タイトル
ホーム 医療情報ネットワーク レセプト審査機構・現在 レセプト審査機構 病院審査機構 高齢者ネットワーク
★メルマガ申込★ AND OR
ページ内検索はWinはCtrlキーとFキーを,MacはコマンドキーとFキーを同時に推す。
外科部長、退職願を撤回 病院を批判 呼吸器外し問題 indexへ

 富山県射水(いみず)市の射水市民病院で患者7人が人工呼吸器を外され、死亡した問題で、うち6人について関与を認めた同病院の外科部長(50)が31日、射水市に提出していた退職願を撤回した。分家(ぶんけ)静男市長はこれを了承し、外科部長に4月1日から1カ月間の自宅待機を改めて命じた。外科部長は31日、病院側の対応を批判するなどした手書きの文書を自宅に張り出した。
 退職願の撤回受け入れについて市は「受け入れない理由をみつけることができなかった」としている。
 人工呼吸器の取り外しを同病院の麻野井英次院長が知ったのは昨年10月。院長は外科部長に自宅待機を命じるなどし、外科部長は今年3月6日付で辞表を提出。31日付で退職する予定だった。
 文書で外科部長は「自宅待機命令の内容や手続きは妥当性に疑問がある」と批判。患者6人のうち1人については麻野井院長にリポートを出したが、残る5人については説明する機会がないまま、計7人全員に部長が関与したという事実とは異なる発表がなされたなどとしている。また「(人工呼吸器は)救命治療のため装着したものであり、家族のご希望があったことから取り外した。延命治療のため人工呼吸器を装着した患者はおられません」と主張している。
 麻野井院長は「警察にすべてをまかせているのでコメントすることができない」とし、分家市長は記者会見して「コメントすることはない」と話した。

形成外科院長を不起訴 性転換手術中の男性急死事件 indexへ

 大阪市北区の美容・形成外科「わだ形成クリニック」で02年に実施された性別適合(性転換)手術で男性(当時35)が急死したとされる事件で、大阪地検は31日、府警が業務上過失致死容疑で書類送検した和田耕治院長(52)を不起訴処分(起訴猶予)とした。
 和田院長は02年2月、性同一性障害の男性を手術した際、麻酔の過量投与によって男性が呼吸困難な状態に陥ったのに適切な人工呼吸の措置をとらなかったうえ、手術後に重い肺水腫の症状が認められたのに心停止状態になるまで救急医療機関に移送せず死亡させたとして、昨年7月に書類送検された。
 地検は「過失の程度が極めて重大とはいえず、反省している。示談が成立しており、被害者側の意向も考慮した」としている。

呼吸器外し 外科部長「別れの時間作ろうと」 indexへ

 富山県射水(いみず)市の射水市民病院で患者7人が人工呼吸器を外され、死亡した問題で、29日午前、取り外しについて「家族の同意を得た」「別の医師と相談して決めた」との見解を明らかにした外科部長(50)は、午後までに複数回取材に応じ、自身の行為を「外してもすぐに患者は死に至るわけではない。別れるまでの時間が誕生する。そういう貴重な時間を作る思いだった」と説明した。
 外科部長が取り外し7事案全部にかかわったとした病院側の説明については「1件は別の医師が外し、私はかかわっていない」と反論した。
 患者側の同意書については「書面で担保になるものを取らせていただくのはその場にはふさわしくないというか、体面が悪いというか」と改めて説明。「慎重さが欠けてはいけないと努力したつもりだが、消極的安楽死が公に認められる条件をクリアするのが難しかった」と振り返った。
 人工呼吸器を外し、延命治療を中止する判断については「救命できないと分かった段階で患者のほとんどは脳死状態になっているのが現実だ。患者の気持ちを考え、次にできることを考えた。何ら恥ずべき行為ではない」とし、「外してから心停止までの数分間、患者の口に水を注ぐ家族がいた。徐々に過ぎていく時間は家族にとっても大事だと思う」と語った。
 「医学とは」との質問には、「笑われるかもしれないが、愛だ。大事なのは心電図ではない」と答えた。
 一方、同日夕に記者会見した麻野井英次院長は、外科部長が「他の医師と協議した」とした点について「外部の意見を含めて対策を取ったのか。複数の医師といっても、対等に意見を言えるもの同士だったのか。私が調べた範囲では不十分ではないかと考えた」と反論。かかわったのは「6事案」との説明については「外科のトップとして全部の方針決定にかかわっていたと判断した。具体的には把握していない」と話した。

「患者家族と信頼関係」 呼吸器外しで外科部長が説明 indexへ

 富山県射水(いみず)市の射水市民病院で患者7人が人工呼吸器を外され、死亡した問題で、治療の中止を指示したとされる外科部長(50)が29日午前、同市内の自宅で朝日新聞社などの取材に応じ、患者側の同意について「互いに強固に信頼し合う関係だったと思う。わかって頂けていると思っている」と語った。人工呼吸器の取り外しを判断する際は「もう1人別の医師と相談しながら決めたので、独断ではない」とも説明した。
 延命治療の中止には横浜地裁判決が違法性を問われない場合の要件を示しており、今回の取り外し事案もこれに沿って、(1)患者や家族の同意が明確に得られていたか、(2)患者の死期などについての医学的判断が独断で行われていなかったかが、焦点になっている。
 病院側はこの2点に問題があり、警察に通報したとしている。外科部長は今回、初めて自身の考えを語った。
 人工呼吸器を取り外す際は、7件すべてで家族が立ち会い、他の医師や看護師もいた、と説明。取り外しの判断は、相談する別の医師が遠方に行っていた際の1件だけ単独で行った、とした。
 さらに、「集中治療しても効果がない時、患者の気持ちを考え、次にできることは何かを考えた」と話し、取り外し行為については「消極的な安楽死というのが妥当」と評価した。
 同意書の有無についても言及。「信頼関係は形のないもの。同意書にサインしてくれとは申し訳なくて言えない。実際に存在しているかは、記憶がない」とし、「人が亡くなる時のルールとして、心停止がある。自分の行為がそれに反していることは分かっている」「法の判断に任せたい」などとも述べた。
 同様に延命治療を中止する医師は「(他にも)たくさんいるだろう」とし、今回の問題が公表され、広く報じられた点について「安楽死問題はもっと論議されるべき問題だと思っている。図らずも一石を投じる形になった。客観的に見て、必要な公表だったと思う」と話した。

京大大学院教授を懲戒解雇、業者から4500万円受領 indexへ

 京都大の教育研究評議会(議長・尾池和夫学長)は28日、京大大学院医学研究科の白川太郎教授(50)が大学に届けずに医療関連会社2社から計4500万円の資金提供を受けたとして、白川教授を懲戒解雇処分にすると決めた。資金授受を含む一連の行為が、京大教職員懲戒規定の定める「信用失墜行為」と「大学の教職員としてふさわしくない行為」に当たると判断した。
 大学側は近く処分を本人に通知する。白川教授は、解雇無効を訴える仮処分を申請するとしている。
 京大によると、白川教授は03年9月〜04年7月、医療機器の開発や販売を手がける神戸市と大阪府吹田市の2社から計3回にわたって計4500万円を受け取った。うち神戸市の会社からの1000万円は無利子の融資で、吹田市の会社からの2500万円と1000万円はそれぞれアトピー性皮膚炎の研究開発費とたんぱく質などに関する実験費として提供されていた。だが、大学で定める研究費受け入れ手続きはされていなかった。
 京大が吹田市の会社の代表者に資金の趣旨について聴いたところ、「貸したのではなく大学の手続きを取るように白川教授にお願いした」と話したという。白川教授は27日に会見し、金銭はいずれも「個人的な借金だった」と主張していた。
 白川教授は健康増進・行動学が専門。東洋医学などの代替医療を取り入れた統合医療や、アトピー性皮膚炎の遺伝子解析を研究しているという。

都内の眼科医、医業停止中も診察し脱税 容疑1億6千万円 indexへ

 茨城県や東京都で美容外科や眼科を経営する柳瀬浩司院長(43)が、04年分までの2年間で得た診療報酬など約4億6000万円の所得を隠し、約1億6000万円の所得税を免れたとして、東京国税局が東京地検に所得税法違反(脱税)容疑で告発したことが分かった。院長は架空診療で多額の診療報酬をだまし取ったとして00年に旧厚生省から医業停止3年の処分を受けている。隠し所得には停止中の医療行為で得た分が含まれており、医師法違反の疑いもある。
 関係者によると、柳瀬院長は02年10月〜03年12月、水戸市内の美容外科で週3回程度の診療を行い、1カ月数百万円の収入を得ていた。さらに03年6月、東京都港区に「品川イーストワン眼科」、04年1月、水戸市に「秀聖美容外科」を開業し、院長に就任した。
 これらの診療報酬の一部だけを税務申告する「つまみ申告」の手口で所得を圧縮。除外した主な報酬は美容外科手術など医療保険が利かない自由診療の現金収入だが、保険診療分も含まれていた。都内で経営する賃貸アパートの家賃収入も除いていたという。
 隠し所得は柳瀬院長が預金や金融商品にして管理していたとされる。
 柳瀬院長は以前、「稲吉浩司」の名前で東京都新宿区で眼科医をしていた。この際、偽造した診療報酬明細書を社会保険の審査支払機関などに提出。診療報酬約7000万円をだまし取った詐欺罪で98年9月、東京地裁から懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡された。
 この結果、03年4月までの3年間の医業停止処分を受けたが、期間中の00年9月に婿養子となって姓を変え、水戸市の美容外科で診療していたことが判明。01年9月から02年にかけ、東京都渋谷区で眼科を開業していたこともわかり、同区は医師法違反にあたるとみている。
 朝日新聞の取材に、柳瀬院長の広報窓口という秀聖美容外科の事務長は「査察を受けたのは事実。すでに修正申告や納税を済ませた」と話した。柳瀬院長は取材に応じなかった。

割りばし事故で医師に無罪判決 東京地裁 indexへ

 杏林大学病院(東京都三鷹市)に勤務していた99年、男児(当時4)ののどに割りばし片が刺さっているのを見逃し死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた医師・根本英樹被告(37)に対し、東京地裁は28日、無罪を言い渡した。川口政明裁判長は「事故を予見し、結果を回避する義務を怠った」として根本医師の過失を認める一方、「すぐ専門医に引き継いでも、命が助かる可能性は低かった」と述べ、過失があったから死亡したとは言い切れないと判断した。検察側は禁固1年を求刑していた。
 事故で死亡したのは、東京都杉並区在住の高校教員・杉野正雄さん、同・文栄さん夫妻の三男・隼三(しゅんぞう)ちゃん。綿あめの割りばしをくわえたまま転倒して同病院に救急搬送されたが、根本医師は診察後帰宅させた。隼三ちゃんは翌日死亡。解剖で7.6センチの割りばしがのどの奥の頭部に刺さっていたことがわかった。
 判決は、搬送中に吐き、意識レベルが低下していたから頭蓋骨(ずがいこつ)の中の損傷を想定すべきだった▽それなのに頭部CTスキャン撮影やファイバースコープによる診察を怠り、消毒薬を塗るなどしただけで帰宅させた――として検察側主張にほぼ沿う形で過失を認めた。
 一方、死因については弁護側主張を採用。「割りばしが頸静脈(けいじょうみゃく)に突き刺さったことによる静脈還流障害が死因である可能性が高い」と判断。そのうえで、頸静脈の修復が唯一の救命措置だったが、すぐに脳神経外科医に男児を引き継いでも、その措置は時間的、技術的に困難で、救命・延命可能性は極めて低かった――と結論づけた。
 判決の末尾で川口裁判長は異例の「付言」。遺族の苦しい心境に触れる一方、事故の教訓を生かすことが男児の供養になると締めくくった。

「呼吸器外しに同意」患者家族が自宅玄関に張り紙 indexへ

 富山県射水市の射水市民病院で、外科部長(50)の指示で、計7人の患者が人工呼吸器を外され死亡した問題で、問題発覚のきっかけになった男性患者(当時78)の遺族が28日、「取り外しの説明を受け、同意した」とする文書を自宅玄関に張り出した。遺族は26日、「取り外しについて病院側から説明されたことはなく、お願いしたこともない」と指摘。「外科部長は家族の要望で人工呼吸器を取り外す予定だった」とした病院側の説明と食い違っていた。
 男性患者は昨年10月9日に搬送され、蘇生措置後に人工呼吸器を装着された。同12日、外科部長は人工呼吸器を外すよう看護師に指示したが、疑問を感じた麻野井英次院長が取り外しを禁じ、その後の調査で取り外し7事案がわかった。男性は同月21日に死亡している。
 遺族の説明によると外科部長は搬送の2、3日後、遺族側に「意識が戻ることはなくこれ以上回復の見込みはない」と伝えた。同意書などはなかったが、家族で協議し、口頭で取り外しに同意したという。
 遺族は張り出し文書で「記憶が曖昧(あいまい)だった」と26日の指摘を否定、「深くおわび申し上げます」と謝罪した。文書では「先生(外科部長)には父が生前お世話になり、家族一同大変感謝しております」とも記した。

呼吸器外し「同意得た」 外科部長、県警任意聴取に説明 indexへ

 富山県射水市の射水市民病院で延命治療を中止された患者7人が死亡した問題で、治療を担当した外科部長(50)が富山県警の任意の事情聴取に対し、人工呼吸器を取り外すことについて「家族の同意を得ていた」という趣旨の説明をしていることがわかった。外科部長は、病院側にも同様に主張している。県警は、外科部長の説明の真偽や同意を得たとする方法、さらに別に3人いた外科医師らの関与についても関係者から事情を聴き、慎重に調べている。
 病院側によると、外科部長は、死亡した7人について、呼吸器の取り外しに対する家族の同意があったと説明。うち1人については「家族から患者本人の意思も確認できた」と主張している。
 県警は、病院から届け出を受けた昨年10月以降、カルテなど診療記録の提出を受けるとともに、外科部長や看護師らから任意で事情聴取。この中でも、外科部長は「本人あるいは家族から同意を得ていた」と話したという。
 病院によると、同病院では外科部長の下で外科第2部長、医長、医師が、外科系病棟の看護師らとチーム医療をしてきたという。人工呼吸器を外されて死亡した7人については、外科部長以外が主治医だった患者もいたという。
 人工呼吸器を外す行為について病院側は、7人のうち最後の1人は外科部長自らが外したことを認めていたと説明している。外科部長は、7人の呼吸器を「一存で外したのか」とした報道陣の質問にも「私が責任者ですので」と応じ、行為自体は否定していない。
 県警は、患者本人または家族の同意をだれがどのような形で得ていたのか、病院関係者から詳しく事情を聴いている。

終末医療の停止条件「早めに結論を」 川崎厚労相 indexへ

 富山県の射水(いみず)市民病院で末期の患者7人が人工呼吸器を外され死亡した事件に関連し、川崎厚生労働相は28日の閣議後の記者会見で、同省の研究班が延命治療停止の条件などを議論していることに触れ、「来年いっぱい議論するというのは時間的にかけすぎだ」と述べ、終末期医療のあり方について検討を急ぐよう指示したことを明らかにした。
 また、同日午前の参院厚生労働委員会で「医師1人の判断であってはならない。患者の意思というものをどういう形できちっとさせるかだ」と指摘。「法律か、ガイドラインでいいのかも含め、早めに結論を出してもらいたい」と述べた。

地域拠点4病院、がん状況未集計 indexへ

 地域がん診療拠点病院(全国135病院)に指定されながら、少なくとも4病院はがん患者の発生状況や治療成績などを集計する「がん登録」を未実施であることが、厚生労働省の調査で27日、明らかになった。登録の専任者がいない病院は4割にも上っていた。
 調査は昨年末、拠点病院を対象に実施し、118病院から回答を得た。46病院(39%)には登録専任者がおらず、1病院当たりの専任者数は最大で4人、平均0.8人だった。
 患者のがんの種類や治療内容、治療後の状況を病院ごとに集計する「院内がん登録」は、5年生存率など客観的な治療成績を調べるために欠かせない。また、都道府県が実施する地域がん登録にデータを提供すれば、地域や全国のがん罹患(りかん)率などを調べる基礎データにもなる。だが、地域がん登録にデータを提供しているのは67病院(57%)にとどまっていた。
 拠点病院は質の高いがん医療を進めるために全国で整備が進められてきた。厚労省は4月から名称を「がん診療連携拠点病院」に改め、新しい整備指針を適用し、院内がん登録の実施も義務づける。現行の拠点病院は移行期間が終わる2年後までに新指針で院内がん登録が義務づけられる。

45例目の脳死判定、心臓などの移植手術終了 indexへ

 臓器移植法に基づき45例目の脳死と判定された患者から、富山県立中央病院で摘出された心臓などの移植手術は、27日朝までに終了した。
 心臓は国立循環器病センター(大阪府)で20代女性に、肺は岡山大で20代女性に、肝臓は名古屋大で30代女性に、片方の腎臓と膵臓(すいぞう)は大阪大で50代男性に、もう片方の腎臓は富山県立中央病院で40代女性に、それぞれ移植された。

金沢大、「外科部長が研修中」を否定 富山の呼吸器外し indexへ

 金沢大学は26日、「外科部長が金沢大で研修中」と報道されたことについて、「学内で確認しましたが、そのような事実はありません」とするコメントを発表した。この件については、同大医学部の古川仭(みつる)学部長も25日夜、「射水市民病院が、どうして『金沢大で研修』という発表をしたのか分からない」と不快感を口にしていた。

富山の呼吸器外し 患者の家族「頼んでいない」 indexへ

 富山県射水(いみず)市の射水市民病院で患者7人が人工呼吸器を外され死亡した問題で、昨年10月に院長が取り外しを中止させ、内部調査のきっかけになった男性患者(当時78)の長男が26日、朝日新聞の取材に応じ、外科部長(50)ら病院側から「呼吸器取り外しについての説明はなく、外すようお願いしたこともない」と語った。病院側は、外科部長は「家族の要望」をもとに外そうとした、と説明しており、長男と食い違っている。外科部長がどんな形で家族らの同意を得ていたかは一連の延命治療中止問題の焦点で、県警は当時のいきさつを慎重に捜査、外科部長らの任意聴取も始めている。
 同病院の昨年の調査で、00年から昨年にかけて人工呼吸器をはずされた50〜90代の末期の入院患者7人が死亡していたことが判明した。取り外しが中止された男性のケースは昨年10月に発覚。7件とは別で、一連の調査のきっかけになった。
 同病院の説明によると、男性が搬送されたのは昨年10月上旬。外科部長は蘇生措置をして人工呼吸器を装着、内科病棟に入院させたが、男性は同月21日に死亡した。
 外科部長は同12日、人工呼吸器の取り外しを看護師に指示。病院側は、指示に疑問を感じた麻野井(あさのい)英次院長が取り外しを禁じ、内部調査を命じたことで7件の取り外しがわかったとしている。
 25日の記者会見で、麻野井院長は「10月12日午前、看護師長は『家族の要望により人工呼吸器を取り外す予定だ』と外科部長から指示を受けた」と説明。外科部長が取り外しに踏み切ろうとしたのは「家族の要望」があったためだったとの認識を示していた。
 一方、この男性の長男によると、外科部長は入院の数日後、家族に「長くても2、3カ月」と説明した。しかし、人工呼吸器の取り外しについての打診などはなく、家族から求めたことも一切なかったという。
 長男は、父親の入院当時は母親と自分の妻が交代で泊まり込み、ずっとそばにいたとした上で、「2人も取り外しについて医師から説明を受けたという記憶はない」とも話している。
 病院側は26日も麻野井院長が記者会見したが、双方の主張の隔たりについては「捜査上の重要な問題なので答えられない」と述べた。「家族同意」が、カルテに残っているのかどうかなどについても「今すぐは答えられない。記憶をたどってみないといけない」などと話すにとどまった。

呼吸器外しの外科部長を聴取 富山県警、立件の可否検討 indexへ

 富山県の射水市民病院で延命措置が中止され、入院患者7人が死亡した問題で、患者を担当していた男性外科部長(50)が、県警の任意の事情聴取に応じていたことが26日、わかった。県警は病院から提出された関係資料の分析を進めるとともに、医師や看護師ら病院関係者から任意で事情を聴き、殺人や嘱託殺人容疑での立件の可否について慎重に調べを進める。
 外科部長は同病院側の調査に対して、7人の人工呼吸器を外すことについて、「いずれも家族の同意を得ていた」と説明。院長への説明の際も「尊厳死」という言葉を使い、「信念を持ってやった」などと説明したとされる。
 外科部長は25日夜、朝日新聞などの取材に対して「コメントは差し控えさせていただきたい」としながらも、「一存で呼吸器を取り外したのか」との質問に対して、「わたしが責任者なので」などと説明、人工呼吸器の取り外しについては否定していない。
 県警が同病院側から報告を受けたのは、昨年10月16日。4日前の12日に外科部長が、昏睡(こんすい)状態で運ばれた男性患者(78)の人工呼吸器をはずすよう指示をしたことが、看護師の指摘で発覚。院長は院内調査委員会を設置するとともに、病院の顧問弁護士とも相談して「犯罪性については警察に判断してもらう必要がある」などとして警察に届け出ていた。
 県警は今後、人工呼吸器の取り外しについて外科部長が、7人の家族らにどのように説明し、どんな形で同意を得ていたのか否か、などについての確認を進める。
 〈キーワード:「尊厳死」〉 日本尊厳死協会は、「患者が『不治かつ末期』になったとき、自分の意思で延命治療をやめてもらい安らかに、人間らしい死をとげること」と定義している。「尊厳死の宣言書」(リビング・ウイル)を医師に提示し、自然な死をとげる権利を確立するため、医師が違法性を問われないための法制化を求めている。記載内容は、「無意味な延命措置の拒否」「苦痛を和らげる治療の要求」「植物状態の場合、生命維持措置の中止」。

呼吸器に拒否反応 「外して」頼んだ事例も 富山の病院 indexへ

 「人工呼吸器をつけたら(高齢の)父が拒否反応を示したので、頼んで外してもらいました」
 数年前、射水市民病院に父親が入院、今回、延命治療を中止した行為が問題視された外科部長らの診療を受けたという男性は、当時を振り返り、そう言った。
 人工呼吸器を装着したところ、父親はすぐに拒否反応を示した。負担を軽くしたいと、酸素マスクに付け替えてもらったという。
 少しでも長く生きていてほしい。でも、それで本人が苦しい思いをするのでは……。「年も年だったので、家族で話し、全員で合意して管はやめて欲しいと頼んだ」
 数カ月後、父親は亡くなった。
 終末期を巡る医療現場で、患者、家族、医師、看護師らは、常に厳しい判断を迫られ、複雑な思いを抱く。
 容体が悪化し、呼吸管理のために気管に管を入れて酸素を送り込む人工呼吸器。回復の見込み、余命、そして苦痛。患者や家族が延命治療の中止を判断する理由は様々だ。医師はどこまで、どんな気持ちでその思いに応えたらいいのか。
 約200床の同病院は、県内では地域医療を担う中小病院だ。過疎地にあり、急性期医療に特化する都市部の大病院と違って、お年寄りの入院が多く、常にがんや老衰などで看取(みと)られる患者を抱えている。
 麻野井英次院長は25日の会見で、延命治療に対する今後の対応を問われ、「(終末期医療のあり方を検討する)ターミナル委員会を設けて対応を検討しなければならない」と答えた。だが、直後に「私は内科医。心臓が止まるまでは診ていく、という立場です」とも語った。新たな委員会が治療中止を決めたとしても、疑問は残る。そんな揺れが、言葉の端々ににじんだ。

レセプトのオンライン化、大病院は08年度から indexへ

 厚生労働省は、医療機関が医療費を保険請求する際の診療報酬明細書(レセプト)のオンライン化について、400床以上の病院は08年度から完全実施する計画をまとめた。診療所など小規模の施設にも順次広げ、13年度以降はオンライン請求以外は認めない方針。
 計画は、政府の「電子政府」ホームページで公開。27日まで募る一般の意見も検討し、4月上旬の省令改正を目指す。
 400床以上は、大学病院や地域の拠点的な病院などが該当。400床未満の病院も09〜11年度に完全実施する。レセプト枚数が月100件に満たない医療機関については当初、紙レセプトも認める方向だったが、「効率化には完全一本化が不可欠」として方針を転換、12年度まで移行期間を設け、各地域の医師会などがオンライン請求を「代行」する仕組みをつくって実施する。

鳥インフル、人は肺の奥で感染 鳥取大・東大グループ indexへ

 世界で感染拡大が続く高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が、人の体内では鼻やのどでなく、肺の奥深くにある細胞で感染することが分かった。鳥取大農学部の新矢恭子助教授(ウイルス学)と東京大医科学研究所の河岡義裕教授(同)らのグループが明らかにした。
 このため、患者からせきやくしゃみで感染が広がる危険は現時点では低そうだが、ウイルスの突然変異で大流行につながる恐れはあるという。23日付の英科学誌ネイチャーに発表する。
 インフルエンザウイルスは、細胞表面の鍵穴にあたる特定の分子(受容体)と結びつき、侵入する。人と鳥では同じ分子だが、少しだけ構造が異なる。人から人への感染はほとんどないが、メカニズムはよくわかっていない。
 河岡教授らは、鳥インフルエンザウイルスの受容体が、人の鼻の粘膜や気管支、肺などにないか患者の組織で調べた。その結果、のどや鼻粘膜ではほとんど無く、肺など気道の奥深くに多く分布していた。このことから今のところ、ウイルスの増殖は肺など呼吸器の奥深くに限られ、鼻水や唾液(だえき)によって他の人に感染する危険は低いと考えられるという。
 河岡さんは「受容体を見る限り、誰でも鳥インフルエンザに感染する恐れはあるが、人から人へすぐ感染するわけではない。ただし、のどや鼻で感染するようなウイルスに変異していないか監視していく必要がある」と話し、他にどんな変異を遂げると人に感染しやすい型になるかや、重症化する原因などについても研究を進める考えだ。

厚労省、小児救急医の実態を調査 労働条件改善へ indexへ

 休日や夜間の過重労働が指摘されている小児救急医の労働実態について、厚生労働省は全国的な調査に乗り出した。小児科は医師不足に加え、過酷な労働を敬遠して若手医師離れが進んでいるといわれる。同省が小児救急医の労働時間などを大規模調査するのは初めてで、今月中にも結果をまとめ、労働条件改善などに役立てたい考えだ。
 調査対象は小児救急の拠点病院27カ所と、全国136地区で小児救急を実施している医療機関。すでにアンケートを始めており、各施設で小児救急に従事する医師について、(1)1日に配置している人数(2)勤務時間の長さ(3)毎月の宿直回数など約30項目を調べている。
 厚労省は4月から、深夜の乳幼児診療の診療報酬を手厚くするなど支援策を打ち出しているが、医療現場からは「医師不足や待遇が改善されないと小児科を志す若手医師が加速度的に減る」(日本小児科学会)との声も出ている。

備蓄タミフル、5年で無駄? 新型インフルに使途限定 indexへ

 新型インフルエンザの流行に備え、国や都道府県が備蓄を進めている治療薬「タミフル」が、5年後に無駄になる可能性が出てきた。国と製薬会社の取り決めで、備蓄用は新型発生時だけに使い、普通のインフルエンザ治療には使わない「使用制限」が付いているからだ。5年の使用期限内に新型が流行しなければ、少なくとも国の備蓄分(約220億円相当)はすべて廃棄される見込み。一方、自治体の中には少しでも無駄にならないよう、備蓄に工夫する動きもある。
 使用制限は、製造元の製薬会社ロシュ(スイス)が、タミフルの備蓄を進める先進国に安価で販売する条件にしている。日本では、タミフルは通常のインフルエンザ治療にも使われており、1錠当たり約363円で流通しているが、備蓄用は6割以下の1.5ユーロ(約211円)と安い。
 国は、07年度末までに都道府県と国で計2100万人分のタミフルを行政備蓄する計画だが、国の備蓄分の1050万人分はすべて、通常より安い備蓄用価格で購入する予定。1人分を1日2錠(5日分)で計算すると、総額約220億円になる見込みだ。
 厚生労働省は昨年、備蓄が無駄にならないようメーカー側と交渉したが、他の先進国も同じ条件で購入しているとして使用制限をのまざるを得なかった。他国の場合は、通常のインフルエンザ治療にタミフルを使うケースがもともと少ないとされ、日本の販売元である中外製薬は「安い備蓄用を一般のインフルエンザ治療に使われると市場が混乱し、問題がある」と、使用制限の理由を説明する。
 厚労省の担当者は「国の備蓄分についてはすべて使用制限のついた備蓄用価格で購入する予定で、新型が流行しなければ『無駄遣い』と言われるかも知れないが、危機管理のためにはある程度のリスクは仕方ない」と話す。
 こうした中、割高でも、自由に使える流通価格のタミフルを確保する自治体も出てきた。
 宮崎県は2月補正予算案に、約1万3千人分のタミフルを確保する経費など計5400万円を盛り込んだが、卸業者から流通価格で購入するため、使わなければ卸業者に売却して市場に戻すことができる。同県の担当者は「すぐに新型が発生するかも知れず、不測の事態に対応できるタミフルが必要だが、すべてを無駄にするのも惜しい」と話す。
 東京都は、割り当て100万8000人分のうち2万人分を流通価格で購入する計画で、都の担当者は「1年ごとに市場放出し新しい製品を補充する。この分については無駄にならない」という。
 5000人分を流通価格で先買いする宮城県も「財政的に厳しいが、制限に縛られず柔軟に使えるメリットがある」としている。
 〈母里啓子(もり・ひろこ)・元国立公衆衛生院疫学部感染症室長の話〉 タミフルは、通常のインフルエンザに対して発熱期間などを1日程度短くする薬にすぎず、発症後48時間以内に服用しなければならない。未知の病気に対する「危機管理」としてやむを得ない面もあるが、地震に備えた食糧備蓄と大差はない。本当に、数百億円もの巨費を無駄にするかもしれない価値があるのか。もう少し冷静に考えて、予算を少しでも高齢者や子どもなどハイリスクの患者の対策に回すべきではないか。

がん患者の7割が「医療に不満」 東大助教授ら調査 indexへ

 がん患者・家族の7割が現在の医療に不満を持っている――。東京大の近藤正晃ジェームス・特任助教授(医療政策)によるアンケートで、こんな実態が浮かび上がった。また、9割の患者・家族が、患者の声は医療政策に反映されていないと感じていることも分かった。
 調査は、昨年春、がん患者やその家族約1800人を対象に実施した。「日本のがん医療の水準に満足しているか」という問いに対して、「不満」「どちらかと言えば不満」と回答した人が71%だった。
 不満が多かったのは、欧米に比べ遅れが指摘されている治療薬の承認(92%)、総合的相談の整備(78%)、情報開示(76%)などだった。さらに回答者の全員が、がん医療の信頼できる情報を総合的に提供する機関が「必要」とした。不足している情報としては「専門医の有無」(78%)、「医師ごとの疾病別の治療成績」(64%)とする答えが多かった。
 調査結果は、19日、新しい抗がん剤の早期承認や、がん医療の情報不足の解消などを訴えるため、東京都内で開かれた「がん患者大集会」でも発表。近藤助教授は「医療政策の決定には、患者や家族の声が届いていない。今後は、患者の声を反映させる必要がある」と指摘している。

子どもの溶連菌、患者数急増 「突然高熱、早い受診を」 indexへ

 子どもがかかりやすく、のどの痛みや高熱をともなうA群溶血性連鎖球菌(溶連菌)咽頭(いんとう)炎が今年になって急増している。毎週の医療機関からの患者報告数が、過去10年で最多になっており、定点調査している国立感染症研究所感染症情報センターでは「突然の高熱やのどのはれが続くときは、早めに受診を」と呼びかけている。
 同センターが17日に発表した全国約3000の小児科からの報告によると、2月27日〜3月5日の1週間で1医療機関あたり2.5人の患者が受診。04年の2.35人を上回り、3週連続で過去10年の最多を更新した。都道府県別では新潟、山形、鳥取が多い。
 溶連菌咽頭炎は冬から春にかけて患者が増え、児童に多い。くしゃみやせきによって感染し、学校での集団感染もある。予防には、患者との接触を避け、うがいや手洗いも有効とされている。
 同センターの安井良則主任研究官は「症状が消えても薬を途中でやめると急性腎炎などの合併症になることもある」と注意を促している。

若者の性感染症相談窓口開設へ 保健所に専門医 indexへ

 若者の間で淋病(りんびょう)や性器クラミジアなどの性感染症が広がるのを防ぐため、厚生労働省は新年度から、保健所での専門医による相談態勢の強化など、本格的な対策に乗り出す。性体験の低年齢化で、10代の感染拡大防止などが急務になっているため。周囲に知られるのを恐れて一人で悩む若者も多いことから、電話による相談窓口も新たに設ける。
 性感染症は梅毒や性器ヘルペスなど約20種類があり、性器クラミジアのように自覚症状がほとんど出ないものもある。放置していると不妊症を引き起こしたり、エイズウイルス(HIV)の感染率を高めたりする恐れがあると指摘されている。
 約900の医療機関で実施している定点調査では、性器クラミジアなど4疾病の感染者数はここ数年、緩やかに減るかほぼ横ばいになっている。しかし、未成年者の場合、医療機関にかかりたくても親に知られるのを恐れて保険証を使えなかったり、高額な費用を考えてためらったりするケースもあり、定点調査に実態が表れにくいとの指摘もある。
 厚労省の研究班が04年に九州の高校生約5700人(15〜18歳)を対象に行った調査では、性経験のある生徒(男子836人、女子1281人)のうち、無症状のクラミジア感染者は男子の6.7%、女子の13.1%に達した。
 こうした現状から、厚労省は06年度、各地の保健所を管轄する都道府県や指定市など127自治体を対象に、相談員の配置に対する補助事業を創設。保健所ごとに1人ずつ、地域の泌尿器科や産婦人科の医師ら専門の相談員を配置して、定期的に保健所で相談を受けたり治療方法を助言したりするようにし、国と自治体で費用を折半する。
 また、所管する公益法人に委託して専門の電話相談窓口も設置する。専門医と保健師が平日を中心に、保健所に足を運べない人の相談に無料で応じる計画で、運営施設や開始時期など詳細は今後詰める。

救急車での患者選別搬送、06年度に選別基準作成 indexへ

 増え続ける救急車の出動への対策を検討してきた総務省消防庁は17日、患者の緊急度や重症度に応じて優先順位をつける「トリアージ制度」の導入に必要な医学的な「判断基準」と「運用要領」を06年度に作成することを決めた。実用化に向けた試行テストも行う。
 同日開かれた同庁救急需要検討会(座長、山本保博・日医大教授)の最終報告書を受けたもの。具体的な対応策として、通報時や救急隊の到着時にトリアージを行うための優先度を判断する「選別基準」と、具体的な事例をこの基準に当てはめる際の「運用要領」をつくる。ただ、トリアージの導入は各自治体の判断にまかせることにした。
 また、検討会では、基準を決めるための検証作業が必要としており、同庁は、東京消防庁などに協力を求め、現場でのテストをする考えだ。このため06年度に新たに専門家の検討会を設ける。
 人件費などがかさむためあまり活用されていない病院所有の救急車について、民間運行会社への業務委託や複数の病院による共同運用を進める。緊急性の低い患者に民間搬送車を使ってもらうようにするため、業者情報を知る際の電話番号を全国一律の専用番号にすることも検討する。有料化については、慎重論が根強いため、再度議論することにした。

健康食品の被害、医師が共有へ 日医がデータベース化 indexへ

 健康食品などによる健康被害の拡大を防ぐため、日本医師会は、医師が診察などで気づいた被害情報について、いち早く徹底させるシステム作りに取り組むことを決めた。行政の対応を待たずに、医療機関が「疑い」の段階から対応する狙いで、06年度から、数カ所の都道府県でモデル事業を始める。
 日医の構想では、会員の医師が日常の診療などを通じ、患者が健康食品などの被害を受けた可能性があると判断したら、決められた「情報提供票」に記入し、日医や都道府県医師会に知らせる。寄せられた情報は、「緊急性」や「重要性」などの基準で5段階に評価し、専門委員会の審議を経てデータベース化。会員専用のホームページに掲載するほか、重要事例については、対処方法など詳しい情報を各医師会に送って医療現場への徹底をはかる。
 さらに、寄せられた情報のうち、「特に迅速な対応が必要」と判断されるものについては厚生労働省に通知し、調査、検証を求めることも検討するという。日医は「誤った被害情報が風評被害などにつながらないような仕組みを今後検討していきたい」としている。
 健康食品の被害をめぐっては、昨年、中国製のダイエット食品の被害報告が相次いだほか、今年2月には、がん予防に効果があるとされるきのこの一種「アガリクス」を使用した健康食品に発がん促進作用が認められたとして、厚労省が販売元に販売停止と自主回収を要請した。

帝王切開で死亡 福島の医師起訴 業務上過失致死 indexへ

 福島地検は10日、帝王切開の手術ミスで女性(当時29)を死亡させ、異状死を警察署に届けなかったとして、業務上過失致死と医師法違反の罪で、県立大野病院の医師、加藤克彦容疑者(38)を福島地裁に起訴した。加藤容疑者は容疑を否認している。
 起訴状によると、手術前の検査で、加藤容疑者は「前回の帝王切開の傷跡に胎盤が付着していると認識していた」とされる。県の事故調査報告書では、帝王切開の傷とは無関係の子宮の後壁に胎盤が付着しているとしていた。帝王切開の傷の部分に付着した場合、子宮の後壁に付着した場合に比べて、癒着胎盤の確率が高まるとされる。
 また、起訴状では、手術中、胎児を取り出した後、手で子宮から胎盤をはがそうとして癒着胎盤と認識した。剥離(はくり)を続ければ大量出血するおそれがあったにもかかわらず、子宮摘出などの適切な処置をとらず、クーパー(手術用ハサミ)で癒着部分を剥離し、女性を失血死させたとされることが業務上過失致死罪にあたるとした。
 福島地検の片岡康夫次席検事は、「術前で『付着』に気づいた時点で罪に問うているわけではない。手術中、手ではがれなかった時点で子宮摘出に移行すべきだった」とする。
 医師法違反の罪について、片岡次席は「大量出血すべきでない状況で大量出血しており、過誤に関係なく、異状死と認識できる」とした。「異状死」について定まった定義はないが、「判例や実務でとらえられている通常の法律解釈に基づいて異状死と判断した」と述べた。
 医療過誤事件としては異例の逮捕に踏み切った理由について、片岡次席は「遺体やビデオなどがなく、関係者の協力が不可欠な状況で、真実を見極めるため、身柄を確保した上で話を聞く必要があった」とした。
 同地検は、福島地裁に対し、加藤容疑者の勾留(こうりゅう)継続を請求している。
起訴を受け、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は「術前診断が難しく、治療の難度が最も高い事例で、対応がきわめて困難。全国的な産婦人科医不足という医療体制の問題点に深く根ざしており、医師個人の責任を追及するにはそぐわない部分がある」などとする声明を発表した。

癒着胎盤
 分娩後に自然とはがれる胎盤が、子宮の壁にくっつき、はがれにくくなる疾病。癒着の度合いは様々で、単なる付着から子宮の筋層に深く細胞が侵入しているケースまである。事前の検査では、癒着の有無を確実に診断するのは難しいという。
 通常、発生率は2万人に1人。しかし、帝王切開や人工中絶の前歴があると、さらに確率は高まる。胎児が子宮から出る口をふさいだ形で胎盤ができる「前置胎盤」が、帝王切開の傷跡の残る「子宮前壁」に付着した場合、確率は20%以上になる。
 事故調査報告書では、調査の結果として、帝王切開の傷跡とは関係のない「子宮後壁に付いた前置胎盤だった」と指摘しており、「このため加藤容疑者は癒着の可能性は低いと考えていた」と分析していた。

救急機器に訓練用具 心肺停止の女性救えず 横浜市消防局 indexへ

 横浜市消防局は8日、心肺停止した女性(70)の救急活動中、「自動体外式除細動器」(AED)に過って訓練用の電極パッドを装着していたため作動せず、救助が遅れる事故があったと発表した。9分後にパッドを交換して再度使用したが、すでに心臓が完全に止まっていて効果がなかったという。女性は市内の病院に搬送され、いったん心拍が再開したが、翌日午後に死亡した。
 消防局は「訓練用パットが救急活動で使う機材と一緒に資材庫に入っていて、間違って救急車に積まれた」と説明。市内の全消防署から訓練用パッドを回収した。高橋規夫警防部長は「早い段階でAEDが使えていたら現場で心臓が動いた可能性はある」と話した。
 AEDは、電気ショックで心臓の動きを正常に戻す装置。心臓が不規則にけいれんする「心室細動」に効果がある。訓練用パッドは電気を通さない構造だった。
 消防局によると、磯子消防署の救急隊が7日午後7時、同市磯子区内の福祉施設から「女性が食事をのどにつまらせた」と119番通報を受けて出動。7分後に施設の4階で女性にAEDを使用したが作動しなかった。パッドが入っていた袋には「訓練用」と書かれていたが、隊員は気づかなかったという。9分後、救急車に運び込みパッドを交換して試したが、効果はなかったという。

ウィニー感染、患者2800人の情報流出 富山の病院 indexへ

 富山市星井町の長谷川病院で手術を受けた患者延べ約2800人分の手術の概略などが書かれたリストがインターネットに流出していたことが8日、わかった。病院側は謝罪、対応を検討するとしている。
 同病院によると、流出したのは97年9月〜04年12月に手術を受けた患者のリストで、氏名、性別、生年月日、手術の概略などが書かれている。住所は記入されていない。
 病院の男性技士が04年12月、患者リストを自宅に持ち帰り、私有パソコンで作業をしていたところ、ウイルスに感染し流出したらしい。パソコンではファイル交換ソフト「ウィニー」を使用していたという。今年1月、病院に流出を知らせる匿名のメールが届いた。
 病院側は「流出した患者への対応は慎重に検討していきたい」と話している。

内視鏡手術で脳に後遺症 業過傷容疑で横浜の病院捜索 indexへ

 横浜市立脳血管医療センター(同市磯子区)で03年、50代の女性患者が頭部の内視鏡手術を受けた直後に容体が悪化し重い後遺症が残る医療事故があり、神奈川県警は9日、業務上過失傷害容疑で同センターと、所管する市病院経営局調整担当課(同市中区)を家宅捜索した。県警は押収資料の分析を進め、執刀医らから事情を聴く方針。
 内視鏡手術の経験がなく訓練も受けていない医師が執刀していたことなどから、同センターの外部調査委員会が「医療過誤と言わざるを得ない」とする報告書を04年9月にまとめ、患者の夫が05年3月に執刀医ら3人を磯子署に告訴していた。
 告訴状などによると、女性は03年7月、高血圧性脳内出血のため同センターに入院。開頭せずに頭部に筒を挿入して脳内の血腫を取り除く内視鏡手術を受けた。執刀医はこの際、過って動脈を傷つけたまま一度手術を終了。直後に血腫の増大に気づき緊急の開頭手術をしたが、女性は高度の意識障害が残り、現在も入院中という。

救急患者の選別、まず現場で導入 東京消防庁懇話会答申 indexへ

 アジアの国々で臓器移植手術を受ける日本人が増えているとされる問題で、腎臓移植の渡航先は世界で少なくとも9カ国、患者数は151人にのぼり、中国での移植が多いことが9日、厚生労働省の研究班(班長=小林英司・自治医科大教授)の調査でわかった。肝臓は12カ国、199人いた。帰国後、国内の医療機関で治療を受けている数を今年初め現在で集計した。アジアに着目した本格的な実態調査は初めて。
 今後、日本移植学会が調査を引き継いで、生存率なども調べ、手術の安全性や斡旋(あっせん)の問題など、渡航移植を議論する材料にしていく。
 調査は今年1〜2月、海外で臓器移植を受けた患者を現在外来で診ているかどうか、日本移植学会の会員医師がいる医療機関に尋ねた。腎臓は144施設、肝臓は122施設が対象で、回収率は74%と75%だった。
 腎臓の渡航移植を受けた患者は50施設で151人いた。行き先は中国が34施設で最も多く、フィリピンが16施設、米国が14施設で続く。国別の人数は把握できていない。すでに死亡した患者は抜け落ち、会員以外の医師が診ているケースもあるので、実際の数はこれよりも多いとみられる。
 肝臓は36施設で199人。行き先は米国、豪州が15施設、中国が12施設で続いた。移植を斡旋した者がいたかを尋ねたところ、中国での肝臓移植の場合は患者の4分の1が「有り」と答えた。
 アジアでの移植は安全面のほか、死刑囚からの臓器提供や臓器売買など倫理問題も指摘されている。厚生労働省臓器移植対策室は「渡航移植した患者を非難するのではなく、正確な情報を提供したい」としている。

救急患者の選別、まず現場で導入 東京消防庁懇話会答申 indexへ

 東京消防庁の救急業務懇話会(会長・山本保博日医大教授)は9日、救急車の出動件数急増に対応するために検討していた「患者の選別(トリアージ)」導入に関する答申をまとめた。搬送が必要かどうかは、当面は119番通報の電話だけでは判断せず、救急隊員が現場到着後に患者を直接みて判断する方法から始め、通報時の判断は検証後に導入すべきだとする内容。答申を受け同庁は、総務省消防庁が06年度に作成する予定の医学的な判断基準や手順書ができ次第、周知期間や検証を経て導入する方針だ。
 答申によると、明らかに緊急性がなく搬送が不必要と判断した場合は搬送しないのが原則。ただし同庁は当面、患者や家族を指導するにとどめ、都民の理解や検証が進んでから厳格に運用する考えだ。
 同庁の04年の救急出動件数は67万8000件。現場までの所要時間は10年で約1分延び、05年は6分30秒だった。

高額医療費、払い戻しの申請もれに通知書 政管健保 indexへ

 社会保険庁は、一定額以上の医療費を支払ったときに払い戻しを受けられる「高額療養費制度」の申告漏れが多いため、4月から対象者に申告できることを通知することを決めた。社保庁が運営する政府管掌健康保険(政管健保、中小企業の会社員ら約3600万人)加入者へのサービス。社保庁は、制度自体を知らない人も多いとみており、制度解説のチラシなどと一緒に該当する患者に「申請案内」を順次送る。
 社保庁は上限を超えるケースが03年度で約179万件あったとみているが、実際に還付されたのは約110万件。残り約70万件は還付の申請がされていなかった。これまでは対象者に通知するかどうかは各地の社会保険事務所で対応がばらばらで、同庁の事業運営評議会が統一するよう求めていた。
 同制度は、1カ月に支払った医療費が自己負担の上限額を超えた場合、後から払い戻される仕組みで申請期間は2年。上限額は所得や年齢で異なる。一般的な所得の70歳未満の人なら、7万2300円+医療費の1%。胃がんで30日入院して約150万円かかった場合、月額上限は約8.5万円になり、それを超えた分が払い戻される。
 07年4月以降は、医療機関の窓口で上限額まで払えば済むように制度が変わるため、申請は大幅に減る見込み。ただ複数の病院にかかったり、介護保険を併用したりして上限額を超える場合は、引き続き申請が必要だ。
 一方、大企業会社員の健康保険組合や公務員の共済組合の多くは、患者が申請しなくても還付されるシステムを導入している。自営業者らの国民健康保険の場合、通知するかどうかは各市町村に任されている。

救急車搬送、パンク寸前 重症者を優先、検討 indexへ

 急増する救急車の出動を受けて、総務省消防庁は、通報を受けた消防本部による「患者の選別(トリアージ)」導入の検討を始めた。出動件数はここ10年毎年5%以上の伸びで、従来の着電順では重度の患者の対応に影響が出かねない状況になってきたためだ。06年度から、選別の手順などについて専門家らによる調査、検討をする。
 同庁によると、全国の救急車の出動件数は、04年は502万件、搬送人数は474万人で、94年の304万件、294万人と比べて、いずれも1.6倍に増えた。
 一方、3人1組で出動する救急隊の数は05年4月1日現在、4751隊で、94年の4331隊から微増にとどまる。
 これに伴い、通報から現場到着までの所要時間は、全国平均で5.8分から、04年は6.4分に延びた。
 搬送した患者を年齢別に見ると、特に65歳以上の高齢者が10年間で2倍以上伸びている。また搬送されたなかには、転院や軽いけがなど、民間の患者搬送車やタクシーなどで対応できる例も少なくないという。
 同庁では、自治体の財政難で安易に救急隊数を増やせないことや急速な高齢化などで、今後も出動要請が同じペースで増加すれば、重症者の救命率の低下などにもつながりかねないと判断。17日に予定される救急需要対策検討会の報告を受けて、06年度以降、重症者の見逃しを少なくする方法や手順について具体的な検討を始める。
 トリアージが導入されれば、通報を受けた消防本部の職員が、手順に従って決められた質問項目を埋めていき、緊急度を判定。生命の危険性がある重症者から優先して救急車を出動させる。
 ただし電話によるトリアージは、詳細な手順を決めていても、重度の患者を軽度と判断したりなど誤差が生じる可能性がある。そのため導入は全国一律とせず、救急需要や地域性、住民の理解などを考慮して各自治体で判断してもらう方針だ。
 同庁では、時間帯による救急需要の波に応じた救急隊員の勤務体系の見直しや、搬送全体の約1割を占める病院間の患者移送について複数医療機関で病院救急車を持てるような制度改正なども検討することにしている。

医療事故の死亡、昨年143件 全国272病院で indexへ

 患者が死亡したり重い障害が残ったりなどの重大な医療事故が、全国の主要な病院で昨年1年間に1114件にのぼり、うち死亡例が143件あったことが8日、財団法人「日本医療機能評価機構」が公表した報告書でわかった。
 国立病院や大学病院など全国272病院を対象とした国の医療事故報告制度で、04年10月に始まり、1年を通しての統計がまとまったのは初めて。
 死亡例は04年10月から05年3月の半年で76件。以後、3カ月ごとに32件、41件、29件だった。
 1114件の内訳は、「手術やカテーテルなど治療や処置に伴う事故」が336件(30.2%)と最も多く、次いで「療養上の世話」が256件(23.0%)、「医療用具の使用や管理によるもの」が142件(12.7%)。死亡例では、「治療処置」が48件、「転倒やベッドからの転落など療養上の世話」が18件、「医療用具」が11件だった。
 原因別では、「確認を怠った」が事故全体の14.4%でトップ。「観察を怠った」が12.2%、「判断を誤った」が11.7%で続いた。同機構は「基本的な動作を徹底していれば防げたミスも多い」と分析している。
 一方、重大事故ではないが、事故につながる恐れがある「ヒヤリ・ハット事例」は05年1月から6月の半年間で9万990件報告され、04年7月から12月と比べ5360件増加した。慌てたり思い込んだりなど心理的要因によるものが目立ち、2万5464件だった。

東京・足立区の病院から筋弛緩剤消える 窃盗容疑で捜査 indexへ

 東京都足立区の「綾瀬循環器病院」(丁栄市院長)で1月、筋弛緩(しかん)剤4本を含む薬剤計6本がなくなっていたことがわかった。筋弛緩剤は大人で数人分の致死量にあたるとみられ、警視庁が窃盗容疑で調べている。同病院では2月に患者の呼吸器が外されるトラブルも発生しており、警視庁は関連を調べている。
 綾瀬署の調べや同病院によると、1月26日夜、同病院3階にある救急救命室で、サクシンなど筋弛緩剤3種類と抗不安剤、鎮静剤の計6本がなくなっているのに病院スタッフが気づいた。通常は錠のかかる場所に保管されているが、この時は使用前の準備で室内に置いていた。同日午後5時半から午後8時までに盗まれた可能性が高い。
 また、2月9日夜から10日にかけて、集中治療室にいた70代の女性患者のマスク式呼吸器の蛇腹が連結部分で外れているのが見つかった。発見が早かったため容体に変化はなかった。自然に外れるのは考えにくいため、同署は何者かが外したとみている。
 同病院は心臓血管外科などの高度医療が特徴の循環器の専門病院。薬剤の紛失を同署に届けたのは約2週間後の2月10日で、同病院は「院内の調査で盗難の可能性があると判断するまで時間がかかった。呼吸器の件では影響は出ていない。通報義務はなかったが安全重視の面から連絡した」としている。

患者取り違え甲状腺がん手術 埼玉医大が謝罪 indexへ

 埼玉県毛呂山町の埼玉医科大学病院(横手祐二病院長)で今年2月、甲状腺がんではない同県内の女性患者(69)が、誤った手術で甲状腺を摘出されていたことが、7日わかった。診察医が別の患者の検体と取り違えたのが原因という。
 同院などによると女性は甲状腺機能低下の症状を訴え、昨年12月6日、甲状腺細胞を取り出す検査を受けた。ところが男性医師が同じ日に検査を受けた別の患者の検体と取り違えてラベルをはったため、女性はがんと診断された。手術は今年2月27日、取り違えたまま別の医師が執刀。摘出された左甲状腺ではがん細胞が確認されず、取り違えが判明したという。
 同院は3月に入り、検体を取り違えた両患者とその家族に謝罪し、事故の経過を説明した。がんと診断されるはずだった患者については、これから手術するという。
 横手病院長は「極めて単純な過ちから患者に多大な苦痛をかけた。ラベルを張る際は複数で確認するなど、再発防止に努めたい」とコメントした。

診療報酬不正、医療法人前理事長らに実刑判決 函館地裁 indexへ

 不正な診療報酬請求の発覚を防ぐため、北海道議に現金を渡して保健所の指導を中止させたなどとして贈賄と詐欺罪に問われた北海道函館市の医療法人の前理事長らに対する判決公判が7日、函館地裁で開かれた。
 園原敏彦裁判長は「私利私欲のため公費医療負担制度を食い物にした責任は重い」と述べ、医療法人「慈愛会」前理事長の斉藤喜美子被告(65)=北斗市飯生1丁目=に懲役3年6カ月(求刑懲役5年)、前理事の三女と娘婿の両被告にそれぞれ懲役2年、同2年6カ月の実刑判決を言い渡した。3人は札幌高裁に控訴した。
 判決によると、斉藤被告らは、医師や看護師が基準数に満たないのに医師の名義借りなどで、介護報酬や、末期がんの患者に穏やかな最期を迎えさせる高額な緩和ケアの診療報酬を不正に請求。その発覚を防ぐため、02年10月5日ごろ、斉藤被告が後援会幹部を務める元道議(64)=あっせん収賄罪で有罪判決確定=に現金200万円を渡し、渡島保健所による実地監査の中止を依頼。さらに、04年4〜9月、入院患者2人ががんにかかったように診療報酬明細書を偽造し、北海道社会保険診療報酬支払基金から約840万円をだまし取った。

基準クリア4割弱、病院耐震化を支援 厚労省が補助制度 indexへ

 地震などの災害で負傷したり病気にかかったりした人を収容・治療する拠点病院の耐震化を進めるため、厚生労働省は新年度から、耐震工事にかかる費用を補助するなど本格的な支援に乗り出す。大地震が起きたとき、病院が耐震化されているかどうかは重要なポイントだが、耐震基準をすべて満たしている病院は4割近くしかなかったためだ。特に、災害拠点病院については、耐震化が進まない場合、指定取り消しを含めて指導を徹底するよう都道府県に要請する。
 耐震基準は、震度5強の地震で建物が無傷、震度6強から7程度で倒壊しないなどを目安に想定しており、81年の建築基準法改正に伴って定められた。厚労省が昨年2月、全国約9000病院の耐震化の実態を調査したところ、建物すべてが基準を満たしていた病院は36%。一部の建物でしか基準を満たしていない病院は36%、すべて基準外は18%だった。残りは回答なしや不明だった。基準を満たしていない建物のほとんどが建築基準法改正以前に建設されたものだった。
 さらに、全国に545カ所ある災害拠点病院の調査では、すべての建物が耐震済みは235施設(43%)にとどまり、救急棟など一部の建物が耐震済みだったのは234施設(43%)、76施設(14%)が耐震性が疑わしいか回答なしだった。
 こうした現状から厚労省は新年度、地域の救急医療を担う民間病院を対象に耐震工事と耐震診断の費用の3分の1程度を補助する制度を創設する。残りの費用は都道府県と病院側の負担とし、耐震化を促す。
 災害拠点病院については、都道府県でつくる耐震化の計画通りに進まない場合、指定の取り消しを含めて指導するよう都道府県に求める。また、これまで指定要件を「救急診療に必要な診療棟の耐震化」としていたが、厚労省は「すべての建物が耐震構造であることが望ましい」と厳しくすることも検討している。
 厚労省の方針については「災害が実際に起こった時には病院の協力が不可欠であり、耐震化の遅れだけで指定取り消しはできない」(東京都)などと戸惑う声もあり、今後、都道府県との調整を進める。

患者体内に30センチのヘラ置き忘れ 慈恵医大青戸病院 indexへ

 東京慈恵会医大青戸病院(東京都葛飾区)で今年1月、卵巣腫瘍(しゅよう)の摘出手術を受けた60代後半の女性患者の体内に、手術器具の金属製のヘラ(長さ30センチ、幅5センチ)を置き忘れる事故があったことが分かった。病院は女性や家族に謝罪し、都に事故を報告。翌日にヘラを除去する再手術をした。
 病院などの説明によると、女性は1月31日に産婦人科で手術を受けた。その際、腹部内に腸をおさえておくための「腸圧定ベラ」と呼ばれる器具1個が、腸と腸のすき間から腹部奥に沈み込んだが、執刀医が気付かないまま縫合。女性が翌2月1日、吐き気を訴えたためエックス線検査をしたところ、ヘラの残留に気づいたという。
 同院管理課では「縫合前に使った器具の数を確認する際にミスがあった」としている。女性は同月11日に退院し、後遺症などは無いという。

医師・歯科医、58人を処分 厚労省、刑事事件などで indexへ

 厚生労働省は1日、刑事事件で有罪が確定するなどした医師と歯科医師計58人の行政処分を発表した。一度の処分としては過去10年間で最も多く、4人が免許取り消し、54人が1カ月から5年の業務停止となった。発効は3月15日。
 日本歯科医師会をめぐる汚職事件などで有罪が確定した臼田貞夫・前日本歯科医師連盟会長(75)は免許取り消し、業務上横領などで有罪が確定した吉田幸弘元衆院議員(44)=歯科医師=は業務停止3年となった。肝炎治療薬インターフェロンの臨床試験を巡り製薬会社からわいろを受け取った防衛医科大学校の日野邦彦元教授(62)は医業停止3年だった。
 医療過誤では10人が医業停止6カ月〜2年となった。また、刑事事件にはならなかったものの、患者が植物状態になった手術で安全管理に問題があったとしてアクアクリニック(東京都渋谷区)の布施信彦医師(38)が医業停止2年となった。
 このほかの主な処分は以下の通り。
 【免許取り消し】てんどう駅西クリニック(山形県天童市)公平一彦医師(50)=強制わいせつなど▽東邦大学医学部付属大森病院(東京都大田区)宮坂敬一医師(40)=準強制わいせつ致傷など▽医療法人社団共生会鍋岡クリニック(東京都杉並区)鍋岡政義医師(57)=準強制わいせつ
 【業務停止5年】札幌市、馬原克夫医師(50)=詐欺など▽北海道網走市、藤田正光医師(66)=詐欺▽日本歯科大学(東京都千代田区)丹羽源男歯科医師(61)=歯科医師法違反▽東京都大田区、内田裕丈歯科医師(65)=贈賄など
 【同3年】群馬県桐生市、坂口昌司医師(28)=麻薬及び向精神薬取締法違反▽大分市、高林明医師(40)=児童ポルノ法違反など
 【同2年】神戸市、塩谷雅文医師(41)=覚せい剤取締法違反▽東京都世田谷区、田島弘医師(50)=業務上過失致死▽東京都杉並区、平井泰征歯科医師(66)=贈賄
 【同1年6カ月】札幌市、石橋勝医師(64)=法人税法違反▽東京都江東区、梅田昭夫歯科医師(78)=贈賄▽長崎市、町田澄利歯科医師(47)=診療報酬不正請求

副作用情報、「医師から説明」27% 製薬業界団体調査 indexへ

 医師に薬を処方してもらった人の7割が副作用について説明してほしいと感じているのに、実際に医師や薬剤師から説明を受けた人は3割にとどまることが、製薬会社の業界団体の調査で分かった。「医師や薬剤師は患者の立場で説明してほしい」と話している。
 調査は、製薬会社でつくる「くすりの適正使用協議会」が、昨年10月に20〜69歳の2000人を対象にファクスを送り、1607人から回答を得た。医師の処方が必要な薬が対象で、大衆薬については聞いていない。
 薬をもらう時に知りたい情報と医師や薬剤師から実際に説明を受けた内容とを比べると、副作用について知りたいと答えた人が70%なのに説明を受けたのは27%。副作用が出た時の対処方法については、25%の人が知りたいと答えたが、説明を受けたのは8%にとどまった。一方、服用方法については、知りたいと答えた人は36%にとどまったのに、79%の人が説明を受けた。
 処方された薬について不安に思ったことがあるかどうか尋ねると、「時々ある」が54%で、「よくある」が5%。合わせると6割が不安を訴えていた。

臨床研修で激務を実感? 新人医師の小児科志願急減 indexへ

 研修期間を終えて今年4月から大学病院などに勤務する医師のうち、小児科医が3年前の55%に激減することがわかった。04年度に導入された臨床研修制度の1期生。調査した日本小児科学会は、新制度で様々な診療科を経験するようになり、小児科の労働条件の厳しさを実感して敬遠する人が増えたのではないかと分析。「このままだと、小児科医が加速度的に減少する可能性がある」と危機感を募らせている。
 昨年末から全国106の大学病院(分院を含む)にアンケートし、83病院から回答を得た。臨床研修後に大学の医局や関連病院の小児科に進む予定の医師は276人。新制度導入前だった03年度の502人から4割以上減った。
 臨床研修1期生のうち、もともとの小児科志望を研修中に変えた人は223人いた。変更先は内科が最も多く101人。次いで外科、麻酔科、皮膚科が各17人だった。逆に、他科から小児科への志望変更は70人にとどまった。
 臨床研修制度は、新人医師に幅広く基本的な診療能力を身につけさせるのが目的で、2年間に内科や外科など複数の診療科で研修を受ける。導入前は特定の医局内の限られた診療科だけを経験するのが普通だった。
 小児科は症状が軽くても夜間や休日に駆け込んでくる患者が多いうえ、医師不足もあって他の診療科より負担が重いといわれるだけに、同学会は「小児科医の待遇改善や研修制度の見直しなど、医師確保のための対策が必要だ」と訴えている。

6割が医療制度に不満 制度決定に市民参加を要望 indexへ

 医療制度に関しては、「診断・治療などの技術の質」よりも「制度決定に市民が参加できない」ことなどに不満を持つ人が多いことが、民間シンクタンク、日本医療政策機構(代表理事=黒川清・日本学術会議会長)の調査で分かった。全体として医療制度の現状に不満を持つ人は6割に上っている。
 全国の成人男女4000人に郵送アンケートし、1011人から回答を得た(回答率25%)。
 医療制度全般では「大いに不満」「やや不満」を合わせて60%だった。内訳では「制度決定への市民参加度」への不満が76%で最も多く、「既得権益の排除」「医療費」「平等性」が7割前後で続いた。「医療技術の質」への不満は41%にとどまった。
 医療制度改革をだれが主導すべきか、三つまで挙げてもらうと「市民・患者代表」が64%で最も多く、「専門家・有識者」(53%)、「医療提供者」(48%)、「厚生労働省」(42%)などを上回った。
 医療費が増える場合の財源としては、税金、患者窓口負担、保険料の順で挙げた。また、医療費の配分では、現状に比べ「高齢者分を減らす」「新治療法の研究費を増やす」との意見が比較的多かった。
 また、「予防が可能な生活習慣病は患者負担を重くすべきだ。そうすれば健康管理が進み、医療費負担もより公平になる」との考えに、56%が「賛成」「どちらかといえば賛成」と答えた。

帝王切開ミスで患者死なせた容疑、医師を逮捕 福島 indexへ

 福島県大熊町の県立大野病院(作山洋三院長)で04年12月、出産の際に帝王切開手術を受けた女性(当時29)が医療ミスで大量出血して死亡した事故があり、福島県警は18日、同病院の医師加藤克彦容疑者(38)=同県大熊町=を業務上過失致死と医師法違反の疑いで逮捕した。容疑を一部否認しているという。
 調べでは、加藤容疑者は04年12月17日、同病院に入院していた同県楢葉町の女性の帝王切開手術を担当。手術前、子宮に癒着していた胎盤をはがすと大量出血し、女性に命の危険が生じる恐れがあると認識しながら、胎盤を無理にはがすなどして死亡させた疑い。また、変死にもかかわらず、24時間以内に警察署に届け出る義務を怠った疑い。
 県は事故調査委員会で調べた結果、医療ミスを認めていた。

管を誤接続の疑い、駿河台日大病院の看護師を書類送検 indexへ

 駿河台日本大学病院(東京都千代田区)で昨年10月、脳出血の手術を受け入院中だった男性患者(当時58)が死亡した事故で、警視庁は17日、気管挿管用チューブと酸素ボンベのチューブを誤接続し、男性を死亡させたとして同病院の女性看護師(23)を業務上過失致死容疑で書類送検した。
 捜査1課の調べでは、看護師は10月3日、CT検査のために男性をストレッチャーに乗せて移動する際、酸素チューブを男性の体から出た気管挿管チューブにつないだ。この際、二つのチューブの間に呼気を排出する器具を挟み、呼吸を正しく保持する注意義務があったのに、誤ってチューブを直接接続。男性の肺に酸素が一方的に流れ込んだ結果、呼吸困難になった男性を翌日死亡させた疑い。
 警察への事故の届け出は発生から約2週間後だったことから、同庁は通報が遅れた原因についても調べたが、医師が報告を受けていなかったことから刑事責任を問うのは困難と判断した。

保険証の裏面に臓器提供意思欄 政管健保で厚労省方針 indexへ

 厚生労働省は、中小企業の会社員や家族約3600万人が加入する政府管掌健康保険(政管健保)の保険証の裏に、臓器提供の意思を表示する欄を設けることにした。臓器移植への理解を広める狙いで、06年度中に、新規発行分から始める考え。記入を義務づけない方針だが、慎重論も出ている。
 政管健保は、社会保険庁が運営。03年から保険証を、本人と家族で1人1枚ずつカード化しており、この裏に臓器移植の意思表示カードに準じた表示欄を設けることにした。脳死と判定された場合に臓器を提供▽心臓が停止した場合に臓器を提供▽臓器提供しない――のいずれかに○を付けて署名する方式を考えている。
 政管健保の加入者は毎年600万人程度が入れ替わるため、同省では、新規発行する分から採り入れ5〜6年で切り替えができるとみている。
 厚労省は16日、政管健保の事業運営懇談会で説明したが「健康保険証に設けると強制的な印象を受ける」「意思表示の有無で、受けられる医療が変わらないことを確認したい」など、慎重な議論を求める意見も出された。
 脳死や心臓停止になった際の臓器提供の意思表示については現在、「意思表示カード」と「意思表示シール」があり、厚労省と日本臓器移植ネットワークで97年10月の臓器移植法施行後、計約1億2700万枚を配布した。
 しかし、04年夏の内閣府世論調査では「カードを持っている」とした人は10.5%、「シールを知っている」は9.6%だった。脳死移植の臓器提供者も年10人に満たない状況が続いており、患者団体などが保険証や免許証に意思表示欄をつくるように要望していた。
 健康保険証に記入欄を設ける試みは、すでに企業の健保組合や国民健康保険でも、一部実施されている。

診国立がんセンター、初診含む全診察を予約制に 4月から indexへ

 抗がん剤治療などで低下した免疫力を回復する注射薬を、病院などでしか接種できないのは負担が大きいとして、患者団体が16日、自ら自宅で注射することができるよう求める約1万7000人分の署名を厚生労働省に提出した。
 この注射薬は「顆粒(かりゅう)球コロニー刺激因子(G―CSF)」。白血球の増加を促す働きがあり、抗がん剤治療で白血球が減った患者や、生まれつき免疫力の弱い先天性の患者は1日1回程度の注射が必要。医師の管理の下で接種することになっている。
 患者団体によると、患者は、専門医のいる病院で注射を受けなければならないうえ、最も免疫力が弱まる接種直前に人込みに接しなければならず、感染に対する不安があるという。厚労省は、糖尿病治療で使うインスリン製剤など、一部の注射薬について在宅自己注射を保険対象に認めているが、G―CSFは対象になっていない。
 患者代表の山田百合香さんは「海外では自己注射が当たり前に認められており、日本で無視されていい問題ではない」と訴えている。

診国立がんセンター、初診含む全診察を予約制に 4月から indexへ

 初めて来院した患者を予約なしで診てきた国立がんセンター中央病院(東京都中央区)が4月から、原則としてすべての患者の診察を予約制に切り替える。専門病院での治療を希望する患者が全国から集まっており、最近は診察までの待ち時間が8時間に及ぶケースも出ていた。初診の患者は他の医療機関からの紹介が原則で、新制度では本人が直接、予約をとることはできず、治療を受けている医師を通じて申し込むことになる。
 中央病院はこれまで初診患者の予約制はとっておらず、受診したい人は当日、病院を訪れて順番を待つ形だった。また、通院中の患者が体調不良などで予約日以外に来院することもあり、病院全体では1日900〜1000人の外来患者のうち、予約のない人が100〜150人に上っていた。
 こうした患者は予約診療の合間に少しずつ診るため、午前10時に来院しても診察は夕方6時、という例もある。予約患者の診療もその分ずれ込んでおり、外来制度の見直しに踏み切った。
 4月以降、新たに受診したい場合は、患者本人と紹介医がそれぞれ専用の申込書に記入し、紹介医を通じて申し込む。書類は同病院のホームページから入手できる。診察希望の曜日などを患者が指定しない限り、申し込みから半月以内に受診できる見通しだという。
 患者や紹介医の手間は今より増えるが、病院側は「日々の患者数を平均化させて待ち時間を1時間程度に抑えたい」と説明。通院中の患者が緊急で受診する場合も、電話で医師に相談するよう求める。3月末までの初診患者は、従来通り予約なしでの診療となる。
 新しい予約制については、過去に患者を紹介してきたことのある全国の開業医ら約8000人にすでに連絡。今後は、手術を終えた患者のケアを地元の医師に依頼したり、同病院での研修を希望する開業医を受け入れたりするなど、中核病院として他の医療機関との連携をさらに強める方針だ。

診療所の初・再診料下げ 中医協答申 indexへ

 治療や薬の公定価格である診療報酬の06年度改定の中身が15日決まった。中央社会保険医療協議会(中医協)が川崎厚生労働相に答申した。改定は身近な医療にも影響が及ぶ。4月からどう変わるのか――。
 患者にとって一番身近な影響は診療所の初・再診料の引き下げ。医療機関には収入減になるが、患者の窓口負担は軽くなる。今の初診料は、診療所は外来、病院は入院や救急という役割分担を目指し、病院(20床以上)より診療所(19床以下)が高いが、かえって外来患者が病院に流れるなど効果がないため統一して2700円(患者負担は3割)にする。
 入院では、長期入院のための「療養病床」の基本料が変わる。看護師数などで決まっていたが、患者の医療の必要度で分ける。必要度が低い患者が多いと病院の収入が減るため、退院させて介護施設や在宅療養に移す動きが加速しそうだ。医療機関に周知後、7月から実施する。
 新薬と同じ有効成分で価格が安い後発品は使いやすくなりそうだ。医師が書く処方箋(せん)の様式を変え、変更できることを示す欄をつくる。医師がサインすれば、新薬名で処方されても患者は薬局で後発品を購入できる。
 心臓の脳死移植にも保険が適用され、「普通の医療」になる。半年間入院した場合、手術料や入院料などで約310万円かかっている患者負担が、改定後は一定額以上払った場合に還付される「高額療養費制度」も適用され約53万円で済むようになる。

初診・再診料下げ小児科は手厚く 診療報酬改定案答申へ indexへ

 厚生労働省は15日午前、治療や薬の公定価格である診療報酬の06年度改定案を中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)に示した。同日午後、答申を受ける予定。治療や調剤など本体部分をマイナス1.36%にするため、初診料・再診料や、医療の必要度が低い長期入院(社会的入院)の報酬などで1.8%(医療費換算で約5990億円)分を圧縮。一方で医師不足が深刻な小児科や産科、救急医療などは手厚くして0.44%(同約1475億円)増と配分にめりはりをつけた。大半は4月から実施される。
 薬価・医療材料部分を合わせて過去最大のマイナス3.16%とする方針を受け、川崎厚労相が先月、個別項目の点数配分の改定を諮問していた。
 病院(20床以上)より診療所(19床以下)が高い初・再診料は、初診料については病院は上げ、診療所は下げて2700円に一本化。再診料は、双方下げて病院570円、診療所710円にして患者負担を軽減する。受診のたびにかかる初・再診料の引き下げは、医療費抑制効果が大きいと同省では見ている。
 一方、採算が厳しく医師が不足している小児科や産科、麻酔科、救急医療などの報酬は手厚くする。乳幼児を深夜に診察した場合の加算や、小児科常勤医の配置を評価する「小児入院医療管理料」を大幅に増額する。
 療養病棟の入院基本料は、社会的入院の患者について数千円単位で大幅に引き下げる。公費負担の低い介護施設などへの移行を促すのが狙いだ。
 そのかわり、医療が必要な高齢者が家庭や地域で暮らせる環境づくりのため、24時間往診可能などの条件を満たす診療所を「在宅療養支援診療所」として認定し、より高い診療報酬を払う制度を新設する。
 医療費の内訳が患者にもわかるように領収書の発行を医療機関に義務づける案については、費用がかかるとして消極的な日本医師会など診療側と、診療報酬明細書(レセプト)に準じた詳細な領収書を求める健康保険組合など支払い側の間で対立が続いてきた。この日の中医協で最終調整の結果、「検査料」や「投薬料」など大まかな項目ごとの点数を示す内容にとどめることで合意した。

極小未熟児の救命率に施設間格差 全国37カ所調査 indexへ

 全国の総合周産期母子医療センターで、体重が1500グラム未満で生まれた赤ちゃんの救命率に、大きな差が見られることが、厚生労働省の研究班(主任研究者=藤村正哲・大阪府立母子保健総合医療センター病院長)の調査で明らかになった。施設ごとの死亡率に0〜20%程度の開きがあった。世界でもトップクラスとされる日本の周産期医療も改善の余地がある。
 全国の総合周産期母子医療センター39施設と小児病院3施設の計42施設に、03年に生まれた1500グラム未満の赤ちゃんの状況を尋ね、解析できるデータのある37施設の2145人について調べた。国内の約3分の1を網羅する数にあたる。
 その結果、死亡児は232人にのぼり、平均死亡率は10.8%。個々の施設で見ると、例えば、45人生まれても死亡はゼロなど、死亡率0%の施設が三つあった。その一方、83人中18人が死亡するなど、死亡率が20%を超える施設が五つあった。仮に、死亡率が平均より高い施設を平均まで改善できるだけで、51人が救われる計算になるという。
 研究班は04年分のデータも集計する。最低3年間のデータをためて分析し、救命率の高い施設と低い施設を訪問。人工呼吸器や治療薬の使い方、地域の救急態勢などを細かく調べる。優良施設の取り組みを広めるなどし、周産期医療のさらなる向上を目指す。
 データを解析した楠田聡・東京女子医大教授(新生児学)は「結論を出すには早いが、考えていた以上に施設間で格差が見られ、驚いた」と話す。

医療事故の調査、第三者も参加は4割 公正さ課題 indexへ

 医療事故が起きたときに原因調査や再発防止策を検討する際、より公正さを確保するため、第三者の参加を望む声が高まっている。しかし、公立病院を運営する都道府県や公的な病院グループでルール化しているのは、4割にとどまっていることが、朝日新聞社のアンケートでわかった。調査委員すべてを外部委員にしているところもあれば、「必要があると認める時に」と限定的なところもある。一方、調査報告書の公表を定めている団体は1割強にすぎず、他院での再発防止に役立ててもらおうという意識の低さをうかがわせた。
 医療事故を減らすための原因調査の重要性が指摘されているが、厚生労働省は調査方法を統一的に定めておらず、調査をする第三者機関も存在しないため、個々の医療機関の取り組みにゆだねられているのが現状だ。
 最高裁の統計では、医療訴訟は過去10年間で2.3倍に増え、04年の提訴数は1107件と初めて年間1000件を超えた。患者側の根強い不信感の一因として、医療機関の調査が内向きで、公正さや客観性が確保されないことが指摘されている。
 アンケートは47都道府県と公的な病院グループ9団体の計56団体を対象にした。医療事故が起きたときの対応指針は、54団体(都道府県45、公的な病院グループ9)が作成していた。二つの県が「作成中」と答えた。
 指針の中で医療事故の調査方法を定めているのは46団体(都道府県38、公的な病院グループ8)だった。このうち病院外の第三者が調査や評価に参加することを明文化しているのは都道府県が19(129病院)、公的な病院グループが4(282病院)だった。
 ただ、第三者の参加を定めていても、対応には差がある。群馬、埼玉、兵庫の3県は、県立病院で事故が起きた場合に病院外の医師や有識者など外部委員のみで構成される調査委員会で調べることにしている。
 このほか、「特に重大な事故については第三者の参加(2人以上)を求める」(栃木)、「第三者委員は複数いることが望ましく、連合会以外の病院の専門医、患者サイドで活動している弁護士などが適当」(国家公務員共済組合連合会)など、外部委員の人数や専門性について詳しく定めているところもある。
 一方で、「院外の有識者を委員とすることができる」(岡山)など、必要があると判断される時に意見を聞くという方式の団体も少なくない。
 どんな事故が起きた時に公表するかを指針で定めているのは、40団体(都道府県36、公的な病院グループ4)だった。
 しかし、事故の原因を調べた調査報告書の公表を定めているのは、都道府県で7、公的な病院グループで0と少なく、指針がある54団体の13%にすぎなかった。

入院の1歳児死亡、ミルク吐き心肺停止 小田原市立病院 indexへ

 神奈川県小田原市久野(くの)の小田原市立病院(中島麓病院長、417床)で医療事故があり、1歳の男児が死亡したと12日、同病院が発表した。小田原署が近く司法解剖して死因や医療ミスの有無などを調べる。
 病院によると、死亡したのは同県南足柄市の会社員の男性(24)の長男。1日夜に呼吸が苦しくなり、熱もあったため、家族に伴われ来院。ぜんそく性気管支炎と診断され、2日から入院していた。
 快方に向かっていたが、6日午前7時20分ごろ、ベッドの上でミルクをはき、心肺が停止しているのを看護師が見つけた。救命措置を施され、いったんは心拍が戻ったが、10日午後6時22分に死亡した。病院は同日、小田原署に届け出た。
 病院によると、男児は虚血性低酸素脳症を起こしたとみられるが、詳しい死因は不明。心肺停止で見つかる直前の6日午前7時10分ごろ、男児が泣いているのを看護師が確認したが、異常には気づかなかったという。
 中島病院長は「患者は順調に回復しており、予期しなかった事態だったので事故として報告した」と話した。

ヤコブ病患者の手術器具、46例で適切処理せず再使用 indexへ

 厚生労働省は8日、難病のクロイツフェルト・ヤコブ病患者の脳外科手術で使用された手術器具が、国のガイドライン通りの滅菌処理がされないまま他の患者に再使用された事例が04〜05年に46例あったことを明らかにした。同省は、手術器具による二次感染の可能性は極めて低いとしているが、感染の疑いが否定し切れない33人に事情説明や定期的な診察をするよう病院側を指導。他の13人についても10年間のカルテの保存を求めた。
 厚労省は03年、ヤコブ病の感染予防のためのガイドラインを作成。手術時点ではヤコブ病と分からないケースもあるため、すべての脳外科手術に使った手術器具は100度の特殊液で5分間煮沸するなど特別な滅菌処理をして再使用するよう求めていた。
 ところが04年6月〜昨年7月に脳外科手術を受けた患者3人が、手術後10日〜4カ月後にヤコブ病と分かった。判明するまでの間、46人の脳外科手術で、通常の滅菌はしたもののガイドラインに沿った処理がされていない手術器具が再使用されていた。
 ガイドラインが徹底されない背景には、現場の実態とあっていないなどの指摘もあるため、同省は近く検討会を設置し、ガイドラインの見直しなどを議論するとしている。

医師3人に禁固2年6カ月求刑 慈恵医大病院医療ミス indexへ

 東京慈恵会医科大学付属青戸病院(東京都葛飾区)で02年、腹腔鏡(ふくくうきょう)手術を受けた男性(当時60)が死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われ、無罪を主張している担当医3人の公判が9日、東京地裁であり、検察側は3人に禁固2年6カ月を求刑した。論告で検察側は「知識や経験、必要性もないのに、患者の安全を二の次にし、自分たちだけで難しい手術をやってみたいという身勝手な考えで手術をした。医療過誤事件でも類を見ない悪質さだ」と指摘した。
 求刑されたのは、執刀医だった斑目旬(まだらめ・じゅん)被告(40)=業務停止処分中=、主治医だった長谷川太郎被告(36)=同=、前田重孝被告(34)。
 論告で検察側は、3人が腹腔鏡を用いた前立腺全摘手術の経験がないのに手術を始めた▽止血処理の際、逆に傷口を広げて大量出血させた▽麻酔医に「出血は治まった」と伝えて輸血を遅らせた▽脳死に陥らせ、それによる肺炎で男性を死亡させた――と主張した。
 前田被告は一貫して無罪を主張。斑目、長谷川両被告は初公判で罪を認めたが、途中から「麻酔医が適切な輸血をしなかったのが死因」として無罪主張に転じている。

抗うつ薬「SSRI」、妊婦は注意 子に呼吸障害の恐れ indexへ

 代表的な抗うつ薬として知られる「SSRI」というタイプの薬を妊婦が飲み続けると、新生児が呼吸障害を起こす危険が高まる恐れのあることが分かった。この薬は従来の抗うつ薬に比べて副作用が少ないとされ、パニック障害や強迫性障害といった心の病の治療に幅広く使われている。
 米カリフォルニア大サンディエゴ校などの研究グループが9日付の医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに報告した。
 米国とカナダで98〜03年に生まれた子のうち、肺に血液がうまく流れず低酸素状態を招く「遷延性肺高血圧症」(PPHN)になった377人と、正常だった836人について、母親の抗うつ薬服用との関連を調べた。
 妊娠20週以降にSSRIを飲み続けていて、子がPPHNになったのは14人。飲んでいない群と比べて発症の危険が6.1倍高かった。妊娠前半だけ飲んだ場合などは影響はみられなかった。
 グループは「リスク自体はそれほど高くなく、飲み続けた方がいい場合もある。治療法を決める参考にしてほしい」としている。
 SSRIは国内では「パロキセチン」(商品名パキシル)など3剤が使われている。パロキセチンについては、米食品医薬品局(FDA)が昨年12月、「妊娠初期に飲み続けると、出生児の心臓病などのリスクが高まる」と発表しており、これを受けて厚生労働省は1月、添付文書の改訂を指示した。
 杏林大の田島治教授(臨床精神薬理学)は「妊娠中にSSRIをやめたり別の抗うつ薬に変えたりするのは、現実的には難しい。出産の場で注意すれば対処できることも多く、処方する医師は産科医や妊婦に、リスクがあることをきちんと伝えるべきだ」と指摘している。

人工透析で40人が貧血症状、井戸水使用が原因か 千葉 indexへ

 千葉県佐倉市の聖隷(せいれい)佐倉市民病院(柏原英彦院長)で1月上旬、人工透析患者の半数にあたる約40人が一斉に貧血の症状を起こしたことがわかった。同病院は透析用に使い始めた井戸水が原因と見て使用を中止した。貧血症状の出た患者の一部は入院したが、輸血治療などを施した結果、症状は改善している。
 同病院では入院、通院合わせて約80人が人工透析を受けている。1月2、3日に実施した月1回の定期検査で、約40人に貧血の症状があることがわかった。うち5人が一時入院し、17人が輸血を受けた。
 同病院によると、水道水より井戸水の方が環境ホルモンの影響を受けにくいとの学説を参考に、昨年12月中旬から透析液に病院敷地内にある井戸の水をろ過して混ぜ始めた。それまではろ過した水道水を使っていた。
 井戸水は地元の保健所が昨年11月に、飲料水として適合すると判断していた。井戸水使用と貧血の医学的な因果関係ははっきりせず、病院は改めて水質を詳しく検査し、原因を調べている。井戸水の使用は1月6日に中止した。
 同病院は「よかれと思って井戸水に変えたのですが、患者さんにご迷惑をおかけして申し訳ありません」としている。
 同病院は国立佐倉病院が前身。04年3月から社会福祉法人聖隷福祉事業団が経営している。同年10月に透析センターを設置するなど腎臓疾患治療に力を入れている。

人工網膜「光」見えた 国内初、阪大グループが試験成功 indexへ

 視力を失った人の眼球に人工網膜チップを埋め込み、光を「見せる」ことに、大阪大医学系研究科の田野保雄教授、不二門尚(ふじかど・たかし)教授らのグループが成功した。被験者が人工網膜で光を感じたのは国内では初めて。16日、東京都で開かれる感覚器障害研究成果発表会で報告する。
 グループは、網膜が損傷して視力が落ちた「網膜色素変性症」の患者2人の同意を得て臨床試験を実施した。
 眼球の裏にあって網膜を包んでいる強膜(厚さ約1ミリ)に、手術ですき間を作る技術を確立。ここに、縦横3個ずつ計9個のプラチナ電極がついている3ミリ角の人工網膜チップを埋め込んだ。
 そして、チップのそれぞれの電極に外部から電気を流すと、網膜が光を感じたときと同じような電気信号が視神経に伝達され、「光」として感じた。チップの電極は網膜や視神経に直接は触れていないが、距離が近いため電気信号をやりとりできるという。
 たとえば、縦に並ぶ3個だけに信号を流すと光は直線状に見え、ものの形も判別できることがはっきりした。チップは試験後に取り出した。
 グループは、2010年ごろの実用化を目指し、眼鏡などにつけた小型カメラの画像信号を眼球裏のチップに伝えるシステムを開発する。また、指の本数や字を見分けるためには、チップの電極を100個程度に増やす必要があるという。
 人工網膜の研究は欧米が先行しているが、まだ実用的な装置はない。田野教授は「実際に光が見えたというのは大きな一歩だ」という。チップを出し入れできるので、応用した場合の使い勝手もいい。
 人工網膜は、いまは有効な治療法がない重度の網膜色素変性症や、20万〜30万人の患者がいるとされる加齢黄斑変性などへの応用が期待されている。

医療制度改革法案、自民部会が了承 療養病床削減も決着 indexへ

 自民党の厚生労働部会と医療、介護両委員会の合同会議は7日、高齢者の負担増や新たな高齢者医療制度の創設などを盛り込んだ医療制度改革関連法案の要綱を了承した。党内から反発が出ていた長期入院者のための療養病床削減案については、患者の受け皿となる介護施設のあり方などについて検討規定を設けることで決着した。一方、医師不足対策としてへき地での勤務を開業の条件にする案は、与党や医療関係者らの反発に配慮して見送りになった。同日午前の党政審、総務会を経て10日に閣議決定され、国会に提出される見通し。
 同法案は、70歳以上で現役世代並み所得の人の窓口負担を10月から今の2割から3割にし、高額療養費の自己負担限度額も引き上げ。また08年度からは70〜74歳で今は1割負担の人も2割にするほか、75歳以上を対象とする新たな高齢者医療制度の創設などが主な内容。
 焦点の介護保険と医療保険に分かれている療養病床を12年度から医療型に一本化し、病床数を現在の38万床から15万床に減らす案については、老人保健施設や有料老人ホーム、ケアハウスなどへの転換を病院経営者がスムーズにできるよう、医師や看護師の配置基準を緩和した病床の類型を設ける経過措置を盛り込むことを確認した。
 また、本来はリハビリ中心の老健施設でも必要な医療が受けられるようにするなど、こうした施設の見直しについて今後、検討することを健康保険法改正案の付則に盛り込むことになった。
 一方、厚労省が「医師不足対策の切り札」と位置づけて提案していたへき地医療などへの従事を開業の条件にする案については、同省の社会保障審議会医療部会でも、賛否が二分した。
 「医師不足は危機に面しており、大きな意味がある」「医師の社会的任務として経験も必要」などと前向きにとらえる意見の一方で、「やる気のない人に行かせても、根本の解決にならない」「臨床研修の中身を充実させることで解決が可能な部分がある」などの意見が出た。与党からも、「職業の自由選択を縛りかねない」などの批判が出たため、法案への盛り込みは見送られた。

臓器移植患者・提供者の追跡調査を一本化 移植学会 indexへ

 日本移植学会の倫理委員会が5日、東京都内であり、臓器移植を受けた患者や、臓器提供者(ドナー)の予後の追跡調査を、学会として一本化することを承認した。統一した調査データが腎臓以外ないことから、移植医療の透明性を高めるのが狙い。
 対象は腎臓、肝臓、心臓、膵臓(すいぞう)、膵島、肺移植。心停止後の移植や脳死移植のほか、肝臓、肺については生体移植も含む。生体腎臓移植のドナーと、小腸移植については今後、検討する。渡航移植は対象外だ。
 調査は患者や各医療施設の同意を得て実施し、移植数や生着率、生存率などの結果は学会誌やウェブサイトで公表する方針。

モルヒネなど医療用麻薬、流通規制を緩和へ 厚労省方針 indexへ

 厚生労働省は、がん患者の痛みを和らげるために使われるモルヒネなどの医療用麻薬を在宅医療の現場でも利用しやすくするため、流通や管理の制限を緩和する方針を固めた。現在は禁止されている薬局間の譲渡を早ければ07年度から試験的に解禁、モデル事業として実施しながら必要な法整備を進める方針だ。
 麻薬の流通は、麻薬及び向精神薬取締法(麻向法)で厳しく制限されている。医師の処方にもとづいて患者に販売される経口薬やパッチ製剤などの医療用麻薬も同様で、調剤・小売薬局間の譲渡は原則禁止されている。
 このため在庫がなくなっても他の薬剤のように近隣の薬局から調達することはできず、許可を受けた麻薬卸売業者から仕入れなければならない。麻薬小売業の免許を受けた薬局は全国で約2万7000カ所。一方、卸売業者は約800カ所で、最も少ない沖縄県や高知県には4カ所しかない。
 そこで厚労省は、薬局が医療用麻薬を調達しやすくなるよう流通制限を緩和したうえで、麻薬小売業の許可薬局もさらに増やしたい考え。モデル事業の対象となる薬局の要件などは今後詰める。病院同士や患者同士の譲渡は引き続き認めない方針だ。
 また、「麻薬施用者」の指定を受けた医師は現在、専用の保管庫の設置を義務づけられているが、処方箋(しょほうせん)により外部の薬局で調剤する場合は設置義務を廃止する。
 医療用麻薬は、アヘンを原料とするモルヒネのほか、痛みを抑える効果が高い合成麻薬のフェンタニルなどが利用されている。経口薬や注射薬に加えて、最近はフェンタニルをはり薬にしたパッチ製剤の利用が急増している。
 疼痛(とうつう)ケアが進んでいる欧米では医療用麻薬が早くから普及し、末期だけではなく初期のがん患者にも積極的に処方されている。日本での1人あたりの消費量はモルヒネの場合、米国の8分の1程度。厚労省は乱用防止とのバランスをとりつつ利用を促したい考えだ。

薬剤師にも再教育義務付け 行政処分見直しで厚労省 indexへ

 厚生労働省は、薬剤師に対する行政処分の対象範囲を広げたうえで、処分を受けた薬剤師に再教育を義務づける方針を決めた。免許取り消しと業務停止だけだった行政処分に「戒告」を追加、処分にあたっては医師などと同様に医道審議会への諮問も行う方向だ。
 厚労省はすでに、医師と歯科医師、看護師や助産師、保健師の行政処分についても同様の方針を示している。07年度以降に順次、導入する。
 戒告の対象は今後詰めるが、投薬にからむ医療ミスなど、これまで処分の対象外だったケースも議論になるとみられる。
 厚労省によると、過去10年間に犯罪や調剤報酬の不正受給などで行政処分を受けた薬剤師は22人。免許取り消しは7人で、このうち3人が麻薬や覚せい剤関連などの犯罪で有罪が確定した。業務停止は15人で、停止期間は最高6カ月だった。

肥満解消はダンスゲームで 米の公立765校に導入へ indexへ

 画面に合わせてステップを踏むダンスダンスレボリューション。米国人の肥満解消に役立つか?
 コナミの人気ゲームソフト「ダンスダンスレボリューション」(DDR)が、米国のウェストバージニア州にある全765の公立学校に導入されることになった。子供の肥満の解消・予防は同州の最優先課題の一つといい、労働者保険局は「座りっぱなしの子供を楽しく運動させられる」と話している。
 DDRは98年に発売された。約3分間の音楽に合わせ、画面に現れる矢印の指示通りに専用マットでステップを踏んで得点を競う。消費したカロリーも表示される。ゲームセンターで人気を集め、家庭用も発売された。米国では01年に発売され、300万本以上の売れ行きという。
 同州は、まず103の中学校に導入し、2年間ですべての公立学校に広げる。コナミや同州立大とも協力し、肥満に対する効果についての調査も行う。

「専門病院へ搬送怠る」と医師に賠償命令 福岡地裁 indexへ

 福岡市の女性(当時24)が入院した3日後に急性白血病で死亡したのは、医師が直ちに専門病院に転院させなかったためだとして、遺族が福岡市早良区の医療法人盛和会神代医院を相手取り、約9680万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が3日、福岡地裁であった。一志泰滋裁判長は「直ちに転院させていれば、3日後に死亡することはなかった」として、医院側に660万円の支払いを命じた。
 判決によると、女性は02年1月4日午前、高熱が続いたため神代医院で受診しそのまま入院した。医師は白血病の疑いがあると思い、血液検査を検査機関に依頼。午後3時半にファクスで回答が寄せられたにもかかわらず、夜まで見過ごしたうえ、同日が金曜であったことから、転院は週明けの7日と判断。女性は7日未明、急性白血病による脳出血で死亡した。
 一志裁判長は「医師が検査結果のファクスに直ちに気づけば診療時間中の専門病院への転院は可能だった」として、医師の過失と死亡との因果関係を認定。ただ「女性の病状は相当悪化しており、回復したとは認められない」として、その分は損害とは認めなかった。

治療代の未払い、1病院1556万円 病院団体が調査 indexへ

 病院にかかった患者が支払っていない治療代(未収金)が02年度からの3年間で、1病院平均1556万円に上ることが、四つの全国規模の病院組織でつくる四病院団体協議会(四病協)の実態調査で分かった。こうした調査は初めてで、過去と比較はできないが、四病協は、医療費の自己負担率の引き上げなども影響して未収金が増えているとみて、3月にも対策をまとめる。
 調査は昨年9月、全国の国公立、民間を合わせた約9000病院のほぼ6割にあたる加盟5681病院を対象に実施し、2724病院から回答があった。02〜04年度の受診で、05年7月31日時点で払われていない金額を尋ねた。
 その結果、未収金の合計は423億9779万円で、病院の95%が未収金を抱えていた。1000万円を超えているのは788病院あり、1億円以上も68病院。04年度1年間(3200病院が回答)に限ると、総額計217億4699万円で、平均679万円だった。
 04年度分の内訳は、入院費用が85%。保険別では、無職者ら低所得の人が多い国民健康保険(国保)での受診が46%と半数近くに上り、低所得者が高額の入院費を払えないケースが多いとみられる。救急病棟に搬送された患者や国保保険料の滞納者、無保険の外国人らが未収になりやすい傾向。
 支払いの難しい人には分割払いを認めることもあるが、退院後、急に連絡が取れなくなる場合も後を絶たないという。

低用量ピル、処方前検査を簡素化 初回3千円程度に indexへ

 低用量経口避妊薬(ピル)を医師に出してもらう前の検査が大幅に簡素化される。日本産科婦人科学会(日産婦)などが新指針を1日までにまとめた。従来は数万円の検査費用がかかることもあったが、新指針では初回の費用は3000円程度におさまり、服用を希望する女性はぐっと利用しやすくなる。
 ピルは医師が書いた処方箋(しょほうせん)が必要な医薬品で、99年に解禁されたが、国内の使用率は1〜2%。従来の指針では、処方前の検査として、血圧測定のほか、検尿、肝機能検査、子宮頸部(けいぶ)細胞診、性感染症検査などを求めていた。
 新指針では、問診で乳がんや糖尿病などの有無、喫煙状況、服用中の薬剤、年齢などを尋ねることと、血圧と体重の測定だけを必須とし、これで問題がなければほかの検査はしなくてすむ。
 ピルは正しく飲めば避妊効果が100%近く、女性が主体的にかかわれる利点がある。国連の資料(03年)では、使用率はドイツ59%、仏36%、英国22%、米国16%と先進国で定着している。
 日産婦の武谷雄二理事長は「この6年ほどで日本人独自のリスクもないこともわかり、世界標準に合わせた。性感染症検査は大切だが、ピル利用者だけにするのは個人のプライバシーにもかかわる」と話している。

インフルエンザの子、異常行動調査へ タミフルの関連検討 indexへ

 インフルエンザにかかった子どもたちに、どのくらいの頻度で異常行動や意識障害、けいれんなどの症状が起きているかを、厚生労働省の研究班が調べることになった。重症化しやすい脳症を併発した場合の特徴などが分かれば、治療に生かせる。服用者の異常行動死が指摘された抗インフルエンザウイルス薬タミフルなど、薬の副作用があるかどうかも検討する。
 研究班は、全国の小児科医を通じて患者の家族に調査票を預け、せきや関節痛、のどの痛みなど通常の症状以外に、おびえや幻視・幻覚、うわごとなどがないか、発熱初日から1週間分を答えてもらう。1医師当たり10〜15人分を回収し、年に3万人のデータを蓄積していきたい考えだ。
 インフルエンザの子どもの異常行動はタミフルの認可前から知られており、専門家の多くはタミフルの服用と異常行動に因果関係はないとみているものの、関連を完全には否定しきれない。そこで研究班は、タミフルなどの抗ウイルス薬や解熱剤、抗生物質などの使用状況も把握し、異常行動などとの関連を詳しく調べる。
 研究班長の横田俊平・横浜市立大教授(小児科)は「鳥インフルエンザや、出現が懸念されている新型インフルエンザでも、異常行動などの症状が出る可能性があり、調査結果は重症患者の治療に大いに役立つはずだ」といっている。

療養病床15万床に削減、2012年度までに厚労省方針 indexへ

 厚生労働省が、長期入院患者のための療養病床を2012年度までに現在の38万床から15万床に減らす計画であることが1日、わかった。削減する約23万床のうち約15万〜17万床は老人保健施設、残り約6万〜8万床は有料老人ホームやケアハウスなどの居住系施設や在宅に転換を促す考え。医療の必要度が低い「社会的入院」を減らして医療費の伸びを抑制する狙いだが、施設の転換が円滑に進むかや、患者が必要な医療をきちんと受けられるのかなど、今後、議論を呼びそうだ。
 療養病床には、介護保険から費用が支払われる「介護型」(13万床)と、医療保険適用の「医療型」(25万床)がある。厚労省は、介護型を2012年度までに全廃して医療型に一本化する方針をすでに示しているが、療養病床を全体でどれくらい減らすのか具体的に明らかになるのは初めて。介護型の廃止に加え、全体として病床数を大幅に減らす方針が明確になった。
 ただ、同省の調査では、医療の必要度が低いとされる人は医療型で約50%、介護型の入院患者で「容体急変の可能性が低い」とされる人は約64%。今回の計画では、療養病床の入院患者を現在の約4割まで絞り込むことになり、医療の必要度が高いとは言えないまでも、まったく必要ないとも言い切れない「中間層」の人たちの適切な受け皿が確保できるのかなどが、今後課題となりそうだ。

免許ないのに医療行為、容疑のカウンセラー男女を逮捕 indexへ

 医師免許がないのに、カウンセリングを受けに来た女性に診察、投薬などの医療行為を行っていた疑いが強まったとして、兵庫県警生活環境課と甲子園署は1日、いずれもカウンセラーの同県西宮市能登町の横山直征容疑者(33)と同県宝塚市小林5丁目の中田智栄容疑者(35)を医師法違反(無免許医業)容疑で逮捕し、横山容疑者が運営する「西宮心理臨床センター」などを家宅捜索した。投薬により意識を失ったと訴えている被害者もいるという。
 調べでは、横山容疑者は所長、中田容疑者は臨床心理カウンセラーと称して同センターに勤務。医師免許がないのに、03年秋から05年春ごろまで数回にわたり、同センターに相談に来た西宮市の30代の女性や同県伊丹市の30代の女性に対し、診察したり、精神安定剤や抗うつ剤を与えるなどした疑い。
 県警によると、被害にあった女性の一人は03年秋ごろ、同センターで抗うつ剤を飲まされ意識を失ったと訴え、別の女性は05年春ごろ、精神安定剤などの服用で意識がもうろうとした際、同センターで大量の水を飲まされるなどの治療を受けたという。
 横山容疑者は大学で専攻した臨床心理学などの知識を利用して、96年ごろから自宅でカウンセリング業を始めたとされるが、2人とも臨床心理士の認定を受けていない。県警は、薬の入手経路などについても調べている。

医師資格なく血を抜く 鍼灸院経営者ら2容疑者逮捕 indexへ

 医師の資格なく医療行為をしていたとして、警視庁は1日、東京都墨田区押上3丁目の「権田鍼灸(しんきゅう)・接骨院」経営、権田敏男容疑者(46)=同区東向島3丁目=ら2人を医師法違反(無資格医業など)の疑いで逮捕した。権田容疑者は、あんまマッサージ師・はり師・きゅう師の免許を持っていたが、「毒を抜く」などと称して患者の血を抜く医療行為を続けていたという。
 生活環境課などの調べでは、権田容疑者らは医師でないのに03年6月〜05年2月、患者として訪れた同区の主婦(32)ら8人に超音波検査などを行い、血を抜くなどの治療行為を約25回繰り返した疑い。権田容疑者は、この主婦に「心不全」などとうその診断をしていたという。
 接骨院には「権田治療院」と看板を掲げ、1日に50〜120人の患者が訪れていたといい、90年の開院以降、年間約8000万円を売り上げていたという。

大豆イソフラボン、妊婦さん取り過ぎ注意 indexへ

 取り過ぎに注意して――。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)やがんの予防効果があるなどとして人気のある食品成分「大豆イソフラボン」について、食品安全委員会の専門調査会は31日、過剰摂取に注意を促す報告書案をまとめた。
 ホルモンのバランスを崩す恐れがあるとして、通常の食生活に加え特定保健用食品などで1日に追加的にとる安全な上限量を30ミリグラムとした。特に、妊婦や乳幼児に対しては「追加摂取は推奨できない」としている。
 専門調査会は、02年の国民栄養調査などから、大豆イソフラボンの摂取量は、国民の95%が70ミリグラム以下であり、健康被害が出ていないことなどから安全な摂取量の上限を1日70〜75ミリグラムとした。
 さらに通常の食生活をしている女性を対象に、イソフラボンの錠剤などを飲んでもらい内分泌系への影響をみた調査から、男女ともに1日30ミリグラムを追加で取れる上限値とした。
 30ミリグラム以上含まれている健康食品のドリンク剤や錠剤もあることから、これらを取る際の注意にもなっている。
 ただ妊婦や胎児、乳幼児などに対しては、「追加摂取する場合の安全性は科学的に判断できない」とし、通常の食事以外からの摂取は勧めないとした。
 財団法人日本健康・栄養食品協会は1月12日に、調査会が根拠としたデータへの疑問があるとして「適正なサプリメントの活用を阻害し、好ましくない影響を与える可能性がある」との意見書を安全委に出している。

病院に1億円支払い命じる 名古屋の医療過誤訴訟 indexへ

 ヘルペス脳炎の疑いがあるのに薬の投与が遅れ、体に障害が残ったとして、生後間もなく名古屋市立城北病院(同市北区)に入院した同区内の男性(16)が、両親とともに病院を運営する同市に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が30日、名古屋高裁であった。青山邦夫裁判長は「病院は男性の入院時、ヘルペス脳炎を疑い、薬を投与するべきだった」と指摘。「適切に投与されていれば、体に障害が残らなかった可能性が認められる」と述べ、原告の請求通り、1億円の支払いを命じる原告側逆転勝訴の判決を言い渡した。
 判決によると、男性は89年11月、生後1カ月で全身がけいれんする症状が現れ、城北病院に入院した。約2カ月後、退院したが、ヘルペス脳炎による重度の後遺症が残った。両親によると、男性は現在でも寝たきりで、言語も不自由だという。
 両親と男性は95年、入院した段階でヘルペス脳炎を疑い、特効薬とされる「アシクロビル」を投与するべきだったとして、名古屋市に1億円の支払いを求める訴えを起こしたが、名古屋地裁は03年、「入院時の症状ではヘルペス脳炎の疑いをさしはさむ余地はなかった」などとして、請求を棄却していた。
 判決後、記者会見した両親は「提訴して10年以上になる。やっと分かってもらえた」と涙ぐんだ。
 同病院の高木孝院長は「判決文をよく読んだ上で、今後の適切な対応を考えたい」との談話を発表した。

子どもの救急、公式サイトで判断に目安 小児科学会 indexへ

 夜間や休日の診療時間外に病院で受診するかどうかの判断の参考になる「こどもの救急」というホームページを、日本小児科学会(衛藤義勝会長、会員約1万8000人)が開設した。東京・築地の浜離宮朝日ホールで29日に開かれた小児救急公開フォーラムで発表した。小児医療を担ってきた同学会の「公式」サイトとして、最新の知見を更新するなど内容の充実を図る予定で、小さい子どもを持つ家族の強い味方になりそうだ。
 生後1カ月から6歳までが対象。発熱、けいれん・ふるえ、吐き気、下痢、誤飲など19の「気になる症状」から選択し、どんな状況かあてはまる項目をチェックすると、救急車をすぐに呼ぶべきか、タクシーなどで病院に行くべきか、準備するものや医師に伝えるべき項目、注意事項などが示される。家で様子を見る場合も、看護のポイントや控えるべき薬剤などがわかる。
 例えば、「誤飲」は吐かせてはいけない場合や牛乳を飲ませてはいけない場合があり、対応の仕方を細かく示した。病気ごとの皮膚のブツブツの様子や、健康な便の見分け方なども写真でわかりやすい。
 小児救急の現場では過酷な労働環境が指摘されている。厚生労働省研究班の調査(04年)では、時間外受診が増えているが、28%が受診不要だった。同学会理事の中澤誠・東京女子医大教授は「急いで病院に行くべきか迷う時に、家族が判断をする上での目安にしていただきたい。緊急時は混乱する場合もあるので、ふだんも見ていただければ」と話す。

受精卵診断で妊娠25組 神戸・大谷医師が公表 indexへ

 習慣流産を予防する目的で受精卵診断を実施している大谷産婦人科(神戸市)の大谷徹郎院長は29日、04年9月から現在までに計25組が妊娠し、11組が15人を出産、12組が妊娠中であると公表した。2組は流産した。
 日本産科婦人科学会は、両親のいずれかに「均衡型転座」という染色体異常があって起きる習慣流産に受精卵診断を認めるかどうかについて、国民や会員の意見を1月末まで公募中だ。
 大谷院長によると、出産した3組と妊娠中の5組は、親に異常がないのに子どもの染色体数が変化する「数的異常」が原因で流産した夫婦。たとえ学会が診断の対象を拡大しても、認められない例に当たる。

救急病院を3区分 機能別に「救命」「入院」「初期」 たらい回し抑制狙う 厚労省08年度目指す indexへ

 厚生労働省は、救急車で運ばれる患者に対応する医療機関を認定する「救急告示制度」について、大幅に見直す方針を固めた。これまで、救急病院は1分類しかなかったが、病気やけがの緊急度に応じて「救命救急」「入院できる救急医療機関」「初期救急」の三つに区分する。機能別に基準を明確にすることで効率化を進め、患者を受け入れてもらえない「たらい回し」をなるべく少なくする狙いがある。今後、省令を改正し、08年度からの実施を目指す。
 告示できる救急病院は、消防法による厚生省令で基準が決められ、知事が認定している。05年4月現在、全国に4712カ所ある。しかし、(1)救急経験のある医師が常時診療している(2)X線装置・心電計・輸血などの設備がある(3)救急専用や優先的な病床が確保されている、などしか定めていない。
 一方、都道府県では、医療法による医療計画のなかで救急医療体制を、患者の病状などから初期、2次、3次の医療機関に分けているが、施設基準は抽象的だった。
 総務省消防庁によると、救急車で搬送したものの収容困難として他の医療機関に転送された例が、03年で3万4261回あるなど、「たらい回し」ともいえるケースもあった。救急病院にはなっているものの医師などの不足から、毎日は受け入れられない病院、診療所もあるため、実態に合った制度に見直すことにした。
 厚労省の検討案では、救急病院を、生死にかかわる重い患者を対象とする「救命救急センター」、入院が必要な急患を対象とする「入院機能がある救急医療機関」、軽い患者を診る「初期救急医療担当」に区分。3年の更新制にする。「救命救急センター」と「入院救急医療機関」は、搬送患者をすべて受け入れることとし、「年間365人以上を受け入れる能力と実績」といった数値基準を盛り込むことなどを検討している。
 また救急医療に携わる医師の労働条件も厳しいため、「救命救急センター」は、夜間休日の交代勤務の導入を明記する。
 しかし、機能別に区分することで「基準をクリアできずに、認定からはずれる病院が続出するのではないか」という懸念がある。厚労省は、細かな基準は今後、自治体や医療関係者と詰める必要があるとしており、地域事情などに応じた措置も検討する。

注射不要のインスリン 粉末吸入式欧米で認可 indexへ

 米食品医薬品局(FDA)は27日、米医薬品大手ファイザーの吸入式インスリン「エクスベラ」の販売を認可した。
 欧州委員会も26日に認可済み。注射をせずに体内に入れられるインスリン製剤は世界初で、糖尿病患者の治療の選択肢を広げる手段となる。米国では今年半ばまでに販売が始まる見通しだ。
 エクスベラは遺伝子組み換え技術で製造されたヒトのインスリンの粉未。眼鏡ケース大の専用吸入器を使って口から吸い込む。効果が表れるのが早いため、即効型のインスリン注射の代わりになるが、作用が遅いタイプのインスリンも必要な患者は注射と併用になる。
 ロイター通信によると、インスリン注射をしている患者は米国だけで500万人以上。ファイザーは「注射が嫌でインスリン治療を遅らせ、合併症の危険に直面している人も多い」と説明、吸入式はそうした人への朗報だとしている。
 糖尿病は高齢化などのため急増中。世界保健機関(WHO)は、00年に約1億7千万人だった世界の患者数が30年には3億7千万人近くに倍増すると推定している。

病院側の勝訴 最高裁が破棄 院内感染死訴訟 indexへ

 女性(81)が入院中に院内感染で死亡したのは病院側の投薬が不適切だったためだとして、遺族らが500万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第二小法廷(津野修裁判長)は27日、「病院に過失がなかったといえない」とする判決を言い渡した。請求を退けた二審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻した。
 訴えられているのは関東中央病院(束京都世田谷区)を経営する公立学校共済組合。
 一、二審は、専門家が裁判所に提出した複数の鑑定書や意見書を根拠に「病院の措置は当時(93年)の医療水準で許容される範囲内で、過失はない」とした。

タミフル副作用 重大な懸念なし 厚労省が見解 indexへ

 服用後の死亡例が報告されていたインフルエンザ治療薬のタミフル(一般名リン酸オセルタミビル)について、厚生労働省は「現時点で安全性に重大な懸念があると考えていない」とする調査結果をまとめ、27日の薬事・食品衛生審議会の専門家調査会で了承された。
 同省によると、01年の国内販売開始以降、服用後の死亡が報告されたのは42人。調査では、このうち50歳代と80歳代の男性2人について「死亡と服用との因果関係を否定できない」とした。ただし、いずれも数種類の薬を併用しており、タミフルによる副作用死とは断定できないとした。
 また、残りの40人(17歳以上26人、16歳以下14人)については「副作用と死亡との因果関係は否定的」と判断した。
 タミフルは昨冬、国内で860万人分が供給された。また流行が懸念される新型インフルエンザへの対策として国や自治体が備蓄を進めている。

昨年の献血者 HIV陽性率が低下 indexへ

 昨年1年間に献血をした531万2830人(速報値)のうち、78人がエイズウイルス(HIV)に感染し陽性反応が出ていたことが26日、厚生労働省の調べでわかった。88年以降、毎年増加傾向にあり、04年は92人と過去最高になったが、初めて前年を下回った。
 献血者は年々減っている。ただ、献血者10万人あたりでみても、感染者は04年の1.68人から1.47人に減った。厚労省は「保健所などで夜間や休日の検査が普及したため、検査目的で献血する人が減ったことが一因ではないか」と分析している。

看護師や医師の派遣、産休などの代替に限り解禁 indexへ

 厚生労働省は26日、原則禁止していた看護師や医師が行う医療関連業務への人材派遣について、産休などの間の代替要員に限って認めることを決めた。医師については、人材確保の難しいへき地への派遣も認める。これまではチーム医療に支障があるなどとして禁止してきたが、仕事と育児の両立支援や医師不足対策などの観点から、限定的に認めることにした。労働者派遣法の施行令を改正し、4月から実施する。
 医療関連業務に従事する看護師や医師、歯科医師、薬剤師らの派遣は現在、政令で原則禁止とされている。老人ホームなど病院以外の福祉施設や、一定期間の後、正式採用することを前提とした「紹介予定派遣」が例外的に認められているだけだ。
 これに対し昨年9月、「構造改革特区に関する有識者会議」が、医療業務の派遣解禁の検討を厚労省に要請。同10月に政府方針として決定され、同省で見直しを進めていた。
 厚労省は、産休や育児休業、介護休業の代替要員であれば「期間が限られ、常用代替の恐れがない」と判断。また、医師については、医師不足対策の一環として、離島振興法や山村振興法などに定められる地域に限って派遣を認めることにした。
 ただ、日本看護協会が「女性が多い職場で、働き続けられる環境作りは必要だが、チーム医療に問題はないかなど、実態のチェックが必要」などとするなど、医療関係者の間には安全面への影響を懸念する声もある。
 また、へき地への医師派遣については、もともと人材確保が難しいのに派遣が業務として成り立つのかどうかや、医師不足対策にどこまで効果があるかは未知数だ。

検診取り違え「異常なし」肺がん死に賠償命令 仙台地裁 indexへ

 財団法人宮城県労働衛生医学協会(仙台市)による定期健康診断を受けた仙台市内の保険外交員の女性(当時37)が肺がんで死亡したのは、同協会が診断結果を他人の物と取り違え、早期発見ができなかったためだとして、女性の長男(11)が同協会に約8200万円の損害賠償を求めた訴松の判決が26日、仙台地裁であった。小野洋一裁判長は取り連えと死亡の因果関係を認め、協会側に約7450万円の支払いを命じた。
 女性は02年に同協会の胸部レントゲン検査などで「異常なし」とされたが、03年の同協会の検査では末期がんと判明。04年に死亡した。その後、02年の検査で女性の肺に異常が発見されたのに、同協会が女性の検査結果を同姓の他人のものと取り違えていたことが分かったという。
 判決は「02年の時点で異常が指摘されていれば、根治する高い可能性があった」とした。同協会は「内容を見て対応を決めたい」と話している。

脳死移植に保険を適用 中医協が正式決定 indexへ

 治療や薬の公定価格である診療報酬を決める中央社会保険医療協議会の高度先進医療について、保険適用を認めることを正式に決めた。 97年の臓器移植法施行後、新たに脳死移植に保険を適用するのは初めて。
 これまで脳死移植では、入院費や検査費の3割負担に加え、約90万〜約300万円の手術費が患者負担だったが、保険適用後は手術費が10万〜20万円で済む。2月に貝体的な保険点数が決まり、4月から実施される。
 保険が適用されるのは、ほかに進行性筋ジストロフィーのDNA診断、腹腔鏡下の前立腺摘除術など。

ボンベ接続ミス調査結果を発表 駿河台日大病院 indexへ

 駿河台日本大学病院(束京都千代田区)で昨年10月、男性患者(58)が呼吸回路に酸素ボンベからのチューブを誤って接続
 された後に死亡した問題で、病院の事故調査委員会はね25日夜、調査結果を公表した。事故要因について「2年目で知識不足の看護師がほかの看護師の指導も無く、1人で作業したため」と指摘した。
 事故と死亡との因果関係については「完全に解明することは困難である」とした。警察への届け出が遅れた点については(看護師側からの報告が遅く、執行部が知ることはできなかったためで、隠蔽ではない」とした。

医師の派遺「職務行為」 医大汚職で最高裁 indexへ

 民間病院への医師派遣をめぐる奈良県立医科大の汚職事件の上告審決定で、最高裁第二小法廷(今井功裁判長)は「公立の大学病院の教授が医師を関連病院に派遣する行為は、職務に密接な関係のある行為で、贈収賄罪の対象になる」との初判断を示した。決定は23日付。
 医師派遣についての便宜を受けた見返りに同大教授に現金を渡したとして贈賄罪に問われ、無罪を主張した医療法人気象会東朋香芝病院会長の石田文之祐被告(65)の上告を棄却。懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6力月)とした一、二審判決が確定する。

専門医の認定、第三者機関で 日本医師会が改革案 indexへ

 日本医師会(植松治雄会長)は24日、高度な技術が必要な診療科については、新たにつくる第三者機関で「特定専門医」(仮称)を認定し、認定数も限定するなどとする、専門医制度の改革案を公表した。専門医や専門医がいる施設を診療報酬で優遇することも打ち出した。第三者機関には市民代表も加え、特定専門医の分野や専門医の上限数を検討するとしている。
 現在の認定医や専門医は、各学会が身内の会員を審査して決めているため、基準が甘いと指摘されることが多く、専門医による医療事故も相次いでいる。このため、日医内の学術推進会議(座長=高久史麿・日本医学会会長)が04年から検討を重ね、改革案を盛り込んだ報告書をまとめた。
 第三者機関は、日本医学会、日本医師会、日本専門医認定制機構(58学会加盟)、学識経験者、市民代表などで構成し、行政機関のオブザーバー参加を求めるとしている。

42例目の脳死判定 大阪医療センター indexへ

 国立病院機構大阪医療センター(大阪市)に、くも膜下出血で入院中の40代男性が25日午前、臓器移植法に基づく脳死と判定された。97年の法施行後、42例目の脳死判定。
 日本臓器移植ネットワークによると、心臓は東京女子医科大で拡張型心筋症の30代男性、肺は岡山大で閉塞(へいそく)性細気管支炎の20代男性、膵臓(すいぞう)と片方の腎臓は京都府立医科大で1型糖尿病の40代男性、もう片方の腎臓は近畿大で巣状糸球体硬化症の10代男性に、それぞれ移植される予定。

ドクターヘリ普及へ向け提言 indexへ

 医師を乗せて事故現場に飛び救命医療を施しながら患者を運ぶ救急ヘリコプター(ドクターヘリ)を全国に広げようと、NPO法人「救急へリ病院ネットワークー(HEM−Net)が24日、都内でシンポジウムを開いた。救急ヘリ先進国のスイスやドイツの専門家を招き、討論した。
シンポでは「ヘリが必要な地域ほど配備が遅れている。運航費を医療保険の対象にするなど、負担の分散が必要だ」と報告があり、国への提言としてまとめられた。

インフルエンザウイルスの仕組み解明 東大のグループ indexへ

 インフルエンザウイルスが感染した細胞内で増殖するとき、遺伝子が規則正しく並ぶ様子を、東京大医科学研究所の河岡義裕教授(ウイルス学)と野田岳志特任助手のグループが電子顕微鏡でとらえ、解明した。この配列を阻害できれば、新しい治療薬の開発が期待できるという。26日に英科学誌ネイチャーで発表した。
 インフルエンザA型の遺伝子は、八つに分かれたリボ核酸(RNA)で構成されている。河岡さんらは、感染細胞から出てきたウイルスの内部を電子顕微鏡で輪切りにして観察。RNAが、1本を中心に、その周りに7本が規則的に配置されていた。ウイルスが新たに複製される際、この8本のRNAが1セットになって取り込まれていた。
 河岡さんは「A型インフルエンザに共通する仕組みなので、これを阻害する薬ができれば、通常のインフルエンザだけでなく、新型にも有効な薬ができる可能性がある」と話している。

健康法著者、無免許で歯削った疑い 歯科医師法違反で捜索 indexへ

 歯科医の免許がないのに医療行為をしていたとして、埼玉県警は26日、歯科医師法違反の疑いで、歯科医院兼整体センターなどを経営する「エイ・ジェイ・エス(AJSグループ)」(さいたま市南区鹿手袋4丁目)の家宅捜索を始めた。
 調べでは、グループ代表の男性(62)は、歯科技工士の資格しかないのに04年、歯科医院兼整体センターで、患者数人の歯を削る医療行為をした疑いが持たれている。
 このグループ代表は、「歯の正しいかみ合わせが健康をつくる」などとして数多くの著書を出版しており、海外で講演活動もしていた。グループは整体と歯科治療を合わせて体調を整える「かみ合わせ療法」で知られ、治療の大半は保険適用外で、検査費や治療費など100万円以上を支払った人もいたという。

高齢者の患者負担増「反対」 1800万人署名 indexへ

 日本医師会などでつくる「国民医療推進協議会」は24日、高齢者の患者負担引き上げなどに反対する約1800万人分の署名を衆参両院議長あてに提出したと発表した。政府・与党は高齢者の負担増などを柱とする医療制度改革大綱にもとづき、関連法案を今国会に提出する予定。記者会見した日本医師会の松原謙二常任理事は「大綱を決めた与党には、国民の声を十分理解して欲しい。国民負担が軽くなるよう望む」と、慎重な審議を求めた。

患者のツメはがした元看護助手に実刑 京都地裁判決 indexへ

 京都市南区の十条病院(現十条リハビリテーション病院)で、入院中の患者6人のつめがはがされた事件で、傷害罪に問われた同病院の元看護助手佐藤あけみ被告(32)=京都市西京区川島六ノ坪町=の判決公判が23日、京都地裁であった。東尾龍一裁判長は「意思を表せない重症患者を狙った残忍かつ陰湿な犯行だ」として、懲役3年8カ月(求刑懲役6年)を言い渡した。
 判決によると、佐藤被告は04年9〜10月、10回にわたって、同病院に入院していた30〜80代の女性患者6人の手足のつめ計49枚をはがして2〜3週間のけがを負わせた。
 公判で弁護側は「厳しい労働環境の職場に適応できず精神的に落ち込み、心神耗弱の状態だった」と主張し、精神鑑定を請求したが、却下されていた。
 東尾裁判長は「勤務のストレスで善悪の判断力が低下していたが、第一発見者を装うなどの犯行態様から責任能力はあった」と述べた。

理化学研がウイルス1600種公開 新型インフルに備え indexへ

 新型インフルエンザの発生に備え、理化学研究所は20日、約1600種のインフルエンザウイルスのデータベースを作り、インターネットで公開した。ウイルス増殖に必要なたんぱく質の立体構造を解析したもので、その形から鍵穴をふさぐカギのような化合物が見つかれば、新薬開発につながる。理研は「国内外の製薬会社、研究者に使ってもらい、治療薬の開発を促したい」という。
 たんぱく質の立体構造は、米国立保健研究所(NIH)に登録されているインフルエンザウイルスの情報をもとにコンピューターで予測、解析した。05年にベトナムで死者が出たH5N1型の鳥インフルエンザウイルスや過去の人インフルエンザウイルス、その変異体などが含まれている。
 理研の横山茂之さんは「タミフルなど既存の治療薬が効かないウイルスも出ており、ほかの治療薬の開発を急ぐ必要がある」という。

麻酔薬ケタミンの麻薬指定、クマ研究者ら使用継続要望 indexへ

 乱用による死亡事故が起きた全身麻酔薬「ケタミン」が麻薬に指定されることになり、野生動物などの捕獲や治療に使ってきた研究者や獣医師が頭を抱えている。クマ研究者らでつくる日本クマネットワーク(代表=坪田敏男・岐阜大教授)は20日、研究者らの使用を認めるよう、厚生労働省に要望書を出した。
 ケタミンは人の医療用のほか、動物に使われてきた。同ネットワークによると、クマが異常出没した04年度は全国で数百件使われた。動物園や動物病院では最も使われる麻酔薬と言われ、パンダの人工授精の時にも利用されたという。
 しかし、04年に東京・六本木での薬物中毒死事故でヘロインやコカインと一緒に死者の体内から検出されるなど、密輸入された粉末の乱用が明るみに出た。厚労省は昨年12月、今年度中に麻薬に指定することにした。指定後は使用などに麻薬取り扱い免許が必要になり、これまでのようには使えなくなる。動物用ケタミンの製造中止を打ち出したメーカーもある。
 同ネットワークは、ケタミンが比較的安価で安全なため、動物管理の現場ではなお必要と考え、獣医師以外の研究者・行政担当者も一定条件下で使用を続けられるようにすること、などを要望した。日本動物園水族館協会(会長=小宮輝之・上野動物園長)も1年程度の施行延期、流通の確保などを申し入れ、日本哺乳(ほにゅう)類学会や日本霊長類学会も要望書を出した。
 厚労省監視指導・麻薬対策課は「ケタミンは国際的にも麻薬に指定されてきている。野生動物の研究者も免許を受ければ使用できる。施行時期などは検討したい」としている。

「産婦人科」→「女性診療科」 総務省が厚労省に要請 indexへ

 妊娠や女性特有の病気を担当する「産婦人科」の名前を変えて――。総務省行政評価局は18日、そんな要請を厚生労働省にした。新しい名前として「女性診療科」を例に挙げた。3月末までの回答を求めている。
 高校生の娘を持つ母親から総務省に、「体の具合が悪い娘を連れて行こうと思ったが、産婦人科には妊娠などのイメージがあり、抵抗感がある」という声が届いたのがきっかけ。総務省が医療機関に尋ねたところ「産婦人科という名はニーズに合わない」などの声が多かったという。
 病院が看板や雑誌などの広告で表示する診療科の名前は、政令で定めたものか厚労相の許可を受けたものに限られている。名前を変える場合、厚労相の諮問機関「医道審議会」などの意見を聞かなければならない。厚労省医政局総務課は「きょう要請を受けたばかりなので何ともいえない」としている。

医療給付費、48兆円に抑制見通し 25年度厚労省試算 indexへ

 厚生労働省は18日、現行制度のままだと2025年度に56兆円まで膨らむ医療給付費が、医療制度改革などで48兆円まで抑制できるとする将来見通しをまとめ、同日開かれた経済財政諮問会議に報告した。06年度の診療報酬改定が過去最大幅の3.16%引き下げとなった影響で、当初見込んだ49兆円よりさらに約1兆円減る見込みとなった。
 試算では、医療給付費は現行制度のままだと、06年度予算ベースで28.5兆円、15年度に40兆円、25年度には56兆円に達すると見込んでいたが、診療報酬引き下げや、高齢者の患者負担引き上げなどの制度改正の効果を織り込み、06年度に27.5兆円、15年度に37兆円、25年度には48兆円になるとした。対国内総生産(GDP)比でみると、25年度でも6.4〜7.0%にとどまるとしている。
 政府・与党が昨年12月に決定した医療制度改革大綱では、医療給付費の伸びについて「目安となる指標」を示すこととされており、この将来見通しが指標となる。今後5年程度ごとにこの指標と実績を比べながら、給付抑制策の効果などを検証することになる。

報酬改定の基本方針了承 中医協 indexへ

 治療や薬の公定価格である診療報酬の06年度改定について、中央社会保険医療協議会(中医協)は18日、厚生労働省が示した基本方針を了承した。過去最大の3.16%の引き下げ方針を受け、初診料や再診料を下げる一方、医師が不足している小児科に手厚くしたほか、新たに心臓などの脳死移植を保険適用の対象とするなど、配分にめりはりをつけた。今月末まで国民の意見を募ったうえで具体的な報酬額を議論。2月中に答申をまとめ、4月から新しい診療報酬が適用される。
 基本方針は厚労省のホームページで見られるほか、診療報酬改定では初めて地方公聴会も開く。
 基本方針によると、病院への患者の集中を是正するため、現在は病院よりも高い診療所の初診料を下げる一方、再診料はともに引き下げる。医療機関にとっては収入減になるが、患者の窓口負担は軽くなる。
 ただ厚労省は、医師の紹介状を持たずに大病院を受診した患者の初診料を保険の対象外とすることも集中是正策として導入する考えだったが、「混合診療の拡大だ」「別の方法で役割分担を促すべきだ」と異論が相次ぎ、この案は見送られた。
 一方、医療費抑制などのため、現在は大学病院を中心に適用している入院医療費の定額払い方式を、その他の病院にも大幅に拡大する。
 保険給付の範囲も見直され、心臓、肺、肝臓、膵臓(すいぞう)の脳死臓器移植を適用の対象にする方針を明記した。小児科については、夜間・休日診療など報酬を全体的に引き上げる。
 また、患者の視点に立った医療の透明化を進めるため、治療内容が詳しくわかる領収書の発行を義務づける。

再生医療の評価法確立に着手 文科省研究費で東大など indexへ

 病気やけがで失った組織や臓器を再生させる再生医療で、課題となっている信頼性や安全性の評価方法の開発に、東京大疾患生命工学センターなどのグループが乗り出した。文部科学省の研究費を使って、05〜07年度の3年で手法を確立し、国際標準化機構(ISO)にも提案、日本主導での標準化を目指す。
 再生医療では、患者の体内に新材料や、培養した細胞や組織などを入れる臨床研究が進んでいるが、事故防止のための基準や、実際の治療効果を測る方法などが未整備で、大きな課題になっている。
 このため、疾患生命工学センターは、産業技術総合研究所や東京女子医大など臨床研究に取り組む機関と協力し、骨、軟骨、血管、心臓弁の4分野で、十分な再生能力が得られているか、危険性がないかなどを評価する方法を開発する。超音波やMRI(磁気共鳴断層撮影)などによる検査法確立や、患者の適応基準も検討する。
 同センターの牛田多加志教授は「今のままでは、治療法の信頼性や安全性が十分検討されないまま、臨床応用される例が生まれる恐れがある。ひとたび失敗すれば再生医療研究が止まってしまう」といい、評価方法確立の重要性を説いている。

心臓病予防、やはり魚に効果 厚労省研究班調査で裏づけ indexへ

 魚を多く食べる人はあまり食べない人に比べて心筋梗塞(こうそく)になるリスクが6割前後低いことが、約4万人を対象にした厚生労働省研究班の調査で分かった。魚の心臓病予防効果は欧米の研究などで指摘されてきたが、日本人で大きな効果があることが大規模調査によって初めて裏付けられた。17日付の米医学誌サーキュレーションに発表される。
 研究をまとめたのは磯博康・大阪大教授(公衆衛生学)ら。岩手、秋田、長野、沖縄の4県で成人住民約4万人の協力を得て、食事アンケートをし、90年以降11年間の発症を追跡調査した。
 心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患になるリスクは、魚を食べる量が最も少ない人たち(1日20グラム程度)に比べて、最も多い人たち(1日180グラム程度)は37%低かった。診断確実な心筋梗塞に限れば、56%も下回った。
 魚に心臓病予防効果があるのは、油成分のエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)が血栓を作りにくくし、動脈硬化を防ぐ働きがあるためとされている。EPAやDHAはイワシやサバなどの青魚に多い。たとえば、マイワシ100グラムに含まれるEPAとDHAは計2.5グラム程度だ。
 食べた魚の種類からEPAとDHAの合計摂取量を計算したところ、摂取量が最も少ない人たち(1日0.3グラム程度)に比べ、最も多い人たち(1日2.1グラム程度)は虚血性心疾患のリスクが42%、診断確実な心筋梗塞で65%低く、効果がはっきり出た。
 磯教授は「日本人でも魚をよく食べる人のリスク低下がはっきりした」と話している。

自治体病院、自力で黒字はわずか8% 政投銀調査 indexへ

 全国の自治体病院のうち、補助金などに頼らず実質的な営業黒字を確保しているのは、全体の8%程度しかないことが、日本政策投資銀行の分析でわかった。補助金を含めて経常黒字を確保している病院は4割近くまで増えるが、累積赤字は増加傾向だ。自治体病院は「へき地医療など民間ではできない分野を担っている」(総務省)だけに、経営の効率化が求められそうだ。
 政策投資銀が03年度に1000あった自治体病院について、地方公営企業決算をもとに分析したところ、実質的に営業黒字なのは82病院しかなかった。大半が診療報酬など本業の収入では、必要経費をまかなえない状況だ。
 03年度の地方公営企業決算によると、自治体や国からの補助金で経常黒字の病院は389と4割近くまで増えるが、6割はなお赤字。病院事業全体の経常赤字額は合計で1400億円近くに達する。補助金に当たる病院事業会計への他会計からの繰入金は、全体で5451億円だった。
 政投銀は、自治体ごとの一般財源の規模を表す「標準財政規模」に対する繰入金の比率も分析した。平均では3.4%になり、高い自治体では15%に達するところもあった。公共事業や福祉など全体の行政活動に必要な財源のうち、病院事業支援のためだけに15%を割いていることになり、財政負担が大きいことを示している。
 診療報酬の引き下げや地方財政改革による補助金の削減が進めば、「自治体病院の経営はさらに厳しさを増す」(政策投資銀政策企画部)と見ている。

薬局に行かず薬受け取り 在宅医療推進へ厚労省方針 indexへ

 厚生労働省は、自宅で治療を受けている患者やその家族が薬局に出向かなくても薬を受け取れるよう制度を見直す方針を固めた。今の仕組みでは、薬をもらうには一度は薬局に行かないとならないが、医療費抑制をめざす厚労省が在宅医療促進のために見直すことにした。早ければ06年度中に実現する見通しで、体が不自由な患者や家族にとっては便利になりそうだ。
 薬剤師法は、販売や譲り渡しを目的とした薬の調剤ができる場所を原則として薬局に限っている。調剤には処方箋(しょほうせん)の確認が含まれるとされている。通院が難しい患者には、医師の指示の下、患者の家での服薬指導などが認められているが、処方箋の確認は薬局でないとできないため、結局は患者や看護する家族が薬局に行かなければならないのが実情だ。
 このため、厚労省は薬剤師法か関連省令を改正して、薬局以外でも処方箋の確認を認める考え。ただし、薬の調合作業は衛生上の観点からこれまで通り薬局のみで扱うこととする方針だ。
 見直されれば、例えば、往診した医師に書いてもらった処方箋を患者が薬局にファクスで送ると、薬剤師が薬局で調合した薬を持って患者宅を訪問し、処方箋の原本を確認して薬を渡すことができるようになる。
 医師や薬剤師の指導による薬物療法が自宅でも受けやすくなることで、がんなど終末期医療のあり方が変わる可能性もある。また、在宅医療に限らず適用される方向のため、一人暮らしで重い風邪をひいたり、家族全員がインフルエンザにかかったりした場合にも、医師による診察から薬の受け取りまで、外出せずに受けられるようになる。
 現在、薬剤師が患者宅を訪問しての服薬指導は医療保険の対象だが、交通費は患者が負担。患者宅で処方箋の確認を認めた場合の費用負担のあり方は今後検討する。
 厚労省は、医療費の伸び抑制のほか、患者の生活の質(QOL)向上のため、在宅医療の環境整備を進めており、今回の見直しもその一環だ。

診療所初診料など引き下げ 診療報酬改定を中医協に諮問 indexへ

 川崎厚生労働相は11日、治療や薬の公定価格である診療報酬の改定を中央社会保険医療協議会(中医協、土田武史会長)に諮問した。新年度予算編成で報酬全体では3.16%の引き下げが決まっており、厚労省は診療所の初・再診料の引き下げや、長期入院で医療の必要度の低い患者の報酬引き下げなどを中医協に提案。新たに、心臓など脳死下での臓器移植、ニコチン依存症患者の禁煙指導、合併症を抱えるハイリスクの妊婦のお産管理などを保険の対象とする方針も示した。
 中医協は、地方公聴会などで国民の意見も聴いて2月下旬までに答申をまとめ、4月から新しい診療報酬が適用される。
 厚労省が示した改定の方針では、病院と診療所で格差があった初診料は、診療所を引き下げて病院と一本化。再診料についても、病院、診療所とも全体的に引き下げる。長期入院では医療の必要度の高い患者は報酬を引き上げる一方、低い患者は報酬を引き下げる方向を打ち出した。
 医療制度改革の柱である「在宅医療」を進めるため、医師や看護師が24時間対応で往診などをする「在宅療養支援診療所」(仮称)制度を新設。条件を満たした診療所に報酬を手厚く配分し、末期がん患者については介護保険施設の入居者でもこの診療所の訪問診療などが受けられるようにする方針を示した。

血液で肺がん早期発見 オリンパス、08年実用化目指す indexへ

 オリンパスは、初期の肺がんによる病変(生体の変化)で現れる特有な遺伝子10種を発見した。早期発見が難しいと言われる肺がんを血液中の遺伝子を検出することで診断できる機器を08年を目標に実用化する。
 同社は、尿による膀胱(ぼうこう)がん診断法を開発中の米ベンチャー企業「キャンジェンバイオテクノロジーズ」と昨年4月から共同研究していた。
 患者200人の病変を調べて特有な遺伝子10種を見つけ、それらを目印に70〜80%の精度でがんを診断できる技術を確立した。今年4月から、血液中に漏れ出た遺伝子を検出できるかどうか研究を始め、08年ごろに高感度の検出器を米国で実用化することを目指す。
 顕微鏡やカメラなど光学技術を得意とするオリンパスは、消化器がんの発見に役立つ内視鏡では世界シェアの約7割を占めている。しかし、肺がんの場合、肺の奥まで内視鏡は届かないため、X線などによる画像診断に頼らざるを得ず、早期発見には限界があると指摘されていた。

がん治療に遺伝子診断 癌研究会病院が臨床応用 indexへ

 乳がん患者に使う抗がん剤の効果や、白血病の治療薬の副作用を、遺伝子診断で事前に予測できることがわかり、財団法人癌(がん)研究会有明病院(東京都江東区)が患者の個性に合ったがん医療を今年から本格的に進める。ヒトの遺伝子と薬の効果に関する研究は進んできたが、確実なデータは少なく、がんでの臨床応用は全国的にも先駆的なものになる。
 同会癌研究所の三木義男・遺伝子診断研究部長らは、乳がん患者51人の協力を得て、治療前に少量のがん細胞を取り出して約2万1000種類の遺伝子の働き方を網羅的に調べた。乳がん用に広く使われる抗がん剤パクリタキセル(商品名タキソール)が15人で良く効き、36人は効果が低かった。
 分析の結果、3種類の遺伝子の働き方を調べれば、効くかどうかを51人全員で判定できることがわかった。判定の確実性が高いため、臨床応用に適しているという。
 事前判定ができると、抗がん剤でがんを小さくして手術をするという治療方針が立てやすい。効かない人には別の抗がん剤を使うなど選択肢がある。
 また、慢性骨髄性白血病の治療薬イマチニブ(商品名グリベック)についても、血液中の二つの遺伝子の型を調べれば、白血球の一種の好中球が減少する副作用が出やすい人を事前に予測できることがわかった。
 三木部長らは、がんが転移しやすいかどうかの予測などに遺伝子診断を使う研究も進めている。
 これらの成果をもとに有明病院では遺伝子診断を応用したがん治療に取り組む。まず、乳がんの抗がん剤の効果予測について約100人の患者の協力を得て、正確な診断のための検証を進める。遺伝情報を扱うことに倫理的問題もあるため、遺伝相談に詳しい医師も配置している。有明病院の武藤徹一郎院長は「研究と臨床を結びつけて患者さんに合った医療を進めたい」と話している。

開業医や歯科医師ら加入 国保組合、補助削減へ 厚労省 indexへ

 厚生労働省は、国民健康保険のうち、業種ごとの国民健康保険組合(国保組合、全国166組合、被保険者数約404万人)について、財政力のある開業医らの組合への国庫補助を一部なくすなど補助体系を見直すことを決めた。医療費抑制の一環で、06年度から段階的に実施する方針。
 国保には、高齢者やフリーターらが加入し、市町村が運営する市町村国保と、開業医や弁護士、建設業者などが加入する国保組合がある。
 国保組合への国庫補助は、医療給付費の32%を一律に補助する「定率部分」と、組合の財政力に応じて、1〜20%で5段階に分けて補助する「上乗せ部分」があるが、見直しでは、この上乗せ部分の補助率を0〜23%に広げる一方、10段階に細分化して、よりきめ細かく対応する。
 現在は1%上乗せされている開業医(47組合)や歯科医師(27組合)、薬剤師(3組合)など計80組合のうち、68組合について06年度に0.4%に削減、07年度にはゼロにする。1人あたり月500円程度の保険料アップになる計算という。加入者が少ないなどで財政力のない組合では、補助率が上がる場合もある。
 一般の現役世代の窓口での本人負担は3割だが、財政力がある国保組合の中には本人負担が3割未満の所も少なくなく、05年は69組合が1〜2割負担だった。このため、サラリーマンなどが加入する健保でつくる健康保険組合連合会などから「国庫補助が必要なのか」と疑問視する声が出ていた。ただし、今回の見直しは補助部分のごく一部分で、さらなる見直しを求める声が出る可能性もある。

指導医、研修制度に「満足」1割 医学連調査 indexへ

 04年度に導入された卒後臨床研修などにより、研修医の待遇に対する満足度が大幅に改善していることが全日本医学生自治会連合(医学連)の調査でわかった。新しい制度について研修医の約半数は「満足」としている。しかし、研修医を指導する指導医には「満足」が約1割にとどまるなど不満が強く、医学連は「指導医が十分な指導に取り組める体制整備が必要」としている。
 全国約200の医療機関の研修医と指導医を対象に昨年7〜11月、アンケートを実施。研修医712人、指導医925人から回答を得た。
 研修医の収入は手取りで月平均28万円。5年前の前回調査で7割以上を占めた0〜10万円の人が、今回はゼロだった。研修医に一定収入を保証した新制度の効果が裏付けられた形だ。前回は「アルバイトで研修に集中できない」などの声があり、約4割は「忙しすぎて休養がとれない」と答えていたが、今回は5%程度まで減った。
 一方、指導医は、勤務医としての業務のかたわら研修医を教えているが、指導のため通常業務が軽減されるなどの「業務保障」があるかどうかについては、8割以上が「まったくない」と答えた。「指導する時間は十分か」の問いにも「不十分」が6割に達した。

大病院の医師のへき地派遣、知事に命令権 偏在緩和狙う indexへ

 地方で医師不足が深刻化している問題で、厚生労働省は、公立と公的病院に対し知事がへき地や離島などにある医療機関への支援を命じる権限を与えることを決めた。比較的人員に余裕のある県立、国保、日赤などの大病院に勤務する医師を、医師確保が難しい地域や救急体制が不十分な病院に派遣しやすくするのが狙い。今月下旬からの通常国会に医療法改正案を提出し、07年度からの実施を目指す。
 医師不足は離島・へき地の診療所だけでなく、中核都市の病院にまで拡大し、深刻化している。都道府県側は、国が進める医師確保対策は不十分とし、衛生部長会が昨年12月、厚労省に「抜本的な対策」を強く求める要望書を提出する事態となっている。同省も今回の支援策を含め、さらに有効な対策がないか検討している。
 この制度はまず、医療法に、自治体立などの公立病院や国保、日赤、済生会などの公的病院の「責務」として、へき地・離島での診療や救急医療などの支援を明記する。そのうえで、知事には、都道府県内の公立・公的医療機関の開設者や管理者に、地域医療を支援する事業の実施命令を出せるようにする。ただ、従わなくても罰則規定はない。
 例えば、へき地の診療所や病院に勤務する医師が退職したり、病気で倒れたりした場合、知事の命令で、公立病院が医師を派遣し、代わって勤務することや一時的な代診、巡回診療なども想定している。中核都市の病院でも、救急科の医師が確保できず、対応できない状態が続いている場合、専門技術を持つ医師が派遣される。
 厚労省は、この制度を通じて、公立や公的な病院が一般医療だけでなく、地域が必要とする政策的な医療を担う役割をより一層明確にする狙いがある。それによって、都道府県内でも県庁所在地など都市部に医師が集中し、それ以外の地域に医師が不足する「偏在」を少しでも緩和させたい考えだ。
 ただ、知事に命令権限が与えられても、派遣を求められる病院にとっては、減収になったり、他の医師の勤務が厳しくなったりすることなどから、反発も予想される。また、都道府県立病院の医師がへき地勤務を嫌がり、退職して開業するケースもでている。
 厚労省は今後、支援事業の実効性を高めるため、病院に対する補助金の増減などを通じた誘導策を検討している。
 医師不足対策をめぐっては、これまで都道府県が医師の配置を是正しようとしても、運営主体が違ったり、大学の医局が人事権を持っていたりしているため、人事異動を「お願い」するのが現状で、病院間の支援は進んでいなかった。
    ◇

 《医師不足》
 医師が都市部に集中する地域偏在と、小児科や産科など特定の診療科で若い医師のなり手がいない診療科偏在がある。医師数の格差は、都道府県間だけでなく、自治体内でも県庁所在地などとそれ以外の地域との間で深刻になっている。厚生労働省の04年調査では、人口10万人当たりの医療機関で働く医師数は、全国平均で201.0人。例えば、新潟県の場合、県全体では166.9人だが、新潟市は302.8人と全国平均を上回っている。

2010年の看護職員、なお1万5900人不足 indexへ

 看護師や助産師など看護職員について、将来の必要数などの計画を策定する厚生労働省の検討会(座長=宮武剛・埼玉県立大教授)が、06〜10年の需給見通しをまとめた。06年は4万人以上の職員が足りず、その後、需給差は縮まるものの10年になっても1万5900人が不足するとしている。検討会は、資格を持ちながら結婚や出産などで仕事を離れた人の再就職を支援する施策の充実などを求めている。
 各都道府県に管内の病院や診療所を調査してもらうなどしてまとめた。それによると06年は131万4100人の職員が必要だが、4万1600人が不足する見通し。職員数は年々増えるが、患者の高齢化などで職員の負担が大きくなるために必要数も増加、不足は解消されず、10年は必要数140万6400人に対し、確保できるのは139万500人としている。
 資格を持ちながら現場を離れている「潜在職員」は、実際に働いている人の約4割強の約55万人程度と見込んでおり、「重要な(人材の)供給源として期待される」と指摘。職場復帰を支援する研修の充実や人材を登録して職場を紹介する「ナースバンク事業」の強化などを求めている。

乳幼児突然死、おしゃぶり使えば大幅減 米グループ発表 indexへ

 寝ている時におしゃぶりを使うと、乳幼児突然死症候群(SIDS)を大幅に減らせる――そんな研究を、米国の非営利民間団体と米国立小児保健発育研究所(NICHD)のチームがまとめ、論文発表した。
 チームは97〜00年に、カリフォルニア州の11郡でSIDSで死亡した185人(寿命平均98日)と、SIDSではない乳幼児312人(平均生後104日)のデータを調べた。母子の年齢や妊娠中の喫煙状況などの影響を取り除いて分析した結果、おしゃぶりを使っていたグループでは、使っていないグループに比べてリスクが0.08倍と10分の1以下になった。
 SIDS予防に、仰向け寝が有効なことは知られている。今回の結果では、うつぶせ寝や、たばこを吸う母が添い寝するなど、SIDSの危険を増やす環境の場合、特におしゃぶりの予防効果が高く出た。
 (1)寝具などが顔にかぶさっても口や鼻をふさぐのを付属部分が防ぐ(2)のどの神経系の発達を促す、などの可能性が考えられる。米国小児科学会は、おしゃぶりを推奨するSIDSガイドラインを秋に発表した。
 一方、日本小児科学会や日本小児歯科学会などの会員でつくる検討委員会は今年1月、「おしゃぶりは出来るだけ使用しない方がよい」との見解をまとめた。長期間の使用で歯のかみ合わせが悪くなるなどの悪影響を重視した。使用する場合は、1歳過ぎで常用をやめ、遅くとも2歳半までにやめるとしている。
 SIDSは日本では4千人に1人と推定され、生後2〜6カ月に多い。
 育児用品のピジョンの調査によると、日本の0〜24カ月児のおしゃぶり使用率は27.7%(05年)。0〜3カ月は4割を超え、10カ月をすぎると急激に少なくなるという。育児用品のコンビが実施した母親アンケートでは、おしゃぶりを使う理由として、ぐずりを落ち着かせる▽鼻呼吸の練習▽寝かしつけ、が上位を占めている。

有料老人ホーム、総量規制の対象に 厚労省方針 indexへ

 厚生労働省は28日、有料老人ホームやケアハウスなど介護保険が適用される特定施設について、都道府県が数を規制できるようにする方針を固めた。国と地方の税財政改革(三位一体改革)に伴い、介護保険から施設に支払われる給付費の都道府県負担分が増えるため、「財政への影響が大きい」として都道府県側から施設数や利用者数を規制する権限を求める声が出ていた。来年の通常国会に介護保険法改正案として提出をめざす。
 特定施設は、住まいと介護サービスをあわせて提供する施設で、主に民間が運営する有料老人ホームと社会福祉法人などが運営するケアハウスの2種類がある。
 介護保険が適用される施設のうち、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設のいわゆる「介護保険3施設」は、都道府県が策定する事業計画に基づいて想定した利用者数を超える恐れのある場合、施設の指定を拒否できる仕組みがある。だが、特定施設は規制の対象外で、来年4月からは要介護者のみが入所している介護専用型の施設は対象となるものの、要介護者以外の人もいる混合型の施設は対象外のままだ。
 一方、三位一体改革では、特定施設も含めた介護保険施設への給付費について、国負担分のうち1300億円を地方に移し、都道府県の負担割合を現在の12.5%から17.5%に引き上げることになっている。このため、施設数や利用者数の増加が都道府県財政に与える影響が大きくなる。
 規制の具体的な内容は今後詰めるが、介護保険3施設と同様の仕組みを念頭に検討している。
 特定施設事業者連絡協議会によると、今年10月末現在、介護保険の適用を受けている有料老人ホームは1318、ケアハウスは185ある。

手術中に人工心肺停止、脳障害に 独協医大越谷病院 indexへ

 埼玉県越谷市の独協医大越谷病院(長尾光修(こうしゅう)病院長)は28日、96年に男性患者(当時69)の冠動脈バイパス手術中に人工心肺装置が約40分間機能しなかったため脳障害を引き起こした、と発表した。男性は10カ月後に死亡したが、担当医が男性の家族に説明していなかった。担当医だった医師は「装置の不具合の原因が明確でなかったので説明が遅れ、そのままになってしまった」と話しているという。
 同病院によると、狭心症だった男性は96年12月11日、心臓血管外科の医師らの執刀でバイパス手術を受けた。人工心肺装置をつけてから約1時間後、呼吸を助ける人工肺に入ってはいけない気泡が発生していることが分かった。別の人工肺に交換するまでの約40分間、心肺機能を補助できなかった。
 この医療事故で脳に障害を負った男性は一度も意識を回復せず、翌97年10月9日、肺炎を併発して死亡した。
 今年11月になって、遺族がさいたま地裁越谷支部にカルテの証拠保全を申請したことなどから、病院側は事故があったことを知ったという。長尾院長は「カルテや看護記録にも残され、改ざんもない」と組織的隠蔽(いんぺい)を否定している。病院側は現在、遺族側の代理人を通じて、説明と謝罪を申し入れているという。

乳癌と誤診、乳房を切除 愛知県がんセンター indexへ

 愛知県がんセンター愛知病院(同県岡崎市)は27日、左乳房に良性腫瘍(しゅよう)ができた県内の40歳代の女性を乳がんと誤診したうえ、11月に左乳房を全部切除する手術を行ったと発表した。手術後の検査で良性腫瘍であることが分かったという。記者会見した同病院の陶山元一院長は、必要な組織診断を怠っていたことを認め、「患者と家族に苦痛と心労を与えたことに深く謝罪する」と話した。
 女性は現在同病院に通院中で、病院側は女性に対し、今月、事故を説明し謝罪した。病院側は「補償も含めて誠意をもって対応する」としている。
 女性は9月下旬、乳がんの住民検診で要精密検査とされ、同病院胸部外科を受診した。担当の40代の医師の触診で左乳房に2センチ×2.5センチのしこりがあることが分かった。超音波診断では、良性の繊維腺腫の可能性があったが、悪性腫瘍である「充実腺管がん」である疑いも否定できず、細胞を採取する細胞診検査を実施した。
 細胞診検査をした60代の病理診断医が「乳がん」と判断し、別の30代の胸部外科担当医が11月に手術を実施。手術自体は通常通り行われ、同月女性は退院した。
 ところが、手術後に病理組織診断をしたところ、「良性腫瘍で悪性ではない」という結果が出たという。
 陶山院長は「細胞診と超音波診断の結果に矛盾があり、手術前や手術中に組織を取り出して検査する組織診断が必要だった。慎重に診断すべきだった。判断の過程に過失があった」と説明している。

おなかの風邪、今冬も急増中 大半はノロウイルス indexへ

 「おなかに来る風邪」と呼ばれる感染性胃腸炎が急増中だ。昨冬には広島県の特別養護老人ホームなどで多くの死者を出しており、乳幼児や高齢者には、特に注意が必要だ。
 全国約3000の小児科を定点観測している国立感染症研究所によると、感染性胃腸炎の報告は10月半ばごろから増え始め、最新集計の11月28日〜12月4日の1週間では1医療機関当たり11.75人が受診。山口、佐賀、福井、福岡の4県では20人を超えた。昨冬のピークは12月20日〜26日で全国平均15.83人だった。
 感染性胃腸炎は腹痛、下痢、嘔吐(おうと)、発熱が主症状で、ウイルスや細菌、原虫などによって引き起こされる。今の時期はノロウイルスが大半を占めるとされており、昨年暮れから今年の年始にかけて広島県の特養で入所者7人が死亡したのもその集団感染だった。ノロウイルスは寒いほど長生きすると考えられている。
 通常は適切に水分補給すれば1〜3日で回復するが、乳幼児や高齢者では急激な脱水症状や吐物による窒息などに注意が必要だ。下痢止めは、病原体を腸内にとどめ、症状を悪化させかねない。
 予防には、例えばカキなどの食べ物を85度で1分以上加熱してウイルスを殺すほか、トイレ後などの手洗い徹底が大切だ。特に、保育施設や高齢者施設では、配膳(はいぜん)や、吐物や便の適切な処理と消毒が重要だ。
 感染研の岡部信彦・感染症情報センター長は「感染の疑いがある人は入院・入所者の見舞いを避けるなど、うつさない配慮も必要。症状がなくなっても1週間程度はウイルスが出ているので油断しないで」という。

介護型療養病床、2012年度に全廃 居住型へ転換促す indexへ

 厚生労働省は21日、介護保険から費用が支払われる介護型療養病床(全国14万床)を2012年度に全廃する方針を決めた。有料老人ホームやケアハウスなどの居住系施設への転換を促す。医療保険の対象となる医療型療養病床(同24万床)も医療の必要度に応じて報酬に差をつけて介護の居住系施設に転換するよう促す。家族の支えや介護サービスがないために退院できない「社会的入院」を減らす狙いだ。居住系施設に円滑に転換できるかなど課題も多く、患者や家族にも影響が出そうだ。
 長期入院者のための療養病床は、介護保険導入後、医療保険と介護保険のどちらを使うかが病院側の判断に委ねられ、役割分担が不明確なまま医療型と介護型が混在してきた。患者の状態に大差はなく「社会的入院も多く医療や介護の給付費を押し上げている」と指摘されるため、医療型に一本化することにした。
 来年4月の診療報酬改定でまず、医療型療養病床の入院患者を(1)人工呼吸器や点滴使用など医師や看護師の管理が24時間必要(2)神経の難病や肺炎など治療が必要(3)それ以外で医療の必要度が低い――に3分類し、必要度が低いほど報酬を低くする。報酬が低い患者を多く抱える病院では、介護施設への転換が進むと同省はみている。
 一方、介護型については、部屋面積など基準を満たさない施設を07年度から保険対象から外し、12年度にはすべてを対象外とする。居住系施設に造り替えるための助成措置も検討する。経過措置として、移行途中の中間的な施設を認め、介護報酬の対象とする方向だ。
 介護型で「容体急変の可能性が低い」とされる人は全体の約64%、医療型で医療の必要度が低いとみられる人は約50%との調査結果がある。同省はこうした人たちを居住系施設に移行させることを想定している。
 ただ医療への依存度が高い患者が、医療スタッフが少ない介護施設に移れば、適切な医療や看護が受けられなくなる心配もある。医療の必要度の判断について厚労省は今後、慎重に検討する考えだが、現在、計38万床の療養病床が半分程度に減る可能性がある。
 介護型病床で利用者1人当たりに要する費用は、特別養護老人ホーム・老人保健施設に比べ月額で10万円以上高い43.4万円(05年5月時点の調査)。医療型ではさらに高い49万円。一方、有料老人ホームでは月平均20万円程度とされ、病床転換が進めば保険財政にとってはプラスとなる。

医療機関の不正請求、65億円 過去3番目の額 indexへ

 04年度中に、医師の名義借りや職員の水増しなどで診療報酬が不正に請求されたとして病院や診療所が返還を命じられた医療費が、総額65億4000万円(前年度比2億1000万円増)にのぼることが22日、厚労省のまとめで分かった。73年度の調査開始以来、過去3番目の大きな額となった。
 不正請求で保険医療機関の指定を取り消されたケースは、前年度より10件多い48件で、内訳は医科27件、歯科19件、薬局2件。保険医の登録取り消しは35人で、内訳は医師13人、歯科医師20人、薬剤師2人だった。処分された医療機関や医師は5年程度、保険適用の医療行為ができなくなる。
 名義借りによる指定取り消しは過去最高の11件。返還請求額が最も多かったのは北海道の支笏湖病院で、名義借りで約8億4000万円を不正請求したという。

動脈弁移植の女性が出産 国内で初 indexへ

 心臓の大動脈弁の代わりに肺動脈弁を移植する難手術を受けた大阪府枚方市の女性(27)が14日に出産した、と京都府立医科大付属病院が19日、発表した。この移植手術を受けた患者の出産は国内初だという。
 女性は、先天性大動脈弁狭窄(きょうさく)症で、血液を体に送り出す左心室の出口が狭く、出口にある大動脈弁がうまく開かなかった。同病院では03年4月、女性の大動脈弁を切り取り、そこに右心室の出口にある肺動脈弁を移植した。
 この病気には大動脈弁を人工弁に置き換える方法が用いられることが多いが、人工弁の機能を維持するために胎児への副作用の恐れがある薬の服用が必要だった。

東北6大学、拠点病院に産婦人科医集約 医師不足で対策 indexへ

 産婦人科の勤務医不足が深刻な東北6県の国立大医学部や公私立の医大が協力、各地に拠点病院を定め、産婦人科医を集約する方向で準備を始めた。多数の病院に医師が分散していては、個々の医師の負担が大きくなるばかり。6病院はこれまで派遣を続けてきた系列病院の医師を合理的に再配置しようと、全国でも先駆的な広域連携に乗り出す。
 中心になっているのは東北大産婦人科(仙台市)の岡村州博(くにひろ)教授で、弘前(青森県)、秋田、山形各国立大と福島県立医大、私学の岩手医大の計6大学が参加を予定している。各大学の教授らは、数年以内に各地の拠点病院を決められるよう、すでに地元の病院の実態調査に入った。
 出産の時期や時間は不規則で、産婦人科医は時間外勤務を余儀なくされることが少なくない。また、訴訟リスクも他の診療科に比べて高いとされる。こうした事情を背景に、特に開業医と比べて収入が少ない勤務医の減少が問題視され、東北地方の病院では産婦人科の閉鎖が相次いでいた。
 構想では各地の病院の産婦人科医を、設備が整い、交通の便も良い「拠点病院」に集め、出産や手術を一手に担う。他の病院は外来診療や検診のための「連携病院」に。医師は日勤で、拠点病院が派遣する。
 こうした運用で、出産などの際に妊婦が従来よりも遠くの病院に出向かなければならない地域がでるものの、人手が増えた拠点病院では医師のローテーションが可能になり、異常分娩(ぶんべん)や緊急手術により安全に対応できるようにするという。
 岡村教授は「従来の広く薄い医療は限界に来ている。医師の集約化で、あそこに行けば絶対に安心してお産ができる、という病院を作らなければならない」と話す。
 産婦人科の拠点化では北海道で北大が中心になって進めた砂川市立病院の例などがあるが、6県にわたる大学の連携は異例。医師の集約化については、国の関係省庁連絡会議の作業班も「医師偏在が問題となる地域では当面の最も有効な方策と考えられる」と指摘、産科と小児科で推進すべきだと提言している。

がん発見率の格差是正へ 学会が検診の「質」指針化 indexへ

 福岡県の自治体がん検診で胃がんの発見率が検診機関により4倍以上違うことが分かったが、日本がん検診・診断学会は精度管理協議会をつくり、こうした格差是正に乗り出した。07年度中にX線写真の画質や、医師がその写真を判断(読影)する能力などに関して最低基準をまとめ、全国の検診機関に指針として示す。検診の質が、ようやく客観的に検討される。
 同学会は、日本消化器集団検診学会や日本医学放射線学会など7学会でつくる横断的組織。精度管理協議会には、各学会の代表が加わった。
 11月下旬に開かれた協議会の初会合では「特に開業医が実施している検診で、質のばらつきが大きい」「疑陽性が多すぎると、検診への信頼感が下がる」「検診の質がくまなく上がれば、受診率も上がるのではないか」などの意見が出た。まず全国の検診機関にアンケートを実施し、指針づくりの参考にする。認定専門医制度の創設も検討することになった。
 がん検診は市町村や職場など、実施主体により予算や熱意も異なる。その差が質にも影響しているが、第三者が精度を管理するシステムはなかった。有効性が疑問視される検診項目もあり、受診者の固定化などで受診率は伸び悩んでいる。
 同学会理事長の荒川泰行・日本大教授(消化器内科)は「検診は『安かろう悪かろう』ではいけない。X線撮影技師や読影医の技量向上などを通じて、安心して検診を受けられる制度をつくりたい」といっている。

東京女子医大病院の手術ミス事件 検察側が控訴 indexへ

 東京女子医科大病院の心臓手術ミス事件で、東京地検は12日、業務上過失致死罪に問われた元同病院医師、佐藤一樹被告(42)を無罪とした東京地裁判決を不服として、東京高裁に控訴した。
 地裁は「人工心肺の回路に取り付けられたフィルターが水滴で詰まり、死亡につながった」と認定。そうした事態の発生を佐藤医師は予見できなかったと判断した。
 検察側は予見可能性が否定された点などを不服とし、伊藤鉄男次席検事名で「事実認定に誤りがあり、控訴して是正したい」とコメントした。

女性の足、太くていい 脂肪が心臓病予防 筑波大調査 indexへ

 心臓病にならないためには、減量はしても足は細くしない方がいい。筑波大人間総合科学研究科の大蔵倫博(ともひろ)講師らが成人女性を対象に行った健康調査で、そんな結果が出た。腹部の内臓脂肪とは違い、足にある脂肪には心臓病を防ぐ働きがあるらしい。
 肥満気味の女性のための減量プログラムに参加した128人を対象に、体重や血圧、総コレステロール値などのほか、X線を使った装置で胴体や腕、足の体脂肪量の変化を調べた。
 減量は食事のカロリーを制限したうえ、有酸素運動を週に3回するなどした。14週間後、参加者の体重は平均で8キログラムほど減った。うち7キロ近くは体脂肪だった。
 血圧や中性脂肪の値など、心臓病のリスクを予測する指標は、胴体の脂肪がたくさん減るほど改善した。ところが、ももやふくらはぎなど足全体の脂肪については、少ししか減らない人の方がより改善する傾向だった。足の脂肪は平均2.1キロ減っていたが、例えば、脂肪の減り方が30グラム少ないと、最低血圧(拡張期血圧)が1ミリHg(ミリ水銀柱)低くなる計算だという。
 足の脂肪から、動脈硬化などを防ぐホルモンが出ている可能性が考えられている。大蔵さんは「内臓脂肪を落とすことが大切。健康の面からは『足やせ』はしない方がよさそうです」という。

血液がん未承認薬「ベルケード」 使用者死亡相次ぐ indexへ

 血液のがん「多発性骨髄腫」で、未承認の治療薬「ベルケード」(一般名ボルテゾミブ)を使った患者52人のうち4人が副作用の疑いで死亡していたことが、日本血液学会と日本臨床血液学会の調査で分かった。患者は、同薬を承認済みの米国などから個人輸入していた。高い死亡率を重くみた両学会は調査結果を近く公表し、会員の医師らに注意を促す。
 多発性骨髄腫の患者は国内に約1万1000人いると推定される。
 両学会は、会員から死亡例の情報を受け、11月中旬、幹部会員を対象に個人輸入の状況を緊急調査した。その結果、国内で使用が分かった52人のうち9人に重い肺障害が起き、うち4人が死亡していた。4人は全員、薬との因果関係が疑われるという。
 このほかに、国内で行われた臨床試験中に60代の女性1人が間質性肺炎で死亡した。臨床試験を実施した製薬企業ヤンセンファーマが厚生労働省に報告、未承認薬ながら安全性情報を出す異例の対応をとった。
 両学会は今後、死亡患者の状態や治療歴、薬の使用法などを詳しく調べ、薬との因果関係を詰める。
 日本では現在、80〜90人が個人輸入で使っているとみられる。注射薬なので、個人で輸入しても治療は医療機関で受けると考えられ、調査結果を医師らに参考にしてもらう狙いだ。
 第2相臨床試験を終え、10月に厚労省へ保険適用の承認申請をしたヤンセンは「学会と協調して副作用の情報を集め、因果関係が疑われれば注意喚起したい」としている。
 約200人を対象とした米国の臨床試験では、副作用と疑われる死亡は2人だったとされる。日本血液学会常任理事の池田康夫・慶応大医学部長は「まだ使った患者は少ないが、海外に比べ副作用の頻度が非常に高いようで、慎重に使わなければならない。患者さんには必要な薬だから、どんな人が使うと副作用が出るのか、2次調査が必要だ」と話している。
 〈ベルケード〉 細胞の増殖にかかわる酵素「プロテアソーム」の働きを抑え、がん細胞を殺す新しいタイプの抗がん剤。現在、約60カ国で承認済み。患者団体の要望に基づき、海外で使えて日本では使えない薬の早期承認を目指す厚労省の「未承認薬使用問題検討会議」で、検討対象品目になっている。

食物アレルギー事故、給食で年250件 全国の小中調査 indexへ

小中学校の給食による食物アレルギー事故が年間250件以上起きていることが、全国学校栄養士協議会と国立病院機構相模原病院小児科の今井孝成医師による初めての本格的な調査で分かった。うち約1割は、呼吸困難などで命にかかわることもある「アナフィラキシーショック」だった。原因食材を抜く対応が不十分だった事例もあり、協議会は対策マニュアルづくりに乗り出す。
 全国の小中学校調理場の約4分の3に当たる9018調理場(対象児童・生徒は約7割の計約706万人)が回答し、03年度1年間に激烈なアナフィラキシーショック24件を含む250件の食物アレルギー事故が報告された。休日などを考えると1日1件以上の頻度で起きており、17人(7%)が入院していた。
 じんましんや下痢、息苦しさなどの症状があった。発症までの時間は30分未満が6割以上だった。運動中の発症が約3割あり、運動していないときに比べ、ショック症状が2倍程度出やすくなっていた。
 事故の約4割は初めて食物アレルギーと分かったもので避けようがなかったが、10件(4%)は事前に分かっていながら対象の子どもへの食材除去対策が取られておらず、63件(25%)は作り手のミスなどで原因食材が混入していた。

小児科病院、医師不足地域に拠点設置へ 厚労省 indexへ

 医師の不足が問題になっている小児科医療で、厚生労働省は9日、都道府県の担当者会議を開き、医師不足が深刻な地域では、医療機関を重症患者向けと軽症患者向けの2種類に分けて、重症患者向けの病院に一定数の小児科医を配置するよう求める方針を示した。役割分担を明確にし、医師の効率的な配置や連携体制の強化により、少ない医師でも24時間体制で救急対応ができる態勢づくりを目指す。
 厚労省の方針では、都道府県が重症患者向けの「連携強化病院」と軽症患者向けの「連携病院」を公立病院を中心に設定。連携強化病院は地域の拠点と位置づけ、入院を必要とする重症の救急患者について24時間対応、救急対応のできる小児科医を3人以上配置することも求める。
 一方、連携病院は地域に必要な小児科医療を行う。休日夜間外来をしている診療所に医師を派遣するなど連携体制を築き、初期の患者について24時間対応できるような体制を整備する。
 同省では、都道府県ごとに来年度末までに、地域でこうした病院の指定が必要かどうかを検討してもらい、08年度末までに対策をとりまとめて、新たな医療計画に盛り込むよう求めていく方針。

臨床研修病院、第三者機関が評価 indexへ

 新米医師が経験を積む臨床研修病院を評価する第三者機関が、来秋にも設立される。その前身として「新医師臨床研修評価に関する研究会」が9日、発足する。04年に臨床研修が必修化されてから2000以上の病院が教育プログラムを実施しているが、質や成果は評価されてこなかった。病院を訪問調査して、研修医の生の声も聞き、判定結果は公表する。
 評価するのは、プログラム内容を中心に「基本的な身体診察法が組み込まれているか」「頻度の高い症状が組み込まれているか」など89項目。事前に書類の提出を受け、調査員として医師と看護師がペアで訪問。1日かけてカルテの確認や、研修医らへのインタビューをする。結果は病院に知らせ、改善してもらう。
 研究会の代表は高久史麿・自治医大学長が務める予定で、指導医や看護師ら約1000人が参加する。日本病院会など4団体も参画。来春から評価をし、評価項目の妥当性などを検討、来年秋にはNPO法人化し、本格始動する。
 評価を受けるかどうかは病院からの依頼による。研究会の段階では評価を受けたかどうかだけの公表にとどめるが、法人化後は判定結果も公表する予定だ。
 臨床研修は、専門分野だけでなく、幅広く基本的診療能力を身につけるのが目的。第三者評価機関について、厚生労働省も省令で、将来的に「第三者による評価を受け、その結果の公表を目指すこと」と通知している。
 発起人の一人、岩崎榮・横浜市病院経営局長は「病院間に差があるのか、現状では検証さえできない。評価が研修の質の向上につながり、良医の育成につながる」と話す。

ぜんそくの子ども、過去最悪の割合 indexへ

 ぜんそくにかかる子どもの割合が幼稚園から高校までのすべての学校段階で、67年度の調査開始以来過去最悪になったことが文部科学省が8日公表した今年度の学校保健統計調査の結果(速報値)でわかった。
 健康状態に関する調査は、幼稚園から高校まで9165校の満5〜17歳の児童生徒の中から7.5%(約114万人)を抽出して実施した。
 ぜんそくの割合は幼稚園で1.6%、小学校で3.3%、中学校で2.7%、高校で1.7%。小学生は67年度の0.3%から11倍、中学生は0.1%から27倍になった。年齢別では、最も割合が高いのは6歳で全体の3.5%がぜんそくにかかっている。年齢が上がるにつれて低下傾向となり、17歳では1.5%になる。ぜんそくの子の割合は、年々増える傾向で推移している。

患者が適切な医療受ける「期待権」、最高裁の意見割れる indexへ

 患者が医療水準にかなった適切な治療を受ける「期待権」を侵害されたとして医師に賠償を求めることはできるのかをめぐり、最高裁第一小法廷(泉徳治裁判長)の5裁判官が激論を交わし、意見は割れた。結局「今回のケースでは認められない」という考えが3対2で多数派を占め、8日の判決は患者側の上告を棄却。二審の患者側逆転敗訴が確定したが、医療過誤訴訟で患者の権利をどこまで認めるかの難しさが浮かび上がった形だ。
 この訴訟は、東京拘置所に勾留(こうりゅう)中に脳梗塞(こうそく)で倒れた男性(56)が、「専門病院への速やかな転院措置を怠ったために後遺障害が残った」として、国に計3750万円の損害賠償を求めていた。
 裁判長の泉裁判官(民事裁判官出身)と横尾和子両裁判官(厚生官僚出身)の2人は「患者は適切な治療を受ける利益を侵害されたのだから、国は精神的な損害を賠償するべきだ」と、患者の救済を主張。「そうした利益は、過去に最高裁が認めてきた利益に勝るとも劣らない」と位置づけ、具体的には、輸血を伴う手術を拒否する利益や、自然分娩(ぶんべん)が帝王切開かを選ぶ利益を認めた判例を引き合いに出した。
 これに対し、島田仁郎裁判官(刑事裁判官出身)は「治療があまりに不適切なときは、適切な治療を受ける利益が侵害されたことを理由に、損害賠償を認める場合がある」としつつ、ある程度の不適切さは許容されるべきで、今回は賠償責任は認められないとした。
 才口千晴裁判官(弁護士出身)も同様の意見を述べた。さらに両裁判官は「弁護士や教師について、適切な弁護、指導を受ける依頼者や生徒の利益の侵害を理由に損害賠償責任を認めることにつながり、その範囲が限りなく広がるおそれがある」との懸念も示した。
 甲斐中辰夫裁判官(検察官出身)は自らの意見を特には述べなかったが、島田、才口両裁判官と多数派を形成した。
 多数意見は、賠償責任を認めるためには「適切な治療を受けていれば生命身体の侵害はなかったということが、『相当程度の可能性』として証明されることが必要」という過去の判例を引用。今回のケースでは、証明がないとして男性の上告を棄却した。

県立新発田病院窒息死事故、医師ら書類送検 indexへ

 新発田市の県立新発田病院で04年夏、新発田市の男性患者(当時69)が内視鏡での治療中に死亡した事故で、新発田署と県警捜査1課は6日、担当した主治医(57)と、同僚の医師(45)、看護師(45)の3人を業務上過失致死の疑いで新潟地検に書類送検した。3人はいずれも容疑を認めているという。
 新発田署などの調べでは、3人は04年7月24日、同病院に入院中の男性患者の胃内部の止血治療中に、酸素ボンベの残量確認などを怠った。酸素切れに気づかないまま治療を続け、男性を窒息死させた疑い。
 新発田病院の関根輝夫院長は「警察の判断を厳粛に受け止めている。事故後、こうしたことがないように対策をたて、万全を期している」と話した。県病院局によると、県は遺族に約3100万円の賠償金を支払っている。

自治体がん検診、発見率に4倍の開き 委託先の機関で差 indexへ

 自治体のがん検診は委託先の検診機関によって、がん発見率が数倍異なることもある――。そんな実態を、福岡県対がん協会が県内の胃がん検診資料を分析して突き止めた。検診機関の差が具体的に明らかになるのは、極めて珍しい。自治体の委託費抑制が検診の質低下を招きかねないことも分かった。他のがん検診や検査にも通ずる全国的な問題で、質を評価する方策が急がれる。
 福岡県では多くの検診機関が、胃がん検診のX線写真で異常の有無を判定する「読影」を、医師の合同研究会に委託している。このため、県対がん協会の斎藤貴生会長らと九州大、福岡大のグループが研究会に蓄積された自治体検診のデータを分析、各検診機関の実力を比べることができた。
 87〜03年に73万人が10検診機関を受診し、精密検査(精検)を経て1108人の胃がんが見つかった。だが、機関別の受診者1万人当たりの発見率は最高18.6人、最低4.4人と4倍以上の開きがあった。
 10機関を詳細に比べると、精検受診者のうちがん患者がどれだけいたかを示す「的中率」と、要精検者のうち実際に精検を受けた人がどれだけいるかの「精検受診率」が違った。的中率は1.2〜2.0%(平均1.6%)、精検受診率は25〜90%(平均72%)で、がん発見率は、的中率、精検受診率とも高い機関ほど高かった。
 胃がん検診では(1)適切なX線写真を撮る(2)読影で要精検者を的確に選ぶ(3)要精検者に精検をきちんと受けてもらう、の3点が特に重要だ。
 今回、(2)は同一の研究会が担当しているため、発見率の差は(1)と(3)が招いたと考えられる。的中率の低さは、X線写真が不鮮明で読影医が要精検者を絞り切れなかったことを示す。精検受診率の低さは、がんの見逃し・放置に直結する。発見率最低の機関は精検受診率が突出して低く、精検未受診者への対応がおざなりだった疑いが濃い。
 撮影技術を磨いたり、精検未受診者に何度も連絡したりすると費用がかかるため、的中率と精検受診率ともに平均以上の優良機関の受託価格は、それ以外の機関より高いことが多い。だが自治体は安さを求めがちで、89年以降、20市町村が優良機関からそれ以外の機関に委託先を変えていた。

B型肝炎、欧米タイプ急増で診療指針見直し 肝臓学会 indexへ

 欧米タイプのB型肝炎ウイルスによる肝炎患者が国内で増えているとの報告が相次いでいる。成人が感染した場合、在来タイプと違い、肝がんなどにつながる慢性肝炎になりやすい。日本肝臓学会は、B型肝炎の治療ではこうしたウイルスのタイプによる違いを反映すべきだとして、来春にも診療指針を改定する。
 名古屋市立大の溝上雅史教授(臨床分子情報医学)らは、82〜04年に京都府立医大や信州大医学部など17の医療施設で治療を受けた成人のB型急性肝炎患者301人の血清を遺伝子分析した。
 その結果、82〜90年には全体の5%に過ぎなかった欧米タイプが、91〜95年6%、96〜00年12%、01〜04年24%と着実に増えてきたことが分かった。82〜90年に29%を占めていたアジアタイプは減少傾向で、01〜04年は10%だった。アジアタイプの感染が沈静化し、欧米タイプに置き換わったように見える。
 欧米タイプのB型肝炎ウイルスについては、厚生労働省研究班も今春、全国の国立病院を受診した急性肝炎患者のデータから、91年以降に増加しているとの調査結果をまとめている。研究班長の八橋弘・国立病院機構長崎医療センター治療研究部長は「欧米タイプのウイルスは日本人の中で定着し始め、日本人同士でも感染が広がっている。感染対策の強化が必要だ」という。
 B型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染するが、欧米・アジアタイプはともに、主に性感染によって持ち込まれたとみられている。
 溝上さんによると、欧米タイプは成人が感染した場合、肝がんなどにつながる慢性化率が高い。在来タイプは劇症肝炎になる場合はあるものの、慢性化はほぼないとされてきた。アジアタイプは母子感染すると小児の肝がんが増えるが、成人の慢性化はまれとされる。
 欧米タイプの増加に対応した治療をしないと、将来B型肝炎ウイルスによる肝がんが増えてくる恐れがある。学会が診療指針改定を急ぐ背景には、こうした懸念もある。指針改定を担当する岡上(おかのうえ)武・京都府立医大教授(消化器内科)は「遺伝子のタイプに応じた診断、治療の方法を加えたい。薬の使い方なども違ってくるだろう」という。

ホルモン補充療法、日本では乳がん減 厚労省研究班調査 indexへ

 女性の更年期障害の「ホルモン補充療法(HRT)」は、海外の研究結果から乳がんにかかる危険性を高めると知られているが、厚生労働省研究班調査の中間解析では、使っていない人に比べ乳がんの発症リスクが3割ほど低くなることがわかった。日本では使用期間が短い、ホルモン剤を1種類しか使わないことが多い、などが逆の結果が出た理由として考えられる。HRTの是非は世界的に論議の的になっており、今回の結果は注目を集めそうだ。
 9日に米国サンアントニオで開かれる乳がん学会で発表される。
 研究班は昨年9月から今秋にかけ、国内7施設において、45〜69歳の乳がん患者2547人と一般女性2113人を対象に、HRT経験の有無を調べた。
 乳がん患者のHRT経験者は132人(5.2%)で、一般女性の方が経験者は162人(7.7%)と多く、統計上、HRTをした方が乳がんになるリスクが34%低かった。
 HRTの使用期間は、半数近くが1年未満で、約8割が5年以内だった。多くは卵胞ホルモン(エストロゲン)だけで、黄体ホルモンを併用していたのは1割ほどだった。

薬効かないエイズウイルスじわり 新規感染者の5% indexへ

 薬が効かない薬剤耐性のエイズウイルス(HIV)が国内でも広がっていることが、厚生労働省研究班による全国的な調査で明らかになった。新たな感染者の約5%で、耐性ウイルスが見つかった。欧米の10〜20%よりは低率だが、本格的な感染拡大が心配される。1日、熊本市で開催中の日本エイズ学会で発表された。
 研究班は、HIV感染者の治療にあたる全国約30の医療機関で、03〜04年に新たに感染が判明した575人(国内新規感染判明者の約3割)を対象に調べた。その結果、31人(5.4%)でウイルスの遺伝子配列が薬剤耐性に変異していた。
 国内では約20種の抗HIV薬が使われており、通常このうち3種を組み合わせてウイルスの増殖を抑える。耐性ウイルスは突然変異で生じ、薬の飲み忘れや治療の中断などで増えると考えられている。早ければ、治療開始から数週間で薬が効かないウイルスが出現することもある。別の人がこの耐性ウイルスに感染すると、使える薬の選択肢が狭まり、治療が非常に難しくなる。
 研究班長の杉浦亙・国立感染症研究所エイズ研究センター第2研究グループ長は「欧米諸国よりは低かったが、早急に耐性ウイルスの検査態勢をより充実し、感染の広がりを注意深く監視していく必要がある」といっている。

医師の処分歴、ネットで公開 行政処分の範囲も拡大 indexへ

 医療事故や犯罪を起こした医師に対する行政処分のあり方を議論してきた厚生労働省の有識者検討会は1日、行政処分を受けて再教育を受ける医師について、再教育の期間中は処分事実をインターネット上で公開することなどを求める報告書をまとめた。厚労省は来年の通常国会に医師法改正案を提出する方針。07年4月の制度導入を目指す。
 国家試験に合格して免許を受けると、厚労省に備え付けの「医籍」に登録され、氏名や登録番号などとともに処分歴も記録される。だが、これまでは氏名と生年月日、登録番号を提示して照会した場合に限り、その人が医師資格を持つかどうかを回答し、処分歴は公表していなかった。
 厚労省は、医籍に登録されている医師については、氏名の照会があれば性別、登録年月日などを公表し、再教育の期間中の処分内容も公表する方針。厚労省のホームページにアクセスして、氏名を入力して検索してもらう方法を検討している。
 また、医師の行政処分はこれまで、「医業停止」と「免許取消」の2種類しかなかったが、業務停止を伴わない「戒告」を新設し、再教育を課す医師の範囲を広げる。業務停止の上限を従来の5年から3年に見直し、それを上回る場合は基本的に免許を取り消す方針だ。
 処分を迅速に進めるため、医師に対する調査権限を法制化し、拒否した場合には罰則を科すことも改正案に盛り込む考えだ。
 処分歴をめぐって検討会では、個人情報保護の観点などから公表に慎重な意見もあったが、「国民の生命と健康を預かる以上、公開には高い社会的要請がある」と判断した。

当時の担当医3人を書類送検 町田市民病院の医療事故 indexへ

 東京都町田市旭町の町田市民病院で02年11月、入院患者が手術前に突然心停止状態となって死亡した事故で、警視庁が当時の担当医に過失があったとして、3人の医師を業務上過失致死の疑いで書類送検していたことがわかった。
 町田署の調べでは、死亡したのは町田市内の40代の内装業男性。02年11月21日、脳腫瘍(しゅよう)の手術のため、男性の人工呼吸用の気管チューブを交換しようとしたところ、チューブが入らなくなり、入れ直したところ、直後に突然心臓が停止したという。
 男性は同年10月から入院し、糖尿病や肺炎、脳の病気などを併発していた。自力で呼吸ができなくなり、チューブによる人工呼吸をしていたという。研修医を含む麻酔科の3人の医師が担当し、病院側は当時、「医師に過失があった可能性は否定できない」としていた。

一般利用の病室など全国73カ所、石綿飛散の恐れ indexへ

 アスベスト(石綿)問題に関する政府の関係閣僚会議が29日開かれ、文部科学、厚生労働、総務、環境、農林水産の各省が、病院や保育所、学校などでの石綿の使用状況の調査結果を公表した。未回答の施設も残っており、今後、使用施設数はさらに増える見込み。政府は報告を急がせるとともに、石綿の除去など早急な対応を求めていく方針だ。また、健康被害者を救済する「石綿新法」の法案も了承された。
 厚労省の調査は、有害性の強い石綿の輸入・製造の禁止措置がとられていなかった1996年度以前に建設された病院約8000(回答率89.4%)、保育所や特別養護老人ホームなどの社会福祉施設約9万2000(同91.2%)、職業訓練校などの公共能力開発施設約3000(同60.4%)を対象に、都道府県などを通じて調べた。民間病院も含めた調査は今回が初めて。
 病院では、回答した4.6%にあたる324施設で損傷や劣化などで石綿が飛散する恐れがあり、うち28施設は患者の利用する病室や待合室、廊下などだった。
 保育所など社会福祉関連の245施設(回答の0.3%)のうち38、職業訓練所など17施設(同0.9%)のうち7が日ごろ使われる場所だった。
 これらの施設について川崎厚労相は会見で、石綿除去や飛散防止対策のための予算措置を検討する考えを示した。
 また、総務省は都道府県や市町村が所有する庁舎や上・下水道施設、警察署などの施設での石綿の使用状況を調査。調査した41万8268施設のうち、回答のあった38万4738施設の1.7%にあたる6617施設で、除去や飛散防止などの対策が未処理だったと発表した。
 ただ、この調査結果には学校や病院、保育所など他省庁の調査との重複分も含まれている。
 環境省は、地方自治体が設置した自然公園内のトイレ、休憩所など6465施設、廃棄物処理施設1818、大気環境の測定局舎1629を調査した。自然公園のうち5施設、廃棄物処理施設205、測定局舎5で、石綿の除去や封じ込め対策が終わっていない。
 農水省の調査では、石綿の飛散する恐れが確認された施設は36あった。内訳は、農業大学校などの教育機関3、ダムや排水機場などの公共事業施設13、農協や民間の集会所などが20だった。岩手県立農業大学校(岩手県金ケ崎町)のボイラー室の煙突や、国営早瀬野ダム(青森県大鰐町)の係船設備の天井などで、大半は現在、立ち入り禁止になっている。

乳がん見落とし、第三者が「検査」 NPOが再評価制度 indexへ

 乳がんが見つかったが、実は前回の検診で見落とされていたのではないか――。こんな受診者の疑問を第三者の医師が検討する「駆け込み寺」を、マンモグラフィー(乳房X線撮影)の精度管理を行っている非営利法人(NPO法人)が年内にも設置する。検診への不信感解消に向けた取り組みで、検診システムの在り方に一石を投じそうだ。
 再評価制度を立ち上げるのは、日本乳癌(にゅうがん)検診学会など6団体で作るNPO法人「マンモグラフィ検診精度管理中央委員会(精中委)」。精中委は厚生労働省の指針に基づき、撮影されたX線写真からがんの有無などを判定する読影医や、撮影技師の技量を認定している。
 受診者が疑問を持った場合、直接、または受診した施設を通じて精中委に再評価を依頼する。検診施設は(1)問題のフィルム(2)別の人のがんが写ったフィルム10枚程度(3)正常な乳房のフィルム20枚程度を送る。個人情報などを消した上で、読影の技量が高い医師7人がそれぞれ、どれが該当のフィルムか分からないようにした約20枚を2週間以内に評価する。
 依頼者のフィルムに関する評価を総合し、「良性だが、がんを否定できない」とする分類以上だった場合は、検診者側の見落としと判定する。判定過程は、読影医らからなる内部委員と、法律家やジャーナリストら外部委員も点検する。費用は10万円程度を想定している。
 乳がん検診は昨年4月に視触診単独検診が廃止され、40歳以上を対象にマンモグラフィーが導入された。視触診では「証拠」が残らないが、X線フィルムは年を追って比較できるという利点がある。
 ただ、がんの部位がわかっている場合と、がんか正常かわからずに読影する場合では見方が異なり、必ずしも「見落とし」と言えない事例もあるという。フィルムの送付を求められた施設が、拒む可能性もある。
 再評価制度の委員長を務める国立病院機構名古屋医療センターの遠藤登喜子・放射線科部長は「この制度があれば、多くの読影医が安心して検診に当たれる。画像診断の結果が妥当かどうかを双方が納得することが、検診への信頼につながる」という。

不妊症の夫婦にも受精卵診断を実施 大谷産婦人科が公表 indexへ

 染色体異常による習慣流産の患者らに受精卵診断を実施している神戸市の大谷産婦人科の大谷徹郎院長は27日、習慣流産ではない不妊症の40歳前後の女性にも受精卵診断をし、双子を無事に出産したことを明らかにした。大谷院長は「高齢で不妊症で悩んでいる人に流産でも苦しめないよう、妊娠率アップのため実施した」と説明している。この女性以外に、繰り返し流産していた夫婦26組を昨年9月から今春までに診断し、11組が妊娠、うち9組が計11人を出産したという。
 受精卵診断では、染色体を調べて「正常」と判定した受精卵だけを子宮に戻す。日本産科婦人科学会は、習慣流産について受精卵診断の対象を広げるか検討している段階で、大谷院長を除名処分にしている。
 また、大谷院長は今年10月から受精卵診断を再開し、月に20組程度の診断をしていることも明らかにした。

日本の新薬、開発してもなかなか使えず 規制最も厳しく indexへ

 日本は新薬を生み出す総合的な競争力があるのに、その割には国内外の新薬が患者の手元になかなか届きにくい実情が、国内の製薬会社でつくる日本製薬工業協会のシンクタンクで製薬産業の課題などを分析している「医薬産業政策研究所」の主要国ランキングでわかった。利用できるまでの遅れが特に目立ったのは抗がん剤だった。
 世界的に、新薬を継続的に創出する力があるとされる日本、米国、英国、ドイツ、フランスの主要5カ国を比較。(1)人材や特許、投下資本などの研究開発の環境(2)市場規模や新薬の手に入れやすさ(3)国の政策や規制状況(4)企業の競争力の4分類・計52項目について、国内外で公表されている統計資料などを参考に数値化し、比べた。
 4分類の得点がいずれもずば抜けた米国がトップで、英、日、独、仏と続いた。日本は市場規模が大きく、研究開発の人材や特許は比較的充実しているのに、新薬の開発・承認への規制が5カ国中最も厳しく、患者が新薬の恩恵にあずかれる品目数が他国より少ない。患者に届くまでの時間も平均で米英より2年以上遅い。
 04年の世界売上高上位150品目中、新薬として日本で導入されたのが5カ国中最下位だったものをみると、抗がん剤が最も多く、がん治療に併用するホルモン剤も含めると10品目にのぼる。また150品目中、日本発の薬は19品目あるが、このうち海外で先に販売されたものが10品目と半数を超えている。
 同研究所の藤原尚也研究員は「臨床試験のしにくさ、承認まで時間がかかるといった環境要因、そうした条件の悪さから企業側も日本での開発に力を入れづらい現状などがある」と話す。
 世界的に継続的な新薬開発ができる産業力や基盤のある国は少ない。アジアでは、現時点では日本だけとされる。

エイズ感染防止へ避妊具使用を 東京で「レッドリボン」 indexへ

 12月1日の世界エイズデーを前にエイズへの関心を高めようと、東京の六本木ヒルズのアリーナで26日、「レッドリボンキャンペーン2005」(厚生労働省、朝日新聞社など主催)が開かれた。
 会場には、2000個以上のコンドームを使って「レッドリボン」を表現したオブジェが登場。エイズウイルス(HIV)の感染予防にはコンドームの正しい使用が効果的であることを訴えた。
 タレントの佐藤江梨子さん、パンチ佐藤さんらによる「エイズ…あなたは『関係ない』と思っていませんか?」と題したトークショーでは、日本では今年、HIV感染者とエイズ患者の累計が1万人を超えたことなどが報告された。
 江梨子さんは「同世代の女性の感染が増えているのがかなしい。『愛があるからコンドーム』を常識化していきたい」と話した。

41例目の脳死判定 年間では最多の9件 indexへ

 近畿地方の病院に、窒息による低酸素脳症で入院中の成人男性患者が26日、臓器移植法に基づく脳死と判定された。97年の法施行後、41例目の脳死判定。今年9例目で、01年の8件を抜き、過去最多だ。日本臓器移植ネットワークは「啓発が実りつつある」としている。
 臓器提供意思表示カードには心臓、肺、肝臓、膵臓(すいぞう)、腎臓、小腸、眼球に丸印があった。移植希望者がいない小腸を除き、家族の承諾で提供される予定。
 心臓は国立循環器病センター(大阪府)で、肺は京都大で、肝臓は北海道大で、膵臓と片方の腎臓は九州大で、もう片方の腎臓は和歌山県立医科大で、それぞれ移植される予定。