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脳卒中、地域でケア ノートで予後情報共有 indexへ

 脳卒中の治療を受けて退院した患者が、地域のかかりつけ医に通いながらリハビリ病院や救急医療機関で専門医らのチェックを受けられる地域連携の仕組みを、来年度から、厚生労働省研究班(主任研究者、峰松一夫・国立循環器病センター部長)がモデル事業として大阪府内で始める。これまで各医療機関がバラバラに持っていた患者の情報を統一し、患者ごとに「脳卒中ノート」をつくる。かかりつけ医の診断が「適切かどうか不安」との声も多く、こうした実態の改善を目指す。
 大阪府の豊中市、吹田市などでつくる「豊能二次医療圏」の25病院がつくる「回復期リハビリテーション病院連絡会」が実施する。この医療圏は国立循環器病センターや大阪大学付属病院など、脳卒中患者を多く診る救急医療機関を抱える。
 脳の血管が血の塊で詰まる脳梗塞(こうそく)や脳出血などの脳卒中を発症した患者は、まず救急医療機関で専門的な治療を受ける。さらに、手足などにマヒが残れば回復期のリハビリ病院に転院し、退院後は自宅から内科医などのかかりつけ医に通うケースが多い。症状の悪化などがなければ、救急医療機関に定期的に通いにくいのが実情だ。
 今回の事業では、まず救急医療機関の主治医が「地域連携クリティカルパス」という共通の用紙に、患者の合併症や既往歴、リハビリの内容などを記載し、転院先に渡す。同時に、患者にも「脳卒中ノート」を渡す。
 脳卒中ノートには、かかりつけ医などが診察のたびに治療の経過を記入していくほか、患者自身も日常生活の様子などを記入する。患者はこのノートを持ち歩き、定期的に救急医療機関で再発の兆候がないか検査を受けたり、リハビリ病院で、マヒの程度が強まっていないかどうかを確認したりする。
 同連絡会が昨年、自宅に戻った患者68人を訪問調査したところ、7割が「身の回りの動作を自分でできる」程度に回復していた。一方で、8割近くが「生活の質はよくない」と回答しており、専門医によるケアが受けにくいことへの不安を訴えていた。
 国は昨年末の医療制度改革で、脳卒中などの地域医療連携体制の整備をうたっており、今回の取り組みは、専門医とかかりつけ医との情報共有を目指している。
 この事業を進める国立循環器病センターの長束一行医師は「地域の病院が連携して患者を診る態勢を整えれば、患者も安心できる」と話している。

インフルエンザ予防接種、副作用102人 昨年度 indexへ

 インフルエンザの予防接種を受けたあと、副作用とみられる症状を起こしたと昨年度に報告があったのは102人にのぼることが、28日まとまった厚生労働省の「医薬品・医療機器等安全性情報」でわかった。
 調査は、全国の医療機関などから薬事法に基づいて集まった報告をまとめた。最も多かったのは肝機能障害の14件で発疹11件、ショック症状10件、発熱10件などと続いた。年齢別では10歳未満が33人で最も多く、10代が13人、40歳代が12人と続いた。
 また、10代、70代、80代の女性3人は、予防接種後に肝不全や脳炎になり死亡したが、同省の専門家検討会が因果関係を認めたものはなかった。
 症状が回復せず後遺症となったのは4人おり、予防接種との因果関係が認められたのは、10歳未満の女性のみ。接種後に潰瘍(かいよう)ができ、傷跡が消えないという。そのほかの3人は脳症や脳脊髄(せきずい)炎などになった。

お産の事故に「保険」制度 産科医不足解消ねらい厚労省 indexへ

 厚生労働省は、出産に伴う医療事故の被害者を救済する制度の創設に乗り出した。「無過失補償制度」といい、産科医の過失が認められなくても、障害を負った赤ちゃんや親に補償金が支払われる「保険」だ。過酷な勤務や訴訟リスクなどから進む深刻な産科医不足を解消する狙いもある。日本医師会も制度導入を訴えているが、補償の財源をめぐる考え方などに同省と日医との間に隔たりがあり、実現までには曲折もありそうだ。
 厚労省研究班の調査によると、出生数2000人あたり1人以上に脳性まひが発生している。医療事故には、日医の医師賠償責任保険などがすでにあるが、適用には医師の過失認定が必要。民事訴訟で争うと長期間かかるうえ、認定されれば賠償額が数億円に及ぶこともあり、産科医のなり手が不足する一因と言われている。最高裁のまとめでは、産婦人科医1000人あたりの04年度の医療事故訴訟件数は11.8件。次に多い外科は9.8件、内科の3.7件などと比べ圧倒的に多い。
 厚労省によると、医療機関に勤める医師の数は毎年3、4000人増えているが、産科と産婦人科の医師数は約1万600人(04年)で、10年前より約800人減った。
 そこで、厚労省は、産科医不足解消の「切り札」として、補償制度の創設を目指すことにした。年内に制度の大枠をつくる方針で、自民党と協議に入った。
 この制度では、日医が8月、独自案を作成。体重2200グラム以上、34週以上で生まれ、出産時の脳性まひで障害1〜2級と診断された赤ちゃんを救済する。生後5年までに一時金2000万円を支払い、その後の介護費用などを年金形式で支給する内容。財源は、脳性まひの発生数などから年間60億円と算定し、制度を維持するには公費支出が不可欠としている。
 これに対し、厚労省は公費支出には否定的だ。「医療行為はあくまで医師と患者との民間契約」(同省幹部)との立場で、医療機関中心の負担を検討している。このほか、救済対象を重度の脳性まひに限定するのか、制度運営をだれに任せるのか、他の障害者への補償制度とのすみ分け、などを詰めている。
 同省研究班の04年度の試算によると、救済対象を軽症の脳性まひまで広げ、民事訴訟の補償額を参考に算定すると、必要な財源は年間約360億円。産科医が出産1件につき2万円の掛け金を負担し約220億円を工面、残り約140億円を公的補助などでまかなえば運営できるとした。
 研究班の岡井崇・昭和大教授(産婦人科学)は「きちんとした制度をつくらないと、絵に描いた餅になり、元通り民事訴訟による解決に頼らざるを得なくなる」として、性急な制度創設の動きを批判。慎重な議論が必要だと訴えている。

注射器で動脈に傷? 70歳男性死亡 富山赤十字病院 indexへ

 富山赤十字病院(富山市)は28日、入院中の男性患者(70)の検査中に、男性医師(30)が誤って注射器の針で胸の動脈を傷つけたとみられる事故があり、患者が27日に死亡した、と発表した。病院側は男性の遺族に謝罪し、県と県警富山中央署に届け出た。同署は業務上過失致死の疑いがあるとみて調べている。
 青木周一院長によると、患者は狭心症で11日から入院していた。26日午後4時ごろ、呼吸器内科の医師が検査のため注射器で胸膜にたまった水を抜いた後に男性が胸が痛いと訴え始め、検査の約3時間後に一時心肺停止に陥ったという。同病院は同10時ごろ緊急手術を実施、左肋間(ろっかん)動脈からの出血を確認し止血したが、男性は27日午後、多臓器不全で死亡したという。
 青木院長は28日記者会見し、「出血に気がつくのが遅れたことが問題だった」と説明した。
 同病院では今月1日、入院していた意識不明の患者に医師が人工呼吸器を再装着する際にスイッチを入れ忘れ、7〜8分間心肺停止になる事故があったばかり。

都、ぜんそく医療費助成へ ディーゼル排ガス汚染 indexへ

 東京都は、ぜんそくの主な原因物質を排出するとされるディーゼル車のメーカー各社とともに、都内のぜんそく患者を対象に、医療費の一部を助成する独自策を新設する方針を固めた。都などによると、自動車メーカー各社は都が救済策をつくれば財源の一部を負担する考えを示しており、都は近くメーカー各社と協議に入る。川崎市はぜんそく患者の医療費助成制度を始めているが、メーカー各社が財源を負担する制度ができれば全国で初めて。被害者救済の新たな枠組みを創出することになる。
 都内の患者らが国と都、自動車メーカーなどを相手取った「東京大気汚染公害訴訟」の1次訴訟の一審判決は、国や都に対し、幹線道路近くに住む原告についてのみ賠償を命じたが、メーカーに責任はないとした。同訴訟の控訴審は28日に結審するが、都は「このまま裁判が続いても抜本的な解決にはつながらない」と判断。原告に限らず、年齢制限なども設けず助成の対象にする。
 今年度中に助成の条件を決め、早ければ来年度にも実施したい考えだ。
 同訴訟の原告は「メーカーが加わるのは原告が求めていた救済策そのもので、画期的内容だ」と評価している。
 都などによると、助成にあたっては症状を過去にさかのぼって調べる。さらに、居住地や勤務先が幹線道路にどれだけ近いかなどを考慮し、排ガスの有害物質との因果関係があると認められたぜんそく患者には、今後必要な通院費など治療費の一部を助成する方針。助成の割合などは今後検討する。助成は新制度成立後の治療費が対象で、死亡者は対象外になる。
 都内には少なくとも約16万人のぜんそく患者がいるとされ、都の試算では、助成費は年間数十億円にのぼるという。
 1次訴訟の一審判決後、国と原告は控訴したが、都は「排ガス規制の強化と被害者救済が行政の必要な使命」として控訴しなかった。ただ、控訴審の被告として残っている。
 東京都の石原慎太郎知事は初当選した99年から「ディーゼル車NO作戦」を掲げ、大気汚染対策に取り組んできた。知事の呼びかけで03年秋から、首都圏の1都3県でディーゼル車規制が始まり、排ガス対策をしていないディーゼル車の走行が禁止された。

糖尿病にかかるとがんリスク3割増 厚労省研究班調査 indexへ

 糖尿病にかかっていると、がんを発症する危険が2〜3割高まるとする結果を、厚生労働省の研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)が約10万人を対象に調べた研究からまとめた。米国の内科学専門誌で26日に発表する。
 90年から94年にかけて、40〜69歳の男性約4万7000人、女性約5万1000人にアンケートし、糖尿病の有無や生活習慣などを聞いた。その後の経過を03年まで追跡すると、男性で3907人、女性2555人が何らかのがんにかかっていた。
 糖尿病になっていた人ががんを発症するリスクを糖尿病でない人と比べると、がん全体では男性で27%、女性でも21%上回っていた。男性では、糖尿病の人はそうでない人と比べて肝臓がんで2.24倍、腎臓がんで1.92倍、膵臓(すいぞう)がんで1.85倍とリスクが高まっていた。女性では肝臓がんで1.94倍、胃がんで1.61倍だった。
 一般的な糖尿病では、病気が進む過程でインスリンが過剰分泌状態になる。この状態だと、細胞の増殖が刺激され、がんにつながりやすいことが実験で知られている。ただ、肝臓がんを招く慢性肝炎などを抱えていることが、逆に、糖尿病の危険を高めている可能性も考えられるという。
 津金さんは「糖尿病につながる肥満や運動不足、喫煙といった生活習慣を改めることが、がんの予防にも役立つ」と話している。

高齢者の2割「薬7種類以上」 外来で処方 indexへ

 病院や診療所の外来で、お年寄りの2割以上が7種類以上の薬を処方された「多剤投与」だったことが厚生労働省が発表した05年の「社会医療診療行為別調査」でわかった。前年に比べ0.4ポイント増えており、「薬漬け」医療の是正が進まない実態が浮かび上がった。
 05年6月審査分の政府管掌健康保険、健康保険組合、国民健康保険の診療報酬明細書(レセプト)約38万枚を抽出して分析した。
 調査時点で老人保健制度の対象だった72歳以上のお年寄りのうち、病院、診療所で7種類以上の処方を受けたのは、20.4%(前年は20.0%)に上り、10種以上処方された人も6.9%いた。72歳未満の人(若者を含む)の「多剤投与」が8.7%だったのに比べ、高齢者の割合の高さが際だっている。
 「多剤投与」は好ましくないとして診療報酬で減額措置がとられているが、抑制効果は上がっていない。
 全体の医療費に占める薬代の割合(薬剤比率)は前年比0.5ポイント増の22.1%。老人医療では22.8%(前年比1.1ポイント増)だった。

誤照射医師ら書類送検へ 業過致死容疑 和歌山男性死亡 indexへ

 和歌山県立医科大付属病院(和歌山市)で03年、がん治療の放射線を過剰に照射された患者が8カ月後に死亡した医療事故で、和歌山県警は22日、過剰照射が死亡の原因だった疑いが強まったとして、照射を指示した同大助教授の男性医師(48)と放射線技師ら数人を業務上過失致死容疑で書類送検する方針を固めた。県警や放射線医療の専門家によると、照射ミスの刑事責任が追及されるケースは「聞いたことがない」という。
 放射線の照射ミスによって、患者が死亡したり障害が確認されたりした例は、同病院以外にも、少なくとも全国の7病院である。照射ミスが相次ぐ背景には、医療機器の飛躍的な進歩で機器管理が複雑化する一方、対応できる医師や技術者が不足している実情があるといわれ、今回の書類送検は、照射ミス防止の環境整備にも影響を与えそうだ。
 和歌山西署の調べでは、助教授らは03年9月19日と22日の2回、初期の下咽頭(いんとう)がんで入院中の男性患者(当時70)の患部に放射線を照射。その際、本来は1回分の照射量が2.5グレイだったのに、過って2回とも10グレイを照射した。助教授が間違った照射量を機械に入力し、技師らも見逃したという。
 記録を見た別の技師が過剰照射に気づき、病院側が患者に事情を説明。患者は退院後、通院治療を受けていたが、04年3月に再入院。同5月に下咽頭にできた潰瘍(かいよう)から大量出血して死亡した。
 同署と県警捜査1課は、助教授や技師から事情聴取。さらに専門医に鑑定を依頼して、死因を詳しく調べた。その結果、照射量を機械に誤入力した助教授と、誤った数値を見逃した放射線技師らの「過失の競合」によって過剰照射が起き、それで生じた潰瘍からの出血によって患者を死亡させた疑いが強まった、と判断した。
 死亡した患者の長男(45)は「家族には退院時、誤照射の説明はなく、死亡後に初めて知らされた。退院させずにきちんと治療していれば、もう少し長生きできたはずだ」と話す。長男ら遺族4人は05年10月、約5100万円の損害賠償を求める民事訴訟を和歌山地裁に起こし、今年5月に大学が3750万円を支払って謝罪することで和解が成立した。
 事故発覚後、病院は医療事故調査委員会で内部調査を実施し、「過剰照射によって潰瘍ができた可能性は高い」との調査結果をまとめた。それを受けて大学側は05年2月、助教授を訓告、上司の教授や放射線技師ら4人を厳重注意にした。

ALSへの脳梗塞薬投与、保険適用を要望 indexへ

 神経細胞を破壊し、筋力が衰える難病の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)に効果があるとされる脳梗塞(こうそく)薬「エダラボン」の保険適用を求め、患者団体「ALSを考える会」(石川みよ子代表)は22日、20万1722人分の署名とともに要望書を川崎厚労相に出した。
 同会によると、国内のALS患者は約7000人で、発症から5年後の生存率は20%程度。エダラボンは保険適用外のため、自己負担額は年間120万〜300万円にもなるため、大半の患者が投与を受けられないでいるという。

骨髄ドナー、辞退相次ぐ 「適合」後に負担痛感 indexへ

 骨髄バンクが91年に発足して以来の悲願、「ドナー登録30万人」が近々達成されそうなのに、移植が思うように進まず、待機患者も増え続ける事態が起きている。白血病を題材にした小説や映画の大ヒットなどでドナー登録は急増しているが、移植可能な患者が見つかっても、「仕事があって行けない」などと断るケースが多いのが大きな理由だ。骨髄移植推進財団は「30万人」の見直しも含めて検討を始める。
 骨髄移植は白血病や悪性リンパ腫などの治療手段。ドナーの白血球の型や遺伝子を調べ、移植が可能な患者が見つかれば同財団などが仲介する。「30万人が登録すれば、患者の9割以上にドナーが見つかる」と、登録を呼びかけてきた。
 サッカー元日本代表の井原正巳さんや、急性骨髄性白血病で亡くなった歌手の本田美奈子さんを起用したCMやポスターが反響を呼んだ。「世界の中心で、愛をさけぶ」「半落ち」など、白血病や骨髄移植を扱った小説や映画が話題になったことでも関心が高まった。
 また、昨年から登録年齢を20〜50歳から18〜54歳に広げたほか、ドナー登録時に家族の同意を不要にするなど手続きを簡略化した。04年度までは年間の新規登録は1万1000〜2万6000人で推移してきたが、昨年度は4万5000人超。今年8月末の累計は25万7104人になり、来年度の目標達成は確実だ。
 一方、財団などの仲介で移植を受けた患者は、今年8月までに7650人に上る。しかし、新たな患者も登録され続けており、現在、移植を待っている患者は3000人を超えてこれまでで最大規模だ。制度が浸透した面もあるが、右肩上がりが続いている。
 財団によると、05年度に「適合通知」を受け、移植に前向きな姿勢を示したドナーでも半数が断念した。健康以外の理由が6割を占め、「家族の同意が得られない」「仕事などで都合がつかない」などが多く、不安になって登録を取りやめる人、連絡がつかない人も目立ち、移植をしたのは約900人だった。患者全体から見ると、移植を受けられたのは36%にとどまっている。
 財団は「善意で協力してくれるのだが、最近は軽い気持ちからドナー登録する人が増え、本当に提供する意思があるのか読み切れない。30万人を超えても安心できない」と困惑している。
 提供を断る人が多い背景には、登録時の血液検査の方法が変更された事情もある。これまでは白血球の型で分類していたが、昨年3月から遺伝子まで見る精度の高い検査方法に変えた。財団は新しい検査で登録した人を優先的に提供リストの上位にすえているため、同じ人が何度もリストアップされるなどのケースが出ている。
 NPO法人「全国骨髄バンク推進連絡協議会」(東京都新宿区)には、ドナー側から「一度断ったのに、何で私ばかりに何回も来るのか」、患者側から「適合するドナーが20人いたのに断られた」など戸惑いの声が寄せられている。 30万人の目標などについて、財団は10月に有識者の検討会議を設置。来年1月をめどにドナー登録のあり方を抜本的に見直す方針だ。財団の正岡徹理事長は「目標登録数を増やすことと、ドナーの質を上げていくことを総合的に考えたい」と話している。

 〈骨髄移植〉 白血病や再生不良性貧血などの患者の骨髄液を提供者(ドナー)のものと入れ替え、正常な血液をつくる機能を回復させる治療法。ドナーの腰の骨から注射器で骨髄液を採取し、患者に移植する。患者とドナーの白血球の型(HLA)が適合しなければならない。ドナー登録は献血ルームや保健所などで採血すればできるが、骨髄提供には3〜5日程度の入院が必要なため、財団は会社などに休暇を取りやすい制度の導入を働きかけている。

出生数6カ月連続増 出生率、昨年上回る可能性 indexへ

 7月に生まれた子どもの数(出生数)は9万6048人で昨年同月より3032人多く、6カ月連続で前年同月を上回ったことが、厚生労働省の人口動態統計の速報でわかった。6カ月連続増は94年以来12年ぶり。今年後半もこのペースを保てば、一人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は、過去最低だった05年の1.25を上回るとみられる。
 1月から7月の出生数の総計は64万5303人。前年同期より1万4650人(2.3%)増えた。今年1〜7月に結婚したカップル数は43万5491組で、前年同期より1万3972組(3.3%)増えた。
 94年は、1月から13カ月間続けて出生数が前年同月を上回り、出生率は前年より0.4高い1.50だった。93年に皇太子さま、雅子さまのご成婚があり、結婚するカップルが増えたことが原因とみられている。
 今回は、結婚するカップル数が、男性の雇用者数が前年同期を上回った05年6月ごろを底に増加傾向に転じており、これを追うように出生数も増加傾向に転じた。
 厚労省人口動態・保健統計課は「景気や雇用の改善がカップルの結婚・出産を促している」とみている。

受精卵診断で2組出産 慶応大、初の学会承認例 indexへ

 慶応大学の吉村泰典教授らは、体外受精させた受精卵のうち遺伝子異常のないものだけを母親に戻す受精卵診断を4組の夫婦に実施して、うち2組が出産したと、21日、長野県軽井沢町で始まった日本受精着床学会で報告した。日本産科婦人科学会(日産婦)の手続きに従った受精卵診断では、初の出産例だ。
 吉村さんによると、受精卵診断を受けたのは、遺伝的にデュシェンヌ型筋ジストロフィー病の子どもが生まれる可能性の高い4組の夫婦。遺伝子に異常のない受精卵を計7回、母親の胎内に戻した結果、2組が今年3月と6月に出産した。デュシェンヌ型筋ジスは筋力が徐々に低下する病気で心臓や肺の機能にも障害が広がり、若くして命にかかわる。
 日産婦は04年7月に、国内で初めて慶応大の受精卵診断の申請を承認。以降、20例の申請があり、慶応大の計6例、名古屋市立大の1例を承認している。ほかに、日産婦の手続きを経ず、習慣流産を防ぐなどの目的で受精卵診断を行い、出産した例もある。
 日産婦倫理委員会の委員長も務める吉村さんは「今回、学内と学会の審議で合わせて約1年かかった。反対もある以上、丁寧に合意を得る努力が必要な一方、子どもを望む人にとって1年が長すぎる場合もある。半年ほどで審議が終わるシステム作りを目指したい」と言っている。

透析患者8人がB型肝炎に感染 京都・山科の病院 indexへ

 京都市山科区の洛和会音羽病院(松村理司院長、698床)で、腎臓病のため人工透析を受けていた患者8人が同時期にB型肝炎ウイルスに感染していたことがわかった。5人が入院したが、いずれも病状は安定している。集団感染の疑いがあり、同病院と京都市が原因を調べている。
 同病院によると、8月24日に男性患者1人が体のだるさを訴えたため血液検査したところ、B型肝炎ウイルスに感染していることがわかった。さらに、同日から1週間に透析患者に実施した定期の感染症検査で男性4人と女性3人がウイルスに感染していることが判明した。同病院では毎月、透析患者に血液検査を実施しているが、8人は7月まで異常はなかったため、同時期に感染したとみられる。
 市は今月11日に病院から通報を受け、透析室の調査や病院関係者への聞き取りを実施。感染経路を含めた原因の解明などを指導したという。
 同病院の北岸智志管理部長は「現在、原因を究明しているが、仮に院内感染であれば申し訳ない」と話している。

ジェネリック医薬品、医師の7割が信頼性に「?」 indexへ

 新薬の特許が切れた後に同じ成分で開発され、価格が安く抑えられた後発医薬品(ジェネリック医薬品)について、日本医師会は、医師の約7割が「使用に慎重あるいは懐疑的な意見を持っている」とする調査結果を発表した。日医は「現場での信頼性が確立されているとはいえない」として厚生労働省などに問題点を訴えていくという。
 5月末から7月、ホームページを通じて後発品の品質や効果について会員の意見を募り、約580人から回答があった。
 後発品の「効果」について尋ねたところ、有効回答154人のうち「問題なし」との答えが31%だったのに対し、「問題あり」は69%。「品質」(有効回答104人)についても54%が「問題あり」とした。「安定供給」(同89人)については7割が、副作用や安全などの「医薬品情報提供」(同116人)については8割が「問題あり」と答えた。
 後発品は開発費がほとんどかからないため、価格は新薬の2〜7割。厚労省は医療費抑制のため利用促進を打ち出し、4月に規制が緩和され、市場参入が相次ぐなど使用が広がっている。

脳卒中、短時間で見抜き搬送 救急隊員らに講習会 indexへ

 脳の血管が破れたり詰まったりして起きる脳卒中を素早く見抜けるよう、救急隊員や医師を訓練するプログラムが、今秋から動き出す。発症から3時間以内に使えば威力を発揮する新薬が昨秋から使われ始め、患者の命と脳機能を救うには「時間との闘い」が今まで以上にカギを握るようになったからだ。がん、心筋梗塞(こうそく)と並ぶ日本人の3大死因の一つ、脳卒中の初期治療の充実に、関係学会が力を合わせて挑む。
 脳卒中による死亡者は、05年に約13万3000人。しかし専門医によると、現場の救命士らが症状を見抜けず、治療態勢のない病院に運ぶなど、不適切な搬送がしばしば起きているという。また、昨秋に保険適用された新薬「tPA」は、脳卒中の多くを占める脳梗塞の特効薬で、点滴で脳の血管に詰まった血の塊を溶かす。劇的に改善する患者も多いが、危険な副作用もあり、使える病院や専門医は限られている。
 日本臨床救急医学会と日本神経救急学会は、現場での最初の判断が重要とし、救命士向けの訓練プログラム「脳卒中病院前救護」のガイドラインを11月につくり、出版する。これに基づいてインストラクターが各地で講習会を開く。
 ガイドラインでは、脳卒中を見分けるポイントとして、意識障害の診断法をはじめ、体の麻痺(まひ)や眼球の動き、瞳孔の観察方法などを示す。
 作成の中心になっている埼玉医大総合医療センターの堤晴彦教授は「意識不明の人をすべて脳卒中対応病院に運ぶとパンクする。現場での適切な判断力が、救える命を増やす力になる」と話す。
 若手医師を対象にした訓練プログラム「脳卒中初期診療コース」は、日本救急医学会が監修して富山大の奥寺敬(ひろし)教授らが開発した。10月、東京で開かれる同学会総会での養成セミナーを皮切りに、各地で講習会を開く。内容は、実際の症例をもとにした患者10人分のシナリオを使ったロールプレイング方式で、患者到着から検査、治療、全身管理など、診療のイロハが身につくという。
 奥寺教授は「寝たきりになる原因の4割が脳卒中なのに、医学教育で学ぶ機会は少ない。夜間当直が多い若い医師に、しっかりした力をつけてもらいたい」と話す。

臍帯血で輸血用赤血球量産 理研グループが新手法 indexへ

 赤ちゃんのへその緒に含まれる血液、臍帯血(さいたいけつ)で輸血用の赤血球をつくる新手法を、理化学研究所の中村幸夫・細胞材料開発室長らのグループが開発した。培養に際して感染症などの心配がある動物細胞を使わないため、安全性などを確かめれば血液の大量生産につなげることができそうだ。17日付の米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジー電子版で発表する。
 血液成分のうち、酸素を運ぶ赤血球は、骨髄などにある造血幹細胞からもとになる赤芽球の細胞ができ、その細胞核が失われて赤血球になる。臍帯血には造血幹細胞が豊富に含まれている。
 中村さんらは白血病患者の治療のための臍帯血バンクの協力を得て、提供された臍帯血中の造血幹細胞を、血管内皮細胞増殖因子など人工合成した複数の生理活性物質を入れた培地で培養。造血幹細胞1個から70万個の赤血球をつくる手法を確立した。
 従来の研究では、培養過程でマウスの細胞を使う必要があった。今回は人工合成培地なので、大量生産や品質管理の面で産業化しやすく、動物細胞からの感染症の心配もないという。
 〈中内啓光・東京大医科学研究所教授の話〉 核が失われて赤血球に成熟する過程は、全容が解明されていない。今回の手法開発はこの仕組みを知る手がかりにもなる。受精卵などからつくる万能細胞の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)からの血液づくりにも応用できる技術だ。

帝王切開、なぜ増える 20年で1.6倍に indexへ

 秋篠宮妃紀子さまが6日、帝王切開で悠仁(ひさひと)さまを出産した。厚生労働省の抽出調査に基づく推計では、この20年あまりで国内の帝王切開件数は約1.6倍に増えた。全体のお産数は約2割減っており、帝王切開が占める割合は7%から15%に上がった。背景には、初産の高齢化でリスクの高いお産が増える一方、経膣(けいちつ)分娩(ぶんべん)(いわゆる自然分娩)での予期せぬ事態を避けたい医療者側の思惑があるようだ。
 千葉県の主婦細田恭子さん(41)は3人の女の子を帝王切開で産んだ。長女と次女のときはいずれも経膣分娩の予定だったが、陣痛が弱いなどの事情で急きょ切り替えられた。「事前に調べる時間もなく、準備も知識もなかった」という。
 帝王切開には、紀子さまのように母子の状態によって計画的に行う場合と、経膣分娩に時間がかかりすぎるなどして急きょ行われる場合がある。母親の意識を残す局所麻酔が多く、最近は術後の見た目を考えて、おなかを横に10センチほど切るケースが増えている。入院は10日から2週間程度。5日ほどで退院する経膣分娩よりは長くかかる。
 部分前置胎盤や骨盤位(逆子)、以前に帝王切開で出産している場合の判断は、医師によって異なる。
 聖路加国際病院(東京都中央区)では、入院が長くなる、出血が多ければ輸血が必要、次のお産も帝王切開になる率が高まるといったリスクを説明するが、それでも帝王切開を希望する母親が増えているという。
 厚労省のデータによると、02年は国内のお産の約15%が帝王切開だ。元愛育病院長で主婦会館クリニック(東京都千代田区)所長の堀口貞夫さんは「6〜7人に1人のお母さんはおなかに傷がある。ちょっと異常な事態」と心配する。
 高齢出産などリスクの高いお産が増えているのも事実だが、お産をめぐる医療訴訟の増加や、産科医やお産を扱う医療機関の減少で不確定要素が多い経膣分娩を避ける傾向が強くなっていることも原因だという。米国立保険統計センターの統計(03年)によると、訴訟社会米国での帝王切開率は27.5%に達している。
 麻酔など医療技術の進歩で帝王切開の安全性は確実に増した。帝王切開は「管理できるお産」という考えは、医師だけでなく、親の側でも増えている。「裁判で『帝王切開をしていれば事故は防げた』という判例が増えれば、経膣分娩を怖がる医師がいても一概に責められない」と堀口さん。
 日赤医療センター(東京都渋谷区)の杉本充弘産科部長は「逆子の経膣分娩などは医師に経験と技量が必要だ。お産が減り、熟達した医師が減って、お産の現場での医師教育も出来なくなっている」と指摘する。
 「増加は好ましくないが、必要なケースもある。その場合、お母さんの心に傷を残さないことが重要」と杉本さんはいう。同センターでは、母子に危険が無ければ、帝王切開で取り上げた赤ちゃんはすぐに母親に抱かせる。夫が手術に立ち会うこともできる。杉本さんが担当する帝王切開の8割は夫立ち会いという。「帝王切開は第二の産道。ただ安全なだけでなく、よりよい帝王切開をする責任が医療側にもある」
 冒頭の細田さんは、長女のお産後に「普通の女性ができること(経膣分娩)ができなかった」と涙がこぼれたという。知人に「産道を通っていない子は我慢強くないらしい」と言われたことをホームページ「くもといっしょに」に書き込むと、大きな反響があった。
 ホームページは、今ではお産の情報が飛び交う交流の場になっている。「帝王切開が増えて欲しいとは思わないけれど、帝王切開だからといって、お母さんが頑張り足りなかったなんて思わないでほしい」と細田さんはいう。

治療の再説明受けやすく、患者に端末 厚労省が開発へ indexへ

 インフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)を充実させるために、患者側から気軽に再説明を求めたり、同意を撤回したりすることができる仕組みづくりを厚生労働省研究班(班長=飯塚悦功(よしのり)・東京大教授)が進めている。国立がんセンターなど全国56病院が参加し、今年度中にシステムの設計図を完成させる予定だ。患者の主体的な参加を促すことで、医療の質と満足度を高める狙いだ。
 この仕組みは、電子情報化したカルテ「電子カルテ」を介して、医療者側と患者が常に情報を共有するシステムの一環として考えられている。
 患者は病気の状態に応じ、医師や看護師などから様々な説明を受ける。現状では、患者の理解や納得が完全でないままに次の治療段階に進んでしまうといったことが少なくない。
 新システムでは、患者用の端末を使って、いつ、どんな説明を受け、どんな意思表明をしたことになっているかを、いつでも確認できる。画面上の選択肢から、再説明を求めたり、「迷っている」「撤回」などの意思表示をしたりもできる。情報は即座に伝わるので、医療者側も患者の不安などに即応できる。
 患者用の端末はベッドサイドや病棟の廊下などに設置され、患者本人や患者から依頼された看護師が入力する想定だ。
 研究班の水流(つる)聡子・東京大助教授や、中西睦子・国際医療福祉大教授らが96年に東京都、神戸市、広島県の6病院で実施した患者調査によると、生命や生活に大きな変化を伴う手術をした約160人のうち、18人(11%)は医師の説明をあまり理解できていなかった。まったく理解できなかった人も1人(0.6%)いた。28人(17%)はインフォームド・コンセント後に気持ちが変わり、撤回を考えていた。
 水流さんは「説明を受けて、そのときは分かったつもりでも、実は理解できていなかったということは少なくない。新システムは、説明が治療の中でどんな位置づけになっているかを患者本人が把握でき、次にどんな説明を受けるかを予測できるものになる。疑問があいまいでも、気兼ねなく医師側に説明を要求しやすい。患者も参加して医療の質を高めるシステムになる」と期待している。

隠岐で5カ月ぶり赤ちゃん誕生 助産院で無事出産 indexへ

 4月中旬から常勤産婦人科医が不在になり、島内で出産ができなくなっていた島根県の離島・隠岐の島町で16日、約5カ月ぶりに赤ちゃんが生まれた。8月下旬に静岡県から隠岐病院に男性医師が着任したため、異常時に支援要請が可能になったとして、島内の長野助産院が妊婦の受け入れを再開。同町の母親(28)が助産院で出産した。
 午前5時45分に誕生した女児は2792グラム。予定日より半月早かったが、母子ともに健康という。女児を取り上げた長野千恵子院長によると、母親は「こっち(島内)で産めて良かった」と笑顔で話したという。
 長野助産院は、隠岐病院の常勤産婦人科医の不在で、分娩(ぶんべん)対応を取りやめていた。
 松田和久・隠岐の島町長は「一日も早い再開を目指していたので、ひとまず安心した」と話す。隠岐病院は、県立中央病院(出雲市)の常勤医が着任する10月16日から、医師2人態勢で分娩受け入れを再開する。

延命治療中止の指針案 「チームで判断」盛る 厚労省 indexへ

 富山県の射水市民病院の外科部長らが人工呼吸器を外し、7人の末期患者が死亡した事件を受けて、厚生労働省は、終末期の患者の延命治療中止に関するガイドラインの素案をまとめた。主治医の独断でなく、患者の意思を踏まえて医療チームが判断する、とした。同省はホームページに素案を掲載して意見を求めるなどし、年度中にも指針をまとめる方針だ。
 素案では、薬物投与などの安楽死や自殺幇助(ほう・じょ)などは、どんな場合も医療行為とは認められないと指摘。そのうえで死期が迫った患者に延命治療をやめるかどうかは、患者の意思を(1)確認できる(2)できない――のケースに分けて判断するとした。
 (1)は、患者の意思を踏まえて看護師なども含めた医療チームが方針を決め、文書にまとめる。症状が変わるなどすれば、意思を再確認する。
 (2)は、家族の話から患者の意思を推定。それも難しい時は、家族の意見を参考に医療チームが最善の治療方針を選ぶ。
 患者と医療チームが合意できない、チーム内で意見が割れた、などの場合は、病院内に複数の専門職からなる委員会を設置し、助言などを求めるとした。

卵、低温保存で低い危険 感染しても加熱でほぼ安全 indexへ

 卵は養鶏場で洗浄後、パック詰めにされて出荷され、通常は産卵から1日で店頭に並ぶ。
 専門家らによると、感染した卵でも殻を割らずに10度以下で保存すれば菌が繁殖せず、生で食べても食中毒になる可能性は低い。万が一、繁殖していても65度以上で加熱すれば菌が死ぬため、まず心配はない。購入後は冷蔵庫で保存し、卵を割る時には殻が入らないようにして、殻にひびが入っていたり古くなったりした卵は生で食べないことが重要だという。
 今回は卵自体の調査ではないが、国立感染症研究所の渡辺治雄副所長は「日本の卵1万個に3個程度が感染している実態を裏付ける結果だ。自然界に存在するサルモネラ菌の養鶏場からの完全な排除は難しいことを、消費者も認識するべきだ」と語る。
 サルモネラ菌に詳しい鶏病研究会の佐藤静夫顧問によると、今回分かった陽性率は、採卵養鶏場のうち20〜30%とされる欧州連合(EU)諸国の平均並み。ほぼゼロの北欧と比べて改善の余地があるという。
 特に、飼養羽数で国内の6割を占める大規模鶏舎の陽性率の高さが気がかりだという。「コスト追求で大規模化が進むが、大規模になるほど衛生管理が難しい。適正な管理の伴わない規模拡大には歯止めが必要だ」
 また、生産者団体による任意の調査で、調べた検体の数は欧米の基準に準じた日本の指針の数分の1にとどまることから、調査関係者の一人は「今回は比較的、優良な養鶏場が対象となり、検体も少ないため数字は控えめだ。それでも予想以上に高かった。指針並みの検体を集めた強制的な調査なら、陽性率はもっと高かったはずだ」と話す。こうした指摘に農水省も、より精密な実態の把握が必要と判断し、調査に乗り出す。

サルモネラ菌、採卵養鶏場4分の1で検出 養鶏協会調べ indexへ

 全国の養鶏業者が加入する社団法人「日本養鶏協会」が04年度、食中毒を引き起こす恐れがあるサルモネラ菌感染の初めての全国調査を行い、調査した204の採卵養鶏場の4分の1以上にあたる54養鶏場の鶏舎と鶏からサルモネラ菌が検出されていたことが、同協会の非公表の報告書などから分かった。農林水産省は来年度から、食品の生産・流通現場での微生物汚染の調査を始める方針を決めた。
 養鶏場のサルモネラ菌を一斉に調査した例は過去になく、汚染の実態が全国規模で明らかになるのは初めて。調査は、3269万円の費用の全額を農水省所管の助成金から受けて行われた。
 昨年3月にまとめた報告書などによると、調査対象は全国に約3600ある採卵養鶏場の戸数から都道府県ごとに1割程度抽出した養鶏場。そのうち調査に協力した204養鶏場が、それぞれ50羽分の鶏のふんと鶏舎の換気口、換気扇に付いたちり、ほこりを2検体ずつ提供した。
 その結果、15養鶏場の鶏ふんと、48養鶏場のちり・ほこりからサルモネラ菌が検出され、いずれかで陽性だったのが54あり、全体の26.5%に上った。さらに10万羽以上の大規模養鶏場では80のうち27養鶏場と、3分の1以上が陽性だった。
 54養鶏場から検出されたサルモネラ菌株のうち半数以上は日本で過去に食中毒を起こしたタイプだが、最も多く食中毒を起こすサルモネラ・エンテリティディス(SE)菌は1株だけだった。
 専門家によると、サルモネラ菌に感染した鶏は高い場合で数%程度の確率で感染卵を産むという研究報告があるという。
 欧米で定期的に行われているサルモネラ菌の全国調査は日本では行われておらず、汚染の疑いが高い場合などに自治体や業者が個別に調べているだけだ。このため農水省は、生産から販売現場までの微生物汚染の調査を来年度から5年かけて行う方針で、8700万円の予算を要求した。
 一方で、日本養鶏協会は調査をもとに会員向けの感染防止マニュアルを作ったが、調査結果は公表しなかった。「鶏卵の多くが汚染されているかのような誤解を消費者に与える恐れがあったためだ」と説明している。

 〈キーワード:サルモネラ菌〉 牛や鶏の消化器に付く細菌で、肉や卵に感染することがある。2501種類のうちSE菌やサルモネラ・ティフィムリウム(ST)菌など少なくとも20種類以上が、体力の弱い人に下痢や高熱などを起こすことがあり、日本人の食中毒の代表的な原因菌。血液に入ると敗血症などでまれに死亡し、国内で年平均1人程度の死者が出ている。7月にはSE菌に感染した大阪府の女子児童(9)が死亡し、食べた生卵との関連が疑われている。

お産手当、非常勤医に5万円 さいたま市立病院 indexへ

 全国的に産婦人科医不足が問題となる中、さいたま市立病院が、非常勤の医師をつなぎとめるため、7月から当直中に出産に携わった非常勤の医師に1回5万円の分娩(ぶんべん)手当を支給していることが分かった。同病院では今春、医師1人が開業のため退職したことなどから、常勤産科医の欠員状態が続いている。
 5万円という金額については「他の先進都市の当直手当との差額を考慮した」。同病院が調べたところ、非常勤医師が2泊3日の当直をすると報酬を約20万円にする自治体があったという。同病院の当直手当は1日約5万円で、2泊3日だと約15万円。そこで「当直中、ほぼ1回はお産がある」と踏み、差額分5万円を分娩手当として支給することとしたという。
 埼玉県内では、蕨市立病院が8月から、夜間の出産に従事した医師に1万5000円の分娩手当を支払う制度を始めた。

セレウス菌、外部委託の洗濯から広がる? 自治医大病院 indexへ

 自治医科大学病院(栃木県下野市)で患者からセレウス菌が見つかった問題で、同病院は13日、今年4〜8月に入院していた24人の血液などから菌が見つかり、このうち8人が発熱する菌血症になった可能性があると発表した。うち2人が死亡し、1人が感染のために片目を失明した疑いがあるという。タオルやシーツに菌が大量に付着し、点滴の針を介して感染した可能性が高いという。
 同病院によると、24人の入院時期や病室は異なる。発熱した入院患者でセレウス菌の検出が繰り返されたため、8月から感染源や過去の入院患者について調べていた。その結果、未使用のタオルやシーツなどリネン類から想定を超える量の菌が検出され、外部委託のクリーニング業者の洗濯機1台で洗った洗濯物から大量の菌が見つかった。
 同病院は「リネン類に付着したセレウス菌が、カテーテルなどを介して輸液を汚染した可能性がある」として、リネン類を滅菌処理するとともに、カテーテルを患者に使う際の消毒を徹底するなどの対策を取った。
 セレウス菌は、入院中の患者から散発的に検出されることはあるものの多数から見つかるのは珍しい。同様にクリーニング業者の洗濯機が原因とみられるセレウス菌による院内感染事例が、英国で92年に報告されているという。

放射線処理せず血液製剤を出荷 千葉・赤十字センター indexへ

 日本赤十字社の千葉県赤十字血液センター(千葉県船橋市)が8月、輸血用の血小板製剤5本を放射線処理しないで出荷していたことが分かった。このうち3本は同県内の患者3人に使われたが、これによる健康被害はなかったという。
 日赤では、輸血した血液のリンパ球が患者の体内で副作用を起こすのを防ぐため、一部の製剤については数分間の放射線照射をしている。
 8月14日、同センターで血小板製剤5本についてこの作業をした際、担当職員が過って照射をしなかったとみられる。作業は、2人の職員がチェックする態勢だが、この時は1人で作業していた。
 同センターが今月、作業工程の記録を整理していて、照射の記録がない製剤があることに気づいたという。

管での栄養補給、医療事故29件 2人死亡、大半に障害 indexへ

 病気やけがで食事をとれない患者の鼻から、または直接胃腸に管を通して栄養を補給する医療行為について、今年6月末までの1年9カ月間に全国で29件の医療事故があったことがわかった。このうち2人は死亡し、大半の患者に障害が残ったという。財団法人「日本医療機能評価機構」(東京都)が全国約560の医療機関(約20万床)から報告を受けた。
 死亡した事例では、70代の男性は、おなかから腸まであけた穴を通し、栄養剤を注入中に嘔吐(おうと)し、肺に入ってしまった。医療機関は、業務が忙しく観察が不十分だったという。20代の男性は、在宅療養に切り替えるため、鼻から胃へ管を通す処置をしたのに、気管内に管が入っていた。この男性はもともと慢性呼吸不全の症状があり、それまでも心停止に陥り、蘇生救命したことがあったという。
 ほかにも、胃に穴を開けて管を通したつもりが、肝臓にも貫通していた▽胃に通じる管の交換時に腹腔(ふくくう)内に挿入した▽管の交換時に食道に穴を開けた――などの事故があった。障害の有無が不明な医療事故もあるが、少なくとも21件で障害が残ったという。
 胃や腸に穴を開けて管で直接栄養を送る「造設手術」は、開腹手術でなく、内視鏡手術でも可能になったため、10年ほど前から増えている。
 同機構は「不適切な場所に管が入ることはあり得るので、十分だと思っても改めて確認を徹底してほしい。いかに早く気づいて処置するかが大事だ」と話している。
 同機構は医療体制やサービスの質などを審査する第三者機関。04年に機構内に医療事故防止センターをつくり、同年10月から医療事故の情報収集を始めている。

セレウス菌に20人以上感染、2人死亡 自治医大病院 indexへ

 自治医科大学病院(栃木県下野市)で7月から8月にかけて、発熱する入院患者が増え、病院が調べたところ、うち二十数人の血液から、食中毒などを起こすセレウス菌が見つかっていたことが13日わかった。このうち2人は死亡しており、病院は院内感染の疑いがあるとして、県医事厚生課に届けるとともに、感染経路や死亡との因果関係について詳しい調査を始めた。
 国立感染症研究所細菌第二部の荒川宜親部長は「患者から散発的に見つかることはあっても、これだけ多数の患者の血液から検出されるのは珍しい。セレウス菌を口からのみ込んでも血液に入ることはないから、感染経路の調査では、点滴やカテーテルを介して血液に入ったことも想定して調べる必要があるだろう」という。
 セレウス菌は腐敗細菌として知られ、土壌中や穀物、香辛料などに広く存在する。食品内で増えて毒素をつくり、嘔吐(おうと)や下痢など食中毒を引き起こす。熱にも比較的強い特性がある。乾燥したり周囲に栄養が少なくなったりすると、芽胞という状態になり、消毒が難しくなる。

530グラムの女児に内視鏡手術 北里大、無事退院 indexへ

 北里大学病院(神奈川県相模原市)は11日、今年1月に動脈管を閉じる内視鏡手術を受けた体重530グラムの女児が、無事退院したと発表した。この手術では国内で最も体重の軽い赤ちゃんという。
 執刀した心臓血管外科の宮地鑑(かがみ)・助教授(小児心臓外科)によると、女児は05年12月28日、妊娠24週に体重約500グラムで誕生。通常は出生後に閉じる動脈管が開いたままになる「動脈管開存症」と診断された。今年1月24日、肺動脈と大動脈をつなぐ直径4ミリの動脈管をチタン製のクリップで挟み込む内視鏡手術を受けた。術後の経過は良好で、5月27日には体重2516グラムにまで増え、退院したという。
 この病気の治療法では、胸を開いたりカテーテルを使ったりする手術が一般的だが、内視鏡手術は、傷が小さいことと、1000グラム未満の乳児も受けられるという両方のメリットがあるという。

内診は必ず助産師に」 看護協会、堀病院事件受け声明 indexへ

 横浜市の堀病院が准看護師らに無資格の助産行為をさせていたとされる事件をめぐり、日本看護協会は11日、妊婦の子宮口の大きさなどを確認する内診などの助産行為について「必ず助産師が実施するよう周知徹底する」とした声明を出した。
 同協会は「安全なお産のため、現場の看護師らに改めて呼びかけることにした」としている。

フィリピン人看護師ら受け入れ、2年間で1千人 EPA indexへ

 9日に締結された日本とフィリピンの経済連携協定(EPA)について厚生労働省は11日、焦点だったフィリピン人看護師や介護福祉士の受け入れ枠を当初2年間で計1000人とすると発表した。内訳は看護師400人、介護福祉士600人。今後、国会の承認を得て、来春発効し、実際の受け入れが始まるのは来年度前半になる見込み。
 同日会見した厚労省の辻哲夫事務次官は、受け入れ枠について「日本の労働市場に悪影響を及ぼさない、現実的に可能で適切な数字とした」と話した。対象はフィリピンでの看護師資格取得者や介護士研修終了者ら。看護師は3年間、介護福祉士は4年間の在留期間を認め、その間に日本語や実務研修を受け、日本の看護師や介護福祉士の国家資格取得を目指してもらう。取得できた場合は在留期間の延長が無期限に認められる。
 3年目以降は、実施状況によって見直す。EPAについては昨秋、タイとの間でも介護福祉士受け入れを大枠で合意しており、同省は今後、ほかのアジア諸国についても条件を詰めていく考え。

朝起きられず不登校も 「起立性調節障害」に診断指針 indexへ

 血流の低下で子どもたちが体調を崩し、不登校の原因になることもある「起立性調節障害」の診断・治療ガイドラインを日本小児心身医学会がまとめた。朝、きちんと起きられず、親や教師からは「怠け癖がある」「夜更かしが原因」などと受けとめられがちだが、適切な治療をしてもらうのが狙い。10日、東京都内で開かれた学会で公表した。
 起立性調節障害は思春期特有の病気で、午前中を中心に、頭痛、倦怠(けんたい)感、食欲不振、立ちくらみなどの症状が出る。中学生の約1割に症状がみられ、起立性調節障害と診断された子どもの約4割が不登校という。
 大阪医科大の田中英高・助教授らのワーキンググループが一般小児科医向けのガイドラインを作成。寝た状態から起き上がった時の血圧や心拍数、意識などの変化を調べることで「起立直後性低血圧」「神経調節性失神」など4タイプに分類し、重症度も3段階で判定する。
 「学校を休むと症状が軽減する」「気にかかっていることを言われたりすると症状が増悪する」など6項目を盛り込んだチェックリストでは、心理社会的な要因がないかどうかも診断する。実際に起立性調節障害の7、8割にこうした要因がみられるという。
 治療法では、食事や生活リズムの改善指導、学校への指導や連携、薬物療法、心理療法などを示している。
 10日の学会では、学校へ行きたくないために様々な身体症状が出るケースへの対応をまとめた「小児科医のための不登校診療ガイド」も示された。

呼吸器ミスで患者が一時、心肺停止 富山赤十字病院 indexへ

 富山赤十字病院(富山市)は9日、意識不明で入院していた20歳代男性に対し、医師が人工呼吸器を再装着する際にスイッチを入れ忘れ、7〜8分間心肺停止状態になる事故があったと発表した。患者は心臓マッサージで脈拍などが回復したという。
 同病院によると、患者は8月初めに脳炎で入院し、まもなく人工呼吸器をつけた。今月1日、CT検査のため呼吸器をいったん外してから再装着した。その際にスイッチを入れ忘れ、心電図モニターの接続も忘れたため、心肺停止に気づくのが遅れたという。
 患者はいったん呼吸停止、心停止状態となったが、マッサージなどで約5分後に脈拍やわずかな呼吸が戻ったという。その後、病院は富山中央署に事故を届け出て、経緯を説明。家族にも医療ミスを認め、謝罪した。

「潜在看護師」全国調査へ 日本看護協会、ネットで indexへ

 看護師や准看護師、助産師などの資格を持ちながら現場を離れている「潜在看護職員」の実態を把握するため、日本看護協会は10月から全国調査に乗り出す。結婚や出産などで仕事を離れた看護師たちから再就職したい時期や条件などを聞いて、深刻な看護職員不足対策に役立てる。
 厚生労働省によると、全国の医療機関で今年度必要になる看護職員の数は約131万4100人だが、実際には約4万1600人が不足していると推計されている。一方で、「潜在看護職員」は約55万人いるといわれ、人材の供給源として期待されている。
 だが、看護職員は医師と違い国などに登録する義務がなく、いったん現場を離れると連絡先などが分からなくなるケースが多い。このため再就職のあっせんなどが難しいと指摘されていた。
 調査への協力を呼びかけるのは、現場を離れているか、09年3月までに定年退職する予定の看護職員計約3万人。日本看護協会にホームページなどを通じ登録してもらったうえで調査票を送り、再就職するつもりがあるか、どんな条件なら再就職するかなどをアンケートする。
 調査結果は協会で分析し、看護職員の再就職に役立てる。協会では、都道府県ごとに設置した「ナースセンター」や、インターネットを使った「e―ナースセンター」で、看護職員の就職あっせんもしている。
 ネット上の登録期限は10月15日まで。アンケートは10月23日〜11月6日に行う。

変わる救命法、人工呼吸より何度も心臓マッサージ indexへ

 市民が緊急の際に行う救命救急の方法が、国際基準の変更に合わせて変わることになった。これまでの方法だと、15回だった心臓マッサージは30回に増やし、口と口をつける人工呼吸に抵抗があれば、「マッサージだけでもOK」に。総務省消防庁と厚生労働省が、全国の消防本部や病院などに対し、市民に教える新たな救命方法を通知した。民間レベルでの「救命救急効果を高める」のが目的だが、変更に伴う準備が間に合わない指導現場では混乱も予想される。
 家族が自宅で突然倒れたり、駅などで近くにいた人の呼吸が急に止まったりした際の対処方法は、一般市民の場合、地元の消防署や病院などで習うケースが多い。
 昨年末、救命救急方法の国際基準が変わったことを受け、日本救急医療財団が「日本版救急蘇生ガイドライン」を作成。これを受けて、両省が都道府県を通じ、市民向けの救急救命の指導現場に、教える内容を改めるよう通知した。
 それによると、従来は2回人工呼吸をした後、心臓マッサージを15回行っていたのを30回に増やした。自動体外式除細動器(AED)は3回連続して電気ショックをかけていたところを、今回から1回にして、すぐ心臓マッサージを始めるよう改めた。日本版ガイドラインを作成した兵庫医科大学の丸川征四郎教授は、「とにかく、心臓マッサージをし続けることがポイント。『人工呼吸をしたくないから、心臓マッサージもしない』という姿勢だと救える人も救えない」と話す。
 さらに、口と口をつけて行う人工呼吸に抵抗がある人は、心臓マッサージだけでもいいことになった。「直接息を吹き込むこと」は救命にとって重要だが、これまでの研究で、人工呼吸に時間がかかりすぎて心臓マッサージが中断されるより、マッサージを続けた方が救命効果が高いことが、わかってきたからだ。
 ただ、一方で、これらの変更に現場が追いついていないのも現実。9日の救急の日には、各地の消防本部が救命救急のイベントを開くが、新しいやり方の披露が間に合わないケースが多いという。さいたま市消防局の担当者は「テキストを変えたり、救急隊の研修をしたりと準備に時間がかかり、当面旧バージョンで教えざるを得ない」。
 加えて、AEDは音声に従って操作する仕組みだが、出回っているものの大半は以前の救急方法に沿った内容。新しいやり方を習った人が旧来のAEDに戸惑うのではないか、といった声が現場にはある。

多剤耐性緑膿菌の院内感染防止、マニュアル作成へ indexへ

 埼玉医科大病院で抗生物質が効きにくい多剤耐性緑膿菌(りょくのうきん)に感染した入院患者6人が死亡していた問題で、厚生労働省は、6日開かれた有識者の対策会議で、この菌による院内感染を防止するためのマニュアルを今年中に作成する方針を明らかにした。
 多剤耐性緑膿菌は、抗生物質などの薬が効かない耐性菌の一種。同省の研究班が7〜9月に500床以上の医療機関や公的病院など約540カ所を対象に、菌が検出された事例や感染防止策などについてアンケートを実施。感染拡大を防ぐための対策をまとめる。

膵がん、血液で早期診断へ 1滴で精度90%以上 indexへ

 国立がんセンター研究所化学療法部(東京都)の山田哲司部長と本田一文室長のグループが、患者から採った1滴の血液で、膵(すい)がんの有無を診断する方法を開発した。膵がんの有効な早期診断法はなかったが、90%以上の精度で見つけることができるという。山田部長が主任研究員を務める厚生労働省研究班として今年度、国内6施設で協力し、より精度を上げる技術開発にかかる。3年後をめどに人間ドックなどでの応用をめざす。
 山田部長によると、日本では、膵がんで年間2万2000人が死亡。がんの死因の第5位で、がん全体の約7%を占める。しかも最近20年間で膵がんは2.5倍と急増する傾向にある。初期には身体症状が出にくいため早期診断が難しく、日本膵臓学会の集計では多くがステージ3、4期といった進行した状態で見つかる。このため5年生存率は、国立がんセンター中央病院の男性患者の場合でも、胃がんをはじめ50%を超すがんが多い中で、膵がんは62〜66年に入院した患者のデータでは2.7%、97〜99年の患者でも4.2%と低い状態が続いている。
 山田部長らは、膵がん患者と健康な人の計142人の血液から、患者に特異的に増減するたんぱく質を分析。4種類のたんぱく質を調べる方法で、膵がんがあるかないかが判断できることを突き止めた。この方法で別の患者78人のデータを解析したところ、91%の正しさで診断できた。
 膵がん患者に特異的に表れる抗体(腫瘍(しゅよう)マーカー)で調べる方法も併用すれば、より完全に近い診断もできそうだという。研究班は今後、大阪医療センターや福岡大病院など6施設で患者など計3000人のデータを解析し、診断基準となる4種類のたんぱく質の増減の標準値などを詰めていく。
 血液の分析は1日あれば可能。医療施設から分析拠点へ郵送するような方法を採れば、全国の健康診断に導入できそうだという。

別の病院でも無資格内診 横浜市調査 indexへ

 横浜市瀬谷区の堀病院が、保健師助産師看護師法に違反して看護師らに助産行為をさせていたとされる事件を受け、市内の医療機関の調査を行っていた横浜市は5日、堀病院とは別の1病院で看護師による助産行為があったと発表した。
 横浜市によると1病院で、分娩(ぶんべん)が重なった緊急時に看護師が内診していたことがわかった。昭和50年代の開業以来、堀病院での違法内診が問題になるまで行われていたという。頻度は「月に1、2件」で、今年も数件の例があった。すでに看護師による内診はやめており、市は「病院名は公表できない」としている。

1100グラム新生児、心臓手術に成功 長野 indexへ

 長野県立こども病院(同県安曇野市)で、生後6日に心臓の手術を受けた赤ちゃんが4日に無事退院した。体重約1100グラムで生まれ体内の血液が約100ccしかなく、大人の親指の先ほどの心臓を、人工心肺で約40分間、完全に止めての手術だった。人工心肺を使った極低体重児の手術では「国内で最低体重ではないか」という。
 この赤ちゃんは同県内の男児。心臓血管外科の原田順和部長(53)らが執刀した。男児は子宮内発育不全で妊娠37週で5月に別の病院で出生。通常は左心房とつながる4本の肺静脈が、すべて右心房などにつながる「総肺静脈還流異常症」で、出生の翌日、心不全の状態で人工呼吸器をつけたまま搬送されてきた。
 手術は出生6日後の5月25日に約5時間かけて実施。肺からの3本の静脈が1本になって肝臓内の静脈につながり、そのまま右心房に流れていたのを切り離し、左心房に穴を開けてつないだ。
 術後は集中治療室などで管理し、約3週間後に人工呼吸器が外された。先月初めには一般病棟に戻れるまでになった。人工心肺を使った極低体重児の手術としては、同病院では過去、1600グラムの新生児の手術に成功しているという。

ピロリ菌感染歴、胃がんリスク10倍 厚労省調査 indexへ

 人の胃にすみ着く細菌ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)に感染したことがある人は、全く感染したことがない人に比べ、胃がんになるリスクが10倍に跳ね上がることが、全国4万人余を対象にした厚生労働省研究班の大規模疫学調査でわかった。ピロリ菌と胃がん発症との因果関係が一段と濃厚になってきた。28日から横浜市である日本癌(がん)学会で報告する。
 90〜95年に全国10地点で40〜69歳の男性約1万5300人、女性約2万6700人に血液を提供してもらい、経過を追ったところ、04年までに512人が胃がんになった。保存血液でピロリ菌感染を調べ、胃がんにならなかった人と比べた。
 その結果、採血時にピロリ菌陽性の人たちの胃がん発症リスクは、陰性の人たちの5.1倍だった。
 菌の感染で胃炎が進むと、胃の中の環境が変わり、ピロリ菌がすみにくくなる。こうした場合は陰性に含まれてしまうため、研究班が他の指標も併用して採血時までの感染歴の有無で比べると、感染歴のある人たちが胃がんになるリスクは、感染歴のない人たちの10.2倍に達した。
 ただ、ピロリ菌感染歴があっても、胃がんを発症するのはごく一部とみられる。
 研究班によると、抗生物質でピロリ菌を除菌しても胃がんを防げるかどうか、現段階でははっきりしていないという。除菌は現在、胃や十二指腸潰瘍(かいよう)に限って公的保険が適用されている。
 研究班の笹月静・国立がんセンター予防研究部室長は「除菌も選択肢の一つだが、現時点では喫煙や塩分の高い食事など、がんの危険を高める生活習慣を改めることがより大切だ」としている。

違法内診、実態つかめず苦慮 堀病院事件受け横浜市 indexへ

 横浜市瀬谷区の堀病院が保健師助産師看護師法に違反して准看護師らに助産行為をさせていたとされる事件を受け、市内の医療機関の現状調査に乗り出した横浜市が実態をつかめずに苦慮している。看護師らが妊婦を内診している診療所がほかにもある状況が浮かび上がっているが、「違法」を自ら申告する院長はおらず、医療機関によっては内診者名の記載のないカルテもあるからだ。
 年間出産数が国内有数の約3千人に上る堀病院の事件では、医療法に基づいて年1回の立ち入り調査をしていた横浜市が違法状態を把握していなかったとして批判を浴びた。このため、市は8月28日から、市内で分娩(ぶんべん)を扱う27の病院と21の診療所に対し、緊急調査を始めた。
 院長への聞き取りに加え、カルテを10件程度抽出。記載されている内診者の名前と勤務表をつき合わせ、看護師が内診をしていないかを、各区の福祉保健センターの所長らが2時間ほどかけて点検している。
 しかし、看護師が内診をしていることが新たに判明した医療機関はいまのところゼロだ。
 夜間に急なお産が重なった場合には、いまも看護師が内診をしているという診療所の院長は朝日新聞の取材に、こう明かす。「市からの『看護師に内診はさせていないか』との質問には『改善されているので大丈夫』と返答した」
 カルテに内診者名は書いていなかったため、きちんと書くように指導を受けたが、「それ以上の追及はなかった」という。「助産師はどうしても給料のいい大病院に集まってしまう。助産師しか内診できない、ということであれば多くの診療所は閉めるよりほかない」
 市内の別の診療所は堀病院の事件発覚後、内診をしている看護師や准看護師に「内診をしてもカルテにサインはするな」と指示したという。
 調査を担当している市医療安全課の担当者は、頭を抱えたままだ。「捜査機関のような権限はないので、グレーの医療機関はそのままにならざるを得ない。法順守を徹底すれば産科医療が立ちゆかなくなるという主張もあり、行政としては悩ましい」

IV2型、日本人初の感染確認 アフリカで輸血歴 indexへ

 世界的に流行しているエイズウイルス(HIV)1型とは遺伝子のタイプが異なる2型に、日本人男性が感染していたことが分かった。これまで国内で2型が確認されたのはいずれも外国籍の感染者で、日本人の感染例は初めて。厚生労働省は全国の都道府県や医師会に、1型だけでなく2型についても検査体制を徹底するよう通知した。
 同省によると、2型は、1型に比べて感染力が弱く、発症までの潜伏期間が長いのが特徴とされる。西アフリカなどで局地的に流行しているという。
 今回感染が確認された日本人男性は、気管支ぜんそくの症状を訴えて国内の医療機関に入院。8月中旬にエイズ検査を受けた結果、2型のウイルスが検出された。この男性は過去に西アフリカで輸血を受けた経験があり、厚労省は「このときの輸血が感染源ではないか」と見ている。
 男性はすでに回復し、退院しているという。
 これまで厚労省に報告された国内での2型の感染例は3例で、韓国籍の男性などだった。
 国内のHIV検査は以前から、1型と2型の両方を検査する体制がとられている。しかし、2型が検出される例が極めて少ないため、厚労省は「2型に対する危機意識が薄れて検査漏れなどが生じないように念のため通知で徹底を呼びかけた」としている。

看護師の内診「法改正含む検討必要」 日本産婦人科医会 indexへ

 横浜市瀬谷区の堀病院が准看護師らに無資格の助産行為をさせていたとされる事件で、日本産婦人科医会などは1日、妊婦の子宮口の大きさなどを確認する内診を看護師にも認めるなど、「法改正を含めた検討が必要」とする見解を発表した。
 助産行為は保健師助産師看護師法(保助看法)に基づき、医師か助産師でなければできない。厚生労働省は02年11月、看護師の内診も明確に禁じる通知を出していた。
 厚労省で会見した同医会の清川尚・副会長は、事件が産婦人科医に大きな動揺を与えていると指摘。同医会は以前から「医師の指示下で行う分娩初期の内診は助産行為には当たらない」と主張しており、今後も厚労省に法改正を含めた保助看法の見直しを求めていく考えを示した。

入院患者の35%、許可出ても在宅療養は「できない」 indexへ

 入院患者の3人に1人が、退院の許可が出ても自宅での療養に切り替えるのは困難だと考えていることが31日、厚生労働省の05年受療行動調査で分かった。家族の協力や住まいの環境・設備が整わないことへの不安が背景にあるため。国は医療費の伸びを抑えるため、医療の必要度が低い「社会的入院」を解消し在宅療養を進めたい考えだが、患者側の意識とのずれが浮かび上がった形だ。
 調査は、患者が受けた医療に対する満足度などを調べるために、同省が96年から3年ごとに実施している。今回は昨年10月に行い、全国488病院の患者約17万3千人(うち入院患者約6万人)から回答を得た。
 入院患者に今後の療養について希望を聞いたところ、「完治まで入院していたい」とした人は53.8%で、「通院しながら療養したい」(17.4%)を大きく上回った。
 さらに、退院の許可が出た場合に「在宅療養できる」とした人は、42.9%と半数以下。「できない」は35.4%に上り、残りは「療養の必要なし」(4.9%)、「わからない」(11.6%)だった。
 特に、高齢者など長期療養を必要とする入院患者向けの病院123カ所に絞ってみると、「在宅療養できない」(47.9%)が、「できる」(30.5%)を上回った。
 在宅療養を可能にするための条件(複数回答)では、「家族の協力」が最も多く39.7%。「入浴や食事などの介護サービス」(30.7%)、「療養のための部屋や手すりの設置、段差の解消など」(27.0%)をあげる人も多かった。

研修医を県職員で採用、海外研修付き 医師確保に兵庫県 indexへ

 全国的に医師不足が深刻化するなか、兵庫県は来年度から、専門分野の資格を得るため研修中の「研修医」を県職員として採用する制度を導入する。期間は4年で、2、3年目に医師不足が深刻な市町立病院で勤務してもらい、最終の4年目には「ご褒美」として、海外の医療機関で研修を受けることができる。採用は毎年25人の予定。同県は「若いうちから兵庫県内で働いてもらい、医師不足を解消したい」としている。
 大学卒業後2年間の臨床研修を終了し、医師免許取得後3〜5年目の医師が対象。小児科、産科、麻酔科、総合診療医、救急医の5コースで、各コース5人ずつ採用する。

乳がん患者25人の検査でミス 島根県立中央病院 indexへ

 島根県立中央病院(出雲市)は30日、乳がん患者25人の治療法を見極めるための検査で、本来しなければならない項目を別の項目と取り違えて実施するミスがあったと発表した。そのため25人中4人は有効なホルモン療法を受けられなかった。その後死亡した1人について、同病院は「延命を図れた可能性は否定できない」としている。
 同病院によると、乳腺の組織の検査を臨床検査大手の三菱化学ビーシーエル(東京都板橋区)に委託して実施している。ホルモン療法が有効かどうかを判断するため、医師は電子カルテの検査項目に「エストロゲンレセプター」「プロゲステロンレセプター」と入力した。院内に常駐する社員3人が、電子カルテの画面などを見ながら別の用紙に転記する際、それぞれ「エストラジオール」「プロゲステロン」と似た表記の別の項目名を記入。これを基に、同社の子会社の担当者が検査した。
 3人は正しい項目名と転記した項目名を同じと勘違いし、03年3月から9月まで誤記を続けていた。この間、30〜90歳代の25人が間違った検査を受けた。その後もホルモン療法を受けられなかった4人のうち、乳がんがかなり進行していた70歳代の女性は検査を受けた半年後の03年9月に亡くなったという。
 会見した中川正久院長は「病院としておわびしたい。関係する患者さんや家族には十分に説明したい」と話した。同社の佐川直敏社長は「おわびのしようがない。今後記入方法などを見直したい」と話した。

国と製薬会社に賠償命令 C型肝炎訴訟で福岡地裁判決 indexへ

 汚染された血液製剤を投与されC型肝炎ウイルス(HCV)に感染させられたとして、九州・沖縄などの患者18人が国と製造元の三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)と子会社ベネシス(いずれも本社・大阪市)を相手取り、総額11億6600万円の損害賠償を求めた「薬害C型肝炎九州訴訟」の判決が30日、福岡地裁であった。須田啓之裁判長は原告18人のうち11人の訴えを認め、国と製薬会社に計1億6830万円の賠償を命じた。7人については請求を棄却した。
 全国5地裁に提訴されたC型肝炎集団訴訟では6月の大阪地裁に続く司法判断だが、大阪と同様、原告が血液製剤を投与された時期・種類によって原告への賠償責任の有無が割れる形になった。
 原告は22〜58歳の女性15人、男性3人。77〜88年に出産や手術の際の止血剤などとして血液製剤「フィブリノゲン」や「クリスマシン」を投与された。
 訴訟では、汚染されている危険性が高い血液製剤を製造・販売した製薬会社と、それを承認し、危険性がわかった後も承認取り消しなどの規制をしなかった国の過失や違法性がどの時点で生じるかが争われた。
 国の責任については(1)その時点の医学的知見の下で副作用を上回る有用性がある場合は製造承認は適法(2)副作用防止のため権限を行使しなかったことが著しく合理性を欠く場合は違法――との判断を示したクロロキン薬害訴訟最高裁判決(95年)が基準となった。
 6月21日の大阪地裁判決は、この基準を薬事行政の経過に適用した場合、どの時点で国に違法性が生じるかどうかを検討。フィブリノゲンについては、青森県で集団感染発生が報告された87年4月以降に生じると認定した。また、製薬会社の責任が生じるのは、HCVの感染力をなくすため施した処理法を変更した結果、逆に危険性を高めた85年8月以降とした。クリスマシンについては、有用性は否定できないとして賠償責任はどの時点でも認定しなかった。
 原告側は、血液製剤の製造が承認された64、76年の時点で、HCVに感染する危険性やC型肝炎が重い症状になることが知られており、ずさんな方法で承認された製剤に有用性は確認できないと主張。被告側は当時から有用性はあり、違法性や過失はないと反論していた。

石綿被害救済、全企業で年70億円 労災保険に上乗せ indexへ

 アスベスト(石綿)による健康被害者を救済するために支払われる弔慰金や医療費などの分担割合が、固まった。07年度から年間約90億円かかると算定、企業が約74億円、国と自治体で残りを担う。焦点となっていた企業側の負担は、全企業を対象とし、約260万に及ぶ事業所から労災保険料の料率を引き上げる形で約70億円を徴収する。さらに、石綿の使用量の多い「責任企業」4社から3.4億円を求める。全国各地に広がった石綿被害の救済は、産業界全体で負担する前例のない制度となった。
 救済対象者は石綿新法で決められており、石綿が原因の中皮腫(ちゅうひしゅ)や肺がんとなった患者や遺族のうち、労災保険が適用されない人で、石綿工場周辺の住民などが中心。弔慰金280万円、医療費などの救済総額を、10年度までに約760億円と試算した。うち、申請が集中した05年度末と06年度に約400億円、07年度以降は年間90.5億円程度が必要と見込み、企業側には07〜10年度に総額300億円程度を求めることにしていた。
 来年度以降の年間救済額のうち、73.8億円が企業側負担。うち(1)所在する(していた)市区町村の中皮腫の死亡者数が全国平均以上(2)石綿の累計使用量が1万トン以上(3)石綿による中皮腫・肺がんの労災認定が10件以上――という3要件すべてにあてはまる責任企業を「特別事業主」とし、石綿の輸入量全体に占める使用量の割合などから算定した3億3800万円の負担を求める。対象となるのはクボタ(本社・大阪市)やニチアス(本社・東京都港区)など4社とみられるが、企業名は公表しない。
 残り70.4億円は全企業で負担することとし、労災の保険料率を千分の0.05引き上げる。企業の負担増は、従業員6万人の大企業で年3000万円、従業員10人程度の企業なら3000円程度になるという。
 企業負担については、「石綿は高度成長を支えた面もあり、幅広い企業が恩恵を受けた」として、社会全体で責任を負う意味で労災保険のシステムを使い、全企業から徴収する。その上で責任企業には追加を求める2段階方式としたが、産業界から「納得のいく根拠を」と求められていた。
 環境省は7月に日本経団連常務理事や研究者らでつくる有識者会議で検討。ほぼ合意が得られたため、8月30日の同会議で、この枠組みでとりまとめる見通しだ。
 政府は11年度以降については、救済対象者が減少するとみており、この時点で負担割合も見直す考えだ。
 この枠組みについてクボタ広報室は「コメントできない」、ニチアス広報では「根拠に基づいた公平な決定なら尊重したい」としている。

ヘルニアと間違え、膀胱を切除 病院ミス認める indexへ

 大阪府枚方市の星ケ丘厚生年金病院(同市星丘4丁目)で昨年2月末、2歳児(当時1)の鼠径(そけい)ヘルニアの手術を執刀した医師(30)が開腹場所を間違え、飛び出した腹膜(ヘルニア嚢(のう))ではなく、膀胱(ぼうこう)を7割以上切り取っていたことが分かった。同病院が28日発表した。幼児は再生手術を受けたが、排尿の障害や感染症などが心配されるという。術後に排尿しない幼児に母親が気づき病院に訴えたが丸一日放置していた。病院はこの医師と指導した医師(38)を戒告とし、損害賠償などに応じるという。
 病院によると、幼児はおなかに圧力がかかるともものつけ根から腸などがはみ出す病気で、はみ出さないようにするための手術を受けた。医師はヘルニア嚢がある部分より約1センチずれた場所を開腹してしまったため、膀胱をヘルニア嚢だと勘違いし、そのまま切除したという。
 膀胱には筋肉があるなど、専門家にはヘルニア嚢とすぐ判別ができるとされるが、医師は気づかなかったという。2人は小児への同手術の経験が20〜50例あるが、乳幼児には1〜3例しかなく、小児外科の専門医に相談をするなどしていなかったという。
 病院は事故後、調査委員会を設けて、経験不足による乳児への手術の認識の甘さや手術体制の不備などを確認。小児外科専門医(非常勤)を採用するなど再発防止策に取り組んでいるという。
 吉矢生人病院長(67)は「申し開きが出来ない。家族には永続的なケアと補償など、最大限の誠意で対応する」と話している。

薬害エイズ被害者の団体、社会福祉法人に 厚労相が認可 indexへ

 薬害エイズ事件の被害者らでつくる「はばたき福祉事業団」(東京)が28日、社会福祉法人として厚生労働相から認可された。任意団体が社会福祉法人になることで、税制上の優遇措置が受けられる。事業団は血液製剤でHIV(エイズウイルス)に感染した血友病患者らが国と製薬会社に賠償を求めた訴訟の和解金で97年に設立され、患者や遺族の相談事業などを実施している。

がんの痛み緩和治療に重点 医師に薬物処方研修 indexへ

 死者数が過去最高を更新し、3人に1人の死因となっているがん。患者側から要望の強い痛み緩和治療に、厚生労働省が来年度から本格的に乗り出すことになった。末期はもちろん早期にも起こる痛みを和らげるため、モルヒネなどの使用方法を医師に研修してもらい、患者の相談にのる支援センターを都道府県ごとに設置する。生活の質を保つ大切な治療であるのに、薬物依存を恐れ戸惑う医師も少なくない。患者側の要望に沿う形で、在宅治療の充実にも力を入れる。
 欧米ではモルヒネなどの医療用麻薬を使った緩和ケアが早くから普及し、末期だけでなく初期のがん患者にも積極的に処方されている。世界保健機関(WHO)も、痛みの程度に応じた使用を勧めている。
 厚労省の05年調査では、がんの死者数が32万人を超えて過去最多となり、81年以来、死因のトップとなっている。今後も緩和ケアへの需要が高まることが予想されるが、患者の薬物依存などを恐れ使用をためらう風潮が医師の間で根強い。
 05年の製薬会社の調査では、がん治療に携わる医師の10人に1人が、医療用麻薬を痛み止めとして使うことに「ちゅうちょする」と答えた。
 このため、がん治療に携わる医師に、早期の患者にも使えるように緩和治療の正しい知識を身につけてもらうため、専用のマニュアルを作るほか、医療用麻薬についても専門医による講習会を各地で開き、使い方などを学んでもらう。患者やその家族を対象にしたシンポジウムなども検討している。
 一方、入院せずに通院し、緩和ケアを受けながら自宅での治療を希望する患者も増えている。このため、各都道府県に「在宅緩和ケア支援センター」(仮称)を設置し、医師や看護師が、在宅治療を望む患者や家族の相談に答えて助言をするなど体制作りを急ぐ。
 厚労省は、来年度予算の概算要求にセンターの設置費の補助など関連費を盛り込んだ。
 〈中川恵一・東大病院緩和ケア診療部長の話〉 日本は医療用麻薬の使用量が米国の20分の1に過ぎず、緩和治療が極端に遅れている。背景には、医師側が根治療法ではないために意識が向かず、対策が後手にまわってきたこともある。今回、厚労省が本格的に対策に乗り出したことは遅すぎた感はあるものの、一歩前進だ。ただ、医師だけでなく、これから医師になる学生に対しての教育こそ必要。文部科学省などとの連携は不十分で、国全体としての取り組みになっていないことは問題だ。

不妊治療助成、20万円に倍増 所得制限も緩和へ indexへ

 少子化対策の一環として厚生労働省は来年度から、体外受精など保険が適用されない不妊治療費への助成を現在の年間10万円から20万円に倍増することを決めた。あわせて所得制限も緩和する。不妊治療への助成拡大は、政府が6月に決定した「新しい少子化対策」に盛り込まれ、同省で検討していた。
 助成の対象となるのは「特定不妊治療」といわれる体外受精と、顕微鏡を使い精子を卵子に注入して受精卵を子宮に戻す顕微授精。現在は年間10万円が上限で、夫婦あわせた年収が650万円未満の場合に通算5年間、助成を受けることができる。
 しかし、不妊治療には平均でも年間30万〜50万の費用がかかるとされており、経済的負担の軽減が課題となっていた。
 このため、助成額を現在の倍の20万円に増額。所得制限についても「夫婦で年収920万円未満」に引き上げ、対象を広げることを検討している。厚労省は、関連費を来年度予算の概算要求に盛り込んだ。
 助成を受けている人は現在、不妊治療を受けている人の約85%とされ、05年度は約2万6000件の申請があった。今回の所得制限の緩和により、同省では「不妊治療を行う人の約9割をカバーできるようになる」(母子保健課)としている。

お産1件につき、医師に1万円 小田原市が引き止め策 indexへ

 1件のお産につき、担当した産婦人科医に1万円の特別手当を支給――神奈川県小田原市が10月から、市立病院の産科医をつなぎ留めておく狙いで、こんな施策を始める。産科医不足が社会問題化するなか、埼玉県蕨(わらび)市など、夜間の出産に限って医師に分娩(ぶんべん)手当を支払う自治体も出始めているが、無条件で支給するケースは珍しいという。
 年間600件の出産がある小田原市立病院には現在5人の産科医がいる。周辺自治体では医師離れでお産の受け入れを一時中止した公立病院もあり、「少しでも有利な環境をアピールしたい」と導入を決めた。

小児・産科医師の集約化へ補助金 患者拠出の病院支援 indexへ

 小児科や産科の医師不足対策で、厚生労働省は来年度、特定の中核病院に医師を集中させる「集約化」に本格的に乗り出す。医師が足りない地域の病院が入院患者を中核病院に委ねることを条件に、高齢者医療など他の分野に転換するための費用を国が一部負担する。地域の医師確保策を後押しするのが狙いで、来年度予算概算要求に関連費を盛り込む。ただ、地方には集約化で医師が引き揚げられることへの懸念もある。
 厚労、総務、文部科学の3省は昨年8月、医師不足が深刻な産科や小児科の医院や病院に入院する患者を中核病院などに集め、医師一人ひとりの負担を軽くするなど、集約化・重点化の推進を決めた。各都道府県に、今年度中に対策の必要性を検討し、具体策をまとめるよう求めた。
 しかし、厚労省の今年4月時点の調査では、対策の必要性を検討していたのは、静岡、三重、兵庫、奈良、徳島、青森(産科のみ)、大分(小児科のみ)の7県だけ。28都府県は、検討の具体的なスケジュールも決まっていないなど、足並みが乱れている。
 都道府県が二の足を踏む理由の一つが、中核病院に医師をとられる医療機関の反発だ。重点化が進めば、中小の病院では、小児・産科の外来だけを残し、入院患者の受け入れをやめることになる。医師を召し上げられるだけでなく、患者も明け渡す形になり、経営面で打撃を受ける可能性もある。都道府県からは、「医師を引き揚げられる地域の対策を考える必要がある」(栃木)、「連携する病院への財政上の支援策を明確にしてほしい」(神奈川)など、国の財政支援を求める声が上がっていた。
 厚労省が補助対象に想定しているのは、中核病院との連携が期待される山間部やへき地の自治体病院や民間病院など。重点化に協力して小児科や産科の入院患者を受け入れない代わりに、高齢者介護など地域のニーズにあった分野に切り替える場合、必要な医療機器やベッドなどの設備整備費の一部を国が負担する。
 厚労省は当面、自治体病院など公的病院を中心に集約化・重点化を進める方針だが「補助制度を充実させ、将来的には民間病院にも協力を仰ぎたい」としている。

医療ミスで患者死亡、北九州市が1600万円賠償で和解 indexへ

 北九州市は25日、市立医療センター(小倉北区)で05年5月に、入院中の男性患者(当時65)が治療ミスで死亡し、遺族側に損害賠償金1600万円を支払うことで和解したことを明らかにした。男性研修医(同29)が、体内から水を抜くための管を挿入する際に誤って出血させ、死亡させたという。
 市病院局によると、亡くなったのは、門司区内の無職の男性で昨年5月24日に市立医療センターで肝臓がんの手術を受けた。その後、右胸部に水がたまり始めたため、同30日に研修医が男性主治医(41)の指導のもと、排水のための管を右胸から挿入した際、血液混じりの水が排出された。翌31日に出血が再び起き、容体が急変し、死亡したという。
 研修医が管を挿す際に誤って男性の肝臓を傷つけた可能性が高いと見られ、市は家族に謝罪した。市病院局は「起きてはならない事故で再発防止に真剣に取り組みたい」としている。

精神科病棟の一部、退院支援施設に 厚労省 indexへ

 厚生労働省は24日、精神科病院の一部を「退院支援施設」に転用することを認める方針を決め、自治体の担当課長会議で示した。グループホームと並ぶ社会復帰に向けた福祉施設と位置づけている。ただ病院を「退院」して新施設へ移っても、実質的には社会から隔離された入院状態が継続する可能性があり、障害者団体は「看板の掛け替えに過ぎず、自立を遅らせる」と反発している。
 全国の精神科に入院している患者は約32万人で、そのうち約6万9000人は地域社会の受け入れ態勢が整っていないなどの理由で入院を続けている「社会的入院」とされる。同省は12年度までに社会的入院を解消することを目指している。
 退院支援施設は、精神科を退院した患者が入り、2〜3年間の生活訓練や就労支援を受ける。病院の敷地外であれば定員は20〜30人で、原則として個室が用意されるが、病棟を転用する場合、定員は20〜60人で、4人部屋も認められる。
 今年4月に施行された障害者自立支援法では、各自治体が「障害福祉計画」を定めて、グループホームやホームヘルプサービスを整備し、障害者が地域で暮らせるノーマライゼーションを進めるとしており、厚労省は、退院支援施設を自立支援策と位置づけている。
 しかし、障害者団体からは、障害者を見かけ上「退院」させるだけで、社会的入院状態とあまり変わらない新施設では、計画通りに障害者の自立が進まないのではないかとの懸念の声があがっている。
 大阪精神医療人権センターの山本深雪事務局長は「海外の事例からも、病院施設内での自立訓練はあまり効果がないことがわかってきている。医師の監視から離れ、地域社会の中での自立を促すべきだ」と話す。
 退院支援施設の詳細は「電子政府の総合窓口」のホームページのパブリックコメント欄に掲載されている。9月15日まで意見を受け付け、9月末までに実施するかどうかも含めて検討する。

胸部X線検査「40歳以上」に 厚労省検討会が正式報告 indexへ

 職場の定期健診で実施されている胸部X(エックス)線検査について、厚生労働省の検討会(座長=工藤翔二・日本医科大教授)は23日、将来的には検査を義務づけるのは40歳以上の受診者に限るとする報告を正式にまとめた。健診の有効性についての十分な研究がなく評価が分かれたため、肺がんや動脈硬化などが多い中高年に限ることで決着した。
 同省は今後、健診の有効性を検証する研究に着手し、08年度にも関係規則を見直したい考え。だが、検査に携わる医師らは「十分な調査研究と猶予期間」を見直しの条件としており、実際の改正時期は不透明だ。
 報告では、胸部X線検査について「廃止、あるいは現状のまま存続するという科学的根拠については、意見の一致がみられなかった」とし、受動喫煙など職場環境とも関係がある肺がんの発見などを目的として、中高年層で存続させることにした。
 また、40歳未満については5歳ごとの「節目健診」とし、それ以外は医師が個別に判断。同省は現場に混乱がないよう、対象者の選定などについてのガイドラインを作成する方針だ。

ヒト胎盤製剤使用者からの献血制限 厚労省方針 indexへ

 厚生労働省は23日、アンチエイジング(抗加齢)や美容にいいなどの触れ込みで女性などに人気がある「プラセンタエキス注射剤」を使用した人からの献血を受け付けない方針を決めた。変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の感染防止策の一環。献血血液の検査方法などが確立されるまでの暫定措置で10月にも実施する。
 この注射剤はヒト胎盤の抽出成分を製剤化した。更年期障害などの治療薬だが、本来は「適用外」の美容目的での投薬が横行している。
 変異型ヤコブ病は、牛海綿状脳症(BSE)に感染したウシの脳などを食べると感染する。ヒトの胎盤からBSEの原因物質が感染するリスクについて、厚労省の有識者部会は「理論上は否定しきれない」との評価をまとめており、同省は「念のための措置」として献血制限に踏み切った。
 変異型ヤコブ病に関連した献血制限は英国への渡航歴がある患者の感染が確認された05年から実施され、BSEが流行した英仏などに特定の期間、渡航経験のある人が対象となっている。

7月初めまで3カ月間のHIV感染者、過去最多248人 indexへ

 厚生労働省のエイズ動向委員会は22日、今年3月27日から7月2日までの約3カ月間で新たに報告されたエイズウイルス(HIV)感染者が248人(男性226人、女性22人)に上り、四半期ごとの報告数としては過去最多になったと発表した。これまでは209人が最多だった。発症したエイズ患者の報告数も、106人(男性97人、女性9人)で過去2位。
 感染者を年代別にみると、20〜30歳代が全体の約66%を占めた。一方で、40歳以上が約31%と、前回報告より約10ポイントも増えていた。

睡眠薬服用者の3割がうつ症状 製薬会社調査 indexへ

 治療を受けずに睡眠薬を飲んでいる人のうち、約3割がうつ症状を持っている――。こんな傾向が製薬会社の調査で明らかになった。うつと不眠の関連は以前から指摘されているが、うつ症状があるのに不眠のみの治療で済ませ、適切な治療を受けていない人が多く存在する実態が浮き彫りになった。
 今年1月から2月にかけて、製薬会社「グラクソ・スミスクライン」(東京都渋谷区)が、睡眠薬を服用している20〜50歳代に対してアンケートし、308人が回答した。実際にうつ病と診断されたり、抗うつ薬を処方されたりしている94人を除いた214人を対象にし、薬の服用期間、頻度などを尋ね、一般的な診断基準を使ってうつ症状に該当するかどうかを調査した。
 その結果、うつ症状がみられたのは69人(32%)。同じ方法で、睡眠薬を服用していない20歳以上の男女513人を調べると、うつ症状があったのは76人(15%)で、睡眠薬を服用している方がうつ症状のリスクが高いことがわかった。
 うつ症状がみられた69人のうち、46人(67%)は「服用開始時に自分でうつを疑った」と回答。だが、31人(45%)は「医師と相談したことがない」と回答した。
 調査を監修した坪井康次・東邦大学医学部教授(心身医学講座)は「睡眠薬を服用している患者は不眠以外の精神面の不調についても主治医とよく相談することが重要。漫然とした睡眠薬の服用を防ぎ、うつ病の早期発見・早期治療につながる」と指摘している。

医師確保、「中央会議」設置へ 厚労省 indexへ

 地域の医師不足や診療科ごとの医師偏在を解消するため、厚生労働省は地域が進める医師確保策を支援する態勢づくりに乗り出す方針を固めた。医療関係者でつくる「地域医療支援中央会議(仮称)」を同省内に置き、都道府県に具体策を助言するほか、医師数に余裕のある地域から不足している地域への人事異動あっせんも検討する。8月中にも厚労、文部科学、総務の3省連絡会議に提案し、来年度予算の概算要求に盛り込む。
 「中央会議」は国立病院機構や日本赤十字社、済生会など全国に展開する公的病院の理事長や院長らで構成。早ければ今年度中の設置をめざす。
 病院間の連携など医師確保の成功例を各地から集め、対策が進まない地域に情報提供や具体策を助言。有識者を派遣して直接指導することも検討している。都道府県だけではどうしても医師のやりくりが困難な場合、余裕のある地域から医師を送り込むなど全国レベルの人事異動をあっせんすることもありうる。
 地域の医師確保策をめぐっては、3省が04年、各都道府県に「地域医療対策協議会」を設置し、都道府県が主体となって病院間の役割分担などを協議するよう指示。特に医師偏在が深刻な小児科や産科については、今年度末をめどに医師を特定の病院に集めて24時間体制を実現するなど、集約化・重点化の具体策を検討するよう求めていた。
 しかし、同省の調査では、今年4月現在で具体的な検討を始めたのは7県のみ。都道府県側からは「地方任せにせず、国主導で進めるべきだ」などの不満が出ていた。

心の病、30代社員に急増 企業6割で「最多の世代」 indexへ

 30代の会社員にうつ病や神経症など「心の病」が急増していることが、社会経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所の実施したアンケートでわかった。30代に最も多いとした企業は、04年でほぼ半数だったのが、今年には61.0%に増えた。また、6割以上の上場企業が、「心の病」を抱える社員が増えたと回答した。専門家は「急速に進む成果主義や管理職の低年齢化が一因ではないか」と分析している。
 同研究所は今年4月、全国の上場企業に、「メンタルヘルス(心の健康)の取り組み」に関するアンケートを郵送。社員のうつ病、神経症、統合失調症などに関する状況を聞き、218社から回答を得た。アンケートは2年に1度実施している。
 「心の病はどの年齢層で最も多いか」を聞いたところ、「30代」と答えた企業が最も多く、全体の61.0%をしめた。02年は41.8%、04年49.3%と30代の急増が目立つ。40代は19.3%、50代以上は1.8%だった。さらに、「3年間で心の病が増加傾向」と答えた企業は、61.5%。02年、04年と徐々に増えている。このため、40、50代の総数は大きくは減っていないとみられる。
 心の病で1カ月以上休んでいる社員のいる企業の割合は7割を超え、これも増え続けている。
 「職場でのコミュニケーションの機会が減ったか」との質問に対して、「そう思う」「ややそう思う」と答えたのは約6割。「職場での助け合いが少なくなった」と思っている企業も、ほぼ半数あった。
 さらに、コミュニケーションが少なくなった企業で、「心の病が増加傾向」と答えたのは7割超だったのに対し、減少していない企業では半数以下にとどまり、職場環境の違いが反映した結果となった。
 同研究所では「心の病の増加を抑えていくためには、職場内の横のつながりをいかに回復していくかが課題だ」としている。

大学に眠る研究成果「発掘」チーム設置へ 医・薬学系 indexへ

 大学に眠る医学・薬学系の研究成果を発掘し、新たな治療法開発につなげよう――。文部科学省は来年度、成果を探し出す「目利き」や実用化に向けた計画の立案にあたる人材など約10人からなる専門チームを、5〜10の大学に置く方針を決めた。基礎研究が重視され、臨床応用の軽視が目立つ大学の意識改革を図る狙いもある。
 日本の医療分野では基礎研究で論文を書くことが評価され、治療などに役立ちそうな成果が出ても、実用化に至らない例が少なくない。日本は基礎研究で欧米と競り合いながら、実用化に向けた取り組みでは後れを取っている。
 文科省が置く専門チームは、実用化のための支援機関と位置づけられ、知的財産の管理や、薬事行政に沿った研究計画立案、統計分析などに詳しい人たちを集める。製薬企業で開発に従事したり、新薬の承認審査に携わったりした人、弁理士らを想定している。こうした専門家の下で経験を積む人材を、国内外から招くことも考えている。
 チームを置く大学は公募する。チームはその大学だけでなく、周辺にある他大学の研究成果についても支援する。
 研究成果を広く患者の治療に結びつけるまでには、特許申請や、他の特許を侵害していないかの調査などが欠かせない。さらに進んだ段階では、少数患者で効果や安全性を確かめる臨床試験の設計や管理が必要になる。
 だが、日本の大学では「こうした仕事は学術優先の中であまり評価されない」(文科省)ため、専門家が育ちにくい。米国の大学や研究所は成果の実用化に積極的で、医薬品を認可する米食品医薬品局への申請の半分強は、大学などの主導だという。

ジェネリック医薬品 新薬組が続々参入 indexへ

 特許切れの有効成分を使って価格を安く抑えた後発医薬品(ジェネリック医薬品)の市場に、参入が相次いでいる。政府が医療費抑制のため利用促進を強く打ち出し、規制緩和に敏感な外資の動きが活発化。国内の新薬メーカーの一部も将来性を見込んで手を打ち始めた。競争激化が業界再編の新たな導火線となる可能性もある。
 「日本でも後発品は確実に伸びる。市場規模が大きく潜在力は高い」。新薬の世界大手ノバルティス(スイス)傘下で後発品世界第2位のサンド(ドイツ)は、日本市場への期待をこう語る。
 後発品業界では数少ないバイオ医薬品開発も進める同社は、高い技術力と資金力をテコに規模を拡大。買収した独企業の日本法人を社名変更する形で今年1月に日本に進出した。
 後発品世界1位のテバ・ファーマスーティカル・インダストリーズ(イスラエル)や、インド系メーカーも07〜08年度に日本市場への製品投入を計画する。ことインドは後発品生産量が多く、輸出に力を入れる。
 着々と準備を進める外資を横目に、国内勢では本格参入に向けて足場を固める中堅新薬メーカーが目立つ。国内の新薬業界は、薬の公定価格「薬価」の引き下げと外資の攻勢に挟み撃ちされ、経営環境が厳しいからだ。
 日本ケミファは、インドの後発品最大手と共同開発した後発品を昨年発売し「予想を上回る売れ行き」と話す。キョーリングループは昨年、後発品の東洋ファルマー(金沢市)を子会社化し、「ハイリスク・ハイリターンの新薬事業を後発品で補い、経営安定を図る」という。田辺製薬も5月に参入を表明した。
 国内の医療用医薬品のうち、後発品が占める割合(医薬工業協議会調べ、数量ベース)は04年度で16.8%。50%前後の欧米に比べ、まだまだ低い。しかし今年4月から、処方箋(せん)に「後発医薬品への変更可」を選ぶ欄が設けられ、医師がチェック・署名すれば薬剤師は後発品の調剤が可能になった。この規制緩和で後発品を選ぶ患者も増えている。
 だが、後発品の薬価は新薬の約2〜7割で利幅は小さいうえ、有効成分が同じなので価格競争も激しい。医療機関には新薬と同様に詳しい情報提供などを求められ、営業費用が節約できるわけでもないため、楽に稼げる商品ではない。
 薬代の大半を保険で賄う今の医療制度では、患者が一回に支払う薬代で新薬の場合と後発薬の場合との差は、数十〜数百円程度がほとんどとみられる。患者にとってのメリットが大きいのは、服用期間の長い慢性疾患などの薬に限られそうだ。
 国内の後発品大手の沢井製薬は「新規参入で市場は活性化するが、競争も激化するだろう」とみる。後発品子会社を持つ新薬大手、エーザイの内藤晴夫社長も「後発品の売り上げは順調だが、収益面では苦戦している」と話す。

脳卒中ピーク、2020年に288万人 厚労省研究班 indexへ

 脳卒中の患者は、2020年に現在より15万人増えて288万人に――。こんな推計を厚生労働省の研究班(主任研究者=鈴木一夫・秋田県立脳血管研究センター疫学研究部長)がまとめた。さらに、手足のまひなどで介護が必要となる人は25年まで増え続ける見込みで、自治体などは介護サービスや、高血圧対策の充実などが求められそうだ。
 脳卒中は、脳の血管が詰まったり、破れて出血したりする病気の総称。がん、心疾患に次いで、日本人の死因の第3位となっている。手足のまひや言語障害が残って、長期間の介護が必要になることも多い。
 患者が多い秋田県では、83年から県内の患者の状態を詳しく追跡調査。全国的にも珍しい「脳卒中発症登録」を続けている。鈴木さんらは、この調査で得た発症率や死亡率をもとに、30年までの人口の推計に当てはめて試算した。
 その結果、日本の人口は05年から減り始めるが、高齢化にともなって患者は増え続け、20年に287万7000人でピークとなる。再発による悪化などを含めて、介護が必要となる患者は25年に177万5000人(05年比17万人増)で最多となる。

抑うつ度高い男性会社員ほど受診に消極的 600人調査 indexへ

 うつ症状が強い男性会社員は医療機関を受診せず1人で解決しようとする傾向が強い――。そんな調査結果が、このほど開かれた日本うつ病学会で発表された。うつ病の男性会社員は中高年を中心に受診したがらない傾向があると指摘されてきたが、データで裏付けられた。
 富山県高岡市の矢後病院の臨床心理士、山藤奈穂子さんらが、04〜05年に同県内の10〜60代の会社員約600人を対象にアンケートした。自己評価式の抑うつ度テストを実施し、「(不眠ややる気の喪失など)うつ症状が2週間以上続いた場合」の対応法についての回答を、うつ症状を強く感じている「高うつ群男性」「高うつ群女性」と、「健常群男女」に分類した。
 「精神科を受診する」と答えたのは健常群の14%に対し、高うつ群男性は9%。「知人・家族に相談する」高うつ群男性は6%で、高うつ群女性(46%)や健常群(29%)に比べ極端に低い。一方で「自分で解決しようとする」高うつ群男性は69%に上り、高うつ群女性(25%)、健常群(32%)よりずっと高かった。
 また高うつ群男性の53%が「今うつ気分・うつ症状を感じている」と回答。「ここ2年間ずっとうつ気分がある」と答えた人も47%いたが、実際に精神科受診歴のある人は6%だけだった。
 高うつ群男性が精神科を受診しない理由では、「一時的にストレスがたまっているだけ」(68%)、「病院に行っても治るとは思えない」(36%)、「我慢するべきことだ」(27%)などが多かった。
 厚生労働省の研究班の疫学調査では、うつ病患者の4分の3が受診していないことがわかっており、「受診しないうつ病患者」への対策が急務といわれる。山藤さんは「『受診しないうつ』は隠れたうつとなって、自殺率の増加につながっている。企業が受診しやすい環境をつくるのが重要だ」と話している。

耐性菌の薬剤防御システムを解明 大阪大研究所 indexへ

 複数の抗生物質でも死なない多剤耐性菌が薬を無力化している仕組みの一つを、大阪大産業科学研究所の村上聡・助教授(たんぱく質結晶学)らのグループが解明した。薬を細菌の膜たんぱく質にある空洞に取り込んで外に排出しているという。院内感染など、打つ手がなかった病原性菌の耐性化問題を解決する新薬開発につながることが期待される。17日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
 近年、抗生物質が効かない緑膿(りょくのう)菌やセラチア菌などの多剤耐性菌の出現で、免疫力の低い患者への院内感染が深刻な問題となっている。
 村上さんらは、大腸菌の細胞膜にあるAcrBと呼ばれるたんぱく質の複合体を結晶化し、X線で立体構造を解明。AcrBをつくる三つのたんぱく質のそれぞれに薬剤を取り込む空洞があり、これらが組み合わされて、多種の薬剤を取り込めることがわかった。
 空洞は細胞の内と外に出入り口を持っており、たんぱく質が協調して、出入り口の弁を開閉したり、空洞を収縮したりして、薬剤の取り込み、結合、排出をしているという。
 村上さんは「複合体の働きを妨げる新薬を開発できれば、効き目がなくなった抗生物質がまた使えるようになる。耐性菌が排出できない抗生物質の開発も考えられる」と話している。

9人中7人死亡 高リスク患者の生体肝移植 群馬大病院 indexへ

 生体肝移植時の医療ミスで肝臓提供者が下半身まひになったと7月に発表した群馬大学病院で、同じ第一外科が04年1月〜今年6月に実施した15例の生体肝移植で、術前に肝硬変が極めて進んでいるなど「高リスク」と判断された移植患者9人中7人が死亡していたことが分かった。生体肝移植は公的な医療保険が適用になって実施例が増えているが、健康な提供者を危険にさらすことが成績の悪い症例でどこまで許されるかについては、ほとんど議論されてこなかった。何らかの基準作りが求められそうだ。
 群馬大病院によると、同科は00年9月〜今年6月に計35例の生体肝移植を実施、うち15人が死亡している。最近2年半の手術では高リスク7人を含む8人が手術後まもなく、退院することなく死亡した。死因はほとんどが感染症だった。03年までの20例で77.4%と推計された5年生存率が、現在では55.3%に落ちた。
 日本肝移植研究会の04年の集計によると、国内施設全体の5年生存率は76.1%で、現在の第一外科の成績はそれを20ポイント以上下回る。また、群馬大病院では第二外科も99年から16例の生体肝移植を実施しているが、5年生存率は75%という。
 7月に公表された肝臓提供者の事故は05年11月、第一外科の手術で起きた。夫に肝臓の一部を提供した50代の女性に対して、担当医が血液凝固阻止剤を学会指針の2〜5倍に当たる量を処方するミスをし、女性が下半身まひに陥った。この夫も高リスクで、今年3月に死亡した。
 病院側は事故の公表後、外部の識者を含めた生体肝移植検証委員会(委員長=森下靖雄院長)を設置。提供者事故だけでなく、死亡例の多発についても調査し、患者・提供者の適応基準を見直すことになった。9月にも結果を発表する。
 第一外科の桑野博行教授は「県内医療機関からの重症患者の紹介が増えた。移植でしか助からないという患者を、門前払いするわけにいかなかった」という。ただ、高リスク患者の死亡が相次いでいながら中止や十分な検証をせず、提供者事故を起こした後も手術を続けていたことに、病院内からも批判が出ている。
 群馬大病院では、生体肝移植については事前に倫理審査委員会で、患者・提供者の状態や、インフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)が適切かを判断している。だが、術後の成績は報告を求めておらず、死亡例が相次いでいることを把握していなかった。委員長の森川昭広副院長は「不十分だった。移植患者の予後の検証、議論もすべきだった」と不備を認めている。

パーキンソン病など2難病、治療補助の対象枠見直しへ indexへ

 厚生労働省は、難病のなかで「特定疾患」として補助対象となっている「パーキンソン病」と「潰瘍(かいよう)性大腸炎」について、軽症者を外すなど対象枠を見直す方針を固め、9日の検討会に示した。患者数の増加などが理由。検討会は、補助対象の範囲を患者団体の意見を踏まえ、10月にも決める方向だ。
 「特定疾患」の補助制度は、72年から始まり、患者数が5万人未満で、高額な医療費がかかるなど一定の要件を満たした病気について医療費を補助すると同時に、症例を集めて研究に生かしている。
 補助額は、重症者や低所得者なら医療費の全額を、軽症者でも入院や外来にかかる自己負担の一部を国と都道府県が負担する。現在、45の疾病が対象となっている。
 同省によると、04年度の患者数が、パーキンソン病は約7万3000人に、潰瘍性大腸炎は約8万人に増加。2疾病だけで公費負担の約25%を占めたため、補助の見直しを検討していた。

あわや医療事故、249施設で18万件 薬処方や管接続 indexへ

 一歩間違えば医療事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット事例」の報告が、全国249の医療機関から昨年1年間で約18万3000件あったことが9日、財団法人「日本医療機能評価機構」のまとめで分かった。全国には約17万5000の医療機関があり、同機構は「表に出てこない事例は相当数に上る可能性がある」と注意を呼びかけている。
 04年10月から始まった国の医療事故報告制度の一環として、事故防止に役立てようと同機構が大学病院など249の病院や診療所の協力を得て調査している。
 それによると、昨年1年間の報告数は、計18万2898件。薬の種類や量を間違えるなど「処方・投薬」に関する事例が最も多く、全体の26.0%に上った。次いで、栄養補給のためのチューブ接続など「ドレーン・チューブ類の使用・管理」(16.2%)、入浴や移動などの「療養生活」(12.9%)など。「手術」は1.5%だった。
 具体的には、新生児が入る保育器の電源をいったん切った後で、再起動の手順を間違えたために保育器内の酸素濃度が下がった▽天井からつり下げ式の点滴をつり下げる金具が患者の上に落ちた▽全身麻酔の機器のトラブルで、手術中に患者の麻酔が覚めたために静脈麻酔で対応したなどの例があった。
 職種別では、看護師が76.7%で最も多く、医師は4.3%。また、配属年数ごとに見ると、最も多い1年未満(24.8%)から3年目までで全体の約半数を占めた。
 医療事故に関する調査では、報告義務がある272の医療機関のうち、176施設から計1114件の報告があった。一方で、全く報告がない施設も96に上っており、同機構は「ささいな事例だからと報告しないケースがあるかもしれない」として、報告の徹底を求めていく方針だ。

10年凍結の受精卵で出産 石川で国内最長保存例に indexへ

 石川県小松市の永遠幸(とわこう)レディスクリニック(道倉康仁院長)で、体外受精した受精卵を10年にわたり凍結保存したあと母体に戻し、県外の病院で出産に成功していたことが分かった。国内では過去に6年2カ月の凍結受精卵での成功例があるが、今回のケースは国内で最長とみられる。
 同クリニックによると、不妊治療のため、女性(46)から採取した卵子と夫の精子を95年7月に体外受精し、14個の受精卵をつくった。このうち10個を凍結保存した。2個を昨年6月末に女性の体内に戻したところ妊娠し、今年3月に女児を出産。母子ともに健康という。
 この女性はこれまでにも14個の受精卵のうち、凍結しなかった4個を95年に、解凍した4個を00年に体内に戻し、それぞれ女児、男児を出産している。今回は第3子となる。
 海外では、イスラエルで12年間凍結保存した受精卵で出産した例がある。

「マルチ産科医」育成へ 東北大病院 indexへ

 東北大病院(仙台市)が、麻酔や新生児についての知識、経験を備える「マルチ」産科医の養成に乗り出す。全国的に産科、小児科医は不足気味。国は医師を拠点病院に集め、安全なお産ができる体制の確立をめざしているが、その際の中核的存在になることが期待されている。
 「マルチ」産科医実現に向けての「総合周産期実践医」育成プログラムが、このほど文部科学省の助成対象事業に採択された。2年の臨床研修の後、東北大病院や同大の関連病院の産科、麻酔科のほか、小児科か新生児科で3年間、横断的に研修を受け、全般的な知識の習得を図る。
 同院では今後、具体的な研修方法などについて関連病院などと協議を始めるという。
 東北大大学院の岡村州博教授(産婦人科)は、「現在、お産は産科や新生児科、麻酔科医の分業体制。何かあった時、それぞれの専門医が駆けつけるまでの間、幅広い知識のある1人の医師が迅速な対応をとることができれば、より安全なお産が期待できる」と話している。

乳がん、初の患者向けガイドライン 学会作成 indexへ

 日本乳癌(にゅうがん)学会(理事長=坂元吾偉・癌研究所乳腺病理部長)は、初めての患者版「乳がん診療ガイドライン」をつくった。作成委員に患者2人を入れ、最新の医学的根拠に基づく標準的な治療を質問形式でまとめた。治療方針の決定や、不安解消に役立ててもらう狙いだ。
 解説書は、「薬物」「外科」「放射線」「検診・診断」「疫学・予防」の分野に分かれている医師向けの専門ガイドラインを、患者の疑問や不安に沿う形で1冊にまとめた。患者委員が挙げた約200項目の「患者が知りたいこと」のうち、特に重要な46項目を取り上げた。
 標準的な手術方法、術後の放射線治療、抗がん剤の副作用に対する考え方などのほか、「イソフラボンの摂取は乳がん予防になるか」といった日常生活に即した疑問にも触れ「予防の可能性を示す疫学調査や動物実験のデータはあるが、まだ確証はない」といった現状を紹介している。
 同学会診療ガイドライン委員長の高塚雄一・関西労災病院副院長は「患者の立場や知識量は様々。今回は情報をどう整理していいか戸惑っている人を想定した」と話す。今後、患者アンケートを実施するなどして改訂をしていく考えだ。
 「乳がん診療ガイドラインの解説」(金原出版、1995円)として出版もされ、年内には学会ホームページで閲覧できるようにする。

認知症の専門知識もつ、認定看護師 まず10人誕生へ indexへ

 認知症ケアの専門知識や技術をもつ、初めての「認知症高齢者認定看護師」が誕生する。日本看護協会が新設するもので、研修を終えて試験に合格した10人が15日に発表される。毎年、研修を続け、認定看護師を増やす予定だ。
 同協会によると、認知症の患者は診療科にかかわらずいる。だが、看護師は所属する科の知識はあっても、認知症の理解が不十分で、コミュニケーションに戸惑うケースも少なくないという。
 このため、認知症に詳しい看護師を育成しようと、昨年4月から協会の研修学校(東京都清瀬市)で研修を始めた。定員15人に対して全国から19人の応募があった。1年間、基礎知識の講習を受けて実習を終え、5月の認定試験に10人が合格した。今年4月からは2期生が研修中だ。
 認定看護師は、認知症の患者への対応だけでなく、家族のサポートや、退院後に利用する訪問看護ステーションとの連携を調整する役割を担う。同協会は「どんなケアが必要か見極め、医師や介護職といったスタッフ間の橋渡しも期待したい」としている。
 同協会はこれまで、救急や糖尿病など12分野で1700人以上の認定看護師を育成している。「認知症は介護の分野」という見方もあったが、現場のニーズが高まり、認定を始めた。

C型肝炎インターフェロン治療、医療機関で大きな違い indexへ

 C型肝炎患者のインターフェロン治療に関する考え方が、医療機関によって大きく違うことが久留米大などの調査で分かった。肝臓専門医がいる病院では70歳以上の高齢者にも勧めていたが、専門医がいない診療所では「高齢」を理由に勧めていなかった。インターフェロン治療に対し、患者の側には「副作用が心配」との見方が強いことも分かった。
 久留米大の佐田通夫教授(消化器内科)らと日本製薬工業協会医薬産業政策研究所が、九州のある地区の1病院と7診療所に通う患者254人の治療法などについて患者・医師双方に尋ねた。
 肝臓専門医がいる病院では90%の患者にインターフェロン治療を勧めていたが、専門医がいない診療所では39%だった。その差は高齢の患者で特に大きく、診療所で勧めない理由も「高齢のため適さない」が47%で最も多かった。
 一方、この治療を勧められながら同意しなかった患者では、「副作用が心配」(75%)が最大の理由だった。
 結果について、佐田教授は「高齢者ほど肝がんのリスクがあるので、専門医は高齢者にもインターフェロンを使っている。病院と診療所の連携が必要だ」と言う。
 C型肝炎の患者・感染者は国内に約200万人いるとみられ、慢性肝炎から肝硬変や肝がんに至るリスクがある。肝がんの約8割はC型肝炎ウイルスが原因とされる。
 だが近年、C型肝炎ウイルスを抑える注射薬インターフェロンの改良が進み、抗ウイルス薬との併用治療法が効果を上げている。肝がん発生を抑えることもできる。最近普及してきた方法では、週1回の注射を半年〜1年続ける。最初の2週間は入院が勧められ、その後は通院で治療できる。

殺人容疑視野に捜査続く 射水市民病院の呼吸器外し indexへ

 富山県警は、殺人容疑を視野に捜査を続けている。人工呼吸器取り外しと死との因果関係が焦点で、元外科部長や同僚医師、看護師、家族らに、患者の病状や延命治療中止の際のやりとりなどについて事情を聴くなどしている。
 射水市民病院での延命治療中止問題は昨年10月、元外科部長から人工呼吸器を外すよう指示を受けた看護師が病院側に相談したことがきっかけでわかった。病院の調査で00年〜昨年10月初めにかけ、50歳代〜90歳代の男性4人、女性3人の末期患者が人工呼吸器を取り外された後、死亡していた。病院側は今年3月25日、記者会見して公表。病院は50年に発足し、昨年11月の市町村合併で現在の名称になった。ベッド数200床。

呼吸器外し「6人は本人か家族の意思」 元外科部長説明 indexへ

 富山県射水(いみず)市の射水市民病院で末期患者7人が人工呼吸器を取り外された後に死亡した問題で、患者の病状や亡くなる間際の状況を、関与した伊藤雅之・元外科部長(50)が3日までに朝日新聞社の取材に答えた。病院側は7人について県警に届け出たが、伊藤元外科部長は関与した6人のうち、3人は家族に聞くなどで本人の意思を確認・推定し、3人も家族の同意をとった、などと延命治療中止を判断した経緯を説明した。
 伊藤元外科部長は「当事者としてきちんと説明したい」と実名で取材に応じた。「私がかかわった人工呼吸器外しの患者の情報を可能な限り公表し、深い議論と考察をしていただく機会になればと考えた」と話している。
 病名についてこれまで病院側は「がんなど」と発表してきたが、伊藤元外科部長によると、主治医としてかかわった6人のうち死因ががんと言えるのは2人で、その他は肺炎や急性腎不全などだったという。認知症で食事が取れず衰弱した状態だったケースもあった。元外科部長は、6人とも急変した病状に対応するために呼吸器を装着、回復できれば余命はまだあると判断した。その後、瞳孔や全身の状態から「脳死状態」と診断し呼吸器を外し、いずれも十数分から1時間で心停止に至ったという。
 また、6人は延命治療中止の「同意書」はないが、すべて「患者本人あるいは家族の同意を得た」と主張。事前に延命治療はしないと患者と家族が話し合っていた場合もあったと話している。
 残り1人は別の外科医が主治医だった。
 元外科部長によると、05年秋に亡くなった80歳代女性は認知症とパーキンソン病を患っており、肺炎で転院してきた。胃にチューブを通して栄養を補給していたが、急性腎不全などで心肺停止になり、呼吸器を装着し蘇生したものの脳死状態になったという。2日間様子を見て家族に病状を説明。「これまで延命治療してきた上に呼吸器につながれるのもかわいそうだね」と話すと、「助からないのなら」と家族は答えたという。
 また、膵臓(すいぞう)がんで入院した70歳代の男性はがんの進行に伴う多臓器不全で00年に死亡。伊藤元外科部長は、手術の結果を説明した後に病室で患者が「もう死ぬんだ」などと看護師に話していたことなどから、延命治療の中止について男性の意思を推定したという。
 亡くなった7人のうち、2人の家族は朝日新聞社の取材に対し「延命治療中止を申し出た」などと話したが、それ以外の人の家族は延命治療の中止に同意したのかどうかなどの詳しい説明は避けた。「悪い感情は持っていない」と話す家族もいる一方、「本当にうちなのか。覚えていない」という家族もいた。

小児・産科医師偏在、対策検討は7県のみ indexへ

 小児科や産科の医師偏在の解消に向けた取り組みに、足並みの乱れが出ている。厚生労働省は、医師を特定の病院に集中させるなどの「集約化・重点化」策について、各都道府県に今年度中に必要性や具体案を検討するよう求めているが、同省の調査では、検討を始めたのはわずか7県。半数以上は検討のスケジュールも決まっていない。医師の総数は増やさず、地域にやり繰りを委ねるやり方に自治体の不満もくすぶる。
 厚労、総務、文部科学の3省の連絡会議は昨年8月、当面の医師確保総合対策をまとめ、地域の実情に合わせて産科医や小児科医を拠点病院に集めたり、複数の病院で役割を分担したりする集約化・重点化の推進を打ち出した。昨年12月には、都道府県ごとに対策の必要性を検討し、必要なら今年度中に具体案をまとめるよう求めた。
 厚労省が今年4月、都道府県に状況を聞いたところ、対策の必要性を検討していたのは、静岡、三重、兵庫、奈良、徳島、青森(産科分のみ)、大分(小児科分のみ)の7県のみ。残りは「今後検討する予定」などと答え、うち山形、福島、栃木、新潟、富山、石川、長野、鳥取、愛媛、鹿児島の10県は、検討を始める時期も「未定」だった。
 同省が検討の期限を「今年度中」としたのに対し、半数以上に当たる28都府県は具体的な期限が決まっておらず、「必要性を検討すべきかを検討中」(島根)といった意見もあった。
 危機感を抱いた同省は7月、「今年度中」としていた期限を「今年中」に繰り上げ、取り組みを促したが、反発の声も出ている。栃木県では、多くの公的病院が首都圏や隣県の大学医学部から医師の派遣を受けており、集約化には各大学との調整が必要だという。「県内だけの問題ではない。今年中に結論を出すなんて机上の空論」と同県担当者。北海道の担当者は「面積が広い分、集約化の事情も他県と異なる。慎重に議論したい」。
 国の施策に疑問を投げかける声もある。病院や診療所で働く産科・産婦人科の医師数(04年調査)が全国で3番目に少ない島根県は、隠岐諸島で常勤の産婦人科医が不在になるなど医師偏在が深刻。だが、担当者は「医師の絶対数が足りないため、集約化すらできないのが実情」と話す。

医師と歯科医師計32人処分、医療関連は9人 厚労省 indexへ

 厚生労働省は2日、医道審議会医道分科会の答申を受け、刑事事件で有罪が確定するなどした医師24人と歯科医師8人の計32人への行政処分を発表した。免許取り消しはなく、いずれも1カ月から5年の業務停止。16日に発効する。
 医療行為に関連して処分されたのは、00年に埼玉医大総合医療センターで起きた抗がん剤誤投与による女子高生死亡事件で業務上過失致死罪の有罪が確定した川端五十鈴元教授=業務停止1年6カ月=ら9人。分科会は薬剤の過剰投与による死亡事故について、処分された医師だけでなく病院全体の安全管理に問題があるケースが見られたとして厚労省に病院を指導するよう求めた。
 このほかの主な処分は次の通り。
▽井上歯科クリニック(神戸市)井上芳久歯科医師=強制わいせつ【業務停止5年】
▽エルフィン歯科(北海道北広島市)吉村敏歯科医師=保護責任者遺棄【同3年】
▽福岡大病院(福岡市)長田純医師=覚せい剤取締法違反【同3年】
▽馬場歯科医院(東京都新宿区)田中成治歯科医師=暴力行為等処罰法違反など【同2年】
▽福岡赤十字病院(福岡市)衛藤達医師=覚せい剤取締法違反など【同1年】
▽秋田大付属病院(秋田市)佐々木亨医師=業務上過失致死【同1年】
▽土倉産婦人科(兵庫県洲本市)岡本惇医師=業務上過失致死【同1年】
▽浮谷クリニック(千葉県市川市)浮谷勝郎医師=業務上過失致死【同1年】
▽北斗病院(北海道帯広市)鎌田一医師=広島大汚職、贈賄【同9カ月】
▽北見中央病院(北海道北見市)石川孝樹医師=広島大汚職、贈賄【同9カ月】
▽パレスメディケア病院(茨城県石岡市)、三郷南口内科小児科(埼玉県三郷市)辻本典生医師=窃盗、診療報酬不正請求【同9カ月】
▽沼本歯科医院(高知県須崎市)沼本和彦歯科医師=建造物侵入、窃盗未遂【同9カ月】

7年間に8人の乳児の延命治療中止 淀川キリスト教病院 indexへ

 終末期医療の先進的な取り組みで知られる淀川キリスト教病院(大阪市東淀川区)が、昨年までの7年間に、重い病気で治る見込みがなく、死期が迫った8人の赤ちゃんへの延命治療を中止していたことを明らかにした。病院側は「子どもにとって最も望ましい医療のあり方を家族と医療従事者がともに話し合って決めた。一般的に言われる『延命の中止』ではなく、より人間らしい『看取(み・と)り医療』と位置づけている」と説明している。
 石田武院長や船戸正久・小児科部長らが31日、会見して明らかにした。同病院では98年10月に、無脳症などの致死的奇形や末期の脳室内出血などを対象とする赤ちゃんの終末期医療に関する指針を作っている。
 指針策定後の99年から05年までの7年間に、同病院がこの指針に基づいて対応した事例を集計した。その結果、死亡した約70人の赤ちゃんのうち、すべての延命治療を中止したのは、重い脳室内出血などを起こした末期の超低体重児ら8人で、いずれも余命が数十分から1、2時間とされる時点で、両親の希望を受け、治療を中止したという。8人とも新生児集中治療室(NICU)で積極的治療を受けたが、複数の医師が回復が見込めないと判断した。
 船戸部長は「最期の看取りの場合、家族との時間を最大限大切にし、お母さんの胸の中で、家族に囲まれて安らかに亡くなるケースが多い」と話した。
 ほかに、苦痛の除去などを除く新たな治療を差し控え、家族との時間を尊重する「緩和的医療」の対象となった赤ちゃんは57人いた。
 赤ちゃんへの終末期医療は、本人の意思確認ができないために難しいという指摘がある一方、過剰な延命治療を見直す動きも広がりつつあり、02年の船戸部長らの調査によれば、新生児医療の拠点病院の85%が延命治療の中止や差し控えを経験しているという。

「未熟手術」で18歳死亡、専門家指摘 水戸、県警捜査 indexへ

 水戸済生会総合病院(水戸市、503床)で04年、心臓手術を受けた茨城県鉾田市の男子高校生(当時18)が、難度の高い手術の2日後に死亡していたことがわかった。より安全で一般的な手術方法もあり、専門家は「執刀医の経験不足が原因」と指摘しているといい、茨城県警は業務上過失致死の疑いがあるとみて捜査を進めている。
 死亡したのは、同市の自営業石津洋さん(51)の長男で、当時高校3年生だった圭一郎さん。
 関係者によると、圭一郎さんは、大動脈弁が正常に閉まらず心臓に血液が逆流する「大動脈弁閉鎖不全症」と診断され、04年7月下旬に同病院で心臓手術を受けた。
 その際、この症状の治療で一般的な人工弁に付け替える手術方法ではなく、患者本人の肺動脈弁を大動脈弁に移植し、肺動脈弁に人工弁などを取りつける「ロス手術」が選択された。
 圭一郎さんもロス手術の選択に同意。しかし、手術は難航し、圭一郎さんは意識が回復せずに手術の2日後、多臓器不全で死亡した。
 遺族から相談を受けた県警は専門家に調査を依頼。ロス手術を選択する必要性があったのか、執刀医の技術や経験は十分だったのかなど、慎重に調べている。

原因はプール? 保育園でO26集団感染 岐阜・高山 indexへ

 岐阜県は30日、同県高山市中切町の私立三枝保育園で25〜30日に園児や家族、職員計42人が腸管出血性大腸菌O(オー)26に感染したと発表した。患者は快方に向かっているという。感染した園児は全員、保育園のプールを利用しており、県は詳しい感染原因を調べている。
 県保健医療課によると、園児6人と家族1人が25〜29日、下痢や腹痛などの症状を訴えた。関係者も検査したところ、症状はないものの、ほかの園児30人と家族1人、職員4人の感染もわかったという。

がん検診、449自治体が指針通り行わず indexへ

 全国2273市町村のうち、乳がんや肺がんなど5種類のがんの検診を国の指針通りに実施していない市町村が449あり、約2割にのぼることが、厚生労働省の調査でわかった。検診自体をしていない市町村も、のべ146あった。住民の健康にかかわる検診事業に地域格差があることが明らかになった。
 胃がん、乳がん、子宮がん、肺がん、大腸がんについて今年1月1日現在の検診実施状況を都道府県を通じて聞き、全市町村から回答があった。
 指針は、胃がんは「40歳以上、問診・胃部X線検査」、肺がんは「40歳以上、問診・胸部X線検査・喀痰(かくたん)細胞診」、乳がんは「40歳以上、問診・視診・触診・乳房X線撮影(マンモグラフィー)」などと定めている。
 指針通りに実施していない市町村は、種類別では、乳がんが最も多く375。肺がん226、大腸がん24、子宮がん8、胃がん7の順だった。このうち、検診自体をしていない市町村は、乳がん30、肺がんが109、子宮がん3、胃がん2、大腸がん2だった。
 乳がんは、超音波検査のみ(122)、マンモグラフィーのみ(98)という市町村が多かった。
 また、検診自体をしていない市町村は、理由として「他に優先すべき事業がある」「予算が確保できない」などをあげるところが多かった。

05年度の概算医療費、過去最高の32.4兆円 indexへ

 厚生労働省は、05年度の概算医療費が前年度比9700億円増(3.1%増)の32.4兆円で、過去最高を更新したと発表した。70歳以上の高齢者の医療費は、同7000億円増の13.5兆円で、全体の4割を占めた。
 1人当たりの医療費は8000円増の25万4000円。70歳以上は1万6000円増の75万5000円だった。
 医療機関を受診した延べ日数は0.3%減ったが、1日当たりの医療費は医療技術の高度化などにより、400円増え、1万1900円だった。
 概算医療費は、医療保険と公費から支払われた医療費で、医療費の動向を把握する指標として集計されている。診療報酬の引き下げや高齢者の窓口負担増で02年度は前年度より減り30.2兆円だったが、03年度は30.8兆円、04年度は31.4兆円と再び増加に転じた。06年度は4月に診療報酬が引き下げられ、10月から患者負担の引き上げなどが予定され、減少すると予想されている。

血管治療用の針金を自主回収 ジョンソン社 indexへ

 米ジョンソン・エンド・ジョンソン社の日本法人(東京都千代田区)が輸入・販売したカテーテル用の針金「SVワイヤー」の先端部に不具合が見つかり、同社は、自主回収を始めたと28日発表した。
 回収するのは血管を広げる手術で、カテーテルを血管内に通す際に使う太さ0.5ミリの針金322個。使用中に先割れしたケースが国内外で30件あり、うち4件で、先端部が長さ2センチほど切れて血管内に残った。出血などの被害は報告されていないが、血管をふさぐ恐れがあるという。

がん拠点、47病院の指定承認 5府県の「空白」解消 indexへ

 全国各地でがん医療の中心となる「がん診療連携拠点病院」の指定について審議する厚生労働省の検討会は28日、これまで拠点病院がなかった5府県の17病院を含む計47病院について新たに指定を承認した。2月施行の新しい整備指針に基づく初の指定で、47病院のうち5病院は現在も拠点病院に指定されているが新たな指針に基づいて指定を受け直したもの。8月中に厚労相が正式に指定する。
 これで全国のがん拠点病院は、45都道府県に177カ所となり、拠点病院が1カ所もないのは秋田と兵庫の2県だけとなった。
 がん拠点病院の制度は、全国どこでも質の高いがん医療が受けられるようにと、厚労省が01年度から始めた。全国に約370ある2次医療圏に1カ所を目標に整備を進めているが、現在の指定数は135病院にとどまっており、秋田、山梨、長野、京都、兵庫、広島、鹿児島の7府県は一つもなかった。
 整備を進めるため、厚労省は今年2月、これまでの整備指針を見直し、常駐する専門医の数など具体的な数値を指定要件に盛り込んで分かりやすくしたほか、各都道府県に中核となる「都道府県拠点病院」を1カ所ずつ置くよう求めた。また、初年度だけだった拠点病院への補助金も今年度から増額し、毎年交付することにした。
 これを受けて今回、空白だった7府県を含む25府県から、公立病院や大学付属病院など119カ所が指定を申請した。
 指定は4年ごとの更新制。旧指針で指定を受けている病院については、経過措置として07年10月まで更新手続きの猶予期間を設けている。   ◇
 新しく指定された病院は次の通り。
 【宮城】県立がんセンター(更新)、東北大付属病院、国立病院機構仙台医療センター【山形】山形市立病院済生館、山形大付属病院、県立日本海病院【群馬】群馬大付属病院、伊勢崎市民病院【埼玉】深谷赤十字病院【千葉】県がんセンター(更新)【神奈川】横浜市立市民病院、川崎市立井田病院、横須賀共済病院、相模原協同病院、小田原市立病院【新潟】新潟市民病院、長岡中央総合病院、長岡赤十字病院、県立中央病院【富山】県立中央病院(更新)【山梨】県立中央病院【長野】佐久総合病院、諏訪赤十字病院、信州大付属病院【岐阜】岐阜大付属病院【静岡】県立静岡がんセンター(更新)【京都】府立医大付属病院【和歌山】社会保険紀南病院、国立病院機構南和歌山医療センター【岡山】岡山大付属病院【広島】広島大付属病院、県立広島病院、広島市立広島市民病院、広島赤十字・原爆病院、広島総合病院、国立病院機構呉医療センター、国立病院機構東広島医療センター、尾道総合病院、福山市民病院、市立三次中央病院【山口】下関市立中央病院【徳島】県立中央病院(更新)【香川】労働者健康福祉機構香川労災病院【高知】高知大付属病院【熊本】熊本大付属病院【鹿児島】鹿児島大付属病院、国立病院機構鹿児島医療センター
ドミノ肝移植、6年半後FAP発症 予想20〜30年後 indexへ

 移植する肝臓の不足を補うため、生体肝移植を受けた患者から取り出した肝臓を玉突き式に移植する「生体ドミノ肝移植」を99年に京都大病院で受けた患者が、移植した肝臓による神経難病「家族性アミロイドポリニューロパシー」(FAP)を6年半後に発症していたことが分かった。FAP患者の肝臓を移植してもFAP発症は20〜30年後と考えてのドミノ肝移植だったが、予想よりずっと早い発症で見直しを迫られそうだ。
 熊本大の医療チームが確認した。安東由喜雄教授によると、FAPを発症した患者は50代の女性。肝硬変を患い、40代だった99年7月、京都大病院で生体肝移植を受けた50代のFAP患者から、摘出された肝臓の提供を受けた。国内初のドミノ肝移植だった。今年2月になり、足先の温度感覚が失われたことなどからFAPの初期症状と診断された。
 FAPは、主に肝臓で作られた異常たんぱく質が体にたまり、神経障害や運動障害を起こす。根治療法がなく、やがて死に至る。
 ただ、FAP患者の肝臓は代謝機能などは正常とされる。別の患者に移植した場合、その患者の体に異常たんぱく質がたまってFAPを発症するまで余裕があると予想されたことから、ドミノ肝移植が考案された。国内ではこれまでに京都大、信州大、熊本大などで28人に実施された。
 その際、「FAPをいつ発症するかは分からない」と説明してきた施設もあるが、今回の女性のように「発症は20〜30年後」と説明された患者もいる。だが、昨年になって欧州からドミノ肝移植後6年と8年のFAP発症例が発表されていた。
 日本肝移植研究会常任世話人の市田隆文・順天堂大静岡病院教授は「ドミノ肝移植は、欧州では脳死の臓器提供者が現れるまでの一時しのぎだ。日本は脳死臓器提供が少なく、事実上の救命治療に近い。思ったより発症が早いとはっきりすれば、患者への説明は変わってくる」と指摘する。
 99年当時、京都大で移植を担当した田中紘一・日本移植学会理事長(先端医療振興財団先端医療センター長)は「今回の例が特殊かも知れない。早期の発症がどの程度で起こるかなどを慎重に見ていく必要がある」と言っている。

輸血血液に黄色ブドウ球菌混入、男性死亡 indexへ

 今年5月、黄色ブドウ球菌が混入した血小板製剤を輸血された70代の男性が、敗血症で死亡していたことが25日、日本赤十字社の調査で分かった。日赤によると、採血した際に供血者の皮膚などに付着していた菌が偶然に針などから混入し、輸血までに増殖したとみられる。厚生労働省によると、血液製剤に黄色ブドウ球菌が混入したことによる死亡例は国内では初めて。同省は特異なケースとみているが、日赤に再発防止を指示した。
 日赤によると、男性は5月1日、血液疾患などの治療で血小板製剤の輸血を受けた後、間もなく発熱などの症状を起こし、敗血症とみられる症状で翌日死亡した。男性の血液と残っていた製剤などから黄色ブドウ球菌が検出され、遺伝子の型も一致したという。

医療機器爆発事故、メーカー2被告に無罪 福島地裁支部 indexへ

 福島県いわき市の松村総合病院で03年、磁気共鳴断層撮影装置(MRI)が撤去作業中に爆発し、8人が重軽傷を負った事故で、業務上過失傷害罪に問われた、医療機器メーカー「東芝メディカルシステムズ」(栃木県大田原市)の社員藤川博孝被告(42)=福島県郡山市=と、同百足敬悦被告(46)=宮城県七ケ浜町=に対する判決公判が25日、福島地裁いわき支部であった。高原章裁判官は「機器が破裂・爆発するという予見可能性はなかった」とし、いずれも無罪(求刑各禁固1年)を言い渡した。
 事故は03年10月、2人がMRIの撤去作業で機器内の液体ヘリウムを少しずつ抜き取る作業中に起こり、ヘリウムが急激に気化して爆発、病院職員ら6人が重軽傷を負い、藤川被告らもけがを負った。
 判決では、事故原因として、通常取り外さない部品を事故の前日にはずしたため、ヘリウムが急激に気化したと認定。その上で、機器の爆発について「当時のマニュアルや社内認識から予見は出来なかった」とし、検察側の「予見可能性があった」とする主張を退けた。

医学部シフト過熱 志願者急増、少子化でも10万人突破 indexへ

 大学受験で今、「医学部シフト」が起きている。少子化で受験者が減る中、医学部志願者数は約10万人(延べ人数)を超え、東大、京大などの理系学部よりも国公立大の医学部へという志向が強くなっている。医師という将来安定した生活が保証される学部というのが理由だ。同時に医療現場では、診療科や地域で医師偏在が起きるという皮肉な現象が起きている。
 今春、関東の私立大医学部に入学した女性(19)は、「一生食べていけるのかは大事。医師免許は年齢制限もないし、更新制もない。病気はなくならない。高校生には利点ばかりが見える」と話す。
 文部科学省「学校基本調査報告書」などから集計すると、全国の国公立大と私立大の計80の医学部(医学科、防衛医大含む)の定員約7700人に対して、志願者数(延べ人数)は、00年度入試では8万8996人だったが、04年度入試で10万人を突破。05年度入試はさらに増え、10万5993人だ。
 この間、大学・短大の志願者数が約9万2000人減少した。さらに84年度をピークに医学部定員が「医師過剰時代」の回避などを目的として政策的に減らされてきたことを考えると、受験生の「医学部シフト」は顕著だ。
 合格者は「西高東低」だ。受験情報出版社「大学通信」がまとめた国公立大医学部(06年度入試)の合格者は、1位が東海(愛知)80人、2位が灘(兵庫)67人、3位がラ・サール(鹿児島)59人、4位が東大寺学園(奈良)55人と私立の中高一貫校が続く。上位11校のうち7校は西日本だ。
 灘は、今年度の高3の218人中160人が理系で、うち約70人が医学部志望という。東大寺学園は従来、医学部志望者は40人台だったが、04年度卒業生は50人を超え、昨年度卒業生は63人だった。「官庁や企業の本社が多い東京では魅力を感じる仕事も多いが、関西はそういう機会が少なく、身近で活躍する医師の人気が高い」と同校。
 「就職難が深刻だった00年ごろから、西日本の中高一貫校を中心に『東大・京大より医学部』という動きがでてきた」と「大学通信」の安田賢治情報編集部長は話す。
 また、医療関係者の間では、西日本は元々、北海道や東北に比べて医療機関や医師数が多いことが影響しているという見方がある。
 最近、東日本にも医学部人気が高まってきた。開成(東京)の場合、06年度入試の東大合格者数は140人で前年度より30人減った。逆に国公立大医学部の合格者は14人増えて56人(6月現在)。進路指導委員長だった橋本弘正教諭は、「成績上位の生徒が医学部を目指す。安定志向が強まったのかもしれません」と話す。
 合格者の増加は都会の私立中高一貫校が目立つ。全国の国公立医学部の合格者のうち首都圏・近畿圏の私立高校出身者が占める割合は計27.2%だ。都会の受験生が地方大学に流れ、難易度を押し上げる。大手予備校の河合塾によると、医師不足が深刻な東北地方の弘前、秋田、山形、福島県立医の各大学でも偏差値67.5。入試科目の違いなど単純には比べられないが、東京大理科1類、理科2類(いずれも67.5)と肩を並べる難易度だ。
 医学部は現在、全都道府県にあるが、医学部生が卒後、出身大学のある県内医療機関に残るとは限らない。
 大阪市内の高校を卒業後、愛媛大医学部(東温市)に入った6年生の男性(27)は今、医師免許取得後の臨床研修は大阪でするつもりだ。
 「愛媛大を選んだのはセンター試験の点数と試験日程。愛媛はのんびりしていて楽かもしれないけど、医師として強くなれない気がする。やっぱり都会で暮らしたい」。希望は外科か小児科。症例数が多く、技術を高めさせてくれる都会の病院を希望する。
 福島県立医大は、学生の42.6%が女性だ。今春の卒業生79人のうち、県外出身者で福島県内に残ったのは、男性11人、女性7人。男性12人、女性24人が県外に出た。藤田禎三副学長は、「女性は親元に帰る傾向が強い。子育てを考えれば、親元で働かないと仕事を続けることが難しい労働環境もある」と見る。
 関西の国立大に通う女子学生(22)は実習を経験して初めて、「こんなに残業が多い職場だとは思わなかったと漏らす同級生も多い」という。
 国公立大医学部合格者数の上位11校中にも、四天王寺(大阪)と桜蔭(東京)の2女子高が入る。
 地方大学では対策として、推薦入試での地域枠導入が進む。97年度に札幌医科大が導入。現在は16大学で実施され、121人の枠がある。来年度は富山大など3大学も導入予定だ。
 滋賀医大は、定員85人のうち8〜9割が県外出身者。98年度入試から、推薦枠15人(02年度から20人)のうち7人を地域枠にした。強制力がなく、地域枠で入学した学生のうち県内に残っている医師は半分程度だ。
 地元定着率を上げて医師偏在を緩和する方策の一つとして、厚労省の医師需給検討会が今月19日に取りまとめた最終報告書では、医師不足地域に限り、地域定着策を絡めるなど条件付きで入学定員の一部増を認めることを検討すべきだとした。
 例えば、学費などが無料の代わりに9年間、都道府県職員として地域医療施設への勤務が義務づけられている自治医科大のような仕組みを、医師不足地域の医学部入試などに導入できないかというものだ。しかし、どの大学にどういう条件で定員増を認めるか、検討課題は多い。

抗うつ薬、説明に「矛盾」 医師団体が質問状 indexへ

 世界最大手の製薬会社、米ファイザーの日本法人が7月に国内販売を始めた抗うつ薬の説明文書について、精神科医の団体が「矛盾した記載がある」と公開質問状を送り、臨床試験データの開示を求める異例の事態が起きている。同種の薬には、使い方を誤ると自殺の危険性が高まるとの指摘があり、医療現場では「患者からの訴訟リスクもある。このままでは処方できない」との声があがっている。
 公開質問状を出したのは、精神科の開業医でつくる「日本精神神経科診療所協会」(日精診、会員約1400人)。SSRIと呼ばれるタイプの抗うつ薬「ジェイゾロフト」についてたずねた。同薬は年間売上高が世界で3700億円に達し、日本ではうつ病・うつ状態とパニック障害の治療薬として厚生労働省が4月に承認した。
 問題の文書は、ファイザーが国内販売開始を控え事前説明用に配布した冊子。うつ病・うつ状態とパニック障害に関する国内臨床試験の結果について、「優れた効果を示した」とする記述と「いずれの効果も保証するには不十分」との記述が同時に掲載され、薬剤の効果について説明が矛盾する形となっている。
 国内臨床試験では当初、ほかの薬と効果を比べる一部の試験で有意なデータを得られなかった。このため、途中から別方式の試験を採用。投与で効果が出た被験者を途中で2グループに分け、投与を続けた例と、薬の成分の入っていない試験用の偽薬に切り替えた例とを比べて有意なデータが得られたとし、承認申請した。
 日精診は「このままではリスクを効果が上回ると患者に説明できなくなり、処方するのは困難になる」としている。
 質問状に対し、ファイザーの日本法人は7月5日に文書で回答。効果の保証は不十分とした記載について、専門家からの指摘で記載を指導されたといい、「修正を検討する」としている。

職場の胸部X線検査、原則40歳以上に 厚労省方針 indexへ

 職場の定期健診で年1回行われている胸部エックス線検査について、厚生労働省は21日、対象を原則40歳からにする方針を示した。一般に健康な若い層ではエックス線被曝(ひばく)のリスクの方が高いとの懸念もあることから、毎年の検査は必要ないと判断した。ただ、検査の有効性と有害性のどちらが大きいかについては専門家の間でもなお意見が分かれているため、新たに研究班を設けて検証したうえで見直すとした。
 同日開かれた専門家検討会(座長・工藤翔二日本医科大教授)に示した。職場での定期健診での胸部エックス線検査は、労働安全衛生法で事業者に年1回の実施が義務づけられている。同省はこれを「40歳以上」にし、40歳未満については5年ごとなどの「節目健診」にしたい考え。
 胸部エックス線検査を巡っては、結核予防法の改正で、05年4月から一律の検査が廃止になり、これを受けて職場健診でも同様に廃止を検討してきた。
 しかし、健診に携わる医師らが「結核だけでなく、様々な疾患の発見に成果を上げており、有効性がないとは言えない」と反発。05年4月に同検討会を設置して検査の有効性などについて議論をしてきたが、意見が対立したままだった。
 このため、同省は全面廃止を見送り、一般に呼吸器や循環器疾患などの発症頻度の高い中高年に絞って実施することで妥協点を探ることにした。

東海大付属病院医師が医療ミス 男性死亡、書類送検 indexへ

 神奈川県警伊勢原署は19日、東海大学医学部付属病院(伊勢原市下糟屋)耳鼻咽喉(いんこう)科の男性医師(30)を業務上過失致死容疑で横浜地検に書類送検した。
 調べでは、男性医師は02年5月、交通事故の被害に遭って病院に運ばれた専門学校生の男性(当時19)を治療中、医療器具の先端部分約2センチを過って気管に落とし、心不全で死亡させた疑い。器具が欠損していたのを事前に確認しなかったという。

がんの痛み抑える薬の知識、医師の半数知らず indexへ

 がん患者の8割はがんによる何らかの痛みを経験するといわれるが、医師の半数近くは痛みを抑える薬について基本的な知識が不足している――。そんな調査結果を、小川節郎・日本大教授(麻酔科)が日本ペインクリニック学会で発表した。6月に成立したがん対策基本法も痛みを和らげる緩和ケアの取り組み強化を求めており、正しい知識の普及が急務だ。
 調査は、痛み治療に取り組む医師や看護師、薬剤師らでつくる非営利団体「ジャパン・パートナーズ・アゲインスト・ペイン(JPAP)」が6月にインターネット上で実施した。日常的にがん患者に接する機会がある、全国の100床以上の病院に勤める医師1000人から回答を得た。
 その結果、78%ががんそのものに対する治療と痛みをとる治療では、まず後者を優先させると答え、同じく78%が「モルヒネなどの医療用麻薬を早期から積極的に使うべきだ」と考えていた。医療用麻薬の有効性や副作用を「説明できる」「多少は説明できる」とした人は計92%にのぼった。
 だが、がんの痛み治療の世界的指針である世界保健機関(WHO)の鎮痛薬の基本5原則を「聞いたことがない」「聞いたことはあるが知らない」という人が47%いた。薬の適正使用に不可欠な用語を知らない医師も多かった。
 医療用麻薬について具体的に尋ねると「だんだん効かなくなる」(26%)、「麻薬中毒になる」(7%)などの誤った回答もあった。
 看護師を対象にした調査でも、傾向は医師とほぼ同じだった。発表した小川さんは「痛みは我慢するものでも、我慢させるものでもない。現場や医学部などで、痛みの教育をどう位置づけていくかが課題だ」と言う。

医師偏在対策、地域限定で大学定員増も検討 政府方針 indexへ

 地域の医師不足や診療科による偏在の問題で、厚生労働省の検討会は19日、2025年の医師数を約31万人と推計したうえで「長期的には医師は足りる」などとする最終報告書をまとめた。大学医学部の定員増には否定的な見解を示す一方、医師不足が深刻な地域では暫定的に定員増を検討する必要があると指摘した。
 報告書をまとめたのは「医師の需給に関する検討会」(座長=矢崎義雄・国立病院機構理事長)。これを受け、厚労、総務、文部科学の3省の連絡会議は8月中にも「医師確保総合対策」をまとめ、来年度予算概算要求などに反映させる。
 報告書は、病院や診療所で働く医師数は15年に約28万6000人、25年に約31万1000人、35年に約32万4000人と増え、20〜25年には必要数を上回ると推定。医学部定員増は「中長期的には医師の過剰をもたらす」とした。
 ただし、地元に医師が定着しない地域の医学部では、定着に積極的に取り組むことを条件に「暫定的に定員調整を検討する必要がある」とした。
 特定の地域や診療科の医師不足解消には、効果的な医師の配置や医療提供システムが必要とも指摘。(1)産婦人科医の拠点病院などへの集約(2)小児科の電話相談や開業医との連携促進(3)看護師などとの役割分担などを提案した。
 検討会や国会審議では、医師不足の実態把握のために診療科ごとに必要な医師数を示すべきだとの意見もあったが、「算定が難しく、地域偏在の解消にはつながらない」(厚労省幹部)として、今回の報告書では見送られた。このため複数の委員からは「現場の医師不足感が伝わらない」と不満も出た。

心筋梗塞に関与する遺伝子型を発見 リスク1.45倍 indexへ

 心筋梗塞(こうそく)の発症に関与する遺伝子の型を理化学研究所などの研究グループが見つけた。特定の型の人は他の型に比べて1.45倍、心筋梗塞を起こしやすかった。リスクの高い人には特に生活習慣に気を使ってもらうなど、個人に応じた病気予防に役立つ成果という。16日付米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(電子版)で発表する。
 グループは理研遺伝子多型研究センターの中村祐輔センター長、田中敏博グループディレクター、大阪大の堀正二教授ら。3459人の心筋梗塞患者と3955人の一般人から同意を得て、遺伝子の違いを調べた。
 その結果、PSMA6という遺伝子を構成する部品(塩基)1個の違いで、心筋梗塞になりやすい型(GG型)とそうでない型に分かれることがわかった。GG型の割合は一般人で8.9%だが、患者では12.4%と多く、この型の人は心筋梗塞のリスクが1.45倍高くなるという。
 この遺伝子の働きを抑える実験をしたところ、炎症作用が抑制された。心筋梗塞は心臓の血管の炎症との関連が指摘されている。遺伝子の型で炎症の起きやすさに違いが出てリスクの差につながったと田中さんはみる。
 田中さんらはこれまでも、心筋梗塞関連の遺伝子の型の違いを見つけていて今回が三つ目。三つを組み合わせることで、一般人に比べ約3.5倍という特に高リスクの人がわかるという。

胃がん検診でバリウム飲んだ女性、腸閉塞で死亡 山口 indexへ

 山口県岩国市が今月上旬に実施した胃がんの集団検診で、硫酸バリウムを飲んで胃のエックス線撮影を受けた同市内の女性(85)が、検診から3日後に腸閉塞(へいそく)を起こして死亡していたことが16日、分かった。
 同市によると、検診は市が山口県厚生農協連合会(山口市)に委託して7月3、4日に実施。市内に検診バスを派遣し、計110人が受診した。
 女性は3日に受診し、5日朝に腹痛を訴えて病院で受診したところ、バリウムが腸内にとどまり腸閉塞を起こしていることが分かった。翌6日に手術を受けたが、容体が急変し死亡した。
 バリウムは消化管の運動機能が弱い高齢者が飲んだ場合、体内での停留で腸閉塞や虫垂炎を引き起こすケースがあるという。同市によると、検診の際は受診者にその場で下剤を服用させ、注意を呼び掛ける文書を手渡している。同連合会からは、女性についてもこうした方法を採っており、「検診方法に問題はなかった」との報告を受けているという。
 同市健康福祉部は「結果として自身の健康を調べに来て、亡くなられたのは申し訳ない。二度と起こらないよう、これまで以上に検診内容の周知を徹底するなど対応を検討したい」としている。

長期入院患者の食住費、重い人は除外 厚労省が方針 indexへ

 慢性期の患者が長期入院する療養病床で10月から70歳以上が徴収される「食費・居住費」について、厚生労働省は12日、肺炎や神経難病など重い患者は新たな徴収から除外する方針を決めた。低所得者も3段階で負担を軽減する。同日の中央社会保険医療協議会(中医協)で明らかにした。
 徴収額は月額で、食費(材料費・調理コスト)4万2000円、居住費(光熱費相当)1万円の計5万2000円。従来は食材料費相当額の2万4000円のみだったため、2万8000円の負担増となる。
 除外対象となるのは7月から医療の必要度に応じて分けられた3区分のうち、重い「区分2」と「区分3」で、肺炎や神経難病のほか、気管切開や肺気腫、四肢まひがある脊髄(せきずい)損傷の患者など。これらの患者は、従来通りの負担となる。
 また、住民税非課税世帯(夫婦2人の場合、年金収入211万円未満)は、収入に応じて、食費・居住費の総額が、3万円、2万2000円、1万円に減免される。

小児救急の電話相談、携帯や深夜対応を 厚労省が通知 indexへ

 休日や夜間に子どもが急病になった際、地元の小児科医が電話で相談に応じる救急医療対策事業について、厚生労働省は、携帯電話や深夜の相談に応じるなどサービスの拡大に努めるよう、各都道府県に通知した。未導入の16県についても看護師でも相談に応じられるよう要件を緩和し、普及させたい考えだ。
 04年度から始まった「小児救急電話相談事業」は、夜間や休日に「#8000」に電話すると、地元の小児科医の携帯電話に転送され、対処法や受診の必要性などの助言が受けられるシステム。病院の小児救急には、育児不安などから子どもが軽い症状でも駆け込んでくる親が多い。電話で事前に状況を見極めることで、医師の負担が減らせると期待されている。各都道府県が運営し、国が費用の半額を補助している。
 同省が7月1日現在の実施状況を調べたところ、31都道府県が導入しているが、携帯電話からの相談にも対応できるのは福井県だけ。残りは固定電話からしか利用できないシステムだった。
 また、夜間の受け付けでは、大阪府と大分県で翌朝8時まで利用できるが、それ以外は最も遅い時間でも午後11時までの利用となっていた。
 最近は携帯電話しか持たない若い世代の家庭が増えているため、同省は都道府県への通知で、携帯電話からも相談が受けられるようシステムを見直すよう要請。地元医師会や民間業者と協力し、深夜から翌朝にかけての相談に応じるようサービスの拡充を求めた。
 電話相談を実施していない16県(青森、秋田、山形、福島、埼玉、富山、山梨、長野、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、長崎、鹿児島、沖縄)については、対応できる医師が少ないことが原因の一つとなっているため、看護師なども補助対象に含めるなど柔軟に対応する方針だ。

高齢者の視力低下起こす加齢黄斑変性 活性酸素が原因 indexへ

 高齢者の視力低下や失明を引き起こす加齢黄斑変性は、活性酸素が原因であることを慶応大の今村裕講師(眼科学)らの研究チームがマウスの実験で明らかにした。今週の米科学アカデミー紀要電子版で発表した。
 加齢黄斑変性は、目の網膜の黄斑部分に沈着物ができ、視力が落ちる病気。推定患者は40万人ともいわれる。活性酸素との関連が指摘されていたが、変性の過程で出るのか、変性の原因なのか、はっきりしなかった。
 研究チームは、体内で活性酸素を取り除くSOD1という酵素を作れないように遺伝子操作したマウスをつくった。生後10カ月以上の場合、36匹のうち30匹で病気特有の沈着物ができた。高齢なほど数は多かった。

脊髄損傷、鼻の粘膜移植で再生 阪大グループが計画 indexへ

 首を骨折して脊髄(せきずい)を損傷した患者に対し、患者自身の鼻の粘膜を移植し、脊髄を再生させる臨床研究を大阪大のグループが計画している。近く同大倫理委員会で承認を受ける見通し。鼻の粘膜には、神経細胞の成長を促す特殊な細胞があると考えられ、ネズミの実験では有効性が確認されている。
 計画をしているのは吉峰俊樹・大阪大教授(脳神経外科)らのグループ。患者自身の鼻の粘膜組織を採取し、手術で脊髄損傷の患部に直接移植する。
 脊髄などの中枢神経は損傷を受けると再生しないが、臭覚神経は再生可能とみられる。その原因のひとつとして、鼻の粘膜に神経細胞の情報伝達にかかわる部分の成長を促す特殊な細胞があると考えられている。鼻の粘膜にある細胞によって、脊髄の神経細胞の成長を促し、体のまひの改善が期待できるという。
 臨床研究はポルトガルや中国で実施され、ポルトガルでは、まひした足をわずかに動かせるようになった例が複数あるという。中国には04年以降、日本から10人以上の患者が渡航して治療を受けたとされるが、効果ははっきりしない。しかし、中絶した胎児の鼻の粘膜を利用し、倫理問題になっている。
 患部が感染症を起こしたり、臭覚に障害が出たりする可能性もあり、大阪大ではインフォームド・コンセント(患者への説明と同意)を慎重に行いたいとしている。
 脊髄損傷患者は国内に10万人以上おり、交通事故やスポーツ事故などで毎年5000人の患者が生じている。

がん専門病院、5年後の生存率に最大28ポイント差 indexへ

 国公立のがん専門病院などでつくる「全国がん(成人病)センター協議会」(30病院)の加盟施設で、入院治療を受けた胃がん患者の5年後の生存率(5年生存率)は、最高70%、最低42%と28ポイントもの差があったことが、厚生労働省研究班(班長=猿木信裕・群馬県立がんセンター手術部長)の調査で分かった。診療体制や治療内容が影響した可能性がある。

がん専門施設での5年生存率の分布

 胃がんのほか、肺がん、乳がんについて、98年に初めて入院治療を受けた患者の5年生存率を比べた。それぞれのがんで50人を超える患者を治療し、90%以上の患者について経過を追えているなどの条件に合う病院に限った。また、早期がん患者が多い病院ほど生存率が高く出てしまう可能性があるため、進行度や年齢の影響を除いて生存率を算出した。
 その結果、胃がん(18施設)は最高70.1%〜最低42.3%で27.8ポイント差▽肺がん(18施設)は43.5%〜18.3%で25.2ポイント差▽乳がん(14施設)は92.6%〜79.0%で13.6ポイント差だった。施設ごとの成績は公表していない。
 胃がんの18施設の中で最下位だった施設は、症例数では全体の4番目と多いにもかかわらず、生存率の低さが際だっているため、研究班では問題点の調査を施設側に依頼している。
 研究班は昨年初めて、同様の調査をした。施設が異なり直接の比較はあまり意味がないが、97年に初めて入院治療を受けた患者の5年生存率は胃がん(13施設)が70.3%〜53.3%で17.0ポイント差▽肺がん(18施設)が34.9%〜15.1%で19.8ポイント差▽乳がん(14施設)が86.1%〜73.1%で13.0ポイント差だった。
 研究班では、施設名を含め、今後どのように個別の治療成績を公表していくか検討中だ。
 猿木さんは「施設間に格差がある可能性はある。各施設が自らの弱点を認識し、診療体制などを検討するきっかけにしてほしい」と言っている。


乳がんの温存療法、指針を満たさぬ放射線照射4割 indexへ

 早期の乳がんを対象とした温存療法で放射線治療をする際、日本乳癌(がん)学会が定めた照射方法の指針を満たしていない例が全体の4割にのぼることが、厚生労働省研究班の調査で分かった。がんが残っているかもしれない場所に十分あてていなかった例が目立ち、再発につながる恐れもある。
 乳房温存療法はがんを手術で取り除いたあと、乳房に放射線をあてるのが原則。がん細胞をたたき、再発を防ぐのが目的だ。あてる範囲が広すぎると、肺や心臓などに問題が起こる危険があるため、同学会は照射すべき範囲などを定めた医師向けの指針をつくり、98年に発表した。
 研究班は、全国72施設をメンバーが訪問して調べた。99〜01年に温存療法を受けた531例の治療記録を分析した結果、学会指針を満たさない例が226例(42.6%)あった。呼吸の影響で胸が動くことを十分考慮しないなどして、照射する範囲が不足している例が多かったという。
 調査をまとめた京都大放射線治療科の山内智香子助手は「体形には個人差があるので、指針を満たさないからといって直ちに不適切とは言えない。ただ、指針が医師の間に十分に伝わっていないことを痛感した」としている。結果は、7日から金沢市で始まる同学会の総会で発表する。

「内部告発は真実ではない」 告発医師の賠償責任確定 indexへ

 「手術ミスがあった」という医師の内部告発は病院側の名誉を傷つけたとして、医師に計550万円の損害賠償を命じた二審・東京高裁判決を確定させる決定が6日、最高裁第一小法廷(甲斐中辰夫裁判長)で出た。
 問題になったのは、日本医科大付属病院(東京都文京区)で97年、20代の女性患者が手術後に急死したことをめぐり、手術で第1助手を務めた男性医師が遺族や報道機関に行った内部告発。これに対し、同大と執刀医が男性医師を相手に計3000万円の損害賠償を求めていた。第一小法廷は二審で逆転敗訴した男性医師の上告を棄却した。
 東京高裁は05年、医師の責任を否定した一審・東京地裁判決を変更。医師の「あごの骨を固定するワイヤが患者の脳に刺さった」という告発内容について「真実ではなく、真実と信じる相当の理由も認められない」として違法性を認定した。

国保滞納で保険証取り上げ、受診抑制の21人死亡 indexへ

 国民健康保険(国保)の保険料の長期滞納を理由に、正規の保険証を市町村に返還させられ、代わりに「被保険者資格証明書」を交付される加入者が急増している。05年度は全国で約32万世帯に上り、00年度の3・3倍だ。滞納対策の一環だが、証明書で受診した場合、医療機関の窓口でいったん医療費を全額自己負担しなければならず、受診を手控えるケースが後を絶たない。朝日新聞社の取材では、00年以降に少なくとも21人が受診抑制の末、死亡していたことが分かった。
 昨年9月末、松江市内の病院に担ぎ込まれた建設業の男性(当時62)は腸が破れ、腹膜炎で腹が腫れ上がっていた。緊急手術の同意を求める医師に声を絞り出した。「手術はあかん。保険証がない。高くなると払えん」
 バブル崩壊後の不況で仕事が激減。01年ごろから滞納額が膨らみ、資格証明書に切り替わった。
 手術後、医療ソーシャルワーカーに話した。「督促状が何度も届いたが、払えんかった。払わんで保険証だけもらうわけにもいかん。自分が悪い。我慢しとった」
 自力で起き上がれないまま、1カ月後に多臓器不全で死亡した。
 千葉市内のトラック運転手の男性(当時60)は03年春、資格証明書に切り替わった頃から「頭が痛い」「めまいがする」と周囲に漏らしていた。受診を勧められても「こんな保険証で病院に行けない」と、市販の痛み止めを飲んでいた。
 同年10月、市の無料検診で肺がんの脳への転移が分かった。「手のつけようがない」。医師に告げられた2カ月後、男性は亡くなった。
 自治体によっては、有効期限の短い短期証は、役所の窓口での交付が原則。受け取りに行かないまま、無保険状態になる人もいる。
 今年1月、石川県加賀市の温泉街で働く仲居の女性(当時55)が救急搬送の翌朝、末期の子宮がんで死亡した。
 5年以上前から保険料を滞納。短期証を取りに行かず、市販薬で我慢した。知人は「役所に行けば滞納分の支払いを催促されるので、行けなかったのだろう」と話す。
 女性の死は県議会で取り上げられ、県は3月10日、窓口での短期証の留め置きが長期化しないよう、全市町村に改善を求めた。
 朝日新聞社が6月、全国約700カ所の病院などでつくる全日本民主医療機関連合会を通じ、病院関係者や遺族を取材した結果、本人が生前、資格証明書や短期証による受診抑制を明確に口にしていた例は21あった。資格証明書は11人、短期証が7人、どちらか不明が3人。不況の影響や交通事故の賠償金返済などで経済的に困窮した人が多い。独り暮らしは11人だった。
 資格証明書の交付は87年から始まり、国民健康保険法の改正で00年度から市町村に交付が義務化された。厚生労働省国保課は「まじめに払っている人に不公平感を生じさせず、滞納抑止の効果がある」としている。
 開業医の6割が加入する全国保険医団体連合会(東京)が04年、17都府県で実施した調査では、資格証明書を持つ人の受診率は、一般の国保加入者と比べ1〜4%にとどまっていた。

■「公平保つため」厚労省
 国保の収納率は95年度の93%以来、下がり続けている。00年度91%、そして最新の04年度は90%だ。
 「9割を切れば、制度の信頼性にかかわる」と厚生労働省は2月、全国の市町村に収納率を上げるための緊急プラン策定を指示した。
 その中で対策の一つに挙げたのが、滞納して1年を経過した人への資格証明書の積極的な交付だ。
 同省国民健康保険課の唐沢剛課長は「まじめに払うのが馬鹿らしくならないよう、公平性を保つためにも資格証明書の交付は必要だ」と意義を説明する。
 05年度の資格証明書の交付世帯数は10年前の6倍の約32万。急増の契機は97年の法改正だ。滞納が発生して1年以上経過した場合、市町村に資格証明書を交付することを00年度から義務づけた。法改正当時、所管していた厚生相は、現首相の小泉純一郎氏だった。
 医療費が10割負担になることで受診抑制が起きるとの批判は交付開始当初からある。そのため、資格証明書を交付する前には、度重なる督促、払えない特別の事情があるかの確認、弁明の機会を与える――などの手続きを市町村は踏むことになっている。
 唐沢課長は「いきなり、機械的に交付しているのではない。あくまで支払う能力がありながら、滞納している人に限っている」と強調する。

医療関連死調査の実施、目標の1割 22例 indexへ

 手術後の急死など、医療行為に関連した死亡の原因を調べる厚生労働省の調査分析モデル事業が、厳しい船出を強いられている。昨年9月に始まって10カ月たつが、調査件数は目標の年間200例に対し、全国6地区で計22例にとどまる。評価の結論が出たのはまだ2例で、目標期限内(3カ月)にまとまったのは昨年12月に愛知県内の病院で発生した死亡例だけだ。しかも、この事例の評価結果に対し、「評価方法が疑問」との声が上がっている。
 モデル事業は東京、愛知、大阪の3都府県と神戸市で始まり、今年になって茨城と新潟両県が加わった。
 しかし、調査件数が伸び悩んでいるのは、医療現場に十分周知されていないことや、いつ発生しても対応できるような解剖の態勢が十分に整わないことなどが理由だ。調査のほかに30件以上の相談があったが、遺族から解剖の同意が得られないなどの理由で見送られており、調査に結びついていない。
 愛知県の事例では、肝内胆管がんとの診断で肝臓の切除手術を受けた60代の男性が、手術翌日に亡くなった。解剖担当の病理医、法医をはじめ、麻酔科医や消化器外科医、弁護士ら8人で地域評価委員会を構成。評価結果報告書は3月に遺族と病院に手渡され、4月に概要が公表された。
 この報告書では、死因は「血管損傷による大量出血と、不十分な循環管理に起因する出血性ショック」と結論づけ、執刀医の経験不足と麻酔科医の対応の遅れを指摘した。
 ところが、解剖を担当した医師の解剖結果報告書(未公表)によると、心臓に血液を送る左冠状動脈の主幹部が「90%狭窄(きょうさく)」だった。血管の内径が正常の1割程度に狭まっていた。しかし、評価結果報告書はこれには直接触れず、「今回のショックを説明するような心筋梗塞(こうそく)(血流が阻害され心筋が壊死(えし)すること)はなかった」と述べるにとどまっている。
 循環器の専門医の話では、心筋の壊死がなくても、冠状動脈が極端に狭くなっていれば、一時的に心臓に流れる血流が不足し、心機能が低下することはありえるという。
 この患者に狭心症などの発症歴はなく、術前の一般的な心機能検査でも異常はみられなかった。術中の出血量約6000CCは肝臓手術としては多いほうだが、損傷した血管は応援の心臓血管外科医が修復、止血している。
 モデル事業の運営にかかわる複数の関係者は「冠状動脈の狭窄も死に関係した可能性はある。少なくとも報告書でそれをどう評価したか言及すべきだった」と話す。評価委に循環器の専門医は入っていなかった。
 病院側も5月末、狭窄が死因に関係ないと判断した理由について説明を求める文書を、モデル事業を運営する日本内科学会の事務局に送った。同事務局は近く、結論が出た2例の評価方法を検証し、評価委員の人選のあり方などを検討する。

ベッドのさくの間に挟まり患者死亡 岐阜・飛騨市民病院 indexへ

 岐阜県飛騨市の飛騨市民病院で今年5月、女性患者(84)がベッド脇のさくの間に体を挟んで、胸部圧迫による呼吸困難で死亡していたことがわかった。
 同病院によると、5月22日午前5時ごろ、個室に入院していた女性がベッド脇のさくの間に体を挟んで意識を失っているのを、巡回していた看護師が発見した。すぐに心肺蘇生の措置を取ったが、女性は約1時間後に死亡した。
 さくは高さ35センチのアルミ製。はしごを横にしたような形で、ベッドに収納できるようになっている。さくのパイプとパイプの間が24センチあり、女性はこの間から足を投げ出し、うつぶせで胸がつかえた状態で見つかった。同日午前3時ごろ、看護師が巡回した時は異状はなかったという。
 女性は小柄で、衰弱して歩けない状態だった。同病院の入院患者用のベッドの8、9割は事故が起きたものと同型。事故後、再発を防ぐため、同病院は衰弱した小柄な患者のベッド脇のさくには布製のカバーをかぶせる措置を取った。
 黒木嘉人院長は「これまでに聞いたことがない事故で、予測できなかった。しかし、患者の安全を確保する義務がある以上、責任を感じている」と話している。

群馬大付属病院で心臓手術ミス、70代男性が死亡 indexへ

 群馬大学付属病院(森下靖雄院長)は30日、心臓手術のミスで70代の男性患者が死亡したと発表した。病院から異状死の報告を受けた前橋署が業務上過失致死の疑いも視野にいれ、捜査を始めた。
 同病院によると、男性は今月上旬、循環器外科の40代の男性医師の執刀で心臓弁膜症の手術を受けた。翌日、執刀医が男性の心臓内に通したカテーテルを抜こうとしたところ、男性が大量出血し、出血性ショックを起こした。右心房の傷口を縫合する際、右心房の壁に誤ってカテーテルも一緒に縫い込んでしまっていたという。男性は意識不明に陥り、緊急手術をしたが、8日後に死亡した。
 医師は心臓弁膜症の手術をこれまで100例以上経験しているベテランだという。
 同病院はミスを認め、男性の家族に謝罪した。医療事故の調査委員会などで事故原因究明にあたっている。森下病院長は「右心房が張り出しており容易な手術ではなかったが、ミスには間違いない。家族には申し訳ない」と話している。

医師の超過勤務、「是正に5.6万人必要」 厚労省推計 indexへ

 医師の不足や偏在の解消に向けて、厚生労働省は28日、「医師の需給に関する検討会」(座長=矢崎義雄・国立病院機構理事長)に報告書案を示した。病院などに勤務する医師の超過勤務を是正するには、最大で約5万6000人の医師が必要になると推計。ゆとりを持って働ける環境作りの必要性などを提言した。今後、専門家の議論を踏まえ、8月までに最終報告をまとめる。
 同省の04年調査によると、病院や診療所で働く医師の数は約26万8000人。医師の全体数は毎年約4000人ずつ増えているが、医療現場での医師不足は深刻化しており、同省研究班の05年調査でも勤務医の勤務時間は週平均63.3時間に達する。
 報告書案では、すべての勤務医の勤務時間を仮に週48時間まで減らすためには、どれだけの医師数が必要かを推計。病院にいる時間を「勤務時間」とみた場合、必要となる医師数は約32万4000人で、04年調査時と比べ約5万6000人不足。勤務時間を診療や会議などの時間に限定したとしても、約27万7000人の医師が必要となり、約9000人足りないとした。
 その上で、地域や特定の診療科での医師不足を解消するためには、地域の医療ニーズを把握し医師を配置するシステム作りや、産婦人科医などを地域の拠点病院に集めて医師一人ひとりの負担を軽くする「集約化」などの必要性を指摘した。
 ただ、将来推計では、病院や診療所で働く医師数は、2015年に約28万5000人、25年に約31万人、35年に約32万1000人と順調に増加すると推定され、同省は「全体では必要な医師数は供給される」と結論づけた。

48例目の脳死判定 東京都立府中病院 indexへ

 東京都立府中病院に、脳内出血で入院中の50代女性が27日、臓器移植法に基づく脳死と判定された。手術室にほかの予定が入っていることから、摘出は29日未明から始まる予定。97年の法施行後、48例目の脳死判定で、脳死臓器移植としては47例目。
 日本臓器移植ネットワークによると、心臓が埼玉医大で10代女性、肝臓が北海道大で20代男性、膵臓(すい・ぞう)と片方の腎臓は東京女子医大で30代女性、もう片方の腎臓も同大で60代女性にそれぞれ移植される予定だ。肺は医学的理由により断念した。

心臓ペースメーカー3千台を自主回収 日本ガイダント indexへ

 医療機器輸入販売会社「日本ガイダント」(本社・東京都港区)は26日、米国から輸入した「ネクサスプラスDR」など10種類の埋め込み型心臓ペースメーカー2978台に、十分な電気刺激が出力されなくなる不具合が見つかったとして、自主回収を始めた。
 同じ米国メーカーの製品を使用していた患者2人が失神する事故がベルギーで起きているという。すでに患者に埋め込まれているものが1985台あり、同社は医療機関を通じて早期の点検を呼びかけている。

日赤病院も7割「医師不足」 産婦人科は休診も indexへ

 日本赤十字社(日赤)が運営する全国92の関連病院のうち約7割が、いずれかの診療科で医師不足を訴えていることが、日赤の初めての実態調査で分かった。足りない医師の数は400人を超え、診療科の閉鎖に追い込まれる病院もあった。
 医師不足や偏在対策に役立てるため、日赤が4月、医師不足が医療提供や病院経営に与える影響などについてアンケートした。
 その結果、67%に当たる62病院が何らかの診療科で「医師不足を感じている」と回答。約35ある診療科のうち30で不足しているとされ、不足数は計437人に達した。
 診療科別で見ると、内科が30病院で最も多く、不足数は79人。ほかに、神経内科や呼吸器科などの内科系診療科(44病院・149人)、婦人科を含む産婦人科(27病院・52人)、小児科(25病院・42人)、整形外科(21病院・28人)、麻酔科(15病院・32人)などの医師不足が目立った。
 特に産婦人科医の不足は深刻で、伊豆赤十字(静岡県伊豆市)、裾野赤十字(同県裾野市)は休診。安曇野赤十字(長野県安曇野市)、下伊那赤十字(同県松川町)、庄原赤十字(広島県庄原市)の3病院がお産の休止に追い込まれ、再開のめどが立っていないという。
 日赤は「地域によっては小児科でも閉鎖の危機に直面している病院の報告がある。このままでは地域医療を担う日赤病院の役割が果たせなくなる」と懸念を強めている。

脊髄損傷患者に神経細胞の再生治療を実施 関西医大 indexへ

 関西医科大(大阪府守口市)を中心とするグループが、事故などで首を骨折して半身不随になった脊髄(せきずい)損傷の患者に自身の骨髄細胞を移植して神経細胞の再生を促す日本初の臨床研究を実施、24日、大阪府内で経過報告をした。実施例はまだ1例で、副作用はなく、症状の改善もみられたが、責任者の中谷寿男・同大教授(救急医学)は「現時点では移植による治療効果かどうかはわからない」としている。
 報告によると、3月上旬に転落事故で首を骨折して同大病院に運ばれた30代の男性に対して、12日後に移植を実施した。背骨を固定する手術の際に骨髄を採取、専用の施設で培養した後、腰から注射した。これまで副作用はなく、移植前に両腕のひじが動かせなかったのが、少し曲げ伸ばしができるようになったという。ただ、同程度の脊髄損傷では、多くの場合は改善が望めないが、機能が回復する例もある。今回が治療効果かどうかは判断できないという。
 この臨床研究は、事故直後の患者が対象で、グループでは23例を目標にしている。今月、2例目の患者に治療を試みたが、細胞培養がうまくいかずに中止したという。

がんと誤診、乳房切除 病院側に賠償命令 indexへ

 乳がんと診断されて乳房の切除手術を受けたが、その後がんでないと分かった静岡県内の50歳代の女性が、同県三島市の病院側を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、東京地裁であった。藤山雅行裁判長は、術前の検査を担当した医師には、がんだと断定的に判定した過失があると認定。この誤診に基づく切除手術で後遺症が残ったとして、病院側と医師に計1645万円の支払いを命じた。
 判決によると、女性は01年に三島社会保険病院で受診。検査担当医は「乳がんと考える」と執刀医に報告し、左乳房の切除手術が行われた。だが、術後の検査で、がんでないことが分かった。

耐性菌か入院患者6人死亡 埼玉医大、院内感染調査へ indexへ

 埼玉県毛呂山町の埼玉医科大病院で、04年1月からの2年間に、抗生物質が効きにくい多剤耐性緑膿(りょくのう)菌に感染した入院患者6人が死亡していたことが、22日わかった。同病院によると、入院患者約100人からこの菌が検出され、発熱などの症状が出たのが死亡者を含め22人だった。同病院は、院内感染の可能性も含め詳しく調べる。厚生労働省も同日、病院に対し事実を調査して報告するよう指示を出した。
 同病院感染症科・感染制御科の前崎繁文教授によると、死亡した6人は高齢の男女で、もともとがんなど重い病気で入院していた。病室や発症時期は異なっていた。6人の死因がもとの病気なのか、この菌の感染なのかの特定を進めているという。
 同病院では、定期的に入院患者から便やたんなどを採取し、感染症の有無を調べていた。その結果、04年1月から05年12月までの間で、約100人の入院患者から多剤耐性緑膿菌が検出された。22人以外は症状はなかったという。
 同病院は、外部の識者による調査委員会を設置し、感染経路について詳しく調べる。

老人ホーム入居者への訪問診療認める 中医協 indexへ

 中央社会保険医療協議会は21日、有料老人ホームやケアハウスの入居者への計画的な訪問診療を7月から認めることを決めた。4月の診療報酬改定では末期がんの患者に限定していたが、「医師が来なくなると寝たきりの入居者が入院せざるを得なくなる」などの声を受け、3カ月での見直しとなった。
 医療制度改革関連法の成立で38万床ある療養病床の6割を削減することになったため、有料老人ホームなどの「受け皿」を整備する狙いもある。
 介護保険の対象になっている有料老人ホームやケアハウスには看護職員が配置されているため、医師による訪問診療料などの算定を認めていなかった。しかし、実態として訪問診療は地域によっては認められており、同省が末期がん患者に対象を絞ったことで1回の訪問で診る患者が減るため「訪問診療は継続できない」と医師側から通告されるホームもあった。このため医師の訪問診療を売り文句にする有料老人ホームなども見直しを求めていた。
 新たに認められるのは、医師が入居者の病状を計画的に管理する訪問診療料と、月2回以上の訪問診療をした場合の「在宅時医学総合管理料」。
 また、医療機関と有料老人ホームで経営者や役員が同じといった施設の場合、過度の診療を防ぐために訪問診療を認めていなかった。だが、療養病床から転換した有料老人ホームなどについては、同じ経営主体でも算定を認めることにした。

政府、B型肝炎の救済策検討へ C型は対策先送り indexへ

 C型肝炎訴訟の大阪地裁判決について、安倍官房長官は21日の記者会見で、「一部敗訴と聞いている。関係省庁において判決内容を十分検討したうえで決定する」と述べた。小泉首相も同日夕、「よく調査していただきたい」と記者団に述べ、関係省庁の検討を促した。政府高官は「判決をよく見て検討するが、上級審の判断を仰ぐことになるだろう」と述べ、控訴の方向で対応を検討する考えを明らかにした。
 政府は、フィブリノゲンなどの血液製剤による感染被害をめぐっては、大阪地裁判決について控訴する方向で検討していることから、議論を先送りする方向だ。
 一方で、集団予防接種によるB型肝炎訴訟で最高裁が16日、国の責任を認める司法判断をしたことに関しては、政府は感染者と患者の支援のあり方について具体的な検討に入った。医療費や検査費用などの公費助成の是非が主な課題となる。ただ、感染者・患者の多さから経済的な支援策には財政面で限界があるとの見方が強く、感染原因や症状などについても分析を進め、どの範囲までを救済対象とするか慎重に見極めていく。

国の責任「87年以降」 C型肝炎、司法救済に限界も indexへ

 薬害C型肝炎集団訴訟で国と血液製剤フィブリノゲンなどを製造した三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)側に総額2億5630万円の損害賠償を命じた21日の大阪地裁判決で、中本敏嗣裁判長は「何の落ち度もない原告らがC型肝炎ウイルス(HCV)に感染して深刻な被害を受けた」と指摘した。しかし、国の責任が生じるのは危険性判明後も規制を怠った87年4月以降、製薬会社の責任も85年8月以降の投与に限られ、80年以降だけで1万人以上が感染したとされる大規模薬害に対する司法救済の困難さも明らかになった。
■危険高めた処理法変更
 判決は製薬会社の責任について「85年には血液製剤投与による肝炎ウイルス感染の危険性が知られるようになり、フィブリノゲンの有効性が疑問視される状況にあった」と指摘。旧ミドリ十字が同年8月、製剤内のウイルスをなくす処理方法を変更したことで「HCVに感染する危険性を著しく高めた」と判断し、これ以降の投与について賠償責任を認めた。
■国の責任は87年以降
 国の責任については、青森県で起きた集団感染の報告があったことなどから、87年4月時点で肝炎感染の危険性は明らかで、フィブリノゲンの有効性も確認できない状況だったと指摘。クロロキン製剤の副作用をめぐる薬害訴訟で95年に最高裁が示した基準を適用し、「危険性が高い状況にあったのに、非加熱製剤について投与対象者を制限する規制権限を行使しなかったことは著しく不合理で違法」と述べた。
 さらに、旧ミドリ十字が集団感染以降に加熱製剤の製造承認を申請した際、国は有効性や有用性を十分確認せず、10日間で承認したと批判。「厚生相の承認は安全性確保に対する認識や配慮を著しく欠いており、違法だ」と結論づけた。
 こうした判断を踏まえ、85年8月〜87年3月までに投与された女性4人については製薬会社の責任のみを認め、87年4月以降に投与された女性5人は国と製薬会社の責任を認定。それぞれ1320万〜3630万円の損害があるとした。
■救済は限定的
 一方で、85年7月以前に投与を受けた女性3人と、「有効性と有用性が否定されていない」と認定したクリスマシンを投与された男性1人の請求は退けた。
 原告側は、64年のフィブリノゲンの製造承認時から危険性は明らかで、有用性もなかった▽米国で製造承認が取り消された77年の時点で国は承認取り消しなどの規制をすべきだった――などと主張し、幅広い救済を目指した。しかし判決は、国の当時の対応について「医薬品の安全性を確保する立場からはほど遠くお粗末だ」と指摘したものの、製剤の有効性や有用性は否定できないとして賠償責任を否定した。

1.4キロ赤ちゃん、心臓手術に成功 国内最低体重 indexへ

 日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)は、大動脈と肺動脈が心臓へ逆につながっている「完全大血管転位症」で体重わずか1.4キロの赤ちゃんに、動脈をつなぎ換える「スイッチ手術」をして成功したと、20日発表した。この手術としては、国内で最も低体重での実施例という。
 この赤ちゃんは東京都内の女児で、4月に1378グラムの極低体重児として生まれた。早急な治療が必要で、体重1.4キロとなった生後13日目に手術を受けた。順調に回復し、22日退院の予定だ。
 正常な心臓は大動脈が左心室、肺動脈が右心室につながっているが、この病気では大動脈が右心室、肺動脈が左心室につながっている。同センターによると、新生児期の同症へのスイッチ手術は国内で年間120例ほどある。しかし、手術に耐える体力がないなどの理由で、体重1.5キロに満たない未熟児への手術は見送られてきた。
 しかし、海外では最近、1.5キロ未満での成功例が出ており、今回、同センターも手術に踏み切った。執刀した金子幸裕・心臓血管外科部長は「手術しないと長期的に生きることができないと判断した。5時間の手術に女児もよく頑張った」と話している。

医師が検査確認怠り死期早まる 病院が損害賠償 愛知 indexへ

 愛知県春日井市は19日、春日井市民病院(矢野孝院長)に在籍していた医師が、がんの検査結果を確認しなかったために患者の治療開始が約1カ月遅れ、延命期間が短くなったとして、300万円の損害賠償を支払うことで患者の家族と示談することを決めた。26日開会する市議会に議案を提出する。
 市によると、胃の不調を訴え、「胃に穴が開いている」と診断されて04年1月23日に入院した同市内の男性患者(当時24)に対し、担当医(32)は胃がんの検査を2月2日に指示。病理検査室の検査でがんが発見されたが、医師は結果報告書を確認せず、この患者は同5日に退院。医師は胃潰瘍(かいよう)として外来診察を続けた。
 だが、腹痛が再発したため、患者は別の病院に入院。がんと診断され、再び春日井市民病院に入院。7月7日に死亡した。
 医師は、24歳の若さでがんによって胃に穴が開く可能性はほとんどないと考え、結果を確認しなかったという。患者側と病院側の弁護士が協議した結果、がんは進行性だったとはいえ、治療が早く始まれば延命期間は長かったとの結論に至ったという。
 この医師は派遣期間が終わった05年4月、別の病院に移っている。伊藤太市長は「医師への損害賠償請求を検討したい」と語った。

新薬開発加速へ国際治験で連携 東京大など6大学 indexへ

 新薬の臨床試験(治験)を国際化して、期間短縮を図る国際共同試験に連携して取り組むため、東京大など六つの大学が「大学病院臨床試験アライアンス」を設立した。事務手続きの様式を統一したり、安全性にかかわる情報を共有したりして、6大学が一体となって治験に参加できるようにする。
 連携することになったのは、東京大のほか、東京医科歯科大、群馬大、千葉大、筑波大、新潟大。国際規模のしっかりした治験への参加経験を重ねることで、大学側にも臨床研究の実績を積める利点があるという。
 日本での治験は欧米よりもコストや時間がかかるとされ、新薬の開発は欧米が先行することが多い。このため、海外で標準的な薬が日本で使えない例が起きている。

産科医、厳しい労働くっきり 厚労省研究班が調査 indexへ

 産科医は週61時間労働で、当直は月17回、休みは年50日――。そんな労働実態が、厚生労働省の研究班の調査で明らかになった。ほとんどが当直明けもそのまま続けて働いており、調査を担当した杉本充弘日赤医療センター産科部長は「かなり厳しい状況で、産科の救急診療体制は崩壊しつつある。集約化や地域の助産所との連携などの対策が必要だ」としている。
 昨年10〜12月、産科または周産期医療を掲げる全国の473施設(26大学病院、208一般病院、166診療所、73助産所)から回答を得た。これらの施設の04年の出産総数は計16万4227人で、全国の出生数の14.8%を占めていた。
 産科医の週平均労働時間は61.0時間。大学病院65.1時間、一般病院59.5時間、診療所60.0時間だった。当直回数は月平均16.7回で、大学病院5.2回、一般病院6.6回に対し診療所は21.7回と多かった。96.9%が当直明けに継続して勤務していた。
 年間休暇は平均50.4日で、それぞれ57.9日、68.9日、38.6日だった。リスクが高い出産は大学病院などに集中しやすく、単純に比較はできないが、労働実態の厳しさが浮かび上がった。
 常勤医師の平均は大学病院7.5人、一般病院3.5人、診療所1.4人。「さらに必要とする人数」を聞いたところ、それぞれ3.1人、1.5人、0.5人との回答だった。出生数などから推計すると、全国で常勤医師が2720人足りない計算になる。

B型肝炎訴訟で5人全員勝訴 国に賠償命令 最高裁 indexへ

 B型肝炎ウイルスに感染したのは注射器を使い回した集団予防接種が原因だとして、札幌市などの男性患者ら5人(うち1人死亡)が国に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が16日、あった。最高裁第二小法廷(中川了滋(りょう・じ)裁判長)は「集団接種による感染だった」として国の責任を認定。さらに、損害賠償請求権が消滅する20年の除斥期間が提訴時には過ぎていたという「時の壁」を適用されて二審で敗訴した2人についても「予防接種時ではなく、発症時から数えれば過ぎていない」と判断。5人全員の賠償請求権を認めた。
完全勝訴が決まり、集まった支援者たちは拍手を送った=16日午後4時10分、最高裁前で
 判決により、国に対する1人当たり550万円、計2750万円の支払い命令が確定した。
 国内のB型肝炎の患者・持続感染者は120万〜140万人と推計される。B型肝炎に詳しい飯野四郎・清川病院長(元聖マリアンナ医大教授)によると、うち、ほぼ半数は使い回しの注射器を使った注射など、医療行為による感染とみられるという。
 今回の判決によって、幼少時の予防接種で感染したことが明らかなB型肝炎患者には、肝炎や肝硬変などを発症してから20年以内なら、国に賠償を求める道が開かれたことになる。
 裁判の争点は、(1)感染は集団予防接種によるのか、別の原因か(因果関係)(2)最後の予防接種から20年以上経過したことで賠償請求権が消滅したか(除斥期間)の二つだった。
 判決によると、51年ごろには注射針の連続使用により、血液を介してB型肝炎ウイルスに感染する危険性の医学的知見が確立していた。ところが、国が進めた予防接種では、50年の厚生省告示で1人ごとの注射針の取りかえが定められたにもかかわらず、注射器の交換や消毒について自治体を指導せず、連続使用を放置していた。
 裁判で、国側は「一般の医療機関や日常生活で感染した可能性がある」と主張したが、第二小法廷は、集団予防接種のほかには感染原因となる具体的事実はうかがわれない、として因果関係を認めた。
 次に、第二小法廷は、除斥期間の起算点を検討。(1)身体に蓄積する物質が原因で人の健康が害される場合(2)一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる疾病――など、加害行為から相当期間がたってから損害が発生する場合は、損害発生時から起算すると述べた。