医、過酷な残業 大学病院付き108時間「ミス心配」6割

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手術中の患者の全身管理を担当する麻酔科医の多くが長時間の勤務や残業を強いられ、6割が医療ミスを心配している実態が、日本旦麻酔科学会の初の調査で分かった。大学病院では残業が月平均108時間と、過労死の労災認定基準で「発症との関連性が強い」とされる水準に達し、平均月4.2回の当直の翌日も通常勤務が大半たった。医師の大規模な勤務実態調査は珍しい。
名古屋市で開かれる同学会で27日、発表する。
日本産業衛生学会と協力し、大学病院116(回収率71%)、一般病院1525(同47%)、麻酔科医個人800人〈同34%)を対象に調べた。常勤の平均人数は大学が10.1人、一般2.6人で、1人当たり1年間の全身麻酔症例は大学296回、一般388回だった。
症例が多い麻酔科医ほど、6時間以上の長時間手術や、手術が午後5時以降の時間外にずれ込む日数も多い傾向があった。月に38回以上全身麻酔をする医師では長時間手術が平均月8.4回、時間外にずれ込む日が15.1日上った。
麻酔科医は手術中ずっと呼吸や心拍、血圧など患者の全身状態の管理を担い、手術の限界を判断するため、「患者の弁護士」と例えられることもある。
だが大学病院の51%、一般病院の69%が「長時間手術でも原則、終了まで1人で行う」と回答。長時間、強い緊張にさらされていることが分かった。休憩なしに緊張を持続できる時間は90%の麻酔科医が「4時間以下」とし、59%が「医療ミスをしないか気にかかる」と不安を覚えていた。
月の残業時間は、他施設への応援を含め大学が平均108時間、一般が53時間。これに院内での当直が大学で4.2回、一般で2.6回、緊急時の呼び出しに備えてえて自宅待機する宅直が大学で5回、一般で11.6回加わった。しかも当直明けは大学、一般とも90%以上の病院が通常通りの「全日勤務」だつた。
過労死の労災認定基準では「脳・心臓疾患の発症は、時間外労働が月45時間を超えて長くなるほど業務との関連性が強まり、発症前1カ月間に約100時間を超えれば関連性が強い」とされる。
日本では従来、外科医自ら麻酔をかけることも多かったため、欧米に比ベ、麻酔科医は少ない。患者の安全確保で近年、麻酔科医の重要性が再認識されて需要が高まり、負担が増してきた。
調査に携わった労働科学研究所(川崎市)の酒井一博・常務理事(産業疲労研究)は「慢性的な疲労状態が続けば、医療事故が起きても不思議はない。病院として医師の働き方を点検し、改善してほしい」と指摘する。

放射線、111人に過照射 岩手医大副作用は確認されず

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盛岡市の岩手医大付属病院(川副浩平院長)は22日、98年9月から昨年12月までの5年3カ月間に、がん患者など111人の放射線治療で適正量を上回る放射線を照射していたと発表した。メーカーが装置の初期設定を誤り、病院も間違いに気づかなかった。今のところ、副作用は確認されていないという。
病院によると、過剰照射の程度は、10%未満が8割強の93人。10%以上20%未満か17人で、24%に達した患者が1人だった。今後、副作用が出る恐れがないとはいえないとみて、経過を観察しているという。国立病院機構弘前病院(青森県弘前市)などの放射線治療事故を受け、昨年末から放射線量を調べた結果、98年9月に導入した放射線治療機器で、照射量や照射範囲などを計算する治療計画装置のソフトの設定に際し、メーカーが入力を誤っていたことが、4月末に分かった。
照射深度を調整する補助具を使って、ある強さの放射線を照射する場合に、治療計画装置が照射量を適正値より大きく計算していた。病院側も、過剰な照射に気づかないでいたという。

福島県医大側 寄付3年で5900万円医師派遣11病院などから

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福島県立医大(福島市)の茂田士郎学長が理事長を務める財団法人「県医学振興会」が、01〜03年度で計約5900万円の寄付を県内外の12の公立病院などから受けていたことがわかった。病院側はいずれも医大の医局から医師の派遺を受けており、寄付金は財団を経由して医局に入っていた。金額を指定して病院側に寄付を要請した医局もあった。
朝日新聞の県に対する情報公開請求で開示された01〜03年度の財団の寄付受付簿から分かった。寄付をしていたのは、福島県内の10公立病院と山形県の米沢市立病院。ほかに岩手県医療局が100万円を寄付していた。
3年間の寄付額は、国保原町市立病院(福島県原町市)が計約1360万円で最多。公立藤田総合病院(同県国見町)約1100万円、小高町立病院(同県小高町)約1千万円、と続く。寄付について、病院側には「医師確保のためとみられても仕方ない」との声がある。
寄付金を受け取っていた医局の一つ、皮膚科は毎年2月ごろ、医師の派遣先である各病院に対して医局長名で文書を送っていた。1病院あたり年間数万〜十数万円の具体額が記されており、各病院はこの要請に沿った寄付をしていた。
医大側は、各病院から依頼を受けて実施した検査の実費を年度末に翌年度の寄付として要請していた、と説明している。

内視鏡、高速回線使い遠隔操作 慶大など成功、専門医治療に道

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高速回線を使い、初めて遠隔操作で内視鏡を動かして治療することに、慶応大医学部と国立病院機構東京医療センター(東京都目黒区)が成功し、12日発表した。これまで遠くの専門医が画像を見ながら内視鏡の動かし方を音声で指導していた。今回の方法だと、遠くの専門医が自分で内視鏡を動かしてみせながら指導することが可能になる。
治療は3月25日に行われた。東京医療センターの40代の患者の胆嚢を摘出するもので、慶応大から専門医が内視鏡を操作。どこをどのように切るかを確認しながら、センター側の医師が摘出するのを指導した。治療は順調で、患者は退院している。
今回の特徴は、高速の商用回線を使い、リアルタイムで双方向通信を可能にしたこと。これで遠隔地からの操作ができるようになった。オリンパスや日本テレコムなどが機器や回線の整備に協力して実現した。
慶応大の北島政樹医学部長は「離れていても適切な指導ができれば未熟な事故はなくなるはず」と話している。

病院HP広告誇張は『だめ』都、自主規制へ指針

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東京都は、病院や医院がホームページ(HP)で信頼性が十分でない治療効果などを誇張宣伝しないよう内容の基準を示すルールを今年度中に作る方針を固めた。屋外の看板などの広告内容は医療法で規制されているが、HPは事実上、野放し状態。都は患者側の選択手段を増やせるように医療機関の情報提供に力を入れているが、情報の信頼性を高める必要があると判断した。
厚生労働省によると、HP内容の規制は都道府県で初の試みという。
都が医療機関のHPを調べだところ、研究中で評価が定まっていない治療方法なのに、効果を「画期的」と断定的にうたう例や、医師の技術を誇大に宣伝しているとみられる例もあった。
厚労省によると、病院などが広告できる内容は医療法で決められ、診療時間や医師の略歴など客観的事実以外は許可されていない。だが、規制対象になるのは駅前や病院前の看板など不特定多数が見る広告で、HPは対象外だ。
都が2、3月に都民ら約490人にアンケートした結果では、医療機関を選ぶ基準は「医療技術への信頼」が最多の87%。選ぶ際の情報をインターネットで調べると答えた人は57%に上った。こうしたことから、都あhルールが必要と判断した。
ただ、罰則付きの条例などの形で厳しい規制を導入すると、医療機関からの情報発信が後退するとの懸念もあるため、自主規制を求めるルールを想定している。
13日に識者らによる医療情報提供推進検討会を立ち上げ、協議結果を受けてルールを作成、医師会などと協力し浸透させるという。

横浜労災病院気管チューブずれ低酸素脳症 60代女性が死亡

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横浜市港北区の横浜労災病院(阿部薫院長)で4月下旬、集中治療室(ICU)に入院していた60代の女性患者が、気管に差し込まれたチューブがずれて低酸素脳症に陥り、8日後に亡くなっていたことが分かった。病院は、人工呼吸器とつながっていたチューブが作業中にずれ、酸素が十分に届かなくなったことが低酸素脳症の原因とみて遺族に謝罪、医療事故として港北署に届けた。同署は死因の特定を急ぐとともに、関係者から事情を聴く方針。
病院によると、この女性は4月13日、交通事故にあった後、ICUで治療を受けていた。22日未明、看護師2人が女性の体の向きを変えようと腰のあたりを15センチほど動かした際、気管のチユーブが1センチほど浮き上がっていることに気付いた。看護師はチユーブを戻し、女性が呼吸していることを確認したという。
約5分後、チューブのホルダーを交換後に血中酸素飽和度や血圧が低下。別のチユーブを口から入れて血圧は回復したが、低酸素脳症にかかり、30日に死亡したという。
病院は外部の専門家も交えた医療安全対策委員会を開き、どの時点でチューブがずれたのかなどを調査している。
郡建男副院長は「チューブの装着を確認していたはずだが、不十分だった。より詳しい医療安全に関するマニュアルをつくり、徹底していきたい」と話している。
同病院は独立行政法人が運営し、ベッド数は650床。

福島県立医大7病院から260万円分受領

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福島県立医大(福島市)がいわき市立常磐病院から金品を受領していた問題で、同医大が03年度、他にも県内の7公立病院から現金など計約260万円分を受け取っていたことがわかった。各病院は「長年の慣習で、社会的な儀礼の範囲だ」と説明している。医大側は「調査中なのでコメントできない」としている。
朝日新聞の情報公開請求に対し、各病院が開示した03年度の交際費に関する公文書などから明らかになった。
金品を渡していた病院と金額は、公立相馬病院(相馬市)約87万円▽公立藤田総合病院(国見町)52万円▽国保原町市立病院約32万円▽小高町立病院約34万円▽公立岩瀬病院(須賀川市)27万円▽公立小野町地方総合病院21万円▽梁川町国保病院約9万円。

過剰投与で女性が死亡

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神奈川県相模原市の北里大学病院(藤井清孝病院長)で先月、70代の女性患者が通常の使用量を大幅に上回る抗不整脈剤「リドカイン」を投与され、間もなく死亡していたことが分かった。病院は投薬ミスが死亡につながったとみて、県警相模原署に報告した。同署は業務上過失致死の疑いで担当医らから事情を聴いている。
病院などによると4月6日、がんで入院していた女性患者が不整脈になり、男性研修医がリドカインを注射したところ、女性は間もなく容体が悪化し死亡したという。
リドカインは過剰投与すると中毒症状などの副作用を引き起こす恐れがあるが、使用量や投与方法について研修医が確認を怠っていた可能性が高いという。研修医は同署の調べに対し、投薬ミスを認めているという。
リドカインの投薬ミスによる医療事故は全国的にも相次いだため、同病院は昨年7月、一般病棟の常備薬からリドカインを外していた。緊急用としては配置を続けていたが、今回の事故を受けて病棟内からすべて撤去したという。

慈恵医大7700万円不正プール 研究費補助文科省は返還命令へ

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東京慈恵会医科大学は6日、同大学臨床医学研究所(千葉県柏市)で、00年度から4年間に国から受けた補助金約1億7千万円のうち約7700万円を不正にプールしていた、と文部科学省に報告した。余った補助金をカラ伝票を作るなどして業者に預けていた。文科省は補助金適正化法に基づき、近く加算金を含め返還を命じる。
プールされたのは、同研究所の前所長、高橋弘・元教授(52)=懲戒解雇が責任者だった二つの研究への補助金。
文科省への報告によると、肝臓がん治療のための「新技術開発研究」は、00年度に4830万円の補助を受け、このうち使い切れなかった3700万円を研究所と大学事務職員が医療機器業者に預けていた。その後も研究所が03年度までカラ伝票を作成するなどして、余った補助金をプールしていた。不正額は5600万円に上るという。
また、遺伝子治療研究への補助金「オープン・リサーチ・センター整備事業」でも、01年度から03年度に助成された約5千万円のうち2100万円を、研究所が同様の方法でプールしたという。
補助金は年度内に使い切ることが原則で、余った場合は返還しなければならない。文科省はだれが関与していたか不明な点も多く、引き続き調査を大学側に示した。
大学側は「私的な流用はなく研究に使った」とし、高橋・元教授は「プール金には関与していない」としている。

抗がん剤2倍投与、死亡秋田大病院、10代女性に

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秋田大医学部付属病院は30日、腫瘍性疾患で入院していた10代の女性患者に、適量の2倍にあたる抗がん剤を投与したため、患者が心不全で死亡した、と発表した。遺族に謝罪し、文部科学省や秋田県警などにも届け出たという。
加藤哲夫院長らによると、患者は昨秋入院し、8日間に4種類の抗がん剤の投与を受けた。2倍投与したのはこのうちの「エンドキサン」という薬。本来は1日に1回2.9グラムずつを2日間投与するが、1日に2回、2日間で計11.6グラム投与された。その後、腎機能低下や急性心不全の症状を表し、5日後に死亡したという。
主治医は投薬回数を「1日2回、2日間」と思い込んで投薬計画表を作成し、適正量の脇に「X2」と記入。別の複数の医師が計画表をチェックしたが、間違いに気づかなかったという。
当初、病院側は死因は化学療法による合併症と説明。だが4月21日、遺族に治療内容などをただされ、調査の結果、26日に誤りが判明した。

横浜の病院セラチア菌院内感染、60代死亡

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横浜市戸塚区の国立病院機構横浜医療センター(高橋俊毅院長)は30日、セラチア菌による院内感染が発生し、60代の男性患者2人が敗血症になったと発表した。うち1人が死亡し、もう1人が一時重症となったが、現在は小康状態を保っているという。
同院は「死亡した男性は点滴で感染した可能性がある」としている。
病院によると、死亡した男性は肺炎のため、4月8日、内視鏡を使って胃に流動食を流し込む管の挿入手術を受けた。12日に高熱などの敗血症の症状が出て、13日に死亡した。もう1人の男性は脳幹梗塞で、5日に同じ手術を受け、7日ごろに発症した。内視鏡から菌は検出されていないという。

東大病院側の過失を認める6600万円賠償命令

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東京大学医学部付属病院(東京都文京区)で研修医に鎮静剤を投与されて容体が急変し、意識不明が続いている男性(85)の家族が国に約1億300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決か24日、東京地裁であった。菅野博之裁判長は「研修医は患者の急変に対応する態勢を整えずに鎮静剤を投与した」として医師の過失を認定。当時、研修医が1人しかいなかった病院側の管理態勢にも触れ、東大側に計約6600万円の支払いを命じた。

併用禁止薬使って死亡 聖マリアンナ東横病院処方、引き継ぎミス

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聖マリアンナ医科大東横病院(川崎市中原区、斎藤宣彦院長)で先月末から今月初めにかけ、大腸がん治療で入院した60歳代の男性患者に、併用が禁止されている二つの経口抗がん剤が同時に処方され、患者が副作用による多臓器不全で死亡していたことが明らかになった。病院側はミスを認めて遺族に謝罪するとともに、神奈川県警に事故を届けた。院内に事故調査委員会を設け、処方ミスが起きた経緯や、それをチェックできなかった原因を調べている。
病院によるとこの男性は02年8月、同病院で大腸がんと診断され、手術を受けた。退院後、がんが転移したため、入退院を繰り返しながら抗がん剤治療を続けていた。
今年3月18日に4度目の入院をし、同25日、主冶医が抗がん剤を、それまで使っていた「フルツロン」(商品名)から効果の強い「ティーエスワン」(同)に変更した。
フルツロンとティー工スワンは同系統の抗がん剤で、併用すると毒性が強まり、白血球や血小板が急減するなど、命にかかわる副作用が出ることが分かっている。両剤の添付文書には併用禁止を明記している。このため主治医は薬を切り替える際にフルツロンの投薬中止を口頭で看護師に伝えていた。
ところが5日後、この男性患者が他に服用していた糖尿病や胃潰瘍などの薬が切れたため、同じ外科の大学卒業後2年目の研修医が、前回の処方内容を参考にフルツロンも過って一緒に処方。患者は3日間にわたって二つの抗がん剤を同時に服用した。4月2日に主治医が気づき投与を中止したが、同13日、患者は死亡したという。
同病院の山越昌成・副院長によると、主治医の「フルツロン中止」の指示はカルテなどに記載されず、併用による副作用の危険性も医師、看護師の間で十分に認識されていなかった。また、副作用が強い抗がん剤でも、経口薬については薬剤部が記録してチェックする対象外だったという。
山越副院長は「ミスによって副作用を起こし、患者さんの死期を早めたことは事実。今後、医師や看護師ら関係者から事情を聴き、徹底的に調査したい」と話している。

がん放射線治療機器の違いで生存率3倍差

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放射線治療が有効とされる子宮頸がんや食道がんでは、適切な機器を使えるかどうかや機器の性能によって生存率に最大で約3倍の格差があることが、厚生労働省の研究(班長=手島昭樹・大阪大教授)の調査で分かった。予算不足で病院側が機器を備えていない例が少なくないという。
研究班は放射線治療をする約700病院から75施設を選び、95〜97年に放射線治療を受けた患者の治歳成績を調べた。進行した子宮頸がんの場合は手術をせず、子宮内に入れた管から放射線で治療する「腔内放射」をすることが多い。この治療を受けた患者の5年後の生存率は進行度3期で64%、より進んだ4期で38%。一方、格器がないなどの理由で受けていない患者だとそれぞれ23%だった。腔内照射は、1億円前後する専用機器が必要になる。
体の奥にできる食道がんでは、エネルギーの高い放射線機器で治療を受けた患者の3年生存率は、3期で18%。低エネルギーの機器だと5%だった。

歯科医師試験漏洩教授の控訴棄却

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奥羽大学(福島県郡山市)を舞台にした歯科医師国家試験問題漏洩(ろうえい)事件で、歯科医師法違反(試験委員の不正行為の禁止)の罪に問われた日本歯科大学教授の丹羽源男被告(59)=休職=の控訴審判決が2日、東京高裁であった。須田賢裁判長は、懲役1年執行猶予3年とした一審・東京地裁判決を支持し、控訴を棄却した。丹羽教授は最高裁に上告した。
須田裁判長は「一審の証拠からも、試験の情報を漏らしたのは明らか」と無罪主張を退けた。

医師国家試験合格率9割割る

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厚生労働省は22日、今年3月に実施した医師国家試験の合格者を発表した。受験者数は8439人で、7457人が合格。合格率は88.4%で、79.1%だった00年以来、4年ぶりに9割台を割った。合格者のうち女性は33.8%で過去最高となった。最高齢は、89年に京都大医学部を卒業した54歳の男性だった。

患者256人に対し放射線過少照射 会津若松の病院

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福島県会津若松市の財団法人竹田総合病院(青木孝直院長)で、99年3月から04年4月まで、がんなどで放射線治療を受けた患者256人が放射線を必要量より少なく照射されていたことが21日、分かった。照射量が基準より少ないと、治療効果が落ちるとされるが、患者への影響などについては、つかめていない。同病院は県などに医療事故として報告、同日、青木院長らが記者会見して発表した。患者には同日付で、おわびの文書を郵送したという。
過少照射は、放射線測定器具を導入した際の設定ミスが原因で、医師が指示した量より約2%から30%の範囲で照射が少なかった。

生体膵腎同時移植女性患者が退院

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腎不全を伴う重い糖尿病のため、今年1月に国内初の生体膵(すい)腎同時移植を受けた30代の女性が19日、千葉市の国立病院機構「千葉東病院」(旧国立佐倉病院など)を退院した。膵臓の一部と片方の腎臓を提供した女性の父親(60代)は提供後15日で退院し、仕事に復帰しているという。
会見した主治医らによれば、移植した膵臓からのインスリン分泌は良好で腎臓の働きも良く、インスリン注射や人工透析の必要がなくなった。

診療記録、ごみ収集所に 宇都宮の病院、150人分

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宇都宮市にある栃木県済生会宇都宮病院(中沢堅次病院長)が作成した約150人分の診療報酬明細書の下書き(中間レセプト)が、市内のゴミ集積所に放置されていたことがわかった。
中間レセプトは16日朝、宇都宮市富士見が丘2丁目のごみ収集所で、近所の女性が見つけた。可燃ごみの袋の周辺に多数散乱していたという。
書類はA4判で、1枚に病名や投薬量など患者1人分の個人情報が記されていた。病院側によると、中間レセプトは、正式なレセプトを提出する前に、不備がないか点検するために作成するもので、放置されていたのは、3月に外科で診療を受けた約1500人分の患者の一部という。
規則では、社会保険診療報酬支払基金に提出しない中間レセプトは段ボール詰めし、古紙再生業者に渡すことになっていた。しかし、処理前の管理は担当者に任せられており、院外への持ち出しも禁じられていなかった。病院側は「担当者が『勉強のために持ち出し、可燃ごみとして捨ててしまった』と話している。今後は、持ち出し禁止などの対策をとるとともに、情報が流出した患者にどう対応するかを協議したい」としている。
中間レセプト
ーカ月間の医療費の請求書である診療報酬明細書(レセプト)の記載内容を事前に点検するため、医療機関が中間段階で独自に作成する内部資料の通称。仮レセプトとも呼ばれる。毎月10日の提出期限前に集中するレセプト作成の事務作業を分散させるのが目的で、途中段階での電子データを印刷し、事前に内容の確認や修正をする。
正式なレセプトと同様の形式で、患者の病名や処置名、検査名、投与された薬剤名などが記される。

広尾病院事件 元院長有罪確定へ 最高裁が上告棄却

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東京都立広尾病院で99年2月、患者の主婦か誤って消毒液を点滴され死亡した医療ミスを隠したとされる事件で、最高裁第三小法廷(浜田邦夫裁判長)は13日、医師法違反、虚偽有印公文書作成などの罪に問われた元院長・岡井清士被告(68)の上告を棄却する判決言い渡した。二審の懲役1年執行猶予3年、罰金2万円が確定する。
遺体を検案して異状を認めた場合、医師法は24時間以内の警察への届け出を医師に義務づけている。この規定が、自己に不利益な供述の強要を禁じだ憲法38条に反するかどうかが争点となった。同小法廷は「医療ミスの刑事責任を問われるおそれがある場合でも屈け出義務を負うとすることは憲法に反しない」とする初判断を示した。
同小法廷はまず、「検案とは医師が死因などを判定するための死体の外表検査で、死体が自分の診療していた患者か否かを問わない」と判断。「診療中の患者には死体検案書でなく死亡診断書を作成すべきだ」との弁護側主張を退けた。そのうえで、異状死体は重い犯罪にかかわる可能性があり、届け出の公益性は高いと指摘。「診療ミスなどの犯罪が発覚する端緒を与えるなど一定の不利益を負う可能性があっても、人の命を直接左右する医師の資格に付随する負担として許される」と結論づけた。

受精卵診断産科婦人科学会 大谷医師を除名

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日本産科婦人科学会は10日、東京都内で総会を開き、男女生み分けなどのため受精卵診断(着床前診断)を学会に無断で実施した大谷産婦人科(神戸市)の大谷徹郎院長を賛成多数で除名処分にした。重い遺伝性の病気に限り個別審査を受けた上で実施を認めるとする会告(指針)に違反したことが理由。大谷院長は、除名処分無効を求め「学会を提訴する方針を明らかにした。医師免許に影響はなく、診療行為は続けられる。生まれてくる子どもに重い病気がないか、事前に判断する方法では、妊娠中の羊水検査による出生前診断が実施されている。受精卵診断は、体外受精した受精卵が数個の細胞に分裂した段階で、染色体や遺伝子を調べる検査。中絶は避けられるが、生命の選別につながると懸念する声がある。

過照射ここ3年に集中 放射線事故全国で5件機種の複雑化背景

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国立病院機構弘前病院で放射線過剰照射のために1人が亡くなった事故の原因は、医師と技師のコミュニケーション不足だった。放射線の誤照射は、過去3年間で5件発覚しており、その原因をたどると、複雑化した新しい機種に絡んだものが多い。日本医学放射線学会などは、機器管理士(仮称)の設置の検討など、管理態勢の強化に乗り出した。
弘前病院によると、過剰照射が分かったのは03年8月だつた。直腸炎の患者の過去の治療記録を調べたところ、かつて前立腺がんの放射線治療を受けた際、医師が指示した放射線の量より多い放射線を浴びせていたことが判明。医師が指示をした放射線照射の数値と、それを受け止めた放射線技師が計算してはじきだした数値とが一致していなかった。
原因について「国立弘前病院過剰照射事故調査団」は、治療を担当していた医師が代わった際、新任の医師が、前任医師とは異なる放射線数値表示法で示していたことに注目。技師はこれまでと同じ表示法と思いこみ、必要量より多くなったとみている。指示された数値と、実際に照射された線量の確認がなされていなかったため、長期間、誤りに気付かなかった。過去の主な放射線照射事故をみると、01年に虎の門病院(東京)で23人が過剰照射を受けたことが明らかになったのを始め、5件の事故がここ3年に集中している。

放射線過照射1人死亡 弘前病院60人副作用か

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青森県弘前市の国立病院機構弘前病院で昨秋明らかになった放射線の過剰照射が原因で、すでに1人が死亡し、60人に副作用が出る可能性があることが分かった。うち26人は重い副作用が出る可能性もある。専門の医師らでつくる調査団が10日、日本医学放射線学会で発表した。ここ数年に病院で相次いだ過剰照射事故で、死者が明らかになったのは初めて。
事故の発覚後、関係する学会などで組織された「国立弘前病院過剰照射事故調査団」によると、がん治療などの際に過剰照射を受けたのは、95〜99年に276人。約9割が25%以内の過剰照射だったが、2倍以上の量を浴びた人も1人いた。
このうち、食道がんで治療を受けた64歳の男性は本来、33回にわたって計66グレイの照射を予定していたが、計82.5グレイの放射線を受けた。
4カ月後に退院したが、13カ月後に呼吸困難の症状が現れ始め、34カ月後に死亡した。解剖すると食道がんは治っていたが、照射を受けた周辺の食道や肺、心臓などに障害が認められ、過剰照射による死亡とみている。
また、過剰照射で副作用が出る恐れのある患者は114人だったが、54人がすでにがんなどで死亡。生存している60人のうち、26人が今後重い副作用が出る可能性があるとした。
過剰照射が発覚したは昨年8月、直腸炎になった患者の過去の治療を調べたのがきっかけ。照射する線量を医師が放射線技師に指示して、データを照射装置に入力して操作するが、その際に2通りある計算方法を両者がそれぞれ違って使っていたため、予定より多い量の放射線を照射することになった。調査団は、いし研ぎ師が別々の表示方法を採用していたことが原因としている。

透析で2.2%院内感染 C型感染

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日本透析医学会と日本透析医会は、人工透析の患者が透析施設でC型肝炎ウイルス(HCV)に感染する恐れがあるとして、薬剤の管理の徹底などを求める緊急勧告を全国約3500カ所の人工透析施設に出した。厚生労働省の研究班(班長=山崎親雄・同医会会長)の調査では、人工透析を受けた患者の2.2%が院内感染していた可能性があるという。
勧告は、「同時錐集団感染の可能性や、日常的に繰り返す感染の可能性も示唆される」などとして、国から示されている薬剤の取り扱いを定めたマニュアルを守るよう求めている。
研究班の調査は、任意に参加した全国の施設が対象。人工透析を受けた患者約5万2千人のうち、2.2%にあたる約1100人が、01年の1年間でHCVの抗体検査の結果が陰性から陽性に転じた。
国内の透析患者は約23万人おり、年間数千人が感染したとの推定もあるという。山崎会長は「何らかの形で人工透析の際に使われた生理食塩水や血液抗凝固剤などを介してウイルスに感染したのではないか」と話している。

膵島移植手術 国内初の実施 心臓停止後の人提供

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京都大病院は8日、血糖値を下げるインスリンを膵臓内で分泌する膵島(ランゲルハンス島)を重い糖尿病患者に移植する手術を国内で初めて実施した、と発表した。成功すれば、毎日していたインスリン注射の負担が軽くなる。膵島は心臓停止後の人から提供された。
病院側によると、移植を受けたのは、インスリンの分泌が不足する1型糖尿病患者で近畿地方に住む30代の女性。心停止した40代の男性から膵臓を摘出し、約35万個の膵島を分離して移植した。移植は7日夜に実施、約20分で済んだという。
膵島移植は、膵島を点滴で患者の肝臓に注入し、肝臓内でインスリンを分泌させる。膵臓移植と違って、開腹手術は必要なく、重症患者にも移植できるのが利点とされる。
膵島は膵臓にある直径0.3ミリほどの細胞の塊。成人では100万個ほどあるとされる。欧米では脳死提供者などからの膵島移植が600例以上実施されている。カナダで00年に、新しい移植手法が開発され、成功率は約8割に向上していた。

名義貸し医師1500人 厚労省過去5年分も再調査へ

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医師の「名義貸し」があったとされる大学医学部・医科大に、医師名と医療機関名の提出を求めていた厚生労働省は8日、調査状況をまとめた。50大学で不正が行われ、名義を貸した先の医療機関は、43都道府県にまたがる500カ所を超え、医師数は1500人に達した。地方社会保険事務局などは、過去5年分にさかのぼって再調査する方針で、関与した医師数は増える見通しだ。
当初、名義貸しをしていた大学は文部科学省の調べで51大学とされていたが、うち1大学の事例は歯科医師だったため調査対象からはずした。北海道大と札幌医科大、旭川医科大、東北大では、北海道や県などによる調査で、約200カ所の病院で計約千人が、まったく勤務実態がなかったり、勤務時間が少ないのに常勤と偽るなどの名義貸しをしたことが分かった。残る46大学は02年4月からの1年半に355カ所の病院や診療所に対し名義貸しをし、医師数は603人にのぼった。
名義を借りていた医療機関は、02年からこれまでに9病院が不正に診療報酬を受給したとして保険医療機関の指定取り消し処分を受けている。
今後、都道府県などが順次立ち入り調査に入る。医師数を水増しして診療報酬の減額措置を逃れた事実が確認できれば、社会保険事務局が保険医療機関の指定取り消しを検討する。同事務局は46大学に対し過去5年間在籍した全医師を対象とした名義貸しの実態を調べるよう求める。

胃がん検診で不正受給 大阪・交野個人病院「規定検査」装う

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大阪府交野市の個人病院が、市から委託された市民向けの胃がん検診で、市に無断で大半の受診者に規定外の胃カメラ検査をしながら、規定通りのように装い、市から委託料を受け取っていたことがわかった。検診は老人保健法に基づいており、健康保険の診療報酬は請求できない。だが、少なくとも過去3年間、胃カメラ分について一部請求していたといい、検査料の二重取りもあった。病院は先月末、過去6年間に受け取った委託料約7200万円を全額、市に返還した。
市によると、この病院は97年10月〜昨年9月、市から市医師会を通じて胃がん検診を委託され、計4369件の検診をした。市の規定は、エックス線を利用した「バリウムによる胃透視検査」と定めていたが、病院は大半の受診者に対し、胃カメラを使って検査していたという。以前から胃カメラ検査を受診しに訪れる市民が多く、市の胃がん検診でもほとんどの人が希望したという。
規定外の検査では、委託料は払われないことになっていたが、病院は医師会を通じて市にすべて規定の検査をしたように申告し、委託料として1人当たり1万6500円を受け取っていた。受診者からは規定通り1人500円の費用を徴収していたという。昨年11月、市民の指摘で発覚した。
一方、この病院は胃カメラ検査が医療行為にあたることから、健康保険を適用し、診療報酬も請求していたという。医師会が過去3年間について調べたところ、二重取りをしていた例が見つかったという。
市健康増進課によると、市には病院から受診者名簿と問診票しか提出されておらず、規定通りの検診をしているか確認していなかったという。
市医師会の片岡汎規事務長は「市から委託を受ける機関として、起きてはならないこと」と話している。

内視鏡訓練九大に拠点 今秋年1000人受け入れ

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九州大学が、同大病院内に今秋、内視鏡外科手術専門のトレーニングセンターを開設する。内視鏡を使う手術は患者の体への負担が少なくて済むため、さまざまな医療で導入されているが、事故も起きている。同大は内視鏡の導入では草分け的存在で、蓄積した技術を学内外の外科医に学んでもらう。将来的には、年間千人の外科医を国内外から受け入れるアジアの訓練拠点を目指す。
内視鏡手術については日本内視鏡外科学会が各地で研修会を開いているが、器具に慣れるための集中的な訓練ができる国内の研修施設は医療機器メーカーの数カ所しかない。九大病院内に設けられる予定の「内視鏡外科トレーニングセンター(仮称)は、大学や医療機関では国内初の本格的な施設になる。
計画に携わる同病院先端医工学診療部の橋爪誠部長(九大大学院教授)によると、9月ごろの開設を目指し、研修医向けの基礎講座(5日程度)や一線の医師向けの応用講座(2日程度)などを用意する。すでに、韓国や台湾などから問い合わせが来ているとう。
内視鏡手術は、体に開けた数ミリ大の穴から、小型カメラやメス、鉗子などをつけた管状の器具を入れ、モニター画面を見ながら行う。普通の手術より傷が小さく済むため、患者の負担が少なく、回復も早い。90年以降、急速に広まった。日本内視鏡外科学会によると、01年の手術は約6万件で、93年の3倍になっている。
一方、臓器に直接触れないことなどから、医師にとっての難度は高い。東京慈恵会医科大学付属青戸病院では、経験のない医師3人が内視鏡手術に失敗し、患者を死なせたとして、業務上過失致死罪で起訴されるなど、技術不足が指摘された事故が目立つ。
橋爪教授は「複雑な動きをモニター画面をみながらこなさなければならないので、反復訓練で感覚を身につけるしかない。総合的な教育の仕組みが必要だ」と話す。
九大病院は胃カメラが開発されたばかりの50年代から、内視鏡による検査や治療に取り組んできた。一昨年、ロボットによる手術の訓練センターを設け、医師約60人を受け入れ、訓練している。橋爪教授は「新しい医療を取り入れ、しっかりした水準で普及させていくことも大学の使命。全国のモデルになるような取り組みにしたい」と話す。

自治体病院からの金品3大学に計3900万円

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東北大が医師を派遣した東北各地の自治体病院から金品を受けていた問題に関連し、福島県立医大、山形大、新潟大の3大学側も金品を受領していたことが、「北海道・東北市民オンブズマンネットワーク」の調べで3日わかった。贈答品や懇談会の費用なども含めると98〜03年度で計約3900万円。自治体から国への寄付は地方財政再建促進特別描置法で原則として禁じられている。
各地の市民オンブズマンが自治体病院に情報公開請求してまとめたところ、福島県立医大は福島、山形両県内の計3病院から約3350万円、新潟大は新潟、山形両県内の計5病院から約190万円、山形大も山形県内8病院から約340万円を受領していたとされる。名目は中元や歳暮、教授の就任・退官祝い、学会の開催費など。市民オンブズマンは「金品の多くは病院への医師派遣の見返りとみられ、特措法に触れる」とみている。
新潟大医学部の岡田正彦・副学部長は「詳細を把握しておらず、コメントしようがない」としている。福島県立医大の良門昭夫・総務領域総括参事は「自治体から直接ではなく(大学関係者らでつくる)財団法人を通じて受け取っており、法律に触れるとは考えていない」と話している。

山県市立病院放射線過照射 5人に重い副作用も

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山形市立病院済生館で放射線の過剰照射があった問題で、過剰照射を受けた25人のうち、照射された線量と部位から、5人に重い副作用が起こる可能性があることが1日、分かつた。軽い副作用が出かねないとされた人も含めると計19人に何らかの影響が出る可能性があるという。病院側の依頼で調査した医学放射線物理連絡協議会の調査団が明らかにした。
重い副作用が出かねないとされた5人は、すべて喉頭がんの治療を受けた患者。

筋弛緩剤混入事件被害少女側、病院と和解

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仙台市の北陵クリニックでの筋弛緩剤混入事件で、被害者で今も意識不明の状態が続く大島綾子さん(15)とその両親がクリニック側に約1億8千万円の損害賠償を求めた訴訟で31日、クリニック側が1億円の賠償金を支払うことで仙台地裁で和解が成立した。
双方の代理人の弁護士によると、筋弛緩剤の管理が不十分であったために事件が起きたことをクリニック側が認めた。しかし、少女側が求めていたクリニック側の救命措置に対する落ち度は、和解内容に盛り込まれなかった。

市川の病院にも

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千葉県市川市の「日下部病院」で腸のポリープの摘出手術を受けた男性(当時56)が術後に死亡したのは医師の過失が原因だとして、同病院を経営する医療法人恒陽会と医師に対し、妻らが約9402万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、東京地裁であった。片山良広裁判長は「医師が十分な輸血をしていれば、死亡することはなかった」と述ベ、約8051万円の賠償を命じた。

東京厚生年金病院「ミス」で賠償命令

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東京都厚生年金病院(東京都新宿区)の診察室で、79歳の女性が配線コードにつまずいて転倒して足を骨折し、その後の手術中に死亡したとして、遺族が、病院を運営する財団法人厚生年金事業振興団に4840万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、東京地裁であった。大橋寛明裁判長は「コードの配置は、安全性を欠いていた」と述ベ、1665万円の支払いを財団法人に命じた。

東京医療センターで治療ミス 国と主治医に1161万円賠償命令

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国立病院東京医療センター(東京都目黒区)の治療ミスで妻(当時56)が死亡したとして、夫(67)が、国と主治医を相手に1361万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、東京地裁であつた。貝阿弥誠裁判長は、「不適切な治療がなけれぱ、副作用で死亡することはなかった」と述ベ、1161万円の支払いを国と主治医に命じた。
判決によると、妻は悪性リンパ腫の治療のため同センターに入院。00年5月末かち多量の抗がん剤を投与されるなどの治療を受けた末、副作用を起こして同年7月初めに多臓器不全で死亡した。
判決は「医師はこの治療法による副作用や死亡の危険性を十分説明しておらず、患者も了承していない。この治療法を実施するべきでなかった」と述べた。主治医は、実際には危険性の説明をしていないのに、何回も説明したようにカルテに記載していた。
同センターは「最善を尽くしたが、我々の主張が受けいれられず残念だ。判決をよく検討して今後の対処を決めたい」との談話を発表した。

大衆薬販売、薬剤師以外でも危険性低い薬に新たな資格検討

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薬剤師の慢性的な不足や、ドラッグストアでの深夜販売の二ーズを受けて、厚生労働省は30日、処方箋を必要としない大衆薬の販売制度を大幅に見直す方針を決めた。医薬品を副作用などの危険性に応じて分類し、効き目が弱くて危険性の低い薬は、新たな資格を導入して、薬剤師以外でも取り扱える仕組みを検討。薬剤師には、効き目が強く危険性の高い薬の取り扱いに専念させる。06年度までに薬事法改正案を国会へ提出する方針だ。
改正案づくりは専門科会議で1年ほどかけて検討を進める。
薬剤師の数は現在、約23万人。薬局以外に大型量販店内の薬店やチェーン店が増加し、営業時間が長くなってきたため、常時配置が定められているのにもかかわらず、2割の店で薬剤師不在が常態化している。
改正案では、まず、風邪薬など1万3千品目ある大衆薬を効き目の強さに応じて数種類に分類。効き目や副作用などの危険性の低い薬は、薬剤師資格に類した新しい資格を持つ人でも取り扱えるよう規制緩和を検討する。一方、危険性などが高い大衆薬は、薬剤師による説明を今まで以上に必要とするように改めるなど、規制を強化する。
消費者が副作用などの説明を全く受けられない事態を解消させる。

慈恵医大補助金不正流用で教授解雇 indexへ

東京慈恵会医科大学は26日、文部科学省の補助金を不正に申請・流用したとして、同大学の臨床医学研究所(千葉県柏市)の所長・高橋弘教授(52)を懲戒解雇処分にした、と発表した。大学は補助金約2500万円と加算金の返還を文部科学省に申し入れた。高橋教授は「事実無根」としている。
大学が発表した資料によると、高橋教授は01年1月、先進的な研究に支給される文科省のオープン・リサーチ・センター整備事業に応募、同年4月に選ばれた。研究装置への補助金の申請書には遺伝子を分析する「DNAアナライザ」1台(4987万円、国の補助はその半額)と記載しながら、実際には、別の装置を購入した、という。
文部科学省もこの行為は補助金適正化法に違反する、としている。
高橋教授の代理人は「大学側が公表した事実はすべて事実無根。今後考え得る限りの法的措置を含め、潔白を証明していく」としている。