タイトル
ホーム 医療情報ネットワーク レセプト審査機構・現在 レセプト審査機構 病院審査機構 高齢者ネットワーク
★メルマガ申込★ AND OR
ページ内検索はWinはCtrlキーとFキーを,MacはコマンドキーとFキーを同時に推す。
携帯電磁波。人体への影響大調査 イギリス政府安全性の確認予算144億円 indexへ

英政府 【ロンドン25日=和気靖】英政府は25日、携帯電話の電磁波が人体に与える影響を明らかにするため、ボランティアに対する実験を合む大規模な専門調査に着手する、と発表した。
脳腫ようとの関係や子どもの発育、脳の働きへの影響などについて、7400万ボンド(約144億円)の予算で 14の調査プロジェクトを進める。 頭部への影響が懸念されている携帯電話の電磁波については、世界保健機関(WHO)や各国政府か動物実験などをしている。
日本でも総務省が昨年、「健康に悪影響を及ぼす確たる証拠はない」との中間研究報告を出している。 しかし、英政府は「安全かどうかをはっきりと国民に示すため、出来るだけ早く科学的に十分な知見を得る必要がある」(保健省)と徹底調査を決めた。
英国でもこれまでのところ「有害」とする明確なデータはないが、政府は昨年、「子どもの利用は必要最低限に」と助言するパンフレットを配布している。

世界初、新生児のロボット手術成功 ルイジアナ州立大 indexへ

米ルイジアナ州立大学健康科学センターは23日(米国時間)、世界で初めて生後19日の新生児のロボット手術に成功したと発表した。ロボット手術は手術台の隣に設置されたシステムで、内視鏡の画像を見ながらロボットアームを操作して手術するもの。大きく切開する必要が無く、患者の負担が小さい。  
手術は先週行われ、セレステ・ホーランズ医師が執刀した。手術は米コンピューター・モーションのロボット手術システム「ゼウス(ZEUS)」を使用して行われ、幽門筋切除術によって胃の障害を除去した。開腹する必要が無く、小さな穴を開けただけのため、赤ちゃんの予後は順調という。  
米食品医薬品局は現在のところ、ゼウスの手術での利用を限定的にしか認可していないが、今回の手術は認可された範囲のもの。ゼウスは昨年9月、世界初の大西洋をまたいだ遠隔手術にも使用された。このときは、ニューヨークの医師がフランスの患者の手術を行った。
[ルイジアナ州立大学健康科学センター] http://www.lsumc.edu/
[米コンピューター・モーション] http://www.computermotion.com/

「アコマ」35日の業務停止 小児用痲酔器具不具合報告せず indexへ

東京都立豊島病院と神戸大学医学部付属病院で、「アコマ医科工業」(東京都文京区)製の小児用麻酔器具を使用していた子ども3人が死亡した問題で、厚生労働省は22日、この器具が使い方によっては呼吸困難を招くとの情報をつかんでいながら報告しなかったとして、同社を薬事法(不具合報告義務)違反で35日間の製造業務停止にした。
厚労省によると、3人が死亡する前の97年11月、愛媛大学医学部付属病院で同社の小児用麻酔器具と他社の気管切開チューブを組み合わせて使ったところ、吐いた息の逃げ道がふさがれて呼吸ができなくなった事例が学会で発表された。
同社はこの情報を当時の厚生省に報告しなかった。
01年3月、都立豊島病院で同じ組み合わせで使っていた男児2人が死亡したことが明らかになり、厚労省が調査を開始。
その後、99年に神戸大学医学部付属病院でも同様に子ども1人が死亡していたことがわかった。 厚労省は「97年時点できちんと報告されていれば3件の事故は防げたかもしれない」としている。
アコマ医科工業は「報告制度があることを知らなかった。再発防止に努めたい」としている。
厚労省は22日、医療用具輸入販売の「ノボ ノルディスク ファーマ」(東京都中央区)と「日本イーライリリー」(神戸市)も薬事法違反でそれぞれ10日間の輸入販売業務の停止にした。

米国で閉胸冠状動脈バイパスのロボット手術成功 indexへ

ロボット手術システムを使い、米国初の開胸手術なしの心臓冠状動脈バイパス手術が成功した。
手術はニューヨーク長老派病院コロンビア長老派医療センターで行われた。手術に使われた遠隔操作の潅流カテーテルのメーカー、米エステックが22日(米国時間)発表した。  
手術は米インテュイティブ・サージカルのロボット手術システム「ダビンチ」を使って行われた。患者はニュージャージー州在住の71歳の引退したビジネスマンで、手術は15日に行われた。通常の心臓手術は20-25センチの開胸手術が必要だが、ダビンチを使った手術は3つの内視鏡と3D表示システムを使って胸を開かずに手術が可能。  
ダビンチは、肋骨の間に3-4カ所の鉛筆の太さほどの穴を開け、そこからロボットアームを使って内視鏡や手術用の器具を挿入して手術を行う。カテーテルは足の付け根から挿入された。内視鏡を使った手術は患者の身体的負担が少ないため、回復が早いという利点がある。
インテュイティブ・サージカルによると、閉胸冠状動脈バイパス手術は米国ではまだ試験段階だが、ヨーロッパではダビンチを使った多くの例があるという。
[米インテュイティブ・サージカル] http://www.intuitivesurgical.com/
[米エステック] http://www.estechlics.com/

インフルエンザの流行シーズン入り indexへ

厚生労働省は、インフルエンザの流行シーズンに入ったと発表した。感染症発生動向調査で、今月7日から13日までに全国約5千の医療機関から報告のあったの患者数が、1施設当たり1.45人となり、流行の目安となる1.0人を上回った。

レーザー手術具回収 indexへ

東京都は19日、医療用具製造会社「吉田製作所」 (本社・東京)が、自社で製造販売した歯科用レザー手術具「オペレーザーNd2」の自主回収を始めたと発表した。レーザーを遮へいする器具の部品が接着不良で脱落し、スイッチを入れていない状態でレーサ−が照射される不具合が起きたという。この製品は19都道府県の医療機関などに計93台が出荷されてる。

伝統医学や健康補助食品 医師が「効果」検証へ indexへ

「科学的実証が万全でない」と否定されることの多かった伝統医学、健 康補助食品などの「代替医療」について、日本内科学会は、どれだけ効果 があるかを一つひとつ検証し、ガイドブックにまとめる作業を始めた。抗 がん剤など西洋医学による治療を終えた患者らの間で二ーズが高まっており、医師も無視できなくなった形だ。来春までに完成させ、正しい情報を患者に提供する。ガイドブック作りを進めているのは、日本内科学会の認定専門医会内に昨年新設された代替医療委員会(委員長、渡辺賢治・慶大医学部助教授)のメンバー約30人。代替医療は現在、医療機関で一般的に行われている西洋医学以外の治療を指す。英語の「オルタナティブ・メディスン(もうひとつの医療)」の訳で、中国など各国の伝統医学から、プロポリスなどの健康補助食品、音楽療法や心に働きかける療法など様々だ。今回の検証作業では、それらの効果に関する評価文献を集め、評価の方法や根拠がどれぐらい科学的かによって6段階に分類することで、効果や有害・無害の信頼度の目安にする方針だ。

精神分裂病 「統合失調症」に 精神神経学会理事会名称変更を決定 indexへ

「精神分裂病」の病名変更を検討していた日本精神神経学会(理事長=佐藤光源東北福祉大大学院教授)は19日、東京都内で理事会を開き、三つに絞られていた新病名案のうちから「統合失調症」を選ぶことを決めた。
今年8月に開く同学会総会で正式に決定し、診断書などに新病名を使用できるよう、関係行政機関などに働きかける。
93年に全国精神障害者家族会連合会(全家連)が「人格を否定するような響きを持つ『精神分裂病』という名称を変えて欲しい」という趣旨の意見書を提出。
学会が設けた「呼称変更委員会」が[社会的にも医学的にもこの名称は不適切だ」と 判断した。
新たな呼び方の案は1.原語(ラテン語)の読みをカタカナ表記した「スキゾフレニア」2.疾病の概念と診断の確立に功績のあった人名にちなんだ「クレペリン・ブロイラー症候群」3.原語を翻訳し直した「統合失調症(統合失調反応)」の三つに絞り込まれた。学会は有識者や一般の人たちにも意見を求めていた。

診療報酬明細書のデータ 中古パソコンに残存 indexへ

名古屋市内で販売された中古パソコンに、医療機関が健康保険組合などに医療費を請求するために作成した診療報酬明細書(レセプト)のデー夕が残されていたことが16日わかった。医療サービの効率化をすすめるため、レセプトや力ルテの 電子化は今後さらに進むと見られる。事態を重くみた厚生労働省はパソコンの元の使用者の特定を 急ぐとともに、再発防止 策の検討を始めた。 社会保険診療報酬支払基金から同省保険局に人った連絡によると、診療データが残っていたのは名古屋市内の大学生が購入した中古パソコン。パソコンの画面上ではデータが消去されていたが、 大学生が市販のソフトを使ってハードディスクのデータを復元したところ、レセプトの画像データが見つかったとい う。 レセプトは支払基金を経由して、健康保険組合などにわたる。健保組合によっては独自に診療データのデータベースを作ったり、外部の業者に委託したりしてレセプトの再点検をしている。支払基金は「うちでは画像デ−タによる保存は行っていない」としており、同省では業者の使っていたパソコンの可能性が高いとみているいる。レセプトの取り扱いについて、同省は「管理などの事務にあたって、被保険者の秘密が漏えいしないよう万全を期すと」と指導している。

薬承認審査を強化 薬事法改正案 通常国会に提出 indexへ

薬害エイズ事件や難病クロイツフェルト・ヤコブ病感染問題を教訓に、厚生労働省は新薬や新医療用具の承認審査を充実させるとともに、被害者救済制度を創設するため、薬事法制を抜本改革する方針を決めた。薬の開発者が自ら製造工場をもたなければならないという規制を改めて開発と製造部門を分離できるようにするなど、企業再編が進む製薬業界の実情にあわせた改正もする。
薬事法改正案は、21日からの通常国会に提出す。改正案は、製品の安全性確保のために、従前の承認前審査に加えて市販後も製造工程を審査したり、製薬企業に副作用情報を詳細に把握するよう求めたりして、薬害を迅速につかめるようにする。
医療用具などを人の体に与える影響度によって4分類し、審査にめりはりをつける。

医療ミスで遺族告訴状を提出 東京医大八王子 indexへ

東京都八王子市の東京医科大学八王子医療センターで昨年6月、人院中に激しい頭痛を訴えた男性(当時63)が死亡した問題で、遺族は16日午後、「脳の硬膜下血腫が写っていたCTスキャンの確認を担当医が怠り、人工透析で血脈を悪化させる薬物を投与した過失が死囚」として、担当医3人に対する業務上過失 致死容疑の告訴状を東京地検特捜部に提出した。

「輸液投与ミス」国側に賠償命令 東京地裁 indexへ

がんの手術で東大医科学研究所付属病院に入院した横浜市の男性(手術当時81)が高カロリー輸液の投与に伴うビタミンB1不足で中枢神経障害になったとして、遺族が国に賠償を求めた訴訟で、東京地裁の片山良広裁判長は16日、医師の過失を認め請求通り800万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
判決は「手術後に高カロリー輸液を投与した際、医師には使用上の注意に従ってビタミンB1を補給する義務があったのに、補給しなかった」と認定した。

国立病院の医療事故 「担当医など開示を」 情報公開審が初基準 indexへ

全国の国立病院、療養所から提出された医療事故報告書を、厚生労働省がほとんど墨塗りして部分開示したことについて、内閣府の情報公開審査会第2部会(吉村徳則部会長)は9日、事故の発生日時や原因、担当医、患者家族への謝罪文などは開示すべきだとする答申を出した。同審査会が、国立病院での医療事故について、具体的な情報公開の基準を示すのは初めて。医療事故を公表する流れを促進しそうだ。
同部会が開示すべき部分として示したのは、
1.事故の日時、患者の初診日、受診科 
2.事故にかかわる医療行為と原因(患者の病状などにかかわる部分を除く)
3.主治医、執刀医、介護者の氏名 
4.患者家族に渡した謝罪文の内容 
5.院内で事故例を検討した委員会の議事録−−など。
患者氏名や生年月日など個人特定に直結するデータ、患者の病気等はプライバシーに相当するとして不開示とした。
答申は「医療事故の公表は社会的要請」とし、今回「開示すべきだ」として示した例は情報公開制度にもとづく最低限度の公開基準であり、患者家族の了解や医療機関の判断でさらに、事故にかかわる情報を公表することは可能としている。
厚労省は同審査会への諮問に際し、事故発生日などを開示すれば、「病院関係者や患者の近親者など一定の情報をもつ人は個人を特定できる」と主張していたが、同審査会は、「関係者は情報公開する以前に、個人を特定できる」などと退けた。
同省は、情報公開法にもとづく朝日新聞記者の公開請求に対し、00年度に報告があった国立病院などの医療事故報告書83件を部分開示。ほとんど墨塗りされていた。記者がこれを不服とし、情報公開審査会に異議申し立てしていた。

抗がん剤とインターフェロン併用 肝がんの治療に効果 阪大教授ら解明 indexへ

重い肝がんの治療で、抗がん剤と免疫を強めるなどの働きがあるインターフェロンを組み合わせるとこれまでにない高い効果が得られることが、阪大グループの研究でわかつた。15日に発行される米国のがん専門医学誌「キャンサー」で発表する。
肝がんは、早期の場合は手術できる。肝臓へ血液を運ぶ門脈にがんが詰まるほど進むと抗がん剤による治療が主となるが、十分な効果は得られず、この場合の余命は数カ月にとどまっていた。
阪大の門田守人教授(消化器外科)らは、門脈にがんができているような重い肝がんの患者11人の肝臓に管で抗がん剤を入れ、さらにインターフェロンを注射した。その結果、3人でがんが完全に消え、5人のがんが半分以下に縮小した。治療を受けた中には、4年以上生きている人もい る。
複数の抗がん剤を使った場合は副作用が見られたが、「5FU」という抗がん剤のみとインターフェロンを使った場合では、大きな副作用はなか ったという。阪大では、保険が適用できるよう治験を申請しており、年内にもほかの医療施設を含めた臨床試験を始めたいという。
門田教授は「手術と組み合わせれば、高い効果が得られると思う。ほかにも効果があるかも研究したい」と話している。

「手術ミス証言は虚偽」 医師相手に賠償提訴 日本医大 indexへ

日本医科大学付属病院(東京都文京区)で4年前、骨折したあごの修復手術を受けた女性が急死した問題で、日本医大側は7日までに、手術ミスを証言した医師を相手取り、その証言を受けての報道などで名誉を傷つけられたなどとして、1億3千万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。病院側はミスを否定している。
訴えたのは、日本医大と、執刀医だった同付属病院の形成外科医局長。被告の医師は手術では第1助手だった。
訴状などによると、女性は97年12月、けがであごなどを骨折し、埼玉県内の病院を通じて日本医大付属病院に転院した。あごの骨をワイヤなどでつないで固定する手術を受けたが、多臓器不全で同月17日に死亡した。
ところが、女性の両親はミスを疑い、カルテなどの証拠保全を東京簡裁に申請、00年12月に証拠保全手続きが実施された。さらに、翌01年2月には第1助手の医師が報道機関に対して「ワイヤが脳に刺さったのが死亡に結びついた」などと証 言、さらに上司や執刀医からミスを隠すよう指示されたなどと述べた。
しかし、病院側は「ワイヤは脳に達していない」などとする同病院の調査委員会の中間まとめを公表して反論していた。
女性の両親は01年5月、医師の術後管理が不十分だったとして病院側に1億600万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。
今回の訴えで病院側は、女性の両親が手術ミスやその対応が適切ではなかったなどと訴えるのは明白な誤りとした上で、女性の両親にその情報を提供したのは第1助手の医師以外に考えられない、と主張。さらに記者会見で虚偽の説明をしたために、それを受けた報道で名誉を著しく傷つけられたとしている。
これに対して第1助手の医師は「遺族に真実を伝えようとしただけ。不当な攻撃で全国の医療従事者が真実の告白をちゆうちょしないことを願います」との談話を出した。死亡した患者の父親は「証言をした医師への見せしめだ」と病院側の対応を批判している。

心臓手術ミス 女児死亡 記録改ざん、死因隠す 東京女子医大病院 indexへ

東京女子医科大病院(東京都新宿区)で3月 に心臓手術を受けた小学校6年の女児(当時12) が、医師の過失で死亡していたことが29日分かった。病院側は当初、遺族に過失を隠していた。10月になって病院内の調査結果を報告し、診療記録を改ざんするなど死因を隠ぺいしていたことを認め、謝罪した。警視庁はこの日、院長らから事情を聴くなど捜査を始めた。

警視庁が捜査

死亡したのは群馬県高崎市の平柳明香ちゃん。生まれつき心臓の心房中隔に穴があいている病気で、3月2日、欠損部を縫い合わせる手術を同病院で受けた。明香ちゃんは術後意識が戻らないま ま、5日に死亡した。
当初、死囚は心不全とされたが、遺族は納得せずに調査を求めた。これを受けて病院が内部調査を実施。手術で使った人工心肺装置の操作ミスでおきた脳循環不全による脳死が死因と判明した。
調査報告書などによると、手術中、心臓と肺の血流を止めて静止状態を保つため、体外に人工心肺装置を取り付け、血液に酸素供給などをしていた。だがポンプの回転数を長時間上げすぎたため、装置の貯血槽があふれて逆流が起き、10分以上、脳に血液が循環しなくなった。
だか手術直後、家族には「手術自体はうまくいった」と説明があり、脳障害の可能性については何も説明されなかった、という。
また調査報告書は、術後のICU記録に瞳孔径を実際より小さく書いたことなどについて、「脳障害の事実を隠ぺいする意図がみえる」と指摘した。
遺族によると、執刀医は隠ぺいの理由について、今月、墓参りに訪れた際に「(手術に関係した)後輩医師を守るためだった」と説明したとい う。
明香ちゃんの父親で歯科医の利明さん(51)は「患者は元々弱い立場。 事実をごまかされ、つらい思いを引きのばされた悔しさでいっぱいだ。許せない」と話した。
同病院の林直諒院長は29日会見し、「あってはいけないミスを起こしながら、事態をきちんと説明していなかった」と謝罪した。だが虚偽説明の理由については「確認していない」と述べた。また、今回の事故を知った時期を「6月中旬」と説明。主治医は自宅謹慎させ、処分を検討している、という。
厚生労働省と東京都には、この日初めて報告。同省は「重大な過失が認められれば、年明け早々にも社会保証審議会医療分科会を開き、対応を検討する」としている。

人工呼吸器の医療事故 豊島病院の前に死亡例 兵庫県内で indexへ

人工呼吸に用いた医療器具の不具合で今年3月、乳児が死亡した東京都立豊島病院の事故以前に、神戸市の神戸大医学部付属病院でも同じ業者の同じ器具の組み合わせで事故が起き、乳児1人が死亡していたことが、25日に分かつた。
豊島病院の事故の遺族が東京都から入手した資料や病院側の説明から判明した。 報告書が提出されたのは豊島病院での死亡事故より後で、事故発生時に報告されていれば、豊島病院での事故は防げた可能性がある。
遺族が入手した資料は、医療器具メーカーのアコマ医科工業(東京都文京区)と、医療器具輸入販売会社のマリンクロットジャパン(東京都新宿区)が厚生労働省に提出した「不具合報告書」。
この資料には、子どもの人工呼吸にも使われるアコマ社製のジャクソンリース回路と、マリン社が輸入、販売した気管切開チユーブを接続して使った結果、呼気の逃げ道がふさがれて呼吸できずに死亡したことが記載されている。
病院名を記載する欄はない。両社とも、豊島病院の事故が報道された今年4月以降に病院から連絡を受け、厚労省に提出したものとみられる。
朝日新間社の取材ではこのケースは、神戸大医学部付属病院で起きた。病院の説明では、事故があったのは99年ごろで、豊島病院の事故の後、カルテを調べ直して見つけたという。病院側は「死囚との因果関係は不明だが、否定はしきれない。家族には今年4月になって説明して納得してもらった」と話している。
今年3月に起きた豊島病院の事故では、両社の器具の組み合わせで、生後3カ月の乳児が呼吸因難に陥り、死亡した。
厚労省によると、医療器具の製造業者や輸入販売業者は、患者の死亡や障害につながる器具の不具合を知った時に、厚労相に報告することを薬事法で義務付けられてい る。

業者・都を提訴へ 豊島病院事故遺族

今年3月、東京都立豊島病院で、人工呼吸を施された生後3カ月の乳児が死亡した事故で、埼玉県に住む両親が、治療に用いた器具を製造、販売した企業2社と東京都を相手取って、近く、総額8200万円余りの損害賠償を求める訴え東京地裁に起こす。
東京都や遺族側の弁護士によると、乳児は今年3月、ジャクソンリース回路を気管切開チユーブに接続し、人工呼吸を施された。直後から乳児は呼吸困難に陥り、11日後に死亡した。ジャクソンリース回路はアコマ医科工業製、気管切開チューブはマリンクロットジャパンが輸入、販売したものだった。
遺族は、器具の組み合わせによっては事故が起こる危険性を予測できたのに対策を取らなかった、などとして両社の責任を迫及する。また、医師も安全を確認すべきだったとして病院の開設者である都の責任を問う。
97年、愛媛大学医学部付属病院で両社の器具を組み合わせて使ったケースで同様の事故が2件あり、 組み合わせて使ったケースで同様の事故が2件あり、担当した医師は97年9月までに両社に通報していた。

各種がん検診有効性色分け indexへ

各種がん検診有効性色分け 厚労省研究班 各種のがん検診の中には、有効なものも無効なものもある。
そんな報告書を、厚生労働省の研究班(班長、久道茂・東北大教授)がまとめた。19日に同省で報告し、全国の市町村に配る。
各種がん検診の効果に関する国内外の論文を分析。検診が死亡率を下げるかどうか、検査手法ごとに検討した。
直腸診による前立せんがん検診や、視触診のみの乳がん検診は、がん死亡率を下げない疑いが強かった。
細菌ヘリコバクター・ピロリを調べる胃がん検診 は、「陽性率が50%以上なので検診になじまない」とした。 一方、視触診と乳房エックス線を組み合わせた乳がん検診(50歳以上や、便潜血検査による大腸がん検診、細胞診による子宮けいがん検診、エックス線の胃がん検診な どは効果があるとした。

注射用の医薬品計量ロボット フォーヘルス indexへ

米フォーヘルス・テクノロジーズは20日(米国時間)、病院向けの注射用医薬品計量ロボット 「パード・アイ・ブイ(PARxD IV)」を発表した。
注射用の医薬品を1時間に60から300、注射器に吸入して準備できる。精度も1000分の0.6ミリリットルで、医療の専門家以上の精度という。  
薬品棚に保管された最大60種類の薬品を、それぞれの患者に合わせて希釈したり混合して、注射器のに吸入された状態に準備する。 患者や医薬品に関する情報はバーコードを使って管理する。
PARxD IVの大きさは、約幅2.7メートル、奥行き1メートル、高さ2.1メートル。コントロール用のOSはウィンドウズ・ベース。
米国の病院の21%が薬剤部門で人員不足となっており、また静脈注射用医薬品の5-6%が不正確に準備されているという。フォーヘルスでは、ロボットの採用で専門家不足が解消され、より低コストで、正確、安全な医療サービスを提供できるとしている。既に米国内の3医療機関に納入が決まっており、2002年初めに利用が開始される予定。
[米フォーヘルス] http://fhtinc.com/default.htm

国立大学病院が研修医公募04年度から 指導内容公開/ 私大出身者にも門戸 indexへ

04年度から国家試験に合格した医師に臨床研修が義務化されるのに向けて、国立大学医学部付属病院長会議は同年度から、各大学病院が研修医を全国から公募することで合意した。 医師の流動化を促し、競争を通じ医療の質の向上を図るのが狙いだ。私立大学付属病院にも影響を与えそうだ。
42の国立大学の付属病院が加わる同会議の常置委員会(委員長 伊藤晴夫・千葉大付属病院長)が「指針」として、18日明らかにした。
指針によると、各大学病院が研修内容や指導医数、先輩研修医の進路実績などを公開し、研修医予定者はこれをもとに希望病院を複数選ひ順位をつけて応募する。私立大学などの出身者も応募できる。
病院側は、応募者に面接などの試験を課して選抜順位をつける。双方の順位をコンピューターで照合して選抜。公立、私立大学付属病院や、厚労省指定の病院も希望すれば参加可能という。
研修医の所属は各診療科でなく、病院ごとに設置する「 研修センター」とする。
研修医は2年間で内科、外科、救急部、小児科、産婦人科の5科で研修。ほかの病院と連携して研修を実施するのが原則。 「指導医1人につき研修医は2人以内」との基準も示した。
現在は免許取得後、出身大学などの医局講座に所属する医師が多く「特定領域しか診られない医師が増えている」と指摘されている。医局の方針で人事や研究内容、治療方法などが左右され、ほかの大学の医療技術が学べないなどの閉鎖性も問題になっている。研修医を選抜する基準もあいまいだった。
研修内容や実績は、全国組織の第三者機関が評価し、一般に公開する方針だ。

特許切れ 薬価下げ、平均5%に 製薬業界、年1000億減収 indexへ

製薬会社が開発した薬(先発品)の特許が切れた場合に、公定価格を引き下げる新ルールをめぐり、政府・与党間で調整中だった切り下げ幅は平均5%と決まった。
対象 となる薬の売り上げは合計で年間約2兆円で、製薬業界は1千億円の減収となる。薬が安くなる分、医療保険財政や患者の負担が減り、国の医療費予算を約250億円削 滅する効果がある。来年4月から実施される。
同時に施行される薬価改定では、改定率がマイナス4.8%(薬価べース)でこの分の減収は約3千億円。あわせて約 4千億円が製薬業界にとって医療改革の「痛み」となる。
薬の公定価格は、医療機関と卸業者の取引状況を調査し割引販売の実態を反映させる形で2年に1回引き下げる。しかし、先発品は値段が高止まりする傾向があるうえ、後発品は先発品の4〜5 割程度と安価なのに普及が進んでいない等問題点が指摘されている。

新生児死亡 レセプト訴訟 開示求めた夫婦、勝訴 最高裁 兵庫知事の上告棄却 indexへ

新生児死亡レセプト訴訟 開示求めた夫婦、勝訴 出産翌日に新生児が死亡した経緯を知るために兵庫県公文書公開条例を利用して診療報酬明細書(レセプト)の公開を求めた両親が、非公開とした知事の処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(千種秀雄裁判長)は18日、処分を取 り消した二審・大阪高裁判決を支持し、知事の上告を棄却する判決を言い渡した。 知事側の敗訴が確定した。
両親は93年、出産先の産婦人科医院が県に送った自分たちのレセプトの公開を求めた。しかし、知事は条例上公開しなくてよい「他人に知られたくないと認められるもの」に当たると判断したため、両親側は提訴した。
第三小法廷は、自分自身に関する情報の開示や訂正を求める権利を保障する「個人情報保護条例」が、処分当時の兵庫県になかった事情を指摘。「そうした状況下では、情報公開条例に基づいて自分の情報の開示を求められれば、公開を拒否できないと解するのが合理的だ」との判断を示 した。

診療報酬1.3%下げ 薬価含め2.7%決着 政府・自民医療費圧縮達成へ indexへ

政府・自民党は17日、02年度の診療報酬の改定で最終調整をした結果、l.3%引き下げることで合意した。
診療報酬本体の引き下げは初めて。薬価と医療材料も1.4%引き下げ、合算した実質下げ幅は2.7%となった。これにより1800億円強の国庫負担が削減できる。02年度予算編成の焦点となり、概算要求段階から迫られていた医療費2800億円の圧縮問題は、高齢者医療など制度改正に伴う削減分と合わせ、達成できる見通しになった。
02年度の医療制度改革を患者、保険者、医療機関の「三方一両損」とし てきた小泉首相は、医療機関の収入源に切り込んだため、改革の形を一応 は整えた。しかし、当面の財政危機を回避するための対策にとどまっており、医療の質を高めるための診療報酬体系の 見直し、カルテ開示など情報公開の制度化や医療保険の一元化といった抜本改革は先送りとなっ た。
診療報酬は、年明けから診療行為ごとの点数の見直し作業に着手し、02年4月から新しい報酬体系で医療費が支払われる ことになる。報酬の引き下げは医療サービスの公定価格の引き下げを意昧し、医療機関の経営にはマイナス要素となる。医療費は国民の税金や保険料、患者負担で賄われているので、診療報酬引き下げは、全体として国民の負担減にもつなが る。
ただ、診療報酬のマイナス改定はシンボル的な 意味を持つに過ぎない、とも 言える。患者が増え、より高価な治療にシフトしたりすれば、医療費総額は膨らむことになる。
老人医療費の伸び率管理制度は、老入医療費の伸びに一定の目標値を設け、超過分は翌年度の診療報酬を引き下げてつじつまを合わせる仕組みで、今回の改革の目玉だった。
厚労省の改革試案で構想が明らかになると、医師会は反対キャンペーンの一番の標的に掲げた。
政府・与党が改革大綱の作成に向けて調整するなか、導入が見送られ強制力のない「指針」に格下げされた段階で、厚労省試案は抜本改革の照合を失ったとも言える。
高齢者を一律に経済的弱者とみなさず、所得に応じて応分の負担を求めるという改革の基本的理念も、厚労省試案が政府・与党大綱に変わる間に緩やかなものになった。またサラリーマン本人の患者負担を3割に引き上げる案は、自民党の反発で「必要な時」に先送りされ、03年4月実施を目指す政府との間で火種が残っている。
改革案の仕上がりは、現行制度の手直しにとどまった。厚労省試案でさえ、その「耐用期間」は「5年間程度」(同省幹部)とされてきたが、さらに寿命が短くなったことは間違いない。このままでは数年のうちに、患者負担増が繰り返されるのは必至だ。

製薬業界岐路に 迫られる生き残り策 中外製薬、ロシュ傘下入り indexへ

製薬業界の地殻変動が始まった。研究開発費用が増大する中、薬価制度に守られて世界で2番目の規模の日本市場に閉じこもりがちだった日本企業も、外資系企業との提携を含め、生き残りに向けた選択を迫られる時期を迎えている。ゲノム創薬などで研究開発費用は増大する一方 だ。新薬開発には1兆円を超える売り上げ規模が必要とされる。中外が口シュの傘下入りを決めたのは、国内10位で業績は堅調だが、海外展開の遅れていることが背景にある。各社とも米国での販売強化や画期的な新薬開発に力を入れるが、規模で劣る日本企業が個別に海外で展開するのは難しいためだ。 外資系製薬会社は、約6兆円規模の日本市場に向け、攻勢を強めている。国内大手を上回る数の医薬情報担当者(MR)をそろえる米系企業もあり、国内企業と合弁を解消して独り立ちするケースも増えている。世界12位のロシュも日本国内のシェアでは30位台と低迷しており、日本での売り上げ拡大は至上命題だった。来春には薬価が2年ぶりに引き下げられる見通しで、医薬品事業は厳しさを増す。大正製薬と田辺製薬は経営統合を撤回したが、世界市場で欧米勢と伍するには規模拡大が不可欠だ。世界の舞台をめざすのか、特定市場で生き残る道を選ぶのか。外資系企業が日本進出を強める中、日本企業に残されている時間はそう多くはない。

医薬品でカルテル 容疑9社排除勧告 indexへ

医薬品の値下げ幅をめぐり宮城県内の販売でカルテルを結んだとして、公正取引委員会は3日、東証1部上場のスズケン(名古屋市)やクラヤ三星堂(東京都)など医薬 品卸9社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで排除勧告した。
公取委は、薬価の引き下げに伴う顧客の病院や薬局からの値下げ要請に対抗する狙いがあった とみている。
ほかに勧告をうけたのは、バイタルネット(仙台市)、アスカム(同)、東邦薬品(東京都)など。
公取委によると、各社は00年3月、仙台市内で 役員らが集まり、東北地区の病院や薬局に医薬品を販売する際、値下げ率の基準を6.6%とし、さらに、既存の営業実績を尊重して顧客を奪い合わないよう申し合わせた。病院の種別ごとに6.6〜9%の範囲で細かく値下げ幅を決めたという。

止血器具腹に残す 東大移植チーム 火葬時に発見 indexへ

東京大学付属病院(東京都文京区)の組織移植チームが千葉県内の病院で死亡した女性から気管などを摘出する際、止皿に使う器具を腹の中に置き忘れたことが、29日わかった。
東日本組織移植ネットワークは、同チームに組織の提供を除く移植業務を来年4月まで自粛するよう要請した。
女性は50代で、9月上旬にくも膜下出血で入院。3日目に脳波が止まるなどしたため、家族が臓器提供の意思を示すカードを担当医に提示した。しかし、記載不備で提供を断念。翌日心停止後に、家族の意思だけで提供できる腎臓と皮膚などの組織を提供することにした。
翌日、心臓弁と気管、血管の提供を受ける東大移植チームが入院先病院に来た。
摘出の際、血管を押さえて止血する鉗子を腹の中に置き忘れた。鉗子は遺体を火葬する際に見つかったという。
さらに、感染症について調べるために気管の一部を切り取った検体を持ち帰るのも忘れた。
提供した家族は担当医を通じて、「臓器提供の意思を十分に生かせずに善意を否定されたばかりか、ずさんな手術をされ て許せない気持ちだ」と話しているという。

製薬大手11社の2001年9月中間決算 indexへ

14日出そろった製薬大手11社の今年9月中間決算は、増収増益企業が半数をこえる等、全般的に不調な製造業の中では堅調だった。薬価引下げがなかった上、円安高価で海外での売上が好調だったこと等が寄与した。医療制度改革等、将来には厳しい環境が予想されるが、来年3月期も武田製薬工業が国内製薬業界初の売上高1兆円を見込む等、当面は堅調維持を予想する企業が多い。
武田は糖尿病治療薬かヒット、米国子会社が黒字化の見通し。自社の医療用医薬品売上高の内海外比率が7割を越え、海外で売れる製品を持つ強みを発揮。エーザイも抗かいよう剤の売上高が倍増、藤沢薬品工業も免疫抑制剤が拡大した。

企業名
売上高
当期利益
武田薬品工業
5,105(7.7)
1,308(45.3)
三共
2,679(▼1.5)
200(▼19.1)
山之内製薬
2,202(7.5)
275(▼40.6)
エーザイ
2,109(20.6)
199(125.1)
塩野義製薬
2,038(1.3)
38(▼5.4)
第一製薬
1,649(6.1)
169(47.6)
藤沢薬品工業
1,631(16.4)
132(45.5)
大正製薬
1,400(▼1.2)
217(10.7)
三菱ウェルファーマ
1,375(2.6)
56(―)
中外製薬
1,082(6.2)
91(▼11.4)
田辺製薬
948(0.8)
82(―)
連結ベース。単位は億円。 カッコ内は前年同期比増減率%。▼はマイナス。― は前記が赤字。今年10月合併の三菱ウェルファーマは、旧ウェルファイドと旧三菱東京製薬〈単体〉の合算数値。

米セレラ、日本進出 ヒトゲノム解読先駆け年内、東京に法人設立 indexへ

世界に先駆けてヒトのゲノム(全遺伝情報)を解読した米バイオ情報会社、セレラ・ジェノミクスは、年内に日本法人を東京に設立する方針を明 らかにした。初の海外進出で、ゲノムをもとにした新薬づくり(ゲノム剣薬)を目指す日本企業との提携を広げるのが狙い。セレラの本格進出 は、立ち遅れが指摘される日本でのゲノム創薬の動きに大きな刺激を与え そうだ。
セレラは、米に次ぐ世界第2の医薬品市場であ る日本に照準を合わせ、すでに武田薬品工業、山之内製薬に、自社のデータベースの利用権を与えている。最近、日本での3社目と契約し、さらに数件の交渉が進んでいるという。こうした手ごたえから日本法人設立に踏み切ることにした。
またセレラは、自社の ゲノム情報をもとに、自ら創薬に乗り出す計画で、米国では11月半ばに、製薬ベンチャー企業買収を完了させる予定。このため、日本法人を拠点に、生命科学の研究が盛んなシンガポールをはじめ韓国、台湾などアジアの研究機関との共同研究も積極的に進める方針だ。

電磁波が機能阻害 メラトニンのがん抑制作用 indexへ

高圧送電線や家電製品から出る電磁波が健康に影響を与えるかどうかの問題で、国立環境研究所(茨城県つくば市)は細胞を使った実験をし、がん抑制作用を持つホルモン「メラトニン」が磁界 によって働きを阻害される、という結果を得た。同種の実験は海外に4例ある。実験は細胞レベルのもので、人体そのものが同じ影響を受けるかについてはなお研究課題として残されている。実験 結果は京都で開催中の日本生化学会大会で28日に発表される。
メラトニンは睡眠など生体リズムを形成するホルモンの一種で、がん細胞の増殖の抑制作用をもつ。この力が低下する と、各種のがん細胞の増加につながるという「メラトニン仮説」が87年提唱され、各国で研究が続 いている。
環境研の石堂正美主任研究員と兜真徳首席研究官らの実験では、まず磁 界感受性のある乳がん細 胞「MCF7」に人体と同じ濃度のメラトニンを加え、乳がんの増殖が抑制されることを確認。次に同じ条件でこのがん細胞を高圧線下や家電品など日常生活でも経験されるのと同じレベルのl.2〜4マイクロテスラと、やや強い100マイクロテスラの磁界に入れた。その結果、いずれの場合もメラトニンは細胞の中で抑制作用を低下させ、濃度によっては消失する例もあった。
メラトニンのがん抑制情報は・細胞膜の受容体 ・Gたんぱく質・酵素−の三つの伝達因子によってがん細胞内に伝えられる。
3囚子同士の連結部が遮断され、情報の伝達ができなくなった −という実験結果が得られたという。メラトニン仮説が国内で追試されたのは初めて。今回の実験結果は、人体への磁界の影響の評価方法を確立する上で、一つの手がかりになるといえそうだ。石堂研究員は「あくまで細胞レベルの反応なので、ただちに人体が同じ 影響を受けるとはいえない。しかし抑制作用が阻害されるメカニズムも判明してきた。磁界感受性のあるこの乳がん細胞をマウスに移植するなど、新たな段階につなげたいとしている。

WHO(世界保健機関)の下部機関・−ARC(国際がん研究機関)専門委員の宮越順ニ・京都大医学部助教授の話
「今回の実験は磁界に感受性のある特殊な細胞での現象で、他の細胞や動物実験では再現されていない。一般化してものを言うのは慎重でなければならない。ただ、欧米の実験の再現に成功したことと、がん抑制作用阻害いのメカニズムにまで踏み込んでおり、評価できる内容だ。

国立病院の事故報告83件 厚労省周知は3件 昨年度提出分担当課で判断 indexへ

厚生労働省が、全国の国立病院や療養所で起きた事故の報告を受けていたにもかかわらず、そのほとんどについて事故防止策を周知していなかったことがわかった。
昨年度に提出された事故報告書は83件で、全国の国立病院に注意を呼びかける通知を出したのはうち3件だけだという。
厚労省国立病院部によると、患者か死亡したり重い傷害を負ったりした事故を同省に報告する指針を、昨年9月に全国の国立病院と療養所に示した。担当の政策医療課では、報告書を課内で回覧し、「本省として対応すべき事故かどうか判断した」と説明する。
その結果、80件については、他の病院に注意を呼びかけることはせず、事故につながる要因など、根本的な対策を取るところまでは踏み込んでいない。
厚労省が、情報公開法 に基づく朝日新間記者の請求に応じて公開した83件の報告書は、ほとんどの記載が黒塗りされているが、例えば国立大阪病院などから提出された8件の報告書には、事故の関係者として医師免許を取って間もない「レジデント」や「研修医」の記載がある。
だが厚労省はこれらの事故原因を掘り下げた分析はしていない。
昨年11月、東京都新宿区の国立国際医療センターが、使い拾ての鉗子を再使用した結果、破損した一部が患者の体内に残った事故があった。使い捨て器具の再使用は海外では問題になっているにもかかわらず、厚労省は、「(器具の)取り扱い説明書に沿って使用する」とする通知を出しただけで、再使用問題は放置されたままだ。

人組織使った医療用具 安全強化策を法制化 厚労省方針 indexへ

ヒトや動物から採った組織を原材料にした医療用具などの安全対策を強化するため、厚生労働省は薬事法を改正する方針を固めた。
来年の通常国会への提案をめざす。医薬品に比べて遅れている医療用具の審査体制を充実させるねらいがある。
承認までの手続きや市販後も含めた安全対策を法制化し、提供者から患者までの迫跡が可能な仕組みもつくる針だ。
近年、再生医学の発展で、傷やかいよう治療のための培養皮膚、関節手術のための培養軟骨など、ヒト組織・細胞を利用した医療用具が開発されている。
英国の医療用具会社が日本での販売を目指して臨床試験(治験)に入るなど、今後商品化が相次ぐ見通しだ。こうした状況をうけて厚労省は今春、細胞・組織を採取する際には肝炎やHIV(エイズウイルス)などの病原体検査をして記録に残すよう求める基準をつくった。
同法改正で基本方針を定め、ヒト組織を使った製品をリスクごとに分類し、高リスク製品については迫跡可能な態勢づくりをめざす。
ヒト組織を使った医療用具をめぐっては、脳外科手術で硬膜を使用された患者がクロイツフェルト・ヤコブ病に感染したとして、訴訟にもなっている。
ヒトや動物由来の製品には、血液製剤やワクチンもあるが、薬事法上の「生物製剤基準」があり、国家検定で品質を点検してきた。しかし医療用具については長く基準がなかった。

抗がん剤の副作用で2人が死亡 indexへ

抗がん剤「カルボプラチン(商品名・パラプラチン)」を投与された国内の患者2人が昨年、副作用とみられる心筋こうそくや心不全で死亡していたとして、厚生労働省は31日、医療機関に配布する「医薬品安全性情報」に症例を記載して、医師らに注意を促した。
同剤は肺がんや卵巣がん、悪性リンパ腫などの治療に使われる。90年に発売され、年間で推定約5万7000人が使用。年間売上高は約80億円。同剤を販売するブリストル製薬(東京都新宿区)は同日までに、添付文書の「重大な副作用」の欄に、心筋こうそくなどを追加した。

医薬品副作用ネット公開へ 患者の目安に価格も厚労省方針 indexへ

厚生労働省は来年度にも、1万2千品目を超す医薬品の効能や副作用、価格などの情報を、インターネットを通じて広く社会に提供する方針を固めた。
1、患者が自分の薬について調べれば、副作用の初期症状にも気づきやすくなり、薬害を防げる。
2、医療制度改革で医療費の自己負担割合の引き上げが検討されており、同じ効き目でも値段が安い薬があると知ってもらうことで「価格志向」を促すの二つのねらいがある。
「医薬品総合情報ネットワーク」は、医薬品の適応症や用法用量、副作用▽発売後に判明した重い副作用▽飲みあわせの悪い薬▽ほかの病気にかかっていて、服用禁止となるケース▽新薬の承認状況、などを流す。
薬局で買える大衆薬についても使用上の注意などを掲載することを検討している。専門家向けの薬の添付文書などを、患者向けにかみ砕いて説明する文書もつくって、自己管理に役立ててもらう。
また薬の公定価格である薬価基準も掲載し、患者に薬を選ぶ目安としてもらう。薬は、最初に発売された「先発品」と、特許が切れた後にほかの企業が同じ成分で発売する「後発品」があり、後発品の薬価は先発品の4〜8割。
患者が、処方された薬と同じ成分で安い薬の方を選びたい場合は、医療機関に申し出ることになる。
業界団体が、ある高血圧治療薬で試算したところ、先発品を後発品に替えると薬剤費は1患者あたり年間4万4千円減る計算になった。
医療費の自己負担が現行2割のサラリーマンでは年間9千円の節約になり、3割負担の国民健康保険加入者の場合は年間1万3千円の節約になる。

輸入透析膜製品を回収 indexへ

米バクスター社から血液透析のための透析膜を輸人し、人工透析器を製造している「日機装」(東京都渋谷区)と「ジェイ・エム・エス」(広島市)は19日、この膜を使った製品の自主回収を始めた。
米バクスターがこの膜の自主回収を世界中で始めたため。厚生労働省は同日、深刻な健康被害が起こる可能性があるとして、日本の2社に回収の徹底を指導した。
対象となる透析器は、日機装[ホローファイバーダイアライザーCLシリーズ」(推計在庫量約2万本)とジェイ・エム・エス[JMS Tシリーズ」(同約1万本)。
スペイン、米国などで今年8〜10月、計約30人の腎臓病患者が透析治療を受けている最中や直後に死亡した。因果関係は分かっていない。

牛の腸使った手術用糸回収 indexへ

千葉県内に本社や工場がある医療器具製造会社3社が18日、ブラジルやフランス産の牛の腸から作られた手術用縫合糸の自主回収を始めた、と発表した。
厚生労働省の狂牛病対策を受けた措置で、約1400施設の医療機関などに納入された計約256万本が対象だがほとんどが使われているれとみられている。
自主回収を始めたのは同県関宿町に工場を持つアズウェル(大阪市)、日本腸線(千葉県我孫子市)、河野製作所(同県 市川市)の3社。

医療費2割負担の高齢者基準決まる indexへ

厚生労働省は11口、02年度に実施をめざす医療制度改革の中で、75歳以上の高齢者の医療費の自己負担割合(原則1割)について、2割に引き上げる対象世帯の所得基準案を決めた。
年金収入だけの一人暮らし世帯では年収約380万円以上が引き上げの対象になる。
会社役員などの夫と専業主婦の2人世帯だと、標準的な年金(月額23.8万円)収入と給与収入の合計が約630万以上となる。

輸血ミスで患者が死亡 新潟の県立病院 indexへ

新潟県上越市の同県立病院(阿部惇院長)で輸血ミスがあり、その後、手術を受けた中年の男性患者が死亡していたことが4日わかった。
患者の血液型は明らかではないが、A型とO型の取り違えで死亡した。
関係者によると、今年8月ごろ、同病院の医師が患者を検査していたところ、過って内臓に傷がつき出血が止まらなくなった。このため、緊急輸血をしたが、その際に皿液型を間違えたという。

武田薬品関連会社の薬価操作疑惑 罰金・和解金1050億円 indexへ

武田薬品工業は4日、同社の米関連会社「TAPファーマシューティカル・プロダクツ」(本社・イリノイ州)が前立せんがん治療薬の販売方法を巡って、米連邦政府などに対し、総額8億7500万ドル(約1050億円)の罰金と和解金を支払うことで米司法省と合意した、と発表した。
米司法省は、武田が開発した前立せんがん治療薬「リュープリン」を、TAPが医師に販売する際、無料のサンプルを配布し、そのサンプルを医師が保険請求して利益を得た、と認定。TAPは、医師が不当に利益を得ることを知りつつ、販売した疑いがあるとして捜査していた。
武田側は、訴訟を避けて、容疑を認めて和解することにした。
TAPは、刑事罰金として米連邦政府に2億9千万ドル、民事和解金として同政府と全州政府に5億8500万ドルを支払うという。
武田は「厳粛に受け止め、今後、各国の法規制の順守、企業倫理の徹底確認を図り、国際企業としての社会的責任を果 たす」としている。

横浜市大病院 執刀医ら5人有罪判決 横浜地裁患者取違えで初 indexへ

患者を取り違えて手術したとして、業務上過失傷害の罪に問われた横浜市立大付属病院の医師と看護婦の計6人に対する判決公判が20日午前、横浜地裁であった。田中亮一裁判長は執刀医ら5人に有罪判決を言い渡した。
患者に疑間を抱き、確認作業をした麻酔医は無罪だった。
患者取り違え事故で有罪判決が出たのは、全国で初めて。
判決は、同病院元第1外科部長で執刀医の高梨吉則被告が(罰金50万円、執刀医の冨山泉被告 (37)が罰金30万円、麻酔医の宮原宏輔被告(30)が罰金40万円(求刑は3人とも禁画1年6カ月)、看護婦の山口昌子被告(28)が罰金30万円、河埜陽子被告(36)が禁固1年執行猶予3年(求刑禁固1年)。麻酔医の芦田川美奈子被告(32)は無罪(同禁固1年6カ月)だった。
同病院では99年1月11日、肺手術をすべき男性患者(当時84)に過って心臓手術をし、心臓手術をすべき男性患者(同74)に肺手術をした。判決によると、河埜被告は手術室前の通 路で、山口被告に患者2人を続けて渡すように指示した。さらに患者名を確認せず、カルテを一緒に受け取らないなどミスを重ねたことから、最も過失が重いとした。山口被告も患者名をはっきり伝えずに引き渡した。
心臓の執刀医の高梨被告は、患者の心臓の状態が手術前の検診より良好だったのに、取り違えに気付かず手術した。
肺の 執刀医の富山被告も、患者の肺に腫瘤が見つからなかったのに手術を続けた。
宮原被告は、患者の背中に心臓の病気の治療剤(フランドルテープ)が張られていたのに、肺の患者と思い込んでテープをはがして麻酔をかけた。
芦田川被告は麻酔前の問診で患者の名前を呼び、疑問に思って電話で病棟に確認させ、周囲の医者にも相談するなど、注意義務を尽くしたとして無罪にした。周囲の医師が否定したことから、手術は続行された。
患者2人はその後死亡したが、同病院は「取違え手術との因果関係はない」としている。
判決後、被告の弁護人が記者会見し、富山被告の「患者と家族におわびする。市大病院の医療体制からすれば、いつか起こりうる事故だった。」とのコメントを発表した。河埜被告の弁護人は「控訴する方針だ」と述べた。

レセプトに薬剤名無記載 205円ルール廃止検討 厚労省 indexへ

医療機関が医療費の請求書(レセプト)を発行する際、205円以下の薬は薬剤名を書かなくてもよいとする「205円ルール」について、厚生労働省が廃止を検討していることか明らかになった。
実際にいくらかかっているか不透明だと の批判が根強いためで、同省は25日にも公表する医療制度改革の原案にルールの見直しを明記する。
医療機関が楽剤費を医療保険に請求するとき、通常なら薬剤名と投与量をレセプトに記載するか、患者1人の1日分の 薬剤費が205円以下なら薬剤名を省略できる。
医療機関の請求事務を簡素化するねらいで始まったルールで、現在では、医療機関が院内処方する薬のうち、約半分は無記載で請求されている。これに対して、薬剤の使い方か適正かどうかチェックするのに不都合だとして、健康保険組合連合会など保険の運営者側は、かねてルールの廃止を求めてきた。
これに対して医療機関側は、「不正請求の温床であるかのような指摘は不本意だ」 (日本医師会)と反発している。
秋以降、医療機関と保険者の代表で構成する中央社会保険医療協議会(中医協)で本格的議論となりそうだ。

ロボットを使っての米・仏間の遠隔手術成功 indexへ

【米国記事】 2001年9月20日 11:24 AM 更新  フランスの外科医療チームがビデオ/電気通 信技術を使い,ニューヨークからロボットを操作してフランス国内にいる患者の胆石を除去するという遠隔手術に成功した。手術に使われたロボットは音声命令で動く。手術室から送られてくる映像――画質はテレビと同程度――を見ながら手術を行える。このような遠隔手術技術はこれまでにも存在していたが,映像の送信と操作にタイムラグが生じるため,実際に行うことは難しかった。だが,今回のシステムではタイムラグは人間には感知できないまでに短縮されている。今後このような技術は戦地や開発途上国での複雑な手術やトレーニングに活用されることが期待されている。手術に使われたシステムを構築したのはComputer Motion。同社社長のRobert Duggan氏は「執刀医に知識がなくても,テクノロジーが正確な情報を伝えられる。多くの苦しみやトラウマが早急に取り除かれるようになり,命を救うこともできるだろう」と話している。なおこの手術にかかった費用は100万ドル。調査と実際の操作に当たったのはJacques Marescaux医師。同医師によれば患者の術後の経過は良好で,衛星通信で挨拶しあったそうだ。 (Reuters September 19, 2001 7:35 AM PT)

病院ボランティアに主婦ら450人が応募 国立成育医療センター indexへ

来春に開院する国立成育医療センター(500床、東京都世田谷区)で活動するボランティアを年末までの予定で募集したところ、希望者が多く、当初予定した200人〜300人を大きく超え、450人を上回った。
孤立しがちな患者と家族を、地域社会で支えていこうとする試みの輪が、子育てが一段落した主婦に広がっている。
センターは、高度な冶療や長期入院が必要な小児医療が柱の一つ。入院患者は全国から集まるが、子供が小さくても、家族は泊まり込めない。
ボランテイアは、同センターボランティア準備委員会とドナルド・マクドナルド・ハウス財団が募っている。準備委のボランティアは病院内で働く。仕事は面 会者の子供の預かり、患者への本の朗読など16種。100人〜200人の募集に対し、すでに150人が説明会に参加。85%が女性だ。
財団のボランティアの仕事は、病院隣に建設した患者の家族が泊まれる施設(40人収容、1泊1千円)の運営に必要な、受付、掃除、植木の手入れなど。
こちらは、100人の募集に対し、300人が既に面接を受けた。80%が女性で、ボランティア未経験者が90%を占める。準備委の募集締め切りは12月末。
間い合わせは 電話03-3414-8121(国立小児病院庶務課)。財団(03-3344-1232)は募集を中断している。

レセプト審査 民間に開放 診療報酬割引も 厚労省方針 indexへ

厚生労働省は、医療機関が発行する医療費明細書(レセプト)の審査を、特殊法人の社会保険診療報酬支払基金が事実上独占している現状を改め、健康保険組合など保険の運営者による直接審査を認める方針を決めた。
今年度中の実施を目指し、今月末に公表する医療制度改革の原案に明記する。
また、02年度以降には、保険の運営者と医療機関が個別契約を結び、治療行為の値段である診療報酬を割引できるよう、必要な見直しをすることも打ち出す。
健康保険や共済などサラリーマンの医療保険制度の加入者のレセプトは、医療機関から社会保険診療報酬支払基金に送 られ、そこで過剰請求の有無などの審査が行われる。48年の国の通知で、健保組合は基金に審査を任せることとされ、直接審査は事実上禁止された。
これに対し、健保組合や経済界は「チェック機能の強化の点から「通知」の廃止を要求。今年に入って、政府の経済財政諮問会議なども見直しの必要性を指摘した。
厚労省は、民間の審査事業者の参入も検討する。また、診療報酬の割引契約は、日本医師会は反対しているが、導入されれば、健保の加入者が決められた医療機関にかかった場合、治療費の総額や自己負担が安くなることになる。

高額療養費上限引き上げ 薬剤費負担は廃止 厚労省方針 indexへ

厚生労働省は02年度から、医療費の患者負担が一定限度を超えた時に、医療保険から払い戻しを受ける高額療養費制度の上限を引き上げる方針を決めた。
また、75歳以上の高齢者は、原則1割の患者負担を徹底。外来で月3千円か5千円となっている上限額を撤廃し、1回800円で月5回目以降ば無料となる診療所の定額制も廃止。75歳以上でも高額所得者は原則2制負担とする方針だ。
一方、自民党や日本医師会などからも批判が出ていた、薬剤費の一部患者負担は廃止する。 いずれも今月末に公表する医療制度改革案に盛る。
高額療養費制度は、長期入院などによる家計破たんを防ぐのが狙い。現行の上限は、月収56万円未満の人で月6万3600円。月収56万円以上の人は、今年1月、月6万3600円から月12万1800円に引き上げられた。
今回の案では、56万円以上の人は14万円程度に、56万円未満の人は、7万2千円程度に、それぞれ引き上げる方針だ。
ただし、健康保険組合などは、患者負担が一定額を超すと「付加給付」を支給しており、実際の患者負担は組合によって異なる。また、市町村民税が非課税となっている低所得者の上限は、現行の3万5400円のまま据え置く方針だ。

老人医療費上限超えは医療機関負担 厚労省報酬単価を操作 indexへ

厚生労働省は02年度からの創設目指す老人医費の総額を抑制する仕組みについて
1、高齢者の自然増や国民所得の伸び率をもとに上限額を設ける
2、実際の老人医療費が上限額を上回った分については、診療報酬の単価(1点10円)を操作し、医療機関が負担する−−との方針を決めた。
今月下旬に公表する予定の医療制度改革案に盛り込む。診療報酬は来年度、引き下げの見通 しで、医療機関にとっては二重の「痛み」となることから日本医師会など医療機関側の反発は必至だ。
抑制の仕組みは、国民所得の伸びを仮に1%ととした場合、老人医療費の自然増の伸びの4%と合わせて、5%の伸びを基 準に上限額を設定。老人医療費が10兆円なら、10兆5千億円を上限額とする。
実際にかかった老人医療費が10兆8千億円だった場合、超過分の3千億円について、老人医療費を請求した各医療機関に比例配分して負担してもらう。
診療報酬の操作方法は、翌年度の診療報酬請求時、通常は1点10円で 計算するが、老人医療費が上限を超えた場合、その額をかかった医療費で割って滅額率を決定。減額率が3%の場合、9.7円で計算する。
総額抑制の仕組みを02年度から導入すると実際の財政効果は04毎からでてくる。
同省が検討している医療制度改革案には、高齢者医療制度の対象を現行の70歳以上から75歳以上に引き上げるとともに、サラリーマンの自己負担を2割から3割に引き上げるなど、患者側の負担を強いる内容が合まれている。
健康保険組合など保険者も財政悪化に苦しんでいる。医療制度改革が、医療機関、患者、保険者の「三方一両損」(小泉純一郎首相)である以上、医療機関にも「痛み」を求めることが避けられないと判断。老人医療費についての診療 報酬の仕組みを改めることにした。
医療費は、年約30兆円。うち老人医療費が10兆円を占める。25年度には医療費は81兆円に増え、なかでも老人医療費は45兆円に上ると試算されている。過去10年の平均では、国民全体の医療費が5%の伸びだったのに対し、老人医療費は8%。そのうち4%は高齢化に伴う自然増分だが、残る4%分の中には無駄 があると同省は見ている。

蘇生治療用機器に欠陥 「フクダ電子」厚労省に報告 indexへ

医療用具メーカー「フクダ電子」(本社・東京都)は4日、心停止などの蘇生治療に使う電気ショック用機器に欠陥が見つかった、と発表した。同日、厚生労働省と千葉県に報告し、出荷した全国約1600の医療機関に連絡を始めた。
「監視除細動装置FC-560」で、充電回路の部品に欠陥があり、放電しなくなる恐れがあるという。
同社によると、納入先の病院が8月、手術中に心停止した患者に使用した際、1度目は放電したものの、2度目は放電せず、患者が死亡した例があった。
調べた結果、同県臼井市の事業所で90年12月から00年7月までに製造した2225台に、同様の欠陥が起こる可能性があることが分かった。

年収を比べてみれば indexへ

医療保険財政がひっ迫する中で、伸びが大きい高齢者医療費を中心に抑制しようという動きが強まっている。厚生労働省がねらっているのは医者のふところのようだ。
確かに、開業医は高額所得者だと考えられてきた。各地の税務署が公表する高額納税者の上位 には多くの開業医が登場する。脱税や不正請求で摘発されるところもある。
厚労省の医療経済実態調査(99年6月)から単純に計算すると、個人の一般診療所の利益は年間で平均2840万円。同省はこうした調査をもとに「サラリーマンなどの収入が伸び悩む中で、医者だけ高額所得というのでは、国民が納得しない」(幹部)と見ている。
しかし同省の実態調査の手法などをめぐって、日本医師会などは強く反発。大阪府保険医協会は昨年10月、これに対抗する形で税務署への申告をもとにした集計を行った。それによると、個人診療所の年間の利益は平均で1724万円と、厚労省調査より1千万円も低く出た。同協会によると、厚労省調査で把握できない小さい診療所も合めたためだという。
総務省の00年貯蓄動向調査によると、全世帯の平均年収は721万円。これと比べれば、やはり開業医は高収入だが、設備投資や専門性を考えると、どの程度が適正なのか。受け止め方は人によって異なるだろう。
開業医の台所事情は様々だ。良心的な医者もいれば「算術」にたけた医者もいるだろう。厚労省の実態調査でも、個人診療所の利益ば年間換算で赤字から1億円超と幅が広い。
開業医がもうけすぎかどうか、十把一絡げの判断はできないようだ。開業医の数は増えており、厚労省は今後、ますます医者が過剰になっていくとみている。日本の医療は公的保険で経費のほとんどが賄われている以上、「妥当な収入」の論議は深める必票がある。

職業 年収(万円)
開業医(個人診療所)(厚生労働省調査) 2,840
開業医(大阪付保険医協会調査)

1,724

勤務医(男) 1,442
薬剤師(男) 1,015
看護婦 722
一級建築士

1,158

製造業部長 1,268
金融・保険業部長 1,493
中央省庁事務次官 2,581
中央省庁局長 1,966
社会福祉・医療事業団理事長(元厚生事務次官) 2,407
注)厚生労働省2000年賃金構造基本統計調査(年令は50〜54歳、企業は社員1000人以上、特殊法人役員関係資料(00年8月1日現在)などによる。開業医は利益額

新薬治験に公費投入 indexへ

欧米と比べて遅れている国内の新薬開発を支援しようと、厚生労働省が大幅なてこ入れを始める。ソリブジン薬害事件を機に厳しく手続きが定められたために滞っている臨床試験(治験)を円滑に進める助成金や、未承認の化学物質などを患者に投与できる特例も検討する。製薬会社が主体となる沿験に公費が投入されるのは珍しく、来年度予算の概算要求に110億円を盛り込んだ。一時の半分に落ち込んだ臨床試験の質と量 を向上させたい考えだ。

背景には、画期的な新薬が出にくく、海外で通用しないと言われる日本の製薬企業に競争力をつけてもらうためにも、治験のレベルアップが必要だ、との考え方がある。
ずさんなインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)やデータ管理がもとで16人が死亡して問題になったソリブジン薬害事件後の97年、治験実施方法の大幅な見直しがあった。
この影響で、治験数は95年の約800件から99年の400件弱に激減している。
停滞の原因は・治験の実施基準が厳しくなり、きちんとしたインフォームド・コンセントに基づき被験者から文書で同意をとるなど規制が欧米並みになった・製薬企業からの「治験代金」が医師個人でなく大学に支払われるようになったため、治験の引き受け手が少なくなった、などとみられる。
厚労省は、被験者への説明、相談体制、膨大な検査データの管理などには人手や時間がかかるのに、国立大学病院などは、定員枠や予算配分が硬直化していることに着目。全国約60のチームに公費を補助し、治験の底上げを図る。
具体的には、がんや痴ほう、脳卒中などの疾病を研究する5人以上の医師チームにデータ管理などの専門スタツフの人件費などとして、年間約6千万円を補助。同一チームに製薬業界からも、会議費などを拠出するよう要請する。
また、開発を目指す薬と、その効果を比較するために使う偽薬などをそれぞれ偏りがないよう患者に割り振る「くじ引き試験」を実施するチームには、更に研究費を投入する。科学的信頼度が高く、欧米などでは実施されている。 されている。
また、画期的な新薬開発につながる可能性のあ る化学物質や菌などから作った化合物を、未承認薬として使う研究にも道を開く。製薬企業が医師らに未承認薬を提供することを禁止する薬事法などを見直し、・動物実験で安全性を確かめる・副作用を含めて説明し、同意をとる・研究計画を届け出る、等の条件付きで認める方針だ。

ぜんそく薬で消化管出血も 厚労省が注意促す indexへ

ぜんそく薬で消化管出血も 厚労省が注意促す 厚生労働省は23日、ぜんそく治療薬テオフィリン(成分名)」などを処方された患者が、副作用とみられる消化管出血で死亡した例があるとして、添付文書に「重大な副作用」として記載するよう製薬メーカーに指導するとともに、医療機関に注意を促した。
対象はテオフィリンのほか、アミノフィリン、コリンテオフィリン。計二十数社が、年間約300億円を販売。気管支炎や気管支ぜんそく、肺気腫、狭心症予防などに使われる。

高脂血症薬回収へ 武田薬品・バイエル 他薬併用で死亡例 indexへ

武田薬品工業と独製薬大手バイエルの日本法人は23日、医療用医薬品の高脂血症治療薬「セリバスタチン(成分名)」を自主回収すると発表した。バイエルは別 の高脂血症治療薬「ゲムフィブロジル(成分名)」との併用で死亡例や副作用が多発したため、今月初めから日本以外の世界各国で自主回収を始めていた。
国内では、厚生労働省が両社に安全対策を取るよう指導していた。国内では、ゲムフィブロジルは販売されていないため、併用の恐れはない。しかし、国内でセリバスタチンを使っている患者が海外でゲムフィブロジルを併用する可能性もあるため、両社は自主回収に踏み切った。両社は医療用医薬品の承認取り消しを申し出た。
セリバスタチンはバイエルが開発。武田は「セルタ」バイエルは「バイコール」の名称で発売した。

めまい薬を自主回収 武田薬品 17年間で2000億円販売でも薬効なし indexへ

武田薬品工業は20日、同社の医療用医薬品で、慢性脳血管障害患者のめまいや頭痛などの改善薬「カラン」の有効性が確認できなかったとして、自主回収を始めたと発表した。同じ成分を含む改善薬を販売していたほかの19社も同じく、自主回収するという。カランは、発売以来17年間で2千数百億円を売り上げ、昨年度は67億円だった。
旧厚生省が99年、効き目に疑問が持たれていた脳循環代謝改善薬について、一斉に再評価を指示。カランもその一つだった。武田はカランの主な薬効であるめまいの改善を確認するため、数百例の臨床試験をした。その結果 、カランが効いたと答えた患者は45%で、薬効のない偽薬が効いたと答えた患者の46%を下回り有効性が確認できなかつた。
武田は厚生労働省に医療用医薬品の承認を取り消すよう申し出た。武田はカランの成分をハンガリーの製薬会社ゲデオン・リヒターから技術導入。国内で臨床試験後、旧厚生省の承認を受け、84年3月に発売した。最盛期には年間約200億円を売り上げた。

特効薬効かないサルモネラ菌 国内初の患者確認 関西医大 indexへ

ほとんどすべての抗菌薬が効かない多剤耐性菌のサルモネラの患者が日本で初めて確認された。関西医大香里病院(大阪府寝屋川市)が、感染症学雑誌9月号に報告する。サルモネラは食中毒の原因として毎年多くの患者を出している。専門家は「下痢などの患者に漫然と抗菌薬を使っていると、患者の命を脅かすことになる」と指摘する。
昨年夏、下痢で衰弱した乳児が、同病院に運ばれてきた。血便が1日に10回以上も出るなど重症で、緊急入院した。同病院中央検査部の中矢秀雄主任技師がこの便から出た細菌サルモネラを調ベたら、切り札といえる二ューキノロン剤を合むほとんどの抗菌薬が効かない多剤耐性菌だった。唯一効果 があったホスホマイシンという薬を使ってこの赤ちゃんは命を取り留め、2週間後に退院した。赤ちゃんがなにから感染したのかは、分かっていない。
サルモネラは、食中毒の原因としてもっとも件数が多い。激しい血便が特徴で、死ぬ こともある。昨年は患者6908人のうち、1人が死亡した。治療には、一般的にニューキノロンを使うが、今回の菌は、この特効薬にも高度耐性だった。多剤耐性菌の登場には、ニューキノロンを含めた抗菌薬の使い過ぎなどの背景がある。
ニューキノロン耐性サルモネラは、これまでに、検体からの分離例が1例報告されているが、患者が確認されたのは初めて。中矢さんは「どんな薬が効くのか確かめながら治療方針を立てる必要がある」と話している。

国立感染症研究所細菌部の渡辺治雄部長の話


ニューキノロンは、細菌性下痢症の最後の治療手段といえる。この薬が効かない菌が広がると、大間題になる。耐性菌を増やさないために、切り札的な薬ば熟慮して使う必要がある。

高脂血症治療薬で厚労省が安全指導 indexへ

独製薬大手バイエルの高脂血症治療薬「セリバスタチン(成分名)」が、別の薬との相互作用で死亡例があるとして、日本以外の世界各国で自主回収されている。これを受け、厚生労働省は16日、日本で同薬を販売するバイエル薬品と武田薬品工業に対し、安全対策をとるよう指導した。
同薬は約80カ国で売られていて、国内ではバイエル製品が商品名「バイコール」、武田が「セルタ」として販売。国内の使用患者は約53万人と推定される。独バイエルは今月8日、別 の高脂血症治療薬「ゲムフィブロジル(成分名)」を併用した場合、横紋筋融解症などで死亡した例があるとして自主回収を決めた。しかし、日本では「ゲムフィブロジル」が未承認のため、日本を回収対象から除いていた。

医療評価機構発足5年 情報発信腰重い病院 indexへ

医療事故が相次ぎ、医療への不信が高まるなかで、病院についての情報不足を嘆く声が強まっている。日本医療機能評価機構の「認定」を受ける病院は、患者サービスへの前向きな姿勢が感じられる。それでも、この「通 信薄」を、一般の患者らに公開しているところはごくわずかだ。患者への情報提供を後回しにしてきた医療界の腰は重く、国民への情報発信を呼びかける建前論もかすみがちだ。二十七日、評価機構が生まれてまる五年がたつ。

認定終了も4%弱 認定書だけ掲示 「出るくい」恐れる 二十三日、東京都文京区の日本医師会館で、評価機構の「認定病院の集い」が開かれた。討論の司会を務めた日本病院会の中山耕作会長が、約二百五十人の病院関係者らに訴えた。
「病院は従来、閉鎖的で独善的だった。第三者の目で評価されることに慣れていない」
厳しい言葉の裏には、評価機構の認定を受けようとする病院が思うように増えない現状へのいらだちがにじんでいた。
評価機構は当初、毎年千病院が受審すると見込んでいたが、全国九千四百余の病院の中で、認定作業を終えたのは四%弱の三百四十九病院にとどまる。
病院の機能を評価する仕組みが、国民に知れ渡ったとは言い難い。認定病院がなかなか増えないから、制度の理解も広がらない。
この悪循環を断ち切るために、認定病院が、認定を受けたことをどうPRしていくか。 「集い」の主要なテニマの一つは、患者への情報提供だった。
講演した日本医師会の坪井栄孝会長は、「私は慣習にとらわれるものではない」と情報公開について前向きな姿勢を見せた。だが、「評価内容をすべて出した方が、いい医療だということであれば」と条件を付けたうえで「出すべきだ」と、慣重な言い回しだ。
続く四人の私立病院理事長らを呼んだ討論会では、さらにトーンダウン。
「評価内容を知らせるより、まず機能評価というものがあることを知ってもらうべきだ」「受け手の認識に応じて段階的に……」
積極的に公表していくことには及び腰のようだ。

朝日新聞が実施したアンケートで、評価機構の報告書を「公開している」と答えた東京都八王子市の私立病院を訪ねた「ロビーの電話ボックスわきに認定証が飾られ、すぐ下に閲覧の報告書がつるされている。A4判で二十九ページに病院側の感想が付されている。
担当者は報告書をめくって、看護ケアのある項目を指した。「*」印が二つ。五段階評価で下から二番目の厳しい評価だ。「悪く評価された部分も正直に出して、良くなるように継続的に努力しています。評価機構の審査を受けたあと、すぐに、看護婦らが症例査検討会を開くようになった。これまでに外部に渡したコピーは千部ほどだ。
報告書を公開していない病院の八割近くは、「審査検討に役立てるためだから」という理由を挙げる。といいながら認定病院に 交付される「認定証」だけは、院内に掲示している病院が少なくない。

作家の中島みちさんは、かつて病院評価に関する厚生省の検討会に参加し、現在も評価機構の評議員を務める。報告書を公開している病院が二四%であることについて、「少ないです ね」と声を落とす。
評価内容の公開は、検討会のころから大きなテーマだった。厚生省も当初、報告書の公開を真剣に考えていた。多くの患者が「口コミ」の情報に頼って病院を選んでいる日本で、貴重な情報になり得るからだ。
検討会では、報告「の公開義務付けも話し合われたが、外部から評価を受けること自体に消極的な医療側メンバーらの反発で 見送られた。
中島さんは、医療に対する国民の目が厳しくなっていることも、病院の判断に影響を与えているとみる。「報告書を公開すると、出るくいが打たれたり、トラブルのたねになったりしかねない、と病院は警戒しているのだろう」という。

日本医療機能評価機構の評価項目の例
・看護ケアの提供にあたって患者や家族が尊重されている。
・患者または家族に、診療について説明を行ない、同意を得ている。
・患者のプライバシーに配慮している。
・救急医療の体制が整備されている。
・在宅支援サービスが適切に行なわれている。
・医師の教育・研修体制が充実している。
・診療録の管理が適切に行なわれている。
・薬剤が適切に管理されている。
・感染防止対策が適切にとられている。
・非常用カードが整備され、すぐに使用できる状態にある。
・患者の医療事故防止への対応が適切に行なわれている。

  topへ